JP4059610B2 - 平版印刷版用支持体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平版印刷版用支持体に関し、詳しくは、耐刷性、耐汚れ性および表面面質に優れる平版印刷版用支持体に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウム板を支持体とする感光性平版印刷版はオフセット印刷に幅広く使用されている。平版印刷版原版は、一般的に、アルミニウム板の表面を粗面化し、さらに陽極酸化処理を行った後、感光液を塗布、乾燥して感光層を形成することによって製造される。平版印刷版原版は、画像に露光された後、現像液によって現像され、ポジ型の平版印刷版原版では、露光部が除去され、またネガ型の平版印刷版原版では、非露光部が除去され、製版され、平版印刷版となる。その後、平版印刷版は、その表面にインキが塗布され、印刷に供される。このように、平版印刷版原版では、露光によって感光層の物性を変化させ、この物性変化を利用して、製版を行っている。
【0003】
アルミニウム合金板の粗面化方法としては、従来、ボールグレインやブラシグレイン等の機械的粗面化法、塩酸や硝酸等を主体とする電解液を用いて電解エッチングする電気化学的粗面化(以下「電解粗面化」ともいう。)法、酸溶液によりエッチングする化学的粗面化法等が知られている。近年では、電解粗面化法により得られた粗面が、ピットが均質で、印刷性能に優れることから、電解粗面化法と他の粗面化法とを組み合わせて粗面化することが主流となっている。
【0004】
例えば、電解粗面化処理によりアルミニウム合金板に、平均表面粗さRa0.30〜1.0μm程度の「うねり状」、「しわ状」の粗面が形成され、さらに直径が0.2〜20μm、深さが0.05〜1μm程度の「ハニカム状」、「クレーター状」のピットが形成される。電解粗面化処理による「うねり状」、「しわ状」の粗面が不均一な場合には、機械的または化学的粗面化処理を組み合わせると均一化が増大するので好ましい。
【0005】
粗面化処理による粗面化が不均一(ピットの直径、深さが不均一)の場合の不具合を、従来の平版印刷版原版10の断面構造を示す模式図(図1および図2)を用いて説明する。平版印刷版原版10は、ピット(凹凸)pが形成されているアルミニウム合金板支持体12とその上に積層した感光層14とを有する積層体である。ピットpの露光方向の深さが不均一である場合(図1(a))、例えば、深いピットp’部分が露光されると、ハレーション(光の不均一散乱)が発生し(図1(b))、非露光部分も露光部分と同様に物性変化する(図1(c))。その結果、印刷された画像に「かぶり」が生じることがある。また、図2に示すように、ピットpおよびピットp’を含む広い範囲の領域を露光した場合、光源からより遠いピットp’の底部では露光が不十分となり(図2(b))、露光部分の中に非露光部分が生じることがある(図2(c))。その結果、本来感光層除去部分は非画像になるにもかかわらず、部分的に画像部の特徴を示し、印刷時の汚れ発生起点になりやすい。
【0006】
また、図1や図2に示してないが、うねり状の凹凸が不均一であると、感光層14と支持体12との密着力も低下する。それに伴い、製版後の平版印刷版の耐刷性が低下する。また、近年注目されている、直描型平版印刷版(レーザー製版用平版印刷版)の感光層14は、製版時に製版用フィルムが必要な平版印刷版原版の感光層と比較して、基板との密着性に対する感受性が高く、耐刷性の向上が望まれている。また、レーザで製版する場合は、一層露光不良が起こりやすくなるため、うねり状凹凸の均一性は極めて重要となる。
【0007】
前記のように、平版印刷版原版の耐刷性などの印刷性能に多大な影響を及ぼす平版印刷版の粗面の不均一を、アルミニウム合金板の合金組成を変えて均一化を図る提案は数多い。
例えば、従来、電解粗面化法として、Feを0.05〜1重量%、Siを0.01〜0.15重量%含有するアルミニウム合金支持体に、さらにCuを0.05〜0.1重量%を含有させることにより、微小ストリークの発生を抑制し、電解エッチングによる粗面の均一性を確保する方法が提案されている(特開平11−99763号公報)。
【0008】
また、アルミニウム合金支持体中の、Feを0.05〜1重量%、Siを0.015〜0.2重量%、およびCuを0.001重量%以下とし、かつ金属組織中に分布する単体Siを0.015重量%以上に規制することにより、電解エッチングによる粗面の均一性、疲労強度、バーニング特性に優れた支持体を得る方法が提案されている(特開平11−99764号公報)。
【0009】
また、アルミニウム合金支持体中の、Feを0.05〜1重量%、Siを0.015〜0.2重量%、およびCuを0.001〜0.05重量%とし、かつ金属組織中に分布する単体Siを0.015重量%以上に規制することにより、ストリークの発生がなく、電解エッチングによる粗面の均一性、疲労強度、バーニング特性に優れた支持体を得る方法が提案されている(特開平11−99765号公報)。
【0010】
また、アルミニウム合金支持体中の、Feを0.20〜0.6重量%、Siを0.03〜0.15重量%、およびTiを0.005〜0.05重量%以下とし、かつ前記元素の一部または全部が金属間化合物を形成し、前記金属間化合物のうち、表面に存在し、粒子径が1〜10μmであるものを1000〜8000個/mm2 に規制することにより、短時間の電解粗面化処理で未エッチング部がないピットを形成するとともに、ピットが浅い場合であっても、粗面化ピットを均一に形成する方法が提案されている(特開平11−115333号公報)。
