JP5753389B2 - 印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5753389B2
JP5753389B2 JP2011017251A JP2011017251A JP5753389B2 JP 5753389 B2 JP5753389 B2 JP 5753389B2 JP 2011017251 A JP2011017251 A JP 2011017251A JP 2011017251 A JP2011017251 A JP 2011017251A JP 5753389 B2 JP5753389 B2 JP 5753389B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
aluminum alloy
plate
evaluation
alloy plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2011017251A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012158779A (ja
Inventor
小林 一徳
一徳 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2011017251A priority Critical patent/JP5753389B2/ja
Priority to KR1020120008376A priority patent/KR101365344B1/ko
Priority to CN2012100269023A priority patent/CN102618756A/zh
Publication of JP2012158779A publication Critical patent/JP2012158779A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5753389B2 publication Critical patent/JP5753389B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22FCHANGING THE PHYSICAL STRUCTURE OF NON-FERROUS METALS AND NON-FERROUS ALLOYS
    • C22F1/00Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working
    • C22F1/04Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working of aluminium or alloys based thereon
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21BROLLING OF METAL
    • B21B3/00Rolling materials of special alloys so far as the composition of the alloy requires or permits special rolling methods or sequences ; Rolling of aluminium, copper, zinc or other non-ferrous metals
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41NPRINTING PLATES OR FOILS; MATERIALS FOR SURFACES USED IN PRINTING MACHINES FOR PRINTING, INKING, DAMPING, OR THE LIKE; PREPARING SUCH SURFACES FOR USE AND CONSERVING THEM
    • B41N1/00Printing plates or foils; Materials therefor
    • B41N1/04Printing plates or foils; Materials therefor metallic
    • B41N1/08Printing plates or foils; Materials therefor metallic for lithographic printing
    • B41N1/083Printing plates or foils; Materials therefor metallic for lithographic printing made of aluminium or aluminium alloys or having such surface layers
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C21/00Alloys based on aluminium
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25FPROCESSES FOR THE ELECTROLYTIC REMOVAL OF MATERIALS FROM OBJECTS; APPARATUS THEREFOR
    • C25F1/00Electrolytic cleaning, degreasing, pickling or descaling

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Thermal Sciences (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)

