JP2011214309A - 接合部の制振構造 - Google Patents

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和貴 白井
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Abstract

【課題】構造体が損傷することを回避することが可能な接合部の制振構造を提供する。
【解決手段】互いに接合しようとする2つの鉄骨部材、及び、前記2つの鉄骨部材を重ね合わせた部位を圧接する圧接力を付勢する圧接力付勢部材を有し、前記2つの鉄骨部材が相対移動するときに発生する減衰力により前記相対移動を抑制する相対移動抑制機構と、前記2つの鉄骨部材が相対移動したときに前記相対移動を助長して前記減衰力を打ち消す方向に力を付与する相対移動助長機構と、を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、相対変位可能な2つの部材の接合部の制振構造に関する。
相対変位可能な2つの部材としては、例えば建物の上下に位置し互いに相対移動する階層が挙げられる。このような、建物の一部の階層には、揺れ等に対する補強部としてトラス構造部が設けられており、トラス構造部の、例えば下弦材の一部に摩擦力を発生させて建物の制振を行う摩擦ダンパーが設けられているものがある。摩擦ダンパーは、層間などにおいて、互いに相対移動する一方の部材に設けられた滑り材と、他方の部材に設けられた相手板とが、互いに所定の圧接力で圧接された状態で2つの部材が接合されており、2つの部材が相対移動して滑り材と相手板とが摺動する際に、建物の層間変位の振幅によらずほぼ一定の摩擦力を生じる。そして、この摩擦力を減衰力としてエネルギーを吸収して建物の揺れを低減する接合部の制振構造が知られている(特許文献1参照)。
特開2009−002118号公報
しかしながら、このような従来型の摩擦ダンパーには、次のような問題がある。
大地震時の最大層間変位時には、建物等の構造体自身が大きく変形していることから、建物には大きな内力が生じている。このような時に、更に大きな外力が変形方向と逆向きに付与されると、その分だけ、更に内力が拡大して構造体の破壊限界強度に至り易くなる。上記摩擦ダンパーの減衰力は、変形方向と逆向きの外力として作用し、また、層間変位の大きさによらず常にほぼ一定の減衰力を発生する。つまり、上述の摩擦ダンパーを備えた構造体は、最大層間変位時の厳しい内力下においても、大きな減衰力が加えられることになり、その場合、構造体の破壊限界強度の大きさによっては建物が破損してしまう虞があるという課題がある。
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、構造体が損傷することを回避することが可能な接合部の制振構造を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために本発明の接合部の制振構造は、互いに接合しようとする2つの鉄骨部材、及び、前記2つの鉄骨部材を重ね合わせた部位を圧接する圧接力を付勢する圧接力付勢部材を有し、前記2つの鉄骨部材が相対移動するときに発生する減衰力により、前記相対移動を抑制する相対移動抑制機構と、前記2つの鉄骨部材が相対移動したときに前記相対移動を助長して前記減衰力を打ち消す方向に力を付与する相対移動助長機構と、を有することを特徴とする接合部の制振構造である。
