JP5975798B2 - ダンパー - Google Patents

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本発明は、建物を制振するダンパーに関する。
架構(構面内)に接合されたブレース材には、鋼管からなる補剛材が摩擦抵抗なしの状態で外挿され、ブレース材の座屈が防止されている(例えば、特許文献1参照)。
このブレース材は、建物の架構に比較して降伏応力度が同等、若しくは小さい材料で形成されたプレート状の芯材を備えている。そして、芯材の中央部には塑性部が設けられており、補剛材で塑性部の座屈を防止し、エネルギー吸収機能を発揮させている。
ここで、特許文献1の構成では、プレート状の芯材の座屈を補剛材の管壁の剛性で抑えなければならず、鋼管をある程度以上の厚さとする必要があった。
一方、ブレース材をH形断面で構成した場合は、横方向の座屈を補剛材の全断面の曲げ剛性で抑えるため、鋼管の板厚を薄くすることができる。しかし、建物の小変形時(一例として、層間変形角で1/1500〜1/1000の変形時)から制振効果を得ることが難しかった。
実開平5−57110号 特開2006−176996号 特開2003−314080号
本発明は、係る事実を考慮し、H形断面鋼のブレース材に耐力差を設け、建物の小変形時から制振効果を得られるダンパーを得ることを目的とする。
本発明の請求項1に係るダンパーは、建物の構面内に取り付けられたH形断面鋼のブレース材と、前記ブレース材を囲み該ブレース材のフランジとの間にクリアランスが設けられた補剛管と、前記ブレース材の軸方向中間部に設けられ、前記ブレース材の両端部に比べて前記フランジの幅が狭くされた耐力低減部と、前記補剛管の内側に前記耐力低減部とクリアランスをあけて設けられた座屈補剛材と、を有する。
上記構成によれば、耐力低減部は、フランジの幅がブレース材の両端部のフランジの幅よりも狭いため、ブレース材の両端部よりも軸力に対する耐力が低減されている。ここで、小地震等により建物が小変形するとき、H形断面鋼のブレース材の軸方向両端部に対して耐力差のある(耐力が低減された)耐力低減部が、塑性変形しながら振動エネルギーを吸収する。これにより、建物の小変形時から制振効果を得ることができる。
さらに、上記構成によれば、大地震等により建物が大きく変形するときは、座屈補剛材によって小変形時から座屈することなくブレース材の塑性変形が続くので、安定したエネルギー吸収能力を発揮できる。なお、フランジの幅が狭くされた耐力低減部とは、ブレース材のフランジの幅が狭くされたものだけでなく、ブレース材のフランジ(上フランジ、下フランジ)が取り除かれてウェブのみとなったものも含んでいる。
本発明の請求項2に係るダンパーは、前記耐力低減部は、低降伏点鋼、若しくは普通鋼で形成され、両端部が前記ブレース材のウェブに溶接され、上下辺部が前記ブレース材の前記フランジに溶接されている。
上記構成によれば、低降伏点鋼、若しくは普通鋼の両端部がブレース材のウェブに溶接されるだけでなく、低降伏点鋼、若しくは普通鋼の上下辺部もブレース材(フランジ)に溶接されるので、低降伏点鋼、若しくは普通鋼の溶接面積が大きくなる。このため、低降伏点鋼、若しくは普通鋼とブレース材の接合部の接合強度、および疲労強度を上げることができる。
本発明の請求項3に係るダンパーは、前記座屈補剛材は、前記耐力低減部のウェブの上下端部の両面又は幅狭のフランジの両端面と対向する一対の横方向座屈補剛板と、前記ウェブの上下端部の上端面と下端面、又は幅狭のフランジの上下面とそれぞれ対向する縦方向座屈補剛棒と、を有する。
上記構成によれば、耐力低減部の横方向の座屈変形は、横方向座屈補剛板によって拘束される。さらに、耐力低減部の縦方向の座屈変形は、縦方向座屈補剛棒によって拘束される。これにより、建物が大きく変形しても、耐力低減部で生じる縦方向及び横方向の座屈を防止することができる。
本発明は、上記構成としたので、H形断面鋼のブレース材に耐力差を設け、建物の小変形時から制振効果を得られるダンパーを得ることができる。
第1実施形態に係るダンパーを建物の構面内に取り付けた状態を示す立面図である。 (A)第1実施形態に係るダンパーの軸方向に沿った立断面図である。(B)、(C)第1実施形態に係るダンパーの軸方向と直交する方向の立断面図((A)におけるA−A´、B−B´の2箇所)である。 (A)第1実施形態に係るダンパーの接合部の平面図である。(B)第1実施形態に係るダンパーの接合部の立面図である。 (A)、(B)、(C)第1実施形態に係るダンパーの組み立て手順を示す軸方向と直交する方向の立断面図である。 第1実施形態に係るダンパー及び比較例のダンパーについて、建物の層間変形角に対するブレース耐力/降伏耐力の変化の履歴特性を示したグラフである。 (A)第2実施形態に係るダンパーの平断面図である。(B)第2実施形態に係るダンパーの立断面図である。 (A)、(B)、(C)第2実施形態に係るダンパーの軸方向と直交する方向の立断面図(図6(B)におけるC−C´、D−D´、E−E´の3箇所)である。 (A)、(B)第2実施形態の変形例であるダンパーの軸方向と直交する方向の立断面図である。 (A)第3実施形態に係るダンパーの平断面図である。(B)第3実施形態に係るダンパーの立断面図である。 (A)、(B)、(C)第3実施形態に係るダンパーの軸方向と直交する方向の立断面図(図9(B)におけるF−F´、G−G´、H−H´の3箇所)である。 (A)第3実施形態に係るダンパーの変形例の平断面図である。(B)第3実施形態に係るダンパーの変形例の立断面図である。 (A)、(B)第3実施形態に係るダンパーの変形例の軸方向と直交する方向の立断面図(図11(B)におけるI−I´、J−J´の2箇所)である。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係るダンパーの一例について説明する。
