JP4925248B2 - 平版印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

平版印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、平版印刷版用アルミニウム合金板、とくに電気化学的エッチング処理により表面を均一に粗面化することができるとともに、優れた強度と耐熱軟化性をそなえた平版印刷版用アルミニウム合金板、およびその製造方法に関する。
平版印刷版(オフセット印刷版を含む)の支持体としては、一般にアルミニウム合金板が使用されており、支持体については、感光膜の密着性向上と非画像部の保水性向上の観点から粗面化処理が行われる。粗面化処理法としては、従来、ボールグレイニング、ブラシグレイニング、ワイヤーグレイニングなどの機械的粗面化法が行われていたが、近年、製版適性や印刷性能が優れていること、コイル材での連続処理が可能なことなどから、支持体用アルミニウム合金板の表面を電気化学的エッチング処理により粗面化する手法が急速に発展している。
電気化学的エッチング処理は、電解液として、塩酸または塩酸を主体とする電解液(以下、塩酸系電解液)や硝酸または硝酸を主体とする電解液(以下、硝酸系電解液)を用いるもので、比較的均一な電解粗面化が得られるA1050(アルミニウム純度99.5%)相当材が支持体として適用されており、支持体の上に塗布される感光層を適切に選択することによって10万枚にも及ぶ鮮明な印刷物を得ることが可能となる。
また、印刷版の耐刷性の向上のために、アルミニウム合金板を支持体とする印刷版を通常の方法で露光、現像処理した後、高温で加熱処理(バーニング処理)することにより画像部を強化することが行われている。バーニング処理は、通常、加熱温度200〜290℃、加熱時間3〜9分の条件で行われているから、バーニング処理時に支持体の強度が低下することのない耐熱性(耐バーニング性)が求められている。
さらに、最近では、印刷技術の進歩に伴って印刷速度が速くなり、印刷機の版胴の両側に機械的に固定される印刷版に加わる応力が増大したことに対応して、支持体に対する強度要求が大きくなっており、支持体強度が不足すると、その固定部分が変形または破損して印刷ずれなどの支障が生じるため、前記の耐バーニング性とともに、支持体強度の向上が不可欠となっている。
このような要求を満たすために、A1050相当材をベースとして添加成分を調整したアルミニウム合金支持体が提案されており、発明者らの一部も、先に、A1050相当材をベースとして特定量のMg、Znを共存させることにより、強度、耐熱性に優れ、電気化学的粗面化法により均一なピットが形成され、良好な感光膜との密着性および保水性を得ることができる平版印刷版用アルミニウム合金板を提案した(特許文献1参照)。
特開2005−15912号公報
本発明は、上記提案のものをさらに改良するためになされたものであり、その目的は、電気化学的粗面化処理によりさらに均一なピットが形成され一層優れた感光膜との密着性、保水性を得ることを可能とする平版印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するための請求項1による平版印刷版用アルミニウム合金板は、Mg:0.1〜1.5%(質量%、以下同じ)、Zn:0.05%を越え0.5%以下、Fe:0.1〜0.6%、Si:0.03〜0.15%、Cu:0.0001〜0.10%、Ti:0.0001〜0.05%を含み、さらにPb、In、SnおよびGaから選ばれた1種以上の元素を、総量が0.005〜0.05%の範囲内で含有し、Mg含有量とZn含有量との関係を4×Zn%−1.4%≦Mg%≦4×Zn%+0.6%に規定し、残部アルミニウムおよび不純物からなる組成を有するアルミニウム合金板で、前記成分元素の一部または全部が金属間化合物を形成しており、金属間化合物を形成しているFe量が全Fe量の50〜99.8%、金属間化合物を形成しているSi量が全Si量の5〜40%で、Al−Fe系金属間化合物を形成しているFe量(A%)に対するAl−Fe−Si系金属間化合物を形成しているFe量(B%)の比(B%/A%)が0.9以下であることを特徴とする。
請求項2による平版印刷版用アルミニウム合金板は、請求項1において、さらにMn:0.05%を越え0.3%以下を含有することを特徴とする。
