JPH05132731A - 陽極酸化処理後の色調が黄金色のアルミニウム合金およびその製造方法 - Google Patents

陽極酸化処理後の色調が黄金色のアルミニウム合金およびその製造方法

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JPH05132731A
JPH05132731A JP32376091A JP32376091A JPH05132731A JP H05132731 A JPH05132731 A JP H05132731A JP 32376091 A JP32376091 A JP 32376091A JP 32376091 A JP32376091 A JP 32376091A JP H05132731 A JPH05132731 A JP H05132731A
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aluminum alloy
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Mamoru Matsuo
守 松尾
Masami Furuya
雅美 古屋
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Sky Aluminium Co Ltd
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Sky Aluminium Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 硫酸浴による陽極酸化処理のままで色調が均
一な黄金色を呈するアルミニウム合金を提供する。 【構成】 Cr0.3〜1.2%と微量のTiもしくは
Ti+Bを含有し、さらに必要に応じ少量のCu,Z
n,Mgを含有し、かつFeを0.2%以下、Siを
0.3%以下に規制したアルミニウム合金。さらにその
製法として冷却速度5℃/sec 以上の急速冷却による薄
板連続鋳造法を適用する。また鋳造後、300〜630
℃×0.5〜24時間の加熱を適用しても良い。さら
に、鋳造板に対し冷間圧延を施しても良く、その場合、
中間焼鈍あるいは最終焼鈍として、300〜550℃×
0.5〜12時間のバッチ焼鈍もしくは400〜650
℃×3分以内の連続焼鈍を施しても良い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は陽極酸化処理を施して
使用される用途のアルミニウム合金材、例えばビルのカ
ーテンウォールや外壁、屋根、ドア、門扉、あるいは内
装材などの建材、さらには各種器物、容器、銘板等に使
用されるアルミニウム合金およびその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】一般にカーテンウォールや建築外装材、
内装材などの建材、あるいは器物、容器、銘板などに使
用されるアルミニウム合金の圧延材は、耐食性の観点か
ら陽極酸化処理を施して用いられることが多い。これら
の用途の陽極酸化処理用アルミニウム合金としては、陽
極酸化処理後の色調が淡灰色系からシルバー系のものが
多く、このような合金の圧延材としては一般にJIS
1050合金、1100合金、5005合金等が使用さ
れることが多い。また灰色系のものとしてはAl−1〜
4%Si合金が一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】最近では建築外装材、
内装材等の用途においては、デザイン上の要請から色調
の多様化、個性化を求められることが多くなっている。
陽極酸化処理を施して用いられるアルミニウム合金につ
いても、これらの用途では種々の色調が求められること
が多くなっており、その一つとして黄金色の色調があ
る。
【0004】アルミニウム合金の陽極酸化処理材に各種
の色調を与える方法としては、二次電解法や染色法、そ
の他の塗装法などもあるが、これらの方法では退色の問
題があるほか、耐食性やコスト等の問題がある。したが
って陽極酸化処理のままで黄金色の色調を得ることが望
まれる。
【0005】従来、陽極酸化処理のままで黄金色の色調
