JP2011214109A - 包装容器蓋用アルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents
包装容器蓋用アルミニウム合金板およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2011214109A JP2011214109A JP2010084689A JP2010084689A JP2011214109A JP 2011214109 A JP2011214109 A JP 2011214109A JP 2010084689 A JP2010084689 A JP 2010084689A JP 2010084689 A JP2010084689 A JP 2010084689A JP 2011214109 A JP2011214109 A JP 2011214109A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- aluminum alloy
- rolling
- mass
- alloy plate
- less
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Metal Rolling (AREA)
Abstract
【解決手段】冷間圧延における最終パスにおいて表面を放電加工されたワークロールを用いて圧延された包装容器蓋用アルミニウム合金板であって、表面の算術平均粗さRaが、前記冷間圧延における圧延方向および圧延直角方向のそれぞれにおいて0.10〜0.65μmの範囲であり、表面の粗さ曲線要素平均長さRSmが、前記圧延方向において70〜360μm、前記圧延直角方向において50〜100μmであることを特徴とする。このような表面性状とした包装容器蓋用アルミニウム合金板は、圧延方向および圧延直角方向のそれぞれにおける正反射率(%)の互いの差が25%以内となり、光沢の異方性が少なくなる。
【選択図】なし
Description
本発明に係るアルミニウム合金板は、方位を変化させて反射率(正反射率)を測定した場合において、その差(開き)が25%以内であることが望ましい。したがって、最大となり易い製造時の圧延方向における反射率と、最小となり易い圧延直角方向における反射率との差が25%以内となるようにする。また、本発明に係るアルミニウム合金板は、表面の反射率が方位にかかわらず70%を超えると、光沢が強過ぎて、誤検出が生じ易くなり、また、缶蓋に印刷した文字やデザイン等の視認性が低くなるため、反射率が70%以下であることが好ましい。
本発明に係るアルミニウム合金板を、前記の反射率とするために、表面の算術平均粗さRaおよび粗さ曲線要素平均長さRSmを、圧延方向および圧延直角方向のそれぞれにおいて、次のように規定する。
アルミニウム合金板の表面の算術平均粗さRaが0.10μm未満では、反射率が高く光沢が強過ぎる。一方、算術平均粗さRaが0.65μmを超えると、光沢が弱く、塗装、成形された外観が、缶蓋として好ましくないものとなる場合があり、また、圧延方向においてこのような粗さにしようとすると、圧延板(アルミニウム合金板)とワークロールとの摩擦が大きく圧延が困難となる。したがって、アルミニウム合金板の表面の算術平均粗さRaは0.10μm以上0.65μm以下とし、さらに圧延方向および圧延直角方向のそれぞれにおいて前記範囲とする。このようなアルミニウム合金板の表面の算術平均粗さRaは、製造時における最終の冷間圧延のさらに最後の1パス(最終圧延パス)に用いたワークロールの表面の凹凸が転写されることで得られ、当該ワークロールの表面の算術平均粗さRaや最終パスの圧下率等の条件に依存する。
アルミニウム合金板の表面の粗さ曲線要素平均長さRSmによっても、反射率すなわち光沢の強弱が決まり、長くなると光沢が強くなる。具体的には、粗さ曲線要素平均長さRSmが360μmを超えると、面積あたりの凹凸が少ないため反射率が高く光沢が強過ぎる。反対に、粗さ曲線要素平均長さRSmが50μm未満では光沢が不足し、また、圧延方向においては、凹凸の工程差すなわち算術平均粗さRaにもよるが、圧延板(アルミニウム合金板)とワークロールとの摩擦が大きく圧延が困難となる。
本発明に係るアルミニウム合金板は、一般的な飲料缶の蓋材に適用されるAl−Mg系合金で形成でき、具体的には、Mg:1.9〜5.5質量%、Mn:0.2〜0.7質量%、Fe:0.10〜0.60質量%、Si:0.05〜0.30質量%、Cu:0.20質量%以下を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金が好ましく、さらにCr:0.30質量%以下、Ti:0.005〜0.20質量%、Zn:0.30質量%以下のいずれか1種以上を含有してもよい。
