JP3642915B2 - 表面処理外観に優れたアルミニウム合金素板 - Google Patents

表面処理外観に優れたアルミニウム合金素板 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、アルカリ、酸によるエッチング、陽極酸化処理等の表面処理を施したときに表面外観の均一性が求められる製品、例えば建築用外装パネル、日用品、厨房用品、印刷板、装飾用部品等に用いられるアルミニウム合金素板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来一般に表面処理用のアルミニウム合金板としては、JIS A 1050、A 1100、A 1N30、A 3003等のアルミニウム合金薄板が用いられている。このような薄板は、通常半連続鋳造法により得られた厚さ500mm程度の鋳塊の表面を面削除去し、必要に応じて均質化処理を施した後、所定の温度で熱間圧延をし、その後冷間圧延途中において中間焼鈍を行い、次いで最終冷間圧延を施すことにより製造されている。これらの従来の一般的な半連続鋳造法によるものは最終的なアルミニウム素板に至るまでの製造工程が複雑で、長時間の処理加工工程を必要とし、必然的に製造コストが嵩む不利がある。
【0003】
これに対し、アルミニウム溶湯から薄スラブを直接鋳造圧延する連続鋳造法として、通称ハンター法、3C法、ハザレー法、キャスターII法等と呼ばれる方法がある。これらの方法では、回転している一対のロール、ベルト又はキャタピラ状のブロック等の移動乃至回転する壁を持つ鋳型間に又はこれらを組合せた鋳型間に溶湯を連続的に注湯して鋳造し、急速凝固させ、一般的な厚さとして10乃至30mm程度の板状の薄スラブを連続的に得て、このスラブを連続又は別工程で熱間圧延乃至冷間圧延して薄板を得るものである。この薄板は、通常コイルにされるが、用途に応じて更に冷間圧延して極薄板に圧延される。この薄スラブは、圧延に際し前もって加熱処理することもできる。
この連続鋳造圧延法は、薄いスラブを溶湯から連続して製造することができるので、その薄いスラブ厚さまで圧延する工程が省略されて低コストで薄板を得られる利点がある。
【0004】
この連続鋳造法によるとき、溶湯の凝固過程は溶湯が鋳型面に常時接触して冷却凝固するのではなく、鋳型壁面に周期的に接触、離間を繰り返しながら連続的に鋳造される。この溶湯の周期的接触及び離間は溶湯が鋳型面に接触し冷却凝固すると、凝固収縮ないし表面張力の変化により鋳型面より離れ、離れると断熱効果で表面張力が変化し、再度鋳型面に接触し冷却凝固するものと考察されている。
溶湯表面を覆う酸化皮膜もまた溶湯の周期的な接触、離間に伴って膜が途切れる現象が周期的に生じる。従って、板状のスラブ表面及び圧延板表面は、酸化皮膜の厚い面と薄い面が周期的に生じ、このような表面状態が、図2に示すように所謂リップルマーク10と呼ばれる一種の模様として観察される。
このような結果、溶湯が鋳型面に接触して冷却凝固するときは溶湯の冷却速度が速くなり、鋳型面より離れたときは溶湯の冷却速度が遅くなって、溶湯の冷却速度が周期的に変化する。このリップルマークを有する板状の薄いスラブ表面及びこのスラブを圧延して得られた圧延板表面は、冷却速度が周期的に異なるため組織的には金属間化合物の分布、サイズ等が周期的に変化する。また、厚さ方向に関してこの金属間化合物の周期的変化の認められるのは、鋳造条件によって多少の差異はあるが、表面より深さ方向で150μm程度であり、それより深くなるとその差異は認め難くなる。
【0005】
特開平5−17842号公報には、連続鋳造法により得られた板が、このように鋳造方向に金属間化合物の分布、サイズ等が周期的に変化することを利用して、圧延板に陽極酸化処理を施してピンク乃至赤紫色の色調の縞模様を有するアルミニウム合金板を製造する方法が記載されている。このようにして製造されたアルミニウム合金板表面には、鋳造又は圧延方向に直角な方向に縞模様乃至絣模様を生じるのであって、場合によっては装飾効果を活かすことができるが、前記したように、一般に建築用外装パネル、日用品、厨房用品、印刷版、装飾用部品等に用いられるアルミニウム合金素板においては、表面外観の均一性を求められるものであるから、このような特性を有するアルミニウム合金素板は適さない。