(全体構成)
図1には、第1実施形態のダンパー10(一例として、2つのダンパー10A、10B)が、構造物としての建物20の構面18内に取り付けられた状態が示されている。なお、建物20を正面視して、図中のH方向が水平方向、V方向が鉛直方向、Z方向が奥行き方向、−Z方向が手前方向に相当している。
建物20では、H型鋼製の梁部材12及び柱部材14により架構16が形成されている。また、架構16の一つの構面18には、下部左側の隅部に1箇所、下部右側の隅部に1箇所、及び上部中央に2箇所の合計4箇所に、ダンパー10と架構16との接合部22A、22B、22C、及び22Dが設けられている。接合部22A、22B、22C、22Dは、それぞれ同様の構成となっている。
接合部22A、22Cには、ダンパー10Aの長さ方向(軸方向)の両端部が接合されており、接合部22B、22Dには、ダンパー10Bの軸方向の両端部が接合されている。なお、ダンパー10A、10Bは同様の構成であるため、以後の説明ではダンパー10としてA、Bの符号を省略して説明する。
図2(A)に示すように、ダンパー10は、構面18内(図1参照)に軸方向両端部が取り付けられたブレース材30と、ブレース材30を囲む補剛管34と、ブレース材30の軸方向中間部に設けられた耐力低減部40と、補剛管34の内側に耐力低減部40とクリアランスをあけて設けられた座屈補剛材50と、を有している。ここで、ダンパー10を正面視して、軸方向(図示の右方向)をX方向とし、軸方向及び既述のZ方向と直交する方向をY方向(高さ方向)とする。また、X、Y方向とは逆方向を−X、−Y方向とする。
(ブレース材)
ブレース材30は、−X方向側の端部を構成するブレース材32と、X方向側の端部を構成するブレース材33とを有している。そして、ブレース材30は、−X方向側からX方向側へ向けて、ブレース材32、耐力低減部40、及びブレース材33が、同軸上で一体とされた構成となっている。
図2(B)に示すように、ブレース材32は、H形断面鋼(一例として鋼材SN400)で構成されており、Y方向に直立配置される板状のウェブ32Aと、ウェブ32Aの上端、下端からそれぞれ幅方向(Z方向)両側に張り出した上フランジ32B、下フランジ32Cとを有している。ウェブ32AのZ方向の厚みはdとなっている。また、ブレース材32は、−X方向側の端部が接合部22A(図1参照)にボルト65(図3(A)参照)で接合されている。
さらに、図2(A)に示すように、ブレース材32は、X方向側の端部において、ウェブ32AがX方向に長さL1で取り除かれた形状となっている。即ち、ブレース材32のX方向側の端部では、上フランジ32B及び下フランジ32Cが、ウェブ32AよりもX方向に延びている。そして、ウェブ32AのX方向側の端面32Dに耐力低減部40の−X方向側の端部が溶接されている。
ブレース材33は、ブレース材32と同様にH形断面鋼(一例としてSN400)で構成されており、Y方向に直立配置される板状のウェブ33Aと、ウェブ33Aの上端、下端からそれぞれ幅方向(Z方向)両側に張り出した上フランジ33B、下フランジ33Cとを有している。ウェブ33AのZ方向の厚みはdとなっている。また、ブレース材33は、X方向側の端部が接合部22C(図1参照)にボルト65(図3(A)参照)で接合されている。
さらに、ブレース材33は、−X方向側の端部において、ウェブ33AがX方向に長さL1で取り除かれた形状となっている。即ち、ブレース材33の−X方向側の端部では、上フランジ33B及び下フランジ33Cが、ウェブ33Aよりも−X方向に延びている。そして、ウェブ33Aの−X方向側の端面33Dに耐力低減部40のX方向側の端部が溶接されている。なお、ウェブ32Aとウェブ33A、上フランジ32Bと上フランジ33B、下フランジ32Cと下フランジ33Cは、それぞれ同一平面上に配置されている。
図3(B)に示すように、接合部22Cは、一例として、架構16(図1参照)の隅部でY方向に直立配置された板状のガセットプレート62と、ガセットプレート62の上端、下端からそれぞれ幅方向(Z方向)両側に張り出すように溶接された板状の上ウィングプレート63、下ウィングプレート64とを有している。また、ガセットプレート62には、Z方向に貫通した複数の貫通孔(図示省略)が形成されており、上ウィングプレート63及び下ウィングプレート64には、Y方向に貫通した複数の貫通孔(図示省略)が形成されている。これらの貫通孔の孔径は、ボルト65を挿通可能な大きさとなっている。
一方、ブレース材33のウェブ33Aには、Z方向に貫通した複数の貫通孔(図示省略)が形成されており、上フランジ33B及び下フランジ33Cには、Y方向に貫通した複数の貫通孔(図示省略)が形成されている。これらの貫通孔の孔径は、ボルト65を挿通可能な大きさとなっている。
ブレース材33は、ウェブ33Aとガセットプレート62、上フランジ33Bと上ウィングプレート63、下フランジ33Cと下ウィングプレート64が、それぞれ同一平面上に配置された状態で、接合部22Cに接合されている。
詳細には、ブレース材33のX方向側の端面とガセットプレート62の−X方向側の端面とが接触しており、上フランジ33Bの高さと上ウィングプレート63の高さ、下フランジ33Cの高さと下ウィングプレート64の高さが、それぞれ揃えられている。そして、図3(A)に示すように、上フランジ33B及び上ウィングプレート63に跨って、これらの上面、下面に取付プレート66が配置されている。
同様に、図3(B)に示すように、下フランジ33C及び下ウィングプレート64に跨って、これらの上面、下面に取付プレート66が配置されている。さらに、ウェブ33A及びガセットプレート62に跨って、これらのZ方向側、−Z方向側の両面に取付プレート68が配置されている。なお、取付プレート66、68には、いずれもボルト65を挿通可能な大きさの孔径の貫通孔(図示省略)が、厚み方向に形成されている。
