JPH07292450A - 陽極酸化処理用アルミニウム合金板の製造方法 - Google Patents

陽極酸化処理用アルミニウム合金板の製造方法

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JPH07292450A
JPH07292450A JP10765994A JP10765994A JPH07292450A JP H07292450 A JPH07292450 A JP H07292450A JP 10765994 A JP10765994 A JP 10765994A JP 10765994 A JP10765994 A JP 10765994A JP H07292450 A JPH07292450 A JP H07292450A
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alloy
color tone
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JP10765994A
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Shigeo Tsuchida
繁雄 土田
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Sky Aluminium Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 Mn 0.3〜2.0wt%、Fe 1.0
〜2.0wt%、Si1.0wt%以下を含有し、かつ
Ti、B量を微量に規制したAl合金の溶湯を、特定冷
却速度かつ特定鋳造速度で双ロール鋳造して、特定の表
面結晶粒組織を有する鋳造板を得、そのままあるいは冷
間圧延を施し、鋳造以降のいずれかの段階で250〜6
00℃で0.5〜24時間加熱する。 【効果】 硫酸浴による陽極酸化処理のままでグレ−の
色調を有しかつ安定した木目(柾目)調の不連続縦縞模
様を有する板を確実に得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は陽極酸化処理を施して
使用される用途のアルミニウム合金板、例えばビルのカ
ーテンウォールや外壁、屋根、ドア、門扉、あるいは内
装材などの建材、さらには各種器物、容器、銘板等に使
用されるアルミニウム合金板およびその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】一般にカーテンウォールや建築外装材、
内装材などの建材、あるいは器物、容器、銘板などに使
用されるアルミニウム合金の圧延材は、耐食性の観点か
ら陽極酸化処理を施して用いられることが多い。これら
の用途の陽極酸化処理用アルミニウム合金としては、陽
極酸化処理後の色調が淡灰色系からシルバー系のものが
多く、このような合金の圧延材としては一般にJIS
1050合金、1100合金、5005合金等が使用さ
れることが多い。またグレ−系のものとしてはAl−1
〜4%Si合金が一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】最近では建築外装材、
内装材等の用途においては、デザイン上の要請から色調
の多様化、個性化を求められることが多くなっている。
陽極酸化処理を施して用いられるアルミニウム合金につ
いても、これらの用途では種々の色調が求められること
が多くなっており、その例としてグレ−の色調がある。
【0004】アルミニウム合金の陽極酸化処理材に各種
の色調を与える方法としては、二次電解法や染色法、そ
の他の塗装法などもあるが、これらの方法では退色の問
題があるほか、耐食性やコスト等の問題がある。したが
って陽極酸化処理のままでグレ−の色調を得ることが望
まれる。
【0005】また建材等においては、単に色調のみなら
ず、デザイン的な観点から個性的な外観模様を有するこ
とも求められるようになっており、その一つとして木目
(柾目)調の不連続縦縞模様があるが、従来は陽極酸化
処理のままで安定して所定の不連続縦縞模様を得る手法
は確立されていなかったのが実情である。
【0006】この発明は以上の事情を背景としてなされ
たもので、硫酸電解浴による陽極酸化処理のままで、グ
レ−の色調で鋳造方向もしくは圧延方向と平行な方向の