を得る方法としては、シュウ酸電解浴による陽極酸化処
理があるが、シュウ酸電解浴による陽極酸化処理は、現
在主流を占めている硫酸電解浴による場合と比較して、
電解条件や電解浴管理に厳密さが要求され、また皮膜特
性も劣るとともにコストも高いことから、硫酸電解浴に
よる陽極酸化処理のままで黄金色の色調を得ることが望
まれる。
【0006】しかしながら、従来は硫酸電解浴による陽
極酸化処理のままで均一な黄金色の色調を確実かつ安定
して得る手法は確立されていなかったのが実情である。
特に薄板連続鋳造法(連続鋳造圧延法)によって5〜1
0mm程度の薄板を直接鋳造する方法を適用した場合に、
硫酸電解浴による陽極酸化処理のままで均一に黄金色の
色調を得るための手法は知られていなかったのが実情で
ある。
【0007】この発明は以上の事情を背景としてなされ
たもので、硫酸電解浴による陽極酸化処理のままで確実
かつ安定して均一な黄金色の色調を得ることが可能なア
ルミニウム合金板、および薄板連続鋳造法を適用してそ
のアルミニウム合金材を得る方法を提供することを目的
とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明のアルミニウム
合金は、基本的には、Al−Cr系の合金とするととも
に、不純物としてのFe量、Si量を少量に規定し、こ
れによって硫酸電解浴による陽極酸化処理のままで均一
な黄金色の色調が得られるようにしている。
【0009】具体的には、請求項1の発明のアルミニウ
ム合金は、Cr0.3〜1.2wt%を含有するととも
に、結晶粒微細化剤としてTi0.005〜0.15wt
%を単独でまたはB0.0001〜0.0500wt%と
組合せて含有し、かつ不純物としてのFe量が0.2wt
%以下、Si量が0.3wt%以下に規制され、残部がA
lおよびその他の不可避的不純物よりなることを特徴と
するものであり、また請求項2の発明のアルミニウム合
金は、前記各元素のほか、さらに必要に応じて1.0wt
%以下のCu、2.0wt%以下のZn、2.0wt%以下
のMgのうちの1種または2種以上を含有するものであ
る。
【0010】またこの発明のアルミニウム合金の製造方
法は、薄板連続鋳造のままの板、あるいは薄板連続鋳造
の後、冷間圧延を施して板厚を減じた板として、前記同
様に硫酸電解浴による陽極酸化処理のままで均一な黄金
色の色調を呈するアルミニウム合金板を得るものであ
る。
【0011】具体的には、請求項3の発明のアルミニウ
ム合金の製造方法は、Cr0.3〜1.2wt%を含有す
るとともに、結晶粒微細化剤としてTi0.005〜
0.15wt%を単独でまたはB0.0001〜0.05
00wt%と組合せて含有し、さらに必要に応じて1.0
wt%以下のCu、2.0wt%以下のZn、2.0wt%以
下のMgのうちの1種または2種以上を含有し、かつ不
純物としてのFe量が0.2wt%以下、Si量が0.3
wt%以下に規制され、残部がAlおよびその他の不可避
的不純物よりなる合金を、5℃/sec 以上の冷却速度で
鋳造することを特徴とするものである。
【0012】また請求項4の発明のアルミニウム合金の
製造方法は、Cr0.3〜1.2wt%を含有するととも
に、結晶粒微細化剤としてTi0.005〜0.15wt
%を単独でまたはB0.0001〜0.0500wt%と
組合せて含有し、さらに必要に応じて1.0wt%以下の
Cu、2.0wt%以下のZn、2.0wt%以下のMgの
うちの1種または2種以上を含有し、かつ不純物として
のFe量が0.2wt%以下、Si量が0.3wt%以下に
規制され、残部がAlおよびその他の不可避的不純物よ
りなる合金を、5℃/sec 以上の冷却速度で鋳造した
後、もしくはさらにその鋳造の後に300〜630℃で
0.5〜24時間加熱した後、冷間圧延することを特徴
とするものである。
【0013】
【作用】先ずこの発明におけるアルミニウム合金の成分
組成限定理由を説明する。
【0014】Cr:Crが固溶状態で存在すれば、陽極
酸化処理後の色調として黄金色を発色させることがで
き、したがってCrはこの発明において基本的に重要な
合金元素である。Crの固溶量が多いほど黄金色は強く
なるが、充分な黄金色の色調を得るためには通常は0.
