電子装置の実施の形態として、ノート型パーソナルコンピュータ(以下、PCと称する)を例に挙げて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態にかかるPC1の斜視図である。
PC1は、表示部2と本体部3とを備えている。表示部2と本体部3とは、ヒンジ部4a及び4bによって矢印AまたはBに示す方向へ開閉自在に結合している。
表示部2は、表示パネル2a、枠体2b、背面筐体2cを備えている。表示パネル2aは、液晶表示パネル等で構成されている。枠体2bは、表示パネル2aの有効表示領域を規定する開口部を備えている。背面筐体2cは、表示パネル2aの表示面の裏側に配され、表示パネル2aを保持している。背面筐体2cは、枠体2bに爪係合または螺合等で結合している。
本体部3は、キーボード3b、ポインティングデバイス3c、およびパワースイッチ3eを備えている。キーボード3bは、本体部3の上面3aに配され、任意の文字を入力可能な複数のキーを備えている。ポインティングデバイス3cは、本体部3の上面3aに配され、表示パネル2aに表示されるカーソルを任意の位置へ移動するための操作を受け付ける。パワースイッチ3eは、前面3gに配され、PC1の電源をオンまたはオフにする操作を受け付ける。本体部3は、中央演算処理装置(CPU)などの各種内蔵装置と、内蔵装置が実装された基板を内蔵している。なお、本体部3は、上記構成以外に様々なデバイスを備えているが、本実施の形態では説明を省略する。
近年のPCは、高機能化や高速化が進み、CPUの発熱量が高い。したがって、本体部3は、CPU(発熱体)を効率的に冷却する冷却ファン(送風装置)と、外気を本体部3内へ導入するための吸気口3hと、冷却ファンにより送られた空気を外部へ排気する排気口3fとを備えている。なお、本体部3は、上面3aと下面3iとが、耐衝撃性を向上するためおよび内蔵する電子回路を電気的に接地するために、高硬度でかつ高い導電性を有する金属で形成することが好ましく、軽量化を勘案するとアルミニウムやマグネシウムで形成することが望ましい。本実施の形態では、本体部3はマグネシウムで形成した。
図2は、実施の形態1にかかる冷却構造を示す図であり、図1における排気口3f及び吸気口3hの近傍(Z−Z部)の断面図である。図2に示すように、本体部3は、基本的に第1の部屋101と第2の部屋102とで構成される。
第1の部屋101には、回路基板103、CPU104、熱伝導シート105、およびヒートパイプ106(熱伝導部材)が配されている。回路基板103は、CPU104以外に各種内蔵装置が実装されている。CPU104は、回路基板103に実装されている。CPU104は、PC1の演算等を担い、最も発熱量が多い部品である。ヒートパイプ106は、一方の端部106aが熱伝導シート105を介してCPU104に固定され、熱的に接続されている。他方の端部106bが第1の筐体112の隔壁112fに接して、熱的に接続されている。ヒートパイプ106は、CPU104で発生した熱を伝導する。ヒートパイプ106は、内部に空洞を有し、空洞内に水などの液体が注入されている。
なお、第1の部屋101には、上記以外に例えばハードディスクドライブ、通信モジュール、USB(Universal Serial Bus)ポートなどの各種外部接続端子、およびこれらを接続する接続回路等が配置されているが、図面を簡略化するために図示は省略した。
なお、第1の部屋101は、第1の筐体112で囲まれた空間である。第1の部屋101は、第1の筐体112により密閉されている。第1の筐体112は、外界に対して空間的に隔離する隔離壁112a、112b、112c、および112dと、後述する第2の部屋102との間を仕切る隔壁112e及び112fとを備えている。隔離壁112a、112b、112c、および112dは、それぞれ本体部3の外装であっても、外装の内部に配置した内部筐体であっても良い。
なお、第1の筐体112は、第1の部屋101を密閉しているが、第1の部屋101にCPU104を実装した回路基板103やヒートパイプ106等を配置させる必要があるため、分解可能な構成であってもよい。第1の筐体112を分解可能な構成とする場合は、例えば隔離壁112b及び112dがそれぞれ2つの隔離壁に分断し、その分断箇所における突き合わせ面に互いに嵌合可能な凸部または凹部を設ける。そして、その凸部と凹部とを、シール材(不図示)を挟んで突き合わせる。これにより、第1の筐体112を分解可能な構成にしたとしても、突き合わせ面における凸部と凹部とが嵌合すると共に、嵌合する境界面にシール材をあてがっているため、第1の筐体112の防水性及び防塵性を確保することができる。
CPU104とヒートパイプ106との接触面積は、CPU104で生じた熱をヒートパイプ106に効率よく伝熱させるため、大きくすることが好ましい。CPU104とヒートパイプ106は、面接触させることが好ましく、本実施の形態ではヒートパイプ106の一方の端部106aは熱伝導シート105を介在させてCPU104に面接触させている。熱伝導シート105としては、例えばグラファイトシートや熱伝導性シリコーングリス等を適用することができるが、CPU104とヒートパイプ106とを熱的に接続することができれば熱伝導シート105は必ずしも必要ではない。また、ヒートパイプ106は、例えば銅、アルミニウム等の熱伝導性が高い金属材料や、ポリアミド樹脂またはシリコーンポリマーにカーボンファイバー、酸化アルミニウム、金属アルミニウム等の高熱伝導材料を充填した複合材料が好適である。本実施の形態では金属銅を用いた。
ヒートパイプ106は、一方の端部106aがCPU104に熱的に接続され、他方の端部106bが第1の部屋101と第2の部屋102とを隔てる隔壁(本実施の形態では隔壁112f)に熱的に接続されている。ヒートパイプ106は、例えばバネ付勢、螺結、鑞付または溶接の各種結合手段を単独または組み合わせることで、隔壁112fに結合または熱的に接触させることができる。また、ヒートパイプ106の他方の端部106bと隔壁112fとの界面には、例えば熱伝導性のシリコーングリス等を充填することが有効である。本実施の形態では、ヒートパイプ106の他方の端部106bと隔壁112fとの界面にシリコーングリスを充填し、両者を螺結して固定した。
なお、隔壁112fは、他の隔壁112eや隔離壁112a、112b、112c、および112dの厚さよりも薄くすると、熱容量及び/または熱抵抗を低くすることができるため、好ましい。また、本実施の形態では第1の筐体112を金属マグネシウムで形成したため、熱伝導は良好である。但し、例えば有機高分子樹脂等の熱伝導性に劣る材質を隔離壁112a、112b、112c、および112dを適用した場合には、少なくとも隔壁112fにおけるヒートパイプ106と熱的に接続する部分には、上述の熱伝導シート105で例示した材料を適用すればよい。なお、このような複数の材質で第1の筐体112を構成する場合には、例えば接着または熱融着等の手法で互いに固着することで、防水性と防塵性とが保証できる。
第2の部屋102は、第2の筐体113により囲まれた空間である。第2の筐体113は、隔壁112e及び112f、ハウジング107、吸気口110、および排気口111を備えている。第2の筐体113は、放熱フィン108(集放熱部材)、冷却ファン109を内蔵している。
吸気口110は、外部から冷却空気を導入することができ、ハウジング107に備える貫通孔である。吸気口110は、図1に示す吸気口3hに対応する。
排気口111は、吸気口110から吸気した空気を外部へ排気することができ、ハウジング107に備える貫通孔である。排気口111は、図1に示す排気口3fに対応する。
放熱フィン108は、隔壁112fに立設されているか、または隔壁112fに熱的に接続されている。
冷却ファン109は、吸気口110を介して外部から冷却空気を導入し、導入した冷却空気を放熱フィン108及び排気口111に向けて強制的に供給する。
したがって、第2の部屋102は、吸気口110及び排気口111を通じて外部雰囲気と通じている。冷却ファン109は、例えば隔壁112eまたはハウジング107にネジ(不図示)で螺結されている。本実施の形態では、冷却ファン109は、隔壁112eに螺合結合した。本実施の形態の冷却ファン109は、複数の羽根と、羽根を回転させるモータとを備えている。モータが複数の羽根を回転させることにより、矢印P及びQに示す方向へ気流を生じさせることができる。
放熱フィン108は、隔壁112fと熱的に結合されている。放熱フィン108は、CPU104から、熱伝導シート105、ヒートパイプ106、および隔壁112fを介して伝導された熱を集熱し、放熱する。放熱フィン108は、隔壁112fと一体に成形、または隔壁112fに複数の溝を形成しその溝にフィンのひだを埋め込むことが熱伝導上では望ましいが、多数のひだを備えるフィンを一体成形や壁に埋め込むことは困難である。そのため隔壁112fと放熱フィン108とは別部材として、界面に高熱伝導材料を介在させてバネ付勢や螺合等の固定手段を適用するか、または鑞付や溶接等の結合手段を適用することが好ましい。本実施の形態では、放熱フィン108は、グラファイトを介在させて隔壁112fに熱的に接続し、隔壁112fにネジで螺結した。
以下、PC1の放熱動作について説明する。
PC1は、電源がオフの状態においてユーザーによりパワースイッチ3eが操作されると、内部の電源回路が起動し、CPU104を含むPC1内各部に装着または実装される内蔵装置または内部電子回路に電源供給される。次に、オペレーションシステムがインストールされたPC1の場合、CPU104は、ハードディスクドライブからオペレーションシステムを起動するためのプログラムデータを読み出し、起動処理を実行する。CPU104は、オペレーションシステムが起動した後、ユーザーによりアプリケーションソフトウェアを実行する命令が入力されると、ハードディスクドライブからアプリケーションソフトウェアを実行するためのプログラムデータを読み出し、アプリケーションソフトウェアを実行(以下、能動状態と称する)する。CPU104は、オペレーションシステムやアプリケーションソフトウェアを実行する際、自身の内部電子回路を動作させるため、自身の温度が上昇する。特に、本実施の形態のようにノート型パーソナルコンピュータでは、できるだけ薄型化する要求があるため、デスクトップ型コンピュータに見受けられるリッドと称される保護カバーを省略したCPU104が適用されるため、温度上昇が急峻である。CPU104は、自身の温度が上昇し続けると熱暴走を起こす可能性があり、ユーザーの指令を受け付けなくなる等の不具合が生じる場合がある。
本実施の形態にかかるPC1は、上記のような不具合を防止するために、放熱構造を備えている。
具体的には、CPU104で発生した熱は、熱伝導シート105を介してヒートパイプ106に伝わる。ヒートパイプ106に伝導された熱は、第1の部屋101と第2の部屋102とを隔てる隔壁112fに伝わる。隔壁112fは、一方の面にヒートパイプ106が熱的に接続され、他方の面に放熱フィン108が熱的に接続されているため、CPU104で発生した熱は放熱フィン108に伝わる。
一方、冷却ファン109は、PC1の電源がオンに切り替えられると、CPU104が能動状態となり、複数の羽根を回転させる動作を開始する。冷却ファン109が動作することにより、矢印Pに示すように吸気口110を介して第2の部屋102に外気が導入されるとともに、矢印Qに示すように排気口111を介して第2の部屋102内の空気が外部へ排気される。