【0011】
また、アルミニウム合金支持体中の、Feを0.20〜0.6重量%、Siを0.03〜0.15重量%、Tiを0.005〜0.05重量%、およびNiを0.005〜0.20重量%とし、かつ前記元素の一部または全部が金属間化合物を形成し、前記金属間化合物が、Alを含有し、さらにFeを20〜30重量%、Siを0.3〜0.8重量%、およびNiを0.3〜10重量%含有するように規制することにより、粗面化ピットを均一に形成する方法が提案されている(特開平9−279272号公報)。
【0012】
また、アルミニウム合金支持体中の、Feを0.20〜0.6重量%、Siを0.03〜0.15重量%、Tiを0.005〜0.05重量%、Niを0.005〜0.20重量%、Gaを0.005〜0.05重量%、およびVを0.005〜0.020重量%とし、Ti、GaおよびVの含有量を所定の関係式を満たすように規制することにより、粗面化ピットを均一に形成する方法が提案されている(特開平9−279274号公報)。
【0013】
また、アルミニウム合金支持体中の、Feを0.05〜1重量%、Siを0.01〜0.2重量%、およびCuを0.001重量%以下とし、かつ、Ni、Crの1種または2種を0.003〜0.1重量%含有させることにより、電解エッチングによる粗面の均一性に優れた支持体を得る方法が提案されている(特開平11−99760号公報)。
【0014】
しかし、特開平11−115333号公報、特開平11−99764号公報、特開平11−99765号公報、特開平9−279272号公報、特開平9−279274号公報および特開平11−99760号公報の場合のように、アルミニウム合金支持体中に、Cuが含有されていない場合、またはその含有量が0.001重量%以下の少量の場合は、深い電解粗面化ピットが得られず、耐刷性、耐汚れ性が劣る欠点がある。
【0015】
逆に、特開平11−99763号公報の場合のように、アルミニウム合金支持体中に、Cuが0.05重量%以上の大量含有されている場合は、電解粗面化が均一に行なえず、未エッチと称する粗面化不足の箇所が発生しやすく、特に耐汚れ性が劣る欠点がある。
【0016】
さらに、これらの支持体は、上述したような粗面化不足部の発生により、表面に微小な光沢部分が生じ、表面面質が劣るという欠点がある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、先の提案のFe、Si、Cu、TiおよびMgを必須成分として含有する平版印刷版用アルミニウム合金支持体が有する欠点を解消し、従来にない耐刷性、耐汚れ性および表面面質に優れる平版印刷版用アルミニウム合金支持体を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、先の提案のFe、Si、Cu、TiおよびMgを必須成分として含有するアルミニウム合金支持体において、さらに特定量のNiを必須成分とし、かつ、粗面化処理後の平均表面粗さRaの値に応じて、CuとNiの含有量を特定範囲に調節しておくことにより、大きく、深い粗面化ピットが均一にでき、微小な光沢部分が残存しないため、耐刷性、耐汚れ性および表面面質に優れる平版印刷版用支持体が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0019】
すなわち、本発明は、Feを0.2〜0.5質量%、Siを0.04〜0.20質量%、Cuを0.005〜0.040質量%、Tiを0.010〜0.040質量%、Mgを0.001〜0.020質量%、およびNiを0.10〜0.2質量%含有し、残部がAlと不可避不純物とからなるアルミニウム合金板に、電気化学的粗面化(電解粗面化)処理を含む粗面化処理を施してなる平版印刷版用支持体であって、Ni含有量:[Ni](質量%)と、Cu含有量:[Cu](質量%)と、平均表面粗さRa:[Ra](μm)とが、下記式(1)を満足する関係にあることを特徴とする平版印刷版用支持体を提供する。
[Ni]/10+[Ra]/100≦[Cu] (1)
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の平版印刷版用支持体は、アルミニウム合金からなる。必須の合金成分は、Al、Fe、Si、Cu、Ti、MgおよびNiである。
【0021】
Feは、アルミニウム合金中で、他の元素と結合して、Al−Fe系の共晶化合物を形成する。Al−Fe系の共晶化合物は、再結晶粒を微細化するとともに、均一な電気化学的粗面を形成するが、Fe含有量が0.2質量%未満では、均一粗面が得られず、電気化学的処理(電解)不足によりピットの均一性が低下する。一方、0.5質量%を超えると、粗大化合物が形成されて電解粗面化が不均一になる。よって、Feの含有量は0.2〜0.5質量%である。
Feはアルミニウム合金の機械的強度を高める作用があり、Fe含有量が0.2質量%未満では、機械的強度が低過ぎて平版印刷版として、印刷機の版胴に取り付ける際に、版切れを起こしやすくなる。一方、含有量が0.5質量%を超えると、必要以上の高強度となり、平版印刷版として印刷機の版胴に取り付ける際に、フィットネス性が劣り、印刷中に版切れを起こしやすくなるので好ましくない。支持体の強度を重視する場合には、Fe含有量を0.2〜0.4質量%とするのが好ましい。ただし、校正刷り用途に使う印刷版の場合は、これらフィットネス性や強度に関する制約は必ずしも重要ではないので、上記範囲よりやや変動させることができる。