ここで、取付プレート66、68の各貫通孔の孔壁とブレース材33の各貫通孔の孔壁とを連通させた状態で、ボルト65を挿通し、ボルト65にナット67を締結する。さらに、取付プレート66、68の各貫通孔の孔壁と接合部22Cの各貫通孔の孔壁とを連通させた状態で、ボルト65を挿通し、ボルト65にナット67を締結する。このようにして、接合部22Cにブレース材33のX方向側の端部が取り付けられている。なお、既述のように、接合部22A、22B、22D(図1参照)は、接合部22Cと同様の構成であるため、説明を省略する。
(耐力低減部)
図2(A)に示すように、耐力低減部40は、ブレース材32、33と降伏点が同等、若しくは低い鋼材(一例としてLY225)である厚みdの板材で構成されている。また、耐力低減部40は、−X方向側の端部を構成する第1取付部40Aと、X方向側の端部を構成する第2取付部40Bと、第1取付部40Aと第2取付部40Bとの間を構成するウェブ40Cとを有している。そして、X方向における第1取付部40Aの長さがL1、第2取付部40Bの長さがL1、ウェブ40Cの長さがL2(>L1)となっている。
第1取付部40Aは、Y方向側の上端面40D(上辺部)と、−X方向側の端面40E(端部)と、−Y方向側の下端面40F(下辺部)とを有している。また、第1取付部40Aは、下端面40Fから上端面40Dまでの長さ(幅)が、下フランジ32Cの上面から上フランジ32Bの下面までの長さとほぼ同じ長さとなっており、下フランジ32Cと上フランジ32Bとの間に嵌め込まれている。そして、第1取付部40Aは、上端面40Dと上フランジ32Bの下面とが溶接され、端面40Eとウェブ32Aの端面32Dとが溶接され、下端面40Fと下フランジ32Cの上面とが溶接されることで、ブレース材32と一体化されている。
第2取付部40Bは、Y方向側の上端面40G(上辺部)と、X方向側の端面40H(端部)と、−Y方向側の下端面40I(下辺部)とを有している。また、第2取付部40Bは、下端面40Iから上端面40Gまでの長さ(幅)が、下フランジ33Cの上面から上フランジ33Bの下面までの長さとほぼ同じ長さとなっており、下フランジ33Cと上フランジ33Bとの間に嵌め込まれている。そして、第2取付部40Bは、上端面40Gと上フランジ33Bの下面とが溶接され、端面40Hとウェブ33Aの端面33Dとが溶接され、下端面40Iと下フランジ33Cの上面とが溶接されることで、ブレース材33と一体化されている。
ウェブ40Cは、Y方向の長さ(幅)が、第1取付部40A及び第2取付部40BのY方向の長さよりも短くなっている。即ち、ウェブ40Cは、第1取付部40A及び第2取付部40Bに比べて、Y方向における上端部及び下端部が凹状且つ均等に(Y方向で対称に)切り欠かれた形状となっている。
(補剛管)
図2(B)に示すように、補剛管34は、Y方向に間隔をあけて配置された板状の上壁部34A、下壁部34Bと、Z方向に間隔をあけて配置された板状の側壁部34C、34Dとを有している。上壁部34A及び下壁部34Bは、X−Z面に沿って配置されており、側壁部34C、34Dは、X−Y面に沿って配置されている。なお、補剛管34は、一例として、上壁部34A及び下壁部34BのZ方向側、−Z方向側の両端面に側壁部34C、34Dの対向面が溶接されており、X方向に見て断面が矩形状の筒体とされている。そして、補剛管34は、ブレース材30を囲んでいる。
図2(A)、(B)に示すように、補剛管34は、ブレース材32と対向する部位において、上壁部34Aの下面と上フランジ32Bの上面とのクリアランスがC1、下壁部34Bの上面と下フランジ32Cの下面とのクリアランスがC2となっている。そして、Z方向側の側壁部34Dの内側面と、上フランジ32B及び下フランジ32CのZ方向側の端面とのクリアランスがC3となっている。
なお、−Z方向側における補剛管34とブレース材32とのクリアランスは、Z方向側と同様であるため、以後はZ方向側について説明し、−Z方向側の説明を省略する。さらに、ブレース材32とブレース材33は同様の構成であるため、補剛管34とブレース材33とが対向する部位の説明を省略する。
(座屈補剛材)
図2(C)に示すように、補剛管34には、耐力低減部40と対向する部位において、耐力低減部40の座屈を抑制するための座屈補剛材50が設けられている。
座屈補剛材50は、ウェブ40CのY方向上端部と対向する上座屈補剛板51と、ウェブ40CのY方向下端部と対向する下座屈補剛板54と、ウェブ40CのY方向中央部で−Z方向側の側面41と対向する左座屈補剛板57と、ウェブ40CのY方向中央部でZ方向側の側面42と対向する右座屈補剛板58と、を有している。
上座屈補剛板51は、ウェブ40Cの側面41、42と対向する一対の横方向座屈補剛板52A、52Bと、ウェブ40CのY方向の上端面43と対向する縦方向座屈補剛棒53と、を有している。また、下座屈補剛板54は、ウェブ40Cの側面41、42と対向する一対の横方向座屈補剛板55A、55Bと、ウェブ40CのY方向の下端面44と対向する縦方向座屈補剛棒56と、を有している。
横方向座屈補剛板52A、52Bは、X−Y面に沿って配置され、Y方向上端部が補剛管34の上壁部34Aの下面に溶接されている。また、横方向座屈補剛板52A、52Bは、ウェブ40Cの側面41、42とのクリアランスがそれぞれC4となっている。
縦方向座屈補剛棒53は、丸鋼で構成され、Z方向を軸方向として配置され、外周面の一部が補剛管34の上壁部34Aの下面中央に溶接されている。また、縦方向座屈補剛棒53は、横方向座屈補剛板52A、52Bの間に配置されており、Y−Z面の直径が、横方向座屈補剛板52A、52BのY方向の長さよりも短くなるように設定されている。さらに、縦方向座屈補剛棒53は、ウェブ40Cの上端面43とのクリアランスがC5となっている。
