JP2001277746A - 平版印刷版用支持体 - Google Patents

平版印刷版用支持体

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JP2001277746A
JP2001277746A JP2000091197A JP2000091197A JP2001277746A JP 2001277746 A JP2001277746 A JP 2001277746A JP 2000091197 A JP2000091197 A JP 2000091197A JP 2000091197 A JP2000091197 A JP 2000091197A JP 2001277746 A JP2001277746 A JP 2001277746A
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aluminum alloy
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JP2000091197A
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Hirokazu Sawada
宏和 澤田
Akio Uesugi
彰男 上杉
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Fuji Photo Film Co Ltd
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    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41NPRINTING PLATES OR FOILS; MATERIALS FOR SURFACES USED IN PRINTING MACHINES FOR PRINTING, INKING, DAMPING, OR THE LIKE; PREPARING SUCH SURFACES FOR USE AND CONSERVING THEM
    • B41N3/00Preparing for use and conserving printing surfaces
    • B41N3/03Chemical or electrical pretreatment
    • B41N3/034Chemical or electrical pretreatment characterised by the electrochemical treatment of the aluminum support, e.g. anodisation, electro-graining; Sealing of the anodised layer; Treatment of the anodic layer with inorganic compounds; Colouring of the anodic layer

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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐刷性と耐苛酷インキ汚れ性に優れた平版印刷
版原版の基になるアルミニウム合金板からなる平版印刷
版用支持体の提供。 【解決手段】Feを0.2〜0.5質量%、Siを0.
04〜0.20質量%、Cuを0.005〜0.040
質量%、Tiを0.010〜0.040質量%、および
Mgを0.002〜0.020質量%含有するアルミニ
ウム合金板に、粗面化処理と陽極酸化処理を行なって得
た平版印刷版用支持体において、平均表面粗さRaを
0.2〜2.0μmとし、Si含有量(Si)、Cu含
有量(Cu)と該支持体の平均表面粗さRaとを下記の
実験式1を満足するようにして、課題を達成。 −2(Cu)+0.14−Ra/10 ≦ (Si) ≦ −(Cu) +0.22−Ra/10 ( 1)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平版印刷版用支持
体、特に耐刷性と耐苛酷インキ汚れ性に優れた平版印刷
版用支持体に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム板を支持体とする感光性平
版印刷版はオフセット印刷に幅広く使用されている。平
版印刷版原版は、一般的に、アルミニウム板の表面を粗
面化し、さらに陽極酸化処理を行なった後、感光液を塗
布、乾燥して感光層を形成することによって製造され
る。平版印刷版原版は、画像に露光された後、現像液に
よって現像され、ポジ型の平版印刷版原版では、露光部
が除去され、またネガ型の平版印刷版原版では、非露光
部が除去され、製版され、平版印刷版となる。その後、
平版印刷版は、印刷機の版胴に取り付けられ、その表面
にインクと湿し水が供給され、印刷に供されることで感
光層の残った部分は親インク性を示して画像部となり、
感光層が除去された部分は親水性を示して非画像部とな
って、ブランケット胴に転写した上で紙に印刷される。
このように、平版印刷版原版では、露光によって感光層
の物性を変化させ、この物性変化を利用して、製版を行
なっている。
【0003】前記のアルミニウム合金板の粗面化方法と
しては、従来から、ボールグレインやブラシグレイン等
の機械的粗面化法、塩酸や硝酸等を主体とする電解液を
用いて電解エッチングする電気化学的粗面化法、酸溶液
あるいはアルカリ溶液によりエッチングする化学的粗面
化法等が知られている。電気化学的粗面化法により得ら
れた粗面が、ピットが均質で、印刷性能に優れるため、
近年多く使われている。また、電気化学的粗面化法と機
械的粗面化法や化学的粗面化法などの他の粗面化法とを
組み合わせて粗面化されることも多い。
【0004】平版印刷版の粗面が不均一の場合は、平版
印刷版原版の耐刷性などの印刷性能に多大な影響を及ぼ
すので、平版印刷版の粗面の不均一性を改善する提案は
数多く、特に電気化学的粗面化法においては、アルミニ
ウム合金板の合金組成を変えて均一化を図る提案や、電
解電源の波形や周波数に関する提案が数多くある。
【0005】例えば、Feを0.05〜1重量%、Si
を0.01〜0.15重量%含有するアルミニウム合金
支持体に、Cuを0.05〜0.1重量%を含有させる
ことにより、微小ストリークの発生を抑制し、電解エッ
チングによる粗面の均一性を確保する方法が提案されて
いる(特開平11−99763号公報)。
【0006】また、アルミニウム合金支持体中の、Fe
を0.05〜1重量%、Siを0.015〜0.2重量
%、およびCuを0.001重量%以下とし、かつ金属
組織中に分布する単体Siを0.015重量%以上に規
制することにより、電解エッチングによる粗面の均一
性、疲労強度、バーニング特性に優れた支持体を得る方
法が提案されている(特開平11−99764号公
報)。
【0007】また、アルミニウム合金支持体中の、Fe
を0.05〜1重量%、Siを0.015〜0.2重量
%、およびCuを0.001〜0.05重量%とし、か
つ金属組織中に分布する単体Siを0.015重量%以
上に規制することにより、ストリークの発生がなく、電
解エッチングによる粗面の均一性、疲労強度、バーニン
グ特性に優れた支持体を得る方法が提案されている(特
開平11−99765号公報)。
【0008】また、アルミニウム合金支持体中の、Fe
を0.20〜0.6重量%、Siを0.03〜0.15
重量%、およびTiを0.005〜0.05重量%以下
とし、かつ前記元素の一部または全部が金属間化合物を
形成し、前記金属間化合物のうち、表面に存在し、粒子
径が1〜10μmであるものを1000〜8000個/
mm2 に規制することにより、短時間の電解粗面化処理
で未エッチング部がないピットを形成するとともに、ピ
ットが浅い場合であっても、粗面化ピットを均一に形成
する方法が提案されている(特開平11−115333
号公報)。
【0009】しかし、特開平11−115333号公
報、特開平11−99764号公報および特開平11−
99765号公報の場合のように、アルミニウム合金支
持体中に、Cuが含有されていない場合、またはその含
有量が0.001重量%以下の少量の場合は、深い電解
粗面化ピットが得られず、耐刷性、耐インキ汚れ性が劣
る欠点がある。
【0010】逆に、特開平11−99763号公報の場
合のように、アルミニウム合金支持体中に、Cuが0.