3wt%以上のCrが必要である。但し、DC鋳造法等の
通常の冷却速度が遅い鋳造方法では、Crが0.3wt%
以上ではCr系の巨大な初晶金属間化合物が晶出し、実
質上製造できないばかりでなく、Crを強制的に固溶で
きないために、黄金色を明瞭に発色できない。これに対
し薄板連続鋳造法等によって5℃/sec 以上の冷却速度
で急冷凝固させれば、粗大なCr系の金属間化合物を生
成させないCr量範囲を1.2wt%にまで上げることが
できる。しかも薄板連続鋳造法の如き急冷凝固では、添
加したCrの大部分を強制的に固溶でき、そのため充分
に強い黄金色を発色させることができる。但しCrが
1.2wt%を越えれば、薄板連続鋳造法を適用しても初
晶の粗大化合物が晶出し、しかもCrの強制固溶量も限
界に達するからそれ以上添加しても意味がない。したが
ってCr量は0.3〜1.2wt%の範囲内とした。な
お、陽極酸化処理における黄金色の発色は、Crの添加
量そのものではなく、Crの固溶量が影響を与え、充分
な黄金色を得るためにはCr固溶量が0.25wt%以上
であることが望ましい。
【0015】Fe:Feが含有されれば、Al−Fe
(−Si−Cr)系の晶出物が晶出するが、このAl−
Fe(−Si−Cr)系の晶出物は黄金色の色調を若干
濁らせてしまう。特にAl−Fe(−Si−Cr)系の
晶出物が大きくて、粗く分布すれば、その粗く分布した
部分が他の部分とやや異なる色調を呈することになる。
薄板連続鋳造法では、鋳造時の冷却速度に脈動が生じる
ことが多いが、Fe量が0.2wt%を越えれば上述の鋳
造時の冷却速度の脈動によって、Al−Fe(−Si−
Cr)系の晶出物が鋳造方向に直角に交互に疎密に分布
することになり、その結果、陽極酸化処理後の板表面に
横縞模様が発生してしまい、この発明で目的とする黄金
色の色調の均一性を損なってしまう。Feが0.2wt%
以下であればこのような問題はほとんど生じない。した
がってFe量は0.2wt%以下に規制することとした。
【0016】Si:SiがFeとともに含有されれば、
Al−Fe−Si(−Cr)系の晶出物が晶出し、この
Al−Fe−Si(−Cr)系の晶出物は黄金色の色調
をやや濁らせてしまう。特にAl−Fe−Si(−C
r)系の晶出物が大きくて、粗く分布すれば、その粗く
分布した部分が他の部分とやや異なる色調を呈してしま
う。Feの項でも述べたように、薄板連続鋳造法では鋳
造時の冷却速度に脈動が生じることが多いが、Si量が
0.3wt%を越えれば、鋳造時の冷却速度の脈動によっ
てAl−Fe−Si(−Cr)系の晶出物が鋳造方向に
直角に交互に疎密に分布することになり、その結果、前
述のFeの場合と同様に横縞模様が発生してしまい、黄
金色の色調の均一性を損なう。したがってSi量は0.
3wt%以下に規制することとした。
【0017】Ti,B:少量のTiを単独で、あるいは
少量のTiを微量のBと組合せて添加することは、鋳塊
結晶粒微細化のために有効である。Tiが0.005wt
%未満ではその効果が得られず、Tiが0.15wt%を
越えれば初晶TiAl3 を晶出して表面特性を害するか
ら、Tiは0.005〜0.15wt%の範囲内とした。
またTiとともにBを添加する場合、B量が0.000
1wt%未満ではB添加の効果が得られず、一方B量が
0.0500wt%を越えればTiB2 の粗大粒子が混入
して表面欠陥を招くから、Bは0.0001〜0.05
00wt%の範囲内とした。
【0018】以上の各成分のほかは、、基本的にはAl
と、前述のFe,Si以外の不可避的不純物とすれば良
い。但し、通常のアルミニウム合金においては、鋳造時
の溶湯の酸化を防止するため微量のBeを添加すること
があるが、この発明の合金の場合にも、微量のBeを添
加しても良く、Be量が500ppm 程度以下であれば特
に他の性能を劣化させることはない。またそのほか、強
度向上を目的としてCu,Zn,Mgのうちのいずれか
一種または二種以上が含有されてていも良く、Cuは
1.0wt%以下、Znは2.0wt%以下、Mgは2.0
wt%以下であれば特に他の性能を損なうことなく、この
発明の目的を達成することができる。
【0019】なお、この発明のアルミニウム合金を製造
するにあたっては、後述するように粗大な金属間化合物
を生じさせないようにすることが必要であるが、ここ
