JP2011051101A - 平版印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

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宏和 澤田
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彰男 上杉
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寧 船戸
Shigeaki Sasaki
茂明 佐々木
Atsushi Hibino
淳 日比野
Motoya Kandori
基哉 神鳥
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Abstract

【目的】平版印刷版支持体として好適な粗面化構造が得られるとともに、印刷版において重要な耐刷性、耐過酷インキ汚れ性をも付与し得る印刷版用支持体を得るために好適な平版印刷版用アルミニウム合金板を提供する。
【解決手段】粗面化したのち電解処理され、該電解処理面にクロムめっきが施されてなるロールにより圧延され粗面化仕上げされたアルミニウム合金板であって、粗面化仕上げ面は粗面にさらに微細な凹凸が形成された表面形態をそなえ、粗面化仕上げ面の表面粗度は、算術平均粗さRaが0.3〜1.0μm、圧延方向と直角な方向における凹凸の平均長さRsmが100μm以下であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、粗面化された圧延ロールで圧延され粗面化仕上げされた平版印刷版用アルミニウム合金板、詳しくは、化学的粗面化処理、電気化学的粗面化処理あるいはこれらを組み合わせた粗面化処理の対象となるアルミニウム合金板であり、より優れた特性をそなえた印刷版支持体を得ることを可能とする特定な粗面化形態を有する平版印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法に関する。
平版印刷版用アルミニウム合金板は、常法により製造された表面平滑なアルミニウム合金板を粗面化仕上げすることにより製造される。粗面化仕上げの手法としては、ボールグレイニング、ブラシグレイニング、ワイヤーグレイニング、ブラストグレイニングなどの機械的粗面化処理、酸、アルカリによる化学的粗面化処理、塩酸や硝酸を含む電解液中で交流電解など電解エッチング処理する電気化学的粗面化処理、あるいはこれらの組み合わせが知られている。
機械的粗面化処理としてエンボス加工を適用して特定な表面粗さと特定サイズの凹凸を形成した後、化学的粗面化処理や電気化学的粗面化処理を併用して印刷版支持体を得る手法(特許文献1〜3参照)や、製造コスト低減などを目的として、圧延ロールによる粗面化仕上げのみで印刷版支持体を得る手法(特許文献4参照)なども提案されている。
特開昭60−203495号公報 特開昭60−203496号公報 特開昭60−203497号公報 特開2000−211261号公報
発明者らは、上記の手法をさらに検討した結果、化学的粗面化処理、電気化学的粗面化処理あるいはこれらを組み合わせた粗面化処理の対象となるアルミニウム合金板として、圧延ロールにより特定な粗面化形態に粗面化仕上げされたアルミニウム合金板を適用した場合に、より優れた特性をそなえた印刷版支持体が得られることを見出した。
本発明は、上記の知見に基づき、圧延ロールにより粗面化仕上げされるアルミニウム板における圧延ロールの粗面化条件、アルミニウム板の粗面化形態と印刷性能との関連について試験、検討を重ねた結果としてなされたものであり、その目的は、平版印刷版支持体として好適な粗面化構造が得られるとともに、印刷版において重要な耐刷性、耐汚れ性をも付与することができる印刷版支持体を得るために好適な平版印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するための請求項1による平版印刷版用アルミニウム合金板は、粗面化したのち電解処理され、該電解処理面にクロムめっきが施されてなるロールにより圧延され粗面化仕上げされたアルミニウム合金板であって、粗面化仕上げ面は粗面にさらに微細な凹凸が形成された表面形態をそなえ、粗面化仕上げ面の表面粗度は、算術平均粗さRaが0.3〜1.0μm、圧延方向と直角な方向における凹凸の平均長さRsmが100μm以下であることを特徴とする。