横方向座屈補剛板55A、55Bは、X−Y面に沿って配置され、Y方向下端部が補剛管34の下壁部34Bの上面に溶接されている。また、横方向座屈補剛板55A、55Bは、ウェブ40Cの側面41、42とのクリアランスがそれぞれC4となっている。
縦方向座屈補剛棒56は、丸鋼で構成され、Z方向を軸方向として配置され、外周面の一部が補剛管34の下壁部34Bの上面中央に溶接されている。また、縦方向座屈補剛棒56は、横方向座屈補剛板55A、55Bの間に配置されており、Y−Z面の直径が、横方向座屈補剛板55A、55BのY方向の長さよりも短くなるように設定されている。さらに、縦方向座屈補剛棒56は、ウェブ40Cの下端面44とのクリアランスがC5となっている。
左座屈補剛板57は、矩形状の板材であり、−Z方向の端部が、補剛管34の側壁部34CのY方向中央におけるZ方向側の側面に溶接されている。そして、左座屈補剛板57は、ウェブ40Cに向けてZ方向に延びており、左座屈補剛板57のZ方向の端面と、ウェブ40Cの側面41とのクリアランスがC4(図示省略)となっている。
右座屈補剛板58は、矩形状の板材であり、Z方向の端部が、補剛管34の側壁部34DのY方向中央における−Z方向側の側面に溶接されている。そして、右座屈補剛板58は、ウェブ40Cに向けて−Z方向に延びており、右座屈補剛板58の−Z方向の端面と、ウェブ40Cの側面42とのクリアランスがC4となっている。
(ダンパーの組み立て手順)
図1に示すように、建物20の架構16の寸法に合わせてブレース材30を製作する。詳細には、図2(A)に示すように、初めに耐力低減部40をブレース材32のX方向端部のウェブ32Aの端面40Eに溶接し、次にブレース材32の上フランジ32B、下フランジ32Cを、耐力低減部40の上端面40D及び下端面40Fに溶接する。同様に、耐力低減部40をブレース材33の−X方向端部のウェブ33Aの端面40Hに溶接し、次にブレース材33の上フランジ33B、下フランジ33Cを、耐力低減部40の上端面40G及び下端面40Iに溶接する。
一方、図4(A)に示すように、上壁部34Aの下面に縦方向座屈補剛棒53の外周面の一部を溶接した後、縦方向座屈補剛棒53を挟むように横方向座屈補剛板52A、52Bを配置して、上壁部34Aの下面に横方向座屈補剛板52A、52Bの上端部を溶接する。同様に、下壁部34Bの上面に縦方向座屈補剛棒56の外周面の一部を溶接した後、縦方向座屈補剛棒56を挟むように横方向座屈補剛板55A、55Bを配置して、下壁部34Bの上面に横方向座屈補剛板55A、55Bの下端部を溶接する。
続いて、図4(B)に示すように、横方向座屈補剛板52Aと横方向座屈補剛板52Bとの間にウェブ40Cの上端部が位置するように上壁部34Aを配置する。そして、横方向座屈補剛板55Aと横方向座屈補剛板55Bとの間にウェブ40Cの下端部が位置するように下壁部34Bを配置する。なお、上壁部34Aと下壁部34Bは、支持部材(図示省略)によって支持されており、ウェブ40Cとの接触が抑制されている。
続いて、図4(C)に示すように、左座屈補剛板57が溶接された側壁部34Cを上壁部34A及び下壁部34Bの一端側に溶接し、右座屈補剛板58が溶接された側壁部34Dを上壁部34A及び下壁部34Bの他端側に溶接する。これにより、ブレース材30の耐力低減部40を囲む補剛管34が出来上がり、ダンパー10が出来上がる。なお、図示を省略するが、補剛管34の完成後、補剛管34の一方端の開口部に鍔(ツバ)を設け、ブレース材30の端部にストッパー部材を設けて、鍔とストッパー部材を接触させることで、補剛管34の偏りが防止されている。
続いて、図1に示すように、ブレース材30(ダンパー10A)の両端部をボルト65及びナット67(図3(A)参照)を用いて、接合部22A、22Cに接合する。同様に、ブレース材30(ダンパー10B)の両端部をボルト65及びナット67(図3(A)参照)を用いて、接合部22B、22Dに接合する。これにより、構面18内にダンパー10A、10Bが取り付けられる。
(作用)
次に、第1実施形態の作用について説明する。
図1において、地震により建物20の架構16が変形し、ダンパー10のブレース材30に対して引張力が作用した場合は、ブレース材30の引張耐力によって架構16の変形が抑えられる。また、ダンパー10に対して圧縮力が作用した場合は、補剛管34が、ブレース材30の座屈変形を抑制する。そして、ブレース材30の圧縮耐力によって架構16の変形が抑制される。このように、ダンパー10は、引張力及び圧縮力に耐力を持っている。
詳細には、図2(A)〜(C)に示すように、ブレース材30の軸方向中間部に位置する耐力低減部40は、Z方向の幅がブレース材30の両端部の上フランジ32B、下フランジ32C、上フランジ33B、下フランジ33CのZ方向の幅よりも狭いため、ブレース材30の両端部よりも軸力に対する耐力が低減されている(耐力差が設けられている)。ここで、小地震等により建物20(図1参照)が小変形するとき、ブレース材30の軸方向両端部に対して耐力が低減された耐力低減部40が、塑性変形しながら振動のエネルギーを吸収する。これにより、建物20の小変形時から制振効果を得ることができる。
また、図2(A)に示すように、ダンパー10は、耐力低減部40において、低降伏点鋼、若しくは普通鋼の両端部がブレース材32、33のウェブ32A、33Aに溶接されるだけでなく、低降伏点鋼、若しくは普通鋼の上下辺部もブレース材32、33の上フランジ32B、下フランジ32C、上フランジ33B、下フランジ33Cに溶接されている。これにより、耐力低減部40の低降伏点鋼、若しくは普通鋼の溶接面積が大きくなるので、耐力低減部40とブレース材32、33との接合部の接合強度、および疲労強度を上げることができる。
さらに、図2(C)に示すように、ダンパー10は、大地震等により建物20(図1参照)が大きく変形するときは、耐力低減部40のZ方向、−Z方向(横方向)の変形が、横方向座屈補剛板52A、52B、55A、55Bとの接触によって拘束される。さらに、耐力低減部40のY方向、−Y方向(縦方向)の変形が、縦方向座屈補剛棒53、56との接触によって拘束される。これにより、耐力低減部40で生じる縦方向及び横方向の座屈を防止することができる。