で、製造や色調に悪影響を与える粗大な金属間化合物と
は3μmを越えるような金属間化合物を意味する。した
がってこの発明のアルミニウム合金は、最終板の状態で
すべての金属間化合物の径が3μm以下であることが望
ましい。
【0020】次にこの発明のアルミニウム合金の製造方
法について説明する。
【0021】先ず前述のような成分組成の合金溶湯を鋳
造するが、この鋳造にあたっては、陽極酸化処理による
黄金色の発色に寄与する固溶Crを充分に確保するべ
く、Crを強制的に固溶させ、かつ0.3%以上のCr
量でも粗大なCr系の金属間化合物を生成させないため
に、5℃/sec 以上の冷却速度が必要である。このよう
な鋳造時の冷却速度を、工業的に大きな板で得ること
は、一対の回転冷却ロール、あるいはキャタピラー、ま
たはベルトの間に溶湯を供給して5〜50mmの板を直接
鋳造する、薄板連続鋳造法(連続鋳造圧延法)で達成で
きる。
【0022】このようにして得られた鋳造板は、これを
そのままの板厚で陽極酸化処理に供しても良いが、後述
するように冷間圧延を行なって所要の板厚としてから陽
極酸化処理に供しても良い。そして鋳造板ののままの板
厚で使用する場合も、またさらに冷間圧延を行なう場合
のいずれにおいても、鋳造板に対して熱処理(焼鈍)を
行なっても良い。さらに冷間圧延を行なう場合におい
て、その冷間圧延の中途に中間焼鈍として、もしくは冷
間圧延後に最終焼鈍として、熱処理を施しても良い。こ
の発明で用いている合金のようにFe量が0.2wt%以
下、Si量が0.3wt%以下の場合には、これらの熱処
理によって本質的に陽極酸化処理後の黄金色の色調を損
なってしまうことはない。
【0023】鋳造板に対して行なう熱処理(焼鈍)は、
鋳造時の偏析を緩和して均質化し、またその後に冷間圧
延を行なう場合には冷間圧延を容易にするために有効で
ある。その条件としては、300〜630℃の範囲内の
温度で0.5〜24時間加熱保持すれば良い。温度が3
00℃未満では前述の効果が得られず、一方630℃を
越えれば結晶粒の粗大化が生じる。また加熱時間が0.
5時間未満でも前述の効果が得られず、一方24時間を
越えても効果は飽和し、経済性を損なうだけである。
【0024】一方、冷間圧延の中途で行なう中間焼鈍
は、それ以後の冷間圧延を容易にし、また冷間圧延の後
に行なう最終焼鈍は強度調整に有効である。これらの中
間焼鈍、最終焼鈍としては、バッチ式の焼鈍と連続焼鈍
とのうちいずれを適用しても良い。
【0025】バッチ式焼鈍の場合、目的とする強度等に
応じて適切な温度を選択すれば良いが、300℃未満で
は焼鈍の効果が得られず、一方550℃を越える高温で
は2次再結晶が生じて結晶が粗大化してしまい、また加
熱保持時間が0.5時間未満では焼鈍の効果が得られ
ず、一方24時間を越えても効果は飽和し、経済性を損
なうだけである。したがって冷間圧延の中途もしくは後
に行なう焼鈍にバッチ式焼鈍を適用する場合、300〜
550℃の範囲内の温度で0.5〜24時間の加熱保持
とする。
【0026】一方連続式焼鈍の場合は、コイルを連続的
に巻戻しながら焼鈍するため、一般的にバッチ式焼鈍と
比較して、高温短時間の処理となる。この場合、加熱到
達温度が400℃未満では焼鈍の効果が得られず、65
0℃を越えれば共晶融解の発生のおそれがあり、また保
持時間が3分を越えれば高温では結晶粒粗大化のおそれ
がある。したがって冷間圧延の中途もしくは後に行なう
焼鈍は、400〜650℃の温度で保持なしもしくは3
分以下の保持とした。
【0027】以上のようにFe量が0.2wt%以下、S
i量が0.3wt%以下に規制されていれば、薄板連続鋳
造法による急速冷却の鋳造の後、いずれの段階で加熱処
理を施しても陽極酸化処理後に均一な黄金色の色調を得
ることができる。
【0028】次に上述のような方法で得られたアルミニ
ウム合金(鋳造板もしくは圧延板)に対して、陽極酸化
処理を施して実際に均一な黄金色の色調を得るためのプ
ロセスを説明する。
【0029】陽極酸化処理にあたっては、予め表面の汚
れおよび表面の欠陥を除去しておくため、脱脂およびエ
ッチングを行なうのが一般的である。エッチングは、苛
性ソーダ系のアルカリエッチングを行なうのが通常であ
る。そして陽極酸化処理自体は、H2 SO4 濃度が10
