JP4181597B2 - 印刷版用高強度アルミニウム合金板 - Google Patents

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Description

本発明は、印刷、特に平版印刷の支持体として使用される印刷版用高強度アルミニウム合金板に関するものである。
一般に、オフセット印刷の支持体としては、アルミニウム又はアルミニウム合金板が使用されており、印刷版への感光膜の密着性および非画像部の保水性を高めるために、合金板表面に粗面化処理が行われている。この粗面化処理方法として、ボール研磨法若しくはブラシ研磨法等の機械的処理方法、塩酸若しくはこれを主体とする電解液若しくは硝酸を主体とする電解液を使用して合金板表面を電気化学的に粗面化する電解粗面化処理方法、又はこれらの機械的処理方法と電解粗面化処理方法とを組み合わせた処理方法がある。なお、電解粗面化により得られた粗面板は高い製版適正および印刷性能を示し、コイル材での連続処理に適している。
このような電解粗面化処理に適したアルミニウム合金板として、特許文献1には、Fe、Si、Cu、Ti、BおよびMnを所定量添加したものが記載されている。この特許文献1のアルミニウム合金板においては、これらの元素を所定量添加することによって、電解粗面化面の均一性を向上させていた。
特許第3295276号公報(請求項1、段落0009、0010)
しかしながら、従来のアルミニウム合金板においては、製造過程において、合金板の表面にはAl−Fe−Si系、Al−Fe系、Al−Fe−Mn系等の金属間化合物が存在する。そして、この金属間化合物は、電解粗面化処理において、初期ピットの形成に影響し、この初期ピットの形成が不足すると、電解粗面化面の均一性が低下しやすい。また、最大長さの大きい金属間化合物が存在すると、電解粗面化面の均一性が低下しやすい。そして、従来のアルミニウム合金板においては、合金板表面に存在する金属間化合物が制御されていないため、電解粗面化面の均一性において満足できるレベルではないという問題があった。
また、従来のアルミニウム合金板を支持体として使用した印刷版では、使用頻度の多い特定の品種においては、印刷版を印刷ロール(印刷機)に装着する際、印刷版の端部の折り曲げ固定部において、アルミニウム合金板自体にクラックが生じやすい。そして、このクラックを起点として、印刷版の版切れ、すなわち、印刷版が所謂くわえ切れを起こす可能性があるという問題があった。そのため、より強度に優れた印刷版用アルミニウム合金板の開発が望まれていた。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、電解粗面化面の均一性に優れると共に、強度に優れた印刷版用高強度アルミニウム合金板を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は、 Si:0.03質量%以上0.15質量%以下、Fe:0.25質量%以上0.50質量%以下、Cu:0.001質量%以上0.050質量%以下、Mg:0.05質量%以上0.50質量%以下、Mn:0.01質量%以上0.10質量%以下およびNi:0.005質量%以上0.20質量%以下を含有し、残部がAlと不可避的不純物からなる印刷版用高強度アルミニウム合金板であって、前記アルミニウム合金板を、2質量%塩酸中で、電流密度120A/dm2、周波数50Hz、温度25℃の電解条件で電解粗面化処理した後の表面の算術平均粗さRaが、0.3μm以上0.7μm以下である印刷版用高強度アルミニウム合金板として構成したものである。
このように構成すれば、アルミニウム合金板が所定量のSi、Fe、Cu、Mg、MnおよびNiを含有することによって、アルミニウム合金板の表面を電解粗面化処理した際、初期ピットの形成が促進される。また、電解粗面化面を不均一にする最大長さの大きい金属間化合物の個数密度も少なくなる。さらに、Fe、Cu、Mg、Mnの作用により、アルミニウム合金板の強度が向上する。そして、アルミニウム合金板の電解粗面化処理後における表面の算術平均粗さRaが所定範囲に限定されていることにより、このアルミニウム合金板を支持体として使用した印刷版は、その電解粗面化面が印刷版として適正な表面性となる。
本発明に係る印刷版用高強度アルミニウム合金板によれば、電解粗面化面の均一性が優れたものとなる。また、アルミニウム合金板の強度が優れたものとなり、引張強度、曲げ疲労強度が向上し、印刷版がくわえ切れを起こすことを防止できる。
まず、本発明に係る印刷版用高強度アルミニウム合金板(以下、アルミニウム合金板と称す)について説明する。
(1)アルミニウム合金板
本発明に係るアルミニウム合金板は、所定量のSi、Fe、Cu、Mg、MnおよびNiを含有し、残部がAlと不可避的不純物からなる。以下に、各化学成分の数値範囲の限定理由について説明する。
(Si:0.03質量%以上0.15質量%以下)
Siは、アルミニウム合金板の表面にAl−Fe−Si系金属間化合物を析出させ、電解粗面化処理の際、アルミニウム合金板表面の初期ピットの形成を促進させる。その結果、アルミニウム合金板の電解粗面化面(以下、粗面と称す)の均一性を向上させる。Si含有量が0.03質量%未満では、アルミニウム合金板表面での金属間化合物の個数密度が少ないため、初期ピットの形成が不足し、粗面の均一性が劣る。また、Si含有量が0.15質量%を超えると、アルミニウム合金板表面での金属間化合物の個数密度が多くなりすぎて、粗面の均一性が劣る。
(Fe:0.25質量%以上0.50質量%以下)
Feは、アルミニウム合金板の強度向上のために重要な元素である。また、Feは、アルミニウム合金板の表面にAl−Fe−Si系、Al−Fe−Mn系、Al−Fe−Ni系金属間化合物を析出させ、電解粗面化処理の際、アルミニウム合金板表面の初期ピットの形成を促進させる。その結果、アルミニウム合金板の粗面の均一性を向上させる。Fe含有量が0.25質量%未満では、アルミニウム合金板の強度が低くなり、引張強さ、曲げ疲労強度が低下し、印刷版の支持体として使用した際にくわえ切れが発生する。さらに、アルミニウム合金板表面での金属間化合物の個数密度が少ないため、初期ピットの形成が不足し、粗面の均一性が劣る。また、Fe含有量が0.50質量%を超えると、アルミニウム合金板表面での金属間化合物の個数密度が多くなりすぎ、また、アルミニウム合金板表面に粗大な金属間化合物が形成されて、粗面の均一性が劣る。
(Cu:0.001質量%以上0.050質量%以下)
Cuは、アルミニウムに固溶状態で存在し、アルミマトリックスの強度を向上させると共に、アルミマトリックスと金属間化合物の電位を調整する作用を有する。Cu含有量が0.001質量%未満では、アルミニウム合金板の強度が低くなり、引張強さ、曲げ疲労強度が低下し、印刷版の支持体として使用した際にくわえ切れが発生する。さらに、アルミニウム合金板の電解粗面化の際に、初期ピットの形成が不足し、粗面の均一性が劣る。また、Cu含有量が0.050質量%を超えると、粗大なピットが多くなり、粗面の均一性が劣る。
(Mg:0.05質量%以上0.50質量%以下)
Mgは、アルミニウムに固溶状態で存在し、アルミマトリックスの強度を向上させる重要な元素である。Mg含有量が0.05質量%未満では、アルミニウム合金板の強度が低くなり、引張強さ、曲げ疲労強度が低下し、印刷版の支持体として使用した際にくわえ切れが発生する。また、Mg含有量が0.50質量%を超えると、粗大なピットが多くなり、粗面の均一性が劣る。さらに、アルミニウム合金板表面に粗大な金属間化合物が形成されて、粗面の均一性が劣る。
(Mn:0.01質量%以上0.10質量%以下)