Description

本発明は、印刷、特に平版印刷版の支持体として使用される印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法に関する。
一般に、平版印刷の感光性平版印刷版としては、支持体の上に感光層を設けたものが使用されている。支持体としては、アルミニウム合金板が使用されることが多い。かかる支持体の表面は、支持体への感光層の密着性および非画像部の保水性を高めるために粗面化処理が行われている。この粗面化処理の方法として、ボール研磨法、ブラシ研磨法などの機械的処理方法、塩酸若しくはこれを主体とする電解液または硝酸を主体とする電解液を使用してアルミニウム合金板の表面を電気化学的に粗面化する電解粗面化処理方法、さらにこれらの機械的処理方法および電解粗面化処理方法を組み合わせた処理方法などがある。これらの粗面化処理方法のなかでも、得られる粗面化板が高い製版適正および印刷性能を示すとともに、コイル材での連続処理に適しているため電解粗面化処理方法が好適に使用される。従って、支持体として用いられるアルミニウム合金板には、電解粗面化処理による未エッチング率および電解粗面化処理後の表面の均一性といった、いわゆる電解粗面化特性や、引張強さに優れることが要求される。
電解粗面化処理方法に適したアルミニウム合金板として、例えば、特許文献1に記載のものがある。特許文献1には、Fe:0.20乃至0.6質量%、Si:0.03乃至0.15質量%、Ti:0.005乃至0.05質量%、Ni:0.005乃至0.20質量%およびMg:0.005乃至0.05質量%を含有し、さらにMn、CrおよびZrからなる群から選択された1種以上の元素を、1元素当たり0.005乃至0.030質量%含有し、Mn、CrおよびZrの含有量が総量で0.005乃至0.030質量%であり、残部がAlおよび不可避的不純物からなることを特徴とする印刷版用アルミニウム合金板が記載されている。
また、特許文献1には、かかる印刷版用アルミニウム合金板を製造するための方法として、前記した組成を有するアルミニウム合金鋳塊に、500乃至630℃の温度で均質化熱処理を施し、次いで開始温度を400乃至450℃として熱間圧延を施した後に、冷間圧延工程および中間焼鈍工程を有することを特徴とする印刷版用アルミニウム合金板の製造方法が記載されている。
特許文献1に記載の技術によれば、短時間の電解粗面化処理であっても、粗面化ピットがその表面に均一に分布するとともに、各ピットの大きさがほぼ一定になると記載されている。
特許第2778662号公報
しかしながら、特許文献1に記載のアルミニウム合金板を好適に製造するには、中間焼鈍を行う必要があるため製造コストの低減が困難であった。また、中間焼鈍を連続焼鈍にて行う際はさらに、多数のロールと接触するため表面に傷が付き易かった。
本発明は前記した問題を解決するためになされたものであり、印刷版の支持板として当然に要求される電解粗面化特性および引張強さに優れるとともに、製造コストおよび表面の傷付きを低減させた印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明に係る印刷版用アルミニウム合金板は、電解粗面化処理が施され、印刷版の支持体として使用される印刷版用アルミニウム合金板であって、Si:0.03〜0.15質量%、Fe:0.2〜0.6質量%、Ti:0.005〜0.05質量%、Ni:0.005〜0.10質量%、Mn:0.005〜0.05質量%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる組成を有し、かつ均質化熱処理を380〜480℃で行い、圧延終了温度が300〜370℃となる熱間圧延を行い、中間焼鈍を行わない冷間圧延を行うことにより製造され、板表面に存在する金属間化合物のうち、最大長さが1〜10μmである、Niを含有する金属間化合物の個数密度が200〜4000個/mm2であることを特徴としている。
本発明に係る印刷版用アルミニウム合金板は、さらに、Mg:0.005〜0.05質量%およびCu:0.005〜0.05質量%から選択される少なくとも一方を含有するのが好ましい。
このように、Si、FeおよびTiを特定範囲の含有量で含有しているので、電解粗面化処理時の初期ピットの形成を促進するとともに、粗面の均一性を向上させることができる。また、Niを特定範囲の含有量で含有しているので、アルミニウム合金板の化学溶解性が向上し、電解粗面化処理時のエッチング量が増大し、さらに、短時間で均一な電解粗面(電解粗面化処理によって粗面化された表面をいう。以下同じ。)の形成を可能としている。特に、本発明では、中間焼鈍を行わない冷間圧延を行うことにより製造されているので、表面に析出した最大長さが1〜10μmである、Niを含有する金属間化合物の固溶を抑制し、当該金属間化合物の個数密度と析出分布の均一性を維持している。そのため、アルミニウム合金板の化学溶解性が向上し、電解粗面化処理時のエッチング量が増大する。これにより、電解粗面化処理時における初期ピットの形成をより一層促進させ、短時間で均一な電解粗面を形成することが可能であり、電解粗面化特性に優れる。そして、Mn、MgおよびCuを特定範囲の含有量で含有しているので、十分な強度を得ることができる。
本発明に係る印刷版用アルミニウム合金板の製造方法は、前記した印刷版用アルミニウム合金板を製造するための製造方法であって、前記した組成を有するアルミニウム合金の鋳塊を鋳造する鋳造工程と、前記鋳塊を380〜480℃で均質化熱処理を行う均質化熱処理工程と、均質化熱処理を行った前記鋳塊を、圧延終了温度が300〜370℃となる熱間圧延を行って圧延板を製造する熱間圧延工程と、前記圧延板に対して中間焼鈍を行わない冷間圧延を行う冷間圧延工程と、を含むことを特徴としている。
このように、鋳造工程で前記した組成を有するアルミニウム合金の鋳塊を鋳造し、均質化熱処理工程で特定の温度範囲の均質化熱処理を行うことにより、当該組成を有するアルミニウム合金の鋳塊の表面に金属間化合物の個数密度と析出分布を均一化させることができる。次いで行う熱間圧延工程で均質化熱処理を行った鋳塊を、圧延終了温度が特定範囲となる熱間圧延を行うことにより、金属間化合物の個数密度と析出分布の均一性を維持することができる。そして、次いで行う冷間圧延工程において中間焼鈍を行わないため、製造コストの低減が可能となる。また、中間焼鈍を行わないので多数のロールと接触することもなくなる結果、表面の傷付きを低減させることができる。
本発明によれば、電解粗面化処理による未エッチング率および電解粗面化処理後の表面の均一性といった、印刷版の支持体として当然に要求される電解粗面化特性および引張強さに優れるとともに、製造コストおよび表面の傷付きを低減させた印刷版用アルミニウム合金板を提供することができる。
また、本発明によれば、電解粗面化処理による未エッチング率および電解粗面化処理後の表面の均一性といった、印刷版の支持体として当然に要求される電解粗面化特性および引張強さに優れるとともに、製造コストおよび表面の傷付きを低減させた印刷版用アルミニウム合金板を製造するための製造方法を提供することができる。