〜25 vol%の硫酸浴を用い、浴温度10〜30℃、電
流密度1.5A/dm2 以上、2.5A/dm2 未満で行な
い、膜厚10〜30μmの陽極酸化皮膜を生成させる。
【0030】ここで、硫酸浴のH2 SO4 濃度が10 v
ol%未満では生成される陽極酸化皮膜の多孔度が減少し
て浴電圧が高くなる。一方H2 SO4 濃度が25 vol%
を越えれば、表面が荒れて陽極酸化皮膜が柔らかくな
る。また浴温度が10℃未満では所要の膜厚を得るため
に長時間の処理を要して不経済となり、一方30℃を越
えれば陽極酸化処理後の耐食性が低下してしまう。さら
に電流密度は、2.5A/dm2 以上では処理に多大な電
力を要し、実用的でなく、一方1.5A/dm2 未満で
は、陽極酸化処理後の色調が薄くなって強い黄金色が得
られなくなる。また生成される陽極酸化皮膜の膜厚が1
0μm未満では充分な耐食性が得られず、一方30μm
を越えるまで厚くすることは経済的でない。
【0031】以上のような硫酸浴による陽極酸化処理に
よって、均一な黄金色の色調を得ることができる。
【0032】なお、以上の製造プロセスの説明では、冷
却速度5℃/sec 以上の鋳造法として薄板連続鋳造法を
適用した場合について説明したが、請求項1もしくは請
求項2で規定している成分組成の合金は、冷却速度が5
℃/sec 以上の鋳造法でありさえすれば、薄板連続鋳造
法以外にも、細径ビレットのDC鋳造やダイカスト鋳造
等を適用しても陽極酸化処理後に均一な黄金色の色調を
得ることができる。
【0033】
【実施例】
実施例1 表1の合金番号1〜4に示す成分組成のアルミニウム合
金を常法にしたがって溶製し、2ロール方式の薄板連続
鋳造法によって板厚7mmの鋳造板を得た。凝固時の冷却
速度はいずれも200〜300℃/sec であった。得ら
れた各合金に対して、そのまま(鋳造のまま)で陽極酸
化処理を施すか、または550℃×10時間の加熱を行
なってから陽極酸化処理を施した。
【0034】一方、比較のため、表1の合金番号5,6
に示す成分組成の合金を常法にしたがって溶製し、厚さ
50mmのブックモールドに金型鋳造した。このときの鋳
造速度は0.5〜1.0℃/sec であった。得られた鋳
塊を7mmにスライスした後、そのまま陽極酸化処理を施
した。
【0035】上記のいずれの場合においても陽極酸化処
理は次の条件で行なった。すなわち、先ず10%NaO
H水溶液でエッチングした後、水洗して硝酸でデスマッ
ト処理を施し、次いで15 vol%濃度の硫酸浴を用いて
浴温20℃、電流密度1.5A/dm2 で陽極酸化処理を
行ない、膜厚20μmの陽極酸化皮膜を生成させた。
【0036】以上のようにして陽極酸化処理が施された
各板の表面の色調を目視により観察、判定した結果を表
2に示す。また各板のCr固溶量を調べた結果も表2中
に併せて示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】表2から明らかなように、成分組成が本発
明範囲内の合金(合金番号1,2)を用いて、薄板連続
鋳造法で鋳造した鋳造板(製造符号A〜D)は、その後
の加熱の有無を問わず、陽極酸化処理後に均一な黄金色
を得ることができた。これに対しCr量が少ない合金
(合金番号3)を用いた場合(製造符号E)は、薄板連
続鋳造法を適用しても黄金色の色調は得られず、またF
e量、Si量が高い合金(合金番号4)を用いた場合
(製造符号F)は、薄板連続鋳造法を適用することによ
って横縞模様が発生し、均一な色調が得られなかった。
さらに、鋳造時の冷却速度が遅い金型鋳造法を適用した
場合(製造符号G,H)は、粗大化合物が発生し、黄金
色の色調が得られなかった。
【0040】実施例2 実施例1の製造符号A〜Fにより得られた薄板連続鋳造
による板厚7mmの鋳造板(鋳造のままのもの、および加
熱したものを含む)、および同じく実施例1の製造符号
G,Hにより得られた金型鋳造による板(鋳造板を7mm
にスライスしたもの)について、板厚1.5mmまで冷間
圧延した。冷間圧延後の各板の一部はそのままま陽極酸
化処理を施し、他のものは、バッチ炉による350℃×
5時間の焼鈍、または連続焼鈍を想定したソルトバスに
よる450℃×10sec の焼鈍を施してから陽極酸化処
理を施した。陽極酸化処理の条件は実施例1の場合と同