不連続縦縞模様を有する板を確実かつ安定して得ること
が可能なアルミニウム合金板を提供することを目的とす
るものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明の陽極酸化処理
用アルミニウム合金板の製造方法は、基本的には、成分
系をAl−Mn−Fe系とするとともに、所定量のFe
を添加し、かつ結晶粒微細化剤として通常アルミニウム
合金に添加されることが多いTi,Bの量を極微量以下
に規制して、かつ双ロ−ル鋳造法の急冷凝固の特性を活
用してMnの固溶をはかりさらに双ロ−ル鋳造法の鋳造
特性を活かし鋳造後の表面の組織を鋳造方向に伸びた柱
状晶からなる組織とし、さらに熱処理を施して色調の暗
色化に寄与する微細析出物を析出させるとともに、結晶
粒毎の析出の変動を利用して、硫酸電解浴による陽極酸
化処理後の表面にグレ−の色調での不連続縦縞模様を発
生させるようにしている。そしてまた、鋳造のままの厚
さの板、あるいは鋳造の後、冷間圧延を施して板厚を減
じた板を提供することとしている。
【0008】具体的には、請求項1の発明の製造方法
は、Mn0.3〜2.0、Fe1.0〜2.0wt%、S
i1.0wt%以下を含有し、かつTi量が0.01wt%
以下、B量が0.002wt%以下に規制され、残部がA
lおよびその他の不可避的不純物よりなる合金の溶湯
を、5℃/sec 以上の冷却速度でかつ鋳造速度を0.8
m/min以上で鋳造して、表面の結晶粒の50%以上
がLL/LT≧2.0かつLT≧2.0mm(LLは結晶粒
の鋳造方向に平行な最大長さ、LTは結晶粒の鋳造方向
に直角な最大長さ)からなる鋳造板を得、続いてその鋳
造板を、250〜600℃で0.5〜24時間加熱する
ことを特徴とするものである。
【0009】また請求項2の発明の方法は、請求項1の
方法と同様に鋳造した後、冷間圧延を行なって所要の板
厚とし、かつ鋳造と冷間圧延との間、または冷間圧延の
中途もしくは冷間圧延の後に250〜600℃で0.5
〜24時間加熱することを特徴とするものである。
【0010】
【作用】先ずこの発明におけるアルミニウム合金の成分
組成限定理由を説明する。
【0011】Mn:この発明で適用しているような冷却
速度5゜C/sec以上の双ロ−ル鋳造法の場合鋳造のまま
で陽極酸化処理するとAl−Fe−Mn(−Si)系晶
出物として、通常はAlm(FeMnSi)相およびα
AlFeMnSi相が晶出し、これらの化合物相による
黄味がかったクリ−ム色と、マトリックスのMn固溶に
よるピンク色が重畳されて、濃いベ−ジュ色の色調が得
られる。
【0012】さらに鋳造時の冷却速度が速い双ロ−ル鋳
造法によって多量にMnが強制固溶された状態の板に対
して適切な熱処理を施すことによって、MnはFeと共
存してAl−Fe−Mn(−Si)系の微細な析出物を
生じさせる。このAl−Fe−Mn(−Si)系の微細
な析出物は陽極酸化皮膜の色調を濁らせ、前述のような
濃いベ−ジュの色調をグレ−に変える。したがってMn
は、この発明においてグレ−の色調を得るためには基本
的に重要な元素である。ここでMnが0.3wt%未満
では、Mnの固溶量が少なく、その後の熱処理での析出
物が少ないためグレ−の色調が得られない。一方Mn量
が2.0wt%をこえれば、初晶のAl6Mn金属間化
合物が晶出して、表面欠陥を招く。したがってMn量は
0.3wt%以上2.0wt%以下とした。
【0013】Fe:Feはこの発明において、Mnと共
にAlm(FeMnSi)、αAlFeMnSi晶出物
を形成してベ−スの色をベ−ジュとし、さらに適切な熱
処理を施すことにより、Mnと共にAl−Fe−Mn
(−Si)系の微細な析出物を生じて陽極酸化処理後の
色調をグレ−化することに寄与する。すなわち、Feが
含有されれば、適切な熱処理を施すことによってAl−
Fe−Mn(−Si)系の析出物が微細に析出し、この
微細析出物によってベースのベ−ジュの色調に黒色の濁
りが加わり、これによって深みのあるグレ−の色調が得
られる。ここで、Fe量が1.0wt%以下であれば、熱
処理によるAl−Fe−Mn(−Si)系の微細な析出
物が少なくなり、グレ−の色調を得ることも困難とな
る。一方Fe量が2.0wt%を越えれば、初晶の粗大な
Al3Fe、Al6(MnFe)の金属間化合物が晶出
し、表面欠陥を招き、またこれらの粗大な化合物が晶出