放熱フィン108は、冷却ファン109による吸気口110から排気口111への送風路中に配置されているため、矢印P及びQに示す方向へ流れる冷却空気によって熱が奪われ、熱伝達により高温となった状態から効率的に冷却される。したがって、CPU104から放熱フィン108に向かって温度勾配が形成されるため、冷却効率は常に高い状態となる。
さらに、第1の部屋101は密閉空間である。したがって、例えば雨中等の劣悪な環境下でPC1を使用したとしても、雨滴などの液体は吸気口110または排気口111を介して第2の部屋102に進入するだけで、第1の部屋101には進入する可能性が極めて低い。よって、CPU104等の第1の部屋101内に配されている内蔵装置や、本体部3内に配されている内部電子回路に液体が付着する可能性が極めて低く、内蔵装置や内部電子回路が破損することを防止することができる。
また、冷却ファン109は、第1の部屋101とは独立した第2の部屋102に配置しているため、吸気口110から吸入される冷却空気中に混入する異物が、CPU104等の第1の部屋101内に配されている内蔵装置や、本体部3内に配されている内部電子回路に付着する可能性が極めて低い。したがって、第1の部屋101内に配されている内蔵装置や内部電子回路が破損することを防止することができる。
また、ヒートパイプ106と隔壁112fとは螺結されているため、PC1に落下等の衝撃が加わった場合でも、ヒートパイプ106と隔壁112fとが離間する可能性は低い。したがって、CPU104から隔壁112fまでの放熱路が破断する可能性は低い。また、放熱路中にシール材のような機械的に高硬度で脆弱な部材が隔壁112fを貫通する貫通構成を備えていないため、防水性及び/または防塵性の経時変化が極めて少ない。
なお、本実施の形態における冷却ファン109は、CPU104の発熱量に対して無関係に動作する構成としたが、CPU104には一般的に温度を検出するサーマルダイオードを備えているため、例えば当該サーマルダイオードの検出温度に応じて冷却ファン109の駆動を制御する構成も当然適用できる。また、冷却ファン109は、第1の部屋101の空間温度に応じて動作制御する構成としてもよい。これら構成を採用すると、PC1が備える電池の放電量を抑制することができる。
また、本実施の形態におけるヒートパイプ106は、CPU104に熱的に結合しているが、他の発熱部に熱的に結合してもよい。ヒートパイプ106を結合することが好ましい発熱部は、例えばハードディスクドライブ、表示パネル2aのバックライト等の内蔵装置や、当該バックライトを制御する例えばインバータ回路等の内部電子回路がある。
また、本実施の形態におけるヒートパイプ106は単一として説明したが、ヒートパイプ106は複数備えてもよい。ヒートパイプ106に加えて、例えばPC1に内蔵するハードディスクドライブと隔壁112fとを熱的に結合するヒートパイプや、表示パネル2aのバックライトを制御するインバータ電源と隔離壁112aとを熱的に結合するヒートパイプなどを備えてもよい。
また、本実施の形態では電子装置の一例としてPC1を挙げて説明したが、外付けハードディスクドライブ、ディジタルビデオカメラ、ディジタルスチルカメラ、プロジェクター、携帯電話端末等、発熱部を内蔵する電子装置全般に適用することができる。
(実施の形態2)
図3は、実施の形態2にかかる冷却構造を示す図であり、図1における排気口3f及び吸気口3hの近傍(Z−Z部)の断面図である。図3において、図2に示す構成と同様の構成については、同一符号を付与して詳しい説明は省略する。図3に示す第2の筐体113は、ハウジング107と隔壁114とにより構成されている。隔離壁112a及び112dと隔壁114との間には、シール材115が配されている。
ヒートパイプ106の他方の端部106bと隔壁114とは、例えばバネ付勢、螺結、鑞付または溶接の各種結合手段を単独または組み合わせて結合することができる。また、ヒートパイプ106の他方の端部106bと隔壁114との界面には、例えば熱伝導性のシリコーングリス等を充填することも有効である。本実施の形態では、ヒートパイプ106の他方の端部106bと隔壁114との界面にシリコーングリスを充填し、両者を螺結して固定した。
なお、隔壁114は、厚さを隔離壁112a、112b、112c、および112dよりも薄くすることにより、熱的特性を変化させることができる。隔壁114は、供する材料を隔離壁112a、112b、112c、および112dに供する材料とは異なる高熱伝導性材料及び/または低熱容量の材料で形成することにより、熱的特性を変化させることができる。
なお、本実施の形態では、隔壁114とハウジング107とを別部材としたが、一体に構成することもできる。この構成の場合には、ハウジング107に供される材料は、隔壁114の材料と同一となる。
隔壁114に供する材料としては、防水性能及び防塵性能と、第1の筐体112に供される材料以上に熱を効率よく伝えることとが要求される。隔壁114と第1の筐体112とに供する材料が例えば金属アルミニウムのような熱伝導性に優れる材料の場合には、隔壁114の熱伝導性を第1の筐体112の熱伝導性よりも高くするため、隔壁114の厚さを第1の筐体112に含まれる隔離壁の厚さよりも薄くした低熱容量の材料にすることが好ましい。第1の筐体112に供する材料が例えば金属アルミニウムである場合には、隔壁114に供される材料としてグラファイトや上述の熱伝導シート105で例示した材料等のように高熱伝導性材料を用いることが好ましい。
なお、第1の筐体112に隔壁114よりも熱伝導性が劣る材料(例えば有機高分子樹脂)を適用する場合には、隔壁114に適用する材料の自由度が高くなり、例えば隔壁114に銅等の金属材料を適用することができる。第1の筐体112に隔壁114よりも熱伝導性が劣る材料(例えば有機高分子樹脂)を適用し、隔壁114に銅を適用した場合、熱伝導性に有意な差が現れる。
このように、第1の筐体112に適用される材料や構成に応じて隔壁114の材料や構成を決定することができるが、CPU104の発熱量やヒートパイプ106の熱伝導効率等によっても異なる。すなわち、第1の筐体112に適用する材料は、CPU104を効率よく冷却できる材料を用いることが好ましく、その上、防水性及び防塵性が要求される。したがって、第1の筐体112に適用する材料は、金属材料や、内部に熱伝導性のフィラーを備える複合材料を適用することが好ましい。
冷却ファン109は、例えば隔壁114またはハウジング107にネジで螺結することができる。本実施の形態では、冷却ファン109は、隔壁114に螺結した。また、放熱フィン108は、隔壁114と熱的に結合されており、CPU104から熱伝導シート105、ヒートパイプ106及び隔壁114を介して伝導された熱を集熱し放熱する。放熱フィン108は、隔壁114と一体に成形、または隔壁114に複数の溝を形成しその溝に放熱フィン108のひだを埋め込むことが熱伝導上では望ましいが、多数のひだを備える放熱フィン108を一体成形や壁に埋め込むことは困難である。そのため隔壁114と放熱フィン108とは別部材として、界面に高熱伝導材料を介在させてバネ付勢や螺合等の固定手段を適用するか、または鑞付や溶接等の結合手段を適用することが好ましい。本実施の形態では、放熱フィン108は、グラファイトを介在させて、隔壁114に螺結した。
図3に示す本体部3において、CPU104で発生した熱は、熱伝導シート105を介してヒートパイプ106に伝わる。ヒートパイプ106に伝導された熱は、隔壁114に伝わる。隔壁114は、一方の面にヒートパイプ106が熱的に接続され、他方の面に放熱フィン108が熱的に接続されているため、CPU104で発生した熱は放熱フィン108に伝わる。
放熱フィン108は、矢印P及びQに示すように冷却ファン109による吸気口110から排気口111への送風路中に配置されているため、効率的に冷却される。したがって、CPU104から放熱フィン108に向かって温度勾配が形成されるため、冷却効率は常に高い状態となる。
本実施の形態では、隔離壁112a及び112dと隔壁114との間にシール材115を備えている。隔離壁112a及び112dと隔壁114とをシール材115を介して、例えば突き合わせ等の公知の手法を用いることにより、第1の部屋101を密閉することができ、第1の部屋101を防水構造とすることができる。したがって、例えば雨中等の劣悪な環境下でPC1を使用したとしても、雨滴などの液体は吸気口110または排気口111を介して第2の部屋102に進入するだけで、第1の部屋101には進入する可能性が極めて低い。よって、CPU104等の第1の部屋101内に配されている電子部品や、本体部3内に配されている内部電子回路に液体が付着する可能性が極めて低く、電子部品や内部電子回路が破損することを防止することができる。
また、シール材115は、一般的に熱絶縁性材料が適用されるため、ヒートパイプ106を介して隔壁114に伝導された熱が、隔離壁112a及び/または112dへ伝導することを抑制することもできる。
なお、この構成では、例えばPC1の外装を隔離壁112a、112b、112c及び112dが構成する場合では、CPU104で発生した熱が伝達し難いため好ましい。
また、シール材115は、隔離壁112a、112b、112c、および112dと隔壁114とが一体形成(例えば同時成型)されている場合は、省略することができる。シール材115を省略することにより、例えば第1の筐体112の落下衝撃に対する耐性を向上することができる。
また、冷却ファン109は、第1の部屋101とは独立した第2の部屋102に配置しているため、吸気口110から吸入される冷却空気中に混入する異物が、CPU104等の第1の部屋101内に配されている電子部品や、本体部3内に配されている内部電子回路に付着することがなく、電子部品や内部電子回路が破損することを防止することができる。
また、ヒートパイプ106と隔壁114とは螺結されているため、PC1に落下等の衝撃が加わった場合でも、ヒートパイプ106と隔壁114とが離間する可能性は低い。したがって、CPU104から隔壁114までの放熱路が破断する可能性は低い。
(実施の形態3)
図4は、実施の形態3にかかる冷却構造を示す図であり、図1における排気口3f及び吸気口3hの近傍(Z−Z部)の断面図である。図4において、図2に示す構成と同様の構成については、同一符号を付与して詳しい説明は省略する。
第1の筐体112は、隔離壁112a、112b、112c、および112dと、隔壁112eと、隔壁116とで構成されている。第1の筐体112は、第1の部屋101を密閉している。隔壁116は、隔離壁112dと隔壁112eとの間の開口部を封口するように配されている。隔壁116は、隔離壁112a、112b、112c、および112dと隔壁112eとに供する材料とは異なる高熱伝導性材料及び/または低熱容量の材料で形成することにより、熱的特性を変化させることができる。隔壁116と隔離壁112dとの間、および隔壁116と隔壁112eとの間には、シール材117が挟持されている。これにより、第1の部屋101と第2の部屋102とは空間的に分離され、第1の部屋101は密閉状態となる。