また、上述のように金属間化合物の分布、サイズ等の周期的変化が認められるのは、厚さ方向で150μm程度であるから、半連続鋳造の場合のようにスラブ両面から面削除去すればその影響は避けられるが、本来25mm程度の薄いスラブを鋳造するものであるから、材料ロスが大きくなり、また、新たな工程が必要となる等、連続鋳造法の利点が損なわれる。
このため、コストの低い連続鋳造された薄スラブの圧延板であって、エッチングや陽極酸化処理等の表面処理を施しても、これら縞模様乃至絣模様を生じない、表面外観の均一性の要求に応える一般的な用途のためのアルミニウム合金素板が求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、連続鋳造圧延法によって製造され、リップルマークを生じるアルミニウム合金素板において、エッチングや陽極酸化処理等の表面処理の際発生する縞模様乃至絣模様を解消し、表面外観を均一とすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、その課題を達成するため、連続鋳造された薄スラブの冷間圧延板であって、Fe:0.1〜0.8重量%、残部結晶微細化元素と不可避的不純物を含むAlからなり、該不可避的不純物中のSi含有量を0.8重量%以下とし、オイルピット面積が5%以下であることを特徴とする表面処理用アルミニウム合金素板である。
更に、連続鋳造された薄スラブの冷間圧延板であって、Fe:0.1〜0.8重量%、残部結晶微細化元素と不可避的不純物とを含むAlからなり、該不可避的不純物中のSi含有量を0.8重量%以下とし、板表面が固着表面を呈していることを特徴とする表面処理用アルミニウム合金素板である。
【0008】
【作用】
前述の縞模様や絣模様は、エッチング後に著しく観察されるが、本発明者らはエッチング後のこの現象は色彩の艶消し部と金属光沢部の違いが目視的にこのような模様として捕らえられるものと考察し、更にこの艶消し部と金属光沢部の差異を検討した結果、この差異は圧延油を使用する圧延工程で板表面に発生する微細凹状を呈する通称オイルピットと呼ばれるピットの発生量の違いに起因するものであることが判明した。
このオイルピットは、図3、4に示すように圧延面にランダムに存在し、凹部として観察され、その大きさは100μm程度のものである。エッチングはこのオイルピットを起点として進行し、ピット面積の差がエッチングの程度の差即ち光沢差として現れ、その結果、模様として観察されるものと考察される。このオイルピットの発生量の相違は、上述したリップルマークを有する板の金属間化合物の分布、サイズ等の差異に起因するという知見を得たが、更にリップルマークを有する板を圧延する際に、このオイルピットの発生を可及的に少量とした板は、エッチング後に艶消し部と金属光沢部の違いが目視的に観察されず、従って、陽極酸化処理を施しても、縞模様が発生せず、均一な表面を有する板が得られるという知見を得て本発明を完成したものである。前記請求項1記載の連続鋳造し圧延して得られる表面処理前の圧延板であって、圧延板表面に存在するオイルピットを板面積の5%以下とすることにより、上述の効果が得られる。
【0009】
また、本発明者らは、上述の研究を更に遂行した結果、圧延板表面を最終冷間圧延における圧延ロールと冷間圧延板の滑りによって生ずると思われる固着表面とした場合は、ロールのバイト面の転写がなく、しかもオイルピットが実質的に存在しないことを見出し、従って陽極酸化処理を施しても縞模様が発生せず、均一な表面を有する美麗な板が得られるという知見を得て請求項2記載の発明を完成したものである。
即ち、第1の発明と同一組成の薄スラブを連続鋳造し圧延して得られる表面処理前の圧延板であって、圧延板表面が固着表面(微細なロール滑り面)を呈している素板である。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に本発明の具体的な態様を説明する。