そして、ダンパー10は、座屈補剛材50(横方向座屈補剛板52A、52B、55A、55B、縦方向座屈補剛棒53、56)によって、ブレース材30の塑性変形が小変形時から座屈することなく続くので、安定したエネルギー吸収能力を発揮できる。なお、ブレース材30の両端部を構成するブレース材32、33は、弾性状態を保っている。
図5には、本実施形態のダンパー10(図1参照)と比較例のダンパー(図示省略)について、建物20の層間変形角に対するブレース耐力/降伏耐力の変化を評価した結果が、グラフ(履歴曲線)で示されている。比較例のダンパーは、耐力低減部40(図2(A)参照)が無く、ブレース材が1本のH形断面鋼で構成されているものである。
なお、層間変形角とは、建物20のユニット高さをhとし、層間変形量(長さ)をδとしたときに、δ/hで示される角度である。また、耐力とは、弾性変形から塑性変形に変化するときの応力である。また、本実施形態(ダンパー10)のグラフG1は、太い実線で示されており、比較例のグラフG2は、細い破線で示されている。さらに、本実施形態のグラフG1における弾性領域の傾きがグラフG3の直線(点線)で表されており、比較例のグラフG2における弾性領域の傾きがグラフG4の直線(点線)で表されている。
グラフG3、G4において、ブレース耐力/降伏耐力がT(一例として、0.5<T<1)のときの本実施形態のダンパー10の層間変形角をθ1、比較例のダンパーの層間変形角をθ2とすると、θ1<θ2となった。即ち、本実施形態のダンパー10が、比較例のダンパーに比べて、建物20の小変形時から制振効果を得られることが確認された。
グラフG2について、層間変形角(θとする)がθ1<θ<θ2の範囲では、比較例のダンパーの特性が、ほぼ弾性領域に存在するため、エネルギー吸収能力がほぼゼロとなることが確認された。一方、グラフG1について、層間変形角θがθ1<θ<θ2の範囲では、本実施形態のダンパー10の特性が、ほぼ塑性領域に存在するため、エネルギー吸収能力が有ることが確認された。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るダンパーの一例について説明する。
第2実施形態のダンパー80は、前述した第1実施形態の建物20において、ダンパー10に換えて設けられている。なお、建物20の構成は第1実施形態と同様であるため、第2実施形態においても建物20として記載する。また、X、Y、Z、−X、−Y、−Z方向については、第1実施形態と同様である。
図6(A)、(B)に示すように、ダンパー80は、構面18内(図1参照)に軸方向両端部が取り付けられたブレース材82と、ブレース材82を囲む補剛管88と、ブレース材82の軸方向(X方向)中間部に設けられた耐力低減部90と、補剛管88の内側に耐力低減部90とクリアランスをあけて設けられた座屈補剛材87と、を有している。
(ブレース材)
ブレース材82は、−X方向側の端部を構成するブレース材83と、X方向側の端部を構成するブレース材84とを有している。そして、ブレース材82は、−X方向側からX方向側へ向けて、ブレース材83、耐力低減部90、及びブレース材84が、同軸上で一体とされた構成となっている。
図7(A)に示すように、ブレース材83は、H形断面鋼(一例としてSS400)で構成されており、ウェブ83Aと、ウェブ83Aの上端、下端からそれぞれ幅方向(Z方向)両側に張り出した上フランジ83B、下フランジ83Cとを有している。また、ブレース材83は、−X方向側の端部が接合部22A(図1参照)にボルト65(図3(A)参照)で接合されている。
なお、図7(B)に示すように、ブレース材83における補剛管88が外挿された部位では、上フランジ83Bの上面、上フランジ83BのZ方向両端面、下フランジ83Cの下面、及び下フランジ83CのZ方向両端面と、補剛管88の内面との間にクリアランスが設けられている。
さらに、図6(A)に示すように、ブレース材83は、X方向側の端部において、ウェブ83AがX方向に長さL3で取り除かれた形状となっている。そして、図6(B)に示すように、ウェブ83AのX方向側の端面83Dに耐力低減部90の−X方向側の端部が溶接されている。加えて、ブレース材83は、上フランジ83B及び下フランジ83CのX方向側の端部におけるZ方向の幅及びY方向の厚みの大きさが、耐力低減部90の上フランジ90B及び下フランジ90Cの大きさに合わせて、−X方向側よりも小さくなっている。
ブレース材84は、H形断面鋼(一例としてSS400)で構成されており、ウェブ84Aと、ウェブ84Aの上端、下端からそれぞれ幅方向(Z方向)両側に張り出した上フランジ84B、下フランジ84Cとを有している。また、ブレース材84は、X方向側の端部が接合部22C(図1参照)にボルト65(図3(A)参照)で接合されている。そして、ブレース材84は、ブレース材83と同様に、補剛管88の内面との間にクリアランスが設けられている。
さらに、図6(A)に示すように、ブレース材84は、−X方向側の端部において、ウェブ84AがX方向に長さL3で取り除かれた形状となっている。そして、図6(B)に示すように、ウェブ84Aの−X方向側の端面84Dに耐力低減部90のX方向側の端部が溶接されている。加えて、ブレース材84は、上フランジ84B及び下フランジ84Cの−X方向側の端部におけるZ方向の幅及びY方向の厚みの大きさが、耐力低減部90の上フランジ90B及び下フランジ90Cの大きさに合わせて、−X方向側よりも小さくなっている。
(耐力低減部)
図6(A)、(B)、及び図7(C)に示すように、耐力低減部90は、ブレース材83、84よりも低降伏点鋼、若しくは普通鋼(一例としてLY225)で形成されたI形鋼で構成されている。