本発明に係る印刷版用アルミニウム合金板の製造方法の工程を説明するフローチャートである。
次に、本発明に係る印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法を実施するための形態について詳細に説明する。
[印刷版用アルミニウム合金板]
はじめに、本発明の一実施形態に係る印刷版用アルミニウム合金板について説明する。
本発明の一実施形態に係る印刷版用アルミニウム合金板は、電解粗面化処理が施され、印刷版の支持体として使用される。
かかる印刷版用アルミニウム合金板は、Si:0.03〜0.15質量%、Fe:0.2〜0.6質量%、Ti:0.005〜0.05質量%、Ni:0.005〜0.10質量%含有するとともに、Mn:0.005〜0.05質量%、Mg:0.005〜0.05質量%およびCu:0.005〜0.05質量%から選択される少なくとも一方を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる組成を有し、かつ中間焼鈍を行わない冷間圧延を行うことにより製造され、板表面に存在する金属間化合物のうち、最大長さが1〜10μmである、Niを含有する金属間化合物の個数密度が200〜4000個/mm2である。
(Si:0.03〜0.15質量%)
Siは、Al−Fe−Si系金属間化合物を形成して電解粗面化処理時の初期ピットの形成を促進させて、未エッチング部の発生を抑制するとともに電解粗面の均一性を向上させる。また、アルミニウム合金板の強度を向上させる効果も有する。
Si量が0.03質量%未満であると金属間化合物が不足するため初期ピットの形成が不足する。その結果、未エッチング部(率)が増加するとともに、電解粗面が不均一となる。また、アルミニウム合金板の強度も不足する。
一方、Si量が0.15質量%を超えると粗大な金属間化合物が形成される。その結果、電解粗面が不均一となる。
Si量は、0.05〜0.13質量%とするのが好ましく、0.05〜0.10質量%とするのがより好ましい。
(Fe:0.2〜0.6質量%)
Feは、Al−Fe系金属間化合物を形成して電解粗面化処理時の初期ピットの形成を促進させて、未エッチング部の発生を抑制するとともに電解粗面の均一性を向上させる。また、アルミニウム合金板の強度を向上させる効果も有する。
Fe量が0.2質量%未満であると金属間化合物が不足するため初期ピットの形成が不足する。その結果、未エッチング部が増加するとともに、電解粗面が不均一となる。また、アルミニウム合金板の強度も不足する。
一方、Fe量が0.6質量%を超えると粗大な金属間化合物が形成される。その結果、最大長さが1〜10μmである、Niを含有する金属間化合物の個数密度が多くなるとともに、電解粗面が不均一となる。
Fe量は、0.3〜0.5質量%とするのが好ましい。
(Ti:0.005〜0.05質量%)
Tiは、鋳塊組織を微細化する作用を有する。通常、Tiを添加する場合には、Ti:B=5:1の割合とした鋳塊微細化剤(TiB)を、ワッフルあるいはロッドの形態で溶湯(溶解炉、介在物フィルター、脱ガス装置、溶湯流量制御装置のいずれかに投入された、スラブ凝固前の溶湯)に添加する。そのため、含有割合に応じたBも必然的に添加されることとなる。
Ti量が0.005質量%未満であると微細化効果が不十分となり、電解粗面の均一性にも悪影響を及ぼす。
一方、Ti量が0.05質量%を超えると微細化効果が飽和するとともに、粗大な金属間化合物が形成されるようになる。その結果、電解粗面が不均一となる。
Ti量は、0.008〜0.04質量%とするのが好ましく、0.008〜0.02質量%とするのがより好ましい。
(Ni:0.005〜0.10質量%)
Niは、アルミニウム合金板の化学溶解性を向上させ、電解粗面化処理時のエッチング量を増大させる。また、Al−Fe−Si−Ni系金属間化合物を形成させる。この金属間化合物は、Al−Fe−Si系金属間化合物よりも電気化学的な電位が貴であるため、電解粗面化時における初期ピットの形成をより一層促進させることができる。そのため、短時間で均一な電解粗面を形成することが可能となる。
Ni量が0.005質量%未満であると化学溶解性の向上が不十分であるとともに初期ピットの形成能が不十分となる。その結果、電解粗面が不均一となるとともに、未エッチング率が高くなる。また、最大長さが1〜10μmである、Niを含有する金属間化合物の個数密度が少なくなる。
一方、Ni量が0.10質量%を超えると化学溶解性が過剰に促進されるため、電解粗面におけるピットの均一性が損なわれる。また、Al−Fe−Si−Ni系金属間化合物が多く形成されるためにアルミニウム合金板の強度も不足する。
Ni量は、0.007〜0.08質量%とするのが好ましい。Niの上限量は、0.03質量%や0.02質量%などとすることもできる。
(Mn:0.005〜0.05質量%、Mg:0.005〜0.05質量%およびCu:0.005〜0.05質量%から選択される少なくとも一方を含有)
Mn、MgおよびCuはいずれも、アルミニウム合金板中に固溶することにより強度を向上させる効果を有する。
Mn量、Mg量およびCu量がいずれも0.005質量%未満であるとその効果が小さい。
一方、Mn量、Mg量およびCu量がそれぞれ0.05質量%を超えると粗大な金属間化合物が形成される。その結果、電解粗面が不均一となる。
なお、Mnの上限量は、0.04質量%、0.02質量%や0.01質量%などとすることができる。
Mgの上限量は、0.03質量%、0.02質量%や0.01質量%などとすることができる。
Cuの上限量は、0.03質量%や0.01質量%などとすることができるが、含有量が高くなるに連れて未エッチング部が増加する傾向にある。
(残部がAlおよび不可避的不純物)
残部はAlと不可避的不純物である。本発明における不可避的不純物としては、Zn、Cr、Zr、Ga、Vなどが挙げられる。これらの不可避的不純物は、総計して0.05質量%以下の含有量であれば本発明の所望する効果を阻害しないので、当該含有量までは組成に含有することを許容することができる。
(中間焼鈍を行わない冷間圧延を行うことにより製造)
中間焼鈍を行わずに冷間圧延を行うことにより、製造コストの低減が可能となる。また、連続焼鈍による中間焼鈍を行わないので多数のロールと接触することもない。そのため、板材表面の傷付きを低減させることができる。つまり、当該傷付きの有無を見ることによって中間焼鈍を行ったか否かを容易に判別することができる。
(板表面に存在する金属間化合物のうち、最大長さが1〜10μmである、Niを含有する金属間化合物の個数密度が200〜4000個/mm2