請求項3による平版印刷版用アルミニウム合金板は、請求項1または2において、板表面からみた圧延方向に直交する方向の平均結晶粒長が100μm以下であり、板表面からみた圧延方向と平行する方向の平均結晶粒長が、前記圧延方向に直交する方向の平均結晶粒長の2〜20倍であることを特徴とする。
請求項による平版印刷版用アルミニウム合金板は、請求項1〜3のいずれかにおいて、270℃で7分間の熱処理後の0.2%耐力が120MPa以上であることを特徴とする。
請求項による平版印刷版用アルミニウム合金板の製造方法は、請求項1〜4のいずれかに記載の平版印刷版用アルミニウム合金板を製造する方法であって、請求項1または2に記載の組成を有するアルミニウム合金を造塊し、得られた鋳塊の圧延面表層を3〜15mm面削した後、450〜580℃の温度域に加熱してhr以上保持する均質化処理を行い、該保持温度から熱間圧延開始温度まで20〜60℃/hrの降温速度で降温し、ついで開始温度を400〜500℃、終了温度を300〜400℃とし、終了時の厚さを5mm以下とする熱間圧延を行い、中間焼鈍を行うことなく冷間圧延することを特徴とする。
本発明によれば、電気化学的粗面化処理によりさらに均一なピットが形成され一層優れた感光膜との密着性、保水性を得ることができ、さらに改善された画像鮮明性および耐刷性を達成することを可能とする強度および耐熱軟化性に優れた平版印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法が提供される。
本発明の平版印刷版用アルミニウム合金板における含有成分の意義および限定理由について説明すると、Mgは、大部分がアルミニウムに固溶して、強度および耐熱軟化性を向上させるよう機能する。強度とは、印刷版用支持体としての常温における引張り強さのことであり、160MPa以上が実用上好ましい範囲である。耐熱軟化性は、耐バーニング性ともいわれ、280℃程度の温度で加熱された後の0.2%耐力のことであり、90MPa以上が実用上望ましい範囲である。Mgの好ましい含有量は0.1〜1.5%の範囲であり、0.1%未満ではその効果が十分でなく、1.5%を越えると、粗面化処理におけるピットの均一性が低下し非画像部の汚れが生じ易くなる。
Znは、Mgと同様、大部分がアルミニウムに固溶するが、Mgのように強度および耐熱軟化性の向上に寄与することはなく、アルミニウム表面に形成される酸化皮膜に影響を与える。アルミニウム表面に形成される酸化皮膜には、室温に放置された場合に形成される酸化皮膜(自然酸化皮膜)と製造過程での熱処理時に形成される酸化皮膜があるが、Znはその両方に影響を与える。
すなわち、Mgを含有するアルミニウム合金においては、とくに均質化処理、熱間圧延時の加熱、中間焼鈍などの熱処理によりMg酸化物(MgO系酸化物)を主体とする酸化皮膜が形成され易く、この酸化皮膜は活性且つポーラスであるため、電解粗面化処理において処理液との濡れ性が良くなり粗面化が促進される反面、ピットが不均一になり易い。Znの含有は、この粗面化構造の不均一性を改善するものであり、Mg酸化物による活性化を抑制するよう機能する。Znの好ましい含有量は0.05%を越え0.5%以下の範囲であり、0.05%以下ではその効果が小さく、0.5%を越えて含有すると、Mg酸化物による活性化抑制効果が大きくなって粗面化が不均一となり、また、粗大な金属間化合物が生成し易くなって電解処理時に粗大なピットが形成され、粗面化の均一性がさらに阻害される。Znのより好ましい含有範囲は0.06〜0.5%である。
Feは、Al−Fe系金属間化合物を生成し、またSiと共存してAl−Fe−Si系金属間化合物を生成し、これらの化合物の分散により、再結晶組織が微細化され、これらの化合物がピット発生の起点となって電解処理時にピットの形成を均一にし且つピットを微細に分布させる。Feの好ましい含有量は0.1〜0.6%の範囲であり、0.1%未満では化合物の分布が不均一となって、電解処理時のピットの形成を不均一にする。0.6%を越えると、粗大な化合物が生成し、粗面化構造の均一性が低下する。
Siは、Feと共存してAl−Fe−Si系金属間化合物を生成し、該化合物の分散により、再結晶組織が微細化され、これらの化合物がピット発生の起点となって電解処理時のピットの形成を均一にし且つピットを微細に分布させる。Siの好ましい含有量は0.03〜0.15%の範囲であり、0.03%未満では化合物の分布が不均一となって、電解処理時のピットの形成を不均一にする。0.15%を越えると、粗大化合物が生成し、また単体のSiの析出が生じ易くなって粗面化構造の均一性が低下する。