請求項2による平版印刷版用アルミニウム合金板は、請求項1において、前記圧延方向と直角な方向における凹凸の平均長さRsm−wに対する圧延方向における凹凸の平均長さRsm−rの比、ΔRsm(=(Rsm−r/Rsm−w))が3.0以下であることを特徴とする
請求項3による平版印刷版用アルミニウム合金板は、請求項1または2において、前記粗面化仕上げ面の凹凸の最大谷深さRvが1μm以上、最大山高さRzが2μm以上であることを特徴とする。
請求項4による平版印刷版用アルミニウム合金板は、請求項1〜3のいずれかにおいて、請求項1記載のアルミニウム合金板の表面形態における微細な凹凸がフラップ形状の凹凸部からなり、該フラップ形状の凹凸部の平均幅が30μm以下であることを特徴とする。
請求項5による平版印刷版用アルミニウム合金板は、請求項4において、前記フラップ形状の凹凸部の平均長さが60μm以下であることを特徴とする。
請求項6による平版印刷版用アルミニウム合金板は、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記粗面化仕上げ面の見かけ面積に対する実面積の比、ΔSが1.02以上であることを特徴とする。
請求項7による平版印刷版用アルミニウム合金板の製造方法は、請求項1〜6記載の平版印刷版用アルミニウム合金板を製造する方法であって、前記圧延を、粗面化したのち電解処理され、該電解処理面にクロムめっきが施されてなる算術平均粗さRaが0.4〜2.0μmのロール面を有する圧延ロールにより、粘度2〜5cStの圧延油を用いて行うことを特徴とする。
本発明によれば、化学的粗面化処理、電気化学的粗面化処理あるいはこれらを組み合わせた粗面化処理の対象となるアルミニウム合金板であって、平版印刷版支持体として好適な粗面化構造が得られるとともに、印刷版において重要な耐刷性、耐過酷インキ汚れ性をも付与することができる印刷版支持体を得るために好適な平版印刷版用アルミニウム合金板が提供される。
本発明による平版印刷版用アルミニウム合金板の粗面化仕上げ面の表面形態を示すSEM像である。凹凸状の粗面にさらに微細な凹凸が形成され、微細な凹凸は、幅W、長さLを有するフラップ形状の凹凸部からなっている。 図1の微細な凹凸を構成するフラップ形状の凹凸部の幅Wおよび長さLを測定する方法を示す図である。
本発明による平版印刷版用アルミニウム合金板は、粗面化ロールにより圧延され粗面化仕上げされたアルミニウム合金板であり、板表面のSEM像を図1に示す。粗面化仕上げ面は、凹凸状の粗面にさらに微細な凹凸が形成された表面形態をそなえている。図1にみられるように、前記微細な凹凸はフラップ形状の凹凸部からなっている。
粗面化仕上げ面の表面粗度は、算術平均粗さRaが0.3〜1.0μm、圧延方向と直角な方向における凹凸の平均長さRsm(粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分において一つの山およびそれに隣り合う一つの谷に対応する平均線の長さの和(凹凸の間隔)を求め、この多数の凹凸の間隔の算術平均値をいう)が100μm以下であることが好ましい。Raが0.3μm未満では、印刷版として適用した場合、湿し水の保水量が急激に減少するおそれがあり、画像部のインキが非画像部上に移動し易くなって耐インキ汚れ性が低下する。Raが1.0μmを超えると、ブランケット胴の汚れが生じるおそれがある。耐インキ汚れ性を向上させるためには、十分な保水量を保持し得る表面粗さを有していることが必要で、そのために粗面化仕上げ面の算術平均粗さは0.3〜1.0μmの範囲とするのが好ましく、0.6〜0.7μmとするのがさらに好ましい。