Al−Fe−Si−Ni系金属間化合物などの、Niを含有する金属間化合物は、電解粗面化処理時の初期ピットの起点として作用し、エッチング性および粗面の均一性に顕著な影響を及ぼす。前記したように、Niを含有する金属間化合物であるAl−Fe−Si−Ni系金属間化合物は、その他の金属間化合物であるAl−Fe−Si系金属間化合物などより電気化学的な電位が貴であるため、電解粗面化処理時における初期ピットの形成をより一層促進させる。その結果、短時間で均一な電解粗面を形成することが可能になる。
最大長さが1〜10μmである、Niを含有する金属間化合物の個数密度が200個/mm2未満であると、初期ピットの形成が不足してエッチング性および粗面の均一性が低下する。
一方、最大長さが1〜10μmである、Niを含有する金属間化合物の個数密度が4000個/mm2を超えると粗大なピットが形成され易くなる。その結果、電解粗面が不均一となる。
なお、かかる個数密度は、670〜2830個/mm2とするのが好ましい。
かかる金属間化合物の個数密度の測定は、例えば、アルミニウム合金板の表面をバフ等で研磨して鏡面とし、この鏡面を走査型電子顕微鏡(SEM)の反射電子像で500倍の倍率で観察し、合計50視野の写真から画像解析により金属間化合物の個数密度(個/mm2)を算出することで行うことができる。なお、SEMによる測定でも、最大長さが1μm未満の前記金属間化合物を正確にカウントすることは困難であり、また、最大長さが1μm未満の前記金属間化合物は、実質的にエッチング性および粗面の均一性に顕著な影響を及ぼすものではない。そのため、前記金属間化合物の個数密度の測定にあたっては、最大長さが1μm以上のものを対象とした。また、本発明に係る印刷版用アルミニウム合金板の組成と製造条件から、前記金属間化合物の最大長さが10μmを超えることは殆どなく、これを考慮する実益に乏しい。そのため、前記金属間化合物の個数密度の測定にあたっては、最大長さが10μm以下のものを対象とした。
[印刷版用アルミニウム合金板の製造方法]
次に、本発明の一実施形態に係る印刷版用アルミニウム合金板の製造方法について説明する。
本発明の一実施形態に係る印刷版用アルミニウム合金板の製造方法は、前記した印刷版用アルミニウム合金板を製造するための製造方法であって、鋳造工程S1と、均質化熱処理工程S2と、熱間圧延工程S3と、冷間圧延工程S4と、を含んでいる。
(鋳造工程)
鋳造工程S1は、前記した組成を有するアルミニウム合金の鋳塊を鋳造する工程である。
(均質化熱処理工程)
均質化熱処理工程S2は、鋳造工程S1で鋳造した鋳塊を380〜550℃で均質化熱処理を行う工程である。
均質化熱処理を行うことによって、鋳塊の鋳造時に析出される金属間化合物に加えて、鋳塊の均質化熱処理時に析出する金属間化合物も、初期ピットとして作用させることが可能となる。そのため、均一な電解粗面を得ることができるようになる。
均質化熱処理の温度が380℃未満であると、均質化が不十分であることに加え、Niを含有する金属間化合物の析出量が少なく、冷間圧延後の個数密度が不足するため、初期ピットの形成が促進され難くなる。その結果、粗面のエッチング性、均一性が劣る。また、圧延中の動的再結晶が不十分であり、圧延板の結晶組織が不均一となる。
一方、均質化熱処理の温度が550℃を超えると、その後の熱間圧延の温度が高くなり、結晶粒が過剰に成長してしまうため、電解粗面の均一性が損なわれる。従って、均質化熱処理の温度は380〜550℃で行えばよく、380〜530℃とするのが好ましい。
ところで、均質化熱処理の温度が505℃を超えると、380℃以上で析出した最大長さが1〜10μmである、Niを含有する金属間化合物が再固溶し、未エッチング率が若干高くなってしまう。従って、均質化熱処理の温度のより好ましい範囲は380〜505℃であり、さらに好ましい範囲は420〜505℃である。均質化熱処理の時間は、均質化を十分に行うことができればよく、適宜に設定することができる。特に限定されるものではないが、例えば4時間程度とすることができる。なお、経済的には、24時間以内が好ましい。
(熱間圧延工程)
熱間圧延工程S3は、均質化熱処理工程S2で均質化熱処理を行った温度のままの鋳塊を、炉内冷却および再加熱を行わないですぐに熱間圧延を開始し、圧延終了温度(圧延板の巻取温度)が300〜370℃となるように圧延板を製造する工程である。
後記するように、本発明においては、熱間圧延により製造された圧延板はその後、中間焼鈍を行わない冷間圧延が行われることで印刷版用アルミニウム合金板となる。そのため、電解粗面の均一性を確保するためには板材はできるだけ均一な金属組織を有していることが求められる。従って、圧延板は、熱間圧延が終了した時点で再結晶している必要がある。
熱間圧延の圧延終了温度が300℃未満であると圧延板は巻取り後に再結晶しないため、電解粗面の均一性が劣ってしまう。
一方、熱間圧延の圧延終了温度が370℃を超えると結晶粒径が粗大となり、マクロ組織も粗大となるため、電解粗面の均一性が劣ってしまう。
(冷間圧延工程)
冷間圧延工程S4は、熱間圧延工程S3で熱間圧延した圧延板に対して中間焼鈍を行わない冷間圧延を行うことで印刷版用アルミニウム合金板を製造する工程である。
冷間圧延工程S4を行うことによって、印刷版用アルミニウム合金板として必要な厚さに調整する。ここまで何度か説明したように、本発明においては冷間圧延を行うにあたって中間焼鈍を行わない。金属間化合物が中間焼鈍によって固溶したり、微細化したりしないようにするためである。また、中間焼鈍を行わないことにより、製造コストの低減と、多数のローラと接触することによる表面の傷付きの低減と、を図っている。
以上に説明した製造方法で製造されたアルミニウム合金板は、Si:0.03〜0.15質量%、Fe:0.2〜0.6質量%、Ti:0.005〜0.05質量%、Ni:0.005〜0.10質量%含有するとともに、Mn:0.005〜0.05質量%、Mg:0.005〜0.05質量%およびCu:0.005〜0.05質量%から選択される少なくとも一方を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる組成を有し、かつ中間焼鈍を行わない冷間圧延を行うことにより製造され、板表面に存在する金属間化合物のうち、最大長さが1〜10μmである、Niを含有する金属間化合物の個数密度が200〜4000個/mm2というものである。このアルミニウム合金板は、電解粗面化処理による未エッチング率および電解粗面化処理後の表面の均一性といった、印刷版の支持体として当然に要求される電解粗面化特性に優れるとともに、製造コストおよび表面の傷付きを低減させたものであり、印刷版用のアルミニウム合金板として非常に有効である。
なお、本発明に係る印刷版用アルミニウム合金板の製造方法は以上に説明したとおりであり、既に詳述した本発明に係る印刷版用アルミニウム合金板を好適に製造することができるが、本発明を行うにあたって前記各工程に悪影響を与えない範囲において前記各工程の間或いは前後に他の工程を含めることができる。
このような他の工程としては、例えば鋳造工程S1で得られた鋳塊の表面を一定の厚さ寸法で面削して偏析を取り除く工程、熱間圧延割れが生じたアルミニウム合金板や線状欠陥が生じたアルミニウム合金板を検出してこれを生産ラインから除く工程、冷間圧延工程S4後にコイルから巻き戻し、所定の長さに切断する工程等を挙げることができる。
