JP5491937B2 - 缶胴用Al合金板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アルミニウム飲料缶の缶胴を製造するために用いられる缶胴用Al合金板およびその製造方法に関する。
図3に示すように、従来、ツーピースボトル缶のようなアルミニウム飲料缶の缶胴14は、常法により鋳造、均質化熱処理、熱間圧延および冷間圧延を行って製造された缶胴用Al合金板11を用いて、円形状に打抜いてブランク12を作製し(ブランキング)、作製したブランク12を用いてカップ成形(絞り成形、カッピング)を行ってカップ13を成形した後、カップ13に対してDI成形(Drawing and Ironing=絞りしごき成形)を施すことにより、アルミニウム飲料缶として必要とされる成形高さを得た後、トリミング、塗装および焼付け、ネッキングおよびフランジングを行うことにより製造されている。
ここで、前記したカップ成形は、1台のプレスに多数の金型を配し、一回の成形で多数個のカップ13を成形しているが、DI成形は1台のプレスに一つの金型が配されるのみであるため、1回の成形で1個しか成形することができない。そのため、DIプレスは高速で稼働させる必要があるとともに、カップ成形によって成形されたカップ13をDIプレスの速度に合わせて供給する必要がある。
しかし、DIプレスに供給されるカップ13は、カップ成形時にAl合金板の圧延方向と圧延直角方向で直径が異なる楕円形状となっている。このような現象(以下、かかる現象を「楕円化」といい、楕円化によって生じる楕円の長径と短径の差を「楕円量」という。)は、近年のCO2排出抑制のために商品の軽量化が図られ、これを具現するための具体策として缶胴が薄肉化されることにより益々顕著になっている。カップ13の楕円量が大きくなると、DIプレスへのカップ13の供給に際してカップ13が所定の位置に収まらず、DI成形における成形不良を引き起こす場合がある。さらに、DI成形で成形不良が発生した場合には、DIプレスを停止させ、成形不良品を取り出さねばならないため、生産性を大きく損なう。したがって、カップ成形で楕円化を抑えて楕円量が小さいカップ13を成形することは、高速でDIプレスを稼働させ、高い生産性を維持するために重要である。カップ成形時におけるカップ13の楕円化の抑制が期待できる技術として以下のものがある。
ポンチおよびダイスの改良により、カップ成形時におけるカップ13の楕円化の抑制が期待できる技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、金属板をポンチとダイスとの間でカップに絞り成形する際に、カップの底部と側壁部との接続部を、その垂直方向断面において、金属板の圧延方向に直角な部分の少なくとも一部が金属板の圧延方向に位置する部分に比して径方向内側に位置するように絞り成形する方法が記載されている。かかる技術によれば、金属板の物性の異方性により生じる偏平化変形を防止して、ポンチおよびダイスの形状にほぼ正確に対応する形状のカップを製造することができると記載されている。
また、板材の表面形態の改良により、カップ成形時におけるカップ13の楕円化の抑制が期待できる技術も提案されている。
例えば、特許文献2には、加工用アルミニウム圧延板および加工用アルミニウム合金圧延板の表面に均一な凹部を有するようにする旨が記載されている。なお、当該凹部について具体的には、平面視で○形状(丸形状)、□形状(四角形状)、△形状(三角形状)あるいは多角形とし、凹部の径が20〜600μm、凹部ピッチ10〜1000μm、凹部深さが1〜20μmとする旨が記載されている。かかる技術によれば、従来プレス加工性の劣っていた加工用アルミニウム圧延板および加工用アルミニウム合金圧延板などに良好なプレス加工性を有するようにすることができると記載されている。
また、例えば、特許文献3には、平均粗さRaが0.2μm以下の平坦部が鋼板表面の30%以上を占め、その平坦部の中に平坦部からの深さが1μm以上の凹部が分布する表面粗度構造を有し、凹部の最近接間隔が40μm以上、400μm以下で、かつ、その最近接方向が特定方向に一致する様に配列させる旨が記載されている。
なお、当該特定方向とは鋼板材料の特性(r値、El値など)の大きいあるいは小さい方向をさらにプレス成形する形状と、プレス成形に用いるブランキング形状(ブランクの形状)との関係から、そのフランジ長さが大きい方向を意味する旨が記載されており、また、特定方向は鋼板製造時に形成される内的特性に由来するものであり、例えば鋼板の圧延方向L、これに直角をなすC方向、LおよびCに45°をなすD方向のいずれかの方向から選択することもできる旨が記載されている。
さらに、この特許文献3には、凹部の最近接間隔方向をこの特定方向に一致させることによって、金型と鋼板間の摺動抵抗が小さくなる(すなわち、摩擦係数が小さくなる)ため、成形加工時に材料が流れ込み易くなると記載されており、また、成形加工時に材料が流れ込み易くなるため成形範囲の拡大を図ることができると記載されている。
さらに、板材の素材自体の改良により、カップ成形時におけるカップ13の楕円化の抑制が期待できる技術も提案されている。
例えば、特許文献4には、必須元素として、Mn:1.0〜1.7%、Mg:0.8〜1.2%、Cu:0.10〜0.25%、Fe:0.1〜0.3%、Si:0.1〜0.3%を含有し、残部Al及び不純物よりなる組成を有するアルミニウム合金鋳塊を、600〜620℃で4〜48時間の均質化処理後、500〜550℃まで炉冷した後、直ちに熱間粗圧延を施し、出側温度450〜500℃となる熱間粗圧延アルミニウム合金板とし、熱間粗圧延開始から熱間仕上圧延開始までの時間が300〜1200秒となるように熱間仕上圧延を施し、コイル状に巻き取った後のコイル温度が310〜340℃とし、その後中間熱処理をすることなく圧延率85%以下の冷間圧延を施す缶胴用アルミニウム合金板の製造方法が記載されている。そして、この特許文献4には、このようにして製造された缶胴用アルミニウム合金板は、そのアルミニウム合金板中に固溶するMn量が0.15〜0.25%であり、且つそのアルミニウム合金板を総絞り率40〜60%にて円筒状深絞り容器にし、引き続き、容器の側壁部を総しごき率66%にて塑性変形した円筒状缶容器を、雰囲気温度200℃の大気炉中に20分曝した際に、その缶容器の側壁部強度の軟化量が40〜60MPaとなるためDI成形後の缶真円度に優れている旨が記載されている。
また、例えば、特許文献5には、Mn:0.5〜1.3質量%、Mg:0.5〜1.3質量%、Cu:0.1〜0.3質量%、Fe:0.2〜0.6質量%、Si:0.1〜0.5質量%を含有し、残部がアルミニウム及び不可避的不純物からなる組成を有し、ベーキング温度T(℃)が230〜270℃の条件で、20分間熱処理したときに、熱処理前後の引張り強さの変化ΔTS(N/mm2)が(1.1×T−230)以下であるDI缶用アルミニウム合金板が記載されている。この特許文献5には、ΔTSを適切に設定したので、しごき成形性が優れているとともに、本発明のDI缶用アルミニウム合金板を使用することにより、DI成形したときのDI缶の真円度が著しく向上する旨が記載されている。