2つの鉄骨部材の間で相対移動が生じると、2つの鉄骨部材が取り付けられている構造物の各部位には内力が生じる。このような内力は、2つの鉄骨部材が取り付けられている部位にも作用しており、相対移動量が大きな場合ほど大きな内力が作用する。また、2つの鉄骨部材が相対移動するときに発生する減衰力により、相対移動を抑制する相対移動抑制機構が設けられていると、2つの鉄骨部材の間で相対移動し、減衰力が生じると、2つの鉄骨部材が取り付けられている部位には、減衰力が外力として作用する。特に、大きな振動のエネルギーを吸収すべく相対移動抑制機構が設定されている場合には、より大きな外力が作用する。上記接合部の制振構造は、相対移動抑制機構とともに相対移動助長機構が設けられているので、2つの鉄骨部材が相対移動したときに相対移動が助長されて前記減衰力を打ち消す方向に力が付与されるので、相対移動抑制機構による減衰力の発生を抑えることが可能である。このため、相対移動により内力が生じている、2つの鉄骨部材が取り付けられている部位に作用する外力を小さく抑えることにより、2つの鉄骨部材が取り付けられている構造体が損傷を受けることを回避することが可能である。
かかる接合部の制振構造であって、前記2つの鉄骨部材のうちの他方の鉄骨部材を押圧する押圧力を付勢する押圧力付勢部材と、前記押圧付勢部材により付勢されて移動し、前記他方の鉄骨部材を押圧する押圧部材と、を有し、前記他方の鉄骨部材は、前記押圧部材と接触する接触部を有し、前記2つの鉄骨部材が相対移動したときに、前記押圧部材が前記接触部を、前記他方の鉄骨部材が相対移動した方向に付勢する付勢力が発生することが望ましい。
このような接合部の制振構造によれば、2つの鉄骨部材が相対移動したときには押圧部材が接触部を押圧して、他方の鉄骨部材が相対移動した方向に付勢する付勢力が発生するので、この付勢力が相対移動抑制機構にて発生する減衰力を打ち消す方向に作用する。このため、2つの鉄骨部材が取り付けられている部位に作用する外力を小さく抑えることが可能である。よって、2つの鉄骨部材が相対移動するだけで、2つの鉄骨部材が取り付けられている部位に作用する力を低減することが可能である。
かかる接合部の制振構造であって、前記押圧力は、前記相対移動方向と交差する交差方向に作用し、前記2つの鉄骨部材が相対移動しないときには、前記押圧部材は前記接触部を前記交差方向に押圧することが望ましい。
このような接合部の制振構造によれば、押圧力付勢部材の押圧力は、相対移動方向と交差する交差方向に作用しているので、2つの鉄骨部材が相対移動しないときには、相対移動方向と交差する交差方向に押圧部材が他方の鉄骨部材の接触部を押圧する。このため、2つの鉄骨部材が相対移動しないときには、押圧力付勢部材の付勢力は他方の鉄骨部材に対し相対移動方向には作用しないので、押圧力付勢部材の付勢力により相対移動が生じたり、助長されることはない。
かかる接合部の制振構造であって、前記押圧部材と前記接触部とが接触する接触面は、所定の摩擦係数に設定されていることが望ましい。
このような接合部の制振構造によれば、押圧部材と接触部とが接触する接触面が所定の摩擦係数に設定されているので、設定された摩擦係数に応じて、減衰力を打ち消す方向に作用する所望の付勢力に調整することが可能である。
かかる接合部の制振構造であって、前記押圧部材と前記接触部とが接触する接触面は、前記相対移動量に伴って傾斜具合が変化する傾斜が設けられていることが望ましい。
このような接合部の制振構造によれば、押圧部材と接触部との接触面に設けられている傾斜は相対移動に伴って傾斜具合が変化するので、相対移動により発生する減衰力を打ち消す方向に作用する付勢力を相対移動量に伴って相違させることが可能である。
かかる接合部の制振構造であって、前記傾斜は、前記相対移動量が大きくなるにつれて、前記相対移動方向と前記接触面とがなす角度が大きくなることが望ましい。
相対移動助長機構を備えていない場合には、相対移動量が大きくなると2つの鉄骨部材が取り付けられている部位に内力が生じるとともに、相対移動にて発生する振動の減衰力が発生する。上記接合部材の制振構造によれば、相対移動量が大きくなるにつれて、相対移動方向と接触面とがなす角度が大きくなるので、相対移動により発生する減衰力を打ち消す方向に作用する付勢力を、相対移動量に伴って大きくすることが可能である。このため、振動による相対移動が大きく相対移動抑制機構にて発生される減衰力が大きい場合には、相対移動量に応じた、前記減衰力を打ち消す方向に作用する大きな付勢力を発生させることが可能である。
かかる接合部の制振構造であって、前記押圧部材と前記接触部とが接触する接触面は曲面であることが望ましい。