次に、本発明の効果を確認した実施例について説明する。
〔1〕組成について
表1に示す組成の実施例1〜5、参考例6、実施例7〜9、参考例10および比較例1〜13に係るアルミニウム合金を調製した。なお、実施例1〜5、参考例6、実施例7〜9、参考例10および比較例1〜13に係るアルミニウム合金を合金1〜23として表1に示している。
表1に示す組成の実施例1〜5、参考例6、実施例7〜9、参考例10および比較例1〜13は、鋳塊を鋳造した後、面削して550mmの厚さとした。面削した鋳塊に対して480℃×4時間の均質化熱処理を行った直後、熱間圧延を開始し、圧延終了温度が330℃となる様に熱間圧延を終了し、厚さ3mmの圧延板を製造した。そして、この圧延板に対して中間焼鈍を行わない冷間圧延を行い、厚さ0.3mmのアルミニウム合金板を製造した。なお、冷間圧延の前後も焼鈍を行わなかった。
このようにして製造した実施例1〜5、参考例6、実施例7〜9、参考例10および比較例1〜13に係るアルミニウム合金板について、最大長さが1〜10μmである、Niを含有する金属間化合物の個数密度を測定し、引張強さの評価と塩酸による粗面化処理についての評価とを行った。
最大長さが1〜10μmである、Niを含有する金属間化合物の個数密度は、実施例1〜5、参考例6、実施例7〜9、参考例10および比較例1〜13に係るアルミニウム合金板の表面をバフ等で研磨して鏡面とし、この鏡面を走査型電子顕微鏡(SEM)の反射電子像で500倍の倍率で観察した。合計50視野の写真から画像解析により金属間化合物の個数密度(個/mm2)を算出した。
引張強さは、実施例1〜5、参考例6、実施例7〜9、参考例10および比較例1〜13に係るアルミニウム合金板から、圧延方向と平行な方向が長手方向となるようにJIS5号試験片(JIS Z 2201に準拠)を切り出して作製し、JIS Z 2241に準じて引張試験を行って引張強さを測定した。引張強さの測定は、バーニング処理を行わない板材素材そのままの場合と、試験片をバーニング処理した後の場合と、について行った。
バーニング処理は、雰囲気温度250℃に設定した空気炉に試験片を挿入し、炉蓋を閉めた後に再び雰囲気温度が250℃に到達してから10分間経過後に炉内から取り出すことで行った。引張試験による引張強さは、板材素材そのまま(表1において「合金板素材」と示す。)の場合は引張強さが170MPa以上のものを良好とし、引張強さが170MPa未満のものを不良とした。また、バーニング処理後の場合は引張強さが130MPa以上のものを良好とし、引張強さが130MPa未満のものを不良とした。前記基準に照らし、板材素材そのままの場合もバーニング処理後の場合も良好であったものの引張強さの評価を「○」とし、少なくとも一方が不良だったものの引張強さの評価を「×」とし、表1中に記載した。
塩酸による粗面化処理についての評価は、未エッチング部評価と、均一性評価と、を対象として行った。
まず、これらの評価をするにあたって、塩酸による粗面化処理は次の条件で行った。
塩酸による粗面化処理は、アルミニウム合金板を5質量%水酸化ナトリウム水溶液中で温度50℃、30秒間脱脂した後、1質量%硝酸中で室温、30秒間中和洗浄した。中和洗浄されたアルミニウム合金板を2質量%塩酸中で電流密度120A/dm2、周波数50Hz、温度25℃の電解条件で10秒間の電解処理する方法にて交流電解粗面化処理した。
電解粗面化処理されたアルミニウム合金板を5質量%水酸化ナトリウム水溶液中で温度50℃、10秒間デスマット処理し、30質量%硝酸中で室温、30秒間中和洗浄した。そして、水洗および乾燥を行い、これを評価試料とした。
未エッチング部評価は、前記した評価試料の粗面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて500倍で表面観察を行い、視野面積が全体で1mm2になるように写真を撮影し、この写真を基にして下記数式(1)に示す方法より未エッチング率[%]を求めた。
未エッチング率=粗面化されていない部分の面積/全体の面積×100・・・(1)
求めた未エッチング率[%]から未エッチング部評価を行った。未エッチング部評価は、未エッチング率が0〜3%のものを◎(極めて良好)とし、未エッチング率が3〜5%のものを○(良好)とし、未エッチング率が5%を超えるものを×(不良)とした。本明細書においては、◎または○を合格とし、×を不合格とした。
均一性評価は次のようにして行った。まず、SEMを用いて前記した評価試料の粗面を2000倍で表面観察し、これを写真撮影した。この写真を並べて全長100cmの線を平行に3本引き、この線の下にある最大のピットと最小のピットの大きさ(最大長さ)の差を求めることにより均一性を評価した。均一性評価は、ピットの大きさの差が1μm以下のものを◎(極めて良好)とし、ピットの大きさの差が1μmを超え2μm以下のものを○(良好)とし、2μmを超えるものを×(不良)とした。本明細書においては、◎または○を合格とし、×を不合格とした。
下記表1に実施例1〜5、参考例6、実施例7〜9、参考例10および比較例1〜13に係るアルミニウム合金の組成[質量%]と、最大長さが1〜10μmである、Niを含有する金属間化合物の個数密度の測定結果と、引張強さの測定結果と、塩酸による粗面化処理についての評価結果と、を併せて示す。
なお、実施例1〜5、参考例6、実施例7〜9、参考例10および比較例1〜13に係るアルミニウム合金、すなわち、合金1〜23は、表1中に示す含有量の成分以外にも不可避的不純物を含んでいる。各成分と不可避的不純物の合計は100質量%となる。表1中の「−」は、該当する成分を添加していないことを示し、表1中の下線は、本発明の要件を満たさないことを示す。
Figure 0005753389
表1に示すように、実施例1〜5、参考例6、実施例7〜9、参考例は、アルミニウム合金の組成が本発明の要件を満たしており、また、製造条件も好適であったので、引張強さの評価と、塩酸による粗面化処理についての評価(つまり、未エッチング部評価および均一性評価)と、が優れていた。
特に、実施例1〜4、参考例6、実施例8、9は、未エッチング部評価および均一性評価が極めて良好であった。
これに対し、比較例1〜13は、アルミニウム合金の組成が本発明の要件を満たしていなかったので、引張強さの評価および塩酸による粗面化処理についての評価(つまり、未エッチング部評価および/または均一性評価)のうちの少なくとも一方が劣っていた。
具体的には、比較例1は、Si量が下限値未満だったので、バーニング処理後の引張強さが不良となり、引張強さの評価が不合格となった。また、未エッチング部評価および均一性評価が不良となり、塩酸による粗面化処理についての評価が不合格となった。
比較例2は、Si量が上限値を超えていたので、板材素材そのままおよびバーニング処理後の引張強さが不良となり、引張強さの評価が不合格となった。また、均一性評価が不良となり、塩酸による粗面化処理についての評価が不合格となった。