そして、例えば、特許文献6には、Mg:0.8〜1.5質量%、Mn:0.7〜1.5質量%、Cu:0.05〜0.25質量%、Si:0.2〜0.6質量%、Fe:0.3〜0.7質量%を含有し、更にTi:0.005〜0.05質量%、B:0.0001〜0.001質量%を含有し、残部Alと不可避不純物からなる合金鋳塊を、550〜620℃の温度範囲で1hr以上の均質化処理を施した後、熱間粗圧延と熱間仕上圧延からなる熱間圧延を施すにあたり、シングルリバース式の熱間粗圧延時のラストパスの圧下率を20〜40%、粗圧延終了温度を400〜450℃とし、ついで3スタンド以上のタンデム式の仕上げ圧延の総圧下率を91〜94%、終了温度を320〜370℃の条件で行い、熱間圧延終了後再結晶組織とし、その後最終冷間圧延を行なうにあたりその圧下率を82〜86%とするキャンボディ用アルミニウム合金板の製造方法が記載されている。そして、この特許文献6には、このようにして製造されたキャンボディ用アルミニウム合金板は、最終素板の0−180°山の耳率が1.0%〜2.5%であり、絞りカップの真円度が良好である旨が記載されている。
特許第2513367号公報 特開平6−210305号公報 特開平2−280902号公報 特開2006−241517号公報 特開2003−277865号公報 特開2009−235475号公報
しかしながら、特許文献1〜6に記載の技術にはそれぞれ以下のような問題があった。
特許文献1に記載の技術は、圧延方向と圧延直角方向で、カップのコーナRの大きさが異なり、コーナ部分のメタル量が周方向で不均一となる。したがって、缶底の脚部(チャイム部とも言う)を成形する際にシワが発生し易くなるという問題や、DI成形後の耳の高さがばらつき、歩留まりが低下するという問題がある。
また、特許文献2に記載の技術には、板材の表面に形成する凹部の径、凹部ピッチ、凹部深さがいずれも大きいので潤滑油の保持量も多くなり、金型・プレスへの油の持ち込みが多いため、加工により生じる磨耗粉や油がビルドアップし、製品のキズや汚れの原因となったり、作業環境の劣化などの問題が生じたりする。また、潤滑油の使用量および洗浄剤の使用量が増大し、これらのコストが増加するだけでなく、成形後の洗浄作業が困難になるという問題がある。
特許文献3に記載の技術は、板材の表面に深さが1μm以上の凹部を最近接間隔が40μm以上400μm以下で設け、かつこの最近接間隔を鋼板のr値やEl値などで示される特定方向に一致させて成形加工時に材料が流れ込み易くすることで、円筒形深絞り成形する際の成形加工性の向上、つまり製品の割れやしわの抑制を図っている。しかしながら、アルミニウム合金板のr値(ランクフォード値)は鋼板に比べ小さく、絞り性とr値の関係は明確になっていない等、アルミニウム合金板の絞り加工性については、鋼板のように明確な指針がないのが現状である。また、特許文献3に記載されているような、素材(鋼板材料)の特性と、板材(Al合金板)からカップ13を成形する際におけるカップの楕円化との関係も未だに十分に解明されていない。
そのため、特許文献3に記載の技術はカップ成形における楕円化の抑制効果を確実に得ることが期待できないという問題がある。
特許文献4、5に記載の技術はいずれもDI成形によって製造される缶胴14が楕円化するのを防止するために開発されたものであり、カップ成形(カッピング)によって製造されるカップ13の楕円化を適切に抑制するものではない。
そして、特許文献6に記載の技術は、熱間粗圧延と熱間仕上圧延からなる熱間圧延を特定の条件で行うことにより素材の集合組織の改善を行い、カップ成形によって製造されるカップ13の楕円化の抑制を図っているが、その効果は十分とはいえず、楕円量(特許文献6における「一次絞りカップ楕円量(mm)」)は2.0mm以上にもなる。さらには、0−180°耳が1〜2%あり、通常DI缶として用いられている材料より高い材料となっている。0−180°耳が高い場合、しごき加工時に耳切れを起こし、ちぎれた破片が原因となり、ピンホールやティアオフを引き起こすことから、好ましい材料特性とは言えない。
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、アルミニウム飲料缶の缶胴を製造する際のカップ成形によって製造されるカップの楕円化を抑制することのできる缶胴用Al合金板およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは前記課題を解決するため鋭意研究した結果、従来のAl合金板の表面には圧延方向に沿って細かな溝が直線状に並んで形成されている(所謂圧延目)ためにAl合金板の表面粗さに異方性があり、この表面粗さの異方性がカップ成形によって製造されるカップの楕円化に影響しているという知見を得た。すなわち、カップ成形時において金型に挟持されるフランジ部から素材が流入するときに、前記した表面粗さの異方性に起因して当該フランジの半径方向に発生する摩擦抵抗に異方性が生じるため、フランジ部の半径方向張力に周方向の異方性が生じるという知見を得た。また、かかる圧延目により、圧延直角方向においては油溜りとなる溝が短い間隔で形成されているものの、圧延方向には油溜りとなる段差(溝)はほとんど形成されていないため、圧延方向においては油膜切れが起こり易い表面形態になっているといえる。
そのため、本発明者らは、Al合金板の表面の圧延目から圧延方向にも油溜りが形成されるように段差(溝)を形成することで油膜切れが起こり難い表面形態を有する缶胴用Al合金板とすることで前記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った
すなわち、本発明に係る缶胴用Al合金板は、放電ダル加工されたワークロールを用いて圧延された圧延板であり、アルミニウム飲料缶の缶胴を製造するために用いられる缶胴用Al合金板であって、化学組成が、Mn:0.5〜1.5質量%、Mg:0.5〜2.5質量%、Fe:0.1〜0.7質量%、Si:0.05〜0.5質量%、Cu:0.1〜0.6質量%であり、残部がアルミニウムと不可避的不純物からなり、圧延方向における粗さ曲線要素の平均長さをRSm0とし、圧延直角方向における粗さ曲線要素の平均長さをRSm90としたときに、RSm0/RSm90が3.6以下であり、かつ、圧延方向における算術平均粗さRa0および圧延直角方向における算術平均粗さRa90がともに0.15〜0.65μmであり、下記(式1)で算出される耳率が0〜2%であることを特徴としている。
耳率(%)=[{(h45+h135+h225+h315)−(h0+h90+h180+h270)}/{1/2(h45+h135+h225+h315+h0+h90+h180+h270)}]×100・・・(式1)
(ただし、前記(式1)中、hは、絞りカップの高さを表し、hの0〜315の添数字はAl合金板の圧延方向に対する角度(°)を示す。)