Mnは、アルミニウム合金板の強度向上のために重要な元素である。また、Mnは、アルミニウム合金板の表面にAl−Fe−Mn系金属間化合物を析出させ、電解粗面化処理の際、アルミニウム合金板表面の初期ピットの形成を促進させる。その結果、アルミニウム合金板の粗面の均一性を向上させる。Al−Fe−Mn系金属間化合物は、アルミニウム合金板の製造過程において、鋳塊製造時に形成されるいわゆる晶出物に加えて、均質化熱処理時にいわゆる析出物の形態で多く形成される。Mn含有量が0.01質量%未満では、アルミニウム合金板の強度が低くなり、引張強さ、曲げ疲労強度が低下し、印刷版の支持体として使用した際にくわえ切れが発生する。さらに、アルミニウム合金板表面での金属間化合物の析出量が少なく、また、金属間化合物の個数密度が少ないため、初期ピットの形成が不足し、粗面の均一性が劣る。また、Mn含有量が、0.10質量%を超えると、アルミニウム合金板表面に粗大な金属間化合物が形成されやすく、また、粗大なピットが多くなり、粗面の均一性が劣る。
また、Mn含有量は、好ましくは、0.07質量%以下、さらに好ましくは、0.06質量%未満である。
Mn含有量を0.07質量%以下とすることで、金属間化合物の析出量や個数密度がより適度となり、また、粗大なピットの形成がより抑制され、より粗面の均一性が向上し、さらに0.06質量%未満とすることで、さらに粗面の均一性が向上する。その結果、アルミニウム合金板の強度を向上させると共に、アルミニウム合金板の表面性をより良好にすることができる。また、Mn含有量を0.07質量%以下、さらには0.06質量%未満とすることで、0.07質量%を超えて(0.06質量%以上)含有させる場合に比べ、経済性の向上を図ることができる。
(Ni:0.005質量%以上0.20質量%以下)
Niは、材料の化学溶解性を向上させ、電解粗面化時のエッチング性を向上させる元素である。Niは、アルミニウム合金板の表面にAl−Fe−Ni系金属間化合物を形成させ、この化合物はAl−Fe系の化合物より更に電位が貴であるため、電解粗面化処理の際、アルミニウム合金板表面の初期ピットの形成を促進させ、短時間で均一かつ微細な粗面を得ることが可能となる。Ni含有量が0.005質量%未満では、アルミニウム合金板表面での金属間化合物の個数密度が少ないため、初期ピットの形成が不足すると共に、ピットの微細化が不十分であり、粗面の均一性が劣る。また、Ni含有量が0.20質量%を超えると、化学溶解性が過剰となり、無通電の浸漬状態におけるピット形成を促進するため、粗面の均一性が劣る。
本発明においては、アルミニウム合金板にNiを添加することで、アルミニウム合金板の表面性をより良好にすることができる。
(不可避的不純物)
不可避的不純物は、通常市販されているアルミニウム地金に含まれる不可避的不純物であれば、本発明の目的を損なうものではない。
また、アルミニウム合金板は、2質量%塩酸中で、電流密度120A/dm2、周波数50Hz、温度25℃の電解条件で電解粗面化処理した後の表面の算術平均粗さRaが、0.3μm以上0.7μm以下である。以下に、この特性の数値範囲の限定理由について説明する。
(算術平均粗さRa:0.3μm以上0.7μm以下)
算術平均粗さRaが0.3μm未満であると、印刷版の感光膜の密着性が低下すると共に、印刷版の非画像部の表面の保水量が少なくなり、インク不要部のインクはじき性が劣化して、印刷品質が低下する。算術平均粗さRaが0.7μmを超えると、印刷版における網点面積の面内バラツキが生じやすい、印刷品質が確保される限界の印刷枚数、いわゆる耐刷性が低下する等の問題が生じやすい。
なお、本発明でいう算術平均粗さRaとは、JIS B0601−1994により定義されるものである。
また、算術平均粗さRaは、化学成分(Si、Fe、Cu、Mg、MnおよびNi)の含有量を前記の所定範囲に限定し、以下に説明する製造方法によりアルミニウム合金板を製造することで、0.3μm以上0.7μm以下に制御することができる。
次に、アルミニウム合金板の製造方法の一例について説明する。
(2)アルミニウム合金板の製造方法
本発明に係るアルミニウム合金板の製造方法は、例えば、鋳塊を作製する第1工程と、鋳塊を均質化熱処理する第2工程と、均質化熱処理された鋳塊からアルミニウム合金板を作製する第3工程とを含むことで構成される。しかし、アルミニウム合金板の製造方法はこれに限定されるものではなく、適宜、必要に応じて変更してもよい。
以下、各工程について説明する。
(第1工程)
化学成分(Si、Fe、Cu、Mg、MnおよびNi)の含有量を所定範囲に限定したアルミニウム合金を溶解、鋳造して鋳塊を作製する。溶解、鋳造方法としては従来公知の方法を使用する。
(第2工程)
前記第1工程で作製された鋳塊を、所定温度で均質化熱処理する。これによって、アルミニウム合金板の表面に存在する金属間化合物の個数密度を所定範囲にすることが可能となる。なお、均質化熱処理方法については、従来公知の方法を使用する。
均質化熱処理温度は、380℃以上600℃以下であることが好ましい。
均質化熱処理温度が380℃未満であると、均質化熱処理が不十分であることに加えて、金属間化合物の析出量が少なく、アルミニウム合金板の表面に存在する金属間化合物の大きさが小さくなるため、粗面化処理において初期ピットの形成が促進されず、粗面化不足となってRaが小さくなるとともに、粗面の均一性が劣りやすい。そして、均質化熱処理温度が600℃を超えると、金属間化合物が固溶し、アルミニウム合金板の表面に存在する金属間化合物の個数密度が少なくなるため、ピットひとつひとつのサイズが大きくなりRaが大きくなるとともに、粗面の均一性が劣りやすい。
(第3工程)
前記第2工程で均質化熱処理された鋳塊を、所定温度の圧延開始温度で熱間圧延し、さらに冷間圧延してアルミニウム合金板を作製する。これによって、アルミニウム合金板の表面に存在する金属間化合物の個数密度を所定範囲にすることが可能となる。なお、熱間圧延、冷間圧延方法については、従来公知の方法を使用する。ここで、冷間圧延率は60〜95%が好ましい。また、必要に応じて、熱間圧延、冷間圧延を複数回繰り返し行い、熱間圧延と冷間圧延との間に荒焼鈍を行なってもよい。
熱間圧延開始温度は、370℃以上530℃未満であることが好ましい。
熱間圧延開始温度が370℃未満であると、圧延板中の動的再結晶が不十分であり、圧延板の結晶組織が不均一となり、粗面の均一性が劣りやすい。また、それに加えて、アルミニウム合金板の表面に存在する金属間化合物の個数密度が不足するため、初期ピットの形成が促進されず、粗面の均一性が劣りやすい。そして、熱間圧延開始温度が530℃以上であると、熱間圧延の各パス間において結晶粒が過剰に成長してしまい、粗面の均一性が劣りやすい。また、それに加えて、金属間化合物が固溶し、アルミニウム合金板の表面に存在する金属間化合物の個数密度が少なくなるため、初期ピットの形成が促進されず、粗面の均一性が劣りやすい。
また、本発明に係るアルミニウム合金板は、前記アルミニウム合金板の表面を電気化学的に粗面化処理(電解粗面化処理)した後における表面の算術平均粗さRaが0.3μm以上0.7μm以下であることを特徴とする。以下に、電解粗面化処理について説明する。
(3)電解粗面化処理
電解粗面化処理方法は、アルミニウム合金板を、2質量%塩酸中で、電流密度120A/dm2、周波数50Hz、温度25℃の電解条件で、10秒間の電解処理する方法により行う。この条件で電解粗面化処理を行うことにより、このアルミニウム合金板を支持体として使用した印刷版は、印刷版への感光膜の密着性および非画像部の保水性が高まる等、その電解粗面化面が印刷版として適正な表面性となる。
なお、電解粗面化処理の条件は、電解粗面化面が印刷版として適正な表面性となる条件で行えばよく、適宜、必要に応じて変更を加えてもよい。
例えば、電解液としては、塩酸の代わりに、硝酸、硫酸、クエン酸、酒石酸等の水溶液を用いてもよく、必要により各種有機酸を加えることもできる。なお、交流電源としては、従来公知のものが使用されるが、正弦波の単相および三相交流等が好ましい。また、ボール研磨法若しくはブラシ研磨法等の機械的粗面化法と組み合わせて行ってもよい。
前記電解粗面化処理に先立ち、アルミニウム合金板に周知の前処理を行い、圧延油の除去と表面の洗浄等を行うことが好ましい。その前処理方法は、溶剤、界面活性剤および水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ水溶液にアルミニム合金板を浸漬する方法等が挙げられる。ここで、アルカリ水溶液で前処理(脱脂処理)した場合には、これにより発生するスマットを硝酸、硫酸等に浸漬することにより、除去することが好ましい。
さらに、前記電解粗面化処理の後に化学的な処理を行い、電解粗面化処理で形成され表面に残存しているスマット等を取り除くことが好ましい。この化学的処理の方法としては、アルミニウムを溶解する酸、またはアルカリ水溶液に浸漬する方法等が挙げられる。ここで、アルカリ水溶液で処理した場合には、これにより発生するスマットを硝酸・硫酸等に浸漬することにより、除去することが好ましい。
本発明に係るアルミニウム合金板の実施例(実施例1〜8)について、その比較例(比較例1〜14)と比較して具体的に説明する。
<実施例1〜8、比較例1〜12>
表1に示す組成を有するアルミニウム合金を溶解、鋳造して鋳塊を作製し、面削して470mm厚さとした。この鋳塊を480℃×4hで均質化熱処理し、圧延開始温度420℃で熱間圧延して厚さ3mmの圧延板を作製した。この圧延板を冷間圧延して厚さ0.3mmのアルミニウム合金板を作製した。
<比較例13、14>
表1に示す組成を有するアルミニウム合金を溶解、鋳造して鋳塊を作製し、面削して470mm厚さとした。この鋳塊を350℃×4h(比較例13)あるいは630℃×4h(比較例14)で均質化熱処理し、圧延開始温度420℃で熱間圧延して厚さ3mmの圧延板を作製した。この圧延板を冷間圧延して厚さ0.3mmのアルミニウム合金板を作製した。すなわち、製造条件を前記の条件と変えることにより、算術平均粗さRaを変化させた。
次に、前記のアルミニウム合金板の表面を、以下の条件で電解粗面化処理した。
(電解粗面化処理条件)
アルミニウム合金板を、5質量%水酸化ナトリウム水溶液で、温度50℃にて30秒間脱脂後、1質量%硝酸で、室温にて30秒間中和洗浄した。中和洗浄されたアルミニウム合金板を、2質量%塩酸中で、電流密度120A/dm2 、周波数50Hz、温度25℃の電解条件で、10秒間の電解処理する方法で交流電解粗面化処理した。電解粗面化処理されたアルミニウム合金板を、5質量%水酸化ナトリウム水溶液で、温度50℃にて10秒間デスマット処理後、30質量%硝酸で、室温にて30秒間中和洗浄し、水洗し、乾燥させた。これを評価試料とした。
次に、評価試料の粗面(電解粗面化面)の算術平均粗さRaを測定すると共に、均一性について、以下の評価方法で評価した。その結果を表1に示す。
なお、算術平均粗さRaは、JIS B0601−1994に記載の方法により行った。
(均一性の評価方法)
評価試料の粗面を、SEMを用いて2000倍で表面観察を行い、これを写真撮影した。この写真を並べて全長100cmの線を平行に3本引き、この線の下にある最大のピットと最小のピットの大きさ(最大長さ)の差を求めることにより均一性を評価した。ここで、ピットの大きさの差が1.5μm以下のものを○(良好)とし、ピットの大きさの差が1.5μmを超えるものを×(不良)とした。
次に、前記アルミニウム合金板について、以下の方法で引張強さ、および曲げ疲労強度を測定または算出した。その結果を表1に示す。
(引張強さの評価方法)
アルミニウム合金板からJIS5号試験片(JISZ2201)を切り出しにより作製した。この試験片を用いて、JISZ2241に準じて引張試験を行い、引張強さを測定した。ここで、引張強さが190MPa以上のものを○(良好)とし、引張強さが190MPa未満のものを×(不良)とした。
(曲げ疲労強度の評価方法)
アルミニウム合金板から試験片(長さ10mm×幅80mm)を切り出しにより作製した。この試験片を用いて、JISZ2273に準じた平面曲げ疲労試験を、試験片の厚み方向に与える片振り幅5mmで行った。そして、繰返し曲げ104回での破断応力を算出し、この破断応力を曲げ疲労強度とした。ここで、破断応力400MPa以上のものを○(良好)、400MPa未満のものを×(不良)とした。この曲げ疲労強度が良好なアルミニウム合金板を用いた印刷版は、くわえ切れ性が良好である。