【0022】
SiはAl中に固溶し、またはAl−Fe−Si系金属間化合物もしくはSi単独の析出物を形成して存在する。Al中に固溶したSiは電気化学的粗面を均一にする作用と電解粗面化ピットの主として深さを均一にする作用をする。ところで、Siは原材料であるAl地金に不可避不純物として含有されており、場合によっては、すでにSi含有量が0.03質量%以上のことがある。そのため、0.03質量%未満の含有量は現実的ではなく、また原材料差によるばらつきを防ぐため、意図的に微量添加されることが多い。しかし、Si含有量が0.04質量%未満では、上記作用が現れないし、高純度のAl地金が必要になり、高価となるため、この点からも現実的でない。逆に、Si含有量が0.20質量%を超えると印刷した際に、苛酷インキ汚れが悪くなるという不具合がある。ここで、苛酷インキ汚れとは、印刷を何度も中断しつつ行った場合に、平版印刷版の非画像部表面部分にインキが付着しやすくなった結果、印刷された紙等に表れる点状または円環状の汚れをいう。したがって、Si含有量は0.04〜0.20質量%、好ましくは0.05〜0.10質量%である。
【0023】
Cuは電解粗面化を制御する上で非常に重要な元素であり、ピットの均一性と、主として電解粗面化ピットの直径を均一にする。ピットの均一性は、優れた印刷適性を得るために必須である。Cu含有量が0.005質量%未満では、電気化学的にピットを形成する際の表面酸化皮膜の抵抗が過小となるため、均一なピットが形成されない。一方、含有量が0.040質量%を超えると、逆にピットを形成する際の表面酸化皮膜の抵抗が過大となるため、粗大なピットが生成されやすくなる。したがって、Cu含有量は0.005〜0.040質量%、好ましくは0.01〜0.02質量%である。
【0024】
Tiは従来より鋳造時の結晶組織を微細にするために含有されている。Ti含有量が0.040質量%を超える場合には、電解粗面化処理において、表面酸化皮膜の抵抗が過小となるため、均一なピットが形成されないという不具合が生じる。一方、含有量が0.010質量%未満では、鋳造時の結晶組織が微細化されないために、種々の工程を経て0.1〜0.5mmの厚みに仕上げた後も、鋳造時の粗大な結晶組織の痕跡が残り、外観に著しい不良を生じるという不具合がある。本発明においては、0.010〜0.040質量%、好ましくは0.020〜0.030質量%がAl−Ti合金、またはAl−B−Ti合金として添加される。
【0025】
MgはAlの再結晶組織を微細にする作用や、引張強度、耐性疲労強度、折り曲げ強度、耐熱軟化性等の機械的強度を向上させる作用がある。またMgは電解粗面化時のピットの分散を均一化させる作用もある重要成分である。Mg含有量が0.001質量%未満の場合はピットの分散が悪くなり、0.020質量%を超える場合はやはりピットの分散が悪くなる。よって、Mg含有量は0.001〜0.020質量%、好ましくは0.005〜0.020質量%、より好ましくは0.008〜0.020質量%である。
【0026】
Niは電解粗面化時のピットを均一微細にする作用がある。Ni含有量が0.005質量%未満の場合はピットの均一微細化の効果が不十分である。よって、Ni含有量は0.005〜0.2質量%、好ましくは0.10〜0.20質量%である。
【0027】
上述したCuおよびNiの含有量は、前記所定の範囲にあるだけでなく、粗面化処理後の平均表面粗さRaに応じて、上記式(1)で示される関係を満足する範囲のものであることを要する。上記式(1)で示される関係を満足することにより、得られる平版印刷版用支持体の耐刷性、耐汚れ性および表面面質のいずれもが優れたものとなる。以下に、その理由を説明する。
【0028】
上述したように、CuおよびNiはいずれもピットを制御する作用を有する成分であるが、Cuは粗面化ピットの直径を制御するものであり、Niは微細な粗面化ピットを均一に形成することで制御するものである。
本発明の平版印刷版用支持体は、電解粗面化処理されているが、後述するように、電解粗面化処理の前に機械的粗面化処理をされているのが好ましい。機械的粗面化処理は、一般に、支持体表面に大きなうねり成分を付与するものであるため、電解粗面化処理の前に機械的粗面化処理を行うと、平均表面粗さRaは大きくなり、機械的粗面化処理を行わないと、平均表面粗さRaは小さくなる。
【0029】
これを踏まえ、本発明者は、Cu含有量とNi含有量と平均表面粗さRaとについて、以下の知見を得た。
平均表面粗さRaが比較的大きい場合、例えば、0.50〜1.0μmであるときは、うねり成分が多いためアルミニウム合金板の表面積が大きくなるので、大きなピットを多く形成する必要があり、それを実現するために、Cu含有量を多くし、Ni含有量を少なくする。平均表面粗さRaが比較的小さい場合、例えば、0.30〜0.50μmであるときは、うねり成分が少ないためアルミニウム合金板の表面積が小さくなるので、大きなピットを多く形成する必要はなく、逆に大きすぎるピットの発生を防ぐために、Cu含有量は少なくてもよい。
【0030】
本発明者は、上記知見を得て、さらに、耐刷性、耐汚れ性および表面面質のいずれにも優れるものとするためのCu含有量と、Ni含有量と、平均表面粗さRaとの間の下記式(1)の関係を見出し、本発明を完成したのである。
[Ni]/10+[Ra]/100≦[Cu] (1)
