JP5944024B1 - ロータリースパッタリングターゲット及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】スパッタリング時にアーキングの発生やパーティクルの発生を抑制し、スパッタリングによる成膜のばらつきを抑制し、品質を向上させたスパッタリング用ロータリーターゲットを提供する。【解決手段】棒状又は円筒状である支持体と円筒型ターゲットとを接合したスパッタリング用ロータリーターゲットであって、ターゲットの支持体側の表面粗さRaが0.5〜2.0μm、Rzが3.0〜9.0μm、かつ、RSmが25μm以下であることを特徴とするスパッタリング用ロータリーターゲット。【選択図】図1

Description

本発明は、膜の形成に好適なITO、IZOのロータリースパッタリングターゲット及びその製造方法に関する。
ITO(インジウム−錫の複合酸化物)膜は、液晶ディスプレイを中心とする表示デバイスにおける透明電極(透明導電膜)として、広く使用されている。このITO膜を形成する方法として、真空蒸着法やスパッタリング法など、一般に物理蒸着法と言われている手段によって行われている。特に操作性や被膜の安定性からマグネトロンスパッタリング法を用いて形成することが多い。また、IZO(インジウム−亜鉛の複合酸化物膜は、液晶表示装置の透明導電性薄膜やガスセンサーなどに広く使用されている。
一般に、スパッタリングターゲットは焼結体から製造され、平板状や円筒状の形態で支持体に載置されるが、支持体に適度な接合強度をもって接合(接着)する必要がある。接合強度が弱い場合には、ターゲットの操作の際、例えばスパッタリング装置への搬送又は装着の際、あるいは、スパッタリング時の熱影響によって、ターゲットに歪が発生したり、ターゲットに亀裂や変形が生じたり、時には、支持体から剥離する場合もある。このような歪や亀裂は、スパッタリング時にアーキングの発生を伴い、スパッタリングによる成膜のばらつきを発生し、品質を低下させるという問題がある。
このように、支持体へのターゲットの接合は重要であるが、公知技術には、次の例がある。下記特許文献1には、円筒形状のセラミックス焼結体からなるターゲット材20の内周面に、または円筒形状のセラミックス焼結体からなるターゲット材の内周面と円筒形支持基材10の外周面の両方に、ニッケルまたは銅からなる第1の下地層30を形成し、その第1の下地層の上に、スズからなる第2の下地層40を形成し、次いで、そのターゲット材を円筒形支持基材の外側に配置し、両者を接合材で接合し、ターゲットを製造することが開示されている。
しかしこの方法は、下地層の形成に時間がかかる他、接合材であるインジウムに下地層が浸漬し、回収するインジウムの精製費用が高くなるといったデメリットがある。
また、下記特許文献2には、円筒形のセラミックスのターゲット材の接合面を電解還元することによって金属層を形成させ、これを下地層とすることによって、接合の際に接合部に押圧しなくても冷却固化させるだけで十分な接合率および強度が得られ、スパッタリング中の熱の影響で剥離や割れのないスパッタリングターゲットおよびその製造方法が開示されている。しかし、電解還元で金属層を形成させただけでは、支持体との接合強度が十分ではない。
また、下記特許文献3には、ターゲット材とバッキングプレートとをボンディング材により接合してなるスパッタリングターゲットであって、前記ターゲット材の接合される側の面の表面粗さが最大高さRzで5μm以上15μm以下の範囲とすることを特徴とするスパッタリングターゲットが開示されている。
しかしこの方法は、後述の比較例で示すように、表面粗さのみを制御するだけでは、十分な支持体との接合強度が得られない。
また、下記特許文献4には、スパッタリングターゲット材とバッキングプレートとをハンダ付け法により接合するスパッタリングターゲットの製造方法において、少なくともスパッタリングターゲット材接合表面にハンダ皮膜層を電気メッキ法により形成することを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法が開示されている。
しかしこの方法は、予めハンダ被膜層の形成をする手間がかかり、またハンダ被膜層とターゲットとの接着強度が十分とはいえない。