次に、前記アルミニウム合金板を支持体として使用した印刷版について、印刷版としての表面性を調べた。その結果を表1に示す。
(印刷版の表面性の評価方法)
印刷版を汎用の印刷機に装着して、ロール状に巻き取り、印刷を行うことで、表面性を評価した。網点面積の面内バラツキ等が生じなかったもの、及びインク不要部へインクが残ってしまうような印刷品質低下が生じなかったものを○(良好)とし、網点面積の面内バラツキ等が生じたもの、インク不要部にインクが残ってしまって印刷品質が低下したものを×(不良)とした。
Figure 0004181597
表1に示すように、実施例1〜8は、化学組成、電解粗面化処理後の算術平均粗さRaが本発明の請求範囲(以下、請求範囲と称す)を満足するため、粗面の均一性、アルミニウム合金板の強度(引張強さ、曲げ疲労強度)、印刷版の表面性に優れるものであった。
比較例1は、Si含有量が請求範囲の下限値未満であるため、粗面の均一性に劣り、印刷版の表面性に劣るものであった。
比較例2は、Si含有量が請求範囲の上限値を超えるため、粗面の均一性に劣り、印刷版の表面性に劣るものであった。
比較例3は、Fe含有量が請求範囲の下限値未満であるため、粗面の均一性に劣り、印刷版の表面性に劣るものであった。また、強度が不足し、引張強さ、曲げ疲労強度に劣るものであった。
比較例4は、Fe含有量が請求範囲の上限値を超えるため、粗面の均一性に劣り、また、アルミニウム合金板表面に粗大な金属間化合物が形成されたことから電解粗面化処理後の算術平均粗さRaが請求範囲の上限値を超えるため、印刷版の表面性に劣るものであった。
比較例5は、Cu含有量が請求範囲の下限値未満であるため、粗面の均一性に劣り、印刷版の表面性に劣るものであった。また、強度が不足し、引張強さ、曲げ疲労強度に劣るものであった。
比較例6は、Cu含有量が請求範囲の上限値を超えるため、粗面の均一性に劣り、印刷版の表面性に劣るものであった。
比較例7は、Mg含有量が請求範囲の下限値未満であるため、強度が不足し、引張強さ、曲げ疲労強度に劣るものであった。
比較例8は、Mg含有量が請求範囲の上限値を超えるため、粗面の均一性に劣り、また、アルミニウム合金板表面に粗大な金属間化合物が形成されたことから電解粗面化処理後の算術平均粗さRaが請求範囲の上限値を超えるため、印刷版の表面性に劣るものであった。
比較例9は、Mn含有量が請求範囲の下限値未満であるため、粗面の均一性に劣り、印刷版の表面性に劣るものであった。また、強度が不足し、引張強さ、曲げ疲労強度に劣るものであった。
比較例10は、Mn含有量が請求範囲の上限値を超えるため、粗面の均一性に劣り、印刷版の表面性に劣るものであった。
比較例11は、Ni含有量が請求範囲の下限値未満であるため、粗面の均一性に劣り、印刷版の表面性に劣るものであった。
比較例12は、Ni含有量が請求範囲の上限値を超えるため、粗面の均一性に劣り、印刷版の表面性に劣るものであった。
比較例13は、電解粗面化処理後の算術平均粗さRaが請求範囲の上限値を超えるため、また均一性にも劣るため、印刷版の表面性に劣るものであった。
比較例14は、電解粗面化処理後の算術平均粗さRaが請求範囲の下限値未満であるため、また均一性にも劣るため、印刷版の表面性に劣るものであった。

Claims (1)

  1. Si:0.03質量%以上0.15質量%以下、Fe:0.25質量%以上0.50質量%以下、Cu:0.001質量%以上0.050質量%以下、Mg:0.05質量%以上0.50質量%以下、Mn:0.01質量%以上0.10質量%以下およびNi:0.005質量%以上0.20質量%以下を含有し、残部がAlと不可避的不純物からなる印刷版用高強度アルミニウム合金板であって、
    前記アルミニウム合金板を、2質量%塩酸中で、電流密度120A/dm2、周波数50Hz、温度25℃の電解条件で電解粗面化処理した後の表面の算術平均粗さRaが、0.3μm以上0.7μm以下であることを特徴とする印刷版用高強度アルミニウム合金板。
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