蓋材に製造されたときに必要な耐圧強度を付与する。Mgの含有量が1.9質量%未満では、特に負圧缶の缶蓋としての耐圧強度が十分に得られない。一方、Mgの含有量が5.5質量%を超えると、強度が過大となって成形性が低下する。したがって、Mgの含有量は、1.9質量%以上5.5質量%以下とすることが好ましい。
Mnは、アルミニウム合金の強度を向上させる効果があり、また、Al−Mn(−Fe)系金属間化合物をアルミニウム合金板中に晶出させるが、蓋材の薄肉化および蓋部の小径化に伴う開缶性の低下に対して、前記の微細な晶出物が適度に分散することで、スコアに亀裂が伝搬し易くして開缶性を向上させる効果がある。Mnの含有量が0.20質量%未満であると、これらの効果を十分に得ることができない。一方、Mnの含有量が0.70質量%を超えると、金属間化合物が過剰に晶出して成形性が著しく低下する。したがって、Mnの含有量は、0.2質量%以上0.7質量%以下とすることが好ましい。
Feは、地金不純物としてアルミニウム合金中に混入するものであり、また、アルミニウム合金中で、Mnと共にAl−Mn−Fe系金属間化合物を生成する。この金属間化合物が適度に分散して晶出することで、熱間圧延後においてこの晶出物を核として再結晶が促進されて結晶粒が微細化されるため、成形性を向上させる。また、前記したように、晶出物が適度に分散することで、開缶性を向上させる効果がある。Feの含有量が0.10質量%未満では、晶出物が不足して、これらの効果が十分に得られない。一方、Feの含有量が0.60質量%を超えると、金属間化合物が過剰に晶出して成形性が著しく低下する。したがって、Feの含有量は0.10質量%以上0.60質量%以下とすることが好ましい。
Siも、地金不純物としてアルミニウム合金中に混入するものであり、アルミニウム合金中でMgと共にMg−Si系金属間化合物(Mg2Si)を生成して、前記Al−Mn−Fe系金属間化合物と同様に開缶性を向上させる効果があり、また組織を安定化する効果がある。Siの含有量が0.05質量%未満では、これらの効果が不十分である。また、Siの含有量を0.05質量%未満にすると、原材料にするアルミニウム地金の必要純度が高くなり、コストを増大させる。一方、Siの含有量が0.30質量%を超えると、Mg−Si系金属間化合物の大きなものが多数形成されて成形性が低下する。したがって、Siの含有量は0.05質量%以上0.30質量%以下とすることが好ましい。
Cuは、アルミニウム合金において固溶強化により強度を向上させる効果があり、前記のMg等、他の成分で十分な強度が得られない場合に、蓋材に製造されたときに必要な強度を付与するために添加する。一方、Cuはアルミニウム合金板の加工硬化を増大させるため、含有量が0.20質量%を超えると、加工硬化が過大となって、成形性が低下する場合があり、また、耐食性が低下する。したがって、Cuの含有量は0.20質量%以下とする。
Crは、アルミニウム合金の強度を向上させる効果があり、この効果を十分に得るためには、含有量は0.001質量%以上が好ましく、0.002質量%以上がさらに好ましい。一方、Crは過剰に含有されると、粗大な晶出物を生成してアルミニウム合金板の成形性を低下させる虞があるため、含有量は0.30質量%以下とし、0.25質量%以下が好ましい。
Tiは、アルミニウム合金組織を安定化する効果があり、この効果を得るためには、含有量は0.005質量%以上が好ましい。一方、Tiの含有量が0.20質量%を超えると、粗大な晶出物を生成してアルミニウム合金板の成形性を低下させる虞があるため、Tiの含有量は0.20質量%以下とする。
本発明に係るアルミニウム合金板は、Znを0.30質量%以下含有しても缶蓋用アルミニウム合金板として問題なく許容されるので、例えば製造(溶解)時にブレージングシート用のアルミニウム合金材の屑を配合(添加)してもよい。この場合は、Znはもちろん、Si等についても前記の範囲内となるように添加する。
次に、本発明に係るアルミニウム合金板の製造方法を説明する。本発明に係るアルミニウム合金板は、前記成分のアルミニウム合金を溶解、鋳造して鋳塊とする鋳造工程と、鋳塊を熱処理により均質化する均熱処理工程と、この熱処理後に鋳塊を熱間圧延して熱間圧延板とする熱間圧延工程と、熱間圧延板を最終板厚に冷間圧延する冷間圧延工程とを行うことにより製造される。以下に、各工程の条件について説明する。
はじめに、アルミニウム合金を溶解し、DC鋳造法等の公知の半連続鋳造法により鋳造し、アルミニウム合金の固相線温度未満まで冷却して厚さ500〜600mm程度の鋳塊とし、必要に応じて面削を行う。