本発明の合金組成は、その用途からして成形性の良好であること、並びにアルカリ又は酸若しくは陽極酸化処理性の良好であることから定められたものである。
Fe:0.1〜0.8重量%
Feは機械的強度を付与し、しかもその含有量に多少の変動があってもアルカリ又は酸若しくは陽極酸化処理等の表面処理性を大きく変えず、安定した表面処理を施せる元素であって、その含有量が下限値未満であるとその効果が不足し、また、その上限値を超えるとAl−Fe系、及びAl−Fe−Si系の粗大な化合物が形成され易く、化学的性質の局所的不均一性が強調され、表面処理時の均一性が損なわれる。また、Feの含有は、再結晶粒微細化効果を持つ。
【0011】
結晶粒微細化元素
鋳造時に結晶粒を微細化して鋳造割れの発生を防止するために添加するものであって、例えば、Tiは0.01〜0.04重量%の範囲で、Bは0.0001〜0.02重量%の範囲で添加する。
【0012】
不可避的不純物
Si:0.8重量%以下
Siは不純物としてアルミニウム合金中に含有される元素である。その含有量が0.8重量%を超えるとFeの再結晶粒微細化効果を阻害して好ましくない。好ましくは、Si<Feに調整することが望ましい。なお、Siが含有されると強度が高くなり、また、Feの固溶量を減らし、Feと共にAl−Fe−Si系の金属間化合物を析出するため、微細な結晶粒を得易くする。
不可避的不純物として含有される元素は、前述のSiのほかに、例えば主としてCu、Mg、Mn、Cr、Zn、V、Be、Ga、Ni、Zr等がある。
これらの元素の含有は特に本発明の効果を著しく妨げるものではないが、好ましくは、Cuで0.2重量%以下、Mgで0.2重量%以下、Mnで0.2重量%以下、Crで0.2重量%以下、Znで0.5重量%以下、Vで0.2重量%以下、Beで0.2重量%以下、Gaで0.1重量%以下、Niで0.1重量%以下、Zrで0.2重量%以下に留めると、耐食性又は表面処理性を阻害しないので好ましい。
また、これらの不可避的不純物は、含有するとその含有量に応じてその元素特有の特性を発揮する。例えばCu、Znは光輝性、強度及び耐食性、Mgは耐食性、Mn、Cr及びVは強度、Beは500ppmで鋳造安定性、Niは強度及び加工硬化、Zrは耐熱性及びTi、Bと共に鋳造組織微細化にそれぞれ寄与する。好ましい値はいずれの元素も0.05重量%以下が望ましい。
【0013】
次にオイルピットについて説明する。
このオイルピットは、図3、4に示すように圧延面にランダムに存在し、凹部として観察される。
連続鋳造された薄スラブの冷間圧延に際しては、ロールと板の固着力を小さくし、かつロールの噛込み率を大きくするために粘度の適当な1.5〜4.5cst 程度の圧延油が使用され、1パスあたりの圧下率は10〜55%で圧延されているが、このピットは冷間圧延時に使用される圧延油が板とロールの間に挟まれて圧延され、微細に分散した圧延油の圧痕と思われる。
このオイルピットの発生状態は、上述したリップルマークを有する板状の薄いスラブ表面及びこのスラブを圧延して得られた圧延板の金属間化合物の分布、サイズ等の周期的変化に同調し、溶湯が直接鋳造圧延に用いられる上述の鋳型壁に接触したことによる金属間化合物サイズの小さくかつ分布の少ない箇所はピットの発生量は少なく、鋳型壁から離れたことによる金属間化合物サイズの大きくかつ分布の多い箇所はピットの発生量は多い。
図3、4は、それぞれこれらのピット発生量の多い箇所及び少ない箇所を倍率×50で拡大して示したもので、これらが鋳造方向に沿って周期的に分布することとなる。
このようにして発生したピット及びその周辺は、ピットの発生していない箇所と比べれば歪み等が不均一で、エッチング等表面処理したときに優先的にエッチングされるものと考えられる。従って、ピット総面積の大きい図3の箇所は、ピット総面積の小さい図4の箇所よりもエッチングされ易く、その結果ピット総面積の大きい図3は艶消し部として観察され、それよりもピット総面積の小さい図4は金属光沢を示すものと考えられる。このオイルピットの総面積が5%以下であれば、エッチング後に模様として観察されない。
