JPH10296307A - 表面処理外観に優れたアルミニウム合金素板及びその製造方法 - Google Patents
表面処理外観に優れたアルミニウム合金素板及びその製造方法Info
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- JPH10296307A JPH10296307A JP11225197A JP11225197A JPH10296307A JP H10296307 A JPH10296307 A JP H10296307A JP 11225197 A JP11225197 A JP 11225197A JP 11225197 A JP11225197 A JP 11225197A JP H10296307 A JPH10296307 A JP H10296307A
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Abstract
マークを生じるアルミニウム合金素板において、エッチ
ングや陽極酸化処理等の表面処理の際発生する縞模様乃
至絣模様を解消し、表面外観を均一とする。 【構成】 連続鋳造された薄スラブを冷間圧延したアル
ミニウム合金素板表面のオイルピット面積を5%以下と
する、また、このため、スラブを圧延して薄板を製造す
る際に、最終の冷間圧延における最終パスの圧下率を6
0%以上としてオイルピットを少なくし、更に素板表面
に微細な鱗片状の滑り面からなる固着表面を形成して、
オイルピット発生を防止する。
Description
ッチング、陽極酸化処理等の表面処理を施したときに表
面外観の均一性が求められる製品、例えば建築用外装パ
ネル、日用品、厨房用品、印刷板、装飾用部品等に用い
られるアルミニウム合金素板及びその製造方法に関す
る。
金板としては、JIS A 1050、A 1100、A 1N3
0、A 3003等のアルミニウム合金薄板が用いられて
いる。このような薄板は、通常半連続鋳造法により得ら
れた厚さ500mm程度の鋳塊の表面を面削除去し、必
要に応じて均質化処理を施した後、所定の温度で熱間圧
延をし、その後冷間圧延途中において中間焼鈍を行い、
次いで最終冷間圧延を施すことにより製造されている。
これらの従来の一般的な半連続鋳造法によるものは最終
的なアルミニウム素板に至るまでの製造工程が複雑で、
長時間の処理加工工程を必要とし、必然的に製造コスト
が嵩む不利がある。
ブを直接鋳造圧延する連続鋳造法として、通称ハンター
法、3C法、ハザレー法、キャスターII法等と呼ばれる
方法がある。これらの方法では、回転している一対のロ
ール、ベルト又はキャタピラ状のブロック等の移動乃至
回転する壁を持つ鋳型間に又はこれらを組合せた鋳型間
に溶湯を連続的に注湯して鋳造し、急速凝固させ、一般
的な厚さとして10乃至30mm程度の板状の薄スラブ
を連続的に得て、このスラブを連続又は別工程で熱間圧
延乃至冷間圧延して薄板を得るものである。この薄板
は、通常コイルにされるが、用途に応じて更に冷間圧延
して極薄板に圧延される。この薄スラブは、圧延に際し
前もって加熱処理することもできる。この連続鋳造圧延
法は、薄いスラブを溶湯から連続して製造することがで
きるので、その薄いスラブ厚さまで圧延する工程が省略
されて低コストで薄板を得られる利点がある。
程は溶湯が鋳型面に常時接触して冷却凝固するのではな
く、鋳型壁面に周期的に接触、離間を繰り返しながら連
続的に鋳造される。この溶湯の周期的接触及び離間は溶
湯が鋳型面に接触し冷却凝固すると、凝固収縮ないし表
面張力の変化により鋳型面より離れ、離れると断熱効果
で表面張力が変化し、再度鋳型面に接触し冷却凝固する
ものと考察されている。溶湯表面を覆う酸化皮膜もまた
溶湯の周期的な接触、離間に伴って膜が途切れる現象が
周期的に生じる。従って、板状のスラブ表面及び圧延板
表面は、酸化皮膜の厚い面と薄い面が周期的に生じ、こ
のような表面状態が、図2に示すように所謂リップルマ
ーク10と呼ばれる一種の模様として観察される。この
ような結果、溶湯が鋳型面に接触して冷却凝固するとき
は溶湯の冷却速度が速くなり、鋳型面より離れたときは
溶湯の冷却速度が遅くなって、溶湯の冷却速度が周期的
に変化する。このリップルマークを有する板状の薄いス
ラブ表面及びこのスラブを圧延して得られた圧延板表面
は、冷却速度が周期的に異なるため組織的には金属間化
合物の分布、サイズ等が周期的に変化する。また、厚さ
方向に関してこの金属間化合物の周期的変化の認められ
るのは、鋳造条件によって多少の差異はあるが、表面よ
り深さ方向で150μm程度であり、それより深くなる
とその差異は認め難くなる。
造法により得られた板が、このように鋳造方向に金属間
化合物の分布、サイズ等が周期的に変化することを利用
して、圧延板に陽極酸化処理を施してピンク乃至赤紫色
の色調の縞模様を有するアルミニウム合金板を製造する
方法が記載されている。このようにして製造されたアル
ミニウム合金板表面には、鋳造又は圧延方向に直角な方
向に縞模様乃至絣模様を生じるのであって、場合によっ
ては装飾効果を活かすことができるが、前記したよう
に、一般に建築用外装パネル、日用品、厨房用品、印刷
版、装飾用部品等に用いられるアルミニウム合金素板に
おいては、表面外観の均一性を求められるものであるか
ら、このような特性を有するアルミニウム合金素板は適
さない。また、上述のように金属間化合物の分布、サイ
ズ等の周期的変化が認められるのは、厚さ方向で150
μm程度であるから、半連続鋳造の場合のようにスラブ
両面から面削除去すればその影響は避けられるが、本来
25mm程度の薄いスラブを鋳造するものであるから、
材料ロスが大きくなり、また、新たな工程が必要となる
等、連続鋳造法の利点が損なわれる。このため、コスト
の低い連続鋳造された薄スラブの圧延板であって、エッ
チングや陽極酸化処理等の表面処理を施しても、これら
縞模様乃至絣模様を生じない、表面外観の均一性の要求
に応える一般的な用途のためのアルミニウム合金素板が
求められていた。
問題を解消すべく案出されたものであり、連続鋳造圧延
法によって製造され、リップルマークを生じるアルミニ
ウム合金素板において、エッチングや陽極酸化処理等の
表面処理の際発生する縞模様乃至絣模様を解消し、表面
外観を均一とすることを目的とする。
成するため、連続鋳造された薄スラブの圧延板であっ
て、Fe:0.1〜0.8重量%、残部結晶微細化元素
と不可避的不純物を含むAlからなり、該不可避的不純
物中のSi含有量を0.8重量%以下とし、オイルピッ
ト面積が5%以下であることを特徴とする表面処理用ア
ルミニウム合金素板である。更に、連続鋳造された薄ス
ラブの圧延板であって、Fe:0.1〜0.8重量%、
残部結晶微細化元素と不可避的不純物とを含むAlから
なり、該不可避的不純物中のSi含有量を0.8重量%
以下とし、板表面が固着表面を呈していることを特徴と
する表面処理用アルミニウム合金素板である。また、こ
のため、Fe:0.1〜0.8重量%、残部結晶微細化
元素と不可避的不純物を含むAlからなり、該不可避的
不純物中のSi含有量を0.8重量%以下としたアルミ
ニウム合金溶湯より連続鋳造して薄スラブとし、該スラ
ブを圧延して薄板を製造する際に、最終の冷間圧延にお
ける最終パスの圧下率を60%以上とすることを特徴と
する表面処理用アルミニウム合金素板の製造方法であ
る。
く観察されるが、本発明者らはエッチング後のこの現象
は色彩の艶消し部と金属光沢部の違いが目視的にこのよ
うな模様として捕らえられるものと考察し、更にこの艶
消し部と金属光沢部の差異を検討した結果、この差異は
圧延油を使用する圧延工程で板表面に発生する微細凹状
を呈する通称オイルピットと呼ばれるピットの発生量の
違いに起因するものであることが判明した。このオイル
ピットは、図3、4に示すように圧延面にランダムに存
在し、凹部として観察され、その大きさは100μm程
度のものである。エッチングはこのオイルピットを起点
として進行し、ピット面積の差がエッチングの程度の差
即ち光沢差として現れ、その結果、模様として観察され
るものと考察される。このオイルピットの発生量の相違
は、上述したリップルマークを有する板の金属間化合物
の分布、サイズ等の差異に起因するという知見を得た
が、更にリップルマークを有する板を圧延する際に、こ
のオイルピットの発生を可及的に少量とした板は、エッ
チング後に艶消し部と金属光沢部の違いが目視的に観察
されず、従って、陽極酸化処理を施しても、縞模様が発