鋳塊を圧延する前に、所定温度で均質化熱処理(均熱処理)することが必要である。鋳塊に熱処理を施すことによって、内部応力が除去され、鋳造時に偏析した溶質元素が均質化され、また、鋳造冷却時やそれ以降に析出した金属間化合物が成長する。さらにこの熱処理は、後続の熱間圧延工程のための予備加熱を兼ねるものである。熱処理温度(鋳塊温度)は480〜540℃とする。鋳塊が480℃未満では、鋳造時に晶出した金属間化合物が適度に固溶されないために適度な晶出物分布が得られず、熱間圧延での変形抵抗が高くなり過ぎ、圧延表面の焼付きの原因となる。一方、540℃を超えると、鋳塊の表面で局部的な溶融(バーニング)が生じ、表面品質が劣化する。なお、熱処理時間(保持時間)は、均質化を完了させるためには1時間以上であればよい。
均熱処理工程から連続して、均質化された鋳塊を熱間圧延する。まず、均熱処理工程の熱処理完了時の温度を保持して鋳塊を粗圧延して、さらに仕上げ圧延により、所望の板厚の熱間圧延板(ホットコイル)とする。熱間圧延板の板厚は、アルミニウム合金板の最終板厚から冷間圧延工程における総圧延率(冷間加工率)を逆算して設定し、具体的には、3.5mm以下が好ましい。また、熱間圧延板に加工組織が残留しないように、熱間圧延後に完全に再結晶させる必要があり、そのために、熱間圧延の終了温度(熱間圧延板の巻取り温度)が300℃以上となるように熱間圧延を行うことが好ましい。
熱間圧延板は、冷間圧延して所定の板厚のアルミニウム合金板に仕上げる。冷間圧延工程の前または途中で中間焼鈍を行わず、当該冷間圧延工程にて最終板厚とする直通工程の場合には、総圧延率(冷間加工率)は、70〜95%とすることが好ましい。総圧延率が70%未満では強度が不足し、95%を超えると圧延方向に対して45°方向の耳率が高くなり、蓋材に製造された後、缶胴に巻き締める際に不良の原因となる。
一般的なアルミニウム合金の冷間圧延に用いるワークロールは、表面が研削加工で仕上げられ、ワークロールを圧延と同様に回転させながら研削具(砥石)も反対方向に回転させて加工される。そのため、表面が周方向すなわち圧延方向に沿った方向の筋状の凹凸となる傾向があり、また、凹凸の形状(例えば算術平均粗さRa、粗さ曲線要素平均長さRSm)を、軸方向においては制御し易いが、周方向においては凹凸の間隔が広くなり制御し難く、特に軸方向における値と同程度とすることは困難である。本発明に係るアルミニウム合金板の製造方法においては、最終の板厚とする直通工程における冷間圧延工程または中間焼鈍後の仕上げ冷間圧延工程の最終圧延パスにより、アルミニウム合金板の表面性状を圧延方向、圧延直角方向共に所定の粗さとするように、放電加工により表面をダル仕上げされたワークロールを用いる。放電加工は公知の方法(例えば、田中信男、外3名、“放電ダル加工機の設備と操業”、鉄と鋼、社団法人日本鉄鋼協会、1979年3月5日、第65巻、第4号、p.258参照)を適用することができ、表面粗さは放電の電圧、電流、および放電時間等によって制御できる。放電加工によれば、面内において異方性の小さい、すなわち軸方向と周方向の差の小さい表面性状のワークロールが得られ、このようなワークロールを用いて圧延することで、鱗状の凹凸パターンがアルミニウム合金板の表面に転写される。なお、異方性の小さい表面性状に加工する方法として、ショットブラストも挙げられるが、凹凸の工程差のバラつき(算術平均粗さRaのバラつき)が大きいワークロールとなるため、得られる圧延板(アルミニウム合金板)の光沢が望ましいものとならず、また、缶蓋に製造するための成形性に影響を及ぼす場合があり、好ましくない。
(アルミニウム合金板)
表1に示す組成のアルミニウム合金(合金記号A〜D)を、溶解し、半連続鋳造法にて鋳塊を作製し、面削処理をした。この鋳塊に、510℃にて4時間の均質化熱処理を行い、冷却することなく連続して、熱間圧延(粗圧延、仕上げ圧延)を施して、厚さ3.3mmの熱間圧延板とした。さらに、この熱間圧延板に、総圧延率92%で冷間圧延を施して、板厚0.25mmのアルミニウム合金板(供試材No.1〜6,8〜20)とした。 なお、供試材No.7については、熱間圧延板を板厚1.0mmまで冷間圧延した後、到達温度400℃にて1秒間保持の中間焼鈍を行い、さらに冷間圧延(仕上げ冷間圧延)を総圧延率75%で施して、板厚0.25mmのアルミニウム合金板とした。また、この冷間圧延(供試材No.7は仕上げ冷間圧延)における最終パスは、表面に表2に示すように放電加工または研削にてダル加工を施したワークロールを用いて、表2に示す圧下率で圧延した。