05重量%以上の大量含有されている場合は、電解粗面
化が均一に行なえず、未エッチングと称する粗面化不足
の箇所が発生しやすく、特に耐インキ汚れ性が劣る欠点
がある。
【0011】また、特開平11−99765号公報の場
合は、アルミニウム合金支持体中に存在する4種のSi
の形態のうちの1種である、単体Siが0.015重量
%以上の多量存在するため、陽極酸化皮膜の欠陥が発生
しやすく、それに起因する耐苛酷インキ汚れ性が大きく
劣る欠点がある。
【0012】これに対し、本願出願人は先に、Feを
0.05〜0.5重量%、Siを0.03〜0.15重
量%、Cuを0.006〜0.03重量%、Tiを0.
010〜0.040重量%、およびLi、Na、K、R
bなどの33種の元素の少なくとも1種を1〜100p
pm含有し、Al純度を99.0重量%以上に規制した
アルミニウム合金支持体を、電気化学的粗面化を含む粗
面化処理すると、粗面化効率が優れ、かつ粗面化形状が
非常に均一である平版印刷版用支持体が得られることを
提案している(特開2000−37965号)。この平
版印刷版用支持体のピットは確かに均一性が高いが、耐
苛酷インキ汚れ性の改善は必ずしも十分でないという問
題がある。
【0013】また、本願出願人は、特開2000−37
965号のアルミニウム合金支持体、すなわち、Fe、
Si、Cu、Ti、およびLi、Na、K、Rbなどの
33元素を特定量含有するアルミニウム合金支持体に、
さらに特定量のMgを含有させたアルミニウム合金支持
体を、電気化学的粗面化処理によって、均一に粗面化し
たものが、レーザー光源を使用した製版に適した平版印
刷版用支持体となることを提案している(特願平11−
301241号)。しかし、このアルミニウム合金支持
体は、耐苛酷インキ汚れ性を向上させることができない
という問題を有している。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、先の提案の
Fe、Si、Cu、TiおよびMgを必須成分として含
有する平版印刷版用アルミニウム合金支持体が有する欠
点を解消し、従来にない耐苛酷インキ汚れ性と耐刷性に
優れた平版印刷版原版の基になる平版印刷版用アルミニ
ウム合金支持体を提供することを目的とするものであ
る。なお「苛酷インキ汚れ」とは、アルミニウム合金支
持体の陽極酸化皮膜の上に発生する点または円環状の汚
れのことを言う。
【0015】
【課題を解決するための手段】平版印刷版原版は、ピッ
トが形成されているアルミニウム合金板支持体とその上
に感光層を有する積層体であり、その表面に画像を焼付
け現像を行うと、感光層が除去された非画像部と、感光
層が残った画像部ができることで画像が記録される。印
刷時は、そのようにして画像を記録した平版印刷版に、
インキと湿し水を供給することで画像部にはインキ、非
画像部には湿し水が付着し、ブランケットを介して紙な
どに印刷される。しかし、印刷を中断すると、非画像部
に残った湿し水は徐々に蒸発し、水中に混入した物質は
濃化し、場合によっては非画像部表面を侵す。その結
果、該表面部分は親水性を失い、印刷中にインキが付着
し易くなり、点状または円環状の汚れとなる。これは苛
酷インキ汚れと言われるが、本願出願人は、湿し水中の
塩素イオンがこの現象に大きく関与していることを見出
し、そのスクリーニング方法に関して前述の提案をした
(特願平11−301241号)。
【0016】さらに、本発明者は、苛酷インキ汚れにつ
いて追求し、Fe、Si、Cu、TiおよびMgを必須
成分として含有する平版印刷版用アルミニウム合金支持
体において、ピットの深さは感光層と支持体の密着に大
きく関与し、適切な深さがないと感光層と支持体間の密
着度が低下し耐刷性が低下すること、およびピットの深
さの不均一が苛酷インキ汚れの原因の一つであることを
究明し、ピットの深さに係わる粗面の均一性は、主とし
てアルミニウム合金板のSiの含有量で制御できるこ
と、さらに、そのSi含有量はCu含有量と特定の関係
に維持されて、初めて有効なことを見出した。
【0017】また、本発明者は、Fe、Si、Cu、T
iおよびMgを必須成分として含有する平版印刷版用ア
ルミニウム合金支持体において、ピットの径は感光層と
支持体の密着に大きく関与し、適切な径でないと感光層
と支持体間の密着度が低下し耐刷性が低下すること、お
よびピットの径の不均一が苛酷インキ汚れの原因の一つ
となり得ることを究明し、主としてピットの径に係わる
粗面の均一性は、アルミニウム合金板のCu含有量で制
御できること、そして、そのCu含有量は、前述したよ
うに、ピットの深さの制御に大きな影響を与えるSi含
有量を規制する重要な意味を持つことを見出した。
【0018】さらに、本発明者は、非画像部の保水力
(非画像部表面の湿し水を保持する能力)が大きいと、
前述の湿し水蒸発の過程で該表面が侵されやすいこと、
および非画像部の保水力を表す特性値として、平均表面
粗さRaが有効であることを見出した。すなわち、平均
表面粗さRaが小さいほど保水力が小さくなり、苛酷イ
ンキ汚れは発生しにくくなるが、保水力はその他の印刷
性能を左右する非常に重要な因子であることから、保水
力が小さ過ぎることは好ましくなく、各種性能がバラン
スよく共存出来る好適範囲が存在することを知見し、本
発明を完成した。また、アルミニウム合金板のSi含有
量が過剰であると、Si自身が、湿し水蒸発時の非画像
部侵食の起点になりやすいので、平均表面粗さRaに応
じてSi含有量を適正範囲に制御する必要があることを
知見したことも、本発明の完成の一因である。
【0019】本発明者は、以上の知見、すなわち、F
e、Si、Cu、TiおよびMgを必須成分として含有
するアルミニウム合金支持体において、耐刷性、耐苛酷
インキ汚れ性はCu含有量、Si含有量を調整すること
によって制御できること、さらに耐苛酷インキ汚れ性が
平均表面粗さRaの影響を受けることを見出し、これに
基づいて、従来の平版印刷版用支持体が有する欠点がな
く、陽極酸化被膜の欠陥が少なく、したがって、平版印
刷版原版とした時の印刷性、インキ汚れ性、耐刷性が著
しく改善された平版印刷版用支持体を得るに至った。
【0020】したがって、本発明は、Feを0.2〜
0.5質量%、Siを0.04〜0.20質量%、Cu
を0.005〜0.040質量%、Tiを0.010〜
0.040質量%、およびMgを0.002〜0.02
0質量%含有し、残部がAlと不可避不純物とからなる
アルミニウム合金板に、電気化学的粗面化処理と陽極酸
化処理を行なって得た平版印刷版用支持体において、そ
の平均表面粗さRaが0.2〜2.0μmであって、S
i含有量[Si]、Cu含有量[Cu]と平均表面粗さ
Raとが下記の実験式1を満足する関係にあることを特
徴とする平版印刷版用支持体である。 −2[Cu]+0.14−Ra/10 ≦ [Si] ≦ −[Cu] +0.22−Ra/10 (1)
【0021】また、好ましい本発明は、粗面化処理が電
気化学的粗面化処理と、機械的粗面化処理および/また
は化学的粗面化処理の組合せであることを特徴とする平
版印刷版用支持体である。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の平版印刷版用支持体はア
ルミニウム合金である。必須の合金成分は、Al、F
e、Si、Cu、TiおよびMgである。
【0023】Feは、アルミニウム合金中で、他の元素
と結合して、Al−Fe系の共晶化合物を形成する。A
l−Fe系の共晶化合物は、再結晶粒を微細化するとと
もに、均一な電気化学的粗面を形成するが、Fe含有量
が0.2質量%未満では、均一粗面が得られず、電気化
学的処理(電解)不足によりピットの均一性が低下す
る。一方、0.5質量%を超えると、粗大化合物が形成
されて電気化学的粗面化が不均一になる。よって、Fe
の含有量は0.2〜0.5質量%である。
【0024】Feはアルミニウム合金の機械的強度を高
める作用があり、Fe含有量が0.2質量%未満では、
機械的強度が低すぎて平版印刷版として、印刷機の版胴
に取り付ける際に、版切れを起こしやすくなる。一方、
含有量が0.5質量%を超えると、必要以上の高強度と
なり、平版印刷版として印刷機の版胴に取り付ける際
に、フィットネス性が劣り、印刷中に版切れを起こしや
すくなるので好ましくない。支持体の強度を重視する場
合には、Fe含有量を0.2〜0.4質量%とするのが
好ましい。ただし、校正刷り用途に使う印刷版の場合
は、これらフィットネス性や強度に関する制約は必ずし
も重要ではないので、上記範囲よりやや変動させること
ができる。
【0025】SiはAl中に固溶するか、またはAl−
Fe−Si系金属間化合物またはSi単独の析出物を形
成する。Al中に固溶したSiは電気化学的粗面を均一
にする作用、ピットの主として深さを均一にする作用を
する。ところで、Siは原材料であるAl地金に不可避
不純物として含有されており、場合によっては、すでに
Si含有量が0.03質量%以上のことがある。そのた
め、0.03質量%未満の含有量は現実的ではなく、ま
た原材料差によるばらつきを防ぐため、意図的に微量添
加されることが多い。しかし、Si含有量が0.04質
量%未満では、上記作用が現れないし、高純度のAl地
金が必要になり、高価となるため、この点からも現実的
でない。逆に、Si含有量が0.20質量%を超えると
印刷した際に、耐苛酷インキ汚れ性が悪化するという不
具合がある。したがって、Si含有量は0.04〜0.
20質量%、好ましくは0.05〜0.10質量%であ
る。
【0026】Siの含有量は、さらにCu含有量と特定
の関係にあることが重要であり、定数(助変数)を平均
表面粗さRaとし、Cu含有量と前記実験式1で示され
る関係に調整される必要がある。実験式1で示される関
係を満足することにより、前記したように、ピットの深
さ、直径等に係わる粗面の均一化を達成することがで
き、かつ耐苛酷インキ汚れ性を良好にすることができ
る。なお実験式1は、後記する実施例および比較例から
誘導される。
【0027】Cuは電気化学的粗面化を制御する上で非
常に重要な元素であり、ピットの均一性、主としてピッ
トの直径の均一化に寄与する。Cu含有量が0.005
質量%未満では、電気化学的にピットを形成する際の表
面酸化皮膜の抵抗が過小となるため、均一なピットが形
成されない。一方、含有量が0.040質量%を超える
と、逆にピットを形成する際の表面酸化皮膜の抵抗が過
大となるため、粗大なピットが生成されやすくなる。し
たがって、Cu含有量は0.005〜0.040質量
%、好ましくは0.01〜0.02質量%である。ま
た、前記した実験式1で示すように、Cu含有量はSi
含有量と特定の関係にあることが必要である。実験式1
で示される関係を満足することにより、前記したよう
に、ピットの直径、深さ等に係わる粗面の均一化を達成
することができる。
【0028】Tiは従来より鋳造時の結晶組織を微細に
するために含有されている。Ti含有量が0.040質
量%を超える場合には、電気化学的粗面化処理におい
て、表面酸化皮膜の抵抗が過小となるため、均一なピッ
トが形成されないという不具合が生じる。一方、含有量
が0.010質量%未満では、鋳造時の結晶組織が微細
化されないために、種々の工程を経て0.1〜0.5m
mの厚みに仕上げた後も、鋳造時の粗大な結晶組織の痕
跡が残り、外観に著しい不良を生じるという不具合があ
る。本発明においては、0.010〜0.040質量
%、望ましくは0.020〜0.030質量%がAl−
Ti合金、またはAl−B−Ti合金として添加され
る。
【0029】MgはAlの再結晶組織を微細にする作用
や、引張強度、耐性疲労強度、折り曲げ強度、耐熱軟化
性等の機械的強度を向上させる作用がある。またMgは
電解粗面化時のピットの分散を均一化させる作用、すな
わち粗面の均一化にも寄与する重要成分である。Mg含
有量が0.002質量%未満の場合は、ピットの分散が
悪く、耐苛酷インキ汚れ性が劣り、0.020質量%を
超える場合は、やはりピットの分散が悪く、耐苛酷イン
キ汚れ性が劣る。よって、Mg含有量は0.002〜
0.020質量%、好ましくは0.005〜0.020
質量%、より好ましくは0.008〜0.020質量%
である。
【0030】本発明においては、Al純度が99.0質
量%以上、好ましくは99.4質量%以上である。した
がって、Al純度(含有量)と前記の必須合金成分の前
記特定含有量を差し引いた残りが、不可避不純物の含有
量である。アルミニウム合金の機械的強度はAl純度に
依存し、通常はAl純度が低いと、アルミニウム合金の
柔軟性は低くなる。したがって、該純度より低くなり過
ぎると、平版印刷版用支持体にした時の印刷機への装着
性が悪くなる等の不具合が生じる。
【0031】アルミニウム合金を板材とするには、例え
ば下記の方法が採用される。まず、所定の合金成分に調
整したアルミニウム合金溶湯に、常法に従い、清浄化処
理を施し、鋳造する。清浄化処理には、溶湯中の水素な
どの不要ガスを除去するために、フラックス処理、Ar
ガス、Clガス等を使った脱ガス処理や、セラミックチ
ューブフィルタ、セラミックフォームフィルタ等のいわ
ゆるリジッドメディアフイルターや、アルミナフレー
ク、アルミナボール等を濾材とするフィルターや、グラ
スクロスフィルター等を使った、あるいは脱ガスとフィ
ルターリングを組み合わせた処理が行なわれる。
【0032】ついで、アルミニウム合金溶湯を、DC鋳
造法に代表される固定鋳型を用いる鋳造法、連続鋳造法
に代表される駆動鋳型を用いる鋳造法のいずれかによ
り、鋳造する。DC鋳造法の場合、板厚300〜800
mmの鋳塊が製造されので、常法に従い、面削りにより
表層の1〜30mm、望ましくは1〜10mmが切削さ
れる。その後、必要に応じて、均熱化処理が行なわれ
る。均熱化処理を行なう場合、金属間化合物が粗大化し
ないように、450〜620℃で1〜48時間の熱処理
を行なう。1時間未満の場合は、均熱化処理の効果が不
十分となる。
【0033】その後、熱間圧延、冷間圧延を行なってア
ルミニウム合金板の圧延板とする。熱間圧延の開始温度
は350〜500℃が適当である。冷間圧延の前、後、
途中において、中間焼鈍処理を行なってもよい。その条
件は、バッチ式焼鈍炉を用いて280〜600℃で2〜
20時間、好ましくは350〜500℃で2〜10時間
加熱するか、連続焼鈍炉を用いて400〜600℃で6
分以下、望ましくは450〜550℃で2分以下加熱す
るかである。連続焼鈍炉を用いて10℃/秒以上の昇温
速度で加熱して、結晶組織を細かくすることもできる。
所定の厚さ、例えば、0.1〜0.5mmに仕上げられ
たアルミニウム合金板は、さらにローラレベラ、テンシ
ョンレベラ等の矯正装置によって平面性を改善してもよ
い。また、所定の板幅に加工するため、スリッタライン
を通すことも通常行なわれる。
【0034】アルミニウム合金板は、ついで、平版印刷
版用支持体とするために粗面化処理されるが、本発明の
アルミニウム合金板は、前述したように電気化学的粗面
化処理に適しており、電気化学的粗面化処理と機械的粗
面化処理および/または化学的粗面化処理との組合わせ
にも好都合である。電気化学的粗面化処理はアルミニウ
ム合金板の表面に微細な凹凸を付与することが容易であ
るため、印刷性の優れた平版印刷版を作るのに適してい
る。電気化学的粗面化処理は硝酸または塩酸を主体とす
る水溶液中で、直流または交流を用いて行なわれる。
【0035】電気化学的粗面化処理により平均直径約
0.5〜20μmのクレーターまたはハニカム状のピッ
トをアルミニウム合金板の表面に30〜100%の面積
率で生成することができる。ピットは印刷版の非画像部
の汚れ難さ(耐苛酷インキ汚れ性)と耐刷力を向上させ