また、下記特許文献5には、チタンまたはチタン合金よりなるターゲット材を銅、銅合金、チタンおよびチタン合金の少なくとも一種よりなるバッキングプレート材に接合するに際し、チタンまたはチタン合金に下地処理としてニッケル或いは銅をメッキ処理した後、ターゲット材およびバッキングプレート材両面を超音波メタライジングし、その後はんだで接合することを特徴とするスパッタリング用ターゲットのはんだ付け方法が開示されており、 極めて接合強度の高いスパッタリング用ターゲットを得ることができると記載されている。
しかしこの方法は、下地層の形成に時間がかかる他、接合材であるインジウムに下地層が浸漬し、回収するインジウムの精製費用が高くなるといったデメリットがある。
このように前記特許文献1−5については、十分な接合強度を有しておらず、ターゲットの操作時、例えばスパッタリング装置への搬送又は装着時、又はスパッタリング時の熱影響を受け、ターゲットに歪が発生し、ターゲットが変形したり、亀裂が入ったり、場合によっては支持体から剥離する場合もあるという問題が存在していた。
特開2012−132065号公報 特開2012−140658号公報 特開2009−242915号公報 特開平11−106904号公報 特開平8−67978号公報
本発明は、このような事情に着目してなされたものであって、ロータリーターゲットを支持体に適度な接合強度をもって接合(接着)し、接合強度を高め、スパッタリング装置への搬送又は装着時のロータリーターゲットの操作における剥離等を抑制し、又はスパッタリング時の熱影響を受けた場合でも、ロータリーターゲットの歪の発生、ロータリーターゲットの変形、亀裂、支持体からの剥離、を効果的に抑制することを目的とする。これにより、スパッタリング時にアーキングの発生やパーティクルの発生を抑制し、スパッタリングによる成膜のばらつきを抑制し、品質を向上させたスパッタリング用ロータリーターゲットを提供することを課題とする。
かかる知見を基礎として、本発明者は、以下の発明を提供する。
1)棒状又は円筒状である支持体と円筒型ターゲットとを接合したスパッタリング用ロータリーターゲットであって、ターゲットの支持体側の表面粗さRaが 0.5〜2.0 μm、Rzが3.0〜9.0μm、かつ、RSmが25μm以下であることを特徴とするスパッタリング用ロータリーターゲット。
2)焼結体がセラミックス製焼結体であることを特徴とする上記1)記載のスパッタリング用ロータリーターゲット。
3)セラミックス焼結体がITO、IZOであることを特徴とする上記2)記載のスパッタリング用ロータリーターゲット。
4)支持体が、無酸素銅、銅合金、Ti(合金を含む)又はステンレス鋼であることを特徴とする上記1)〜3)のいずれか一記載のスパッタリング用ロータリーターゲット。
5)スパッタリング用ターゲットの支持体側の表面を機械加工し、その後、電解還元することで、ターゲットの支持体側の表面粗さRaを0.5〜2.0 μm、Rzを3.0〜9.0μm、かつ、RSmを25μm以下とすることを特徴とするスパッタリング用ロータリーターゲットの製造方法。
本発明のロータリーターゲットは、焼結体ターゲットを支持体に適度な接合強度をもって接合(接着)し、接合強度を高め、スパッタリング装置への搬送又は装着時のターゲットの操作における剥離等を抑制し、スパッタリング時の熱影響を受けた場合でも、ロータリーターゲットの歪の発生、ロータリーターゲットの変形、亀裂、支持体から剥離、を効果的に抑制することを可能とする。
さらに、スパッタリング時にアーキングの発生やパーティクルの発生を抑制し、スパッタリングによる成膜のばらつきを発生し、品質を向上させたスパッタリング用ロータリーターゲットを提供することができるという優れた効果を有する。
実施例1の円筒状ターゲットの内側表面のSEM写真を示す図である。 比較例1の円筒状ターゲットの内側表面のSEM写真を示す図である。 本発明の引張試験の試験方法を示す模式図である。
ロータリーターゲットの接合においては、ロータリーターゲット内面にボンディング材(ロウ材、主にインジウムメタル)を塗布する方法が一般的である。そして、この際、ターゲットの表面粗さを適度に粗化することにより、ターゲットと支持体との密着性を向上させることが一般的に行われている。しかし、円筒型ターゲットの内面は粗化することが困難であり、依然としてロウ材であるインジウムメタルとの密着性が良くないという問題を有していた。
また従来は、ターゲット粗化について詳細な表面状態を考慮するものではなかった。すなわち、密着性を高めるために表面粗さRaやRzを制御することが行われていたが、単にターゲットを粗化して、RaやRzを調整するだけでは、接着強度が十分に向上しないという問題を有していた。