放電加工によるワークロールの仕様は次の通りである。放電ダル加工機(Profitex 30、Waldrich Siegen社製)にて、加工液としてパラフィン系加工液(メタルワークED、新日本石油(株)製)を適用し、加工電流:3〜24A、加工電圧:100〜230V、放電時間:0.5〜3000μsの範囲内で調整して、ワークロール軸方向(圧延直角方向)において、算術平均粗さRaが0.8μm、1.45μm、1.8μmの3種類(表2参照)になるように加工した。また、これらのワークロール軸方向におけるピークカウント(Pc)を測定した結果をPPIで表2に示す。なお、Ra0.8μm、PPI360のワークロールの粗さ曲線要素平均長さRSmは60μm相当である。ピークカウントの測定においては、ピークとして判断する基準値を0.5μmとし、粗さ曲線のカットオフ値(λc)を0.8mmとした。
得られたアルミニウム合金板について、表面粗さ測定機(サーフコーダSE−30D、小坂研究所製)にて、触針径2μmで、圧延方向(0°)および圧延直角方向(90°)に走査速度0.5mm/秒にて走査することで表面粗さを測定した。算術平均粗さRaおよび粗さ曲線要素平均長さRSmは、規準長さ:8.00mm、カットオフ値λc:0.8mmとした。結果を表2に示す。
(反射率測定)
得られたアルミニウム合金板について、光沢計(PG−3D、日本電色工業(株)製)にて、JIS Z 8741に基づく60度鏡面光沢法により、圧延方向(0°)および圧延直角方向(90°)のそれぞれについて鏡面反射率(正反射率)を測定した。結果を表2に示す。
得られたアルミニウム合金板に、歪み矯正処理を施した後、両面に化成処理(リン酸クロメート処理)を施して、エポキシアクリル系を塗装し、連続焼付炉により到達温度250℃、通板時間25秒で焼付処理した。この塗装されたアルミニウム合金板から直径78mmのブランクを打ち抜き、シェル成形、コンバージョン成形を施して、図1に示す蓋材1を作製した。
蓋材のリベット成形における割れの有無の評価に代えて、微小領域の球頭張出し成形による限界張出し高さを評価した。試験片として、前記蓋材1の作製における焼付処理後の塗装されたアルミニウム合金板を長さ100mm×幅20mmに切り出した。この試験片を、図2に示すように、両面から治具61,62で挟んで一定しわ押さえ力で固定し、球頭直径6mm(R:3mm)の球頭ポンチ5を試験片表面(図2では下面)に対して垂直方向に押し込んで張出し加工を行い、割れや括れが観察されるまでの張出し高さの限界値を求めた。限界張出し高さを表2に示し、また、1.7mm以上を合格とする。
前記蓋材1の作製において、スコア加工を、スコア15(主スコア)の残厚105μm(加工率70%)とし、外観を目視にて観察した。顕著な割れの発生しなかったものを合格とし、さらに割れが全くなかったものを特に優れているとして「○」、微小割れのみが発生したものを「△」で、不合格を「×」で、表2に示す。
前記蓋材1の作製において、スコア加工を、開缶状況の厳しい場合を想定するために、市販缶より厚めの、スコア15(主スコア)の残厚110μmとし、この蓋材1にステイオン式のタブ2(図1参照)をリベットにて取り付けて缶蓋のサンプルを作製した。このサンプルについて、図3(a)に示すLEAD測器製開缶試験機(開缶試験機)7を用いてタブ2の引き上げ動作を行った。詳しくは、サンプルを、図3(a)、(b)に示すように開缶試験機7の支持板72に取着して、タブ2の掛止部22に開缶試験機7の掛止具71を掛止し、支持板72と共に蓋材1を図3(b)の矢印方向に90°回転させた。
表2に示すように、冷間圧延において、最終パスを研削加工により表面加工されたワークロールにて圧延された従来例の供試材No.17〜20は、表面の凹凸の間隔が、圧延方向がその直角方向の約10倍と差が大きく、その結果、方向による反射率の差が大きく、光沢が圧延方向においてより強いアルミニウム合金板となった。これに対して、冷間圧延の最終パスを放電加工により表面加工されたワークロールにて圧延された本発明に係る実施例である供試材No.3〜11は、いずれも表面粗さの圧延方向とその直角方向との差が小さく、方向による反射率の差が25%以内で、光学異方性の小さいアルミニウム合金板が得られた。また、これらの実施例は、冷間圧延における総圧延率を前記従来例と同じとしたことで、最終圧延パスのワークロールおよび圧下率を従来例と異なるものとしても、従来例と同等な加工性や開缶性を示し、飲料缶の蓋材として十分な特性を得られた。
放電加工により表面をダル加工されたワークロールにて冷間圧延を行った場合、最終パスの圧下率を大きくした供試材No.12,13は、圧延歪みが大きく、圧延困難となって、アルミニウム合金板を得られなかった。反対に、圧下率を小さくした供試材No.1,2は、ワークロールが板表面上をスリップして圧延不可能となり、アルミニウム合金板を得られなかった。
なお、総圧延率が低い供試材No.14は、強度が不足して缶蓋とした場合のスコア加工性および開缶性が劣り、反対に総圧延率が高い供試材No.15は、強度が過大で缶蓋とした場合のスコア加工性が劣り、それぞれ従来の研削ワークロールにおいても生じる比較例となった。
(アルミニウム合金板)