このような接合部の制振構造によれば、押圧部材と接触部とが接触する接触面が曲面なので、2つの鉄骨部材が取り付けられている部位に、摩擦力等による減衰力を打ち消す方向に作用する付勢力を、相対移動量に応じて滑らかに変化させて発生させることが可能である。
かかる接合部の制振構造であって、前記減衰力は、前記2つの鉄骨部材の前記相対移動にて発生する摩擦力であることが望ましい。
このような接合部の制振構造によれば、2つの鉄骨部材の相対移動にて発生する摩擦力により相対移動を抑制させ、振動を減衰させることが可能である。また、減衰力が摩擦力による場合には相対移動量に拘わらずほぼ一定に発生するので、相対変位量が大きく、より大きな外力が作用するときに、相対移動助長機構により相対移動を助長させて減衰力を打ち消す方向に力を付与させることにより、より効果的に構造体が損傷を受けることを回避することが可能である。
本発明によれば、構造体が損傷を受けることを回避することが可能な接合部の制振構造を提供することにある。
本発明に係る接合部の制振構造を建物の柱梁架構のブレースに組み込んだ状態を示す正面図である。 ブレースの分断端部間に介装された摩擦ダンパーの正面図である。 図2におけるA−A断面図である。 摩擦ダンパーに用いられる皿ばねの特性図である。 図5Aは、柱梁架構において従来の摩擦ダンパーにより減衰力Fが付与される力点部位の水平方向の変位と、力点部位に生じる内力の関係を示すグラフである。図5Bは、従来の摩擦ダンパーの振動エネルギー吸収履歴特性のグラフである。図5Cは、相対移動助長機構により付勢力Zが付与される力点部位の水平方向の変位と、力点部位に作用する付勢力Zの関係を示すグラフである。図5Dは、相対移動助長機構により付勢力Zが付与される力点部位の水平方向の変位と、力点部位に作用する付勢力と摩擦ダンパーによる減衰力Fとの合力の関係を示すグラフである。図5Eは、本実施形態の摩擦ダンパーにより減衰力Fが付与される力点部位の水平方向の変位と、力点部位に生じる内力、摩擦ダンパーによる減衰力F、及び、相対移動助長機構により付勢力Zとの合力の関係を示すグラフである。 上分断端部と下分断端部との相対移動量と押圧部と突部の接触面の角度及び相対移動方向に付加される力の関係を説明するための図である。
以下、本実施形態の接合部の制振構造の一例について図を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る接合部の制振構造を建物の柱梁架構のブレースに組み込んだ状態を示す正面図である。図2は、ブレースの分断端部に介装された摩擦ダンパーの正面図である。図3は、図2におけるA−A断面図である。
本発明の接合部の制振構造は、柱梁架構3において柱や梁およびブレース10などの鉄骨部材同士をボルトで接合し、接合された端部同士の相対移動を抑制する相対移動抑制機構としての摩擦ダンパー機構20と、当該摩擦ダンパー機構20に作用して接合された端部同士の相対移動を助長する相対移動助長機構21とを有している。
本実施形態では、図1に示すように、摩擦ダンパー機構20及び相対移動助長機構21をブレース10に組み込んだ形態を例に挙げて説明する。
ブレース10は、柱梁架構3の対角方向を架け渡し方向として配置されたH型鋼にて構成されている。また、ブレース10は、その長手方向たる架け渡し方向の略中央の位置において分断されており、分断された端部(以下、分断端部という)12、14間には隙間が設けられている。以下の説明においては、上側の分断端部を上分断端部12とし、下側の分断端部を下分断端部14として説明する。
図2、図3に示すように、上分断端部12には、H型鋼のウェブ12aのフランジ12b間におけるほぼ中央に、架け渡し方向に沿って、長孔でなるボルト挿通孔12cが形成されている。
下分断端部14には、ウェブ14aの両側に、架け渡し方向に沿って上分断端部12側に突出させて2枚の板部材14dが、ウェブ14aを挟むように接合されている。この板部材14dは、上分断端部12のウェブ12aを挟むように、すなわち、上分断端部12のウェブ12aと下分断端部14のウェブ14aとに両面から架け渡されるように配置され、下分断端部14にのみ溶接されている。このため、上分断端部12と板部材14dが接合された下分断端部14とは相対移動可能に構成されている。本実施形態においては、上分断端部12と一対の板部材14dが接合された下分断端部14とが2つの鉄骨部材に相当し、上分断端部12が一方の鉄骨部材に相当し、一対の板部材14dが接合された下分断端部14が他方の鉄骨部材に相当する。
板部材14dは、上分断端部12に設けられたボルト挿通孔12cを覆っており、上分断端部12と板部材14dとが重ね合わせられた際に上分断端部12に設けられたボルト挿通孔12cと重なる位置にボルト径に相応した円形のボルト挿通孔14cが、架け渡し方向に沿うとともに互いに間隔を隔てて3つ設けられている。
下分断端部14に設けられた一対の板部材14dのボルト挿通孔14cと、一対の板部材14d間に介在された上分断端部12のウェブ12aのボルト挿通孔12cとには、ボルト18が貫通されている。貫通されたボルト18は、一方の板部材14dから突出した部位にて圧接力付勢部材としての皿ばね積層体30を貫通し、ワッシャを介してナット19が螺合されており、他方の板部材14dから突出した部位にもワッシャを介してナット19が螺合されている。そして、ナット19を締め込むことにより皿ばね積層体30が圧縮されて、上分断端部12のウェブ12aと一対の板部材14dとに圧接力が付勢されている。
このため、柱梁架構3に振動が入力されて上分断端部12と下分断端部14とに架け渡し方向の相対移動が生じると、ウェブ12aと板部材14dとの間にて生じる摩擦力にて相対移動が抑制される摩擦ダンパー機構20が構成されている。
相対移動助長機構21は、一対の板部材14dに設けられた接触部としての突部14eと、上分断端部12のフランジ12bと突部14eとの間に介在された押圧部材16及び皿ばね積層体32と、上分断端部12に設けられ押圧部材16の移動を案内するガイド部12fとを有している。以下、詳述する。
下分断端部14の一対の板部材14dには、相対移動方向すなわち架け渡し方向と直交する方向に突出し、外周面の輪郭が円弧状をなす突部14eが形成されている。より具体的には、板部材14dに設けられた各ボルト挿通孔14cの中心を通り架け渡し方向と直交し、上分断端部12のフランジ12b側に突出させて突部14eが形成されている。すなわち、各板部材14dには、架け渡し方向に沿う端部にフランジ12bに向かって3カ所ずつ突部14eが設けられており、各板部材14dには合計6カ所に突部14eが設けられている。
上分断端部12側には、各板部材14dの架け渡し方向に沿う端部に3カ所ずつ設けられた突部14eと各々対向する3つの押圧部16bを有する押圧部材16が、上分断端部12のフランジ12bとの間に皿ばね積層体32を介して設けられている。すなわち、押圧部材16は、2枚の板部材14dの、架け渡し方向と交差する方向の両側にそれぞれ設けられている。各押圧部材16は、上分断端部12のフランジ12bと間隔を隔てて対向する基板部16aと、基板部16aから突出して下分断端部14の突部14eと接触して摺動し、外周面の輪郭が円弧状をなす押圧部16bと有している。
上分断端部12と板部材14dとが重なる方向において、基板部16aは、フランジ12bと同じ幅を有し、押圧部16bは、板部材14dと同じ幅を有している。そして、フランジ12bと基板部16aとの間に皿ばね積層体32を介して、押圧部16bを突部14eに接触させた状態では、押圧部16bは基板部16aにおけるウェブ12a側に偏らせて設けられている。また、押圧部16bは板部材14dの架け渡し方向に沿う端部に3カ所設けられた突部14eと対向して接触するように、突部14eの架け渡し方向における間隔と同じ間隔にて3カ所設けられている。
基板部16aは、3カ所の押圧部16bのうちの両側に位置する押圧部16bより、架け渡し方向に僅かに延出されている。また、上分断端部12には、基板部16aの架け渡し方向の端を、架け渡し方向と直交する方向に案内するガイド部12fが設けられている。このため、押圧部材16は、ウェブ12aに対する架け渡し方向の移動がガイド部12fにより規制されており、架け渡し方向と交差する方向には移動可能に設けられている。そして、押圧部材16は、各押圧部16bがなす円弧の中心と皿ばね積層体32の中心とが一致するように、皿ばね積層体32が3個ずつ介在され、圧縮された皿ばね積層体32の反力により、押圧部16bが突部14eを押圧するように構成されている。このため、2枚の板部材14dは、各々架け渡し方向と直交する直交方向の両側からウェブ12aの幅方向における中央に向かって押圧されている。
本実施形態のブレース10は、設置状態で、円弧形をなす突部14e及び押圧部16bと板部材14dに設けられた円形のボルト挿通孔14cの中心とが、架け渡し方向と直交する方向に沿って並ぶように配置されている。すなわち、円弧状をなす突部14eの頂点と円弧状をなす押圧部16bの頂点とが接触した状態で設置されている。このとき、フランジ12bと基板部16aとの間にて圧縮された皿ばね積層体32による押圧力は、突部14eに対し、架け渡し方向と直交する方向に作用している。また、突部14eと押圧部16bとが接触する接触面をなす、突部14e及び押圧部16bの外周面は、突部14eと押圧部16bとが互いに摺動して、所望の力にて相対移動を助長するように所定の摩擦係数に設定されている。
本実施形態においては、上分断端部12のウェブ12aと下分断端部14に設けられた板部材14dとを圧接する圧接力を付勢する圧接力付勢部材として皿ばね積層体30を用い、押圧部材16を板部材14dの突部14eに押圧する押圧力を付勢する押圧力付勢部材として皿ばね積層体32を用いている。
図4は、接合部の制振構造に用いられる皿ばねの特性図である。
図4に示すように、皿ばねは、圧縮方向の変形量(見込み変化量)σに対して、荷重(弾発力)wの変動がほぼ一定となる非線形ばね領域Sを備えている。本実施形態において押圧力付勢部材として用いている皿ばね積層体32は、フランジ12bと基板部16aとの間に介装されて圧縮された状態で非線形ばね領域Sにて使用されるように設定されている。
図5は、相対移動助長機構の作用を説明するための図である。
相対移動助長機構21が有する押圧部材16の押圧部16bは、皿ばね積層体32に押圧され、板部材14dの突部14eに対して常に押圧している。この押圧力は、上述した圧縮力Nに相当するので、以下では、押圧力Nとする。
本実施形態では、押圧力Nを付勢する部材として皿ばね積層体32を用い、上述したように、圧縮力−撓み特性が概ねフラットとなる非線形ばね領域にて使用するので、押圧部材16が変位しても押圧力Nは常にほぼ一定に維持されている。
相対移動助長機構21では、押圧力Nにより、押圧部16bと突部14eとの接触面の角度に応じて、摩擦ダンパー機構20の変位、すなわち上分断端部12と板部材14dとの相対変位と同じ方向に付勢力Zを付加させることができる。すなわち、負剛性を付加すること、または、相対移動を助長させることができる(図5C参照)。ここで、押圧力をN、押圧部16bと突部14eとの接触面の相対移動方向とのなす角度(以下、接触面の角度という)をθ、摩擦ダンパー機構20の変位と同じ方向、すなわち相対移動方向に付加させる付勢力をZとして、押圧部16bと突部14eとの接触面に生じる摩擦力を無視した場合には、相対移動方向に付加させる付勢力Zは、(式1)にて近似することができる。
Z = N × tanθ ・・・・・・(式1)
したがって、押圧力N、及び押圧部16bと突部14eの接触面の角度θを制御することで、摩擦ダンパー機構20の変位の方向と同じ方向に付加させる付勢力Zの大きさを変化させることが可能である。このため、押圧力N、及び押圧部16bと突部14eの接触面の角度θを適切に制御することにより、上分断端部12と板部材14dとの相対移動を助長して、摩擦ダンパー機構20に付加する負剛性効果を自在に調整することができる。ここで、負剛性効果とは、変位するに従って、その変位方向と逆向きに付勢する力が大きくなることを言う。具体的には、押圧力Nは、例えば、皿ばね積層体32の圧縮力−撓み特性の調整によって制御可能であり、押圧部16bと突部14eとの接触面の角度θは、押圧部16bと突部14eとの接点における、押圧部16b及び突部14eの傾斜角度、すなわち、押圧部16b及び突部14eの外周面の輪郭形状の調整によって制御可能である。
また、上分断端部12と板部材14dとの相対移動量が小さくほぼ設置状態のまま中立のときには、押圧部16bと突部14eとの接触面の角度θは、ほぼ0(中立)である。したがって、本発明の摩擦ダンパー機構20の摩擦力Fに対して上分断端部12と板部材14dとの相対移動方向に付加される付勢力Zはほぼ0である。
一方、本実施形態では、押圧部16bと突部14eとが互いに接触する外周面の輪郭を円弧状としたので、上分断端部12と板部材14dとの相対移動量が大きくなるほど、押圧部16bと突部14eとの接触面の角度θは、大きくなるように設定される。このため、上分断端部12と板部材14dとの相対移動量が大きいほど、本発明の摩擦ダンパー機構20の摩擦力Fに対して、上分断端部12と板部材14dとの相対移動方向に付加される付勢力Zが大きくなる。
言い換えれば、本発明の接合部の制振構造における減衰力Pは、本発明の摩擦ダンパー機構20の摩擦力Fに対して負剛性を付加した特性が実現できる(図5D参照)。
次に、上分断端部12と板部材14dとの相対移動量と押圧部16bと突部14eの接触面の角度θ及び相対移動方向に付加される付勢力Zについて説明する。図6は、上分断端部と下分断端部との相対移動量、押圧部と突部の接触面の角度及び相対移動方向に付加される付勢力Zの関係を説明するための図である。
図6(a)は、設置状態を示す図であり、
本実施形態では、押圧部16bと突部14eとが互いに接触する外周面の輪郭を円弧状としたので、押圧部16bと突部14eの接触面の角度θは、円の基本式(式2)から
+ y =R ・・・(式2)
で表される。ここで、
x:接触点水平変位
y:接触点鉛直変位
R:円の半径
である。
(式2)を変形し、
y= √(R−x) ・・・(式3)
(式3)をxで偏微分した(式4)にて押圧部16bと突部14eの接触面の角度θ[rad]が求められる。
∂y/∂x = −x/√(R2−x2) ・・・(式4)
ここで、Z:負剛性力(付勢力)
N:押圧力(本例では常に一定)
である。
具体的には、図6(a)に示すように、上分断端部12と板部材14dとの相対変位、すなわち接触点の水平変位x=0の時には、(式4)より、接触面の角度θ=0であり、上分断端部12と板部材14dとの相対移動方向に付加される付勢力Zは、(式1)よりZ=0である。すなわち、上分断端部12と板部材14dとが相対移動しないときには、相対移動助長機構21による、相対移動を助長する付勢力Zは作用していない。
次に、図6(b)に示すように、上分断端部12と板部材14dとの相対変位、すなわち接触点の水平変位x=R/8の時には、(式4)より、接触面の角度θ=−1(3√7)であり、上分断端部12と板部材14dとの相対移動方向に付加される付勢力Zは、(式1)よりZ≒−0.13Nである。以下同様に、図6(c)に示すような、接触点の水平変位x=R/4の時には、Z≒−0.26Nであり、図6(d)に示すような、接触点の水平変位x=3R/8の時には、Z≒−0.43Nであり、図6(e)に示すような、接触点の水平変位x=R/2の時には、Z≒−0.65Nである。
このように、押圧部16bと突部14eとが互いに接触する外周面の輪郭が円弧状の場合には、上分断端部12と板部材14dとの相対移動が小さい場合には、上分断端部12と板部材14dとの相対移動方向に付加される付勢力Zは小さく、上分断端部12と板部材14dとの相対移動が大きくなるにつれて、上分断端部12と板部材14dとの相対移動方向に付加される付勢力Zはより大きくなるように構成される。
本実施形態の接合部の制振構造は、摩擦ダンパー機構20を有しているので上分断端部12と下分断端部14とが相対移動する際には摩擦力が発生してエネルギーが吸収され相対移動が抑制される。このとき、上分断端部12と下分断端部14とが取り付けられている柱梁架構3の各部位には、相対移動量に応じた内力とともに、振動による相対移動にて発生する摩擦力による振動の減衰力Fが上分断端部12と下分断端部14とが取り付けられている柱梁架構3の各部位に作用する。このとき、本実施形態の接合部の制振構造は、摩擦ダンパー機構20とともに、上分断端部12と下分断端部14とが相対移動したときに相対移動を助長する相対移動助長機構21も有しているので、上分断端部12と下分断端部14とが相対移動したときには相対移動が助長される。このため、相対移動助長機構21により発生する、下分断端部14を相対移動した方向に付勢する付勢力Zが摩擦ダンパー機構20による減衰力Fを打ち消す方向に作用するので、摩擦ダンパー機構20により発生する減衰力Fを低減することが可能である。このため、相対移動により内力が生じている、上分断端部12と下分断端部14とが取り付けられている部位に作用する外力、すなわち摩擦ダンパー20の減衰力Fを小さく抑えることにより、上分断端部12と下分断端部14とが取り付けられている構造体が損傷を受けることを回避することが可能である。
また、上分断端部12と下分断端部14とが相対移動しないときには、相対移動方向と交差する交差方向に押圧する皿ばね積層体32により押圧されて下分断端部14の突部14eを押圧部16bが押圧するので、皿ばね積層体32の押圧力は下分断端部14に対し相対移動方向には作用しない。一方、上分断端部12と下分断端部14が相対移動したときには押圧部16bが突部14eを押圧して、下分断端部14が相対移動した方向に付勢する付勢力Zが発生するので、この付勢力Zが摩擦ダンパー機構20の摩擦力による減衰力Fを打ち消す方向に作用する。このため、上分断端部12と下分断端部14が取り付けられている部位に作用する減衰力Fを小さく抑えることが可能である。よって、上分断端部12と下分断端部14が相対移動するだけで、上分断端部12と下分断端部14が取り付けられている部位に作用する力を低減することが可能である。
また、押圧部材16の押圧部16bと突部14eとが接触する接触面が所定の摩擦係数に設定されているので、設定する摩擦係数に応じて、上分断端部12と下分断端部14が取り付けられている部位に生じている内力を打ち消す方向に作用する所望の付勢力Zを調整することが可能である。
また、押圧部材16の押圧部16b及び突部14eの外周面の輪郭を円弧状としたので、押圧部16b及び突部14eとの接触面に設けられている傾斜は相対移動に伴って傾斜具合が変化する。このため、上分断端部12と下分断端部14が取り付けられている部位に生じる摩擦ダンパー機構20による減衰力Fを打ち消す方向に作用する付勢力Zを相対移動量に伴って相違させることが可能である。
このとき、相対移動量が大きくなるにつれて、相対移動方向と接触面とがなす角度θが大きくなるので、上分断端部12と下分断端部14が取り付けられている部位に生じる摩擦ダンパー機構20の減衰力Fを相殺する方向に作用する付勢力Zを、相対移動量に応じて発生させることが可能である。このため、摩擦ダンパー機構20により発生する減衰力Fが大きい場合には、打ち消す方向に作用する大きな付勢力Zを発生させ、摩擦ダンパー機構20により発生する減衰力Fが小さい場合には、打ち消す方向に作用する小さな付勢力Zを発生させることが可能である。
さらに、押圧部材16の押圧部16bと突部14eとが接触する接触面を曲面としたので、上分断端部12と下分断端部14が取り付けられている部位に生じる、摩擦ダンパー機構20により発生する減衰力Fを打ち消す方向に作用する付勢力Zを、相対移動量に応じて滑らかに変更させて発生させることが可能である。
上記実施形態においては、相対移動抑制機構を摩擦ダンパーにて構成した例について説明したが、摩擦ダンパーに限らず、粘弾性ダンパー等であっても構わない。