このような化学組成とすれば、成分および含有量が適切であるので、DI成形時における耳の発生を抑制することができ、また、しごき加工性および缶強度が良好となるので、缶胴用のAl合金板として好適に使用することができる。また、このように、RSm0/RSm90を特定の範囲とし、圧延方向における算術平均粗さRa0および圧延直角方向における算術平均粗さRa90を特定の数値以上とした表面形態を有する缶胴用Al合金板とすれば、表面に形成されている窪みの間隔が適切であるため当該窪み内に潤滑剤(油)が保持され易くなり、成形時に油膜切れを生じ難くすることができる。つまり、摩擦を小さくすることができる。また、このような表面形態を有することにより、フランジ部分から素材が流入するときの半径方向張力の異方性が生じないように、そしてフランジ部の縮み(周方向)変形の摩擦の異方性が生じないようにすることによって、カップの周方向の板厚分布を均一にすることができる。また、耳率をこのように特定しているので、アルミニウム飲料缶成形加工時の成形不良をなくすことができる。
本発明に係る缶胴用Al合金板は、前記化学組成がさらにCr、Znのうちの少なくとも1種を0.3質量%以下含有しているのがより好ましく、前記化学組成がさらにTi:0.005〜0.3質量%含有しているのがより好ましい。
このような化学組成とすれば、成分および含有量が適切であるので、DI成形時における耳の発生を抑制することができ、また、しごき加工性および缶強度が良好となるので、缶胴用のAl合金板として好適に使用することができる。
本発明に係る缶胴用Al合金板製造方法は、缶胴用Al合金板を製造する缶胴用Al合金板製造方法であって、化学組成が、Mn:0.5〜1.5質量%、Mg:0.5〜2.5質量%、Fe:0.1〜0.7質量%、Si:0.05〜0.5質量%、Cu:0.1〜0.6質量%であり、残部がアルミニウムと不可避的不純物からなるAl合金を溶解して鋳塊を鋳造する鋳造工程、前記鋳塊を均質化熱処理する均質化熱処理工程、前記均質化熱処理した鋳塊を熱間圧延して熱間圧延板を製造する熱間圧延工程、および前記熱間圧延板を冷間圧延して冷間圧延板を製造する冷間圧延工程を含み、前記冷間圧延工程は、トータル冷間圧延率が75〜90%であり、かつ、当該冷間圧延工程における最終パスを、冷間圧延される冷間圧延板に対して、圧延方向における粗さ曲線要素の平均長さをRSm0とし、圧延直角方向における粗さ曲線要素の平均長さをRSm90としたときに、RSm0/RSm90が3.6以下であり、かつ、圧延方向および圧延直角方向における算術平均粗さRaがともに0.15〜0.65μmとなる表面形態を付与することのできる、表面が放電ダル加工されたワークロールを用いて行うことを特徴としている。なお、前記化学組成がさらにCr、Znのうちの少なくとも1種を0.3質量%以下含有しているのがより好ましく、前記化学組成がさらにTi:0.005〜0.3質量%含有しているのがより好ましい。
このような化学組成とすれば、成分および含有量が適切であるので、DI成形時における耳の発生を抑制することができ、また、しごき加工性および缶強度が良好となるので、缶胴用のAl合金板として好適に使用することができる。また、このように、冷間圧延工程における最終パスにおいて、冷間圧延される冷間圧延板に対して前記した特定の表面形態を付与することのできるワークロールを用いることによって、前記した本発明に係る缶胴用Al合金板を製造することができる。
また、冷間圧延工程のトータル冷間圧延率を特定の範囲とすることでAl合金板の強度を十分に高めることができ、缶胴を製造したときに缶胴として必要とされる缶強度を維持することが可能となるとともに、DI成形時における耳の発生を抑制することが可能となる。そのため、所定の缶寸法を得易くなり、優れた加工性を得ることができる。
本発明に係る缶胴用Al合金板製造方法は、前記冷間圧延工程における最終パスの冷間圧延率を2〜60%とするのが好ましい。
冷間圧延工程における最終パスの冷間圧延率をこのような特定の圧延率で行うことで冷間圧延板へのロール表面の転写再現性をよくすることができる。
本発明に係る缶胴用Al合金板によれば、特定の表面形態を有しているので、アルミニウム飲料缶の缶胴を製造する際のカップ成形によって製造されるカップの楕円化を抑制することができる。そのため、楕円量の小さいカップを製造することができる。また、特定の化学組成とした本発明に係る缶胴用Al合金板によれば、前記した効果に加えて、耳率、しごき加工性、缶強度に優れたものとすることができる。
本発明に係る缶胴用Al合金板製造方法によれば、特定の表面形態を有し、アルミニウム飲料缶の缶胴を製造する際のカップ成形によって製造されるカップの楕円化を抑制することができる缶胴用Al合金板を製造することができる。
アルミニウム飲料缶(ツーピースボトル缶)の缶胴の製造工程を模式的に説明した説明図である。 本発明に係る缶胴用Al合金板製造方法の工程の内容を説明するフローチャートである。 従来のアルミニウム飲料缶(ツーピースボトル缶)の缶胴の製造工程を模式的に説明した説明図である。
以下、本発明に係る缶胴用Al合金板およびその製造方法について詳細に説明する。
まず、図1を参照して本発明に係る缶胴用Al合金板について説明する。
本発明に係る缶胴用Al合金板1は、放電ダル加工されたワークロールを用いて圧延された圧延板であり、図1に示すように、アルミニウム飲料缶の缶胴4を製造するために用いられる缶胴用Al合金板である。
この缶胴用Al合金板1は、圧延方向における粗さ曲線要素の平均長さをRSm0とし、圧延直角方向における粗さ曲線要素の平均長さをRSm90としたときに、RSm0/RSm90が3.6以下であり、かつ、圧延方向における算術平均粗さRa0および圧延直角方向における算術平均粗さRa90がともに0.15〜0.65μmとなっている。
アルミニウム飲料缶の缶胴4としては、ブランク2をカップ成形して得られたカップ3に対してDI成形を施すことによって製造され、缶胴部と底部が一体に形成されたツーピースボトル缶を挙げることができる。したがって、Al合金はアルミ缶胴に適したJISH4000に規定の3000系Al合金を用いるのが好ましい。Al合金の化学組成については後述する。
(RSm0/RSm90が3.6以下)
圧延方向における粗さ曲線要素の平均長さをRSm0とし、圧延直角方向における粗さ曲線要素の平均長さをRSm90としたときのRSm0とRSm90の比(RSm0/RSm90)が大きくなり過ぎた場合、圧延方向において成形時に潤滑剤が保持される窪みの間隔が大きくなり、油膜切れが発生し易くなる。
具体的には、RSm0/RSm90が3.6を超えると、圧延方向における粗さ曲線要素の平均長さが圧延直角方向における粗さ曲線要素の平均長さに比べて大きくなり過ぎてしまうため、圧延方向における成形時に潤滑剤が保持される窪みの間隔が圧延方向において大きく離れてしまう。そのため、圧延方向で油膜切れが発生し易くなる。
油膜切れが発生するとその方向における摩擦が大きくなるため、楕円化を抑制することができず、楕円量が大きくなってしまう。つまり、圧延方向および圧延直角方向における油膜切れのし易さの低減(すなわち、摩擦の異方性の低減)が重要である。