粗面化仕上げ面の圧延方向と直角な方向における凹凸の平均長さRsmは100μm以下であることが好ましく、Rsmを100μm以下とすることにより、十分な保水量を保持することができる。Rsmが100μmを超えると、湿し水の保水量が減少する傾向にあり、耐インキ汚れ性が低下する。Rsmを50μm以下の範囲とするのがさらに好ましい。
本発明による平版印刷版用アルミニウム合金板においては、粗面化仕上げ面の圧延方向と直角な方向における凹凸の平均長さRsm−wに対する圧延方向における凹凸の平均長さRsm−rの比、ΔRsm=(Rsm−r/Rsm−w)が3.0以下であることが望ましく、凹凸の方向性をなくして耐刷性を向上させることができる。ΔRsmが3.0を超えると、粗面化仕上げ面の凹凸の方向性が顕著になるため、画像部となる画像記録層との密着性が弱まり、耐刷性が劣化し易くなる。ΔRsmのさらに好ましい範囲は2.0以下である。
本発明による平版印刷版用アルミニウム合金板においては、また、粗面化仕上げ面の凹凸の最大谷深さRvを1μm以上、最大山高さRzを2μm以上とすることによって、耐刷性を向上させることができる。Rvが1μm未満、Rzが2μm未満の場合は、支持体と画像区域の画像記録層との密着性が弱まり、耐刷性が低下し易くなる。
本発明の平版印刷版用アルミニウム合金板において、Ra、Rsm、ΔRsm、Rv、Rzは、表面粗さ計により粗さ曲線を測定することにより求める。例えば、本発明の平版印刷版用アルミニウム合金板を2cm角の大きさに切り取って、水平な台にセットし、表面粗さ計(テーラーホブソン社製、サートロニック 3+)を用いて粗さ曲線を測定する。走査長さを4mm、カットオフを0.8mmとし、フィルターにはガウシャンフィルターを用い、粗さ曲線を測定して上記の粗さパラメータを算出する。
また、本発明による平版印刷版用アルミニウム合金板においては、図1に示すように、粗面化仕上げ面は、凹凸状の粗面にさらに微細な凹凸が形成された表面形態をそなえており、微細な凹凸はフラップ形状の凹凸部からなっている。フラップ形状の凹凸部の幅W、長さL(図1参照)については、平均幅が30μm以下、平均長さが60μm以下であることが望ましい。
フラップ形状の凹凸部の幅Wおよびフラップ形状の凹凸部の長さLは、湿し水の保水量に影響し、幅Wや長さLが大きくなると湿し水の保水量が減少して耐インキ汚れ性が低下する。また、フラップ形状の凹凸部の幅Wおよびフラップ形状の凹凸部の長さLは、圧延方向と直角な方向における凹凸の平均長さRsmにも影響し、幅Wや長さLが大きくなるとRsmも増大して、湿し水の保水量が減少して耐インキ汚れ性が低下し易くなる。
フラップ形状の凹凸部の幅Wおよび長さLは、切片法により測定する。図2に示すように、SEM写真に1mm相当の線を縦横に1本づつ引いて、フラップ形状の凹凸部の数を数えることにより幅Wおよび長さLを測定し、平均値を求める。
さらに、粗面化仕上げ面の見かけ面積に対する実面積の比、ΔSを1.02以上とすることにより、画像記録層との接触面積が大きくなって耐刷性を向上させることができる。
粗面化仕上げ面の見かけ面積に対する実面積の比、ΔSを求めるためには、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)により表面形状を測定し、3次元データを求める。
(1)3次元データの求め方
測定は、例えば、以下の条件で行うことができる。すなわち、平版印刷版用支持体を1cm角の大きさに切り取って、ピエゾスキャナー上の水平な試料台にセットし、カンチレバーを試料表面にアプローチし、原子間力が働く領域に達したところで、XY方向にスキャンし、その際、試料の凹凸をZ方向のピエゾの変位でとらえる。ピエゾスキャナーは、XY方向について150μm、Z方向について10μm、走査可能なものを使用する。カンチレバーは共振周波数120〜400kHz、バネ定数12〜90N/mのもの(SI−DF20、セイコーインスツルメンツ社製)を用い、DFMモード(Dynamic Force Mode)で測定する。また、求めた3次元データを最小二乗近似することにより試料のわずかな傾きを補正し基準面を求める。計測の際は、表面の50μm四方を512×512点測定する。XY方向の分解能は0.1μm、Z方向の分解能は1nm、スキャン速度は60μm/secとする。