比較例3は、Fe量が下限値未満だったので、板材素材そのままおよびバーニング処理後の引張強さが不良となり、引張強さの評価が不合格となった。また、未エッチング部評価および均一性評価が不良となり、塩酸による粗面化処理についての評価が不合格となった。
比較例4は、Fe量が上限値を超えていたので、均一性評価が不良となり、塩酸による粗面化処理についての評価が不合格となった。
比較例5は、Ti量が下限値未満だったので、均一性評価が不良となり、塩酸による粗面化処理についての評価が不合格となった。
比較例6は、Ti量が上限値を超えていたので、均一性評価が不良となり、塩酸による粗面化処理についての評価が不合格となった。
比較例7は、Ni量が下限値未満だったので、未エッチング部評価および均一性評価が不良となり、塩酸による粗面化処理についての評価が不合格となった。
比較例8は、Ni量が上限値を超えていたので、バーニング処理後の引張強さが不良となり、引張強さの評価が不合格となった。また、均一性評価が不良となり、塩酸による粗面化処理についての評価が不合格となった。
比較例9〜11は、Mn量、Mg量またはCu量が下限値未満だったので、板材素材そのままおよびバーニング処理後の引張強さが不良となり、引張強さの評価が不合格となった。
比較例12は、Mn量が上限値を超えており、比較例13は、Mg量が上限値を超えていたので、ともに均一性評価が不良となり、塩酸による粗面化処理についての評価が不合格となった。
なお、実施例1〜5、参考例6、実施例7〜9、参考例10および比較例1〜13は、中間焼鈍を行わない冷間圧延にてアルミニウム合金板を製造したので、いずれも目視観察の結果、板材表面の傷付きが確認されなかった。また、かかる中間焼鈍を行わない冷間圧延でアルミニウム合金板を製造したので、製造コストが低減した。
〔2〕製造条件について
次に、実施例の中から合金2および合金5を選択し、これらを溶解して鋳造し、鋳塊を製造した。製造した鋳塊を面削して550mmの厚さとし、この鋳塊を表2に示す温度で4時間の均質化熱処理を行い、その温度のまま均質化熱処理の直後に熱間圧延を開始し、表2に示す圧延終了温度で熱間圧延を終了し、厚さ3mmの圧延板を製造した。そして、この圧延板に対して中間焼鈍を行わない冷間圧延を行い、厚さ0.3mmの実施例11、12、14、15、参考例13、16、17および比較例14〜19に係るアルミニウム合金板を製造した。なお、冷間圧延の前後も焼鈍を行わなかった。
実施例11、12、14、15、参考例13、16、17および比較例14〜19について、最大長さが1〜10μmである、Niを含有する金属間化合物の個数密度を測定し、引張強さの評価と塩酸による粗面化処理についての評価とを前記と同様にして行った。
表2に、実施例11、12、14、15、参考例13、16、17および比較例14〜19の製造条件および最大長さが1〜10μmである、Niを含有する金属間化合物の個数密度の測定結果と、引張強さの測定結果と、塩酸による粗面化処理についての評価結果と、を併せて示す。なお、実施例12は前記した実施例2と合金の組成および製造条件が同じものである。
なお、表2中の下線は、本発明の要件を満たさないことを示す。
Figure 0005753389
表2に示すように、実施例11、12、14、15、参考例13、16、17は、アルミニウム合金の組成が本発明の要件を満たしており、また、製造条件が好適であったので、引張強さの評価と、塩酸による粗面化処理についての評価(つまり、未エッチング部評価および均一性評価)と、が優れていた。
特に、実施例11、12、参考例17は、未エッチング部評価および均一性評価が極めて良好であった。
これに対し、比較例14〜19は、製造条件が本発明の要件を満たしていなかったので、塩酸による粗面化処理についての評価(つまり、未エッチング部評価および/または均一性評価)が劣っていた。
具体的には、比較例14は、均質化熱処理温度が下限値未満であり、熱間圧延の圧延終了温度が下限値未満であった。そのため、未エッチング部評価および均一性評価が不良となり、塩酸による粗面化処理についての評価が不合格となった。
比較例15は、均質化熱処理温度が上限値を超えていたので、均一性評価が不良となり、塩酸による粗面化処理についての評価が不合格となった。
比較例16は、熱間圧延の圧延終了温度が下限値未満であったので、均一性評価が不良となり、塩酸による粗面化処理についての評価が不合格となった。
比較例17は、均質化熱処理温度が下限値未満であり、熱間圧延の圧延終了温度が下限値未満であった。そのため、未エッチング部評価および均一性評価が不良となり、塩酸による粗面化処理についての評価が不合格となった。
比較例18は、均質化熱処理温度が上限値を超えており、熱間圧延の圧延終了温度が上限値を超えていた。そのため、均一性評価が不良となり、塩酸による粗面化処理についての評価が不合格となった。
比較例19は、熱間圧延の圧延終了温度が下限値未満であったので、均一性評価が不良となり、塩酸による粗面化処理についての評価が不合格となった。
なお、実施例11、12、14、15、参考例13、16、17および比較例14〜19は、中間焼鈍を行わない冷間圧延にてアルミニウム合金板を製造したので、いずれも目視観察の結果、板材表面の傷付きが確認されなかった。また、かかる中間焼鈍を行わない冷間圧延でアルミニウム合金板を製造したので、製造コストが低減した。
〔3〕中間焼鈍について
次に、中間焼鈍によるアルミニウム合金板の表面の傷付き易さを調べるため、合金2および合金5を用いて、前記と同様にして鋳塊を製造した。製造した鋳塊を面削して550mmの厚さとし、この鋳塊を表3に示す温度の均質化熱処理を行い、その温度のまま直後に、表3に示す圧延終了温度で熱間圧延を終了し、厚さ3mmの圧延板を製造した。そして、この圧延板を冷間圧延して厚さ0.3mmの実施例18、19および比較例20、21に係るアルミニウム合金板を製造した。なお、比較例20、21は、厚さ2.0mmで、450℃×0sec相当の連続焼鈍ラインによる中間焼鈍を行った。
実施例18、19および比較例20、21について、目視観察により、板材表面に印刷版用素材として印刷性能が不良となるレベルの傷が付いているか否かを評価した。目視観察の結果、板材表面にそのような傷が付いていなかったものを○(良好)、そのような傷が付いていたものを×(不良)とした。
表3に、実施例18、19および比較例20、21の製造条件とともに、中間焼鈍の有無および板材表面の傷の評価を示す。なお、実施例18、19はそれぞれ、前記した実施例2、5と合金の組成および製造条件が同じである。
Figure 0005753389
表3に示すように、実施例18、19は、中間焼鈍を行わなかったので、板材表面に傷が付いていなかった。
これに対し、比較例20、21は、中間焼鈍を行ったので、いずれも板材表面に傷が付いていた。
S1 鋳造工程
S2 均質化熱処理工程
S3 熱間圧延工程
S4 冷間圧延工程