ここで、[Ni]および[Cu]は、平版印刷版用支持体におけるNi含有量およびCu含有量をそれぞれ「質量%」を単位として表した場合の無名数、[Ra]は、平均表面粗さRaを「μm」を単位として表した場合の無名数を表す。また、本発明において、平均表面粗さRaとは、粗さ曲線をy=f(x)で表したとき、下記式(2)により求められる値をいう。本発明において粗さ曲線を求める際のカットオフ値λC は、0.8mmである。
【0031】
【数1】
Figure 0004059610
【0032】
本発明の平版印刷版用支持体は、各成分が所定範囲にあり、かつ、前記式(1)が満たされるので、ピットが大きく、深く、均一となり、感光層との密着性に優れ、耐刷性に優れる。また、ピットが大きく、深いため、保水性がよく、耐汚れ性にも優れる。さらには、ピットが均一であり、粗面化不足部の発生がないため、表面面質にも優れる。
【0033】
本発明においては、Al純度が99.0質量%以上、好ましくは99.4質量%以上である。したがって、Al純度(含有量)と前記の必須合金成分の前記特定含有量を差し引いた残りが、不可避不純物の含有量である。アルミニウム合金の機械的強度はAl純度に依存し、通常はAl純度が低いと、アルミニウム合金の柔軟性は低くなる。したがって、前記純度より低くなり過ぎると、平版印刷版用支持体にしたときの印刷機への装着性が悪くなる等の不具合が生じる。
【0034】
アルミニウム合金を板材とするには、例えば、下記の方法を採用することができる。まず、所定の合金成分に調整したアルミニウム合金溶湯に、常法に従い、清浄化処理を施し、鋳造する。清浄化処理には、溶湯中の水素などの不要ガスを除去するために、フラックス処理、Arガス、Clガス等を使った脱ガス処理や、セラミックチューブフィルタ、セラミックフォームフィルタ等のいわゆるリジッドメディアフィルタや、アルミナフレーク、アルミナボール等を濾材とするフィルタや、グラスクロスフィルタ等を使った、あるいは、脱ガスとフィルタリングを組み合わせた処理が行なわれる。
【0035】
ついで、アルミニウム合金溶湯を、DC鋳造法に代表される固定鋳型を用いる鋳造法、連続鋳造法に代表される駆動鋳型を用いる鋳造法のいずれかにより、鋳造する。DC鋳造法の場合、板厚300〜800mmの鋳塊が製造されるので、常法に従い、面削により表層の1〜30mm、好ましくは1〜10mmが切削される。その後、必要に応じて、均熱化処理が行なわれる。均熱化処理を行なう場合、金属間化合物が粗大化しないように、450〜620℃で1〜48時間の熱処理を行なう。1時間未満の場合は、均熱化処理の効果が不十分となる場合がある。
【0036】
その後、熱間圧延、冷間圧延を行なってアルミニウム合金板の圧延板とする。熱間圧延の開始温度は350〜500℃が適当である。冷間圧延の前もしくは後、またはその途中において、中間焼鈍処理を行なってもよい。その条件は、バッチ式焼鈍炉を用いて280〜600℃で2〜20時間、好ましくは350〜500℃で2〜10時間加熱するか、連続焼鈍炉を用いて400〜600℃で6分以下、好ましくは450〜550℃で2分以下加熱するかである。連続焼鈍炉を用いて10℃/秒以上の昇温速度で加熱して、結晶組織を細かくすることもできる。所定の厚さ、例えば、0.1〜0.5mmに仕上げられたアルミニウム合金板は、さらにローラレベラ、テンションレベラ等の矯正装置によって平面性を改善してもよい。また、所定の板幅に加工するため、スリッタラインを通すことも通常行なわれる。
【0037】
アルミニウム合金板は、ついで、平版印刷版用支持体とするために粗面化処理を施される。本発明のアルミニウム合金板は、電解粗面化処理を含む粗面化処理を施されるが、電解粗面化処理のみを施してもよく、電解粗面化処理と、機械的粗面化処理または化学的粗面化処理とを組み合わせて施してもよい。中でも、電解粗面化処理と機械的粗面化処理とを組み合わせるのが好ましく、特に、機械的粗面化処理の後に、電解粗面化処理を施されるのが好ましい。
【0038】
電解粗面化処理はアルミニウム合金板の表面に微細な凹凸(ピット)を付与することが容易であるため、印刷性の優れた平版印刷版を作るのに適している。電解粗面化処理は、硝酸または塩酸を主体とする水溶液中で、直流または交流を用いて行なわれる。
【0039】
電解粗面化処理により平均直径約0.2〜20μmのクレーターまたはハニカム状のピットをアルミニウム合金板の表面に30〜100%の面積率で生成することができる。ピットは印刷版の非画像部の汚れにくさ(耐汚れ性)と耐刷力を向上させる作用がある。また電解粗面化処理により、同時に、通常、平均表面粗さRa0.35〜1.0μmのうねり状の粗面が形成される。電解粗面化処理では、十分なピットを表面に設けるために必要なだけの電気量、すなわち、電流と通電時間との積が電解粗面化処理における重要な条件となる。より少ない電気量で十分なピットを形成できることは省エネの観点からも好ましい。本発明においては、電解粗面化処理の条件は限定されるものではなく、一般的な条件で行なうことができるが、いずれの場合も、所要電気量を大幅に削減することができる。
【0040】
機械的粗面化処理は、アルミニウム合金板の表面に、一般的には長さが10〜2000μm、高さが1〜10μm程度の「うねり状」、「しわ状」の粗面を形成する。この場合の平均表面粗さRaは、通常、0.35〜1.0μm、好ましくは0.40〜0.80μmである。機械的粗面化は、電気化学的粗面化に比べ、より効率的に「うねり状」粗面をつくることが可能である。平均表面粗さRaは、支持体表面のうねり状態を示す因子であるが、これが大きいほど、凹凸が大きく、保水性がよい。保水性は耐汚れ性のうち、網点の絡みに影響を与えるので、結局平均表面粗さRaが、耐汚れ性に影響を与えることになる。本発明における機械的粗面化処理の条件は特に制限されるものではないが、特公昭50−40047号公報に記載されている方法に従って行なうことができる。形成されるピットの形状、大きさは電解粗面化処理の場合と同程度である。また化学的粗面化処理も特に制限されるものではなく、公知の方法に従って実施可能であり、機械的粗面化処理の場合と同様なうねり、ピットが形成される。
【0041】
粗面化処理に引き続き、アルミニウム合金板の表面の耐磨耗性を高めるために陽極酸化処理が行なわれる。この場合に使用される電解質は多孔質酸化皮膜を形成するものであれば、いかなるものでもよい。一般には、硫酸、リン酸、シュウ酸、クロム酸、またはこれらの混合物が用いられる。電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。陽極酸化処理の条件は、電解質によってかなり変動するので、特定しにくいが、一般的には電解質の濃度が1〜80質量%、液温5〜70℃、電流密度1〜60A/dm2 、電圧1〜100V、電解時間10〜300秒であればよい。
【0042】
また、印刷時の汚れ性能を向上させるため、電解粗面化処理および水洗を行なった後、アルカリ溶液で軽度のエッチング処理を行い、水洗し、硫酸でデスマットを行なった後、水洗し、引続き硫酸中で直流電解を行なって陽極酸化皮膜を設けてもよい。さらに、必要に応じて、シリケート等による親水化処理を行なってもよい。
【0043】
以上のようにして本発明の平版印刷版用支持体が得られるが、該支持体はピットの均一性が高いので、これを用いた平版印刷版は、印刷性能が優れている。平版印刷版とするには、表面に感光剤を塗布、乾燥して感光層を形成すればよい。感光剤は特に限定されるものではなく、通常感光性平版印刷版に用いられるものを使用することができる。そして、リスフィルムを用いて画像を焼付け、現像処理、ガム引き処理を行なうことで、印刷機に取付け可能な印刷版とすることができる。また、高感度な感光層を設けると、レーザを使って画像を直接焼付けることもできる。
【0044】
感光剤としては、露光の前後で現像液に対する溶解性または膨潤性が変化するものであればいずれでも差し支えない。代表的なものを列記する。
【0045】
(1)o−キノンジアジド化合物からなる感光層
ポジ型感光性化合物としては、o−ナフトキノンジアジド化合物で代表されるo−キノンジアジド化合物が挙げられる。o−ナフトキノンジアジド化合物としては、特公昭43−28403号公報に記載されている1,2−ジアゾナフトキノンスルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステルが好ましい。米国特許第3,046,120号および第3,188,210号明細書に記さいされた1,2−ジアゾナフトキノンスルホン酸クロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステルも好ましい。その他公知のo−ナフトキノンジアジド化合物も使用可能である。
【0046】
特に好ましいo−ナフトキノンジアジド化合物は、分子量が1,000以下のポリヒドロキシ化合物と1,2−ジアゾナフトキノンスルホン酸クロライドとの反応で得られた化合物である。ポリヒドロキシ化合物の水酸基1当量に対し、1,2−ジアゾナフトキノンスルホン酸クロライドを0.2〜1.2当量の割合で、特に0.3〜1.0当量の割合で反応させるのが好ましい。1,2−ジアゾナフトキノンスルホン酸クロライドとしては、1,2−ジアゾナフトキノン−5−スルホン酸クロライドが好ましいが、1,2−ジアゾナフトキノン−4−スルホン酸クロライドも使用可能である。
【0047】
o−ナフトキノンジアジド化合物は、1,2−ジアゾナフトキノンスルホン酸クロライドの置換基の位置および導入量の種々異なるものの混合物になるが、水酸基がすべて1,2−ジアゾナフトキノンスルホン酸エステルに転換されたものが混合物に占める割合(完全にエステル化されたものの含有率)は5モル%以上であること、特に20〜90モル%であるのが好ましい。
【0048】
またo−ナフトキノンジアジド化合物を用いずに、ポジ型に作用する感光性化合物として、例えば特公昭56−2696号公報に記載されているo−ニトロカルビノールエステル基を有するポリマーも使用可能である。さらに、光分解により酸を発生する化合物と、酸により解離する−C−O−C−基または−C−O−Si−基を有する化合物との組み合わせ系も使用可能である。例えば、光分解により酸を発生する化合物とアセタールまたはO,N−アセタール化合物との組み合わせ(特開昭48−89003号)、オルトエステルまたはアミドアセタール化合物との組み合わせ(特開昭51−120714号)、主鎖にアセタールまたはケタール基を有するポリマーとの組み合わせ(特開昭53−133429号)、エノールエーテル化合物との組み合わせ(特開昭55−12995号)、N−アシルイミノ炭素化合物との組み合わせ(特開昭55−126236号)、主鎖にオルトエステル基を有するポリマーとの組み合わせ(特開昭56−17345号)、シリルエステル化合物との組み合わせ(特開昭60−10247号)およびシリルエーテル化合物との組み合わせ(特開昭60−37549号、特開昭60−121446号)等が挙げられる。
【0049】
感光層の感光性組成物中に占めるポジ型感光性化合物(前記のような組み合わせ系も含む)の割合は10〜50質量%が好ましく、15〜40質量%がより好ましい。
【0050】