RaやRzの表面粗さは粗化の度合いを示す粗さ指標として有用であるが、この指標のみでは十分な接着強度が得られないという問題があった。そこで、本発明は、円筒型のロータリーターゲットの内面について、通常の研削面とは異なった特異な表面状態を得ることで、ロウ材との密着性を格段に向上させたスパッタリング用ロータリーターゲットを提供するものである。これが本発明の基本思想である。
具体的には、表面粗さRa(算術平均粗さ)やRz(最大高さ粗さ)に加えて、RSm(粗さ曲線要素の平均長さ)に着目することで、さらに密着性向上を可能とするものである(JIS B0601−2001を参考)。RaやRzは高さ方向の粗さを基準にするが、これに対してRSmは、横(水平)方向の粗さを基準にする。これにより、RaやRzだけでは制御できない粗さ曲線の山・谷の間隔を、粗化の度合いとして制御するものである。このRSmは、他の表面粗さの指標であるRaやRzとは相関関係にないため、RaやRzを制御したとしても、これらの値に追従するものではない。本発明は、Rsmという粗さ指標を適切に制御することで、ロウ材が単位面積当たりの間隙に入り込む箇所を多くすることができ、従来よりも接着性を向上することができる。
すなわち、本発明のスパッタリング用ロータリーターゲットは、ターゲットの支持体側の表面粗さRaが 0.5〜2.0 μm、Rzが3.0〜7.0μm、かつ、RSmが25μm以下であることを特徴とするものである。ターゲットの支持体側の表面粗さRa、Rz及びRSmを上記数値範囲に制御することにより、スパッタリング装置への搬送、装着時の脱落、剥離を防止することができ、また、スパッタリング時に熱影響を受けた場合でも、ターゲットの歪や変形、亀裂、支持体からの剥離を防止することができる。
また、外観から見て亀裂が見えない場合でも、ターゲット内部に歪が存在する場合があり、これに起因して、スパッタリング時にアーキングの発生やパーティクルが多く発生することがあるが、本発明によれば、このようなスパッタリング時にアーキングの発生やパーティクルの発生を抑制し、スパッタリングによる成膜のばらつきを抑制することができる。特に、材料の種類と特性が異なるセラミック製の焼結体と支持体とを接合する場合に有効である。
本発明のスパッタリング用ロータリーターゲットにおいて、焼結体材料として、ITO(インジウム、錫、酸素を構成元素とする複合酸化物)、IZO(インジウム、亜鉛、酸素を構成元素とする複合酸化物)のセラミックス製ターゲットが好適な材料である。例えば、ITOについては、ITO中のSnO含有量を2〜36wt.%含有する材料、IZOについては、IZO中のZnOを7〜10.7wt.%含有する材料を使用することができる。
また、支持体としては、通常無酸素銅、銅合金、Ti(合金を含む)又はステンレス鋼を使用することができる。これもまた、好適な支持体であり、これらに限定されるものではない。ボンディング材(ロウ材)としては、インジウムメタル又はインジウムを80at%以上含有するインジウム合金を用いることができる。ただし、このロウ材も一般に用いられるもので、これに限定されるものではないが、通常はこのロウ材を使用する。
本発明の円筒型のターゲットは、その支持体側の表面を機械加工し、その後、電解還元することで、表面粗さRaを0.5〜2.0 μm、Rzを3.0〜7.0μm、かつ、RSmを25μm以下とすることができる。RSmは小さければ小さいほど、同一水平距離における三角波状の山と谷(凹凸)が多く存在し、アンカー効果も向上するが、機械加工の都合上、10μm以上とするのが好ましい。機械加工としては、研磨、研削等の加工方法を適宜選択することができ、例えば、#60〜#80、#100程度の砥粒にて表面を加工することが有効である。電解還元は、ターゲットを負極、白金を陽極とし、電流密度を1.13A/dm、処理時間1〜15min、の条件で行うことができる。但し、電解還元の条件は、所望の表面粗さを得るために前工程の機械加工の条件を考慮する必要があり、前記の電解還元条件は一例であって、これに制限されるものではない。
本発明(実施例、比較例を含む)における評価方法等は、以下の通りである。
(表面粗さの評価)
表面粗さの測定は、キーエンス製レーザー顕微鏡VK−9700を用いて、測定倍率3000倍、カットオフ値λc=0.8mmとし、線粗さで測定を行い、10点の平均とする。また、測定箇所は、円筒型ターゲットの支持体側の表面について、軸を中心として任意に選択した点とそこから90度ずつ回転させた計4箇所とし、その4箇所全てにおいて、上記の数値の範囲内にあることを確認する。