Cuは、アルミニウムに固溶し易く、0.0001〜0.10%の含有範囲でピットを微細化する効果を有する。0.10%を越えて含有すると、電解処理時のピットを粗大且つ不均一にし易くなる。なお、本発明において、前記のFeおよびSiの含有量を得るために採用される地金から混入されるCu量は5〜100ppm(0.0005〜0.01%)程度である。
Tiは、鋳塊組織を微細にし、また結晶粒を微細化し、その結果、電解処理時のピット形成を均一にして、印刷版としての処理を行ったときのストリークの発生を防止する。Tiの好ましい含有量は0.0001〜0.05%の範囲であり、0.0001%未満ではその効果が小さく、0.05%を越えて含有すると、Al−Ti系の粗大な化合物が生成して粗面化構造が不均一となり易い。なお、鋳塊組織の微細化のために、TiとともにBを添加する場合には、Tiを0.01%以下の範囲で含有させるのが好ましい。
Mnは、強度および耐熱軟化性を向上させるよう機能する。Mnの好ましい含有量は0.05%を越え0.3%の範囲であり、0.05%以下ではその効果が小さく、0.3%を越えると、粗大なAl−Fe−Mn系あるいはAl−Fe−Mn−Si系の金属間化合物が生成し易く、電解処理時の粗面化が不均一となる。Mnのより好ましい含有範囲は0.06〜0.3%である。
本発明による平版印刷版用アルミニウム合金板においては、Mg含有量およびZn含有量は、4%×Zn%−1.4%≦Mg%≦4×Zn%+0.6%の関係を満足ことが望ましく、この関係を満足するMgおよびZnを含有させることにより、電解処理時のピット形成をより均一にし、優れた粗面化構造を得ることができる。4×Zn%−1.4%>Mg%では、Mg量に対してZn量が過剰となるため、Mg酸化物による活性化抑制効果が大きくなって電解処理時のピット形成が不均一となり、粗面形成が不均一となり易い。Mg%>4×Zn%+0.6%の場合には、Mg量に対してZn量が過少であるため、Mg酸化物による活性化抑制作用が小さく、この場合にも、電解処理時のピット形成が不均一となり、粗面形成が不均一となり易い。
本発明においては、また、本発明のアルミニウム合金板を構成する前記成分元素の一部または全部が金属間化合物を形成しており、金属間化合物を形成しているFe量が全Fe量の50〜99.8%、金属間化合物を形成しているSi量が全Si量の5〜40%で、Al−Fe系金属間化合物を形成しているFe量(A%)に対するAl−Fe−Si系金属間化合物を形成しているFe量(B%)の比(B%/A%)が0.9以下であることを特徴とし、この構成により、電解処理においてより均一なエッチピットを形成することができる。
金属間化合物を形成しているFe量が全Fe量の50%未満では、ピットの起点としての金属間化合物が十分に得られないため粗大なピットが発生し易くなり、99.8%を越えると、金属間化合物が過剰に形成されるため均一なピットパターンを得るのが困難となる。金属間化合物を形成しているSi量が全Si量の5%未満では、Siの固溶量が多くなりマトリックスと金属間化合物との電位差が小さくなって電気化学的溶解性が低下する。また、単体Siが多く析出してインキ汚れが生じ易くなる。40%を越えると、金属間化合物が過剰に形成されるため均一なピットパターンを得るのが困難となる。
Al−Fe系金属間化合物は、Al−Fe−Si系金属間化合物より電気化学的溶解性が高く、ピットの起点としての作用が強い。Al−Fe系金属間化合物を形成しているFe量(A%)に対するAl−Fe−Si系金属間化合物を形成しているFe量(B%)の比(B%/A%)が0.9より大きい場合には、ピットの発生効率が低下して粗大なピットが生じ易くなる。
さらに、板表面から見た結晶粒径を特定することによって、面質ムラやストリークスなどの電解グレーニング後の外観不良発生を抑制することができる。すなわち、板表面から見た圧延方向に直交する方向の平均結晶粒長を100μm以下とし、板表面から見た圧延方向と平行な方向の平均結晶粒長を圧延方向と直交する方向の平均結晶粒長の2〜20倍とする。板表面から見た圧延方向に直行する方向の平均結晶粒長が100μmを越えると面質ムラが生じるようになる。圧延方向に平行な方向の平均結晶粒長が圧延方向に直交する方向の平均結晶粒長の2倍未満では印刷版用支持体として強度不足となり、20倍を越えるとストリークスが生じる。
本発明による平版印刷版用アルミニウム合金板には、Pb、In、SnおよびGaのうちの1種以上を、総量で0.005〜0.05%添加することにより、電解グレーニング性をさらに向上させることができ、少ない電気量で所望のピットパターンを得ることができる。Pb、In、Sn及びGaからなる群から選択された1種以上の元素の総量が0.005%より少ない場合はその効果が十分でなく、0.05%を越えるとピットの形状が崩れ易くなる。
本発明による平版印刷版用アルミニウム合金板の製造は、前記アルミニウム合金の鋳塊を連続鋳造などにより造塊し、得られた鋳塊を均質化処理後、熱間圧延、冷間圧延することにより行われる。
鋳塊の圧延面表層は、片面について3〜15mmづつ面削するのが好ましい。3mm/片面未満では、鋳塊表層付近の粗大な結晶粒(粗大晶)が除去され難く、面削面が不均一な組織となるため、ストリークスの原因となる。面削量が15mm/片面を越えると得率が低下するため非経済的である。
均質化処理は、450〜580℃の温度で3hr以上保持する条件で行うのが好ましく、この均質化処理により、過飽和に固溶しているFe、Siを均一に析出させ、電解処理時に形成されるエッチングピットが微細な円形となり耐刷性が向上する。均質化処理温度が450℃未満では、ピット発生の起点となるFe、Siの析出が十分でなく、ピットパターンが不均一になり易い。580℃を越える温度で均質化処理を行うと、Feの固溶量が増大するため、結果的にヒ゜ット発生の起点となる微細な析出物が減少する。均質化処理の保持時間が3hr未満では、Fe、Siの析出が不十分となりピットパターンが不均一となる。
均質化処理後、熱間圧延開始温度までの降温速度は20〜60℃/hrが好ましい。均質化処理後の降温中は析出が進行する。特に400〜450℃まで降温されるとFeだけでなくSiの析出も進行する。20℃/hr未満では、Al−Fe−Si系金属間化合物の析出が進行するため、その析出量が増加してしまう。また、析出がさらに進行して析出物が直径1μmを越える大きさに成長し析出物数が減少するうえ、加熱に時間を要するため経済的でない。60℃/hrを越える降温速度では、析出進行のための時間が不十分である上、鋳塊の温度が位置により不均一となるためFe、Siの析出が不均一となる他、続いて行われる熱間圧延中の再結晶が位置により不均一となり、ストリークスの原因になり得る。
熱間圧延は400℃〜500℃の温度で開始するのが好ましい。400℃未満では、変形抵抗が大きいため1回当たりの加工度を大きくすることができず、圧延のパス回数が多くなり経済的でない。500℃を越える温度で熱間圧延を開始すると、熱間圧延中に粗大な再結晶粒が生じて筋状の不均一組織によるストリークが生じ易くなる。
熱間圧延の終了温度は300〜400℃が好ましい。300℃未満では再結晶が部分的にしか生じず、非再結晶部分がストリークスの原因となる。また最終冷間圧延後の歪蓄積量が増大するため再結晶温度が低下し、バーニング強度が低下する。400℃を越えると、再結晶は全面に生じるが粗大化するためストリークスの原因となる。熱間圧延の終了時の板厚は5mm以下が好ましい。5mm以上では、熱間圧延時の圧下率が不十分で歪導入量が少なくなるため再結晶粒が粗大化し易くなる。
熱間圧延後の冷間圧延は、当該アルミニウム合金板を平版印刷用支持体として適用した場合に、支持体を版胴に巻き付けるときのくわえ切れを防止する強度を与えるとともに、熱間圧延中もしくは熱間圧延直後に生成された結晶粒の圧延方向に平行な方向の長さを調整するために行われる。好ましい圧延加工度は50〜98%の範囲であり、50%未満では、版胴に巻き付ける時のくわえ切れを防止するのに十分な強度を与えることが難しく、98%を越えると、熱間圧延後に生成された結晶粒が圧延方向に平行な方向に長く伸び過ぎて、ストリークスが発生し易くなる。なお、冷間圧延後、表面に特殊模様を刻設した圧延ロールを使用して仕上げ冷間圧延を行い、例えば、算術平均粗さRa:0.15〜0.30μm、圧延直角方向の凹凸の平均長さRSm:50μm以下、最大谷深さRv:1μm以下、最大高さRz:1.5〜2.5μmの表面粗さを有するアルミニウム合金板とすることもできる。
上記の組成と製造工程の組み合わせにより、前記所定の析出物分布、特定された結晶粒長が得られ、270℃で7分間の熱処理後の0.2%耐力が120MPa以上の強度特性が達成される。この強度特性は、印刷版支持体として重要なものであり、120MPa未満では、印刷時に版の固定部分に変形あるいは破損が生じ易く、印刷ずれなどの原因となる。
以下、本発明の実施例を比較例と対比して説明し、本発明の効果を実証する。これらの実施例は、本発明の好ましい一実施態様を示すものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1、比較例1
表1に示す組成を有するアルミニウム合金(A〜R)を溶解、鋳造し、得られた鋳塊の圧延面を5mm/片面づつ面削して厚さ500mmとし、鋳塊を560℃の温度に加熱し、この温度に3.5hr保持することにより均質化処理を行った。
ついで、熱間圧延開始温度の490℃まで35℃/hrの速度で降温し、板厚3mmまで熱間圧延し、346℃の温度で熱間圧延を終了した。熱間圧延後、中間焼鈍を施すことなしに冷間圧延を行って板厚を0.3mmとした。
得られたアルミニウム合金板(試験材)について、以下の方法により、全Fe量に対する金属間化合物を形成しているFe量の比率(%)、全Si量に対する金属間化合物を形成しているSi量の比率(%)、Al−Fe系金属間化合物を形成しているFe量(A%)に対するAl−Fe−Si系金属間化合物を形成しているFe量(B%)の比(B%/A%)を求めた。結果を表1に示す。また、結晶粒長を測定し、耐バーニング性を評価した。結果を表2に示す。なお、表1において、前記Mg含有量とZn含有量の関係を満足するものは○、満足しないものは×で示した。また、表1〜2において、結晶粒長は板表面から見た圧延方向と平行な方向の平均結晶粒長(GL)、結晶幅は圧延方向と直交する方向の平均結晶粒長(GT)、比はこれらの比(GL/GT)を示す。
金属間化合物を形成しているFe量、Si量の測定:図1に示すようなフェノール残渣分析法によって総金属間化合物中のFe量及びSi量を調べ、総金属間化合物中の(Al−Fe−Si系金属間化合物中のFe量(wt%))/(Al−Fe系金属間化合物中のFe量(wt%))比を求めた。
結晶粒長の測定:アルミニウム合金板の表面を脱脂洗浄後、鏡面研磨した後、パーカー氏液で陽極酸化し、光学顕微鏡の偏光モードで結晶粒観察を行って、圧延方向に直交または平行な方向の結晶粒長を切断法により求めた。
耐バーニング性の評価:耐熱軟化性の指標として便宜的にアルミニウム板を270℃に保持した大気炉にて7分間加熱した後、引張試験を行って0.2%耐力を測定し、支持体としての耐バーニング性を評価した。なお、耐力の測定は、アルミニウム合金板の圧延方向と平行な方向(L方向)について行い、270℃で7分間加熱後の0.2%耐力は120MPa以上を合格(○)、120MPa未満を不合格とした。
また、得られたアルミニウム合金板を、脱脂(溶液:5%水酸化ナトリウム、温度:60℃、時間:10秒)−中和処理(溶液:10%硝酸、温度:20℃、時間:30秒)−交流電解粗面化処理(溶液:2.0%塩酸、温度:25℃、周波数:50Hz、電流密度:60A/dm、時間:20秒)―デスマット処理(溶液:5%水酸化ナトリウム、温度:60℃、時間:5秒)−陽極酸化処理(溶液:30%硫酸―温度:20℃、時間:60秒)し、水洗、乾燥して、一定の大きさに切り取り試験材とした。
各試験材について、ムラ模様、ストリークスの有無を観察した。また、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて、500倍の倍率で表面を観察し、視野の面積が0.04mmとなるよう写真を撮影し、得られた写真からつぎの評価を行った。結果を表2に示す。
ムラ模様の有無の観察:試験材表面に強いムラ模様が目視で観察されるものを不良(×)、弱いムラ模様しか観察されないものを良好(○)、ムラ模様が観察されないものを優良(◎)として評価した。
ストリークスの有無の観察:試験材表面にストリークが目視で観察されるものを不良(×)、ストリークが観察されないものを良好(○)として評価した。
未エッチング部の発生についての評価:未エッチング部が20%を越えるものは不良(×)、15〜20%のものは良好(○)、15%未満のものは優良(◎)とした。
エッチピットの均一性の評価:円相当直径が10μmを越える大きなピットが全ピットに対して面積率で10%を越えるものは不良(×)、5〜10%のものは良好(○)、5%未満のものは優良(◎)20%未満のものは良好(○)とした。