o−キノンジアジド化合物は単独でも感光層を構成し得るが、結合剤(バインダー)としてのアルカリ水に可溶な樹脂とともに使用することが好ましい。アルカリ水に可溶な樹脂としては、ノボラック樹脂があり、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール混合(m−、p−、m−/p−混合のいずれでもよい)−ホルムアルデヒド樹脂等のクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール変性キシレン樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリハロゲン化ヒドロキシスチレン、特開昭51−34711号公報に開示されているようなフェノール性水酸基を含有するアクリル系樹脂、特開平2−866号公報に記載のスルホンアミド基を有するアクリル系樹脂や、ウレタン系樹脂等種々のアルカリ可溶性のポリマーを含有させることができる。アルカリ可溶性のポリマーは重量平均分子量が500〜20,000で、数平均分子量が200〜60,000のものが好ましい。
【0051】
アルカリ可溶性のポリマーは全組成物の70質量%以下含有される。さらに米国特許第4,123,279号明細書に記載されているように、t−ブチルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂のような炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの重縮合で得られる樹脂を併用することは画像の感脂性を向上させるので好ましい。
【0052】
感光性組成物には、感度を高めるために環状酸無水物、露光後直ちに可視像を得るための焼出し剤、画像着色剤としての染料やその他の充填材等を含有させることができる。環状酸無水物は、米国特許第4,115,128号明細書に記載されているように無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシ−△4 −テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸等が使用される。環状酸無水物は、全組成物の質量に対して1〜15質量%含有させることによって、感度を最大3倍程度に高めることができる。露光後直ちに可視像を得るための焼出し剤としては、露光によって酸を放出する感光性化合物と塩を形成し得る有機染料の組み合わせを代表として挙げることができる。
【0053】
具体的には、特開昭50−36209号公報、特開昭53−8128号公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組み合わせや、特開昭53−36233号公報、特開昭54−74728号公報、特開昭60−3626号公報、特開昭61−143748号公報、特開昭61−151644号公報、特開昭63−58440号公報に記載されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の組み合わせを挙げることができる。画像の着色剤としては、前記の塩形成性有機染料以外の他の染料も使用可能である。塩形成性有機染料を含めて好適な染料は油溶性染料や塩基染料である。
【0054】
具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上はすべて、オリエント化学工業社製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、ローダミンB(CI45170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等を挙げることができる。特開昭62−293247号公報に記載されている染料が特に好ましい。
【0055】
感光性組成物は、前記諸成分を溶解する溶媒に溶解させて支持体に塗布される。溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、トルエン、酢酸メチル、乳酸メチル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、水、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフルフリルアルコール、アセトン、ジアセトンアルコール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコール、ジメチルエーテル等が挙げられる。これらは混合して使用することもできる。
【0056】
溶液に占める前記成分(固形分)は2〜50質量%である。塗布量は用途により異なるが、例えば、感光性平版印刷版について言えば、一般的に固形分として0.5〜3.0g/m2 が好ましい。塗布量が少なくなるにつれて感光性は増大するが、感光膜の物性が低下する。
【0057】
感光性組成物には、塗布性を良くするために界面活性剤、例えば特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を含有させる。好ましい含有量は、全感光性組成物の0.01〜1質量%、好ましくは0.05〜0.5質量%である。
【0058】
(2)ジアゾ樹脂とバインダーとからなる感光層
ネガ作用型感光性ジアゾ化合物としては、米国特許第2,063,631号明細書および米国特許第2,667,415号明細書に開示されているジアゾニウム塩とアルドールやアセタールのような反応性カルボニル基を有する有機縮合剤との反応生成物であるジフェニルアミン−p−ジアゾニウム塩とホルムアルデヒドとの縮合生成物(いわゆる感光性ジアゾ樹脂)が好適に用いられる。