したがって、RSm0とRSm90はその差が小さいほど好ましく、RSm0/RSm90を3.6以下、好ましくは2.5以下1.15以上とする。
RSm0/RSm90は、後記するように冷間圧延工程S4における最終パスで用いるワークロールの表面が転写されることで形成されるため、当該ワークロールの表面形態および圧延率を特定の形態とすることにより制御することができる。
(圧延方向における算術平均粗さRa0および圧延直角方向における算術平均粗さRa90がともに0.15〜0.65μm)
前記したように、油膜切れにより摩擦が大きくなり、楕円化に繋がるため、圧延方向および圧延直角方向における油膜切れのし易さの低減を図ることは重要である。そのため、油膜切れがおこり難い窪みを形成するのが好ましく、これを実効あるものとするため、圧延方向における算術平均粗さRa0および圧延直角方向における算術平均粗さRa90がともに0.15μm以上とする必要がある。圧延方向における算術平均粗さRa0および圧延直角方向における算術平均粗さRa90がともに0.15μm未満であると、窪みが小さ過ぎるため油膜切れがおこり易くなる。
なお、圧延方向における算術平均粗さRaおよび圧延直角方向における算術平均粗さRa90がともに0.65μmを超えると、冷間圧延時に圧延荷重が高くなりすぎ、また圧延ひずみが悪く、また、磨耗粉も多く製品にならなかった。
よって、圧延方向における算術平均粗さRa0および圧延直角方向における算術平均粗さRa90はともに0.65μm以下とする。
本発明に係る缶胴用Al合金板1は、Al合金の化学組成の如何に関わらず、カップ成形によって成形されるカップ3の楕円化を抑制し、楕円量を小さくできるが、特にアルミニウム飲料缶のカップ成形において大きな効果をもたらすことができる。
本発明に係る缶胴用Al合金板1のAl合金としては、前記したようにJISH4000に規定する3000系Al合金、具体的には、3104合金または3004合金とするのが好ましい。
より具体的には、Al合金の化学組成は、Mn:0.5〜1.5質量%、Mg:0.5〜2.5質量%、Fe:0.1〜0.7質量%、Si:0.05〜0.5質量%、Cu:0.1〜0.6質量%であり、残部がアルミニウムと不可避的不純物からなるのが好ましい。
以下、Al合金の化学組成について説明する。
(Mn:0.5〜1.5質量%)
Mnは強度の向上に寄与し、さらには成形性(しごき加工性)の向上にも寄与する有効な元素である。特に、本発明のようなツーピースボトル缶用素材(冷間圧延板)では、前記したDI成形時のしごき加工や、ネック加工、ネジ切り加工などが行われるため、Mnは極めて重要となる。
より詳細には、MnはAl−Fe−Mn−Si系金属間化合物(α相)などの種々のMn系金属間化合物を形成する。そして前記α相が適正に分布しているほど、前記各加工時の成形性や加工性を向上することができる。また、Al合金板のしごき加工においては、通常エマルジョンタイプの潤滑剤が用いられているが、前記α相の量が少ないと、エマルジョンタイプの潤滑剤を使用しても潤滑性が不足し、ゴーリングと称される擦り疵や焼付きなどの外観不良が発生する虞がある。従ってα相を生成し、しごき加工時の表面疵を防止するためにも、Mnは不可欠な元素である。
したがって、Mnの含有量が少な過ぎると、前記したようにα相の量が少なくなり潤滑性が不足するためDI成形が困難になり、カップ3の楕円化を抑制する意味を成さない。このため、Mnの含有量は0.5質量%以上、好ましくは0.7質量%以上とする。
一方、Mnの含有量が多過ぎると、熱間圧延終了後の再結晶が不十分となる。そのため、アルミニウム飲料缶のカップ成形時にカップ3の圧延方向の耳が高くなり過ぎてしまい、続くDI成形でピンホールが発生する原因となるため、カップ3の楕円化を抑制することは意味を成さない。それゆえ、Mnの含有量は1.5質量%以下とする。
(Mg:0.5〜2.5質量%)
Mgは強度を向上できる点で有効である。Mgの含有量が少な過ぎると熱間圧延終了後の再結晶が不十分となる。そのため、アルミニウム飲料缶のカップ成形時にカップ3の圧延方向の耳が高くなり過ぎてしまい、続くDI成形でピンホールが発生する原因となる。また、DI成形後の缶強度も低くなるため、カップ3の楕円化を抑制する意味を成さない。このため、Mgの含有量は0.5質量%以上、好ましくは0.8質量%以上とする。
一方、Mgが多過ぎると焼付きが発生し易くなる。そのため、Mgの含有量は2.5質量%以下、好ましくは1.6質量%以下、さらに好ましくは1.35質量%以下とする。
(Fe:0.1〜0.7質量%)
Feは結晶粒を微細化させる作用があり、さらには前述のAl−Fe−Mn−Si系金属間化合物(α相)を生成するため、DI成形におけるしごき加工性の向上に寄与する。またFeは、Mnの晶出や析出を促進し、アルミニウム母材中のMn固溶量やMn系金属間化合物の分散状態を制御し、再結晶を促進させる。このため、Feの含有量は、0.1質量%以上とする。
一方、Feの含有量が0.7質量%を超えると巨大な初晶金属間化合物が発生し易くなり、DI成形におけるしごき加工性を損なう。このため、Feの含有量は、0.7質量%以下とする。
(Si:0.05〜0.5質量%)
Siは、Mg2Si系金属間化合物やAl−Fe−Mn−Si系金属間化合物(α相)などの分散粒子を生成させるために有用な元素である。これら分散粒子が適度に分布しているほどDI成形におけるしごき加工性を向上することができる。このため、Siの含有量は0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上とする。
一方、Siの含有量が0.5質量%を超えると、熱間仕上圧延時の再結晶が阻害され、45°耳が増大し、しごき加工性が低下する。このため、Siの含有量は0.5質量%以下、好ましくは0.45質量%以下、さらに好ましくは0.4質量%以下とする。
(Cu:0.1〜0.6質量%)
Cuは、冷間圧延板の製缶時におけるベーキング(焼付印刷)によりAl−Cu−Mg系金属間化合物として析出するとともに、Mgとともに含有させることによって、軟化を抑制することができる。このため、Cuの含有量は0.1質量%以上、好ましくは0.15質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上とする。
一方、Cuの含有量が多過ぎると、時効硬化は容易に得られるものの、硬くなり過ぎるために、DI成形におけるしごき加工性が低下し、さらには耐食性も劣化する。このため、Cuの含有量は0.6質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.35質量%以下とする。
(残部)
残部は、アルミニウムと不可避的不純物からなる。不可避的不純物は基本的に少ない方が好ましいが、JISH4000に規定される3000系Al合金に含有されるその他の元素の上限値程度までであれば、本発明の効果を阻害しないのでこれを含有することは許容される。不可避的不純物としては、例えば、Gaを0.05質量%以下、Vを0.05質量%以下含有することを許容することができる。