本実施の形態では、ヒートパイプ106は、一方の端部106aがCPU104に熱的に接続され、他方の端部106bが隔壁116に熱的に接続されている。ヒートパイプ106と隔壁116とは、例えばバネ付勢、螺結、鑞付または溶接の各種結合手段を単独または組み合わせて結合することができる。また、ヒートパイプ106と隔壁116との界面には、例えば熱伝導性のシリコーングリス等を充填することが有効である。本実施の形態ではヒートパイプ106と隔壁116の界面にシリコーングリスを充填し、両者を螺結して固定した。
なお、隔壁116に供する材質は、他の隔壁112eや隔離壁112a、112b、112c、および112dに供する材質よりも熱伝導性が高い材料を供するとよい。熱伝導性が高い材料としては、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム等の高熱伝導性金属材料等がある。隔壁116は、耐圧性及び機械的強度を備える必要性がないため、例えばグラファイト等を適用できる。本実施の形態の隔壁116は、グラファイトで形成した。但し、例えば有機高分子樹脂等の熱伝導性に劣る材質を隔離壁112a、112b、112c、および112dに適用した場合には、隔壁116へ伝わった熱が隔離壁112a〜112dに伝わりにくくなるため、隔壁116へ伝わった熱を放熱フィン108へ効果的に伝えることができる。
なお、本実施の形態では隔壁116を備えているため、隔離壁112d及び隔壁112eの間の開口部は少なくとも防水性を満たすことが要求される。本実施の形態では、隔離壁112d及び隔壁112eと隔壁116とを、シール材117を挟んで突き合わせていることで、防水性を確保している。
また、シール材117は、一般的に熱絶縁性材料が適用されるため、ヒートパイプ106を介して隔壁116に伝導された熱が、隔離壁112a及び/または112dに伝導することを抑制することもできる。
なお、この構成では、例えばPC1の外装を隔離壁112a、112b、112c及び112dが構成する場合では、CPU104で発生した熱が伝達し難いため好ましい。
また、シール材117は、隔離壁112a、112b、112c、および112dと、隔壁112eと、隔壁116とが一体形成(例えば同時成型)されている場合は、省略することができる。シール材117を省略することにより、例えば第1の筐体112の落下衝撃に対する耐性を向上することができる。
図4に示す本体部3の冷却動作について説明する。
CPU104が発した熱は、熱伝導シート105を介してヒートパイプ106に伝わる。ヒートパイプ106に伝わった熱は、隔壁116に伝わる。隔壁116は、一方の面にヒートパイプ106が熱的に接続され、他方の面に放熱フィン108が熱的に接続されているため、CPU104で発生した熱は放熱フィン108に伝わる。
放熱フィン108は、冷却ファン109による吸気口110から排気口111への送風路中に配置されているため、冷却ファン109が動作して吸気口110から排気口111へ空気の流れが発生すると、熱が奪われて冷却される。したがって、CPU104、ヒートパイプ106、隔壁116、放熱フィン108の順番で温度勾配が形成されるため、冷却効率は常に高い状態となる。
さらに、第1の部屋101は、第1の筐体112及び隔壁116によって囲まれた密閉空間であるため、外部から液体等が進入する可能性は極めて低い。例えば雨中等の劣悪な環境下でPC1を使用したとしても、雨滴等の液体は第2の部屋102に進入するだけで第1の部屋101へは進入する可能性は極めて低い。したがって、第1の部屋101内に配されているCPU104を始めとする各種電子部品に液体等が触れる可能性が極めて低く、電子部品が破損することを防ぐことができる。
また、冷却ファン109は、第1の部屋101とは独立した第2の部屋102に配置しているため、吸気口110から吸入される冷却空気中に混入する異物が第1の部屋101に進入する可能性が極めて低い。したがって、異物がCPU104等の各種電子部品に付着する可能性が極めて低く、電子部品が破損することを防ぐことができる。
また、ヒートパイプ106と隔壁116とは、ネジなどにより螺結されているため、機械的結合強度は高い。したがって、PC1に落下等の衝撃が加わったとしても、CPU104から隔壁116までの放熱路が破断する可能性は低い。
また、本実施の形態では、CPU104から隔壁116までの放熱路中に、シール材のような脆弱な部材を介していないため、防水性及び/または防塵性の経時変化が少ない。
なお、隔壁116は、隔離壁112d及び隔壁112eに、突き合わせにより結合しているため、PC1に加わる落下衝撃に対する機械的強度は高い。隔壁116と隔離壁112d及び隔壁112eとの結合構造は、例えば、隔壁116における隔離壁112d及び隔壁112eに対向する面に凸部を形成し、隔離壁112d及び隔壁112eにおける隔壁116に対向する面に凹部を形成し、その凸部と凹部とを嵌合させる構造である。
(実施の形態4)
図5は、実施の形態4にかかる冷却構造を示す図であり、図1における排気口3f及び吸気口3hの近傍(Z−Z部)の断面図である。図5において、図2に示す構成と同様の構成については、同一符号を付与して詳しい説明は省略する。
図5に示す本体部3は、図2に示すヒートパイプ106に加えてサブヒートパイプ118を備えている。サブヒートパイプ118の一方の端部118aは、熱伝導シート105を挟んでCPU104に熱的に接続されている。なお、一方の端部118aは、CPU104からの熱を効率的にサブヒートパイプ118に伝えるため、CPU104に面接触させることが好ましい。サブヒートパイプ118の他方の端部118bは、隔離壁112aの内面に熱的に接続されている。サブヒートパイプ118と隔離壁112aとの接続には、例えばバネ付勢、螺結、鑞付または溶接の各種結合手段を単独または組み合わせて適用することができる。また、サブヒートパイプ118と隔離壁112aとの界面には、例えば熱伝導性のシリコーングリス等を充填することも有効である。本実施の形態では、サブヒートパイプ118と隔離壁112aとの界面にシリコーングリスを充填し、両者を螺結して固定した。なお、他方の端部118bは、サブヒートパイプ118に伝導した熱を効率的に隔離壁112aに伝えるため、隔離壁112aに面接触させることが好ましい。
サブヒートパイプ118は、内部に空洞を有し、空洞に水などの液体が注入されている。サブヒートパイプ118は、例えば銅、アルミニウム、マグネシウム等の熱伝導性が高い金属材料や、ポリアミド樹脂またはシリコーンポリマーにカーボンファイバー、酸化アルミニウム、金属アルミニウム等の高熱伝導材料を充填した複合材料で形成することが好適である。本実施の形態では、サブヒートパイプ118は、金属銅で形成した。
図5に示す本体部3の冷却動作について説明する。
CPU104で発生した熱は、熱伝導シート105を介してヒートパイプ106及びサブヒートパイプ118に伝わる。
ヒートパイプ106に伝導された熱は、隔壁112fに伝わる。隔壁112fは、一方の面にヒートパイプ106が熱的に接続され、他方の面に放熱フィン108が熱的に接続されているため、CPU104で発生した熱は放熱フィン108に伝わる。
放熱フィン108は、冷却ファン109による吸気口110から排気口111への送風路中に配置されているため、効率的に冷却される。したがって、CPU104、ヒートパイプ106、隔壁112f、放熱フィン108の順番で温度勾配が形成されるため、冷却効率は常に高く設定することができる。
さらに、第1の部屋101は、密閉空間である。したがって、例えば雨中等の劣悪な環境下でPC1を使用したとしても、水分等の液体は吸気口110または排気口111を介して第2の部屋102に進入するだけで、第1の部屋101に進入する可能性は極めて低い。よって、第1の部屋101内に配されたCPU104などの電気部品に液体が触れる可能性が極めて低く、電気部品の破損を防止することができる。
また、冷却ファン109は、CPU104や回路基板103等の電子回路を配置した第1の部屋とは独立した第2の部屋102に配置されているため、吸気口110から吸入される冷却空気中に混入する異物の付着に起因する障害が発生する可能性が極めて低い。
また、ヒートパイプ106と隔壁112fとは螺結されているため、PC1に落下等の衝撃が加わった場合でも、CPU104から隔壁112fまでの放熱路が破断する可能性が低い。また、CPU104から隔壁112fまでの放熱路中にシール材のような脆弱な部材を介していないため、防水性及び/または防塵性の経時変化が少ない。
一方、サブヒートパイプ118に伝導された熱は、隔離壁112aに伝わる。隔離壁112aに伝導された熱は、第1の部屋101の内部及び第1の部屋101の外界に対して輻射する。これにより、隔離壁112aは冷却される。
また、隔離壁112aは、第1の筐体112の一部であるため、隔離壁112aに伝導された熱が隔離壁112b、隔離壁112c、隔離壁112d、隔壁112e、および隔壁112fにも熱伝導により伝わる。第1の筐体112は、熱容量が大きいため、ヒートシンクとして作用する。したがって、CPU104、サブヒートパイプ118、隔離壁112aの順番に温度勾配が形成されるため、CPU104を効率的に冷却させることができる。
また、サブヒートパイプ118は、密閉された第1の筐体112の内部に配置されているため、防水性及び防塵性が確保されている。したがって、本実施の形態によれば、防水性及び防塵性を確保した冷却構成が実現できる。
本実施の形態では、ヒートパイプ106を介する放熱路と、サブヒートパイプ118を介する放熱路との2種類の放熱路を備えるため、CPU104で発生した熱の放熱効率を向上することができる。
また、2種類の放熱路を備えることにより、CPU104の動作状態に応じて冷却ファン109の動作を制御する構成とすることができる。例えば、CPU104は、制御する機器の稼働率が低い場合、低速駆動し発熱量が少ない。このような場合には、冷却ファン109を動作させず、ヒートパイプ106とサブヒートパイプ118による熱伝導だけで放熱を行うことが好ましい。一方、CPU104は、制御する機器の稼働率が高い場合、高速駆動し発熱量が大きい。このような場合には、ヒートパイプ106とサブヒートパイプ118による放熱に加えて、冷却ファン109を動作させてCPU104で発生した熱の放熱効率を上げるよう制御する。
なお、本実施の形態では、CPU104にヒートパイプ106及びサブヒートパイプ118を熱的に接続する構成としたが、ヒートパイプ106及びサブヒートパイプ118を各々異なる電気部品(熱源)に熱的に接続する構成としてもよい。
また、本実施の形態では、サブヒートパイプ118を隔離壁112aに熱的に接続する構成としたが、サブヒートパイプ118を熱的に接続する部分は隔離壁112b,隔離壁112c,隔離壁112d,および隔壁112eのいずれかであってもよい。
(実施の形態5)
図6は、実施の形態5にかかる冷却構造を示す図であり、図1における排気口3f及び吸気口3hの近傍(Z−Z部)の断面図である。図6において、図4に示す構成と同様の構成については、同一符号を付与して詳しい説明は省略する。
図6に示す電子装置は、図4に示す電子装置にサブヒートパイプ118を追加した構成である。サブヒートパイプ118は、図5に示すサブヒートパイプ118と同様の構成であるため、詳しい説明は省略する。