じである。
【0041】陽極酸化処理後の表面の色調を目視により
観察、判定した。その結果を表3に示す。なお表3にお
いて製造符号A′〜H′の各プロセスでは、それぞれ冷
間圧延前までのプロセスとしては、実施例1における製
造符号A〜Hのプロセスが適用されている。また各板の
Cr固溶量を調べた結果も表3中に併せて示す。
【0042】
【表3】
【0043】表3から明らかなように、冷間圧延を行な
った場合にも、本発明の成分組成範囲内でかつ薄板連続
鋳造法を適用した場合は、焼鈍の有無を問わず陽極酸化
処理後に均一な黄金色の色調を得ることができた。
【0044】
【発明の効果】前述の実施例からも明らかなように、こ
の発明のアルミニウム合金板は、冷却速度5℃/sec 以
上の急速冷却による鋳造を適用することによって、硫酸
浴による陽極酸化処理後に均一な黄金色の色調を確実に
得ることができる。そしてこのように硫酸浴による陽極
酸化処理で均一な黄金色の色調が得られるところから、
従来のシュウ酸浴による場合と比較して経済性、皮膜特
性、操業管理性等の点から優れている。
【0045】またこの発明のアルミニウム合金の製造方
法によれば、前述のように硫酸浴による陽極酸化処理に
よって均一な黄金色の色調を呈するアルミニウム合金
を、薄板連続鋳造法を適用して実際に確実かつ容易に得
ることができる。
【0046】したがってこの発明は、均一な黄金色の色
調が要求される各種建材材料や銘板、各種器物、容器等
に適用して有益なものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cr0.3〜1.2wt%を含有するとと
    もに、結晶粒微細化剤としてTi0.005〜0.15
    wt%を単独でまたはB0.0001〜0.0500wt%
    と組合せて含有し、かつ不純物としてのFe量が0.2
    wt%以下、Si量が0.3wt%以下に規制され、残部が
    Alおよびその他の不可避的不純物よりなることを特徴
    とする、陽極酸化処理後の色調が黄金色のアルミニウム
    合金。
  2. 【請求項2】 前記各元素のほか、さらに1.0wt%以
    下のCu、2.0wt%以下のZn、2.0wt%以下のM
    gのうちの1種または2種以上を含有する、請求項1に
    記載のアルミニウム合金。
  3. 【請求項3】 Cr0.3〜1.2wt%を含有するとと
    もに、結晶粒微細化剤としてTi0.005〜0.15
    wt%を単独でまたはB0.0001〜0.0500wt%
    と組合せて含有し、さらに必要に応じて1.0wt%以下
    のCu、2.0wt%以下のZn、2.0wt%以下のMg
    のうちの1種または2種以上を含有し、かつ不純物とし
    てのFe量が0.2wt%以下、Si量が0.3wt%以下
    に規制され、残部がAlおよびその他の不可避的不純物
    よりなる合金を、5℃/sec 以上の冷却速度で鋳造する
    ことを特徴とする、陽極酸化処理後の色調が黄金色のア
    ルミニウム合金の製造方法。
  4. 【請求項4】 Cr0.3〜1.2wt%を含有するとと
    もに、結晶粒微細化剤としてTi0.005〜0.15
    wt%を単独でまたはB0.0001〜0.0500wt%
    と組合せて含有し、さらに必要に応じて1.0wt%以下
    のCu、2.0wt%以下のZn、2.0wt%以下のMg
    のうちの1種または2種以上を含有し、かつ不純物とし
    てのFe量が0.2wt%以下、Si量が0.3wt%以下
    に規制され、残部がAlおよびその他の不可避的不純物
    よりなる合金を、5℃/sec 以上の冷却速度で鋳造した
    後、もしくはさらにその鋳造の後に300〜630℃で
    0.5〜24時間加熱した後、冷間圧延することを特徴
    とする、陽極酸化処理後の色調が黄金色のアルミニウム
    合金の製造方法。
JP32376091A 1991-11-12 1991-11-12 陽極酸化処理後の色調が黄金色のアルミニウム合金およびその製造方法 Withdrawn JPH05132731A (ja)

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