また、さらにAl合金の化学組成は、任意元素としてCr、Znのうちの少なくとも1種を0.3質量%以下で含有していてもよい。
(Cr、Znのうちの少なくとも1種:0.3質量%以下)
Crは強度向上効果を発揮する。しかしながら、Crの含有量が多過ぎると巨大晶出物が生成するため成形性が低下する。このため、Crの含有量は0.3質量%以下、好ましくは0.25質量%以下とする。なお、前記した強度向上効果を有効に発揮させるためには、Crの含有量を0.001質量%以上、好ましくは0.002質量%以上とするのが好ましい。
Znを含有させるとAl−Mg−Zn系粒子が時効析出するため強度向上効果を得ることができる。しかしながら、Znの含有量が多過ぎると、強度が高くなり過ぎるためしごき加工性が低下する。また、耐食性も低下するおそれがある。このため、Znの含有量は0.3質量%以下、好ましくは0.25質量%以下とする。なお、前記した強度向上効果を有効に発揮させるためには、Znの含有量を0.05質量%以上、好ましくは0.06質量%以上とするのが好ましい。
Al合金の化学組成は、任意元素としてさらに、Ti:0.005〜0.2質量%含有していてもよい。
(Ti:0.005〜0.3質量%含有)
TiおよびBは、鋳塊組織を微細化する作用を有する。通常、Tiを添加する場合には、Ti:B=5:1の割合とした鋳塊微細化剤(TiB)を、ワッフル状あるいはロッド状の形態で溶湯(溶解炉、介在物フィルター、脱ガス装置、溶湯流量制御装置のいずれかに投入された、スラブ凝固前の溶湯)に添加するため、含有割合に応じたBも必然的に添加されることとなる。Tiの添加量で0.005質量%以上の添加により、鋳塊の結晶粒が微細化され、アルミニウム合金板の成形性(しごき加工性)が向上する。一方、Tiの含有量で0.3質量%を超えた含有量となると、粗大な晶出物が形成され、DI加工時に亀裂が発生するので、アルミニウム合金板の成形性(しごき加工性)が低下する。このため、Tiの含有量は0.3質量%以下、好ましくは0.2質量以下、より好ましくは0.1質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以下とする。なお、前記した結晶粒微細化の効果を有効に発揮させるためには、Tiの含有量を0.005質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.015質量%以上とするのが好ましい。
以上に説明した本発明に係る缶胴用Al合金板1によれば、特定の表面形態を有しているため、アルミニウム飲料缶の缶胴4を製造する際のカップ成形によって製造されるカップ3の楕円化を抑制することができる。つまり、真円度を高くすることができる。
また、本発明に係る缶胴用Al合金板1によれば、缶胴4の素材が変更されたような場合であっても、そのような設計変更がなされる度に新たに金型の設計、検討、導入を行う必要がなく、初期投資コストを抑制することができる。
さらに、本発明に係る缶胴用Al合金板1の有する表面形態は大きな凹部を形成させるものではないので潤滑油の保持量が多くならない。そのため、潤滑油の使用量および洗浄剤の使用量を抑制することができるのでこれらのコストが低減できるだけでなく、成形後の洗浄作業も容易になる。
次に、図2を参照して本発明に係る缶胴用Al合金板1を製造するための缶胴用Al合金板製造方法について説明する。
図2に示すように、本発明に係る缶胴用Al合金板製造方法は、鋳造工程S1、均質化熱処理工程S2、熱間圧延工程S3、および冷間圧延工程S4を含んでおり、これらの工程をこの順に行うものである。
以下、各工程の内容について説明する。
(鋳造工程S1)
鋳造工程S1は、前記した化学組成を有するAl合金を溶解して鋳塊を鋳造する工程である。
鋳塊の鋳造は、通常行われる条件で行うことができ、例えば、アルミニウム圧延工場で通常行われているDC鋳造(Direct−chill Casting)で行うことができる。
なお、Al合金の好適な化学組成については既に詳述しているので説明を省略する。
(均質化熱処理工程S2)
均質化熱処理工程S2は、鋳造工程S1で鋳造した鋳塊を均質化熱処理する工程である。
均質化熱処理(均熱)温度は、例えば480℃以上とし、好ましくは620℃以下とする。均熱温度が低過ぎると均質化に時間がかかり過ぎて生産性が低下し、均熱温度が高過ぎると鋳塊表面に膨れが生じるおそれがある。そのため、前記範囲に均熱温度を設定するのが好ましい。
(熱間圧延工程S3)
熱間圧延工程S3は、均質化熱処理工程S2で均質化熱処理した鋳塊を熱間圧延して熱間圧延板を製造する工程である。
熱間圧延は、熱間圧延開始温度(つまり、熱間粗圧延の開始温度)、熱間圧延終了時の熱間圧延板の板厚、および熱間圧延終了温度(つまり、熱間仕上圧延の終了温度)をそれぞれ以下のように制御するのが好ましい。
熱間圧延開始温度は、例えば450〜550℃とするのが好ましい。熱間圧延開始温度が450℃未満であると、熱間圧延終了時の温度が低くなり、熱間圧延コイルは、完全に再結晶せず加工組織が残留した不均一な組織となる。その結果、材料特性のばらつきや、材料強度の上昇によるしごき加工性が低下する要因となる。一方、熱間圧延開始温度が550℃を超えると熱間圧延板の表面の酸化皮膜の成長を促進させるため表面品質の低下を招くおそれがある。
熱間圧延終了時の熱間圧延板の板厚は、例えば1.5〜3.0mmとするのが好ましい。熱間圧延板を薄く巻き取るほどコスト上好ましくなるが、熱間圧延終了時の熱間圧延板の板厚が1.5mm未満になると板に巻き取ることができないおそれがある。一方、熱間圧延終了時の熱間圧延板の板厚が3.0mmを超えると熱間圧延後の冷間圧延パス数が増えるのでコスト上好ましくない。
熱間圧延終了温度は、例えば280〜360℃とするのが好ましい。熱間仕上圧延時は高温が確保し難く、かつ早く冷却し易い端面の温度管理が重要になる。熱間圧延終了温度が280℃未満となると、熱間圧延コイル材は再結晶しておらず、本発明の缶胴用Al合金板製造方法によって製造された冷間圧延板(缶胴用Al合金板)は45°耳が高く発生し易くなる。したがって、フランジ部の寸法不良等を招き易くなるため所定の缶寸法が得難くなり、加工性に劣り易い。よって、熱間圧延終了温度を280℃以上とするのが好ましい。なお、熱間圧延終了温度が360℃を超えると再結晶はするものの結晶粒が粗大化し易いので、DI成形におけるしごき加工性が劣り易くなる。そのため、熱間圧延終了温度は360℃以下とするのが好ましい。
(冷間圧延工程S4)
冷間圧延工程S4は、熱間圧延工程S3で製造した熱間圧延板を冷間圧延して冷間圧延板、すなわち缶胴用Al合金板1を製造する工程である。
この冷間圧延工程S4は、トータル冷間圧延率を75〜90%とする必要がある。ここで、トータル冷間圧延率とは、熱間圧延工程S3で製造した熱間圧延板を巻き取って再結晶させた状態の板厚、または製造した熱間圧延板を荒鈍した状態の板厚から、板製品である缶胴用Al合金板1の板厚とするまでの圧延率をいう。
冷間圧延時のトータル冷間圧延率が75%未満であるとAl合金板の強度不足により缶強度が不足する。また、マイナス耳(−耳)が高くなって耳割れが生じる結果しごき加工性が劣る。一方、冷間圧延時のトータル冷間圧延率が90%を超えると成形時に45°耳(プラス耳(+耳))が高くなる。したがって、フランジ部の寸法不良等を招き易くなるため所定の缶寸法が得難くなり、しごき加工性に劣る。また、前記したようにプラス耳が高くなるためトータル冷間圧延率が75%未満の場合と同様、耳割れが生じることから、結果的にしごき加工性が劣化する。
そして、当該冷間圧延工程S4における最終パスは、冷間圧延される冷間圧延板に対して、圧延方向における粗さ曲線要素の平均長さをRSm0とし、圧延直角方向における粗さ曲線要素の平均長さをRSm90としたときに、RSm0/RSm90が3.6以下であり、かつ、圧延方向および圧延直角方向における算術平均粗さRaがともに0.15〜0.65μmとなる表面形態を付与することのできるワークロールを用いて行う。
このようなワークロールは、表面を放電ダル加工することにより具現することができる。
放電ダル加工の条件としては、例えば、任意の加工液を使用し、加工電流:3〜24A(アンペア)、加工電圧:100〜230V(ボルト)、放電時間:0.5〜3000μs(秒)の範囲内とすればよく、任意の加工液としては、鉱物油系加工油、灯油系加工油、合成炭化水素などを挙げることができる。
冷間圧延は、シングル圧延機にて複数回パスに分けて行ってもよく、タンデム圧延機の多段スタンドパスにて1回通板で行ってもよい。このときの最終冷間圧延率(シングル圧延機の場合は最終パス、タンデム圧延機の場合は最終スタンドパス)は2〜60%とするのが好ましい。最終冷間圧延率をこの範囲とすれば、缶胴4を製造する際のカップ3の楕円化を抑制して楕円量を小さくすることができる。なお、この最終冷間圧延率は低加工率であるほどロール表面の形態が冷間圧延板に転写再現される割合(転写率)が高くカップ成形によって製造されたカップ3の楕円量を更に小さくすることができる。なお、最終冷間圧延率は50%以下とするのが好ましく、その加工率が小さくなる程、より真円に近似した楕円量を得ることができる。
次に、本発明の要件を満たす実施例と要件を満たさない比較例とを例示して、本発明に係る缶胴用Al合金板およびその製造方法についてさらに詳細に説明する。
(1)ワークロールおよび冷間圧延板の表面性状による、カップ成形後のカップの楕円量について
まず、下記表1のA1〜NのうちのA1に示す化学組成を有するAl合金を溶解してそれぞれの鋳塊を鋳造した。次いで、各鋳塊を610℃の温度で1時間以上の均質化熱処理を施した後、510℃まで冷却し、引き続いて熱間圧延を行った。熱間圧延は、熱間圧延開始温度(熱間粗圧延の開始温度)を480℃とし、熱間圧延終了時の熱間圧延板の板厚を2.2mmとし、熱間圧延終了温度(つまり、熱間仕上圧延の終了温度)を330℃とした。その後、熱間圧延板を冷間圧延し、板厚が0.28mmである試験板No.1〜8に係る冷間圧延板を製造した(表3参照)。なお、冷間圧延における最終パスは、下記表2に示す冷延条件No.1〜11のうち、冷延条件No.1〜6、10、11に示す条件で行った。なお、表1および表2における下線部は本発明の要件を満たさないことを示す。
表2に、冷間圧延の最終パスに用いたワークロールの加工方法と、ワークロールの表面の算術平均粗さRa90(μm)と、最終冷間圧延率と、トータル冷間圧延率とを示す。また、表2には、冷間圧延の最終パスに用いたワークロールの表面の算術平均粗さとともに、当該ワークロールの表面のピークカウント(PPI)を併記した。
ここで、ピークカウント(PPI)は、表面粗度パラメーターの単位長さ当たりのピーク数を表すものである。この場合の単位長さは1インチであり、山又は谷をピークとして判断する基準値を0.5μmとした。また、粗さ曲線のカットオフ値(λc)を0.8mmとした。
冷延条件No.1〜9で用いたワークロールの表面は、表2に示すとおり放電ダル加工によって加工した。放電ダル加工は、Waldrich Siegen社製放電ダル加工機Profitex 30とパラフィン系加工液(新日本石油社製、メタルワークED)を使用し、加工電流:3〜24A、加工電圧:100〜230V、放電時間:0.5〜3000μsの範囲内で条件を調整して、いずれも圧延する時の垂直方向における表面の算術平均粗さRa(表2において「Ra90」と示す。)が1.8μm、1.45μm、0.8μmになるように加工した3種類のワークロールを製作した。なお、一般に、ダル加工された圧延ロールは、Ra90とRa0で差が無いため、算術平均粗さはRa90(圧延直角方向における算術平均粗さ)のみで表される。
また、冷延条件No.10、11で用いたワークロール(従来タイプ)の表面は、Waldrich Siegen社製研削Type WS IIIに、PA#120(アルミナ系砥粒)のホイール型砥石を使用し、砥石回転数:400〜440rpm、ワークロール回転数:35〜50rpm、テーブル速度:2000〜1300mm/minの範囲内で条件を調整して、0.45μmRa(圧延する時の垂直方向)になるように研磨した。
なお、冷延条件No.1〜11で用いたワークロールの表面粗さパラメータ(Raおよびピークカウント)の測定は、表面粗さ測定機(小坂研究所製サーフコーダSE−1700α)を用いて、触針=R2μm、規準長さ=8.00mm、走査速度=0.5mm/秒、カットオフ値λc=0.8mmの条件で、圧延ロールの軸方向に走査することで測定した。
Figure 0005491937
Figure 0005491937
表1および表2に示す条件で製造した試験板No.1〜8について、圧延方向における粗さ曲線要素の平均長さRSm0、圧延直角方向における粗さ曲線要素の平均長さRSm90、RSm0/RSm90、圧延方向における算術平均粗さRa0、圧延直角方向における算術平均粗さRa90を測定した。また、試験板No.1〜8を用いてカップ成形を行い、得られたカップについて楕円量を測定した。これらの測定および評価は以下のようにして行った。
(表面粗さの測定)
圧延方向における粗さ曲線要素の平均長さRSm0、圧延直角方向における粗さ曲線要素の平均長さRSm90、圧延方向における算術平均粗さRa0、および圧延直角方向における算術平均粗さRa90などの表面粗さは、試験板No.1〜8に対して、表面粗さ測定機(小坂研究所製サーフコーダSE−30D)を用いて、圧延方向および圧延方向に直角な方向(圧延直角方向)に走査することで測定した。なお、これらの表面粗さ(RaおよびRSm)の測定は、触針径=2μm、規準長さ=8.00mm、走査速度=0.5mm/秒、カットオフ値λc=0.8mmの条件で測定した。
(カップ成形およびこれによって得られたカップの楕円量の評価)
カップ成形およびこれによって得られたカップの楕円量の評価は下記のようにして行った。
試験板No.1〜8からブランク径140mmのブランクを作製し、このブランクを用いて、パンチ径90mm、パンチのコーナRが3.2mmR、ダイス径90.665mmφ、ダイスの肩Rが3.2mmRの金型を用い、150トンクランクプレスにより直径90mmφのカップを成形した。カップ成形時には、広くカップ成形で使用されているカップルブ(クエーカーケミカル社製クエークロール705R)をユニロールタイプのカップルブコータにて両面塗布した。
成形したカップの楕円量の測定は、成形したカップの縁の圧延方向と圧延直角方向の直径をノギスにより測定し、圧延直角方向(長径)から圧延方向(短径)を引いた長さの差を楕円量とした。楕円量が1.0mm以下のものを良好(○)と評価し、楕円量が1.0mmを超えるものを良好でない(×)と評価した。
試験板No.1〜8の圧延方向における粗さ曲線要素の平均長さRSm0、圧延直角方向における粗さ曲線要素の平均長さRSm90、RSm0/RSm90、圧延方向における算術平均粗さRa0、圧延直角方向における算術平均粗さRa90、および楕円量の評価結果を表3に示す。なお、表3における下線部は本発明の要件または効果を有さないことを示す。
Figure 0005491937
本発明の要件を満たす試験板No.1〜5の楕円量は0.4〜0.8mmであり、従来の一般的な缶胴用Al合金板の楕円量3〜5mmと比較して著しく小さかった。そのため、試験板No.1〜5は表3に示すように極めて良好な評価となった。
これに対し、試験板No.6〜8は、本発明の規定するいずれかの要件を満たさないため、楕円量が大きくなり良好でない結果となった。また、楕円量が満たされた場合でも、表面品質に係わる磨耗粉が多い物や、圧延ひずみが悪く製品にならない結果となった。
具体的には、試験板No.6は、板表面に十分な形態が得られたが、ワークロールおよび板表面の粗度が高いため、圧延荷重が高くなり、磨耗粉も多く、圧延できなかった。
試験板No.7および試験板No.8は、従来から使われているワークロールにより製造した板であり、いずれも、RSm0/RSm90が大きくなり、楕円量が大きくなったため、良好でない評価となった。
(2)DI成形後の缶胴の一般特性について
表1のA1〜Nに示す化学組成を有するAl合金を溶解してそれぞれの鋳塊を鋳造した。次いで、各鋳塊を610℃の温度で1時間以上の均質化熱処理を施した後、510℃まで冷却し、引き続いて熱間圧延を行った。熱間圧延は、熱間圧延開始温度(熱間粗圧延の開始温度)を480℃とし、熱間圧延終了時の熱間圧延板の板厚を2.2mmとし、熱間圧延終了温度(つまり、熱間仕上圧延の終了温度)を330℃とした。放冷後、熱間圧延板を冷間圧延し、板厚が0.28mmである試験板No.9〜36を製造した。なお、冷間圧延は、表4およびこれに引用される表2に示す冷延条件No.にて行った。
前記したようにして製造した試験板No.9〜36について、圧延方向における粗さ曲線要素の平均長さRSm0、圧延直角方向における粗さ曲線要素の平均長さRSm90、RSm0/RSm90、圧延方向における算術平均粗さRa0、圧延直角方向における算術平均粗さRa90を測定した。また、試験板No.9〜36を用いてカップ成形を行い、得られたカップについての楕円量を測定した。これらの測定および評価は前記した(1)と同様にして行った。
なお、(2)の評価においては、カップ成形によって成形されたカップの耳率と、当該カップをDI成形して得られたツーピースボトル缶(缶胴)についてのしごき加工性および缶強度とを評価した。これらの評価は以下のようにして行った。なお、試験板No.1についても同様にカップの耳率と、当該カップをDI成形して得られたツーピースボトル缶(缶胴)についてのしごき加工性および缶強度とを評価した。
(耳率の評価)
カップの耳率の評価は、以下の方法によりカップを成形し、成形したカップについて以下のようにして耳率を測定することにより行った。
試験板No.1、9〜36からブランク径140mmのブランクを作製し、このブランクを用いて、パンチ径90mm、パンチのコーナRが3.2mm、ダイス径90.665mmφ、ダイスの肩Rが3.2mmRの金型を用い、150トンクランクプレスにより直径90mmφのカップを成形した。カップ成形時には、広くカップ成形で使用されているカップルブ(クエーカーケミカル社製クエークロール705R)をユニロールタイプのカップルブコータにて両面に塗布した。
そして、カップのカップ高さを測定し、下式(1)に基づき耳率を測定した。下記(式1)において、hは絞りカップの高さを表し、hの0〜315の添数字はカップ高さの測定位置を示す(つまり、Al合金板の圧延方向に対する角度(°)を意味する。
カップの耳率は、アルミニウム飲料缶成形加工時の成形不良に影響し、耳率が高い場合、耳切れによるピンホール等の不良缶が発生し易く、楕円化を抑制する意味を成さない。耳率は0〜2%以内であることが求められているので、耳率が0〜2%以内であるものを耳率が良好である(○)と評価し、耳率が2%を超えるものを耳率が良好でない(×)と評価した。
耳率(%)=[{(h45+h135+h225+h315)−(h0+h90+h180+h270)}/{1/2(h45+h135+h225+h315+h0+h90+h180+h270)}]×100・・・(式1)
(しごき加工性評価)
しごき加工性の評価は、試験板No.1、9〜36を用いて成形したカップを用いて3伸目のしごき率を40%としてDI成形機にてDI成形を行い、10000缶製缶したときに破断が発生した個数により評価を行った。破断した個数が0〜3個であるものを良好(○)と評価し、4個以上発生したものを良好でない(×)と評価した。
(缶強度)
缶強度は、缶底の耐圧強度により評価した。缶底成形をしたDI缶を200℃、20分の印刷焼付け相当の熱処理を施した後、水圧式の耐圧試験機(バックリングテスター)にて缶底の耐圧強度を測定した。耐圧強度が617.4kPa(6.3kgf/cm2)以上を合格(○)とし、それ未満を不合格(×)とした。
試験板No.1、9〜36の圧延方向における粗さ曲線要素の平均長さRSm0、圧延直角方向における粗さ曲線要素の平均長さRSm90、RSm0/RSm90、圧延方向における算術平均粗さRa0、圧延直角方向における算術平均粗さRa90、楕円量、耳率、しごき加工性、および缶強度の評価結果を表4に示す。
Figure 0005491937
表4に示すとおり、本発明の要件を満たす試験板No.1、9〜20、34は、楕円量、耳率、しごき加工性、および缶強度のいずれの評価も良好であった。
これに対し、試験板No.21〜33、35、36は、本発明の規定するいずれかの要件を満たさないため、耳率、楕円量、しごき加工性、および缶強度のうちのいずれかにおいて良好でない結果となった。
具体的には、試験板No.21は、Siの含有量が少ないため、Al−Fe−Mn−Si系金属間化合物(α相)の生成が少なかった。そのため、しごき加工時に焼付きを起こし、しごき加工性が悪かった。
試験板No.22は、Siの含有量が多いため、熱間圧延での再結晶が十分ではなかった。そのため、耳率が高く耳率が2%以上となった。また、強度も高くなりしごき加工性も劣っていた。