表3に示す組成のアルミニウム合金を、実施例1と同様に、鋳塊を作製して面削、均質化熱処理を行い、熱間圧延にて、厚さ3.3mmの熱間圧延板とした。さらに、この熱間圧延板に、冷間圧延を実施例1の供試材No.3と同じ条件で、すなわち総圧延率92%、および最終パスを供試材No.3と同じ放電加工を施したRa0.8μm、PPI360の表面性状のワークロールを用いて圧下率2%で施して、板厚0.25mmのアルミニウム合金板(供試材No.21〜39)とした。
得られたアルミニウム合金板について、実施例1と同様の方法にて、圧延方向(0°)および圧延直角方向(90°)のそれぞれについて反射率を測定し、また、球頭張出し成形による限界張出し高さ、スコア加工性、および開缶性を評価し、結果を表3および表4に示す。表3には実施例1の供試材No.3を、表4には実施例1の供試材No.7を、それぞれ併記する。
表3および表4に示すように、アルミニウム合金の成分を変化させても、反射率に変化はなく、本発明に係る製造方法によれば、アルミニウム合金の成分に関係なく、光学異方性の少なくなる表面性状のアルミニウム合金板が得られるといえる。また、従来の製造方法と同様に、アルミニウム合金の成分を適切な範囲とすることで、缶蓋とする時のリベット成形性、スコア加工性、および開缶性が得られ、一方、アルミニウム合金の成分が不足または過剰となると、蓋材として強度や成形性等を満足しなかった。
11 リベット部
13 開口領域
15 スコア
2 タブ
21 リベット孔
22 掛止部
Claims (4)
- 表面の算術平均粗さRaが、冷間圧延における圧延方向およびその直角方向である圧延直角方向のそれぞれにおいて0.10μm以上0.65μm以下の範囲であり、
表面の粗さ曲線要素平均長さRSmが、前記圧延方向において70μm以上360μm以下、前記圧延直角方向において50μm以上100μm以下であることを特徴とする包装容器蓋用アルミニウム合金板。 - Mg:1.9〜5.5質量%、Mn:0.2〜0.7質量%、Fe:0.10〜0.60質量%、Si:0.05〜0.30質量%、Cu:0.20質量%以下を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金で形成されたことを特徴とする請求項1に記載の包装容器蓋用アルミニウム合金板。
- 前記アルミニウム合金がさらにCr:0.30質量%以下、Ti:0.005〜0.20質量%、Zn:0.30質量%以下の少なくとも一種を含有する請求項2に記載の包装容器蓋用アルミニウム合金板。
- アルミニウム合金を溶解して鋳塊を鋳造する鋳造工程と、前記鋳塊を熱処理にて均質化する均質化熱処理工程と、前記均質化した鋳塊を熱間圧延する熱間圧延工程と、最終板厚まで冷間圧延する冷間圧延工程と、を行って、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の包装容器蓋用アルミニウム合金板を製造する包装容器蓋用アルミニウム合金板の製造方法であって、
前記冷間圧延工程は、最終圧延パスにおいて、表面を放電加工されたワークロールを用いて、圧下率1〜15%で圧延することを特徴とする包装容器蓋用アルミニウム合金板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010084689A JP5491938B2 (ja) | 2010-03-31 | 2010-03-31 | 包装容器蓋用アルミニウム合金板およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010084689A JP5491938B2 (ja) | 2010-03-31 | 2010-03-31 | 包装容器蓋用アルミニウム合金板およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011214109A true JP2011214109A (ja) | 2011-10-27 |
JP5491938B2 JP5491938B2 (ja) | 2014-05-14 |
Family
ID=44944150
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010084689A Expired - Fee Related JP5491938B2 (ja) | 2010-03-31 | 2010-03-31 | 包装容器蓋用アルミニウム合金板およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5491938B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018521220A (ja) * | 2015-06-05 | 2018-08-02 | ノベリス・インコーポレイテッドNovelis Inc. | 高強度5xxxアルミニウム合金及びそれを作製する方法 |