Claims (3)

  1. 電解粗面化処理が施され、印刷版の支持体として使用される印刷版用アルミニウム合金板であって、
    Si:0.03〜0.15質量%、Fe:0.2〜0.6質量%、Ti:0.005〜0.05質量%、Ni:0.005〜0.10質量%、Mn:0.005〜0.05質量%含有し、
    残部がAlおよび不可避的不純物からなる組成を有し、かつ
    均質化熱処理を380〜480℃で行い、
    圧延終了温度が300〜370℃となる熱間圧延を行い、
    中間焼鈍を行わない冷間圧延を行うことにより製造され、
    板表面に存在する金属間化合物のうち、最大長さが1〜10μmである、Niを含有する金属間化合物の個数密度が200〜4000個/mm2である
    ことを特徴とする印刷版用アルミニウム合金板。
  2. さらに、Mg:0.005〜0.05質量%およびCu:0.005〜0.05質量%から選択される少なくとも一方を含有することを特徴とする請求項1に記載の印刷版用アルミニウム合金板。
  3. 請求項1または請求項2に記載の印刷版用アルミニウム合金板を製造するための製造方法であって、
    請求項1または請求項2に記載の組成を有するアルミニウム合金の鋳塊を鋳造する鋳造工程と、
    前記鋳塊を380〜480℃で均質化熱処理を行う均質化熱処理工程と、
    均質化熱処理を行った前記鋳塊を、圧延終了温度が300〜370℃となる熱間圧延を行って圧延板を製造する熱間圧延工程と、
    前記圧延板に対して中間焼鈍を行わない冷間圧延を行う冷間圧延工程と、を含む
    ことを特徴とする印刷版用アルミニウム合金板の製造方法。
JP2011017251A 2011-01-28 2011-01-28 印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法 Expired - Fee Related JP5753389B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011017251A JP5753389B2 (ja) 2011-01-28 2011-01-28 印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法
KR1020120008376A KR101365344B1 (ko) 2011-01-28 2012-01-27 인쇄판용 알루미늄 합금판 및 그의 제조 방법
CN2012100269023A CN102618756A (zh) 2011-01-28 2012-01-29 印刷版用铝合金板及其制造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011017251A JP5753389B2 (ja) 2011-01-28 2011-01-28 印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012158779A JP2012158779A (ja) 2012-08-23
JP5753389B2 true JP5753389B2 (ja) 2015-07-22