図6に示すように、ヒートパイプ106は、一端106aが熱伝導シート105を介してCPU104に熱的に接続され、他端106bが隔壁116に熱的に接続されている。ヒートパイプ106と隔壁116とは、例えばバネ付勢、螺結、鑞付または溶接の各種結合手段を単独または組み合わせて適用することができる。また、ヒートパイプ106と隔壁116との界面には、例えば熱伝導性のシリコーングリス等を充填することも有効である。本実施の形態では、ヒートパイプ106と隔壁116の界面にシリコーングリスを充填し、両者を螺結して固定した。
サブヒートパイプ118は、一端118aが熱伝導シート105を介してCPU104に熱的に接続され、他端118bが隔離壁112aに熱的に接続されている。サブヒートパイプ118と隔離壁112aとは、例えばバネ付勢、螺結、鑞付または溶接の各種結合手段を単独または組み合わせて適用することができる。また、サブヒートパイプ118と隔離壁112aとの界面には、例えば熱伝導性のシリコーングリス等を充填することも有効である。本実施の形態では、サブヒートパイプ118と隔離壁112aの界面にシリコーングリスを充填し、両者を螺結して固定した。
図6に示す本体部3の冷却動作について説明する。
CPU104で発生した熱は、熱伝導シート105を介してヒートパイプ106及びサブヒートパイプ118に伝わる。
ヒートパイプ106に伝導された熱は、隔壁116に伝わる。隔壁116は、一方の面にヒートパイプ106が熱的に接続され、他方の面に放熱フィン108が熱的に接続されているため、CPU104で発生した熱は放熱フィン108に伝わる。
放熱フィン108は、冷却ファン109による吸気口110から排気口111への送風路中に配置されているため、効率的に冷却される。したがって、CPU104、ヒートパイプ106、隔壁116、放熱フィン108の順番で温度勾配が形成されるため、CPU104で発生した熱の冷却効率は常に高く設定することができる。
さらに、第1の部屋101は、密閉空間である。したがって、例えば雨中等の劣悪な環境下でPC1を使用したとしても、水分等の液体は吸気口110または排気口111を介して第2の部屋102に進入するだけで、第1の部屋101に進入する可能性が極めて低い。よって、第1の部屋101内に配されたCPU104などの電気部品に液体が触れる可能性が極めて低く、電気部品の破損を防止することができる。
また、冷却ファン109は、CPU104や回路基板103等の電子回路を配置した第1の部屋とは独立した第2の部屋102に配置されているため、吸気口110から吸入される冷却空気中に混入する異物の付着に起因する障害が発生する可能性が低い。
また、ヒートパイプ106と隔壁116とは螺結されているため、PC1に落下等の衝撃が加わった場合でも、CPU104から隔壁116までの放熱路が破断する可能性が低い。また、CPU104から隔壁116までの放熱路中にシール材のような脆弱な部材を介していないため、防水性及び/または防塵性の経時変化が少ない。
一方、サブヒートパイプ118に伝導された熱は、隔離壁112aに伝わる。隔離壁112aに伝導された熱は、第1の部屋101の内部及び第1の部屋101の外界に対して輻射する。これにより、隔離壁112aは冷却される。
また、隔離壁112aは、第1の筐体112の一部であるため、隔離壁112aに伝導された熱が隔離壁112b、隔離壁112c、隔離壁112d、隔壁112e、および隔壁112fにも熱伝導により伝わる。第1の筐体112は熱容量が大きいため、ヒートシンクとして作用する。したがって、CPU104、サブヒートパイプ118、隔離壁112aの順番に温度勾配が形成されるため、CPU104を効率的に冷却させることができる。
また、サブヒートパイプ118は、密閉された第1の筐体112の内部に配置されているため、防水性及び防塵性が確保されている。したがって、本実施の形態によれば、防水性及び防塵性を確保した冷却構成が実現できる。
本実施の形態では、ヒートパイプ106を介する放熱路と、サブヒートパイプ118を介する放熱路との2種類の放熱路を備えるため、CPU104で発生した熱の放熱効率を向上することができる。
また、2種類の放熱路を備えることにより、CPU104の動作状態に応じて冷却ファン109の動作を制御する構成とすることができる。例えば、CPU104は、制御する機器の稼働率が低い場合、低速駆動し発熱量が少ない。このような場合には、冷却ファン109を動作させず、ヒートパイプ106とサブヒートパイプ118による熱伝導だけで放熱を行うことが好ましい。
なお、シール材117は、一般的に熱絶縁性材料を適用するため、隔離壁112a及び112dと隔壁116とを熱的に隔離する機能も備える。したがって、この構成の場合には、ヒートパイプ106を介して隔壁116に伝導された熱と、サブヒートパイプ118を介して隔離壁112aに伝導された熱とを遮断する機能も実現できる。
一方、CPU104は、制御する機器の稼働率が高い場合、高速駆動し発熱量が大きい。このような場合には、ヒートパイプ106とサブヒートパイプ118による放熱に加えて、冷却ファン109を動作させてCPU104で発生した熱の放熱効率を上げるよう制御する。
なお、本実施の形態では、CPU104にヒートパイプ106及びサブヒートパイプ118を熱的に接続する構成としたが、ヒートパイプ106及びサブヒートパイプ118を各々異なる電気部品(熱源)に熱的に接続する構成としてもよい。
また、本実施の形態では、サブヒートパイプ118を隔離壁112aに熱的に接続する構成としたが、サブヒートパイプ118を熱的に接続する部分は隔離壁112b,隔離壁112c,隔離壁112d,および隔壁112eのいずれかであってもよい。
また、シール材117は、隔離壁112a、112b、112c、および112dと、隔壁112eと、隔壁116とが一体形成(例えば同時成型)されている場合は、省略することができる。シール材117を省略することにより、例えば第1の筐体112の落下衝撃に対する耐性を向上することができる。
(実施の形態6)
図7は、実施の形態6にかかる冷却構造を示す図であり、図1における排気口3f及び吸気口3hの近傍(Z−Z部)の断面図である。図7において、図5に示す構成と同様の構成については、同一符号を付与して詳しい説明は省略する。
図7に示す構成において、図5に示す構成と異なるのは、隔壁119とシール材120とを備えた点である。
隔壁119は、ヒートパイプ106の他端106bが熱的に接続されている。シール材120は、隔離壁112d及び隔壁112fと隔壁119との間に配されている。隔壁119は、高熱伝導性及び/または低熱容量の材料で形成されている。なお、ヒートパイプ106と隔壁119とは、例えばバネ付勢、螺結、鑞付または溶接の各種結合手段を単独または組み合わせて適用することができる。また、ヒートパイプ106と隔壁119との界面には、例えば熱伝導性のシリコーングリス等を充填することも有効である。本実施の形態では、ヒートパイプ106と隔壁119との界面にシリコーングリスを充填し、両者を螺結して固定した。
隔壁119は、他の隔壁112e及び112fや隔離壁112a、112b、112c、および112d以上の熱伝導性を有する構成とすることが好ましい。例えば、隔壁119の厚さを、隔離壁112a、隔離壁112b、隔離壁112c、隔離壁112d、隔壁112e、および隔壁112fの厚さ(本実施の形態では実質的に隔壁112fの厚さ)よりも薄くする等で、特異的に熱伝導性を向上させることができる。また、隔壁119は、隔壁112fに供する材料の熱伝導性以上の熱伝導性を有する材料で形成することが望ましい。なお、隔壁119に供する材料としては、例えば銅、アルミニウム、マグネシウム等の熱伝導性が高い金属材料、グラファイト等の無機材料、ポリアミド樹脂またはシリコーンポリマーにカーボンファイバー、酸化アルミニウム、金属アルミニウム等の高熱伝導材料を充填した複合材料が好適である。本実施の形態では、隔壁119はグラファイトで形成した。
但し、例えば有機高分子樹脂等の熱伝導性に劣る材質を隔離壁112a、隔離壁112b、隔離壁112c、隔離壁112d、隔壁112e、および隔壁112fに適用した場合には、ヒートパイプ106に伝わった熱が隔離壁112a、隔離壁112b、隔離壁112c、隔離壁112d、隔壁112e、および隔壁112fに伝わりにくく、隔壁119に伝わりやすくなるため、放熱フィン108へ効果的に熱を伝導することができる。
なお、隔離壁112d及び隔壁112fと隔壁119との間においては、少なくとも防水性を満たす必要がある。本実施の形態では、隔離壁112d及び隔壁112fと隔壁119との界面にシール材120を配し、隔離壁112d及び隔壁112fと隔壁119とを突き合わせることで、防水性を確保している。
ヒートパイプ106は、一端106aが熱伝導シート105を介してCPU104に熱的に接続され、他端106bが隔壁119に熱的に接続されている。ヒートパイプ106と隔壁119とは、例えばバネ付勢、螺結、鑞付または溶接の各種結合手段を単独または組み合わせて適用することができる。また、ヒートパイプ106と隔壁119との界面には、例えば熱伝導性のシリコーングリス等を充填することも有効である。本実施の形態では、ヒートパイプ106と隔壁119の界面にシリコーングリスを充填し、両者を螺結して固定した。
サブヒートパイプ118は、一端118aが熱伝導シート105を介してCPU104に熱的に接続され、他端118bが隔離壁112aに熱的に接続されている。サブヒートパイプ118と隔離壁112aとは、例えばバネ付勢、螺結、鑞付または溶接の各種結合手段を単独または組み合わせて適用することができる。また、サブヒートパイプ118と隔離壁112aとの界面には、例えば熱伝導性のシリコーングリス等を充填することも有効である。本実施の形態では、サブヒートパイプ118と隔離壁112aの界面にシリコーングリスを充填し、両者を螺結して固定した。
図7に示す本体部3の冷却動作について説明する。
CPU104で発生した熱は、熱伝導シート105を介してヒートパイプ106及びサブヒートパイプ118に伝わる。
ヒートパイプ106に伝導された熱は、隔壁119に伝わる。隔壁119は、一方の面にヒートパイプ106が熱的に接続され、他方の面に放熱フィン108が熱的に接続されているため、CPU104で発生した熱は放熱フィン108に伝わる。
放熱フィン108は、冷却ファン109による吸気口110から排気口111への送風路中に配置されているため、効率的に冷却される。したがって、CPU104、ヒートパイプ106、隔壁119、放熱フィン108の順番で温度勾配が形成されるため、冷却効率は常に高く設定することができる。
さらに、第1の部屋101は、密閉空間である。したがって、例えば雨中等の劣悪な環境下でPC1を使用したとしても、水分等の液体は吸気口110または排気口111を介して第2の部屋102に進入するだけで、第1の部屋101に進入する可能性が極めて低い。よって、第1の部屋101内に配されたCPU104などの電気部品に液体が触れる可能性が極めて低く、電気部品の破損を防止することができる。
また、冷却ファン109は、CPU104や回路基板103等の電子回路を配置した第1の部屋とは独立した第2の部屋102に配置されているため、吸気口110から吸入される冷却空気中に混入する異物の付着に起因する障害が発生する可能性が低い。
また、ヒートパイプ106と隔壁119とは螺結されているため、PC1に落下等の衝撃が加わった場合でも、CPU104から隔壁119までの放熱路が破断する可能性が低い。また、CPU104から隔壁119までの放熱路中にシール材のような脆弱な部材を介していないため、防水性及び/または防塵性の経時変化が少ない。