【0014】
次に板の固着表面について説明する。
図1は、薄スラブを連続鋳造してエッチングして得られる圧延板であって、この圧延板の表面は、鱗片状の固着表面を有する。この固着表面は圧延ロールの微細な滑り痕として観察されるもので、このような圧延板表面には、圧延ロールバイト面の転写もなく、オイルピットが実質的に零又は可及的少量であることから、エッチング後に模様として観察されず、美麗な板が得られる。
次に本発明にかかる圧延板の製造方法について説明する。
所定の合金組成となるように溶解し、徐滓処理等を施して溶製したアルミニウム合金溶湯から、ハンター法、3C法、ハザレー法、キャスターII法等の連続鋳造法で薄スラブを鋳造する。この薄スラブはリップルマークを有するものであることは前述したとおりであって、この薄スラブを爾後連続的に圧延して薄板とする。この圧延は移動壁ないし回転壁を持つ鋳型から出てきた薄スラブを連続的に圧延して薄板としても良く、また薄スラブが巻き取れる程度の厚さであるならば、巻き取った後、別途圧延して薄板としてもよい。この薄スラブの厚さは25mm以下として鋳造する。25mmを超えるとその後の圧延工程の負担が大きくなる。
【0015】
薄スラブの圧延は、熱間ないし冷間圧延で、必要に応じて圧延前に加熱処理が施される。この冷間圧延は、通常使用されている動粘度1.5〜4.5cst程度の圧延油を使用して、ロール表面粗度(Ra)が0.20〜0.50μmのロールで、圧延速度は毎分200〜600m程度で圧延する。また、圧延板のロール噛込み角度は±20度以内、フロントテンション、バックテンションは変形抵抗の20%以内である。これらの圧延条件は、本発明において特に限定するものではない。冷間圧延の途中又は最終に施す熱処理は、必要に応じてバッチ式と連続熱処理とのいずれを用いても良い。
バッチ式熱処理について具体的には、例えば200〜600℃に加熱し、1〜24時間保持する。200℃未満では熱処理効果が低く、600℃を超える温度では再結晶粒の粗大化が起こり、表面処理にむらが生じて好ましくない。保持期間が1時間未満では、熱処理の効果が低く、24時間を超える場合は、すでに熱処理の効果が飽和しており、経済的に不利である。
【0016】
連続焼鈍について具体的には、例えば、連続焼鈍装置を用いて1℃/sec.以上の昇温速度で440〜600℃の温度に加熱し、所定の温度に達したら直ちに又は所定温度で30分程度以下の保持をした後速やかに冷却する。
このようにして圧延して得られた薄板は、最終的には冷間圧延され所望の厚さの圧延板とされるが、この最終冷間圧延は、平面性、平坦度のために通常数回に分けて圧延する。本発明はこの数回に分けて圧延する最終パスの圧下率を65%以上とすることによって、オイルピット面積が板面積の5%以下となってエッチング後に、色彩の艶消し部と金属光沢部の違いが目視的に観察されず、その結果アルカリ、酸によるエッチング、陽極酸化処理等の表面処理を施したときに、模様として現れず表面外観が均一になる。
【0017】
冷間圧延の最終パスの圧下率を65%以上とすると、圧延板の圧延速度が圧延ロールの周速より数倍速くなって、圧延ロール面を滑りながら板表面が固着表面として観察される鱗片状の滑り痕を残しながら圧延される結果、圧延ロールと圧延板の間に挟み込まれた圧延油は均一微細に分散され、それによる圧痕も使用した測定方法では検出されない程度に微細に分散されて圧延されるものと考えられる。また、冷間圧延の最終パスの圧下率を70%以上、好ましくは75%以上とすると、上述の微細なロール滑り面からなる固着表面が圧延板表面を覆い、圧延板のロールバイト目が転写されない結果、圧延ロールと圧延板の間に挟み込まれた圧延油は均一微細に分散され、圧痕も使用した測定方法では検出されない程度に微細に分散して圧延されると共に美麗な板となるものと考えられる(図1)。
なお、本発明におけるオイルピットの測定は画像処理解析装置を用いてピットの総表面積を測定したもので、検出可能なピットの最小径は5μmである。5μm未満のものは、エッチング処理の際、エッチング起点になるもののエッチング後の大きさが小さく、艶消し部、光沢部の差として現れず目視的に影響しない。