生せず、均一な表面を有する板が得られるという知見を
得て本発明を完成したものである。前記請求項1記載の
連続鋳造し圧延して得られる表面処理前の圧延板であっ
て、圧延板表面に存在するオイルピットを板面積の5%
以下とすることにより、上述の効果が得られる。
行した結果、圧延板表面を最終冷間圧延における圧延ロ
ールと冷間圧延板の滑りによって生ずると思われる固着
表面とした場合は、ロールのバイト面の転写がなく、し
かもオイルピットが実質的に存在しないことを見出し、
従って陽極酸化処理を施しても縞模様が発生せず、均一
な表面を有する美麗な板が得られるという知見を得て請
求項2記載の発明を完成したものである。即ち、第1の
発明と同一組成の薄スラブを連続鋳造し圧延して得られ
る表面処理前の圧延板であって、圧延板表面が固着表面
(微細なロール滑り面)を呈している素板である。請求
項3記載の製造方法によれば、連続鋳造して得られた薄
スラブを圧延して薄板を製造する際に、最終の冷間圧延
における最終パスの圧下率を60%以上とすることによ
り圧延板表面に前記のオイルピットを板表面の5%以下
とすることができ、またより圧下率を高くすることによ
り前記の固着表面を形成してオイルピットの発生を防止
するものである。
する。本発明の合金組成は、その用途からして成形性の
良好であること、並びにアルカリ又は酸若しくは陽極酸
化処理性の良好であることから定められたものである。 Fe:0.1〜0.8重量% Feは機械的強度を付与し、しかもその含有量に多少の
変動があってもアルカリ又は酸若しくは陽極酸化処理等
の表面処理性を大きく変えず、安定した表面処理を施せ
る元素であって、その含有量が下限値未満であるとその
効果が不足し、また、その上限値を超えるとAl−Fe
系、及びAl−Fe−Si系の粗大な化合物が形成され
易く、化学的性質の局所的不均一性が強調され、表面処
理時の均一性が損なわれる。また、Feの含有は、再結
晶粒微細化効果を持つ。
して鋳造割れの発生を防止するために添加するものであ
って、例えば、Tiは0.01〜0.04重量%の範囲
で、Bは0.0001〜0.02重量%の範囲で添加す
る。
素である。その含有量が0.8重量%を超えるとFeの
再結晶粒微細化効果を阻害して好ましくない。好ましく
は、Si<Feに調整することが望ましい。なお、Si
が含有されると強度が高くなり、また、Feの固溶量を
減らし、Feと共にAl−Fe−Si系の金属間化合物
を析出するため、微細な結晶粒を得易くする。不可避的
不純物として含有される元素は、前述のSiのほかに、
例えば主としてCu、Mg、Mn、Cr、Zn、V、B
e、Ga、Ni、Zr等がある。これらの元素の含有は
特に本発明の効果を著しく妨げるものではないが、好ま
しくは、Cuで0.2重量%程度以下、Mgで0.2重
量%程度以下、Mnで0.2重量%程度以下、Crで
0.2重量%以下、Znで0.5重量%程度以下、Vで
0.2重量%程度以下、Beで0.2重量%程度以下、
Gaで0.1重量%程度以下、Niで0.1重量%程度
以下、Zrで0.2重量%程度以下に留めると、耐食性
又は表面処理性を阻害しないので好ましい。また、これ
らの不可避的不純物は、含有するとその含有量に応じて
その元素特有の特性を発揮する。例えばCu、Znは光
輝性、強度及び耐食性、Mgは耐食性、Mn、Cr及び
Vは強度、Beは500ppm程度で鋳造安定性、Ni
は強度及び加工硬化、Zrは耐熱性及びTi、Bと共に
鋳造組織微細化にそれぞれ寄与する。好ましい値はいず
れの元素も0.05重量%程度以下が望ましい。
オイルピットは、図3、4に示すように圧延面にランダ
ムに存在し、凹部として観察される。連続鋳造された薄
スラブの冷間圧延に際しては、ロールと板の固着力を小
さくし、かつロールの噛込み率を大きくするために粘度
の適当な1.5〜4.5cst程度の圧延油が使用され、
1パスあたりの圧下率は10〜55%で圧延されている
が、このピットは冷間圧延時に使用される圧延油が板と
ロールの間に挟まれて圧延され、微細に分散した圧延油
の圧痕と思われる。このオイルピットの発生状態は、上
述したリップルマークを有する板状の薄いスラブ表面及
びこのスラブを圧延して得られた圧延板の金属間化合物
の分布、サイズ等の周期的変化に同調し、溶湯が直接鋳
造圧延に用いられる上述の鋳型壁に接触したことによる
金属間化合物サイズの小さくかつ分布の少ない箇所はピ
ットの発生量は少なく、鋳型壁から離れたことによる金
属間化合物サイズの大きくかつ分布の多い箇所はピット
の発生量は多い。図3、4は、それぞれこれらのピット
発生量の多い箇所及び少ない箇所を倍率×50で拡大し
て示したもので、これらが鋳造方向に沿って周期的に分
布することとなる。このようにして発生したピット及び
その周辺は、ピットの発生していない箇所と比べれば歪
み等が不均一で、エッチング等表面処理したときに優先
的にエッチングされるものと考えられる。従って、ピッ
ト総面積の大きい図3の箇所は、ピット総面積の小さい
図4の箇所よりもエッチングされ易く、その結果ピット
総面積の大きい図3は艶消し部として観察され、それよ
りもピット総面積の小さい図4は金属光沢を示すものと
考えられる。このオイルピットの総面積が5%以下であ
れば、エッチング後に模様として観察されない。
は、薄スラブを連続鋳造してエッチングして得られる圧
延板であって、この圧延板の表面は、鱗片状の固着表面
を有する。この固着表面は圧延ロールの微細な滑り痕と
して観察されるもので、このような圧延板表面には、圧
延ロールバイト面の転写もなく、オイルピットが実質的
に零又は可及的少量であることから、エッチング後に模
様として観察されず、美麗な板が得られる。次に本発明
にかかる圧延板の製造方法について説明する。所定の合
金組成となるように溶解し、徐滓処理等を施して溶製し
たアルミニウム合金溶湯から、ハンター法、3C法、ハ
ザレー法、キャスターII法等の連続鋳造法で薄スラブを
鋳造する。この薄スラブはリップルマークを有するもの
であることは前述したとおりであって、この薄スラブを
爾後連続的に圧延して薄板とする。この圧延は移動壁な
いし回転壁を持つ鋳型から出てきた薄スラブを連続的に
圧延して薄板としても良く、また薄スラブが巻き取れる
程度の厚さであるならば、巻き取った後、別途圧延して
薄板としてもよい。この薄スラブの厚さは25mm以下
として鋳造する。25mmを超えるとその後の圧延工程
の負担が大きくなる。
で、必要に応じて圧延前に加熱処理が施される。この冷
間圧延は、通常使用されている動粘度1.5〜4.5c
st程度の圧延油を使用して、ロール表面粗度(Ra)
が0.20〜0.50μmのロールで、圧延速度は毎分
200〜600m程度で圧延する。また、圧延板のロー
ル噛込み角度は±20度以内、フロントテンション、バ
ックテンションは変形抵抗の20%以内である。これら
の圧延条件は、本発明において特に限定するものではな
い。冷間圧延の途中又は最終に施す熱処理は、必要に応
じてバッチ式と連続熱処理とのいずれを用いても良い。
バッチ式熱処理について具体的には、例えば200〜6
00℃に加熱し、1〜24時間保持する。200℃未満
では熱処理効果が低く、600℃を超える温度では再結
晶粒の粗大化が起こり、表面処理にむらが生じて好まし
くない。保持期間が1時間未満では、熱処理の効果が低
く、24時間を超える場合は、すでに熱処理の効果が飽
和しており、経済的に不利である。
続焼鈍装置を用いて1℃/sec.以上の昇温速度で440
〜600℃の温度に加熱し、所定の温度に達したら直ち
に又は所定温度で30分程度以下の保持をした後速やか
に冷却する。このようにして圧延して得られた薄板は、
最終的には冷間圧延され所望の厚さの圧延板とされる
が、この最終冷間圧延は、平面性、平坦度のために通常
数回に分けて圧延する。本発明はこの数回に分けて圧延
する最終パスの圧下率を60%以上、好ましくは65%
以上とすることによって、オイルピット面積が板面積の
5%以下となってエッチング後に、色彩の艶消し部と金
属光沢部の違いが目視的に観察されず、その結果アルカ
リ、酸によるエッチング、陽極酸化処理等の表面処理を
施したときに、模様として現れず表面外観が均一にな
る。
上、好ましくは65%以上とすると、圧延板の圧延速度
が圧延ロールの周速より数倍速くなって、圧延ロール面
を滑りながら板表面が固着表面として観察される鱗片状
の滑り痕を残しながら圧延される結果、圧延ロールと圧
延板の間に挟み込まれた圧延油は均一微細に分散され、
それによる圧痕も使用した測定方法では検出されない程
度に微細に分散されて圧延されるものと考えられる。ま
た、冷間圧延の最終パスの圧下率を70%以上、好まし
くは75%以上とすると、上述の微細なロール滑り面か
らなる固着表面が圧延板表面を覆い、圧延板のロールバ
イト目が転写されない結果、圧延ロールと圧延板の間に
挟み込まれた圧延油は均一微細に分散され、圧痕も使用
した測定方法では検出されない程度に微細に分散して圧
延されると共に美麗な板となるものと考えられる(図
1)。なお、本発明におけるオイルピットの測定は画像
処理解析装置を用いてピットの総表面積を測定したもの
で、検出可能なピットの最小径は5μmである。5μm
未満のものは、エッチング処理の際、エッチング起点に
なるもののエッチング後の大きさが小さく、艶消し部、
光沢部の差として現れず目視的に影響しない。
1000mmのハンター連続鋳造圧延機を用い、685
〜690℃の溶湯をロール出側の圧延速度1200mm
/分で鋳造圧延して、板厚5.5mmのアルミニウム合
金板を得た。A、B、Cの合金板は、圧延後の表面観
察、及び10%NaOH(60℃)で2分間エッチング
処理した後の外観のいずれもリップルマークが観察され
た。
冷間圧延パススケジュールに従いアルミニウム合金薄板
を得た。特に、冷間圧延の最終パスについては、圧延板
噛込み角度を−5度、フロントテンション・バックテン
ションを変形抵抗の30%、圧延スピードを300m/
分、圧延油動粘度を4.0cst、圧延ロール表面粗度
(Ra)を0.25μmとした。
験番号1〜3及び比較例試験番号4の各合金素板につい
て、オイルピット面積率を測定し、素板の模様、アルカ
リエッチング後の模様、陽極酸化皮膜処理後の模様の評
価をそれぞれ以下の条件で行った。なお、模様はいずれ
の場合も、金属光沢と艶消し状態を目視的に観察したも
のである。その結果を表3に示す。 (1)オイルピット面積率の測定 各合金素板表面を光学顕微鏡で観察し、(株)ニレコ社
製画像処理解析装置(ルーゼックスF)を用いて、1×
1mm2 におけるオイルピットの面積率を10ケ所測定
した。 (2)素板の模様 各合金板の表面の模様を目視で観察し、模様が全く見ら
れなかったものを評価○、ほとんど模様が見られなかっ
たものを評価○△、模様が顕著なものを評価×とした。
漬してエッチングを行い、室温の30%HNO3 溶液中
に30秒間浸漬して中和処理した後に、表面の模様を目
視で観察し、模様が全く見られなかったものを評価○、
ほとんど模様が見られなかったものを評価○△、少々模
様が見られたものを評価△、模様が顕著なものを評価×
とした。 (4)陽極酸化皮膜処理後の模様 各合金素板を60℃の10%NaOH溶液中に1分間浸
漬してエッチングを行い、室温の30%HNO3 溶液中
に30秒間浸漬して中和処理した後に、室温の15%H
2 SO4 溶液中で電流密度1A/dm2 で4分間電解処
理して約1μmの皮膜を形成し、表面の模様を目視で観
察し、模様が全く見られなかったものを評価○、ほとん
ど模様が見られなかったものを評価○△、少々模様が見
られたものを評価△、模様が顕著なものを評価×とし
た。
の試験番号1〜3は、オイルピットの面積率がいずれも
5%以下であり、素板の模様、アルカリエッチング後の
模様、陽極酸化皮膜処理後の模様共に、評価○〜○△レ
ベルで模様が全く見られないかほとんど見られなかっ
た。これに対し、比較例試験番号4は、オイルピットの
面積率が本発明で特定した5%を超えており、素板の模
様、アルカリエッチング後の模様、陽極酸化皮膜処理後
の模様共に、評価△〜×レベルで模様が見られた。
のアルミニウム合金板を、表4に示す冷間圧延パススケ
ジュールに従い、アルミニウム合金薄板を得た。冷間圧
延の最終パスの前に磁気誘導加熱炉によって500℃の
温度で中間焼鈍を行った。焼鈍後の冷間圧延パスについ
ては、圧延板噛込み角度を−5度、フロントテンション
・バックテンションを変形抵抗の30%、圧延スピード
を400m/分、圧延油動粘度を3.5cst、圧延ロ
ール表面粗度(Ra)を0.23μmとした。
験番号5及び比較例試験番号6の各合金素板について、
オイルピット面積率を測定し、素板の模様、アルカリエ
ッチング後の模様、陽極酸化皮膜処理後の模様の評価を
行った。その結果を表5に示す。なお、測定及び評価条
件は実施例1と同様である。
験番号5は、オイルピットの面積率が5%以下であり、
素板の模様、アルカリエッチング後の模様、陽極酸化皮
膜処理後の模様共に、評価○〜○△レベルで模様が全く
見られないかほとんど見られなかった。これに対し、比
較例試験番号6は、オイルピットの面積率が本発明で特
定した5%を超えており、素板の模様、アルカリエッチ
ング後の模様、陽極酸化皮膜処理後の模様共に、評価×
レベルで模様が見られた。
のアルミニウム合金板を表6に示す冷間圧延パススケジ
ュールに従い、アルミニウム合金薄板を得た。冷間圧延
の最終パスの前に磁気誘導加熱炉によって500℃の温
度で中間焼鈍を行った。焼鈍後の冷間圧延パスについて
は、圧延板噛込み角度を−5度、フロントテンション・
バックテンションを変形抵抗の35%、圧延スピードを
200m/分、圧延油動粘度を3.5cst、圧延ロー
ル表面粗度(Ra)を0.30μmとした。
験番号7の合金素板について、オイルピット総面積率を
測定し、素板の模様、アルカリエッチング後の模様、陽
極酸化皮膜処理後の模様の評価を行った。その結果を表
7に示す。なお、測定及び評価条件は実施例1と同様で
ある。
験番号7は、オイルピットがなく、また、ロールバイト
が存在せず、固着表面を呈していた。この結果、素板の
模様、アルカリエッチング後の模様、陽極酸化皮膜処理
後の模様共に、評価○レベルで模様が全く見られなかっ
た。
ットが少ないアルミニウム合金素板は、アルカリ、酸に
よるエッチング、陽極酸化処理等の表面処理を施したと
きに艶消し部と金属光沢部の違いが目視的に観察され
ず、縞模様等の発生しない均一な表面を有するから、表
面外観の均一性が要求される製品、例えば建築用の内外
装パネル、日用品、厨房用品、印刷板、装飾部品等に用
いるのに適し、しかも連続鋳造法による低コストの利点
を維持する。また、本発明の微細なロール滑り面からな
る固着表面を有する圧延板は、オイルピットが実質的に
存在しないから、上記した効果が確実に得られる。更
に、その製造方法は、リップルマークの生じる連続鋳造
された薄スラブの圧延板に対して、簡単な方法で、上記
の表面外観の均一性が要求される製品、例えば建築用の
内外装パネル、日用品、厨房用品、印刷版、装飾部品等
に用いるのに適したアルミニウム合金素板を低いコスト
で得ることができる。
(×50)
ク)
(×50)
(×50)
Claims (3)
- 【請求項1】 連続鋳造された薄スラブの圧延板であっ
て、Fe:0.1〜0.8重量%、残部結晶粒微細化元
素と不可避的不純物を含むAlからなり、該不可避的不
純物中のSi含有量を0.8重量%以下とし、オイルピ
ット面積が5%以下であることを特徴とする表面処理用
アルミニウム合金素板。 - 【請求項2】 連続鋳造された薄スラブの圧延板であっ
て、Fe:0.1〜0.8重量%、残部結晶粒微細化元
素と不可避的不純物を含むAlからなり、該不可避的不
純物中のSi含有量を0.8重量%以下とし、板表面が
固着表面を呈していることを特徴とする表面処理用アル
ミニウム合金素板。 - 【請求項3】 Fe:0.1〜0.8重量%、残部結晶
粒微細化元素と不可避的不純物を含むAlからなり、該
不可避的不純物中のSi含有量を0.8重量%以下とし
たアルミニウム合金溶湯より連続鋳造して薄スラブと
し、該スラブを圧延して薄板を製造する際に、最終の冷
間圧延における最終パスの圧下率を60%以上とするこ
とを特徴とする表面処理用アルミニウム合金素板の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11225197A JP3642915B2 (ja) | 1997-04-30 | 1997-04-30 | 表面処理外観に優れたアルミニウム合金素板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11225197A JP3642915B2 (ja) | 1997-04-30 | 1997-04-30 | 表面処理外観に優れたアルミニウム合金素板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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