一方、サブヒートパイプ118に伝導された熱は、隔離壁112aに伝わる。隔離壁112aに伝導された熱は、第1の部屋101の内部及び第1の部屋101の外界に対して輻射する。これにより、隔離壁112aは冷却される。
また、隔離壁112aは、第1の筐体112の一部であるため、隔離壁112aに伝導された熱が隔離壁112b、隔離壁112c、隔離壁112d、隔壁112e、および隔壁112fにも熱伝導により伝わる。第1の筐体112は熱容量が大きいため、ヒートシンクとして作用する。したがって、CPU104、サブヒートパイプ118、隔離壁112aの順番に温度勾配が形成されるため、CPU104を効率的に冷却させることができる。
また、サブヒートパイプ118は、密閉された第1の筐体112の内部に配置されているため、防水性及び防塵性は確保されている。したがって、本実施の形態によれば、防水性及び防塵性を確保した冷却構成が実現できる。
本実施の形態では、ヒートパイプ106を介する放熱路と、サブヒートパイプ118を介する放熱路との2種類の放熱路を備えるため、CPU104で発生した熱の放熱効率を向上することができる。
また、2種類の放熱路を備えることにより、CPU104の動作状態に応じて冷却ファン109の動作を制御する構成とすることができる。例えば、CPU104は、制御する機器の稼働率が低い場合、低速駆動し発熱量が少ない。このような場合には、冷却ファン109を動作させず、ヒートパイプ106とサブヒートパイプ118による熱伝導だけで放熱を行うことが好ましい。
なお、シール材120は、一般的に熱絶縁性材料を適用するため、隔離壁112a及び112dと隔壁119とを熱的に隔離する機能も備える。したがって、この構成の場合には、ヒートパイプ106を介して隔壁119に伝導された熱と、サブヒートパイプ118を介して隔離壁112aに伝導された熱とを遮断する機能も実現できる。
一方、CPU104は、制御する機器の稼働率が高い場合、高速駆動し発熱量が大きい。このような場合には、ヒートパイプ106とサブヒートパイプ118による放熱に加えて、冷却ファン109を動作させてCPU104で発生した熱の放熱効率を上げるよう制御する。
なお、本実施の形態では、CPU104にヒートパイプ106及びサブヒートパイプ118を熱的に接続する構成としたが、ヒートパイプ106及びサブヒートパイプ118を各々異なる電気部品(熱源)に熱的に接続する構成としてもよい。
また、本実施の形態では、サブヒートパイプ118を隔離壁112aに熱的に接続する構成としたが、サブヒートパイプ118を熱的に接続する部分は隔離壁112b,隔離壁112c,隔離壁112d,および隔壁112eのいずれかであってもよい。
また、シール材120は、隔離壁112a、112b、112c、および112dと、隔壁112fと、隔壁119とが一体形成(例えば同時成型)されている場合は、省略することができる。シール材120を省略することにより、例えば第1の筐体112の落下衝撃に対する耐性を向上することができる。
(実施の形態7)
図8は、実施の形態7にかかる冷却構造を示す図であり、図1における排気口3f及び吸気口3hの近傍(Z−Z部)の断面図である。図8において、図3に示す構成と同様の構成については、同一符号を付与して詳しい説明は省略する。
図8に示す構成において、図3に示す構成と異なるのは、サブヒートパイプ118、隔壁121、122、123、断熱材124、ハードディスクドライブ(HDD)125を備えた点である。サブヒートパイプ118の構成は、実施の形態4において説明したので、本実施の形態では説明を省略する。
隔壁122及び123は、第1の部屋101と第2の部屋102とを空間的に分離している。隔壁122及び123は、供する材料を隔離壁112a、112b、112c、および112dに供する材料とは異なる高熱伝導性材料及び/または低熱容量の材料で形成することにより、熱的特性を変化させることができる。
断熱材124は、隔壁122と隔壁123との間に配されている。断熱材124は,隔壁122から隔壁123へ、および隔壁123から隔壁122へ熱が伝導しないように、隔壁122と隔壁123とを熱的に分離している。
ヒートパイプ106は、一端106aがCPU104に熱的に接続され、他端106bが第1の部屋101と第2の部屋102とを隔てる隔壁(本実施の形態では隔壁122)に熱的に接続されている。ヒートパイプ106と隔壁122とは、例えばバネ付勢、螺結、鑞付または溶接の各種結合手段を単独または組み合わせて適用することができる。また、ヒートパイプ106と隔壁122との界面には、例えば熱伝導性のシリコーングリス等を充填することも有効である。本実施の形態では、ヒートパイプ106と隔壁122の界面にシリコーングリスを充填し、両者を螺結して固定した。
隔壁122は、厚さを隔離壁112d等の厚さよりも薄くすると、熱容量及び/または熱抵抗を低くすることができ、好ましい。また、本実施の形態では、第1の筐体112は、金属マグネシウムで形成したため、熱伝導が良好である。但し、第1の筐体112において、例えば有機高分子樹脂等の熱伝導性に劣る材質を隔離壁112d等に適用した場合には、少なくとも隔壁122におけるヒートパイプ106と熱的に接続する部分には、熱伝導シート105と同等の材料を適用することが好ましい。なお、このような複数の材質で第1の筐体112を形成する場合には、複数の材質を例えば接着または熱融着等の手法で互いに固着することで、第1の筐体112の防水性と防塵性とが保証できる。
HDD125は、回路基板103に実装されている。HDD125は、情報を記録可能な磁気ディスク、磁気ディスクに情報を書き込み可能でかつ磁気ディスクに記録された情報を読み出し可能な磁気ヘッド、および磁気ディスクを高速回転させるモータなどを備えている。HDD125とサブヒートパイプ118とは、HDD125で生じた熱をサブヒートパイプ118に効率よく伝熱するため、互いに面接触させることが好ましい。本実施の形態では、HDD125とサブヒートパイプ118の一端118aとは、できるだけ広い面積で面接触させている。なお、HDD125とサブヒートパイプ118の一端118aとの界面に、熱伝導シート105を介在させることが好ましい。
図8に示すように、サブヒートパイプ118は、一端118aがHDD125に熱的に接続され、他端118bが隔壁123に熱的に接続されている。サブヒートパイプ118と隔壁123とは、例えばバネ付勢、螺結、鑞付または溶接の各種結合手段を単独または組み合わせた手法により、互いに熱的に接続することができる。また、サブヒートパイプ118と隔壁123との界面には、例えば熱伝導性のシリコーングリス等を充填することも有効である。本実施の形態ではサブヒートパイプ118と隔壁123の界面にシリコーングリスを充填し、両者を螺結して固定した。
なお、隔壁123は、隔離壁112a等の厚さよりも薄く構成すると、熱容量及び/または熱抵抗を低くすることができ、好ましい。また、本実施の形態では、第1の筐体112を金属マグネシウムで形成したため、熱伝導が良好である。但し、第1の筐体112を例えば有機高分子樹脂等の熱伝導性に劣る材質で形成した場合には、少なくとも隔壁123におけるサブヒートパイプ118と熱的に接続する部分には、上述の熱伝導シート105で例示した材料を適用することが好ましい。なお、このような複数の材質で第1の筐体112を形成する場合には、複数の材質を例えば接着または熱融着等の手法で互いに固着することで、第1の筐体112の防水性と防塵性とが保証できる。
HDD125は、CPU104の指令に基づき動作する。HDD125は、CPU104からの動作指令が送られると、磁気ディスクを高速回転させるためにモータが作動し、発熱する。HDD125が発した熱は、サブヒートパイプ118を介して隔壁123へ伝わる。一方、CPU104はPC1が能動状態の際では定常的に作動し、その作動により発熱する。CPU104が発した熱は、ヒートパイプ106を介して隔壁122に伝わる。また、一般的にCPU104の発熱量は、HDD125の発熱量に比べると高い。
仮に、CPU104で発生した熱とHDD125で発生した熱とをヒートパイプを介して一つの隔壁に伝える構成であった場合、例えばCPU104で発生した熱がヒートパイプ106、隔壁、サブヒートパイプ118を介して、HDD125側へ伝わってしまう場合がある。HDD125が例えば停止状態であれば、熱伝導によりCPU104の放熱効率はさらに高まるが、HDD125が能動状態で発熱すると、サブヒートパイプ118における放熱経路は逆流となり、HDD125の放熱効率が著しく低下してしまう。この熱的な逆流現象を抑制するため、本実施の形態では、CPU104で生じた熱をヒートパイプ106を介して隔壁122へ伝えるとともに、HDD125で生じた熱をサブヒートパイプ118を介して隔壁123へ伝える構成とした。隔壁122と隔壁123との間には、両者を熱的に分離する断熱材124が配されている。この構成により、CPU104及びHDD125それぞれで発生した熱は、それぞれの経路が備える熱的な傾斜にしたがって独立的に放熱させることができる。
断熱材124は、熱伝導を遮断する例えば高分子樹脂材料や、グラファイトシートのように一軸異方性が端的な材料等を供することができる。また、断熱材124は、図8に示すように隔壁122と隔壁123との間に配置したが、例えば、隔離壁122と隔離壁123との間を含め第2の部屋102を分断する位置、放熱フィン108が結合している隔壁122の範囲を囲む位置、サブヒートパイプ118が密着する隔壁123の範囲を囲む位置などにも配置することができる。なお、断熱材124は、実施の形態4、5、7及び8で説明したシール材の機能を備える構成も可能である。なお、サブヒートパイプ118を通じて隔壁123に伝導した熱は、冷却ファン109の冷却風によっても冷却される。
図8に示す本体部3の冷却動作について説明する。
CPU104は、オペレーションシステムやアプリケーションソフトウェアが何らかの処理を実行すると、熱を発して表面温度が上昇する。CPU104で発生した熱は、熱伝導シート105を介してヒートパイプ106に伝わる。ヒートパイプ106に伝導された熱は、隔壁122に伝わる。隔壁122は、一方の面にヒートパイプ106の他端106bが熱的に接続され、他方の面は放熱フィン108が熱的に接続されているため、CPU104で発生した熱は放熱フィン108に伝わる。放熱フィン108は、冷却ファン109による吸気口110から排気口111への送風路中に配置されているため、効率的に冷却される。したがって、CPU104から放熱フィン108に向かって温度勾配が形成されるため、冷却効率は常に高く設定することができる。
一方、HDD125は、CPU104の指令により動作する。CPU104がHDD125に対して例えば情報を再生する指令を送ると、HDD125は、モータを動作させて磁気ディスクを回転させるとともに、磁気ヘッドを動作させて磁気ディスクに記録された情報を読み出す。HDD125から読み出した情報は、CPU104へ送られる。この時、HDD125は発熱するが、HDD125が発した熱はCPU104からの指令を受けた時だけであるため、発熱動作は間欠的である。また、HDD125の発熱量は、一般的にCPU104に比べると低い。