(2)3次元データの補正
ΔSの算出には、上記(1)で求められた3次元データから波長2μm以上50μm以下の成分を抽出したものを用いる。波長2μm以上50μm以下の成分の抽出には、上記(1)で求められた3次元データを高速フーリエ変換して周波数分布を求め、ついで、波長2μm未満の成分を除去した後、フーリエ逆変換をすることにより行う。
上記(2)で補正して得られた3次元データ(f(x,y))を用い、隣り合う3点を抽出し、その3点で形成される微小三角形の面積の総和を求め、実面積Sx とする。表面積比ΔSは、得られた実面積Sx と幾何学的測定面積S0 とから、下記式により求められる。
ΔS=[(Sx −S0 )/S0 ]×100(%)
本発明による平版印刷版用アルミニウム合金板は、Fe:0.2〜0.6%、Si:0.03〜0.15%、Cu:0.1%以下、Ti:0.005〜0.05%を含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなる組成を有するアルミニウム合金板であることが望ましい。
Feは、Al−Fe系金属間化合物を形成し、またSiと共存してAl−Fe−Si系金属間化合物を生成し、これらの化合物の分散により再結晶組織が微細化され、これらの化合物が電解処理時のピット発生の起点となってピットの分散を均一且つ微細にするよう機能する。Feの好ましい含有量は0.2〜0.6%の範囲であり、0.2%未満では化合物の分布が不均一となってピットの形成が均一となり難く、0.6%を超えると粗大な化合物が生成し易く、粗面化構造の均一性が低下する原因となる。
Siは、Feと共存してAl−Fe−Si系金属間化合物を生成し、この化合物の分散により再結晶組織が微細化され、化合物が電解処理時のピット発生の起点となってピットの分散を均一且つ微細にするよう機能する。Siの好ましい含有量は0.03〜0.15%の範囲であり、0.03%未満では化合物の分布が不均一となってピットの形成が均一となり難く、0.15%を超えると粗大な化合物や単体Siの析出が生じ易く、粗面化構造の均一性が低下する原因となる。
Cuは、ピットの深さを大きくして耐刷性を向上させるよう機能する。Cuの好ましい含有量は0.1%以下、より好ましくは0.01〜0.1%の範囲であり、0.1%を超えると電解粗面化により形成されるピットが粗大な独立ピットとなり易く、耐刷性低下の原因となる。
Tiは、鋳塊組織を微細にし、結晶粒を微細化して電解処理時のピット形成を均一にし、印刷版としての処理を行ったときにストリークの発生を防止するよう機能する。Tiの好ましい含有量は0.005〜0.05%の範囲であり、0.005%未満ではその効果が十分でなく、0.05%を超えるとAl−Ti系の粗大な化合物が生成し粗面化構造が不均一となり易い。鋳塊組織の微細化のために、Tiと共にBを添加してもよく、この場合にはTiは0.01%以下の範囲で含有させるのが好ましい。
本発明による平版印刷版用アルミニウム合金板は、所定の組成を有するアルミニウム合金を溶解、鋳造し、得られた鋳塊を均質化処理、熱間圧延、冷間圧延、熱間圧延後または冷間圧延の途中で必要に応じて中間焼鈍を行う通常の平版印刷版用アルミニウム合金板の製造方法に従って製造される。
得られた冷間圧延されたアルミニウム合金板は、特定の処理条件で粗面化された圧延ロール、すなわち、ブラスト仕上げなどの手法によって粗面化したのち電解処理され、得られた電解処理面にクロムめっきが施された算術平均粗さRaが0.4〜2.0μmのロール面を有する圧延ロールにより、粘度2〜5cStの圧延油を用いて、圧延し粗面化仕上げされる。圧延ロールの電解処理面にクロムめっきを施す場合、電解処理を行う電解液中でクロムめっきを施すことが好ましい。電解処理により電解処理面を形成し、その後、別のめっき浴中に移してクロムめっきを施したロール面を用いて圧延し粗面化仕上げした場合には、算術平均粗さRaが小さくなり、また、機械的粗面化後にクロムめっきを施したロール面を有する圧延ロールを用いて圧延し粗面化仕上げした場合には、凹凸の平均長さRsmが大きくなり、いずれも本発明の表面形態を得ることができない。
圧延、粗面化仕上げに用いる圧延油の粘度は2〜5cStが好ましい。圧延油の粘度が2cSt未満では、圧延ロールと被圧延材との接触弧長内での金属接触領域が増加し、粗面化仕上げ面に微細な凹凸が過度に形成されるため、本発明の表面形態を得ることができない。また粘度が5cStを超えると、粗大なオイルピットが形成されやすく、さらに金属接触領域が減少しすぎて、粗面化仕上げ面の微細な凹凸が形成され難くなり、本発明の表面形態を得ることができない。
上記のようにして製造された平版印刷版用アルミニウム合金板の表面には、アルカリエッチングなど化学的粗面化処理が施されて、アルミニウム合金板表面に残存するバリや圧延油などの除去が行われ、電気化学的粗面化処理(電解エッチング)が施される。通常は、さらに常法に従って陽極酸化皮膜が形成され、アルカリ金属ケイ酸塩処理による親水化処理および/または下塗り処理などの界面処理を行った後、サーマルタイプの画像記録層、コンベンショナルポジタイプの画像記録層を設けられて平版印刷版原版が得られ、さらに当該平版印刷版原版を、画像記録層に応じて画像露光および現像処理して、平版印刷版が得られる。
以下、本発明の実施例を説明する。この実施例は、本発明の一実施態様であり、本発明はこれに限定されるものではない。
Si:0.08%、Fe:0.27%、Cu:0.026%、Ti:0.017%を含有し、残部Alおよび不純物からなる組成を有するアルミニウム合金を溶解、鋳造し、得られた鋳塊の上下両面を面削して、厚さ500mm、幅1000mmのインゴットとし、550℃の温度で均質化処理した。ついで、400℃の温度に加熱して熱間圧延を行った後、連続焼鈍炉による中間焼鈍(温度500℃、保持無し)を施し、冷間圧延を行い冷延板とした。
得られた冷延板を、以下のように処理され粗面化されたロール面を有する圧延ロールを4段ロールのワークロールとして組み込み、粘度を変えた圧延油を用いて圧延、粗面化仕上げすることにより、厚さ0.27mmの平版印刷版用アルミニウム合金板を製造した。
ロール面の処理:ブラスト仕上げした鍛鋼ロールのロール面を、ロール面を陽極として、クロムめっき用電解液を用いて、電解処理条件を変えて電解粗面化処理し、ついで同液中で極性を反転しロール面を陰極としてクロムめっきを施し、5μm厚さのクロムめっきを施した。ブラスト仕上げ後にクロムめっきを施したロール、電解処理により電解処理面を形成した後、別のめっき浴中に移してクロムめっきを施したロールも用いた。
用いたロールのロール面の処理方法と圧延ロール表面の算術平均粗さRaを表1に、用いた圧延油の粘度を表2に示す。また、表1〜2に示す圧延条件で得られた平版印刷版用アルミニウム合金板(以下、試験材)の粗面化仕上げ面の表面特性を表3に示す。
Figure 2011051101
Figure 2011051101
Figure 2011051101
試験材に、アルカリエッチング処理、デスマット処理、電解エッチング処理を行い、さらに陽極酸化処理、アルカリ金属ケイ酸塩による親水化処理を行った後、画像記録層を塗布して印刷版(以下、試験原版)とし、印刷性能として耐インキ汚れ性および耐刷性を評価した。結果を表4に示す。
耐インキ汚れ性は、平版印刷版について通常用いられる印刷機とインキにより印刷して、1万枚印刷した後のブランケットの汚れを目視により観察し、ブランケットがほとんど汚れていないものは良好(○)、ブランケットが汚れているが許容できる範囲にあるものをやや良好(△)と評価した。耐刷性は、平版印刷版について通常用いられる印刷機とインキにより印刷して、画像の濃度が薄くなり始めたことが目視で認められた時点の印刷枚数が3万枚以上を良好(○)、2万枚以上3万枚未満をやや良好(△)と評価した。なお、耐インキ汚れ性がやや良好(△)なもの、耐刷性がやや良好(△)なものは実質的に使用できる範囲のものである。
Figure 2011051101
表4に示すように、本発明の条件に従う試験材1による試験原版1は優れた耐インキ汚れ性と耐刷性が得られた。試験材2による試験原版2は、耐刷性についてはやや良好という結果を示したが耐インキ汚れ性に優れており、また、試験材3による試験原版3は、耐インキ汚れ性についてはやや良好という結果を示したが耐刷性に優れており、いずれも実用可能なものであった。
これに対して、表3、表4に示すように、試験材4は、圧延油の粘度が低かったため、圧延ロールと圧延材との接触弧長内での金属接触領域が増加して良好な圧延ができず、試験原版用として適用することができなかった。試験材5は、圧延油の粘度が高かったため、圧延ロールと圧延材との接触弧長内での金属接触領域が減少し、粗面化仕上げ面に微細な凹凸が形成され難くなってRsmが大きくなり、また、Rv、Rz、ΔSが小さくなった。従って、試験材5による試験原版は画像部となる画像記録層との密着性が弱まり、耐刷性が劣るものであった。
試験材6は、電解処理により電解処理面を形成し、その後、別のめっき浴中に移してクロムめっきを施したロール面を有する圧延ロールを用いて圧延し粗面化仕上げしたものであるため、試験材6による試験原版5はRaが小さくなり、十分な保水量が確保できず耐インキ汚れ性が低下した。また、Rv、Rz、ΔSが小さくなり、画像部となる画像記録層との密着性が弱まり、耐刷性が劣るものであった。
試験材7は、ブラスト仕上げ後にクロムめっきを施したロール面を有する圧延ロールを用いて圧延し粗面化仕上げしたもので、試験材7による試験原版は、フラップ形状の凹凸部の幅W、フラップ形状の凹凸部の長さLが大きく、Rsm、Raも大きくなって、湿し水の保水量が減少して耐インキ汚れ性が低下した。また、ΔRsmが大きくなり、画像部となる画像記録層との密着性が弱まり、耐刷性が劣るものであった。

Claims (7)

  1. 粗面化したのち電解処理され、該電解処理面にクロムめっきが施されてなるロールにより圧延され粗面化仕上げされたアルミニウム合金板であって、粗面化仕上げ面は粗面にさらに微細な凹凸が形成された表面形態をそなえ、粗面化仕上げ面の表面粗度は、算術平均粗さRaが0.3〜1.0μm、圧延方向と直角な方向における凹凸の平均長さRsmが100μm以下であることを特徴とする平版印刷版用アルミニウム合金板。
  2. 前記圧延方向と直角な方向における凹凸の平均長さRsm−wに対する圧延方向における凹凸の平均長さRsm−rの比、ΔRsm(=(Rsm−r/Rsm−w))が3.0以下であることを特徴とする請求項1記載の平版印刷版用アルミニウム合金板。
  3. 前記粗面化仕上げ面の凹凸の最大谷深さRvが1μm以上、最大山高さRzが2μm以上であることを特徴とする請求項1または2記載の平版印刷版用アルミニウム合金板。
  4. 請求項1記載のアルミニウム合金板の表面形態における微細な凹凸がフラップ形状の凹凸部からなり、該フラップ形状の凹凸部の平均幅が30μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の平版印刷版用アルミニウム合金板。
  5. 前記フラップ形状の凹凸部の平均長さが60μm以下であることを特徴とする請求項4記載の平版印刷版用アルミニウム合金板
  6. 前記粗面化仕上げ面の見かけ面積に対する実面積の比、ΔSが1.02以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の平版印刷版用アルミニウム合金板。
  7. 請求項1〜6記載の平版印刷版用アルミニウム合金板を製造する方法であって、前記圧延を、粗面化したのち電解処理され、該電解処理面にクロムめっきが施されてなる算術平均粗さRaが0.4〜2.0μmのロール面を有する圧延ロールにより、粘度2〜5cStの圧延油を用いて行うことを特徴とする平版印刷版用アルミニウム合金板の製造方法。
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