すれば、鋳造作業が困難となる。したがってFe量は
1.0〜2.0wt%の範囲内とした。
【0014】Si:SiがFeとともに含有されれば、
適切な熱処理を施すことにより微細なAl−Fe−Mn
−Si系の析出物が析出される。この微細なAl−Fe
−Mn−Si系の析出物は前述のようにグレ−の発色に
寄与する。したがってSiはグレ−の発色を助長させる
効果がある。但し、Si量が1.0wt%を越えれば鋳造
が困難となるから、Si量は1.0wt%以下とする必要
がある。
【0015】Ti,B:一般のアルミニウム合金におい
ては、鋳塊結晶粒の微細化のために少量のTiを単独
で、あるいは少量のTiを微量のBと組合せて添加する
ことが多い。しかしながらこの発明の場合は、陽極酸化
処理後の表面に不連続縦縞模様を発現させるために、T
iやBの含有量を微量以下に規制し、鋳塊結晶粒の柱状
晶化(粗大化)を図ることが必要である。すなわちこの
発明では、ベ−スのベ−ジュの色調とAl−Fe−Mn
(−Si)系の微細析出物による濁りとを合成してグレ
−の色調を達成しているが、本発明者の研究によれば、
鋳造後にAl−Fe−Mn(−Si)系の微細析出物を
析出させる熱処理を行なった場合、その微細析出物の分
布は、結晶方位によって異なることが判明した。したが
って鋳造時の結晶粒が粗大な柱状晶の場合には、結晶粒
ごとに微細析出物の析出分布が異なり、その結果結晶粒
ごとに陽極酸化処理後の色調が異なることとなる。そし
て柱状晶は鋳造方向に沿って成長するため、鋳造後に析
出のための熱処理を行なった板に陽極酸化処理を施せ
ば、各結晶粒ごとに色調が異なり、全体として不連続模
様が得られるのである。ここで、表面の結晶粒の短辺の
最大長さ(後述のごとく本発明においてはLTが短辺と
なりやすい)の長さが2.0mm以上でないと、視覚的
にも模様が細か過ぎて印象が弱くなる。但し、すべての
結晶粒がこの条件を満足する必要はなく、一部にはこれ
らの条件を満足しない結晶粒が存在しても良く、したが
ってこの発明では鋳造板表面の結晶粒の50%以上がこ
の条件を満足すれば良いこととしている。そして、この
ように鋳造板表面の結晶粒の50%以上を粗大な柱状晶
として、不連続模様を得るためには、鋳塊結晶粒を微細
化してしまうTiおよびBの量を制限する必要があるの
である。具体的には、Tiが0.01wt%を越えれば、
微細な等軸晶が生じて2mm以上の幅を持つ柱状晶が得ら
れない。またBも0.002wt%を越えれば等軸晶が生
じてしまう。したがってTiは0.01wt%以下、Bは
0.002wt%以下に制限する。
【0016】以上の各成分のほかは、基本的にはAl
と、Ti,B以外の不可避的不純物とすれば良い。但
し、通常のアルミニウム合金においては、鋳造時の溶湯
の酸化を防止するため微量のBeを添加することがある
が、この発明の合金の場合にも、微量のBeを添加して
も良く、Be量が500ppm 程度以下であれば特に他の
性能を劣化させることはない。またそのほか、強度向上
を目的としてCu,Zn,Mg,Crのうちのいずれか
一種または二種以上が含有されていても良く、Cuは
1.0wt%以下、Znは2.0wt%以下、Mgは2.0
wt%以下、Crは0.5wt%以下であれば特に他の性能
を損なうことなく、この発明の目的を達成することがで
きる。ただし、Cu,Znは耐食性の観点から各々0.
1wt%未満とすることが好ましく、またMgは酸化物を
生成しやすく、これに起因する介在物が表面処理後の表
面品質に悪影響を及ぼすから、Mgも0.1wt%未満が
好ましい。
【0017】次にこの発明のアルミニウム合金板の製造
方法について説明する。
【0018】この発明の方法では、合金溶湯の鋳造法と
して、5℃/sec 以上の冷却速度が得られる双ロ−ル鋳
造法を使用することが必要である。双ロ−ル法の代表的
なものとしては3C法あるいはハンター法が知られてい
る。このような双ロ−ル鋳造法では、冷却速度が速いた
め、Mn,Fe等の遷移元素を多量に強制固溶させるこ
とができ、かつ粗大な金属間化合物を生成させることな
く高濃度のMn,Feを含有するアルミニウム合金を鋳
造することができる。この発明では、このような著しく
高い冷却速度によるMn,Feの固溶と、その他合金成
分の適切な選択の組み合わせによりその後の熱処理で十
分な析出物が確保できグレ−の色調が達成できる。