したがって、CPU104からヒートパイプ106を介して隔壁122に伝達した熱は、HDD125の発熱が間欠的である上発熱量も低いため、隔壁122から隔壁123にかけて熱が伝導し、伝導した熱はサブヒートパイプ118を介してHDD125に伝わることとなる。ここで、隔壁122と隔壁123との間に熱を遮断する断熱材124を備えていることで、CPU104とヒートパイプ106と隔壁122とを結ぶ熱伝導経路と、HDD125とサブヒートパイプ118と隔壁123とを結ぶ熱伝導経路とを独立させることができる。したがって、熱の逆流現象を抑制することができ、CPU104及びHDD125で発生した熱の放熱効率を向上させることができる。
なお、CPU104のような最も発熱量が高くしかも定常的な発熱を生じる発熱部材は、本実施の形態のように隔壁122に直接熱伝導する構成よりも、例えば特開2006−019384号公報に開示されているように隔壁122を貫通させ、ヒートパイプ106と放熱フィン108とを熱的に結合させることも場合によっては有用である。この構成では、隔壁122は、良熱伝導体とすることは必ずしも必要ではなく、例えば断熱材124の材料で形成してもよい。但し、隔壁122または断熱材124とヒートパイプ106との間の防水性及び防塵性を確保する必要はある。
また、本実施の形態では発熱部材としてCPU104とHDD125とを例に挙げ説明したが、例えば光ディスクドライブ、表示パネル2aのバックライト等の内蔵装置や、当該バックライトを制御する例えばインバータ回路等の内部電子回路に適用することもできる。
また、本実施の形態におけるヒートパイプ106及びサブヒートパイプ118は単一として説明したが、例えば隔離壁112dや隔離壁112a等に熱的結合する別のヒートパイプを備える構成であっても良い。すなわち、PC1に内蔵する発熱部材の数及び/またはヒートパイプの数は、PC1の設計に応じて適宜増加することができるが、熱的係合が予測される箇所に集中的に放熱する構成(本実施の形態では隔壁122及び123)を採用する場合では、少なくとも最も発熱量が多い発熱性部材(本実施の形態ではCPU104)からの放熱箇所を隔離する断熱材料を介することで熱的な逆流現象を抑制できる。
さらに、本実施の形態では電子装置の一例としてPC1を挙げて説明したが、外付けハードディスクドライブ、ディジタルビデオカメラ、ディジタルスチルカメラ、プロジェクター、携帯電話等々、発熱部を内蔵する電子装置全般に適用することができる。
(実施の形態8)
図9は、実施の形態8にかかる冷却構造を示す図であり、図1における排気口3f及び吸気口3hの近傍(Z−Z部)の断面図である。図9において、図8に示す構成と同様の構成については、同一符号を付与して詳しい説明は省略する。
図9に示す構成において、図8に示す構成と異なるのは、第1の筐体112とヒートパイプ106である。図9に示す第1の筐体112は、隔離壁112a,112b,112c,および112dと、隔壁112e及び112fとで構成されている。隔壁112fは、貫通孔が形成されている。ヒートパイプ106は、その他端106b側が隔壁112fに形成された貫通孔を貫通している。ヒートパイプ106は、他端106bに放熱フィン108が固定されている。隔壁112fに形成された貫通孔とヒートパイプ106との間には、シール材132が配されている。シール材132は、第2の部屋102から第1の部屋101へ液体が進入するのを防いでいる。
仮に、CPU104で発生した熱とHDD125で発生した熱とをヒートパイプを介して一つの隔壁に伝える構成であった場合、例えばCPU104で発生した熱がヒートパイプ106、隔壁、サブヒートパイプ118を介して、HDD125側へ伝わってしまう場合がある。HDD125が例えば停止状態であれば、熱伝導によりCPU104の放熱効率はさらに高まるが、HDD125が能動状態で発熱すると、サブヒートパイプ118における放熱経路は逆流となり、HDD125の放熱効率が著しく低下してしまう。この熱的な逆流現象を抑制するため、本実施の形態では、ヒートパイプ106と隔壁112fとの間にシール材132を備えることで、ヒートパイプ106と第1の筐体112とを熱的に分離している。この構成により、CPU104及びHDD125それぞれで発生した熱は、それぞれの経路が備える熱的な傾斜にしたがって独立的に放熱させることができ、サブヒートパイプ118を通じて隔壁112eに伝導するHDD125で発生した熱は、冷却ファン109で放熱させることができる。
図9に示す本体部3の冷却動作について説明する。
CPU104で発生した熱は、熱伝導シート105を介してヒートパイプ106に伝わる。ヒートパイプ106に伝導された熱は、放熱フィン108に伝わる。放熱フィン108は、矢印P及びQに示すように、冷却ファン109による吸気口110から排気口111への送風路中に配置されているため、効率的に冷却される。したがって、CPU104、ヒートパイプ106、放熱フィン108の順番で温度勾配が形成されるため、CPU104で発生した熱の冷却効率は常に高く設定することができる。
さらに、第1の部屋101は、密閉空間である。したがって、例えば雨中等の劣悪な環境下でPC1を使用したとしても、水分等の液体は吸気口110または排気口111を介して第2の部屋102に進入するだけで、第1の部屋101に進入する可能性は極めて低い。よって、第1の部屋101内に配されたCPU104などの電気部品に液体が触れる可能性が極めて低く、電気部品の破損を防止することができる。
また、冷却ファン109は、CPU104や回路基板103等の電子回路を配置した第1の部屋とは独立した第2の部屋102に配置されているため、吸気口110から吸入される冷却空気中に混入する異物の付着に起因する障害が発生する可能性が極めて低い。
一方、HDD125からサブヒートパイプ118に伝導された熱は、隔壁112eに伝わる。隔壁112eに伝導された熱は、第1の部屋101の内部及び第2の部屋102の内部に対して輻射する。これにより、隔壁112eは冷却される。
また、隔壁112eは、第1の筐体112の一部であるため、隔壁112eに伝導された熱が隔離壁112a、隔離壁112b、隔離壁112c、隔離壁112d、および隔壁112fにも熱伝導により伝わる。第1の筐体112は、熱容量が大きいため、ヒートシンクとして作用する。したがって、HDD125、サブヒートパイプ118、隔壁112eの順番に温度勾配が形成されるため、HDD125を効率的に冷却させることができる。
なお、隔壁112eは、第2の部屋102と第1の部屋101とを隔てる壁であり、第2の部屋102に備える冷却ファン109による冷却効果も奏するため、上述のヒートシンク効果と相俟って高効率な冷却効果が得られる。
また、ヒートパイプ106と隔壁112fとの間にシール材132が配されているため、ヒートパイプ106の熱は隔壁112fを含む第1の筐体112に伝わらない。また、サブヒートパイプ118から第1の筐体112に伝わった熱は、ヒートパイプ106に伝わらない。
また、サブヒートパイプ118は、密閉された第1の筐体112の内部に配置されているため、防水性及び防塵性が確保されている。したがって、本実施の形態によれば、防水性及び防塵性を確保した冷却構成が実現できる。
また、本実施の形態では、第1の筐体112を隔離壁112a,112b,112c,および112dと隔壁112e及び112fとで構成したので、PC1に加わる落下衝撃に対する機械的強度は高い。
なお、シール材132は、ヒートパイプ106と隔壁112fとを水密に構成すればよく、防水性接着剤やシリコーン系の充填材等の機械的に堅い層、あるいはゴム弾性を有するいわゆるブッシュと称される緩衝層を適用することができる。特に、緩衝性能を備える水密構成材を適用すると、落下等の外乱に対する耐性に優れる構成を実現することができ、好ましい。本実施の形態ではシリコーンゴム緩衝材を適用した。
(実施の形態9)
図10は、実施の形態9にかかる冷却構造を示す図であり、図1における排気口3f及び吸気口3hの近傍(Z−Z部)の断面図である。図10において、図5に示す構成と同様の構成については、同一符号を付与して詳しい説明は省略する。
図10に示す構成において、図5に示す構成と異なるのは、ヒートパイプ106の他方の端部106bを第2の部屋102に配置した点である。
ヒートパイプ106は、一端106aがCPU104に熱的に接続されている。ヒートパイプ106は、他端106bが隔壁112fを貫通し、第2の部屋102内に位置している。放熱フィン108は、ヒートパイプ106の他端106bに熱的に接続されている。ヒートパイプ106と放熱フィン108との熱的接続構成としては、ヒートパイプ106と放熱フィン108とを一体成形する構成、ヒートパイプ106に形成した溝等に放熱フィン108の各フィンを植え付ける構成、互いに物理的に独立したヒートパイプ106と放熱フィン108とを備え両者を鑞付や溶接等で一体化する構成、ヒートパイプ106と放熱フィン108との界面に熱伝導性シリコーングリス等を充填し両者を螺合やバネ付勢等で締結する構成等がある。本実施の形態では、互いに物理的に独立したヒートパイプ106と放熱フィン108との界面に、熱伝導性シリコーングリスを充填し、両者を締結して固定した。
なお、本実施の形態では、ヒートパイプ106は、隔壁112fを貫通している。第2の部屋102は、排気口111を介して外界と空間的に繋がっている。シール材132は、隔壁112fとヒートパイプ106との間に配されている。したがって、第1の部屋101は、隔壁112fの貫通孔とヒートパイプ106との間にシール材132が配されているため、水密構造となっている。
図10に示す本体部3の冷却動作について説明する。
CPU104で発生した熱は、熱伝導シート105を介してヒートパイプ106に伝わる。ヒートパイプ106に伝導された熱は、放熱フィン108に伝わる。
放熱フィン108は、矢印P及びQに示すように、冷却ファン109による吸気口110から排気口111への送風路中に配置されているため、効率的に冷却される。したがって、CPU104、ヒートパイプ106、放熱フィン108の順番で温度勾配が形成されるため、CPU104で発生した熱の冷却効率は常に高く設定することができる。
さらに、第1の部屋101は、密閉空間である。したがって、例えば雨中等の劣悪な環境下でPC1を使用したとしても、水分等の液体は吸気口110または排気口111を介して第2の部屋102に進入するだけで、第1の部屋101に進入する可能性は極めて低い。よって、第1の部屋101内に配されたCPU104などの電気部品に液体が触れる可能性が極めて低く、電気部品の破損を防止することができる。
また、冷却ファン109は、CPU104や回路基板103等の電子回路を配置した第1の部屋とは独立した第2の部屋102に配置されているため、吸気口110から吸入される冷却空気中に混入する異物の付着に起因する障害が発生する可能性が極めて低い。
一方、CPU104からサブヒートパイプ118に伝導された熱は、隔離壁112aに伝わる。隔離壁112aに伝導された熱は、第1の部屋101の内部及び第1の部屋101の外界に対して輻射する。これにより、隔離壁112aは冷却される。
また、隔離壁112aは、第1の筐体112の一部であるため、隔離壁112aに伝導された熱が隔離壁112b、隔離壁112c、隔離壁112d、隔壁112e、および隔壁112fにも熱伝導により伝わる。第1の筐体112は、熱容量が大きいため、ヒートシンクとして作用する。したがって、CPU104、サブヒートパイプ118、隔離壁112aの順番に温度勾配が形成されるため、CPU104を効率的に冷却させることができる。
また、サブヒートパイプ118は、密閉された第1の筐体112の内部に配置されているため、防水性及び防塵性が確保されている。したがって、本実施の形態によれば、防水性及び防塵性を確保した冷却構成が実現できる。
本実施の形態では、ヒートパイプ106を介する放熱路と、サブヒートパイプ118を介する放熱路との2種類の放熱路を備えるため、CPU104及びHDD125で発生した熱の放熱効率を向上することができる。
また、2種類の放熱路を備えることにより、CPU104の動作状態に応じて冷却ファン109の動作を制御する構成とすることができる。例えば、CPU104は、制御する機器の稼働率が低い場合、低速駆動し発熱量が少ない。このような場合には、冷却ファン109を動作させず、ヒートパイプ106とサブヒートパイプ118による熱伝導だけで放熱を行うことが好ましい。一方、CPU104は、制御する機器の稼働率が高い場合、高速駆動し発熱量が大きい。このような場合には、ヒートパイプ106とサブヒートパイプ118による放熱に加えて、冷却ファン109を動作させて放熱効率を上げるよう制御する。
また、本実施の形態では、第1の筐体112を隔離壁112a,112b,112c,および112dと隔壁112e及び112fとで構成したので、PC1に加わる落下衝撃に対する機械的強度は高い。
なお、本実施の形態では、CPU104にヒートパイプ106及びサブヒートパイプ118を熱的に接続する構成としたが、ヒートパイプ106及びサブヒートパイプ118を各々異なる電気部品(熱源)に熱的に接続する構成としてもよい。
また、本実施の形態では、サブヒートパイプ118を隔離壁112aに熱的に接続する構成としたが、サブヒートパイプ118を熱的に接続する部分は隔離壁112b,隔離壁112c,隔離壁112d,および隔壁112eのいずれかであってもよい。
なお、シール材132は、ヒートパイプ106と隔壁112fとを水密に構成すればよく、防水性接着剤やシリコーン系の充填材等の機械的に堅い層、あるいはゴム弾性を有するいわゆるブッシュと称される緩衝層を適用することができる。特に、緩衝性能を備える水密構成材を適用すると、落下等の外乱に対する耐性に優れる構成を実現することができ、好ましい。本実施の形態ではシリコーンゴム緩衝材を適用した。
(実施の形態10)
図11は、実施の形態10にかかる冷却構造を示す図であり、図1における排気口3f及び吸気口3hの近傍(Z−Z部)の断面図である。図11において、図9に示す構成と同様の構成については、同一符号を付与して詳しい説明は省略する。
図11に示す構成において、図9に示す構成と異なるのは、サブヒートパイプ118の他端118bを隔離壁112aに熱的に接続した点である。
サブヒートパイプ118は、一端118aがHDD125に熱的に接続され、他端118bが隔離壁112aに熱的に接続されている。サブヒートパイプ118と隔離壁112aとは、例えばバネ付勢、螺結、鑞付または溶接の各種結合手段を単独または組み合わせた手法により、互いに熱的に接続することができる。また、サブヒートパイプ118と隔離壁112aとの界面には、例えば熱伝導性のシリコーングリス等を充填することも有効である。本実施の形態ではサブヒートパイプ118と隔離壁112aの界面にシリコーングリスを充填し、両者を螺結して固定した。
HDD125は、CPU104の指令に基づき動作する。HDD125は、CPU104からの動作指令が送られると、磁気ディスクを高速回転させるためにモータが作動し、発熱する。HDD125が発した熱は、サブヒートパイプ118を介して隔離壁112aへ伝わる。一方、CPU104はPC1が能動状態の際では定常的に作動し、その作動により発熱する。CPU104が発した熱は、ヒートパイプ106を介して放熱フィン108に伝わる。また、一般的にCPU104の発熱量は、HDD125の発熱量に比べると高い。
仮に、CPU104で発生した熱とHDD125で発生した熱とをヒートパイプを介して一つの隔壁に伝える構成であった場合、例えばCPU104で発生した熱がヒートパイプ106、隔壁、サブヒートパイプ118を介して、HDD125側へ伝わってしまう場合がある。HDD125が例えば停止状態であれば、熱伝導によりCPU104の放熱効率はさらに高まるが、HDD125が能動状態で発熱すると、サブヒートパイプ118における放熱経路は逆流となり、HDD125の放熱効率が著しく低下してしまう。この熱的な逆流現象を抑制するため、本実施の形態では、ヒートパイプ106と隔壁112fとの間にシール材132を備えることで、ヒートパイプ106と第1の筐体112とを熱的に分離している。この構成により、CPU104及びHDD125それぞれで発生した熱は、それぞれの経路が備える熱的な傾斜にしたがって独立的に放熱させることができる。
図11に示す本体部3の冷却動作について説明する。
CPU104で発生した熱は、熱伝導シート105を介してヒートパイプ106に伝わる。ヒートパイプ106に伝導された熱は、放熱フィン108に伝わる。放熱フィン108は、矢印P及びQに示すように、冷却ファン109による吸気口110から排気口111への送風路中に配置されているため、効率的に冷却される。したがって、CPU104、ヒートパイプ106、放熱フィン108の順番で温度勾配が形成されるため、CPU104で発生した熱の冷却効率は常に高く設定することができる。
さらに、第1の部屋101は、密閉空間である。したがって、例えば雨中等の劣悪な環境下でPC1を使用したとしても、水分等の液体は吸気口110または排気口111を介して第2の部屋102に進入するだけで、第1の部屋101に進入する可能性は極めて低い。よって、第1の部屋101内に配されたCPU104などの電気部品に液体が触れる可能性が極めて低く、電気部品の破損を防止することができる。
また、冷却ファン109は、CPU104や回路基板103等の電子回路を配置した第1の部屋とは独立した第2の部屋102に配置されているため、吸気口110から吸入される冷却空気中に混入する異物の付着に起因する障害が発生する可能性が極めて低い。
一方、HDD125からサブヒートパイプ118に伝導された熱は、隔離壁112aに伝わる。隔離壁112aに伝導された熱は、第1の部屋101の内部及び第2の部屋102の内部に対して輻射する。これにより、隔離壁112aは冷却される。
また、隔離壁112aは、第1の筐体112の一部であるため、隔離壁112aに伝導された熱が隔離壁112b、隔離壁112c、隔離壁112d、隔壁112e、および隔壁112fにも熱伝導により伝わる。第1の筐体112は、熱容量が大きいため、ヒートシンクとして作用する。したがって、HDD125、サブヒートパイプ118、隔離壁112aの順番に温度勾配が形成されるため、HDD125を効率的に冷却させることができる。
また、ヒートパイプ106と隔壁112fとの間にシール材132が配されているため、ヒートパイプ106の熱は隔壁112fに伝わらない。また、サブヒートパイプ118から第1の筐体112に伝わった熱は、ヒートパイプ106に伝わらない。
また、サブヒートパイプ118は、密閉された第1の筐体112の内部に配置されているため、防水性及び防塵性が確保されている。したがって、本実施の形態によれば、防水性及び防塵性を確保した冷却構成が実現できる。
また、本実施の形態では、第1の筐体112を隔離壁112a,112b,112c,および112dと隔壁112e及び112fとで構成したので、PC1に加わる落下衝撃に対する機械的強度は高い。
なお、シール材132は、ヒートパイプ106と隔壁112fとを水密に構成すればよく、防水性接着剤やシリコーン系の充填材等の機械的に堅い層、あるいはゴム弾性を有するいわゆるブッシュと称される緩衝層を適用することができる。特に、緩衝性能を備える水密構成材を適用すると、落下等の外乱に対する耐性に優れる構成を実現することができ、好ましい。本実施の形態ではシリコーンゴム緩衝材を適用した。
(実施の形態11)
図12は、実施の形態11にかかる冷却構造を示す図であり、図1における排気口3f及び吸気口3hの近傍(Z−Z部)の断面図である。図12において、図2に示す構成と同様の構成については、同一符号を付与して詳しい説明は省略する。
図12に示す構成において、図2に示す構成と異なるのは、ハードディスクドライブ(HDD)125、回路基板127、第1の貫通孔128、第2の貫通孔129、第1の透過膜130、第2の透過膜131、およびシール材132を備えた点である。HDD125の構成は、実施の形態7において説明したので、本実施の形態では説明を省略する。
ヒートパイプ106は、一端106aがCPU104に熱的に接続されている。ヒートパイプ106は、他端106bが隔壁112fを貫通し、第2の部屋102内に位置している。放熱フィン108は、ヒートパイプ106の他端106bに熱的に接続されている。ヒートパイプ106と放熱フィン108との熱的接続構成としては、ヒートパイプ106と放熱フィン108とを一体成形する構成、ヒートパイプ106に形成した溝等に放熱フィン108の各フィンを植え付ける構成、互いに物理的に独立したヒートパイプ106と放熱フィン108とを備え両者を鑞付や溶接等で一体化する構成、ヒートパイプ106と放熱フィン108との界面に熱伝導性シリコーングリス等を充填し両者を螺合やバネ付勢等で締結する構成等がある。本実施の形態では、互いに物理的に独立したヒートパイプ106と放熱フィン108との界面に、熱伝導性シリコーングリスを充填し、両者を締結して固定した。
なお、本実施の形態では、ヒートパイプ106は、隔壁112fを貫通している。第2の部屋102は、排気口111を介して外界と空間的に繋がっている。シール材132は、隔壁112fとヒートパイプ106との間に配されている。したがって、第1の部屋101は、隔壁112fとヒートパイプ106との間にシール材132が配されているため、水密構造とすることができる。
なお、シール材132は、ヒートパイプ106と隔壁112fとを水密に構成すればよく、防水性接着剤やシリコーン系の充填材等の機械的に堅い層、あるいはゴム弾性を有するいわゆるブッシュと称される緩衝層を適用することができる。特に、緩衝性能を備える水密構成材を適用すると、落下等の外乱に対する耐性に優れる構成を実現することができ、好ましい。本実施の形態ではシリコーンゴム緩衝材を適用した。
第1の貫通孔128は、隔離壁112aに形成されている。第1の貫通孔128は、第1の部屋101と外界とを空間的に繋いでいる。第2の貫通孔129は、隔壁112eに形成されている。第2の貫通孔129は、第1の部屋101と第2の部屋102とを空間的に繋いでいる。第1の透過膜130は、第1の貫通孔128を塞ぐ位置に配されている。第2の透過膜131は、第2の貫通孔129を塞ぐ位置に配されている。第1の透過膜130及び第2の透過膜131は、気体分子のみを通過可能な膜であり、水などの液体は通さない。第1の透過膜130及び第2の透過膜131に供する材料としては、例えばポリテトラフルオロエチレンとポリウレタンとの複合材料に14億個/cm2の微細な孔を備える防水透湿性部材等が挙げられる。
図12に示す本体部3の冷却動作について説明する。