【0059】
他の有用な縮合ジアゾ化合物は特公昭49−48001号公報、特公昭49−45322号公報、特公昭49−45323号公報等に記載されている。この型の感光性ジアゾ化合物は通常水溶性無機塩の形で得られるので、水溶液として塗布することができる。また、水溶性ジアゾ化合物を特公昭47−1167号公報に記載される方法により、1個またはそれ以上のフェノール性水酸基、スルホン酸基またはその両者を有する芳香族または脂肪族化合物と反応させ、その生成物である実質的に水不溶性の感光性ジアゾ樹脂を使用することもできる。
【0060】
ジアゾ樹脂の含有量は、感光層中に5〜50質量%含有されているのがよい。その含有量が少なくなれば感光性は当然増大するが、経時安定性が低下する。最適のジアゾ樹脂の含有量は約8〜20質量%である。一方、バインダーとしては、種々のポリマーが使用可能である、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アミド基、スルホンアミド基、活性メチレン基、チオアルコール基、エポキシ基を含むものがよい。
【0061】
具体的には、英国特許第1,350,521号明細書に記載されているシェラック、英国特許第1,460,978号明細書および米国特許第4,123,276号明細書に記載されているようなヒドロキシエチル(メタ)アクリレート単位を主たる繰返単位として含むポリマー、米国特許第3,751,257号明細書に記載されているポリアミド樹脂、英国特許第1,074,392号明細書に記載されているフェノール樹脂、および例えばポリビニルフォルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂のようなポリビニルアセタール樹脂、米国特許第3,660,097号明細書に記載されている線状ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコールのフタレート化樹脂、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンから得られるエポキシ樹脂、ポリアミノスチレンやポリアルキルアミノ(メタ)アクリレートのようなアミノ基を含むポリマー、酢酸セルロース、セルロースアルキルエーテル、セルロースアセテートフタレート等のセルロース誘導体が包含される。
【0062】
ジアゾ樹脂とバインダーからなる組成物には、さらに、英国特許第1,041,463号明細書に記載されているようなpH指示薬、米国特許第3,236,646号明細書に記載されているリン酸、染料等の添加剤を含有させることができる。
【0063】
感光層の膜厚は0.1〜30μm、より好ましくは0.5〜10μmである。支持体上に設けられる感光層の量(固形分)は約0.1〜約7g/m2 、好ましくは0.5〜4g/m2 である。平版印刷版は画像露光された後、常法により現像を含む処理によって樹脂画像が形成される。例えば、感光層(A)を有するポジ型感光性平版印刷版の場合には、画像露光後、米国特許第4,259,434号明細書および特開平3−90388号公報に記載されているようなアルカリ水溶液で現像することにより露光部分の感光層が除去されて、平版印刷版が得られる。
【0064】
またジアゾ樹脂とバインダーからなる感光層(B)を有するネガ型感光性平版印刷版の場合には、画像露光後、例えば米国特許第4,186,006号明細書に記載されているような現像液で現像することにより、未露光部分の感光層が除去されて平版印刷版が得られる。また、特開平5−2273号公報または特開平4−219759号公報に記載されたネガ型感光性平版印刷版の場合には、該公報に記載されているようにアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液で現像することができる。
【0065】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
1.平版印刷版用支持体の製造(例1、2、5、6、実施例3,4,7、8および比較例1〜)Feを0.28質量%、Siを0.08質量%、Tiを0.030質量%およびMgを0.012質量%含有し、かつ、CuおよびNiをそれぞれ第1表に示す割合で含有するアルミニウム合金板を製造した。得られたアルミニウム合金板について、例1、2、実施例3,4および比較例1〜4については第2表に示す処理Aを行い、例5、6、実施例7、8および比較例5〜9については第2表に示す処理Bを行い、平版印刷版用支持体を得た。
【0066】
処理AおよびBにおける各処理の条件は、以下の通りである。
ブラシによる粗面化処理は、8号ブラシ(材質ナイロン、ブラシ毛径0.5mm)3本とパミストン懸濁液を使用し、回転速度250rpmで、0.5秒間行った。
アルカリエッチング処理は、エッチング液として、苛性ソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、液温65℃の溶液を使用して行った。電解粗面化処理は、電解液として、硫酸濃度1質量%、アルミニウムイオン濃度0.5質量%の溶液を使用し、交流電流で行った。
陽極酸化処理は、電解液として、15質量%の硫酸溶液を使用し、直流電流で行った。
【0067】