Family

ID=46558955

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011017251A Expired - Fee Related JP5753389B2 (ja) 2011-01-28 2011-01-28 印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP5753389B2 (ja)
KR (1) KR101365344B1 (ja)
CN (1) CN102618756A (ja)

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2778661B2 (ja) * 1996-01-05 1998-07-23 株式会社神戸製鋼所 印刷版用アルミニウム合金板及びその製造方法
JP2778662B2 (ja) * 1996-04-05 1998-07-23 株式会社神戸製鋼所 印刷版用アルミニウム合金板及びその製造方法
JPH11115333A (ja) * 1997-10-17 1999-04-27 Kobe Steel Ltd 印刷版用アルミニウム合金板及びその製造方法
JP4059610B2 (ja) * 2000-03-28 2008-03-12 富士フイルム株式会社 平版印刷版用支持体
JP2003328094A (ja) * 2002-05-17 2003-11-19 Sky Alum Co Ltd 平版印刷版支持体用アルミニウム合金圧延板の製造方法
JP4021743B2 (ja) 2002-10-17 2007-12-12 三菱アルミニウム株式会社 平版印刷版用アルミニウム合金材料
JP4181597B2 (ja) * 2006-12-07 2008-11-19 株式会社神戸製鋼所 印刷版用高強度アルミニウム合金板
JP4764459B2 (ja) * 2008-08-28 2011-09-07 株式会社神戸製鋼所 裏面白化防止性に優れる印刷版用高強度アルミニウム合金板

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012158779A (ja) 2012-08-23
KR101365344B1 (ko) 2014-02-20
CN102618756A (zh) 2012-08-01
KR20120087846A (ko) 2012-08-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4740896B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金板の製造方法
JP4764459B2 (ja) 裏面白化防止性に優れる印刷版用高強度アルミニウム合金板
WO2015192448A1 (zh) 铝合金制品及其制造方法
JP5210103B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法
JP4925246B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法
JP4939325B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法
JP4181596B2 (ja) 印刷版用高強度アルミニウム合金板
JP2007070674A (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法
JP4181597B2 (ja) 印刷版用高強度アルミニウム合金板
JP2009083190A (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法
JP4925247B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法
JP5753389B2 (ja) 印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法
JP5250068B2 (ja) 裏面白化防止性に優れる印刷版用高強度アルミニウム合金板の製造方法
JP4482483B2 (ja) 印刷版用アルミニウム合金板および印刷版用アルミニウム合金板の製造方法
JP5250067B2 (ja) 裏面白化防止性に優れる印刷版用高強度アルミニウム合金板
US20080289731A1 (en) Method of producing aluminum alloy sheet for lithographic printing plate
JP4925248B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法
JP5314396B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金板
JP5116267B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金板の製造方法
JP4110353B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金素板およびその製造方法
JP2013174018A (ja) 自動製版印刷版用高強度アルミニウム合金板の製造方法
JP2010012779A (ja) 平版印刷シートへの加工に適した合金
JP2004035984A (ja) 印刷版用アルミニウム合金板及びその製造方法
JP4593593B2 (ja) 印刷版用アルミニウム合金板及びその製造方法
JP2005231159A (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金板

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130902

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140612

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140617

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140818

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20141216

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150216

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150512

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150522

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5753389

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees