JP2020056283A - 架構式構造 - Google Patents

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Naohiro Kiriyama
尚大 桐山
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Takahisa Mori
貴久 森
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平松  剛
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Abstract

【課題】架構式構造において、十分な強度を確保することができると共に振動エネルギーを減衰することができる。【解決手段】H形鋼からなる第1柱10と、H形鋼からなって第1柱10に間隔を空けて並設される第2柱20と、第1柱10と第2柱20とを連結する第1連結材70と、第1連結材70に間隔を空けて並設されて第1柱10と第2柱20とを連結する第2連結材80と、第1連結材70と第2連結材80との間で第1柱10と第2柱20とを連結すると共に摩擦により振動エネルギーを減衰する摩擦ダンパ90とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、架構式構造に関する。
建築物において、剛性を高めるために、断面サイズの大きな柱を用いることがある。し
かし、断面サイズの大きな柱は、壁面から張り出す部分が大きくなるため、室内空間の利
用に制約が生じる可能性がある。柱の壁面からの張り出し量を抑制するための技術として
、例えば、下記特許文献1がある。この特許文献1には、連結された一対のH形鋼を備え
る連結柱が記載されている。
特開2016−69839号公報
ところが、特許文献1の技術は、水平力を変形により吸収可能とするものであり、建築
物の剛性および振動エネルギーの吸収性能を高めるのには不十分である。
本発明は、上述した課題を解決するものであり、十分な強度を確保することができると
共に振動エネルギーを減衰することができる架構式構造を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための架構式構造は、第1柱と、前記第1柱に間隔を空けて並設
される第2柱と、前記第1柱と前記第2柱とを連結する第1連結材と、前記第1連結材に
間隔を空けて並設されて前記第1柱と前記第2柱とを連結する第2連結材と、前記第1連
結材と前記第2連結材との間で前記第1柱と前記第2柱とを連結すると共に摩擦により振
動エネルギーを減衰する摩擦ダンパと、を備える。
本発明の架構式構造の望ましい態様として、前記摩擦ダンパは、前記第1柱と前記第2
柱とを相対移動可能に連結する作動部材を有し、前記作動部材の作動時に発生する摩擦抵
抗により振動エネルギーを減衰する。
本発明の架構式構造の望ましい態様として、前記作動部材は、前記第1柱および前記第
2柱の長手方向と、前記第1柱と前記第2柱との並設方向とに沿う平面内で前記第1柱お
よび前記第2柱に対して相対移動可能である。
本発明の架構式構造の望ましい態様として、前記作動部材は、前記第1柱と前記第2柱
を連結するリンク部材を有し、前記リンク部材は、長手方向の一端部が前記平面に直交す
る第1連結軸により前記第1柱に連結され、長手方向の他端部が前記平面に直交する第2
連結軸により前記第2柱に連結され、前記リンク部材の一端部と前記第1柱との連結部お
よび前記リンク部材の他端部と前記第2柱との連結部に摩擦抵抗発生部が設けられる。
本発明の架構式構造の望ましい態様として、前記作動部材は、第1リンク部材と第2リ
ンク部材を有し、前記第1リンク部材は、長手方向の一端部が前記平面に直交する第1連
結軸により前記第1柱に連結され、前記第2リンク部材は、長手方向の一端部が前記平面
に直交する第2連結軸により前記第2柱に連結され、前記第1リンク部材の他端部と前記
第2リンク部材の他端部は、厚さ方向に重なって前記平面に直交する第3連結軸により連
結され、前記第1リンク部材の他端部と前記第2リンク部材の他端部との連結部に摩擦抵
抗発生部が設けられる。
本発明の架構式構造の望ましい態様として、前記作動部材は、前記第1柱に固定される
第1連結部材と、前記第2柱に固定される第2連結部材を有し、前記第1連結部材と前記
第2連結部材は、厚さ方向に重なって前記平面に直交する連結軸により相対移動可能に連
結され、前記第1連結部材と前記第2連結部材との連結部に摩擦抵抗発生部が設けられる
本発明の架構式構造の望ましい態様として、前記作動部材は、前記第1柱に固定される
第1連結部材と、前記第2柱に固定される第2連結部材を有し、前記第1連結部材と前記
第2連結部材は、一対の接合部材により挟持され、前記一対の接合部材は、一端部が前記
平面に直交する第1連結軸により前記第1連結部材に相対移動可能に連結され、他端部が
前記平面に直交する第2連結軸により前記第2連結部材に相対移動可能に連結され、前記
一対の接合部材の一端部と前記第1連結部材との連結部および前記一対の接合部材の他端
部と前記第2連結部材との連結部に摩擦抵抗発生部が設けられる。
本発明の架構式構造の望ましい態様として、前記連結部に摩擦材が設けられる。
本発明の架構式構造の望ましい態様として、前記連結部に補強部材が設けられる。
本発明の架構式構造の望ましい態様として、前記摩擦ダンパは、前記第1柱および前記
第2柱に対して着脱自在に設けられる。
本発明の架構式構造の望ましい態様として、前記第1柱と前記第2柱は、前記摩擦ダン
パに対向する位置にリブが設けられる。
本発明の架構式構造の望ましい態様として、前記第1柱および前記第2柱は、前記第1
連結材の連結位置と反対側の位置に上部梁が固定され、前記第1柱および前記第2柱は、
前記第2連結材の連結位置と反対側の位置に下部梁が固定される。
本発明の架構式構造によれば、十分な強度を確保することができると共に外力を減衰す
ることができる。
図1は、第1実施形態の架構式構造を表す斜視図である。 図2は、第1実施形態の架構式構造を表す正面図である。 図3は、摩擦ダンパの構造を表す図2のIII−III断面図である。 図4は、第1実施形態の架構式構造における変形例を表す摩擦ダンパの正面図である。 図5は、摩擦ダンパの構造を表す図4のV−V断面図である。 図6は、第2実施形態の架構式構造における摩擦ダンパの正面図である。 図7は、摩擦ダンパの構造を表す図6のVII−VII断面図である。 図8は、第2実施形態の架構式構造における変形例を表す摩擦ダンパの正面図である。 図9は、摩擦ダンパの構造を表す図8のIX−IX断面図である。 図10は、第3実施形態の架構式構造における摩擦ダンパの正面図である。 図11は、摩擦ダンパの構造を表す図10のXI−XI断面図である。 図12は、摩擦ダンパの配置の変形例を表す概略図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実
施形態により本発明が限定されるものではない。また、実施形態における構成要素には、
当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる、均等の範囲のものが含
まれる。さらに、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するもの
も含むものである。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の架構式構造を表す斜視図、図2は、第1実施形態の架構式構造
を表す正面図、図3は、摩擦ダンパの構造を表す図2のIII−III断面図である。
図1および図2に示すように、第1実施形態の架構式構造1は、建築物の構造として用
いられる。架構式構造1は、柱および梁によって壁や床などを支持する構造である。架構
式構造1は、第1柱10と、第2柱20と、第1上部梁30と、第2上部梁40と、第1
下部梁50と、第2下部梁60と、第1連結材70と、第2連結材80と、摩擦ダンパ9
0を備える。
第1柱10および第2柱20は、長手方向が鉛直方向に平行である。第1柱10および
第2柱20は、水平方向に並設される。梁30,40,50,60は、第1柱10および
第2柱20の並設方向に沿って延びる。
なお、以下の説明において、XYZ直交座標軸を用いて説明する。X軸は、第1柱10
および第2柱20が並ぶ方向に平行な軸である。Z軸は、第1柱10および第2柱20の
長手方向に平行な軸である。Y軸は、X軸およびZ軸に対して直交する軸である。X軸に
平行な方向は、X方向と記載する。Y軸に平行な方向は、Y方向と記載する。Z軸に平行
な方向は、Z方向と記載する。
第1柱10は、Z方向に沿って延びる。第1柱10の長手方向は、Z方向に平行である
。第1柱10は、H形鋼である。第1柱10の水平断面は、H字状である。第1柱10は
、フランジ11と、フランジ12と、ウェブ13とを備える。フランジ11の厚さ方向(
板厚方向)は、X方向に平行である。厚さ方向は、板状部材において最も面積の大きい面
に対する直交方向を意味し、以下の説明においても同様の意味で用いられる。フランジ1
2の厚さ方向は、X方向に平行である。フランジ12は、フランジ11に平行である。ウ
ェブ13の厚さ方向は、Y方向に平行である。ウェブ13は、フランジ11およびフラン
ジ12に対して直交する。
第2柱20は、Z方向に沿って延びる。第2柱20の長手方向は、Z方向に平行である
。第2柱20は、H形鋼である。第2柱20の水平断面は、H字状である。第2柱20は
、X方向における第1柱10の隣りに間隔を空けて配置される。第2柱20は、フランジ
21と、フランジ22と、ウェブ23とを備える。フランジ21の厚さ方向は、X方向に
平行である。フランジ21は、第1柱10のフランジ12に面する。フランジ22の厚さ
方向は、X方向に平行である。フランジ22は、フランジ21に平行である。ウェブ23
の厚さ方向は、Y方向に平行である。ウェブ23は、フランジ21およびフランジ22に
対して直交する。
第1上部梁30は、X方向に沿って延びる。第1上部梁30の長手方向は、X方向に平
行である。第1上部梁30は、H形鋼である。第1上部梁30の鉛直断面は、H字状であ
る。第1上部梁30は、フランジ31と、フランジ32と、ウェブ33とを備える。フラ
ンジ31の厚さ方向は、Z方向に平行である。フランジ32の厚さ方向は、Z方向に平行
である。フランジ32は、フランジ31に平行である。ウェブ33の厚さ方向は、Y方向
に平行である。ウェブ33は、フランジ31およびフランジ32に対して直交する。第1
上部梁30は、例えば、溶接によって第1柱10のフランジ11に接合される。
第2上部梁40は、X方向に沿って延びる。第2上部梁40の長手方向は、X方向に平
行である。第2上部梁40は、H形鋼である。第2上部梁40の鉛直断面は、H字状であ
る。第2上部梁40は、フランジ41と、フランジ42と、ウェブ43とを備える。フラ
ンジ41の厚さ方向は、Z方向に平行である。フランジ42の厚さ方向は、Z方向に平行
である。フランジ42は、フランジ41に平行である。ウェブ43の厚さ方向は、Y方向
に平行である。ウェブ43は、フランジ41およびフランジ42に対して直交する。第2
上部梁40は、例えば、溶接によって第2柱20のフランジ22に接合される。
第1下部梁50は、X方向に沿って延びる。第1下部梁50の長手方向は、X方向に平
行である。第1下部梁50は、H形鋼である。第1下部梁50の鉛直断面は、H字状であ
る。第1下部梁50は、フランジ51と、フランジ52と、ウェブ53とを備える。フラ
ンジ51の厚さ方向は、Z方向に平行である。フランジ52の厚さ方向は、Z方向に平行
である。フランジ52は、フランジ51に平行である。ウェブ53の厚さ方向は、Y方向
に平行である。ウェブ53は、フランジ51およびフランジ52に対して直交する。第1
下部梁50は、例えば、溶接によって第1柱10のフランジ11に接合される。
第2下部梁60は、X方向に沿って延びる。第2下部梁60の長手方向は、X方向に平
行である。第2下部梁60は、H形鋼である。第2下部梁60の鉛直断面は、H字状であ
る。第2下部梁60は、フランジ61と、フランジ62と、ウェブ63とを備える。フラ
ンジ61の厚さ方向は、Z方向に平行である。フランジ62の厚さ方向は、Z方向に平行
である。フランジ62は、フランジ61に平行である。ウェブ63の厚さ方向は、Y方向
に平行である。ウェブ63は、フランジ61およびフランジ62に対して直交する。第2
下部梁60は、例えば、溶接によって第2柱20のフランジ22に接合される。
第1上部梁30と第2上部梁40は、X方向に沿って直線状に配置される。第1下部梁
50と第2下部梁60は、X方向に沿って直線状に配置される。第1上部梁30と第1下
部梁50は、Z方向に間隔を空けて配置される。第2上部梁40と第2下部梁60は、Z
方向に間隔を空けて配置される。なお、第1柱10、第2柱20、第1上部梁30、第2
上部梁40、第1下部梁50、第2下部梁60は、H形鋼に限らず、角型鋼管、円形鋼管
、SRC,CFTなどを用いて構成してもよい。
第1連結材70は、H形鋼である。第1連結材70の鉛直断面は、H字状である。第1
連結材70は、フランジ71と、フランジ72と、ウェブ73とを備える。フランジ71
の厚さ方向は、Z方向に平行である。フランジ72の厚さ方向は、Z方向に平行である。
フランジ72は、フランジ71に平行である。フランジ72は、XY平面視でフランジ7
1と重なる、つまり、一直線上に配置される。ウェブ73の厚さ方向は、Y方向に平行で
ある。ウェブ73は、フランジ71およびフランジ72に対して直交する。ウェブ73の
Y方向の位置は、ウェブ13、ウェブ23およびウェブ33、ウェブ43のY方向の位置
と同じである。ウェブ73は、YZ平面視でウェブ13、ウェブ23およびウェブ33、
ウェブ43と重なる、つまり、一直線上に配置される。
第1連結材70は、第1柱10と第2柱20との間に配置される。第1連結材70のZ
方向の位置は、第1上部梁30および第2上部梁40のZ方向の位置と同じである。第1
連結材70は、YZ平面視で第1上部梁30および第2上部梁40と重なる、つまり、一
直線上に配置される。第1連結材70は、例えば、溶接によって第1柱10のフランジ1
2および第2柱20のフランジ21に接合される。
第2連結材80は、H形鋼である。第2連結材80の鉛直断面は、H字状である。第2
連結材80は、フランジ81と、フランジ82と、ウェブ83とを備える。フランジ81
の厚さ方向は、Z方向に平行である。フランジ82の厚さ方向は、Z方向に平行である。
フランジ82は、フランジ81に平行である。フランジ82は、XY平面視でフランジ8
1と重なる、つまり、一直線上に配置される。ウェブ83の厚さ方向は、Y方向に平行で
ある。ウェブ83は、フランジ81およびフランジ82に対して直交する。ウェブ83の
Y方向の位置は、ウェブ13、ウェブ23およびウェブ53、ウェブ63のY方向の位置
と同じである。ウェブ83は、YZ平面視でウェブ13、ウェブ23およびウェブ53、
ウェブ63と重なる、つまり、一直線上に配置される。
第2連結材80は、第1柱10と第2柱20との間に配置される。第2連結材80のZ
方向の位置は、第1下部梁50および第2下部梁60のZ方向の位置と同じである。第2
連結材80は、YZ平面視で第1下部梁50および第2下部梁60と重なる、つまり、一
直線上に配置される。第2連結材80は、例えば、溶接によって第1柱10のフランジ1
2および第2柱20のフランジ21に接合される。
リブ14,15,16,17は、平板状の部材である。リブ14,15,16,17の
厚さ方向は、Z方向に平行である。リブ14,15,16,17は、フランジ11とフラ
ンジ12とウェブ13に対して直交する。リブ14,15,16,17は、例えば、溶接
によってフランジ11とフランジ12とウェブ13に接合される。リブ14,15のZ方
向の位置は、第1上部梁30のフランジ31,32のZ方向の位置と同じである。リブ1
6,17のZ方向の位置は、第1下部梁50のフランジ51,52のZ方向の位置と同じ
である。すなわち、複数のリブ14,15,16,17は、YZ平面視で、フランジ31
,32,51,52と重なる、つまり、一直線上に配置される。
リブ24,25,26,27は、平板状の部材である。リブ24,25,26,27の
厚さ方向は、Z方向に平行である。リブ24,25,26,27は、フランジ21とフラ
ンジ22とウェブ23に対して直交する。リブ24,25,26,27は、例えば、溶接
によってフランジ21とフランジ22とウェブ23に接合される。リブ24,25のZ方
向の位置は、第2上部梁40のフランジ41,42のZ方向の位置と同じである。リブ2
6,27のZ方向の位置は、第2下部梁60のフランジ61,62のZ方向の位置と同じ
である。すなわち、複数のリブ24,25,26,27は、YZ平面視で、フランジ41
,42,61,62と重なる、つまり、一直線上に配置される。
摩擦ダンパ90は、第1連結材70と第2連結材80との間で、第1柱10と第2柱2
0とを連結する減衰部材として機能する。摩擦ダンパ90は、摩擦により振動エネルギー
を減衰する。
第1実施形態の摩擦ダンパ90は、作動部材として、所定厚さの平板材料で形成される
複数の第1リンク部材91と複数の第2リンク部材92を有する。摩擦ダンパ90は、第
1柱10および第2柱20の長手方向であるZ方向と、第1柱10と第2柱20の並設方
向であるX方向とに沿う。すなわち、複数の第1リンク部材91および複数の第2リンク
部材92の厚さ方向は、Y方向に平行であり、Y方向における位置がウェブ13,23の
Y方向における位置とほぼ同じである。摩擦ダンパ90は、複数の第1リンク部材91お
よび複数の第2リンク部材92の作動時に発生する摩擦抵抗により振動エネルギーを減衰
する。第1柱10と第2柱20は、複数の第1リンク部材91および複数の第2リンク部
材92により、第1柱10および第2柱20の長手方向であるZ方向と、第1柱10と第
2柱20の並設方向であるX方向とに沿うXZ平面で相対移動可能に連結される。
摩擦ダンパ90は、第1柱10と第2柱20との間に配置される。摩擦ダンパ90は、
第1連結材70と第2連結部材の中間位置に配置される。摩擦ダンパ90は、第1柱10
および第2柱20に対して着脱自在に設けられる。第1柱10は、フランジ12のウェブ
13に対向する位置に取付板93が固定される。第2柱20は、フランジ21のウェブ2
3に対向する位置に取付板94が固定される。取付板93,94は、X方向およびZ方向
に平行である。第1リンク部材91は、複数(第1実施形態では、6個)設けられ、長手
方向の一端部が取付板93に重ねられ、第1連結軸95によりそれぞれ回動自在に連結さ
れる。第2リンク部材92は、複数(第1実施形態では、6個)設けられ、長手方向の一
端部が取付板94に重ねられ、第2連結軸96によりそれぞれ回動自在に連結される。第
1リンク部材91の長手方向の他端部と、第2リンク部材92の長手方向の他端部とは、
円筒形状をなす摩擦材97を介して重ねられ、第3連結軸98により回動自在に連結され
る。複数の第1リンク部材91および複数の第2リンク部材92は、Z方向に沿って間隔
を空けて配置される。なお、摩擦材97は、第1リンク部材91と第2リンク部材92の
作動時に摩擦力を作用させるものであり、第1リンク部材91および第2リンク部材92
に対する接触面の摩擦係数が、第1リンク部材91および第2リンク部材92の接触面の
摩擦係数より大きく設定される。
ここで、連結軸95,96,98は、XZ平面に直交するY方向に平行をなして設けら
れる。そして、第1リンク部材91と第2リンク部材92とは、摩擦材97を介して重な
り、第3連結軸98により回動自在に連結され、この第3連結軸98により連結された連
結部に摩擦抵抗発生部が設けられる。すなわち、摩擦抵抗発生部は、第1リンク部材91
と摩擦材97との接触面および第2リンク部材92と摩擦材97との接触面である。なお
、第1リンク部材91と取付板93との接触面や第2リンク部材92と取付板94との接
触面も摩擦抵抗発生部となる。この摩擦抵抗発生部の大きさは、各連結軸95,96,9
8での締結力に応じて設定される。例えば、連結軸95,96,98がボルトとナットで
構成される場合、このボルトとナットの締め付け力に応じて摩擦抵抗発生部の大きさ、つ
まり、摩擦抵抗が調整される。そのため、第1リンク部材91と第2リンク部材92の作
動時に、各連結部で摩擦力が作用する。
また、第1柱10と第2柱20は、摩擦ダンパ90に対向する位置にリブ18,19,
28,29が設けられる。リブ18,19は、平板状の部材である。リブ18,19の厚
さ方向は、Z方向に平行である。リブ18,19は、フランジ11とフランジ12とウェ
ブ13に対して直交し、例えば、溶接によって接合される。リブ18,19のZ方向の位
置は、摩擦ダンパ90におけるZ方向の上端位置と下端位置と同じである。リブ28,2
9は、平板状の部材である。リブ28,29の厚さ方向は、Z方向に平行である。リブ2
8,29は、フランジ21とフランジ22とウェブ23に対して直交し、例えば、溶接に
よって接合される。リブ28,29のZ方向の位置は、摩擦ダンパ90におけるZ方向の
上端位置と下端位置と同じである。
また、架構式構造1は、第3上部梁110と第3下部梁120を備える。第3上部梁1
10は、Y方向に沿って延びる。第3上部梁110の長手方向は、Y方向に平行である。
第3上部梁110は、H形鋼である。第3上部梁110の鉛直断面は、H字状である。第
3上部梁110は、フランジ111と、フランジ112と、ウェブ113とを備える。フ
ランジ111の厚さ方向は、Z方向に平行である。フランジ111のZ方向の位置は、フ
ランジ71のZ方向の位置と同じである。フランジ71は、XZ平面視でフランジ71と
重なる、つまり、一直線上に配置される。フランジ112の厚さ方向は、Z方向に平行で
ある。フランジ112は、フランジ111に平行である。フランジ112のZ方向の位置
は、フランジ72のZ方向の位置と同じである。フランジ112は、XZ平面視でフラン
ジ72と重なる、つまり、一直線上に配置される。フランジ111およびフランジ112
のX方向の幅は、第1連結材70のX方向の長さ(フランジ12からフランジ21までの
距離)以下である。ウェブ113の厚さ方向は、X方向に平行である。ウェブ113は、
フランジ111およびフランジ112に対して直交する。第3上部梁110は、第1連結
材70に接合される。第3上部梁110は、例えば、溶接によって第1連結材70に接合
される。
第3下部梁120は、Y方向に沿って延びる。第3下部梁120の長手方向は、Y方向
に平行である。第3下部梁120は、H形鋼である。第3下部梁120の鉛直断面は、H
字状である。第3下部梁120は、フランジ121と、フランジ122と、ウェブ123
とを備える。フランジ121の厚さ方向は、Z方向に平行である。フランジ121のZ方
向の位置は、フランジ71のZ方向の位置と同じである。フランジ71は、XZ平面視で
フランジ81と重なる、つまり、一直線上に配置される。フランジ122の厚さ方向は、
Z方向に平行である。フランジ122は、フランジ121に平行である。フランジ122
のZ方向の位置は、フランジ82のZ方向の位置と同じである。フランジ122は、XZ
平面視でフランジ82と重なる、つまり、一直線上に配置される。フランジ121および
フランジ122のX方向の幅は、第2連結材80のX方向の長さ(フランジ12からフラ
ンジ21までの距離)以下である。ウェブ123の厚さ方向は、X方向に平行である。ウ
ェブ123は、フランジ121およびフランジ122に対して直交する。第3下部梁12
0は、第2連結材80に接合される。第3下部梁120は、例えば、溶接によって第2連
結材80に接合される。
なお、架構式構造1が適用される建築物において、壁は、第1柱10、第2柱20およ
び第1上部梁30、第2上部梁40、第1下部梁50、第2下部梁60によって形成され
る平面に沿うように設けられる。すなわち、建築物の壁は、XZ平面に平行である。建築
物の壁の厚さ方向は、Y方向に平行である。また、架構式構造1が適用される建築物にお
いて、上部床は、第1柱10、第2柱20および第1上部梁30、第2上部梁40によっ
て形成される平面に沿うように設けられる。上部床は、第1柱10、第2柱20および第
1下部梁50、第2下部梁60によって形成される平面に沿うように設けられる。すなわ
ち、建築物の上部床および下部床は、XY平面に平行である。建築物の上部床および下部
床の厚さ方向は、Z方向に平行である。
このように第1実施形態の架構式構造にあっては、H形鋼からなる第1柱10と、H形
鋼からなって第1柱10に間隔を空けて並設される第2柱20と、第1柱10と第2柱2
0とを連結する第1連結材70と、第1連結材70に間隔を空けて並設されて第1柱10
と第2柱20とを連結する第2連結材80と、第1連結材70と第2連結材80との間で
第1柱10と第2柱20とを連結すると共に摩擦により振動エネルギーを減衰する摩擦ダ
ンパ90とを備える。
そのため、大きな1本の柱を用いる場合と比較して、柱(第1柱10および第2柱20
)の壁面からの張り出しを抑制することができ、室内空間をより自由に利用することが可
能である。また、地震によって建築物に水平力が作用した場合、第1連結材70および第
2連結材80により第1柱10および第2柱20の変形を抑制することができる。一方で
、摩擦ダンパ90により建築物に作用した水平力を減衰することができる。その結果、層
間変位(下階に対する上階の相対的な水平方向の変位)を低減することができ、建築物の
耐震性を向上させることができる。
すなわち、図1に示すように、建築物にX方向の水平力が作用すると、例えば、第2連
結材80により連結された第1柱10および第2柱20の下部を支点として、第1連結材
70により連結された第1柱10および第2柱20の上部がX方向に揺動する。このとき
、第1柱10と第2柱20は、上部が第1連結材70により連結され、下部が第2連結材
80により連結されることから、フランジ12,21間の距離を維持しながら変形し、長
手方向(Z方向)に相対変位する。摩擦ダンパ90は、このZ方向の相対変位を吸収して
減衰させる。つまり、摩擦ダンパ90は、入力した外力により複数の第1リンク部材91
および第2リンク部材92が各連結軸95,96,98を支点として回動する。このとき
、摩擦抵抗発生部としての第1リンク部材91と摩擦材97と第2リンク部材92との各
接触面で摩擦抵抗が発生する。この摩擦抵抗が発生することで、第1リンク部材91と第
2リンク部材92の作動時に各連結部で摩擦力が作用し、振動エネルギーを吸収して減衰
させる。
また、第1実施形態の架構式構造では、摩擦ダンパ90は、第1柱10と第2柱20と
を相対移動可能に連結する作動部材としての第1リンク部材91および第2リンク部材9
2を有し、第1リンク部材91および第2リンク部材92の作動時に発生する摩擦抵抗に
より振動エネルギーを減衰する。そのため、建築物に作用したX方向の水平力により第1
リンク部材91および第2リンク部材92を揺動させ、この揺動時に発生する摩擦抵抗(
摩擦力)により振動エネルギーを効率的に吸収して減衰させることができる。
第1実施形態の架構式構造では、第1リンク部材91および第2リンク部材92は、第
1柱10および第2柱20の長手方向と、第1柱10と第2柱20の並設方向とに沿うX
Z平面内で第1柱10および第2柱20に対して相対移動可能である。そのため、建築物
にX方向の水平力が作用し、第1柱10および第2柱20が下部を支点として上部が揺動
するとき、第1リンク部材91および第2リンク部材92がXZ面内で揺動することで、
振動エネルギーを効率的に吸収して減衰させることができる。
第1実施形態の架構式構造では、第1リンク部材91の一端部をXZ平面に直交する第
1連結軸95により第1柱10に連結し、第2リンク部材92の一端部がXZ平面に直交
する第2連結軸96により第2柱20に連結し、第1リンク部材91の他端部と第2リン
ク部材92の他端部を厚さ方向に重ねてXZ平面に直交する第3連結軸98により連結し
、第1リンク部材91の他端部と第2リンク部材92の他端部との連結部に摩擦抵抗発生
部を設ける。そのため、建築物にX方向の水平力が作用したとき、第1リンク部材91お
よび第2リンク部材92を揺動させることで、振動エネルギーを効率的に吸収して減衰さ
せることができる。
第1実施形態の架構式構造では、第1リンク部材91と第2リンク部材92との連結部
に摩擦抵抗発生部を構成する摩擦材97を設ける。そのため、第1リンク部材91と第2
リンク部材92が揺動するとき、第1リンク部材91と第2リンク部材92が摩擦材97
に対して大きな摩擦を発生されることができ、装置の大型化を抑制することができる。
第1実施形態の架構式構造では、摩擦ダンパ90を第1柱10および第2柱20に対し
て着脱自在に設ける。そのため、振動エネルギーを吸収して摩擦ダンパ90が破損しても
、破損した摩擦ダンパ90を取り外して新しい摩擦ダンパ90を直ちに装着することがで
きる。
なお、第1実施形態の摩擦ダンパ90は、上述した構成に限定されるものではない。図
4は、第1実施形態の架構式構造における変形例を表す摩擦ダンパの正面図、図5は、摩
擦ダンパの構造を表す図4のV−V断面図である。
第1実施形態の変形例において、図4及び図5に示すように、摩擦ダンパ130は、第
1連結材70と第2連結材80との間で、第1柱10と第2柱20とを連結する減衰部材
として機能する。摩擦ダンパ130は、摩擦により外力を減衰する。
摩擦ダンパ130は、作動部材として、所定厚さの平板材料で形成される複数のリンク
部材131,132を有する。摩擦ダンパ130は、複数のリンク部材131,132の
作動時に発生する摩擦抵抗により振動エネルギーを減衰する。第1柱10と第2柱20は
、複数のリンク部材131,132により、第1柱10および第2柱20の長手方向であ
るZ方向と、第1柱10と第2柱20の並設方向であるX方向とに沿うXZ平面で相対移
動可能に連結される。
摩擦ダンパ130は、第1柱10および第2柱20に対して着脱自在に設けられる。第
1柱10は、フランジ12のウェブ13に対向する位置に取付板133が固定される。第
2柱20は、フランジ21のウェブ23に対向する位置に取付板134が固定される。取
付板133,134は、X方向およびZ方向に平行である。リンク部材131,132は
、厚さ方向に所定隙間をもって重ねられ、複数(変形例では、6個)設けられる。リンク
部材131,132は、長手方向の一端部が取付板133を厚さ方向から挟持し、第1連
結軸135により回動自在に連結される。リンク部材131,132は、長手方向の他端
部が取付板134を厚さ方向から挟持し、第2連結軸136により回動自在に連結される
。複数のリンク部材131,132は、Z方向に沿って間隔を空けて配置される。
ここで、連結軸135,136は、XZ平面に直交するY方向に平行をなして設けられ
る。そして、リンク部材131,132は、取付板133,134に重なり、連結軸13
5,136により回動自在に連結され、この連結軸135,136により連結された連結
部に摩擦抵抗発生部が設けられる。すなわち、摩擦抵抗発生部は、リンク部材131,1
321と取付板133,134との接触面である。この摩擦抵抗発生部の大きさは、各連
結軸135,136での締結力に応じて設定される。例えば、連結軸135,136がボ
ルトとナットで構成される場合、このボルトとナットの締め付け力に応じて摩擦抵抗発生
部の大きさ、つまり、摩擦抵抗が調整される。そのため、リンク部材131,132の作
動時に各連結部で摩擦力が作用する。
なお、第1実施形態の変形例における作用効果は、第1実施形態の作用効果とほぼ同様
であることから、説明は省略する。
[第2実施形態]
図6は、第2実施形態の架構式構造における摩擦ダンパの正面図、図7は、摩擦ダンパ
の構造を表す図6のVII−VII断面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有す
る部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第2実施形態の架構式構造において、図6及び図7に示すように、摩擦ダンパ140は
、第1連結材70と第2連結材80との間で、第1柱10と第2柱20とを連結する減衰
部材として機能する。摩擦ダンパ140は、摩擦により振動エネルギーを減衰する。
摩擦ダンパ140は、作動部材として、所定厚さの平板材料で形成される第1連結部材
141と第2連結部材142を有する。摩擦ダンパ140は、第1柱10および第2柱2
0の長手方向であるZ方向と、第1柱10と第2柱20の並設方向であるX方向とに沿う
。すなわち、第1連結部材141および第2連結部材142の厚さ方向は、Y方向に平行
であり、Y方向における位置がウェブ13,23のY方向における位置とほぼ同じである
。摩擦ダンパ140は、第1連結部材141および第2連結部材142の作動時に発生す
る摩擦抵抗により振動エネルギーを減衰する。第1柱10と第2柱20は、第1連結部材
141および第2連結部材142により、第1柱10および第2柱20の長手方向である
Z方向と、第1柱10と第2柱20の並設方向であるX方向とに沿うXZ平面で相対移動
可能に連結される。
第1連結部材141は、一側部が第1柱10におけるフランジ12のウェブ13に対向
する位置に固定される。第2連結部材142は、一側部が第2柱20におけるフランジ2
1のウェブ23に対向する位置に固定される。第1連結部材141の他側部と、第2連結
部材142の他側部とは、矩形の平板形状をなす摩擦材143を介して重ねられ、複数の
連結軸144により相対移動自在に連結される。このとき、摩擦材143は、連結軸14
4の外径より大きい内径を有する貫通孔145が形成される。連結軸144は、ねじであ
って、先端部が第1連結部材141の貫通孔、摩擦材143の貫通孔145、第2連結部
材142の貫通孔に挿通し、ナット146が螺合される。このとき、連結軸144とナッ
ト146は、第1連結部材141と摩擦材143と第2連結部材142が所定の圧力で密
着するように締結力が調整される。なお、連結軸144の外径より大きい内径を有する貫
通孔を第1連結部材141や第2連結部材142に設けてもよい。
ここで、連結軸144は、XZ平面に直交するY方向に平行をなして設けられる。そし
て、第1連結部材141と第2連結部材142とは、摩擦材143を介して重なり、連結
軸144により締結され、この連結軸144により連結された連結部に摩擦抵抗発生部が
設けられる。すなわち、摩擦抵抗発生部は、第1連結部材141と摩擦材143との接触
面および第2連結部材142と摩擦材143との接触面である。第1連結部材141と第
2連結部材142とは、連結軸144と摩擦材143の貫通孔145との隙間量だけ摩擦
抵抗に打ち勝って相対移動可能である。
このように第2実施形態の架構式構造にあっては、H形鋼からなる第1柱10と、H形
鋼からなって第1柱10に間隔を空けて並設される第2柱20と、第1柱10と第2柱2
0とを連結する第1連結材70と、第1連結材70に間隔を空けて並設されて第1柱10
と第2柱20とを連結する第2連結材80と、第1連結材70と第2連結材80との間で
第1柱10と第2柱20とを連結すると共に摩擦により振動エネルギーを減衰する摩擦ダ
ンパ140とを備える。
そのため、地震によって建築物に水平力が作用した場合、第1連結材70および第2連
結材80(図1参照)により第1柱10および第2柱20の変形を抑制することができる
。一方で、摩擦ダンパ140により建築物に作用した水平力を減衰することができる。そ
の結果、層間変位(下階に対する上階の相対的な水平方向の変位)を低減することができ
、建築物の耐震性を向上させることができる。
すなわち、建築物にX方向の水平力が作用すると、例えば、第2連結材80により連結
された第1柱10および第2柱20の下部を支点として、第1連結材70により連結され
た第1柱10および第2柱20の上部がX方向に揺動する。このとき、第1柱10と第2
柱20は、上部が第1連結材70により連結され、下部が第2連結材80により連結され
ることから、フランジ12,21間の距離を維持しながら変形し、長手方向(Z方向)に
相対変位する。摩擦ダンパ140は、このZ方向の相対変位を吸収して減衰させる。つま
り、摩擦ダンパ140は、入力した外力により第1連結部材141と第2連結部材142
が連結軸144を支点として相対移動する。このとき、摩擦抵抗発生部としての第1連結
部材141と摩擦材143と第2連結部材142との各接触面で摩擦抵抗が発生する。こ
の摩擦抵抗が発生することで、第1連結部材141と第2連結部材142の作動時に各連
結部で摩擦力が作用し、振動エネルギーを吸収して減衰させる。
なお、第2実施形態の摩擦ダンパ140は、上述した構成に限定されるものではない。
図8は、第2実施形態の架構式構造における変形例を表す摩擦ダンパの正面図、図9は、
摩擦ダンパの構造を表す図8のIX−IX断面図である。
第2実施形態の変形例において、図8及び図9に示すように、摩擦ダンパ150は、第
1連結材70と第2連結材80との間で、第1柱10と第2柱20とを連結する減衰部材
として機能する。摩擦ダンパ150は、摩擦により振動エネルギーを減衰する。
摩擦ダンパ150は、作動部材として、所定厚さの平板材料で形成される第1連結部材
151と第2連結部材152を有する。摩擦ダンパ150は、第1柱10および第2柱2
0の長手方向であるZ方向と、第1柱10と第2柱20の並設方向であるX方向とに沿う
。摩擦ダンパ150は、第1連結部材151および第2連結部材152の作動時に発生す
る摩擦抵抗により振動エネルギーを減衰する。第1柱10と第2柱20は、第1連結部材
151および第2連結部材152により、第1柱10および第2柱20の長手方向である
Z方向と、第1柱10と第2柱20の並設方向であるX方向とに沿うXZ平面で相対移動
可能に連結される。
第1連結部材151は、一側部が第1柱10におけるフランジ12のウェブ13に対向
する位置に固定される。第2連結部材152は、一側部が第2柱20におけるフランジ2
1のウェブ23に対向する位置に固定される。第1連結部材151の他側部と、第2連結
部材152の他側部とは、矩形の平板形状をなす補強板153と共に重ねられ、複数の連
結軸154により相対移動自在に連結される。このとき、第2連結部材152は、連結軸
154の外径より大きい内径を有する貫通孔155が形成される。連結軸154は、ねじ
であって、先端部が第1連結部材151の貫通孔、第2連結部材152の貫通孔155、
補強板153の貫通孔に挿通し、ナット156が螺合される。このとき、連結軸154と
ナット156は、第1連結部材151と第2連結部材152と補強板153が所定の圧力
で密着するように締結力が調整される。なお、連結軸154の外径より大きい内径を有す
る貫通孔を第1連結部材151や補強板153に設けてもよい。
ここで、連結軸154は、XZ平面に直交するY方向に平行をなして設けられる。そし
て、第1連結部材151と第2連結部材152は、補強板153と共に重なり、連結軸1
54により締結され、この連結軸154により連結された連結部に摩擦抵抗発生部が設け
られる。すなわち、摩擦抵抗発生部は、第1連結部材151と第2連結部材152との接
触面および第2連結部材152と補強板153との接触面である。第1連結部材151と
第2連結部材152とは、連結軸154と第2連結部材152の貫通孔155との隙間量
だけ摩擦抵抗に打ち勝って相対移動可能である。
なお、第2実施形態の変形例における作用効果は、第2実施形態の作用効果とほぼ同様
であることから、説明は省略する。
[第3実施形態]
図10は、第3実施形態の架構式構造における摩擦ダンパの正面図、図11は、摩擦ダ
ンパの構造を表す図10のXI−XI断面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を
有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第3実施形態の架構式構造において、図10及び図11に示すように、摩擦ダンパ16
0は、第1連結材70と第2連結材80との間で、第1柱10と第2柱20とを連結する
減衰部材として機能する。摩擦ダンパ160は、摩擦により振動エネルギーを減衰する。
摩擦ダンパ160は、作動部材として、所定厚さの平板材料で形成される第1連結部材
161と第2連結部材162を有する。摩擦ダンパ160は、第1柱10および第2柱2
0の長手方向であるZ方向と、第1柱10と第2柱20の並設方向であるX方向とに沿う
。すなわち、第1連結部材161および第2連結部材162の厚さ方向は、Y方向に平行
であり、Y方向における位置がウェブ13,23のY方向における位置と同じである。摩
擦ダンパ160は、第1連結部材161および第2連結部材162の作動時に発生する摩
擦抵抗により振動エネルギーを減衰する。第1柱10と第2柱20は、第1連結部材16
1および第2連結部材162により、第1柱10および第2柱20の長手方向であるZ方
向と、第1柱10と第2柱20の並設方向であるX方向とに沿うXZ平面で相対移動可能
に連結される。
第1連結部材161は、一側部が第1柱10におけるフランジ12のウェブ13に対向
する位置に固定される。第2連結部材162は、一側部が第2柱20におけるフランジ2
1のウェブ23に対向する位置に固定される。第1連結部材161の他側部と、第2連結
部材162の他側部は、所定隙間を空け、接合板163,164に挟持され、第1連結軸
165および第2連結軸166により相対移動自在に連結される。すなわち、接合板16
3,164は、第1連結部材161および第2連結部材162を板厚方向の両側から重ね
られ、第1連結軸165により第1連結部材161と接合板163,164が締結され、
第2連結軸166により第2連結部材162と接合板163,164が締結される。
このとき、第1連結部材161および第2連結部材162は、第1連結軸165および
第2連結軸166の外径より大きい内径を有する貫通孔167,168が形成される。第
1連結軸165は、ねじであって、先端部が接合板163の貫通孔、第1連結部材161
の貫通孔167、接合板164の貫通孔に挿通し、ナット169が螺合される。第2連結
軸166は、ねじであって、先端部が接合板163の貫通孔、第2連結部材162の貫通
孔168、接合板164の貫通孔に挿通し、ナット170が螺合される。このとき、連結
軸165,166とナット169,170は、接合板163と第1連結部材161および
と第2連結部材162と接合板164が所定の圧力で密着するように締結力が調整される
。なお、連結軸165,166の外径より大きい内径を有する貫通孔を接合板163,1
64に設けてもよい。
ここで、連結軸165,166は、XZ平面に直交するY方向に平行をなして設けられ
る。そして、第1連結部材161および第2連結部材162は、2つの接合板163,1
64により挟持され、連結軸165,166により締結され、この連結軸165,166
により連結された連結部に摩擦抵抗発生部が設けられる。すなわち、摩擦抵抗発生部は、
第1連結部材161と接合板163,164との接触面および第2連結部材162と接合
板163,164との接触面である。第1連結部材161と第2連結部材162とは、連
結軸165,166と連結部材161,162の貫通孔167,168との隙間量だけ摩
擦抵抗に打ち勝って相対移動可能である。そのため、第1連結部材161と第2連結部材
162の作動時に各連結部で摩擦力が作用する。
このように第3実施形態の架構式構造にあっては、H形鋼からなる第1柱10と、H形
鋼からなって第1柱10に間隔を空けて並設される第2柱20と、第1柱10と第2柱2
0とを連結する第1連結材70と、第1連結材70に間隔を空けて並設されて第1柱10
と第2柱20とを連結する第2連結材80と、第1連結材70と第2連結材80との間で
第1柱10と第2柱20とを連結すると共に摩擦により振動エネルギーを減衰する摩擦ダ
ンパ160とを備える。
そのため、地震によって建築物に水平力が作用した場合、第1連結材70および第2連
結材80(図1参照)により第1柱10および第2柱20の変形を抑制することができる
。一方で、摩擦ダンパ160により建築物に作用した水平力を減衰することができる。そ
の結果、層間変位(下階に対する上階の相対的な水平方向の変位)を低減することができ
、建築物の耐震性を向上させることができる。
すなわち、建築物にX方向の水平力が作用すると、例えば、第2連結材80により連結
された第1柱10および第2柱20の下部を支点として、第1連結材70により連結され
た第1柱10および第2柱20の上部がX方向に揺動する。このとき、第1柱10と第2
柱20は、上部が第1連結材70により連結され、下部が第2連結材80により連結され
ることから、フランジ12,21間の距離を維持しながら変形し、長手方向(Z方向)に
相対変位する。摩擦ダンパ160は、このZ方向の相対変位を吸収して減衰させる。つま
り、摩擦ダンパ160は、入力した外力により第1連結部材161と第2連結部材162
が連結軸165,166を支点として相対移動する。このとき、摩擦抵抗発生部としての
第1連結部材161および第2連結部材162と接合板163,164との各接触面で摩
擦抵抗が発生する。この摩擦抵抗が発生することで、第1連結部材161と第2連結部材
162の作動時に各連結部で摩擦力が作用し、振動エネルギーを吸収して減衰させる。
なお、上述した第1実施形態では、摩擦ダンパとして、リンク部材を設けたが、リンク
部材の形状や個数について実施形態に限定されるものではない。また、上述した第2実施
形態及び第3実施形態では、摩擦ダンパとして、連結部材を設けたが、連結部材の形状や
個数についても実施形態に限定されるものではない。
また、上述した実施形態にて、摩擦ダンパを第1柱と第2柱の間で、第1連結材と第2
連結部材の中間位置に配置したが、この位置は、中間位置に限定されるものではなく、第
1連結材側または第2連結部材側に近づけて配置してもよい。
また、上述した実施形態にて、摩擦ダンパを第1連結材と第2連結部材の間に1個配置
したが、複数配置してもよい。図12は、摩擦ダンパの配置の変形例を表す概略図である
。図12に示すように、摩擦ダンパ400を第1柱10と第2柱20の間で、第1連結材
70と第2連結部材80の間に2個配置してもよく、3個以上配置してもよい。
1 架構式構造
10 第1柱
11,12 フランジ
13 ウェブ
15 リブ
20 第2柱
21,22 フランジ
23 ウェブ
25 リブ
30 第1上部梁
31,32 フランジ
33 ウェブ
40 第2上部梁
41,42 フランジ
43 ウェブ
50 第1下部梁
51,52 フランジ
53 ウェブ
60 第2下部梁
61,62 フランジ
63 ウェブ
70 第1連結材
71,72 フランジ
73 ウェブ
80 第2連結材
81,82 フランジ
83 ウェブ
90,130,140,150,160,400 摩擦ダンパ
91 第1リンク部材(移動部材)
92 第2リンク部材(移動部材)
93,94,133,134 取付板
95,165 第1連結軸
96,166 第2連結軸
97,143 摩擦材
98 第3連結軸
110 第3上部梁
111,112 フランジ
113 ウェブ
120 第3下部梁
121,122 フランジ
123 ウェブ
131,132 リンク部材
135,136、144,154 連結軸
141,151,161 第1連結部材
142,152,162 第2連結部材
145,155,167,168 貫通孔
146,156,169,170 ナット
153 補強板
163,164 接合板

Claims (12)

  1. 第1柱と、
    前記第1柱に間隔を空けて並設される第2柱と、
    前記第1柱と前記第2柱とを連結する第1連結材と、
    前記第1連結材に間隔を空けて並設されて前記第1柱と前記第2柱とを連結する第2連
    結材と、
    前記第1連結材と前記第2連結材との間で前記第1柱と前記第2柱とを連結すると共に
    摩擦により振動エネルギーを減衰する摩擦ダンパと、
    を備える架構式構造。
  2. 前記摩擦ダンパは、前記第1柱と前記第2柱とを相対移動可能に連結する作動部材を有
    し、前記作動部材の作動時に発生する摩擦抵抗により振動エネルギーを減衰する請求項1
    に記載の架構式構造。
  3. 前記作動部材は、前記第1柱および前記第2柱の長手方向と、前記第1柱と前記第2柱
    との並設方向とに沿う平面内で前記第1柱および前記第2柱に対して相対移動可能である
    請求項2に記載の架構式構造。
  4. 前記作動部材は、前記第1柱と前記第2柱を連結するリンク部材を有し、前記リンク部
    材は、長手方向の一端部が前記平面に直交する第1連結軸により前記第1柱に連結され、
    長手方向の他端部が前記平面に直交する第2連結軸により前記第2柱に連結され、前記リ
    ンク部材の一端部と前記第1柱との連結部および前記リンク部材の他端部と前記第2柱と
    の連結部に摩擦抵抗発生部が設けられる請求項3に記載の架構式構造。
  5. 前記作動部材は、第1リンク部材と第2リンク部材を有し、前記第1リンク部材は、長
    手方向の一端部が前記平面に直交する第1連結軸により前記第1柱に連結され、前記第2
    リンク部材は、長手方向の一端部が前記平面に直交する第2連結軸により前記第2柱に連
    結され、前記第1リンク部材の他端部と前記第2リンク部材の他端部は、厚さ方向に重な
    って前記平面に直交する第3連結軸により連結され、前記第1リンク部材の他端部と前記
    第2リンク部材の他端部との連結部に摩擦抵抗発生部が設けられる請求項3に記載の架構
    式構造。
  6. 前記作動部材は、前記第1柱に固定される第1連結部材と、前記第2柱に固定される第
    2連結部材を有し、前記第1連結部材と前記第2連結部材は、厚さ方向に重なって前記平
    面に直交する連結軸により相対移動可能に連結され、前記第1連結部材と前記第2連結部
    材との連結部に摩擦抵抗発生部が設けられる請求項3に記載の架構式構造。
  7. 前記作動部材は、前記第1柱に固定される第1連結部材と、前記第2柱に固定される第
    2連結部材を有し、前記第1連結部材と前記第2連結部材は、一対の接合部材により挟持
    され、前記一対の接合部材は、一端部が前記平面に直交する第1連結軸により前記第1連
    結部材に相対移動可能に連結され、他端部が前記平面に直交する第2連結軸により前記第
    2連結部材に相対移動可能に連結され、前記一対の接合部材の一端部と前記第1連結部材
    との連結部および前記一対の接合部材の他端部と前記第2連結部材との連結部に摩擦抵抗
    発生部が設けられる請求項3に記載の架構式構造。
  8. 前記連結部に摩擦材が設けられる請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の架構式
    構造。
  9. 前記連結部に補強部材が設けられる請求項4から請求項8のいずれか1項に記載の架構
    式構造。
  10. 前記摩擦ダンパは、前記第1柱および前記第2柱に対して着脱自在に設けられる請求項
    1から請求項9のいずれか1項に記載の架構式構造。
  11. 前記第1柱と前記第2柱は、前記摩擦ダンパに対向する位置にリブが設けられる請求項
    1から請求項10のいずれか1項に記載の架構式構造。
  12. 前記第1柱および前記第2柱は、前記第1連結材の連結位置と反対側の位置に上部梁が
    固定され、前記第1柱および前記第2柱は、前記第2連結材の連結位置と反対側の位置に
    下部梁が固定される請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の架構式構造。
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