試験板No.23は、Feの含有量が少ないため、Al−Fe−Mn−Si系金属間化合物(α相)の生成が少なかった。そのため、しごき加工時に焼付きを起こし、しごき加工性が劣っていた。
試験板No.24は、Feの含有量が多いため、Al−Fe−Mn−Si系金属間化合物(α相)が粗大化した。そのため、しごき加工時の割れ起点となり、しごき加工性が劣っていた。
試験板No.25は、Cuの含有量が少ないため、ベーキングによる耐力低下が大きく、缶強度を満足しなかった。
試験板No.26は、Cuの含有量が多いため、試験板の強度が高くなり、しごき加工性が劣っていた。
試験板No.27は、Mnの含有量が少ないため、Al−Fe−Mn−Si系金属間化合物(α相)の生成が少なかった。そのため、しごき加工時に焼付きを起こし、しごき加工性が劣っていた。
試験板No.28は、Mnの含有量が多いため、熱間圧延での再結晶が十分ではなかった。そのため、耳率が2%以上となった。また、強度も高くなり、しごき加工性も劣っていた。
試験板No.29は、Mgの含有量が少なく、熱間圧延での再結晶が十分ではなかった。そのため、耳率が2%以上となり、しごき加工時に耳切れによるピンホールが発生してしごき加工性が劣る結果となった。また、缶強度が低かった。
試験板No.30は、Mgの含有量が多いため、しごき加工時に焼付きが発生し、しごき加工性が劣っていた。
試験板No.31は、Crの含有量が多いため、巨大晶出物が生成した結果、しごき加工性(成形性)が劣った。
試験板No.32は、Znの含有量が多いため、しごき加工性(成形性)が劣っていた。
試験板No.33は、Tiの含有量が多いため、粗大な晶出物が形成され、しごき加工時に亀裂が発生した。そのため、しごき加工性が劣っていた。
試験板No.35は、トータル冷間圧延率が低いため、Al合金板の強度不足により缶強度が不足していた。また、マイナス耳が高くなり耳率が劣る結果となり、さらに、しごき加工時に耳割れが生じたため、しごき加工性が劣る結果となった。
試験板No.36は、トータル冷間圧延率が高いため、成形時に45°耳が高くなり、耳率が2%以上となった。また、そのため、フランジ部の寸法不良が発生し、しごき加工性が劣ることになった。これに加え、しごき加工時に耳割れが生じたため、しごき加工性が劣る結果となった。
以上、前記(1)および前記(2)で説明したように、本発明に係る缶胴用Al合金板およびその製造方法によれば、Al合金の化学組成の如何に関わらず、カップ成形(絞り成形)によって製造されるカップの楕円化を抑制でき、楕円量を小さくできることがわかった(前記(1)において試験板No.1〜5の楕円量が良好であり、前記(2)において試験板No.9〜28の楕円量が良好であった。)。
また、前記(2)で説明したように、JISH4000に規定の3000系Al合金を用いると、カップの楕円量が小さく、当該カップを用いてDI成形した際の耳率、しごき加工性、および缶強度が良好であるため、アルミニウム飲料缶(ツーピースボトル缶)の缶胴の製造に対して大きな効果が得られることがわかった(前記(2)において試験板No.9〜18をDI成形した際の耳率、しごき加工性、および缶強度が良好であった。)。
1 缶胴用Al合金板
2 ブランク
3 カップ
4 缶胴
S1 鋳造工程
S2 均質化熱処理工程
S3 熱間圧延工程
S4 冷間圧延工程

Claims (7)

  1. 放電ダル加工されたワークロールを用いて圧延された圧延板であり、アルミニウム飲料缶の缶胴を製造するために用いられる缶胴用Al合金板であって、
    化学組成が、Mn:0.5〜1.5質量%、Mg:0.5〜2.5質量%、Fe:0.1〜0.7質量%、Si:0.05〜0.5質量%、Cu:0.1〜0.6質量%であり、残部がアルミニウムと不可避的不純物からなり、
    圧延方向における粗さ曲線要素の平均長さをRSm0とし、圧延直角方向における粗さ曲線要素の平均長さをRSm90としたときに、RSm0/RSm90が3.6以下であり、かつ、
    圧延方向における算術平均粗さRa0および圧延直角方向における算術平均粗さRa90がともに0.15〜0.65μmであり、
    カップ成形後、下記(式1)で算出される耳率が0〜2%である
    ことを特徴とする缶胴用Al合金板。
    耳率(%)=[{(h45+h135+h225+h315)−(h0+h90+h180+h270)}/{1/2(h45+h135+h225+h315+h0+h90+h180+h270)}]×100・・・(式1)
    (ただし、前記(式1)中、hは、カップの高さを表し、hの0〜315の添数字は、Al合金板の圧延方向に対する角度(°)を示す。)
  2. 前記化学組成がさらにCr、Znのうちの少なくとも1種を0.3質量%以下で含有していることを特徴とする請求項に記載の缶胴用Al合金板。
  3. 前記化学組成がさらにTi:0.005〜0.3質量%含有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の缶胴用Al合金板。
  4. 胴用Al合金板を製造する缶胴用Al合金板製造方法であって、
    化学組成が、Mn:0.5〜1.5質量%、Mg:0.5〜2.5質量%、Fe:0.1〜0.7質量%、Si:0.05〜0.5質量%、Cu:0.1〜0.6質量%であり、残部がアルミニウムと不可避的不純物からなるAl合金を溶解して鋳塊を鋳造する鋳造工程、前記鋳塊を均質化熱処理する均質化熱処理工程、前記均質化熱処理した鋳塊を熱間圧延して熱間圧延板を製造する熱間圧延工程、および前記熱間圧延板を冷間圧延して冷間圧延板を製造する冷間圧延工程を含み、
    前記冷間圧延工程は、
    トータル冷間圧延率が75〜90%であり、かつ、
    当該冷間圧延工程における最終パスを、冷間圧延される冷間圧延板に対して、圧延方向における粗さ曲線要素の平均長さをRSm0とし、圧延直角方向における粗さ曲線要素の平均長さをRSm90としたときに、RSm0/RSm90が3.6以下であり、かつ、圧延方向および圧延直角方向における算術平均粗さRaがともに0.15〜0.65μmとなる表面形態を付与することのできる、表面が放電ダル加工されたワークロールを用いて行う
    ことを特徴とする缶胴用Al合金板製造方法。
  5. 前記化学組成がさらにCr、Znのうちの少なくとも1種を0.3質量%以下で含有していることを特徴とする請求項4に記載の缶胴用Al合金板製造方法。
  6. 前記化学組成がさらにTi:0.005〜0.3質量%含有していることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の缶胴用Al合金板製造方法。
  7. 前記冷間圧延工程における最終パス冷間圧延率が2〜60%であることを特徴とする請求項4から請求項6のうちのいずれか1項に記載の缶胴用Al合金板製造方法。
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