【0018】
【実施例1】
表1に合金組成を示す。いずれもロール径1000mmのハンター連続鋳造圧延機を用い、685〜690℃の溶湯をロール出側の圧延速度1200mm/分で鋳造圧延して、板厚5.5mmのアルミニウム合金板を得た。
A、B、Cの合金板は、圧延後の表面観察、及び10%NaOH(60℃)で2分間エッチング処理した後の外観のいずれもリップルマークが観察された。
【0019】
Figure 0003642915
【0020】
表1のアルミニウム合金板を、表2に示す冷間圧延パススケジュールに従いアルミニウム合金薄板を得た。特に、冷間圧延の最終パスについては、圧延板噛込み角度を−5度、フロントテンション・バックテンションを変形抵抗の30%、圧延スピードを300m/分、圧延油動粘度を4.0cst、圧延ロール表面粗度(Ra)を0.25μmとした。
【0021】
Figure 0003642915
【0022】
表2の製板工程により得られた本発明例試験番号1〜3及び比較例試験番号4の各合金素板について、オイルピット面積率を測定し、素板の模様、アルカリエッチング後の模様、陽極酸化皮膜処理後の模様の評価をそれぞれ以下の条件で行った。なお、模様はいずれの場合も、金属光沢と艶消し状態を目視的に観察したものである。その結果を表3に示す。
(1)オイルピット面積率の測定
各合金素板表面を光学顕微鏡で観察し、(株)ニレコ社製画像処理解析装置(ルーゼックスF)を用いて、1×1mm2 におけるオイルピットの面積率を10ケ所測定した。
(2)素板の模様
各合金板の表面の模様を目視で観察し、模様が全く見られなかったものを評価○、ほとんど模様が見られなかったものを評価○△、模様が顕著なものを評価×とした。
【0023】
(3)アルカリエッチング後の模様
各合金素板を60℃の10%NaOH溶液中に1分間浸漬してエッチングを行い、室温の30%HNO3 溶液中に30秒間浸漬して中和処理した後に、表面の模様を目視で観察し、模様が全く見られなかったものを評価○、ほとんど模様が見られなかったものを評価○△、少々模様が見られたものを評価△、模様が顕著なものを評価×とした。
(4)陽極酸化皮膜処理後の模様
各合金素板を60℃の10%NaOH溶液中に1分間浸漬してエッチングを行い、室温の30%HNO3 溶液中に30秒間浸漬して中和処理した後に、室温の15%H2 SO4 溶液中で電流密度1A/dm2 で4分間電解処理して約1μmの皮膜を形成し、表面の模様を目視で観察し、模様が全く見られなかったものを評価○、ほとんど模様が見られなかったものを評価○△、少々模様が見られたものを評価△、模様が顕著なものを評価×とした。
【0024】
Figure 0003642915
【0025】
表3の結果から明らかなように、本発明例の試験番号1〜3は、オイルピットの面積率がいずれも5%以下であり、素板の模様、アルカリエッチング後の模様、陽極酸化皮膜処理後の模様共に、評価○〜○△レベルで模様が全く見られないかほとんど見られなかった。
これに対し、比較例試験番号4は、オイルピットの面積率が本発明で特定した5%を超えており、素板の模様、アルカリエッチング後の模様、陽極酸化皮膜処理後の模様共に、評価△〜×レベルで模様が見られた。
【0026】
【実施例2】
実施例1の方法で得られた板厚5.5mmのアルミニウム合金板を、表4に示す冷間圧延パススケジュールに従い、アルミニウム合金薄板を得た。冷間圧延の最終パスの前に磁気誘導加熱炉によって500℃の温度で中間焼鈍を行った。焼鈍後の冷間圧延パスについては、圧延板噛込み角度を−5度、フロントテンション・バックテンションを変形抵抗の30%、圧延スピードを400m/分、圧延油動粘度を3.5cst、圧延ロール表面粗度(Ra)を0.23μmとした。
【0027】
Figure 0003642915
【0028】