【0019】また鋳造速度を0.8m/min以上と規定し
たのは0.8m/min未満では表面結晶粒のLL/LT(LL
は結晶粒の鋳造方向に平行な最大長さ、LTは結晶粒の
鋳造方向に直角な最大長さ)が2.0未満で鋳造方向に
縦長に伸びた結晶粒とならずどちらかと言うと丸いある
いは正方形に近い形状となり縦縞模様とならない。但
し、すべての結晶粒がこの条件を満足する必要はなく、
一部にはこれらの条件を満足しない結晶粒が存在しても
良く、したがってこの発明では鋳造板表面の結晶粒の5
0%以上がこの条件を満足すれば良いこととしている。
尚鋳造板の板厚は双ロ−ル鋳造法で鋳造可能な板厚なら
ばよく、一般的には4−12mm程度である。
【0020】このようにして板連続鋳造法等により得ら
れた鋳造板は、そのままの板厚で陽極酸化処理に供して
も良く、あるいは冷間圧延を施して所要の板厚としてか
ら陽極酸化処理に供しても良いが、陽極酸化処理後の色
調として、グレ−の色調を得るには、鋳造直後に、ある
いは冷間圧延を行なう場合には冷間圧延の中途あるいは
冷間圧延の後に、比較的高温での析出のための熱処理を
行なう必要がある。この場合の加熱温度が250℃未満
では、グレ−の発色に寄与する微細系析出物の析出が不
充分で、グレ−の色調が得られない。一方600℃を越
えれば色調が全体的に薄くなるに加え、2次再結晶が生
じて木目調の不連続縦縞模様が得られなくなる。また加
熱時間が0.5時間未満では析出が不充分であり、一方
24時間を越えても効果は飽和し、経済性を損なうだけ
である。したがってこの場合の熱処理は、250℃以
上、600℃以下の温度に0.5〜24時間加熱する必
要がある。
【0021】このような微細な析出物を析出させてグレ
−の色調を得るための熱処理は、鋳造板のまま用いる場
合は鋳造後に行なえば良い。また冷間圧延を行なう場合
は、基本的には冷間圧延の前、中途、あるいは後のいず
れでも良いが、実際上は冷間圧延前に熱処理を施すこと
が望ましい。すなわち、冷間圧延を施す場合は、鋳造板
での柱状晶が圧延により引き延ばされた結晶粒ごとの析
出の相異により不連続縦縞模様が発現することになる
が、冷間圧延の中途もしくは冷間圧延の後に析出のため
の熱処理を行なった場合、条件によっては析出に先立っ
て再結晶が生じてしまい、柱状晶が消失した再結晶組織
について析出が行なわれることになり、この場合は柱状
晶に由来する木目調の不連続縦縞模様が得られなくなっ
てしまうかまたはぼやけてしまう。鋳造後、冷間圧延前
の状態では再結晶が生じにくく、したがって木目調の不
連続縦縞模様を達成するためには、析出のための熱処理
は冷間圧延前に行なっておくことが最も望ましいのであ
る。但し、場合によっては冷間圧延の中途もしくは後に
析出のための熱処理を行なわざるを得ない場合もあると
考えられ、その場合には前述のような析出のための熱処
理条件範囲内でも、析出に先立って再結晶が生じないよ
うな条件を選択すれば良い。
【0022】一方、析出のための前述のような熱処理を
施した後に、冷間圧延の中途や冷間圧延の後、それ以降
の冷間圧延を容易にしたりあるいは強度を調整したりす
る目的で、焼鈍を行なう必要が生じることもある。この
ような目的での焼鈍は、本成分系では一般にバッチ炉を
用いた焼鈍では300〜550℃×0.5〜24時間、
また連続焼鈍の場合は400〜650℃で保持なしもし
くは3分以下の保持とするのが通常であるが、バッチ炉
を用いた焼鈍では、再結晶によって析出物分布の均一化
や変動が生じて木目調の不連続縦縞模様がぼやけたり、
消失したりしてしまうおそれがあるから、この場合も再
結晶が生じないような条件を選択することが望ましい。
再結晶しない条件は、成分組成や鋳造板の加熱条件、冷
間加工率などによって変動するから、一律には定められ
ないが、予め試験を行なって適切な条件を選択すれば良
い。これに対し連続焼鈍では、急速短時間加熱であるた
め、たとえ再結晶が生じたとしても、もともとの柱状晶
に由来する析出物分布が維持され、木目調の不連続縦縞
模様も明確に発現させ得る。したがって冷間圧延の中途
や後に焼鈍を施す必要がある場合は、連続焼鈍を適用す
ることが好ましい。
【0023】次に上述のような方法で得られたアルミニ
ウム合金板(鋳造板もしくは圧延板)に対して、陽極酸
化処理を施して実際にグレ−の色調で木目調の不連続縦
縞模様を有する板を得るためのプロセスを説明する。
【0024】陽極酸化処理にあたっては、予め表面の汚
れおよび表面の欠陥を除去しておくため、脱脂およびエ
ッチングを行なうのが一般的である。エッチングは、苛
性ソーダ系のアルカリエッチングを行なうのが通常であ
る。そして陽極酸化処理自体は、H2 SO4 濃度が10
〜25 vol%の硫酸浴を用い、浴温度10〜30℃、電
流密度1.5A/dm2 以上、2.5A/dm2 未満で行な
い、膜厚10〜30μmの陽極酸化皮膜を生成させる。
【0025】ここで、硫酸浴のH2 SO4 濃度が10 v
ol%未満では生成される陽極酸化皮膜の多孔度が減少し
て浴電圧が高くなる。一方H2 SO4 濃度が25 vol%
を越えれば、表面が荒れて陽極酸化皮膜が柔らかくな
る。また浴温度が10℃未満では所要の膜厚を得るため
に長時間の処理を要して不経済となり、一方30℃を越
えれば陽極酸化処理後の耐食性が低下してしまう。さら
に電流密度は、2.5A/dm2 以上では処理に多大な電
力を要し、実用的でなく、一方1.5A/dm2 未満で
は、陽極酸化処理後の色調が薄くなって暗緑灰色が得ら
れなくなる。また生成される陽極酸化皮膜の膜厚が10
μm未満では充分な耐食性が得られず、一方30μmを
越えるまで厚くすることは経済的でない。
【0026】以上のような硫酸浴による陽極酸化処理に
よって、グレ−の色調の不連続縦縞模様を有する板を得
ることができる。
【0027】なおこの発明で得られる不連続縦縞模様
は、図1に示すように、鋳造方向、圧延方向にほぼ平行
な方向の縞模様であって、直線状もしくは直線に近い波
状、曲線状などの長い形状の濃色の縞状部分1と同様な
形状の薄色の縞状部分2とが鋳造方向、圧延方向と平行
に不連続に伸びた状態で混在する縞模様である。但し、
ここでは一律に濃色の縞状部分1、薄色の縞状部分2と
を区別したが、これらの濃色、薄色は相対的なものであ
り、実際には種々の濃さの色調の部分が混在する。また
その縦縞の幅(結晶粒の鋳造方向に直角な最大長さ)L
Tは、鋳造板では柱状晶の幅と同様に2mm以上である。
【0028】
【実施例】
実施例1 表1の合金番号1〜4に示す成分組成のアルミニウム合
金を常法にしたがって溶製し、一対のロール間に給湯す
る方式の板連続鋳造法によって板厚7mmの鋳造板を得
た。なお合金番号1〜3はいずれもTi,Bは積極添加
せず、不純物としてこれらを含有しているものであり、
合金番号4はTi,Bを積極添加したものである。なお
また、凝固時の冷却速度はいずれも200〜300℃/
sec であった。得られた各合金に対して、200℃×1
0時間もしくは500℃×10時間の加熱を行なってか
ら陽極酸化処理を施した。
【0029】上記のいずれの場合においても陽極酸化処
理は次の条件で行なった。すなわち、先ず10%NaO
H水溶液でエッチングした後、水洗して硝酸でデスマッ
ト処理を施し、次いで15 vol%濃度の硫酸浴を用いて
浴温20℃、電流密度1.5A/dm2 で陽極酸化処理を
行ない、膜厚20μmの陽極酸化皮膜を生成させた。
【0030】以上のようにして陽極酸化処理が施された
各板の表面の色調と不連続縦縞模様の状況を目視により
観察、判定した結果と、鋳造板の表面組織を調べた結果
を表2に併せて示す。なお表2において、不連続縦縞模
様の欄の○印は明瞭に木目調の不連続縦縞模様が発現し
た場合を、△印は不鮮明に不連続縦縞模様が生じていた
場合を、×印は不連続縦縞模様が生じていなかった場合
をそれぞれあらわす。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】表2から明らかなように、成分組成が本発
明範囲内の合金(合金番号1,2)を用いた鋳造板(製
造符号A〜C)は、いずれも鋳造板表面の結晶粒が平均
して2mm以上の幅の柱状晶となっており、そのうち、5
00℃×10時間の加熱を行なった板(製造符号A,
C)は、陽極酸化処理によってグレ−の不連続縦縞模様
を発現させることができたが、加熱を200℃で行なっ
た板(製造符号B)は不連続縦縞模様は得られたもの
の、色調がベ−ジュ色となって、グレ−が得られなかっ
た。またMn量およびFe量がともに少ない合金(合金
番号3)を用いた場合(製造符号D)は、鋳造板に柱状
晶は得られているが、500℃での加熱を行なっても不
連続縦縞模様が発現せず、またグレ−の色調も得られな
かった。さらにTi,Bをこの発明で規定する上限値を
越えて添加した合金(合金番号4)を用いた場合(製造
符号E)は、鋳造板で柱状晶が得られず、500℃での
加熱を行なっても縦縞模様が生じなかった。
【0034】実施例2 表1の合金番号1,2の各合金について前記同様に板連
続鋳造により板厚約6.5mmの鋳造板とし、各鋳造板に
ついて板厚1.5mmまで冷間圧延した。冷間圧延後、各
合金に対して、200℃×10時間もしくは500℃×
10時間の加熱を行ってから陽極酸化処理を施した。陽
極酸化処理の条件は実施例1の場合と同じである。
【0035】陽極酸化処理後の表面組織、表面の色調お
よび不連続縦縞模様を目視により観察、判定した。その
結果を表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】表3から明らかなように、冷間圧延を行な
ってから加熱した場合にも500℃×10時間で加熱し
たもの(製造番号F,H)はグレ−の色調が得られる
が、200℃×10時間で加熱したもの(製造番号G,
I)はグレ−の色調が得られなかった。尚圧延板表面模
様は圧延することにより結晶粒が圧延方向に伸びるた
め、LTはほとんど変わらないが、LLは大きくなり、よ
り木目模様が強調される。
【0038】
【発明の効果】前述の実施例からも明らかなように、こ
の発明のアルミニウム合金の製造方法によれば、板連続
鋳造法を適用しかつ適切な熱処理を施すことによって、
硫酸浴による陽極酸化処理のままでグレ−の色調を有し
かつ安定した木目(柾目)調の不連続縦縞模様を有する
板を実際に量産的規模で確実かつ容易に得ることができ
る。
【0039】したがってこの発明は、外観の多様化、個
性化が求められる各種建材材料や銘板、各種器物、容器
等に適用して有益なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるアルミニウム合金板の陽極酸化
処理後の不連続縦縞模様を説明するための模式図であ
る。
【符号の説明】
1:濃色の縞状部分 2:薄色の縞状部分 LL:結晶粒の鋳造方向に平行な長さ LT:結晶粒の鋳造方向に直角な長さ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Mn 0.3〜2.0wt%、Fe 1.
    0〜2.0wt%、Si 1.0wt%以下を含有し、
    かつTiが0.01wt%以下、B量が0.002wt
    %以下に規制され、残部がAlおよびその他不可避的不
    純物よりなる合金の溶湯を、双ロ−ル鋳造法を用いて冷
    却速度5゜C/sec以上の冷却速度で、かつ鋳造速度を
    0.8m/min以上で鋳造して、表面の結晶粒の50
    %以上がLL/LT≧2.0かつLT≧2.0mm(LL
    結晶粒の鋳造方向に平行な最大長さ、LTは結晶粒の鋳
    造方向に直角な最大長さ)からなる鋳造板を得、続いて
    その鋳造板を、250〜600゜Cで0.5〜24時間加
    熱することを特徴とする、陽極酸化処理後にグレ−の色
    調の不連続縦縞模様を呈する陽極酸化処理用アルミニウ
    ム合金板の製造方法。
  2. 【請求項2】Mn 0.3〜2.0wt%、Fe 1.
    0〜2.0wt%、Si 1.0wt%以下を含有し、
    かつTiが0.01wt%以下、B量が0.002wt
    %以下に規制され、残部がAlおよびその他不可避的不
    純物よりなる合金の溶湯を、双ロ−ル鋳造法を用いて冷
    却速度5゜C/sec以上の冷却速度で、かつ鋳造速度を
    0.8m/min以上で鋳造して、表面の結晶粒の50
    %以上がLL/LT≧2.0かつLT≧2.0mm(LL
    結晶粒の鋳造方向に平行な最大長さ、LTは結晶粒の鋳
    造方向に直角な最大長さ)からなる鋳造板を得、その後
    冷間圧延を施して所要の板厚とし、かつ前記鋳造と冷間
    圧延との間、または冷間圧延の中途もしくは冷間圧延の
    後に250〜600゜Cで0.5〜24時間加熱する熱処
    理を施すことを特徴とする、陽極酸化処理後にグレ−の
    色調の不連続縦縞模様を呈する陽極酸化処理用アルミニ
    ウム合金板の製造方法。
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