詳細には、耐力低減部90は、ウェブ90Aと、ウェブ90Aの上端、下端からそれぞれ幅方向(Z方向)両側に張り出した上フランジ90B、下フランジ90Cとを有している。そして、耐力低減部90における上フランジ90B及び下フランジ90CのZ方向の幅は、ブレース材83、84の両端部(耐力低減部90との接合部位を除く)のZ方向の幅に比べて狭くされている。なお、ウェブ90AのZ方向の厚みは、ウェブ83A、84AのZ方向の厚みよりも薄くなっている。
また、耐力低減部90には、ウェブ90Aの−X方向側の端部が、上フランジ90B及び下フランジ90Cよりも−X方向側へ台形状に突出しており、第1取付部92が形成されている。同様に、耐力低減部90には、ウェブ90AのX方向側の端部が、上フランジ90B及び下フランジ90CよりもX方向側へ台形状に突出しており、第2取付部93が形成されている。
第1取付部92は、上端面と上フランジ83Bの下面とが溶接され、−X方向側の端面とウェブ83Aの端面83Dとが溶接され、下端面と下フランジ83Cの上面とが溶接されることで、ブレース材83と一体化されている。同様に、第2取付部93は、上端面と上フランジ84Bの下面とが溶接され、X方向側の端面とウェブ84Aの端面84Dとが溶接され、下端面と下フランジ84Cの上面とが溶接されることで、ブレース材84と一体化されている。
さらに、図6(B)に示すように、上フランジ90Bの−X方向端面と上フランジ83BのX方向端面、上フランジ90BのX方向端面と上フランジ84Bの−X方向端面、下フランジ90Cの−X方向端面と下フランジ83CのX方向端面、及び下フランジ90CのX方向端面と下フランジ84Cの−X方向端面がそれぞれ溶接されることで、ブレース材83、84と耐力低減部90とが一体化されている。そして、ブレース材82では、X方向において、ウェブ同士の接合位置とフランジ同士の接合位置とがずれている。
(補剛管)
図7(C)に示すように、補剛管88は、一例として、SS400で構成され、Y方向に間隔をあけて配置された板状の上壁部88A、下壁部88Bと、Z方向に間隔をあけて配置された板状の側壁部88C、88Dとを有している。そして、上壁部88A及び下壁部88BのZ方向側、−Z方向側の両端面に側壁部88C、88Dの対向面が溶接されており、X方向に見て断面が矩形状の筒体とされている。そして、補剛管88は、ブレース材82を囲んでいる。
また、補剛管88は、耐力低減部90と対向する部位において、上壁部88AにY方向に貫通した貫通孔89A、89Bが形成され、下壁部88BにY方向に貫通した貫通孔89C、89Dが形成されている。貫通孔89Aと貫通孔89Bは、X方向に長い長孔であり、Z方向に間隔をあけて配置されている。貫通孔89Cと貫通孔89Dは、X方向に長い長孔であり、Z方向に間隔をあけて配置されている。そして、貫通孔89Aと貫通孔89CがY方向で対向しており、貫通孔89Bと貫通孔89DがY方向で対向している。
(座屈補剛材)
補剛管88には、座屈補剛材87が設けられている。座屈補剛材87は、一例として、SS400で構成された座屈補剛板87A、87Bを有しており、座屈補剛板87A、87Bの上端及び下端は、上壁部88A、下壁部88BよりもY方向側、−Y方向側に突出されている。ここで、貫通孔89A及び貫通孔89Cに座屈補剛板87Aが挿通され、溶接により固定されている。また、貫通孔89B及び貫通孔89Dに座屈補剛板87Bが挿通され、溶接により固定されている。そして、座屈補剛板87A、87Bは、ほぼ平行に配置され、座屈補剛板87Aと座屈補剛板87Bとの間に耐力低減部90が配置されている。
(作用)
次に、第2実施形態の作用について説明する。
地震により建物20の架構16(図1参照)が変形し、ダンパー80のブレース材82に対して引張力が作用した場合は、ブレース材82の引張耐力によって架構16の変形が抑えられる。また、ダンパー80に対して圧縮力が作用した場合は、補剛管88が、ブレース材82の座屈変形を抑制する。そして、ブレース材82の圧縮耐力によって架構16の変形が抑制される。このように、ダンパー80は、引張力及び圧縮力に耐力を持っている。
図6(A)、(B)に示すように、耐力低減部90は、低降伏点鋼、若しくは普通鋼で形成され、且つ、Z方向の幅が上フランジ83B、84B、下フランジ83C、84CのZ方向の幅よりも狭いため、ブレース材82の両端部よりも軸力に対する耐力が低減されている。ここで、小地震等により建物20(図1参照)が小変形するとき、ブレース材82の軸方向両端部に対して耐力が低減された耐力低減部90が、塑性変形しながら振動のエネルギーを吸収する。これにより、建物20の小変形時から制振効果を得ることができる。
また、図6(B)に示すように、ダンパー80は、耐力低減部90において、低降伏点鋼、若しくは普通鋼の両端部がウェブ83A、84Aだけでなく、上フランジ83B、84B、及び下フランジ83C、84Cにも溶接されており、即ち、応力度が小さくなる部位で溶接されている。これにより、耐力低減部90の溶接面積が大きくなるので、耐力低減部90とブレース材83、84との接合部の疲労特性(or疲労強度)を上げることができる。
さらに、図7(C)に示すように、ダンパー80は、大地震等により建物20(図1参照)が大きく変形するときは、耐力低減部90のZ方向、−Z方向(横方向)の変形が、座屈補剛板87A、87Bとの接触によって拘束される。そして、耐力低減部90のY方向、−Y方向(縦方向)の変形が、補剛管88との接触によって拘束される。これにより、耐力低減部90で生じる縦方向及び横方向の座屈を防止することができる。そして、ダンパー80は、座屈補剛材87によって、ブレース材82の塑性変形が小変形時から座屈することなく続くので、安定したエネルギー吸収能力を発揮できる。
(変形例)
なお、第2実施形態のダンパー80の変形例として、図8(A)、(B)に示すように、ブレース材83、84及び耐力低減部90に対して、補剛管88に換えて、補剛管97を設けてもよい。
補剛管97は、Y方向に間隔をあけて配置された板状の上壁部97A、下壁部97Bと、Z方向に間隔をあけて配置された板状の側壁部97C、97Dとを有している。上壁部97A及び下壁部97Bは、X−Z面に沿って配置されており、側壁部97C、97Dは、X−Y面に沿って配置されている。
図8(B)に示すように、補剛管97には、耐力低減部90と対向する部位において、横方向座屈補剛板98A、98B、98C、98Dが設けられている。横方向座屈補剛板98Aは、上壁部97Aの−Z方向端部の下面にX−Z面に沿うように溶接されており、上フランジ90Bの−Z方向端面と間隔をあけて対向している。横方向座屈補剛板98Bは、上壁部97AのZ方向端部の下面にX−Z面に沿うように溶接されており、上フランジ90BのZ方向端面と間隔をあけて対向している。
横方向座屈補剛板98Cは、下壁部97Bの−Z方向端部の上面にX−Z面に沿うように溶接されており、下フランジ90Cの−Z方向端面と間隔をあけて対向している。横方向座屈補剛板98Dは、下壁部97BのZ方向端部の上面にX−Z面に沿うように溶接されており、下フランジ90CのZ方向端面と間隔をあけて対向している。このようにして、補剛管97で耐力低減部90を囲み、横方向の座屈変形を抑制してもよい。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係るダンパーの一例について説明する。
第3実施形態のダンパー100は、前述した第1実施形態の建物20において、ダンパー10に換えて設けられている。なお、建物20の構成は第1実施形態と同様であるため、第3実施形態においても建物20として記載する。また、X、Y、Z、−X、−Y、−Z方向については、第1実施形態と同様である。
図9(A)、(B)に示すように、ダンパー100は、構面18内(図1参照)に軸方向両端部が取り付けられたブレース材102と、ブレース材102へ外挿された(ブレース材102を囲む)補剛管104と、ブレース材102の軸方向(X方向)中間部(両端部で挟まれた部分)に設けられた耐力低減部110と、ブレース材102に補剛管104とクリアランスをあけて設けられた座屈補剛材120と、を有している。
(ブレース材)
図9(A)及び図10(A)、(B)に示すように、ブレース材102は、1本のH形断面鋼(一例としてSS400)で構成されており、ウェブ102Aと、ウェブ102Aの上端、下端からそれぞれ幅方向(Z方向)両側に張り出した上フランジ102B、下フランジ102Cとを有している。また、ブレース材102は、−X方向側の端部が接合部22A(図1参照)にボルトで接合され、X方向側の端部が接合部22C(図1参照)にボルトで接合されている。
さらに、ブレース材102には、補剛管104のX方向両端部と対向する位置にクリアランス調整用のリブプレート106A、106B、106C、106Dが設けられている。リブプレート106A、106Bは、−X方向側の端部に設けられ、リブプレート106C、106Dは、X方向側の端部に設けられている。そして、リブプレート106A、106B、106C、106Dは、それぞれ、一方の側面、上端面、下端面が、Y−Z面に沿って、ブレース材102のウェブ102A、上フランジ102B、下フランジ102Cに溶接されている。
(耐力低減部)
図9(A)及び図10(C)に示すように、耐力低減部110は、ブレース材102の上フランジ102B及び下フランジ102Cが、Z方向側及び−Z方向側から切り欠かれて形成された部位である。即ち、第3実施形態の耐力低減部110は、材質がブレース材102の両端部と同じであり、上フランジ102B及び下フランジ102CのZ方向の幅が、両端部のZ方向の幅に比べて狭くされた(Y−Z断面の断面積が小さくされた)部位で構成されている。
(補剛管)
図10(C)に示すように、補剛管104は、一例として、X方向を長軸方向とする角形鋼管(一例としてSTKR400)で構成されている。また、補剛管104は、耐力低減部110と対向する部位において、上壁104AにY方向に貫通した貫通孔105A、105Bが形成され、下壁104BにY方向に貫通した貫通孔105C、105Dが形成されている。貫通孔105Aと貫通孔105Bは、円形であり、Z方向に間隔をあけて配置されている。貫通孔105Cと貫通孔105Dは、貫通孔105A及び貫通孔105Bと同じ形状、孔径であり、Z方向に間隔をあけて配置されている。そして、貫通孔105Aと貫通孔105CがY方向で対向しており、貫通孔105Bと貫通孔105DがY方向で対向している。
(座屈補剛材)
図9(A)、(B)、及び図10(C)に示すように、座屈補剛材120は、Y方向を軸方向として直立する横方向座屈補剛棒122と、X方向を軸方向とする縦方向座屈補剛棒124とを有している。そして、横方向座屈補剛棒122及び縦方向座屈補剛棒124は、耐力低減部110を囲んで配置されている。なお、横方向座屈補剛棒122及び縦方向座屈補剛棒124は、ブレース材102に補剛管103が外挿された後で溶接される。
横方向座屈補剛棒122は、一例として、耐力低減部110と対向する位置でZ方向及びX方向に間隔をあけて立設された2×5=10本の丸鋼で構成されている。また、横方向座屈補剛棒122は、上端が補剛管104の貫通孔105A、105Bに挿入され、下端が貫通孔105C、105Dに挿入されて、それぞれ補剛管104に溶接されている。そして、横方向座屈補剛棒122は、耐力低減部110の上フランジ102B及び下フランジ102Cに対して、Z方向にクリアランスが設定されている。