表4の製板工程により得られた本発明例試験番号5及び比較例試験番号6の各合金素板について、オイルピット面積率を測定し、素板の模様、アルカリエッチング後の模様、陽極酸化皮膜処理後の模様の評価を行った。その結果を表5に示す。なお、測定及び評価条件は実施例1と同様である。
【0029】
Figure 0003642915
【0030】
表5からも明らかなように、本発明例の試験番号5は、オイルピットの面積率が5%以下であり、素板の模様、アルカリエッチング後の模様、陽極酸化皮膜処理後の模様共に、評価○〜○△レベルで模様が全く見られないかほとんど見られなかった。
これに対し、比較例試験番号6は、オイルピットの面積率が本発明で特定した5%を超えており、素板の模様、アルカリエッチング後の模様、陽極酸化皮膜処理後の模様共に、評価×レベルで模様が見られた。
【0031】
【実施例3】
実施例1の方法で得られた板厚5.5mmのアルミニウム合金板を表6に示す冷間圧延パススケジュールに従い、アルミニウム合金薄板を得た。冷間圧延の最終パスの前に磁気誘導加熱炉によって500℃の温度で中間焼鈍を行った。焼鈍後の冷間圧延パスについては、圧延板噛込み角度を−5度、フロントテンション・バックテンションを変形抵抗の35%、圧延スピードを200m/分、圧延油動粘度を3.5cst、圧延ロール表面粗度(Ra)を0.30μmとした。
【0032】
Figure 0003642915
【0033】
表6の製板工程により得られた本発明例試験番号7の合金素板について、オイルピット総面積率を測定し、素板の模様、アルカリエッチング後の模様、陽極酸化皮膜処理後の模様の評価を行った。その結果を表7に示す。なお、測定及び評価条件は実施例1と同様である。
【0034】
Figure 0003642915
【0035】
表7からも明らかなように、本発明例の試験番号7は、オイルピットがなく、また、ロールバイトが存在せず、固着表面を呈していた。この結果、素板の模様、アルカリエッチング後の模様、陽極酸化皮膜処理後の模様共に、評価○レベルで模様が全く見られなかった。
【発明の効果】
【0036】
以上に説明したように、本発明のオイルピットが少ないアルミニウム合金素板は、アルカリ、酸によるエッチング、陽極酸化処理等の表面処理を施したときに艶消し部と金属光沢部の違いが目視的に観察されず、縞模様等の発生しない均一な表面を有するから、表面外観の均一性が要求される製品、例えば建築用の内外装パネル、日用品、厨房用品、印刷板、装飾部品等に用いるのに適し、しかも連続鋳造法による低コストの利点を維持する。
また、本発明の微細なロール滑り面からなる固着表面を有する圧延板は、オイルピットが実質的に存在しないから、上記した効果が確実に得られる。
更に、その製造方法は、リップルマークの生じる連続鋳造された薄スラブの圧延板に対して、簡単な方法で、上記の表面外観の均一性が要求される製品、例えば建築用の内外装パネル、日用品、厨房用品、印刷版、装飾部品等に用いるのに適したアルミニウム合金素板を低いコストで得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のアルミニウム合金素板表面拡大図(×50)
【図2】 連続鋳造による金属組織写真(リップルマーク)
【図3】 オイルピットの面積率の大きい箇所拡大図(×50)
【図4】 オイルピットの面積率の小さい箇所拡大図(×50)
【符号の説明】
10:リップルマーク 30:オイルピット

Claims (2)

  1. 連続鋳造された薄スラブの冷間圧延板であって、Fe:0.1〜0.8重量%、残部結晶粒微細化元素と不可避的不純物を含むAlからなり、該不可避的不純物中のSi含有量を0.8重量%以下とし、オイルピット面積が5%以下であることを特徴とする表面処理用アルミニウム合金素板。
  2. 連続鋳造された薄スラブの冷間圧延板であって、Fe:0.1〜0.8重量%、残部結晶粒微細化元素と不可避的不純物を含むAlからなり、該不可避的不純物中のSi含有量を0.8重量%以下とし、板表面が固着表面を呈していることを特徴とする表面処理用アルミニウム合金素板。
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