得られた平版印刷版用支持体の平均表面粗さRaは、1、2、実施例3,4および比較例1〜4については約0.6μm、5,6、実施例7、8および比較例5〜9については約0.3μmであった。なお、平均表面粗さRaは、JIS B0601−1994の規定に準拠して、カットオフ値λC=0.8mmで、表面粗さ計([サーフコム]、東京精密製)を用いて、測定長さ3.0mm、垂直方向倍率10000倍、水平方向倍率50倍、測定速度0.3mm/secで測定した。
【0068】
2.表面面質の評価
得られた平版印刷版用支持体について、以下の方法により、表面面質を評価した。評価は、表面の微小な光沢部分の多い少ないを目視により官能評価して行った。表面の微小な光沢部分が全くないものを○、非常に多いものを×とし、その中間に少ない方から順に○△、△、△×という序列をつけ、○△以上を合格レベルとした。
【0069】
3.感光性平版印刷版の作製
各実施例および比較例で得られた平版印刷版用支持体に、下記組成の感光剤組成物を乾燥後の塗布量が2.5g/m2 となるように塗布、乾燥して感光層を設け、各感光性平版印刷版を得た。
Figure 0004059610
【0070】
4.印刷試験
得られた感光性平版印刷版を真空焼枠中で、透明ポジティブフィルムを通して1mの距離から3kWのメタルハライドランプにより、50秒間露光した後、ケイ酸ナトリウムの5.26質量%水溶液(SiO2 /Na2 O=1.74(モル比)、pH12.7)で現像した。現像後、十分水洗し、ガム引きした後、常法の手順で印刷した。
【0071】
5.耐刷性および耐汚れ性の評価
耐刷性および耐汚れ性を下記の方法で評価した。
(1)耐刷性
ベタ画像部が薄くかすれ始めるまでの印刷枚数により、5段階評価した。
○ :100,000枚以上
○△:95,000枚以上100,000枚未満
△ :90,000枚以上95,000枚未満
△×:85,000枚以上90,000枚未満
× :85,000枚未満
【0072】
(2)耐汚れ性
耐汚れ性は、ブランケット汚れおよび網点の絡みにより評価した。
▲1▼ブランケット汚れ
1000枚印刷した後のブランケットの汚れ具合を目視観察して、5段階評価した。汚れの少ない方から、○、○△、△、△×、×とした。
▲2▼網点の絡み
湿し水の量を段階的に減らして、上記と同様の印刷試験を行い、面積率50%の網点部に関し、網点と網点との間にインキが付着し始めた湿し水の量で、5段階評価した。インキが付着し始めた湿し水の量が少ない方から、○、○△、△、△×、×とした。
印刷現場によっては、標準的な湿し水の量より少ない量で印刷を行うことがあり、そのような場合においても網点間にインキが付着しない方が好ましいので、網点の絡みを耐汚れ性の評価基準の一つとした。
【0073】
各平版印刷版用支持体の表面面質、耐刷性および耐汚れ性の結果を第1表に示す。比較例1〜9は、下線部が本発明の範囲外となる。
本発明の平版印刷版用支持体は、平均表面粗さRaに応じて、Cu含有量およびNi含有量を前記式(1)を満足するように調節したため、大きく、深い粗面化ピットが均一にでき、表面の未エッチ(粗面化不足部)が少なく、その結果、表面面質、耐刷性および耐汚れ性(ブランケット汚れおよび網点の絡みで評価)のいずれにも優れることが分かる(実施例1〜8)。
これに対し、Cu含有量が本発明の範囲より少ない場合には、耐刷性および網点の絡みに劣る(比較例1、5および6)。
また、Cu含有量およびNi含有量が上記式(1)を満足しない場合は、耐刷性、ブランケット汚れおよび網点の絡みのいずれかに劣り、かつ、表面面質も劣る(比較例2〜4および7)。
また、比較例8は、式(1)を満足するが、Ni含有量が本発明の範囲外であるため、ピットが均一にできず、ブランケット汚れに劣る。
また、比較例9は、式(1)を満足するが、Cu含有量が多すぎるため、ピットが粗大になりすぎ、表面面質、ブランケット汚れおよび網点の絡みに劣る。
【0074】
【表1】
Figure 0004059610
【0075】
【表2】
Figure 0004059610
【0076】
【発明の効果】
本発明の平版印刷版用支持体は、電解粗面化処理で得られたピットが大きく、深く、均一であるため、感光層との密着性に優れ、耐刷性に優れる。また、ピットが大きく、深いため、保水性がよく、耐汚れ性にも優れる。さらには、ピットが均一であり、粗面化不足部の発生がないため、表面面質にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の平版印刷版原版の支持体と感光層との界面の1例を模式的に示す断面図である。(a)は露光前、(b)は露光中、(c)は露光後を示す。
【図2】 従来の平版印刷版原版の支持体と感光層との界面の他の1例を模式的に示す断面図である。(a)は露光前、(b)は露光中、(c)は露光後を示す。
【符号の説明】
10 従来の平版印刷版原版
12 支持体
14 感光層
p ピット
p’ 不均一なピット

Claims (1)

  1. Feを0.2〜0.5質量%、Siを0.04〜0.20質量%、Cuを0.005〜0.040質量%、Tiを0.010〜0.040質量%、Mgを0.001〜0.020質量%、およびNiを0.10〜0.2質量%含有し、残部がAlと不可避不純物とからなるアルミニウム合金板に、電気化学的粗面化処理を含む粗面化処理を施してなる平版印刷版用支持体であって、Ni含有量:[Ni](質量%)と、Cu含有量:[Cu](質量%)と、平均表面粗さRa:[Ra](μm)とが、下記式(1)を満足する関係にあることを特徴とする平版印刷版用支持体。
    [Ni]/10+[Ra]/100≦[Cu] (1)
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