Figure 0004925248
Figure 0004925248
表2にみられるように、本発明に従う試験材1〜5はいずれも、耐バーニング性に優れており、ムラ模様、ストリークスを生じることがなく、電解処理後のエッチング性に優れ、全面に均一なエッチングピットが形成されている。
実施例2、比較例2
表1に示す組成Aのアルミニウム合金を溶解、鋳造し、得られた鋳塊の圧延面の面削、均質化処理、熱間圧延を表3に示す条件で行い、熱間圧延後、中間焼鈍を施すことなしに表3に示す板厚まで冷間圧延を行った。
得られたアルミニウム合金板(試験材)について、実施例1と同じ方法により、全Fe量に対する金属間化合物を形成しているFe量の比率(%)、全Si量に対する金属間化合物を形成しているSi量の比率(%)、Al−Fe系金属間化合物を形成しているFe量(A%)に対するAl−Fe−Si系金属間化合物を形成しているFe量(B%)の比(B%/A%)を求めた。結果を表3に示す。また、結晶粒長を測定し、耐バーニング性を評価した。結果を表4に示す。
また、得られたアルミニウム合金板を、実施例1と同様に電解粗面化処理し、水洗、乾燥して、一定の大きさに切り取って試験材とし、実施例1と同じ方法でムラ模様、ストリークスの有無を観察し、また、未エッチング部の発生についての評価、エッチピットの均一性の評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 0004925248
Figure 0004925248
表4にみられるように、本発明に従う試験材19〜20はいずれも、耐バーニング性に優れており、ムラ模様、ストリークスを生じることがなく、電解処理後のエッチング性に優れ、全面に均一なエッチングピットが形成されている。
金属間化合物中のFe量、Si量を測定するためのフェノール残渣分析法のフローチャートである。

Claims (5)

  1. Mg:0.1〜1.5%(質量%、以下同じ)、Zn:0.05%を越え0.5%以下、Fe:0.1〜0.6%、Si:0.03〜0.15%、Cu:0.0001〜0.10%、Ti:0.0001〜0.05%を含み、さらにPb、In、SnおよびGaから選ばれた1種以上の元素を、総量が0.005〜0.05%の範囲内で含有し、Mg含有量とZn含有量との関係を4×Zn%−1.4%≦Mg%≦4×Zn%+0.6%に規定し、残部アルミニウムおよび不純物からなる組成を有するアルミニウム合金板で、前記成分元素の一部または全部が金属間化合物を形成しており、金属間化合物を形成しているFe量が全Fe量の50〜99.8%、金属間化合物を形成しているSi量が全Si量の5〜40%で、Al−Fe系金属間化合物を形成しているFe量(A%)に対するAl−Fe−Si系金属間化合物を形成しているFe量(B%)の比(B%/A%)が0.9以下であることを特徴とする平版印刷版用アルミニウム合金板。
  2. さらにMn:0.05%を越え0.3%以下を含有することを特徴とする請求項1記載の平版印刷版用アルミニウム合金板。
  3. 板表面からみた圧延方向に直交する方向の平均結晶粒長が100μm以下であり、板表面からみた圧延方向と平行する方向の平均結晶粒長が、前記圧延方向に直交する方向の平均結晶粒長の2〜20倍であることを特徴とする請求項1または2記載の平版印刷版用アルミニウム合金板。
  4. 270℃で7分間の熱処理後の0.2%耐力が120MPa以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の平版印刷版用アルミニウム合金板。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の平版印刷版用アルミニウム合金板を製造する方法であって、請求項1または2に記載の組成を有するアルミニウム合金を造塊し、得られた鋳塊の圧延面表層を3〜15mm面削した後、450〜580℃の温度域に加熱して3hr以上保持する均質化処理を行い、該保持温度から熱間圧延開始温度まで20〜60℃/hrの降温速度で降温し、ついで開始温度を400〜500℃、終了温度を300〜400℃とし、終了時の厚さを5mm以下とする熱間圧延を行い、中間焼鈍を行うことなく冷間圧延することを特徴とする平版印刷版用アルミニウム合金板の製造方法。
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