WO2023095859A1 (ja) * | 2021-11-25 | 2023-06-01 | 東洋製罐株式会社 | 飲食品用缶蓋 |
Citations (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61170548A (ja) * | 1985-01-24 | 1986-08-01 | Furukawa Alum Co Ltd | 高力アルミニウム合金板の製造法 |
JPH08311594A (ja) * | 1995-05-16 | 1996-11-26 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 曲げ加工性に優れたAl−Mg系合金板とその製造方法 |
JPH08311591A (ja) * | 1995-05-16 | 1996-11-26 | Furukawa Electric Co Ltd:The | オフセット印刷版支持体用アルミニウム合金板およびその製造方法 |
JPH09287044A (ja) * | 1996-04-18 | 1997-11-04 | Toyo Kohan Co Ltd | 絞りしごき缶用樹脂被覆アルミニウム合金板 |
JP2003201534A (ja) * | 2002-01-11 | 2003-07-18 | Sky Alum Co Ltd | アルミニウム合金缶蓋用圧延板および缶蓋加工用非円形ブランク |
JP2005163175A (ja) * | 2003-11-13 | 2005-06-23 | Furukawa Sky Kk | 塗装用アルミニウム合金圧延材およびその製造方法 |
JP2006097076A (ja) * | 2004-09-29 | 2006-04-13 | Kobe Steel Ltd | ボトル缶用アルミニウム合金板およびその製造方法 |
JP2009235475A (ja) * | 2008-03-27 | 2009-10-15 | Furukawa-Sky Aluminum Corp | 絞りカップの真円度が良好なキャンボディ用アルミニウム合金板およびその製造方法 |
JP2011051101A (ja) * | 2009-08-31 | 2011-03-17 | Fujifilm Corp | 平版印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法 |
-
2010
- 2010-03-31 JP JP2010084689A patent/JP5491938B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61170548A (ja) * | 1985-01-24 | 1986-08-01 | Furukawa Alum Co Ltd | 高力アルミニウム合金板の製造法 |
JPH08311594A (ja) * | 1995-05-16 | 1996-11-26 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 曲げ加工性に優れたAl−Mg系合金板とその製造方法 |
JPH08311591A (ja) * | 1995-05-16 | 1996-11-26 | Furukawa Electric Co Ltd:The | オフセット印刷版支持体用アルミニウム合金板およびその製造方法 |
JPH09287044A (ja) * | 1996-04-18 | 1997-11-04 | Toyo Kohan Co Ltd | 絞りしごき缶用樹脂被覆アルミニウム合金板 |
JP2003201534A (ja) * | 2002-01-11 | 2003-07-18 | Sky Alum Co Ltd | アルミニウム合金缶蓋用圧延板および缶蓋加工用非円形ブランク |
JP2005163175A (ja) * | 2003-11-13 | 2005-06-23 | Furukawa Sky Kk | 塗装用アルミニウム合金圧延材およびその製造方法 |
JP2006097076A (ja) * | 2004-09-29 | 2006-04-13 | Kobe Steel Ltd | ボトル缶用アルミニウム合金板およびその製造方法 |
JP2009235475A (ja) * | 2008-03-27 | 2009-10-15 | Furukawa-Sky Aluminum Corp | 絞りカップの真円度が良好なキャンボディ用アルミニウム合金板およびその製造方法 |