なお、前述のJIS B0601−2001では、接触式の表面粗さ計を用いた測定を前提としているが、電解粗化で生成する表面の凹凸は、接触式の表面粗さ計の分解能を超えることがあるため、本発明では、非接触式のレーザー顕微鏡で測定する。
(引張試験)
図3に引張試験の試験方法を示す。引張試験には、島津製作所製オートグラフAG−25TAを用いて、試験速度は0.5mm/minとし、試料との治具であるネジとの接合面の破断時の応力を引張強度とし、10サンプル以上の平均値とする。
(抗折強度試験)
ファインセラミックスの曲げ強さ(JIS R 1601)の三点曲げ試験に準じて試験を行う。今田製作所製引張圧縮試験機(SV−201NA−50SL型)を用い、試験片は20個とし、その平均値とする。
以下、実施例に基づいて説明する。なお、本実施例はあくまで理解を容易にするための一例であり、この例によって何ら制限されるものではない。すなわち、本発明は特許請求の範囲によってのみ制限されるものであり、本発明で説明する実施例以外の種々の変形を包含するものである。
(実施例1)
円筒状のITO(SnO:10wt.%、In:残部)ターゲット材に対して、支持体側表面を#80の平面研削を行い、その後、電解還元処理を行った。電解還元の条件は、ターゲットを負極、白金を陽極とし、電流密度を1.13A/dm、処理時間を10minとした。なお、この処理によって、ITOのSnリッチ相や粒界が選択的に溶解し、表面粗さを適切に制御することが可能となった。
以上の表面処理により、ターゲットの支持体側表面の表面粗さが、Ra:1.09μm、Rz:6.33μm、RSm:18.6μmとなった。次に、このターゲットについて、前述の方法によって引張試験及び抗折強度試験を行った。その結果、引張強さは1.36MPaであり、抗折強度は140MPaと、高強度のターゲットが得られた。以上の結果を表1に示す。
(実施例2)
円筒状のIZO(ZnO:10.7wt.%、In:残部)ターゲット材に対して、支持体側表面を#80の平面研削を行い、その後、電解還元処理を行った。電解還元の条件は、処理時間を15minとした以外は、実施例1と同様とした。
以上の表面処理により、ターゲットの支持体側表面の表面粗さが、Ra:0.91μm、Rz:4.92μm、RSm:16.8μmとなった。次に、このターゲットについて、前述の方法によって引張試験及び抗折強度試験を行った。その結果、引張強さは1.30MPaであり、抗折強度は90MPaと、高強度のターゲットが得られた。
(実施例3)
円筒状のITO(SnO:10wt.%、In:残部)ターゲット材に対して、支持体側表面を#46の平面研削を行い、その後、電解還元処理を行った。電解還元の条件は、処理時間を10minとした以外は、実施例1と同様とした。
以上の表面処理により、ターゲットの支持体側表面の表面粗さが、Ra:1.85μm、Rz:8.45μm、RSm:21.1μmとなった。次に、このターゲットについて、前述の方法によって引張試験及び抗折強度試験を行った。その結果、引張強さは1.50MPaであり、抗折強度は100MPaと、高強度のターゲットが得られた。
(実施例4)
円筒状のITO(SnO:10wt.%、In:残部)ターゲット材に対して、支持体側表面を#60の平面研削を行い、その後、電解還元処理を行った。電解還元の条件は、処理時間を10minとした以外は、実施例1と同様とした。
以上の表面処理により、ターゲットの支持体側表面の表面粗さが、Ra:1.42μm、Rz:7.07μm、RSm:18.8μmとなった。次に、このターゲットについて、前述の方法によって引張試験及び抗折強度試験を行った。その結果、引張強さは1.28MPaであり、抗折強度は120MPaと、高強度のターゲットが得られた。
(実施例5)
円筒状のIZO(ZnO:10.7wt.%、In:残部)ターゲット材に対して、支持体側表面を#220の平面研削を行い、その後、電解還元処理を行った。電解還元の条件は、処理時間を15minとした以外は、実施例1と同様とした。
以上の表面処理により、ターゲットの支持体側表面の表面粗さが、Ra:0.59μm、Rz:3.41μm、RSm:15.2μmとなった。次に、このターゲットについて、前述の方法によって引張試験及び抗折強度試験を行った。その結果、引張強さは1.25MPaであり、抗折強度120MPaと、高強度のターゲットが得られた。
(実施例6)
円筒状のIZO(ZnO:10.7wt.%、In:残部)ターゲット材に対して、支持体側表面を#100の平面研削行い、その後、電解還元処理を行った。電解還元の条件は、処理時間を15minとした以外は、実施例1と同様とした。
以上の表面処理により、ターゲットの支持体側表面の表面粗さが、Ra:0.80μm、Rz:4.78μm、RSm:17.1μmとなった。次に、このターゲットについて、前述の方法によって引張試験及び抗折強度試験を行った。その結果、引張強さは1.31MPaであり、抗折強度90MPaと、高強度のターゲットが得られた。
(実施例7)
円筒状のITO(SnO:2.5wt.%、In:残部)ターゲット材に対して、支持体側表面を#80の平面研削を行い、その後、電解還元処理を行った。電解還元の条件は、処理時間を5minとした以外は、実施例1と同様とした。
以上の表面処理により、ターゲットの支持体側表面の表面粗さが、Ra:1.02μm、Rz:6.10μm、RSm:19.2μmとなった。次に、このターゲットについて、前述の方法によって引張試験及び抗折強度試験を行った。その結果、引張強さは1.45MPaであり、抗折強度は130MPaと、高強度のターゲットが得られた。
(比較例1)
円筒状のITO(SnO:10wt.%、In:残部)ターゲット材に対して、支持体側表面を#80で平面研削のみ行い、その後の電解還元処理は実施しなかった。
以上の表面処理により、ターゲットの支持体側表面の表面粗さが、Ra:1.06μm、Rz:4.80μm、RSm:41.7μmとなり、本願発明に規定するRsmの数値範囲外となった。次に、このターゲットについて、前述の方法によって引張試験及び抗折強度試験を行った。その結果、引張強さは1.04MPaであり、抗折強度は150MPaと、実施例1に比べて、引張強度が著しく低下した。
(比較例2)
円筒状のIZO(ZnO:10.7wt.%、In:残部)ターゲット材に対して、表面処理を行った。表面処理は、ターゲットの支持体側表面を#80で平面研削のみ行い、その後の電解還元処理は行わなかった。
以上の表面処理により、ターゲット内面の表面粗さが、Ra:0.78μm、Rz:4.07μm、RSm:32.9μmとなり、本願発明に規定するRsmの数値範囲外となった。次に、このターゲットについて、前述の方法によって引張試験及び抗折強度試験を行った。その結果、引張強さは1.00MPaであり、抗折強度は100MPaと、実施例2に比べて、引張強度が著しく低下した。
(比較例3)
円筒状のITO(SnO:10wt.%、In:残部)ターゲット材に対して、表面処理を行った。表面処理は、ターゲットの支持体側表面を#2000で平面研削のみ行った。なお、その後の電解還元処理は行わなかった。
以上の表面処理により、ターゲット内面の表面粗さが、Ra:0.20μm、Rz:1.18μm、RSm:22.3μmとなり、本願発明に規定するRa、Rzの数値範囲外となった。次に、このターゲットについて、前述の方法によって引張試験及び抗折強度試験を行った。その結果、引張強さは1.07MPaであり、抗折強度は170MPaと、実施例に比べて、引張強度が著しく低下した。
(比較例4)
円筒状のITO(SnO:10wt.%、In:残部)ターゲット材に対して、表面処理を行った。表面処理は、ターゲットITO組成違いを#2000で平面研削を行い、その後、電解還元処理を行った。電解還元の条件は、実施例1と同様とした。
以上の表面処理により、ターゲットの支持体側表面の表面粗さが、Ra:0.31μm、Rz:1.91μm、RSm:16.7μmとなり、本願発明に規定するRa、Rzの数値範囲外となった。次に、このターゲットについて、前述の方法によって引張試験及び抗折強度試験を行った。その結果、引張強さは0.98MPaであり、抗折強度は160MPaと、実施例に比べて、引張強度が著しく低下した。
なお、電解還元を行わない#2000の表面のRSm(比較例3)と、電解還元を施した#2000の表面のRSm(比較例4)は、電解還元を施した#80の表面のRSm(実施例)のように小さい値を示したが、RaとRzの値は、#80の表面と比較して、非常に小さくなり、引張強度の向上は見られなかった。
(比較例5)
円筒状のITO(SnO:10wt.%、In:残部)ターゲット材に対して、ターゲットの支持体側表面を#150でサンドブラスト処理(Al)した。
以上の表面処理により、ターゲットの支持体側表面の表面粗さが、Ra:3.50μm、Rz:20.00μm、RSm:100.0μmとなり、本願発明に規定するRa、Rz、Rsmの数値範囲外となった。次に、このターゲットについて、前述の方法によって引張試験及び抗折強度試験を行った。その結果、引張強さは1.5MPaであり、抗折強度は80MPaと、実施例に比べて、抗折強度が著しく低下した。
(比較例6)
円筒状のITO(SnO:10wt.%、In:残部)ターゲット材に対して、ターゲットの支持体側表面を#150でサンドブラスト処理(Al)した後、電解還元処理を行った。電解還元の条件は、実施例1と同様とした。
以上の表面処理により、ターゲットの支持体側表面の表面粗さが、Ra:3.60μm、Rz:22.00μm、RSm:95.0μmとなり、本願発明に規定するRa、Rz、Rsmの数値範囲外となった。次に、このターゲットについて、前述の方法によって引張試験及び抗折強度試験を行った。その結果、引張強さは1.5MPaであり、抗折強度は80MPaと、実施例に比べて、抗折強度が著しく低下した。
なお、電解還元を行わない#150サンドブラスト処理(比較例5)と、電解還元を施した#150サンドブラスト処理(比較例6)は、電解還元を施した#80平面研削(実施例1)と比べてRaやRzが大きく、接合面のアンカー効果により高い引張強度が測定された。しかし、このような機械加工によってRaやRzが大きくなった表面に対して、電解還元による抗折強度の改善は見られず、電解還元の有無による抗折強度の変化は殆ど見られなかった。これは、一旦形成されたRaやRzが大きく、電解還元を施しても深い凹凸のまま表面が削れるためと思われる。このようなサンドブラスト等によるセラミックスのターゲットの粗化は、ターゲットの機械強度を大きく低減させ、製品の製造時・使用時のクラックや割れに直結するため、粗化による引張強度の向上は見込まれるものの、表面処理方法として採用するのには課題がある。
(比較例7)
円筒状のITO(SnO:10wt.%、In:残部)ターゲット材に対して、表面処理を行った。表面処理は、ターゲット内面を#80で平面研削を行い、その後、電解還元処理を行った。電解還元の条件は、ターゲットを負極、白金を陽極とし、電流密度を1.13A/dm、処理時間を10secとした。
以上の表面処理により、ターゲット内面の表面粗さが、Ra:1.07μm、Rz:5.30μm、RSm:35.0μmとなり、本願発明に規定するRsmの数値範囲外となった。次に、このターゲットについて、前述の方法によって引張試験及び抗折強度試験を行った。その結果、引張強さは1.10MPaであり、抗折強度は150MPaと、実施例1に比べて、引張強度が著しく低下した。
本発明のスパッタリング用ロータリーターゲットは、支持体に適度な接合強度をもって接合(接着)し、接合強度を高め、スパッタリング装置への搬送又は装着時の剥離等を抑制し、スパッタリング時の熱影響を受けた場合でも、ロータリーターゲットの歪の発生、ロータリーターゲットの変形、亀裂、支持体から剥離を効果的に抑制することができる。本発明のスパッタリング用ターゲットは、電子デバイス用薄膜を形成するのに有用である。

Claims (3)

  1. 棒状又は円筒状である支持体と円筒型のセラミックス製焼結体ターゲットとを接合したスパッタリング用ロータリーターゲットであって、セラミックス製焼結体ターゲットがITO又はIZOからなりセラミックス製焼結体ターゲットの支持体側の表面に電解還元処理面を有し、該ターゲットの支持体側の表面粗さRaが0.5〜2.0μm、Rzが3.0〜9.0μm、かつ、RSmが25μm以下であることを特徴とするスパッタリング用ロータリーターゲット。
  2. 支持体が、無酸素銅、銅合金、Ti(合金を含む)又はステンレス鋼であることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリング用ロータリーターゲット。
  3. ITO又はIZOからなるセラミックス製焼結体ターゲットの支持体側の表面を機械加工し、その後、電解還元することで、セラミックス製焼結体ターゲットの支持体側の表面粗さRaを0.5〜2.0μm、Rzを3.0〜9.0μm、かつ、RSmを25μm以下とすることを特徴とするスパッタリング用ロータリーターゲットの製造方法。
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