る作用がある。また電気化学的粗面化処理により、同時
に、平均表面粗さRa約0.35〜1.0μmのうねり
状の粗面を形成することもできる。電気化学的粗面化処
理では、十分なピットを表面に設けるために必要なだけ
の電気量、すなわち電流と通電時間との積が電気化学的
粗面化処理における重要な条件となる。より少ない電気
量で十分なピットを形成できることは省エネの観点から
も好ましい。本発明においては、電気化学的粗面化処理
の条件は限定されるものではなく、一般的な条件で行な
うことができる。
【0036】機械的粗面化処理は、アルミニウム合金板
の表面に、「うねり状」の粗面を形成するのに適してい
る。この場合の平均表面粗さRaは約0.35〜1.0
μm、好ましくは0.40〜0.80μmである。機械
的粗面化処理は前述の電気化学的粗面化処理に比べ、よ
り効率よく「うねり状」の粗面を形成することができ
る。本発明における機械的粗面化処理の条件は特に制限
されるものではないが、特公昭50−40047号公報
に記載されている方法に従って行なうことができる。ま
た化学的粗面化処理も特に制限されるものではなく、公
知の方法に従って実施可能であり、機械的粗面化処理の
場合と同様なうねり、ピットが形成される。
【0037】粗面化処理に引続き、アルミニウム合金板
の表面の耐磨耗性を高めるために陽極酸化処理が行なわ
れる。この場合に使用される電解質は多孔質酸化皮膜を
形成するものであれば、いかなるものでもよい。一般に
は、硫酸、リン酸、シュウ酸、クロム酸、またはこれら
の混合物が用いられる。電解質の濃度は電解質の種類に
よって適宜決められる。陽極酸化処理の条件は、電解質
によってかなり変動するので、特定しにくいが、一般的
には電解質の濃度が1〜80質量%、液温5〜70℃、
電流密度1〜60A/dm2 、電圧1〜100V、電解
時間10〜300秒であればよい。
【0038】また、印刷時の汚れ性能を向上させるた
め、電気化学的粗面化処理および水洗を行なった後、ア
ルカリ溶液で軽度のエッチング処理を行い、水洗し、硫
酸でデスマットを行なった後、水洗し、引続き硫酸中で
直流電解を行なって陽極酸化皮膜を設けてもよい。さら
に、必要に応じて、シリケート等による親水化処理を行
なってもよい。
【0039】以上のようにして本発明の平版印刷版用支
持体が得られるが、該支持体はピットの均一性が高いの
で、これを用いた平版印刷版は、印刷性能が優れてい
る。平版印刷版とするには、表面に感光剤を塗布、乾燥
して感光層を形成すればよい。感光剤は特に限定される
ものではなく、通常感光性平版印刷版に用いられるもの
を使用することができる。そして、リスフィルムを用い
て画像を焼付け、現像処理、ガム引き処理を行なうこと
で、印刷機に取付け可能な印刷版とすることができる。
また、高感度な感光層を設けると、レーザを使って画像
を直接焼付けることもできる。
【0040】感光剤としては、露光の前後で現像液に対
する溶解性または膨潤性が変化するものであればいずれ
でも差支えない。代表的なものを列記する。
【0041】(1)o−キノンジアジド化合物からなる
感光層 ポジ型感光性化合物としては、o−ナフトキノンジアジ
ド化合物で代表されるo−キノンジアジド化合物が挙げ
られる。o−ナフトキノンジアジド化合物としては、特
公昭43−28403号公報に記載されている1,2−
ジアゾナフトキノンスルホン酸クロライドとピロガロー
ル−アセトン樹脂とのエステルが望ましい。米国特許第
3,046,120号および第3,188,210号明
細書に記載された1,2−ジアゾナフトキノンスルホン
酸クロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂との
エステルも好ましい。その他公知のo−ナフトキノンジ
アジド化合物も使用可能である。
【0042】特に好ましいo−ナフトキノンジアジド化
合物は、分子量が1,000以下のポリヒドロキシ化合
物と1,2−ジアゾナフトキノンスルホン酸クロライド
との反応で得られた化合物である。ポリヒドロキシ化合
物の水酸基1当量に対し、1,2−ジアゾナフトキノン
スルホン酸クロライドを0.2〜1.2当量の割合で、
特に0.3〜1.0当量の割合で反応させるのが好まし
い。1,2−ジアゾナフトキノンスルホン酸クロライド
としては、1,2−ジアゾナフトキノン−5−スルホン
酸クロライドが好ましいが、1,2−ジアゾナフトキノ
ン−4−スルホン酸クロライドも使用可能である。
【0043】o−ナフトキノンジアジド化合物は、1,
2−ジアゾナフトキノンスルホン酸クロライドの置換基
の位置および導入量の種々異なるものの混合物になる
が、水酸基が全て1,2−ジアゾナフトキノンスルホン
酸エステルに転換されたものが混合物に占める割合(完
全にエステル化されたものの含有率)は5モル%以上で
あること、特に20〜90モル%であるのが好ましい。
【0044】またo−ナフトキノンジアジド化合物を用
いずに、ポジ型に作用する感光性化合物として、例えば
特公昭56−2696号公報に記載されているo−ニト
ロカルビノールエステル基を有するポリマーも使用可能
である。さらに、光分解により酸を発生する化合物と、
酸により解離する−C−O−C−基または−C−O−S
i−基を有する化合物との組合せ系も使用可能である。
例えば、光分解により酸を発生する化合物とアセタール
またはO,N−アセタール化合物との組合せ(特開昭4
8−89003号)、オルトエステルまたはアミドアセ
タール化合物との組合せ(特開昭51−120714
号)、主鎖にアセタールまたはケタール基を有するポリ
マーとの組合せ(特開昭53−133429号)、エノ
ールエーテル化合物との組合せ(特開昭55−1299
5号)、N−アシルイミノ炭素化合物との組合せ(特開
昭55−126236号)、主鎖にオルトエステル基を
有するポリマーとの組合せ(特開昭56−17345
号)、シリルエステル化合物との組合わせ(特開昭60
−10247号)およびシリルエーテル化合物との組合
わせ(特開昭60−37549号、特開昭60−121
446号)等が挙げられる。
【0045】感光層の感光性組成物中に占めるポジ型感
光性化合物(前記のような組合せ系も含む)の割合は1
0〜50質量%が好ましく、15〜40質量%がより好
ましい。
【0046】o−キノンジアジド化合物は単独でも感光
層を構成し得るが、結合剤(バインダー)としてのアル
カリ水に可溶な樹脂とともに使用することが好ましい。
アルカリ水に可溶な樹脂としては、ノボラック樹脂があ
り、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、m−
クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾール−
ホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾール−ホ
ルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール混合(m
−、p−、m−/p−混合のいずれでもよい)−ホルム
アルデヒド樹脂等のクレゾール−ホルムアルデヒド樹
脂、フェノール変性キシレン樹脂、ポリヒドロキシスチ
レン、ポリハロゲン化ヒドロキシスチレン、特開昭51
−34711号公報に開示されているようなフェノール
性水酸基を含有するアクリル系樹脂、特開平2−866
号公報に記載のスルホンアミド基を有するアクリル系樹
脂や、ウレタン系樹脂等種々のアルカリ可溶性のポリマ
ーを含有させることができる。アルカリ可溶性のポリマ
ーは重量平均分子量が500〜20,000で、数平均
分子量が200〜60,000のものが好ましい。
【0047】アルカリ可溶性のポリマーは全組成物の7
0質量%以下含有される。さらに米国特許第4,12
3,279号明細書に記載されているように、t−ブチ
ルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノ
ール−ホルムアルデヒド樹脂のような炭素数3〜8のア
ルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアル
デヒドとの重縮合で得られる樹脂を併用することは画像
の感脂性を向上させるので好ましい。
【0048】感光性組成物には、感度を高めるために環
状酸無水物、露光後直ちに可視像を得るための焼出し
剤、画像着色剤としての染料やその他の充填材等を含有
させることができる。環状酸無水物は、米国特許第4,
115,128号明細書に記載されているように無水フ
タル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水
フタル酸、3,6−エンドオキシ−△4 −テトラヒドロ
無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイ
ン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイ
ン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸等が使用され
る。環状酸無水物は、全組成物の質量に対して1〜15
質量%含有させることによって、感度を最大3倍程度に
高めることができる。露光後直ちに可視像を得るための
焼出し剤としては、露光によって酸を放出する感光性化
合物と塩を形成し得る有機染料の組合せを代表として挙
げることができる。
【0049】具体的には、特開昭50−36209号公
報、特開昭53−8128号公報に記載されているo−
ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩
形成性有機染料の組合せや、特開昭53−36233号
公報、特開昭54−74728号公報、特開昭60−3
626号公報、特開昭61−143748号公報、特開
昭61−151644号公報、特開昭63−58440
号公報に記載されているトリハロメチル化合物と塩形成
性有機染料の組合せを挙げることができる。画像の着色
剤としては、前記の塩形成性有機染料以外の他の染料も
使用可能である。塩形成性有機染料を含めて好適な染料
は油溶性染料や塩基染料である。
【0050】具体的には、オイルイエロー#101、オ
イルイエロー#103、オイルピンク#312、オイル
グリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#6
03、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイ
ルブラックT−505(以上は全て、オリエント化学工
業社製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオ
レット(CI42555)、メチルバイオレット(CI
42535)、ローダミンB(CI45170B)、マ
ラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー
(CI52015)等を挙げることができる。特開昭6
2−293247号公報に記載されている染料が特に好
ましい。
【0051】感光性組成物は、前記諸成分を溶解する溶
媒に溶解させて支持体に塗布される。溶媒としては、エ
チレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチル
ケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチ
レングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチ
ルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−
メトキシ−2−プロピルアセテート、トルエン、酢酸メ
チル、乳酸メチル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシ
ド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、
水、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフルフリルア
ルコール、アセトン、ジアセトンアルコール、メタノー
ル、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコ
ール、ジメチルエーテル等が挙げられる。これらは混合
して使用することもできる。
【0052】溶液に占める前記成分(固形分)は2〜5
0質量%である。塗布量は用途により異なるが、例えば
感光性平版印刷版について言えば、一般的に固形分とし
て0.5〜3.0g/m2 が好ましい。塗布量が少なく
なるにつれて感光性は増大するが、感光膜の物性が低下
する。
【0053】感光性組成物には、塗布性を良くするため
に界面活性剤、例えば特開昭62−170950号公報
に記載されているようなフッ素系界面活性剤を含有させ
る。含有量は全感光性組成物の0.01〜1質量%、好
ましくは0.05〜0.5質量%である。
【0054】(2)ジアゾ樹脂とバインダーとからなる
感光層 ネガ作用型感光性ジアゾ化合物としては、米国特許第
2,063,631号明細書および米国特許第2,66
7,415号明細書に開示されているジアゾニウム塩と
アルドールやアセタールのような反応性カルボニル基を
有する有機縮合剤との反応生成物であるジフェニルアミ
ン−p−ジアゾニウム塩とホルムアルデヒドとの縮合生
成物(いわゆる感光性ジアゾ樹脂)が好適に用いられ
る。
【0055】他の有用な縮合ジアゾ化合物は特公昭49
−48001号公報、特公昭49−45322号公報、
特公昭49−45323号公報等に記載されている。こ
の型の感光性ジアゾ化合物は通常水溶性無機塩の形で得
られるので、水溶液として塗布することができる。ま
た、水溶性ジアゾ化合物を特公昭47−1167号公報
に記載される方法により、1個またはそれ以上のフェノ
ール性水酸基、スルホン酸基またはその両者を有する芳
香族または脂肪族化合物と反応させ、その生成物である
実質的に水不溶性の感光性ジアゾ樹脂を使用することも
できる。
【0056】ジアゾ樹脂の含有量は、感光層中に5〜5
0質量%含有されているのがよい。その含有量が少なく
なれば感光性は当然増大するが、経時安定性が低下す
る。最適のジアゾ樹脂の含有量は約8〜20質量%であ
る。一方、バインダーとしては、種々のポリマーが使用
可能である、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アミ
ド基、スルホンアミド基、活性メチレン基、チオアルコ
ール基、エポキシ基を含むものがよい。
【0057】具体的には、英国特許第1,350,52
1号明細書に記載されているシェラック、英国特許第
1,460,978号明細書および米国特許第4,12
3,276号明細書に記載されているようなヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレート単位を主たる繰返単位とし
て含むポリマー、米国特許第3,751,257号明細
書に記載されているポリアミド樹脂、英国特許第1,0
74,392号明細書に記載されているフェノール樹
脂、および例えばポリビニルフォルマール樹脂、ポリビ
ニルブチラール樹脂のようなポリビニルアセタール樹
脂、米国特許第3,660,097号明細書に記載され
ている線状ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコールの
フタレート化樹脂、ビスフェノールAとエピクロルヒド
リンから得られるエポキシ樹脂、ポリアミノスチレンや
ポリアルキルアミノ(メタ)アクリレートのようなアミ
ノ基を含むポリマー、酢酸セルロース、セルロースアル
キルエーテル、セルロースアセテートフタレート等のセ
ルロース誘導体が包含される。
【0058】ジアゾ樹脂とバインダーからなる組成物に
は、さらに、英国特許第1,041,463号明細書に
記載されているようなpH指示薬、米国特許第3,23
6,646号明細書に記載されているリン酸、染料等の
添加剤を含有させることができる。
【0059】感光層の膜厚は0.1〜30μm、より好
ましくは0.5〜10μmである。支持体上に設けられ
る感光層の量(固形分)は約0.1〜約7g/m2 、好
ましくは0.5〜4g/m2 である。平版印刷版は画像
露光された後、常法により現像を含む処理によって樹脂
画像が形成される。例えば、感光層(A)を有するポジ
型感光性平版印刷版の場合には、画像露光後、米国特許
第4,259,434号明細書および特開平3−903
88号公報に記載されているようなアルカリ水溶液で現
像することにより露光部分の感光層が除去されて、平版
印刷版が得られる。
【0060】またジアゾ樹脂とバインダーからなる感光
層(B)を有するネガ型感光性平版印刷版の場合には、
画像露光後、例えば米国特許第4,186,006号明
細書に記載されているような現像液で現像することによ
り、未露光部分の感光層が除去されて平版印刷版が得ら
れる。また、特開平5−2273号公報または特開平4
−219759号公報に記載されたネガ型感光性平版印
刷版の場合には、該公報に記載されているようにアルカ
リ金属ケイ酸塩の水溶液で現像することができる。
【0061】
【実施例】本発明を実施例により、さらに具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。なお、実施例中の「%」は特に断らない限り「質
量%」を示すものである。
【0062】[実施例1〜6、比較例1〜4]Feを
0.3質量%、Tiを0.030質量%およびMgを
0.01質量%含有するアルミニウム合金に、Siおよ
びCuを第2表に示す割合で含有させたアルミニウム合
金板を製造した。合金板に、第1表に示すように、ブラ
シ粗面化処理(回転速度:250rpm、時間:0.5
秒)をし、水洗後、アルカリエッチング処理(苛性ソー
ダ水溶液の濃度:20質量%)をAl溶解量が8.0g
/m 2 になるまで行ない、その後、水洗を行い、硝酸を
スプレーし、デスマット処理した。引続き、電解粗面化
処理B(電解液:硝酸、濃度:9g/L)を総電気量1
80C/dm2 まで行った後、硫酸をスプレーし、デス
マット処理を行なった。
【0063】その後、陽極酸化処理(電解液:硫酸、濃
度:170g/L)を被膜量が2.4g/m2 になるま
で行なった。さらに、β−アラニンを含有する下塗り剤
を被膜量10mg/m2 になるように塗布し、平均表面
粗さRaが約0.6μmの粗面化されたアルミニウム合
金板を得た。下塗り剤塗布後の合金板の平均表面粗さR
aはJISB0601−1982に準じ、測定距離3m
m、n=3の平均的条件で測定した。
【0064】粗面化処理されたアルミニウム合金板に、
下記の組成の感光剤組成物を乾燥後の塗布量が2.5g
/m2 となるように塗布、乾燥して感光層を設けた。 [感光剤組成物] ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロライド とピロガロール、アセトン樹脂とのエステル化物 0.75g (米国特許第4,186,006号明細書の実施例1に記載のもの) クレゾールノボラック樹脂 2.00g オレイルブルー#603(オリエント化学工業社製) 0.04g エチレンジクロライド 16g 2−メトキシエチルアセテート 12g
【0065】得られた感光性平版印刷版を真空焼枠中
で、透明ポジティブフィルムを通して1mの距離から3
kwのメタルハライドランプにより、50秒間露光した
後、ケイ酸ナトリウムの5.26%水溶液(SiO2
Na2 Oのモル比1.74、pH12.7)で現像し
た。現像後、十分水洗し、ガム引きした後、常法の手順
で印刷した。
【0066】耐刷性と耐苛酷インキ汚れ性を、下記の方
法で評価し、結果を第2表に合わせて示した。実施例の
アルミニウム合金板を用いた場合に、耐刷性と耐苛酷イ
ンキ汚れ性に優れることが分かる。
【0067】[耐刷性]べた画像部が薄くかすれ始める
までの印刷枚数を、比較対象の材料の印刷枚数100に
対比して5段階評価した。
【0068】[耐苛酷インキ汚れ性]Clイオンを添加
した湿し水を用いて印刷を行い、印刷機上放置を1回以
上行なった際に生じる非画像部の汚れを目視観察して5
段階評価した。
【0069】[実施例7〜12、比較例5〜7]また,
電解粗面化処理Bの条件を、第1表に示す電解粗面化処
理Aの条件に変えるほか、他の処理の条件も第1表に示
すように変更して、平均表面粗さRaが約0.3μmの
粗面化されたアルミニウム合金板を得た。ついで、該合
金板に実施例1と同様に感光剤組成物を塗布し、感光層
を形成した。実施例1と同様に、耐刷性と耐苛酷インキ
汚れ性の測定を行い、結果を第2表に合わせて示した。
【0070】[実施例2、6、9、13、14、比較例
2、4、7〜9]Feを0.3質量%、Tiを0.03
0質量%、Siを0.06〜0.20質量%およびCu
を0.005〜0.04質量%含有するアルミニウム合
金に、Mgを第2表に示す割合で含有させたアルミニウ
ム合金板を製造した。合金板に、実施例1、実施例7と
同様に第1表に示す粗面化処理、陽極酸化処理等を行な
い、第2表に示す平均表面粗さRaの粗面化されたアル
ミニウム合金板を得た。該合金板に実施例1、実施例7
と同様に感光剤組成物を塗布し、感光層を形成した。実
施例1、実施例7と同様に、耐刷性と耐苛酷インキ汚れ
性の測定を行ない、結果を第2表に合わせて示した。
【0071】比較例8、9はCu含有量、Si含有量、
平均表面粗さRa、および本発明の実験式1を満たす
が、Mg含有量が本発明の範囲外であるため、ピットの
均一性が損なわれ、その結果、耐刷性、耐苛酷インキ汚
れ性が低下する。
【0072】第2表に示すように、本発明はCu含有
量、Si含有量、平均表面粗さRaを実験式1の範囲に
調整することで、耐刷性と耐苛酷インキ汚れ性を良好に
することができる。また第2表に示すように、Mg含有
量を本発明の範囲内に調整することにより、ピットの均
一性が増し、耐刷性や耐苛酷インキ汚れを良好に保つこ
とが可能である。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】
【表4】
【0077】
【発明の効果】本発明によれば、うねり、ピットの形
状、大きさの不均一がなく、粗面の均一性が高く、感光
層との密着性がよい平版印刷版用支持体が得られるの
で、耐刷性、耐苛酷インキ汚れ性が優れるとともに、保
水性、印刷機への装着性にも優れた平版印刷版原板を提
供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 7/09 501 G03F 7/09 501 Fターム(参考) 2H025 AA00 AA12 AB03 AC01 AD01 AD03 DA18 DA20 EA01 FA03 FA17 2H096 AA07 CA03 CA20 LA16 2H114 AA04 AA14 DA04 DA73 EA03 GA03 GA05 GA06 GA08 GA09

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Feを0.2〜0.5質量%、Siを0.
    04〜0.20質量%、Cuを0.005〜0.040
    質量%、Tiを0.010〜0.040質量%、および
    Mgを0.002〜0.020質量%含有し、残部がA
    lと不可避不純物とからなるアルミニウム合金板に、電
    気化学的粗面化処理と陽極酸化処理を行なって得た平版
    印刷版用支持体において、その平均表面粗さRaが0.
    2〜2.0μmであって、Si含有量[Si]、Cu含
    有量[Cu]と平均表面粗さRaとが下記の実験式1を
    満足する関係にあることを特徴とする平版印刷版用支持
    体。 −2[Cu]+0.14−Ra/10 ≦ [Si] ≦ −[Cu] +0.22−Ra/10 (1)
  2. 【請求項2】電気化学的粗面化処理に加えて、機械的粗
    面化処理および/または化学的粗面化処理を行なって得
    た請求項1に記載の平版印刷版用支持体。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007062216A (ja) * 2005-08-31 2007-03-15 Fujifilm Corp 平版印刷版用支持体の製造方法

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JP2007062216A (ja) * 2005-08-31 2007-03-15 Fujifilm Corp 平版印刷版用支持体の製造方法

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