縦方向座屈補剛棒124は、一例として、耐力低減部110に対応する位置でX方向及びY方向に間隔をあけて設けられた2×2=4本の丸鋼で構成されている。詳細には、Y方向側の縦方向座屈補剛棒124は、ウェブ102Aに沿って、上フランジ102Bの中央上面に外周面の一部が溶接されている。さらに、−Y方向側の縦方向座屈補剛棒124は、ウェブ102Aに沿って、下フランジ102Cの中央下面に外周面の一部が溶接されている。そして、縦方向座屈補剛棒124は、補剛管104に対して、Y方向、−Y方向にクリアランスが設定されている。
(作用)
次に、第3実施形態の作用について説明する。
地震により建物20の架構16(図1参照)が変形し、ダンパー100のブレース材102に対して引張力が作用した場合は、ブレース材102の引張耐力によって架構16の変形が抑えられる。また、ダンパー100に対して圧縮力が作用した場合は、補剛管104が、ブレース材102の座屈変形を抑制する。そして、ブレース材102の圧縮耐力によって架構16の変形が抑制される。このように、ダンパー100は、引張力及び圧縮力に耐力を持っている。
図10(C)に示すように、ダンパー100は、耐力低減部110において、軸方向と直交する断面の面積が軸方向両端部の断面の面積よりも小さく、軸力に対する耐力が低減されている。ここで、小地震等により建物20(図1参照)が小変形するとき、耐力低減部110が、塑性変形しながら振動のエネルギーを吸収する。これにより、建物20の小変形時から制振効果を得ることができる。
また、ダンパー100は、大地震等により建物20が大きく変形するときは、耐力低減部110のZ方向、−Z方向(横方向)の変形が、複数の横方向座屈補剛棒122との接触によって拘束される。さらに、耐力低減部110のY方向、−Y方向(縦方向)の変形が、縦方向座屈補剛棒124と補剛管104の接触によって拘束される。これにより、耐力低減部110で生じる縦方向及び横方向の座屈を防止することができる。そして、ブレース材102の塑性変形が小変形時から座屈することなく続くので、ダンパー100が、安定したエネルギー吸収能力を発揮できる。
(変形例)
なお、第3実施形態のダンパー100の変形例として、図11(A)、(B)及び図12(A)、(B)に示すように、ブレース材102(図9(A)参照)に換えて、ブレース材102とは耐力低減部の形状が異なるブレース材130を設けてもよい。
ブレース材130は、1本のH形断面鋼(一例としてSS400)で構成されており、ウェブ130Aと、ウェブ130Aの上端、下端からそれぞれ幅方向(Z方向)両側に張り出した上フランジ130B、下フランジ130Cとを有している。また、ブレース材130は、−X方向側の端部が接合部22A(図1参照)にボルトで接合され、X方向側の端部が接合部22C(図1参照)にボルトで接合されている。さらに、ブレース材130には、ウェブ130AのZ方向側及び−Z方向側でX方向に間隔をあけて、複数のクリアランス調整用のリブプレート132が溶接されている。
ここで、ダンパー100の変形例には、耐力低減部140が設けられている。耐力低減部140は、ブレース材130のX方向中間部(両端部で挟まれた部位)において、ウェブ130Aのみとすることで構成されている。そして、ウェブ130Aは、複数の横方向座屈補剛棒122に囲まれている。このように、ウェブ130Aのみで耐力低減部140を構成し、横方向座屈補剛棒122により横方向の座屈変形を抑制してもよい。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。
構面18内に接合するダンパー10、80、100の数は、1つであってもよく、3つ以上の複数であってもよい。また、横方向座屈補剛板52A、52B、55A、55Bは、ブレース材30のZ方向側、−Z方向側に複数枚ずつ設けられていてもよい。さらに、縦方向座屈補剛棒53、56は、Z方向に複数本並んでいてもよい。加えて、縦、横の座屈補剛棒は、丸鋼に限らず、断面四角形状でもよく、あるいは、異形鉄筋を用いてもよい。
補剛管34、88、104は、角形断面に限らず、丸形や多角形の断面を有するものであってもよい。また、市販のブレース材を用いて、補剛管を第1、第2実施形態の組み立てタイプとしてもよく、あるいは、市販の鋼管を補剛管として用いて、ブレース材に低降伏点鋼を溶接してもよい。
10 ダンパー
18 構面
20 建物
30 ブレース材
32B 上フランジ
32C 下フランジ
33B 上フランジ
33C 下フランジ
34 補剛管
40 耐力低減部
40C ウェブ
50 座屈補剛材
52A 横方向座屈補剛板
52B 横方向座屈補剛板
53 縦方向座屈補剛棒
55A 横方向座屈補剛板
55B 横方向座屈補剛板
56 縦方向座屈補剛棒
80 ダンパー
82 ブレース材
87 座屈補剛材
88 補剛管
90 耐力低減部
97 補剛管
100 ダンパー
102 ブレース材
104 補剛管
110 耐力低減部
120 座屈補剛材
140 耐力低減部

Claims (3)

  1. 建物の構面内に取り付けられたH形断面鋼のブレース材と、
    前記ブレース材を囲み該ブレース材のフランジとの間にクリアランスが設けられた補剛管と、
    前記ブレース材の軸方向中間部に設けられ、前記ブレース材の両端部に比べて前記フランジの幅が狭くされた耐力低減部と、
    前記補剛管の内側に前記耐力低減部とクリアランスをあけて設けられた座屈補剛材と、
    を有するダンパー。
  2. 前記耐力低減部は、低降伏点鋼、若しくは普通鋼で形成され、両端部が前記ブレース材のウェブに溶接され、上下辺部が前記ブレース材の前記フランジに溶接されている請求項1に記載のダンパー。
  3. 前記座屈補剛材は、
    前記耐力低減部のウェブの上下端部の両面又は幅狭のフランジの両端面と対向する一対の横方向座屈補剛板と、
    前記ウェブの上下端部の上端面と下端面、又は幅狭のフランジの上下面とそれぞれ対向する縦方向座屈補剛棒と、
    を有する請求項1又は請求項2に記載のダンパー。
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