また、上記実施形態においては、押圧部16b及び突部14eの外周面の輪郭を円弧状としたが、楕円形状や多角形状であっても構わない。
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
3 柱梁架構、10 ブレース、12 上分断端部、12a ウェブ、
12b フランジ、12c ボルト挿通孔、12f ガイド部、14 下分断端部、
14a ウェブ、14c ボルト挿通孔、14d 板部材、14e 突部、
16 押圧部材、16a 基板部、16b 押圧部、18 ボルト、19 ナット、
20 摩擦ダンパー機構、21 相対移動助長機構、30 皿ばね積層体、
32 皿ばね積層体、S 非線形ばね領域

Claims (8)

  1. 互いに接合しようとする2つの鉄骨部材、及び、
    前記2つの鉄骨部材を重ね合わせた部位を圧接する圧接力を付勢する圧接力付勢部材を有し、
    前記2つの鉄骨部材が相対移動するときに発生する減衰力により前記相対移動を抑制する相対移動抑制機構と、
    前記2つの鉄骨部材が相対移動したときに前記相対移動を助長して前記減衰力を打ち消す方向に力を付与する相対移動助長機構と、を有することを特徴とする接合部の制振構造。
  2. 請求項1に記載の接合部の制振構造であって、
    前記2つの鉄骨部材のうちの他方の鉄骨部材を押圧する押圧力を付勢する押圧力付勢部材と、
    前記押圧付勢部材により付勢されて移動し、前記他方の鉄骨部材を押圧する押圧部材と、を有し、
    前記他方の鉄骨部材は、前記押圧部材と接触する接触部を有し、
    前記2つの鉄骨部材が相対移動したときに、前記押圧部材が前記接触部を、前記他方の鉄骨部材が相対移動した方向に付勢する付勢力が発生することを特徴とする接合部の制振構造。
  3. 請求項2に記載の接合部の制振構造であって、
    前記押圧力は、前記相対移動方向と交差する交差方向に作用し、
    前記2つの鉄骨部材が相対移動しないときには、前記押圧部材は前記接触部を前記交差方向に押圧することを特徴とする接合部の制振構造。
  4. 請求項2または請求項3に記載の接合部の制振構造であって、
    前記押圧部材と前記接触部とが接触する接触面は、所定の摩擦係数に設定されていることを特徴とする接合部の制振構造。
  5. 請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の接合部の制振構造であって、
    前記押圧部材と前記接触部とが接触する接触面は、前記相対移動量に伴って傾斜具合が変化する傾斜が設けられていることを特徴とする接合部の制振構造。
  6. 請求項5に記載の接合部の制振構造であって、
    前記傾斜は、前記相対移動量が大きくなるにつれて、前記相対移動方向と前記接触面とがなす角度が大きくなることを特徴とする接合部の制振構造。
  7. 請求項6に記載の接合部の制振構造であって、
    前記押圧部材と前記接触部とが接触する接触面は曲面であることを特徴とする接合部の制振構造。
  8. 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の接合部の制振構造であって、
    前記減衰力は、前記2つの鉄骨部材の前記相対移動にて発生する摩擦力であることを特徴とする接合部の制振構造。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012102793A (ja) * 2010-11-09 2012-05-31 Ohbayashi Corp 摩擦ダンパー
JP5587485B1 (ja) * 2013-11-22 2014-09-10 孝典 佐藤 ダンパーセット
JP2014190507A (ja) * 2013-03-28 2014-10-06 Railway Technical Research Institute 負剛性ダンパー

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