CPU104で発生した熱は、熱伝導シート105を介してヒートパイプ106に伝わる。ヒートパイプ106に伝導された熱は、放熱フィン108に伝わる。放熱フィン108に伝達された熱は、冷却ファン109で強制的に空冷される。冷却ファン109を動作させることにより、外界の冷却空気は、第1の貫通孔128及び第1の透過膜130を介して第1の部屋101に入り(矢印R)、第2の貫通孔129及び第2の透過膜131を介して第2の部屋102に入る(矢印S)。第2の部屋102に入った冷却空気は、放熱フィン108に当たって放熱フィン108の熱を奪い、排気口111を介して外界へ排気される。
なお、HDD125は、発熱量がCPU104の発熱量に比べると低く、しかも発熱動作は間欠的である。したがって、図12に示す矢印R及びSに示す空気流だけでもHDD125を冷却することができる。
また、HDD125は、矢印R及びSに示す冷却空気の流路上に配置されているため、第1の貫通孔128を介して第1の部屋101に流入する冷却空気によって自身の熱を奪われ、冷却される。このような構成とすることにより、1つのヒートパイプ106でCPU104とHDD125とを高効率に冷却することができる。
本実施の形態によれば、CPU104で生じた熱はヒートパイプ106を介して放熱フィン108に熱伝導で伝導され、放熱フィン108は冷却ファン109により強制的に冷却されるので、最も発熱量が高いCPU104からの熱を効率よく冷却できる。
また、水密構造の第1の部屋101に配置されているHDD125は、第1の流路を流れる冷却空気による対流等によって、CPU104に対して独立した放熱経路で放熱することができる。したがって、HDD125のように間欠的に発熱する部材であっても、温度傾斜を確保することができる。
さらに、第1の部屋101は水密構成を有するため、例えば雨中等の劣悪な環境下でPCを使用したとしても、水分は第2の部屋102に進入するだけで、CPU104を始めとするPCの内部電子回路に水分が触れる可能性が極めて低い。また、冷却ファン109は、第1の部屋101とは空間的に独立した第2の部屋102に配置されているため、吸気口110から吸入される冷却空気中に混入する異物の付着に起因する障害が発生する可能性が低い。
なお、本実施の形態では、第1の透過膜130は、隔離壁112aの内面(第1の部屋101側)に接着したが、隔離壁112aの外面に接着してもよい。また、第2の透過膜131は、隔壁112eの第1の部屋101側に面した面に接着したが、隔壁112eの第2の部屋102側に面した面に接着してもよい。
(実施の形態12)
図13は、実施の形態12にかかる冷却構造を示す図であり、図1における排気口3f及び吸気口3hの近傍(Z−Z部)の断面図である。図13において、図12に示す構成と同様の構成については、同一符号を付与して詳しい説明は省略する。
図13に示す構成において、図12に示す構成と異なるのは、ヒートパイプ106の他端106bを隔壁112fの一方の面に熱的に接続し、放熱フィン108を隔壁112fの他方の面に熱的に接続した点である。すなわち、ヒートパイプ106は、隔壁112fを貫通していない。
ヒートパイプ106及び放熱フィン108と隔壁112fとの熱的接続構成としては、例えばヒートパイプ106と隔壁112fとの界面に導電性シリコーングリス等を充填して螺合する構成、ヒートパイプ106と隔壁112fとを一体成形する構成、隔壁112fと放熱フィン108とを一体成形する構成、隔壁112fに形成した溝等に放熱フィン108の各フィンを植立する構成、隔壁112fと放熱フィン108とを物理的に独立させ両者を鑞付や溶接等で一体化する構成、隔壁112fと放熱フィン108との界面に熱伝導性シリコーングリス等を充填し両者を螺合やバネ付勢等で締結する構成等がある。本実施の形態では、ヒートパイプ106及び隔壁112fとの界面に熱伝導性シリコーングリスを充填し、ヒートパイプ106を隔壁112fに螺結して固定した。また、隔壁112f及び放熱フィン108との界面に熱伝導性シリコーングリスを充填し、放熱フィン108を隔壁112fに締結して固定した。
なお、本実施の形態では、隔壁107と隔壁112e及び112fとを別部材としたが、一体的に構成することもできる。
図13に示す本体部3の冷却動作について説明する。
CPU104で発生した熱は、熱伝導シート105を介してヒートパイプ106に伝わる。ヒートパイプ106に伝導された熱は、隔壁112fに伝わる。隔壁112fには放熱フィン108が熱的に接続されているため、隔壁112fに伝わった熱は放熱フィン108に伝わる。放熱フィン108は、冷却ファン109が動作することで矢印R、矢印S、および矢印Qの流路で流れる冷却空気によって熱が奪われ、冷却される。このとき冷却空気は、第1の貫通孔128及び第1の透過膜130を介して第1の部屋101に入り、第2の貫通孔129及び第2の透過膜131を介して第2の部屋102に入り、第2の部屋102から排気口111を介して外界へ排気される。
HDD125は、冷却空気の流路中に配されているため、外界から第1の部屋101へ流入する冷却空気によって熱が奪われて冷却される。
本実施の形態によれば、CPU104で生じた熱はヒートパイプ106を介して放熱フィン108に熱伝導で伝導され、放熱フィン108は冷却ファン109が動作することによって生じる冷却空気により冷却されるので、最も発熱量が高いCPU104からの熱を効率よく冷却できる。
また、水密構造の第1の部屋101に配置されているHDD125は、第1の流路を流れる冷却空気による対流等によって熱が奪われ冷却される。したがって、HDD125のように間欠的に熱を発生する部材であっても、温度傾斜を確保することができる。
さらに、第1の部屋101は水密構成を有するため、例えば雨中等の劣悪な環境下でPCを使用したとしても、水分は第2の部屋102に進入するだけで、CPU104を始めとするPCの内部電子回路に水分が触れる可能性が極めて低い。また、冷却ファン109は、第1の部屋101とは空間的に独立した第2の部屋102に配置しているため、吸気口110から吸入される冷却空気中に混入する異物の付着に起因する障害が発生する可能性は低い。
(実施の形態13)
図14は、実施の形態13にかかる冷却構造を示す図であり、図1における排気口3f及び吸気口3hの近傍(Z−Z部)の断面図である。図14において、図13に示す構成と同様の構成については、同一符号を付与して詳しい説明は省略する。
図14に示す構成において、図13に示す構成と異なるのは、ハウジング107に吸気口110を備えた点である。第2の部屋102は、吸気口110及び排気口111を通じて外部雰囲気と通じている。
第2の貫通孔129は、第2の透過膜131によって塞がれているため、水などの液体が第2の貫通孔129を介して第1の部屋101に進入することはなく、第1の部屋101を水密構造とすることができる。第1の透過膜130及び第2の透過膜131は、水などの液体は通過させず、気体のみを通過させることができるため、第1の部屋101の水密構造を維持しながら、第1の部屋101内を冷却することができる。
なお、本実施の形態では、ハウジング107と隔壁112e及び112fとを別部材としたが、一体的に構成することもできる。
図14に示す本体部3の冷却動作について説明する。
CPU104で発生した熱は、熱伝導シート105を介してヒートパイプ106に伝わる。ヒートパイプ106に伝導された熱は、隔壁112fに熱伝達された後、放熱フィン108に伝わる。放熱フィン108に伝達された熱は、冷却ファン109で強制的に空冷される。
本実施の形態における冷却空気の流路は、第1の流路と第2の流路がある。第1の流路は、第1の貫通孔128、第1の透過膜130、第1の部屋101、第2の貫通孔129、第2の透過膜131、第2の部屋102、および排気口111の順番で冷却空気が流れる流路である(矢印R、S、Qに示す流路)。第2の流路は、吸気口110、第2の部屋102、および排気口111の順番で冷却空気が流れる流路である。この2つの流路のうち、第2の流路は、第1の流路よりも支配的であるため、CPU104で生じた熱はより効率的に放熱フィン108で冷却される。一方、HDD125は、第1の流路を流れる冷却空気によって冷却される。
本実施の形態によれば、CPU104で生じた熱はヒートパイプ106を介して放熱フィン108に熱伝導で伝導され、放熱フィン108は冷却ファン109により強制的に冷却されるので、最も発熱量が高いCPU104からの熱を効率よく冷却できる。
また、水密構造の第1の部屋101に配置されているHDD125は、第1の流路を流れる冷却空気による対流等によって、CPU104に対して独立した放熱経路で放熱することができる。したがって、HDD125のように間欠的な発熱であっても、冷却の傾斜を確保することができる。
さらに、第1の部屋101は水密構成を有するため、例えば雨中等の劣悪な環境下でPCを使用したとしても、水分は第2の部屋102に進入するだけで、CPU104を始めとするPCの内部電子回路に水分が触れる可能性が極めて低い。また、冷却ファン109は、第1の部屋101とは空間的に独立した第2の部屋102に配置されているため、吸気口110から吸入される冷却空気中に混入する異物の付着に起因する障害が発生する可能性は低い。
なお、図2〜図11及び図14に示す吸気口110は、外部の空気を第2の部屋102内に取り込むために、ハウジング107に設けたものである。しかし、一般的なノートパソコンは、複数の筐体を結合して組み立てられていることが多く、筐体の寸法のバラツキ等により、筐体同士の結合部に微小な隙間が存在することが多い。この微小隙間は、少なくとも外部の空気が通過可能な隙間であることが多いため、意図的に筐体に吸気口を設けなくても、外部の空気を筐体内(第2の部屋102)へ取り込むことができる場合が多い。したがって、本実施の形態に示す吸気口110は、必須の構成ではない。すなわち、意図的に吸気口を設けていない筐体構造を有する電子装置は、本実施の形態にかかる電子装置に含むこととする。なお、上記微小隙間は、第2の部屋102に空間的につながっていれば、第2の部屋102に外部空気を取り込んで放熱フィン108等を冷却することができるとともに、第1の部屋101の水密構造を確保することができる。
上記実施の形態におけるCPU104は、発熱体の一例である。上記実施の形態における第1の部屋101は、第1の部屋の一例である。上記実施の形態における第2の部屋102は、第2の部屋の一例である。上記実施の形態における隔壁112e,112f,114,116,122は、隔壁の一例である。上記実施の形態における隔離壁112a,112b,112c,112dは、隔離壁の一例である。上記実施の形態における第1の筐体112は、第1の筐体の一例である。上記実施の形態における第2の筐体113は、第2の筐体の一例である。上記実施の形態における吸気口3h、110は、吸気口の一例である。上記実施の形態における排気口3f、111は、排気口の一例である。上記実施の形態におけるヒートパイプ106は、熱伝導部材の一例である。上記実施の形態におけるハウジング107は、ハウジングの一例である。上記実施の形態におけるサブヒートパイプ118は、副熱伝導部材の一例である。上記実施の形態における放熱フィン108は、集放熱部材の一例である。上記実施の形態における冷却ファン109は、送風装置の一例である。上記実施の形態におけるシール材117,132は、シール材の一例である。上記実施の形態における断熱材124は、断熱材の一例である。上記実施の形態における第1の貫通孔128は、第1の開口部の一例である。上記実施の形態における第2の貫通孔は、第2の開口部の一例である。上記実施の形態における第1の透過膜130、第2の透過膜131は、透過膜の一例である。