JP2011051101A (ja) * | 2009-08-31 | 2011-03-17 | Fujifilm Corp | 平版印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法 |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018521220A (ja) * | 2015-06-05 | 2018-08-02 | ノベリス・インコーポレイテッドNovelis Inc. | 高強度5xxxアルミニウム合金及びそれを作製する方法 |
WO2023095859A1 (ja) * | 2021-11-25 | 2023-06-01 | 東洋製罐株式会社 | 飲食品用缶蓋 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5491938B2 (ja) | 2014-05-14 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US9546411B2 (en) | Aluminum-alloy sheet and method for producing the same | |
TW202330954A (zh) | 飲料食品用罐蓋 | |
JP5568031B2 (ja) | ボトル缶用アルミニウム合金冷延板 | |
JP5491937B2 (ja) | 缶胴用Al合金板およびその製造方法 | |
JP5710675B2 (ja) | 包装容器用アルミニウム合金板およびその製造方法 | |
JP5491938B2 (ja) | 包装容器蓋用アルミニウム合金板およびその製造方法 | |
JP2007277694A (ja) | 陽圧缶蓋用アルミニウム合金塗装板およびその製造方法 | |
JP2016141886A (ja) | 缶蓋用アルミニウム合金板 | |
JP7138396B2 (ja) | 缶胴体用アルミニウム合金板及びその製造方法 | |
KR20170110123A (ko) | 부압 캔 캡용 알루미늄 합금판 | |
JP2004244701A (ja) | 缶胴用アルミニウム合金冷間圧延板およびその素材として用いられるアルミニウム合金熱間圧延板 | |
JP2016180141A (ja) | 製缶後の光沢性に優れた絞りしごき缶用アルミニウム合金板および絞りしごき缶用樹脂被覆アルミニウム合金板 | |
JP2007023340A (ja) | 陽圧缶蓋用アルミニウム合金板及びその製造方法 | |
JP6601571B2 (ja) | 王冠用鋼板およびその製造方法並びに王冠 | |
CN1043904C (zh) | 具有强的抗应力腐蚀开裂性能的罐用钢板及其制造方法 | |
JP2016180175A (ja) | 製缶後の光沢性に優れた樹脂被覆絞りしごき缶用アルミニウム合金板および絞りしごき缶用樹脂被覆アルミニウム合金板 | |
JP5480688B2 (ja) | Ppキャップ用アルミニウム合金板およびその製造方法 | |
JP4771726B2 (ja) | 飲料缶胴用アルミニウム合金板およびその製造方法 | |
WO2016063876A1 (ja) | 缶蓋用アルミニウム合金板 | |
JP4392263B2 (ja) | 包装容器エンド用アルミニウム合金板およびその製造方法 | |
WO2017065137A1 (ja) | 缶蓋用アルミニウム合金板 | |
WO2016084353A1 (ja) | 王冠用鋼板およびその製造方法ならびに王冠 | |
JP7549563B2 (ja) | タブ用アルミニウム合金塗装板 | |
JP2017206765A (ja) | 缶蓋用アルミニウム合金板 | |
JP5224717B2 (ja) | 缶ボディ用アルミニウム合金板 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20120828 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20131119 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140120 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140218 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20140228 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5491938 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |