JP4270363B2 - 平版印刷版支持体用アルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
この発明は平版印刷版の支持体に使用されるアルミニウム合金板に関し、より詳しくは、電気化学的粗面化処理(電解グレイニング)を施して使用される平版印刷版支持体用アルミニウム合金板として、低電気量での電解グレイニング性に優れかつ耐バーニング性に優れた平版印刷版支持体用アルミニウム合金板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウム合金板を支持体とする感光性平版印刷版は、従来からオフセット印刷に幅広く使用されている。平版印刷版の原版は、一般に支持体としてのアルミニウム合金板の表面を粗面化し、さらに陽極酸化処理後、感光液を塗布し乾燥して感光層を形成することによって製造される。このような平版印刷版原版を使用するにあたっては、画像に露光された後、現像液によって現像され、ポジ型の平版印刷版原版では露光部が除去され、またネガ型の平版印刷版原版では非露光部が除去され、製版されて平版印刷版となる。その後、平版印刷版は、その表面にインクが塗布され印刷に供される。このように平版印刷版原版では、露光によって感光層の物性を変化させ、この物性変化を利用して製版を行っている。
【0003】
ところで平版印刷版用支持体としてのアルミニウム合金板の粗面化処理方法としては、従来からボールグレインやブラシグレイン等の機械的粗面化処理法、塩酸や硝酸等を主体とする電解液を用いて電解エッチングする電気化学的粗面化処理法(電解グレイニング)、酸溶液やアルカリ溶液によりエッチングする化学的粗面化法等が知られているが、これらのうちでも電気化学的粗面化処理法により得られた粗面が印刷性能に優れることから、最近では電気化学的粗面化処理法により粗面化するかまたは電気化学的粗面化処理法と他の粗面化処理法とを組み合わせて粗面化することが主流となっている。
【0004】
平版印刷版の支持体としては、一般に軽量でかつ表面処理性、加工性に優れたアルミニウム合金板を使用するのが通常であるが、このような目的のアルミニウム合金板としては、従来は、JIS A1050,JIS A1100、JISA3003等からなる板厚0.1〜0.5mm程度のアルミニウム合金圧延板が用いられており、このようなアルミニウム合金圧延板は、表面を粗面化し、その後必要に応じて陽極酸化処理を施して印刷版に使用されている。具体的には、特開昭48−49501号に記載されている機械的粗面化処理、化学的エッチング処理、陽極酸化皮膜処理を順に施したアルミニウム平版印刷版、あるいは特開昭51−146234号に記載されている電気化学的処理、後処理、陽極酸化処理をその順に施したアルミニウム平版印刷版、特公昭48−28123号に記載されている化学エッチング処理、陽極酸化処理を順に施したアルミニウム平版印刷版、あるいは機械的粗面化処理後に特公昭48−28123号に記載されている処理を施したアルミニウム平版印刷版等が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように電気化学的粗面化処理を施して使用される平版印刷版支持体用アルミニウム合金板には以下の(1)〜(3)の性能が要求される。
(1) 感光層との密着性、およびアルミニウム板の保水性を向上させるために、電気化学的粗面化処理によって適度な深さ、直径を有しかつそれらの大きさが均一であるピット(凹凸)を支持体表面全体に均一に形成し得ること。このような性能を一般には電解グレイニング性と称している。
(2) 電気化学的粗面化処理においては、省エネルギーの観点からできるだけ低電気量で均一、微細なピットを形成し得ること。
(3) 版板については、耐刷力を高めるため、画像部形成後200〜300℃の温度範囲で3〜7分の熱処理(バーニング処理)を施す場合があるが、このバーニング処理によりアルミニウム合金支持体が軟化してその強度が低化すれば、その後の処理工程のハンドリング性が低下したり、版が曲がったりして不都合を生じ、さらには印刷機への版のセットが不可能となったり、多色刷りにおける版の色の見当わせができないなどの不都合が生じる。そのため、バーニング処理による軟化によって強度が大幅に低下しないように、優れた耐熱軟化性が要求される。この耐熱軟化性を一般に耐バーニング性と称している。
【0006】
しかるに、最近のデジタル印刷に対応して高い印刷精度、良好な色調を得るために均一かつ良好な電解グレイニング性を低電気量で得ると同時に、優れた耐バーニング性を得ることは、現状の材料では充分に応えることが困難となってきている。
【0007】
この発明は以上の事情を背景としてなされたもので、電解グレイニング性が優れていて、電気化学的粗面化処理(電解グレイニング)により均一かつ微細な粗面を低電気量で形成し得ると同時に、耐バーニング性に優れた平版印刷版支持体用アルミニウム合金板を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は前述の課題を解決するべく、種々実験検討を重ねたところ、平版印刷版支持体用アルミニウム合金板におけるFe固溶量およびSi固溶量を適切に制御し、同時にIn、Sn、Pb、Ni、Beのうちから選択される1種以上の元素を必須元素として含有させ、さらには板の集合組織を適切に制御することによって、電解グレイニング性が優れていて、電気化学的粗面化処理を施して得られるピット(以下、電解粗面化ピットと称する)形状の均一性が高く、かつ低電気量でも所望の寸法形状のピットを形成することができ、しかも耐バーニング性に優れた平版印刷版支持体が得られることを見出し、この発明をなすに至った。
【0011】
具体的には、請求項1の発明の平版印刷版支持体用アルミニウム合金板は、Cu0.0001〜0.03%、Ti0.005〜0.03%、Fe0.1〜0.5%、Si0.05〜0.20%を含有し、Fe固溶量が0.001〜0.005%でかつSi固溶量が0.04〜0.15%であり、さらに、In0.001〜0.05%、Sn0.001〜0.05%、Pb0.001〜0.05%、Ni0.001〜0.05%、およびBe0.0001〜0.01%のうちの1種または2種以上を含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、しかも板表面の結晶粒の圧延方向に直角な方向の平均粒径が60μm以下であり、さらに集合組織として、キューブ方位の方位分布密度が9以下であることを特徴とするものである。
【0012】
また請求項2の発明の平版印刷版支持体用アルミニウム合金板の製造方法は、Cu0.0001〜0.03%、Ti0.005〜0.03%、Fe0.1〜0.5%、Si0.05〜0.20%を含有し、さらにIn0.001〜0.05%、Sn0.001〜0.05%、Pb0.001〜0.05%、Ni0.001〜0.05%、およびBe0.0001〜0.01%のうちの1種または2種以上を含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金を鋳造し、その鋳塊に500〜620℃の範囲内の温度で1時間以上均質化処理を施した後、熱間圧延を行なうにあたって、圧延開始温度を350〜450℃とし、かつ熱間粗圧延終了前1パスまたは2パスを圧延率40%以上とし、かつ熱間仕上げ圧延終了温度を200〜280℃とし、その熱間圧延とその後の冷間圧延との間もしくは冷間圧延の中途において中間焼鈍を450〜580℃で行ない、前記中間焼鈍後の冷間圧延を65%以上の圧延率で施し、かつその中間焼鈍後の冷間圧延の各パスにおける圧延上り温度が120℃以下となるように制御し、これによってFe固溶量が0.001〜0.005%でかつSi固溶量が0.04〜0.15%であって、しかも板表面の結晶粒の圧延方向に直角な方向の平均粒径が60μm以下であり、さらに集合組織として、キューブ方位の方位分布密度が9以下である平版印刷版支持体用アルミニウム合金板を得ることを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
先ずこの発明の平版印刷版支持体用アルミニウム合金板における合金成分の限定理由について説明する。
【0014】
Fe:
Fe含有量が0.1%未満では再結晶時の結晶粒径が粗大となり、低電気量での電解粗面化ピットが不均一となる。一方Fe含有量が0.5%を越えればAl−Fe系やAl−Fe−Si系の粗大化合物が多くなり、低電気量での電解粗面化ピットが不均一となる。そのためFe含有量は0.1〜0.5%の範囲内とした。
【0015】
Si:
Si含有量が0.05%未満では低電気量での電解粗面化ピットが不均一となる。一方Si含有量が0.20%を越えればAl−Fe−Si系の粗大化合物が多くなって低電気量での電解粗面化ピットが不均一となり、また耐バーニング性が低下して、過酷インキ汚れ性が低下し、さらには電気化学的粗面化処理後の色調が黒味を帯びすぎて商品価値を損なう。そのため、Si含有量は0.05〜0.20%の範囲内とした。
【0016】
Cu:
Cuは電解グレイニング性に大きな影響を及ぼす。Cu含有量が0.0001%未満では、低電気量での電解粗面化ピットが不均一になる。一方、0.03%を越えれば電解粗面化ピットが不均一になり、また粗面化処理後の色調が黒味を帯びすぎて商品価値を損なう。そのためCu含有量は0.0001〜0.03%の範囲内とした。
【0017】
Ti:
Tiも電解グレイニング性に大きな影響を及ぼし、またアルミニウム合金鋳塊の組織状態にも大きな影響を及ぼす。Tiが0.005%未満では、低電気量での電解粗面化ピットが不均一になり、また鋳塊の結晶粒が微細化されずに粗大な結晶粒組織となるため、マクロ組織に圧延方向に沿う帯状の筋が発生して、電気化学的粗面化処理後にも帯状に筋が残存し、平版印刷版用支持体として好ましくなくなる。一方Ti含有量が0.03%を越えれば、鋳塊組織の微細化効果が飽和してしまうばかりでなく、逆にAl−Ti系の粗大金属間化合物が生成されて、電解粗面化面が不均一となってしまう。そこでTi含有量は0.005〜0.03%の範囲内とした。
【0018】
In、Sn、Pb、Ni、Be:
これらはいずれも電気化学的粗面化処理における電解エッチングを促進し、低電気量でも均一かつ微細な電解粗面化ピットを形成する効果があり、いずれか1種または2種以上を添加する。これらのうちIn、Sn、Pb、Niは、それぞれ0.001%未満では前述の効果がなく、一方0.05%を越えて含有されれば微細な電解粗面化ピットが形成されず、かつ耐食性が著しく低下し、全面腐食が発生しやすくなるから、In、Sn、Pb、Niの含有量はいずれも0.001〜0.05%の範囲内とした。一方Beは、より微量でも電解粗面化処理における電解エッチングを促進し、低電気量でも均一かつ微細な電解粗面化ピットを形成する効果があるが、Be量が0.0001%未満では前述の効果がなく、一方0.01%を越えて含有されれば微細な電解粗面化ピットが形成されなくなってくるから、Be含有量は0.0001〜0.01%の範囲内とした。
【0019】
以上の各元素のほかは、基本的にはAlおよび不可避的不純物とすれば良い。
【0020】
なお一般にアルミニウム合金板においては、鋳塊結晶組織を微細化して圧延板のキメ、ストリークスを防止するため、少量のTiを単独で、または微量のBと組合せて添加することがあり、この発明の平版印刷版支持体用アルミニウム合金においても、Tiとともに微量のBを添加することは許容される。但しB量が1ppm未満では、上記の効果が得られず、一方B量が50ppmを越えればBの添加効果が飽和するばかりでなく、粗大なTiB粒子による線状欠陥が生じやすくなるから、Bを添加する場合のB添加量は1〜50ppmの範囲内とすることが好ましい。
【0021】
その他の不純物としては、JIS 1050相当の不純物量(Mg0.05%以下、Mn0.05%以下、Zn0.05%以下、その他合計0.05%以下)程度であれば、平版印刷版支持体用のアルミニウム合金としてその特性を損なうことはない。
【0022】
さらにこの発明の平版印刷版支持体用アルミニウム合金板においては、各成分元素の含有量を前述のように調整するばかりでなく、特にFeおよびSiの固溶量を厳密に調整することが重要である。次にこれらについて説明する。
【0023】
Fe固溶量:
Fe固溶量は、バーニング特性と過酷インク汚れ性、電気化学的粗面化処理性に大きな影響を与える。Fe固溶量が0.001%未満ではバーニング処理のための加熱によって材料が軟化して、バーニング処理後の強度低下を招く。すなわち耐バーニング性が低下する。さらにFe固溶量が0.001%未満では、耐インク汚れ性が低下し、また低電気量での電解粗面化ピットの均一性が維持できなくなる。一方、Fe固溶量が0.005%を越えれば低電気量での電解グレイニング性が低下し、均一なピットが形成されなくなる。そこでFe固溶量を0.001〜0.005%の範囲内とした。
【0024】
なお一般にアルミニウム合金中へのFeの固溶量は少なく、通常の純アルミニウム合金DC鋳塊に固溶されるFe量は約260ppm前後であるが、均質化処理や熱間圧延のための加熱処理、熱間圧延、中間焼鈍等の条件によりこのFe量は大きく変化する。そこでこれらの条件を適正化することにより、安定してFe固溶量を0.001〜0.005%の範囲内に調整することが可能である。
【0025】
Si固溶量:
Si固溶量が0.04%未満では低電気量での電解粗面化ピットの均一性が維持できなくなり、一方0.15%を越えれば低電気量での電解粗面化ピットの均一性が維持できなくなり、不均一となる。そこでSi固溶量は0.04〜0.15%の範囲内とした。
【0026】
なおSi固容量も、均質化処理や熱間圧延のための加熱処理や、熱間圧延、中間焼鈍などの件、さらにはその後の冷間圧延率及びそのときの巻上げ温度等により大きく変化するから、これらの条件を適正化することにより、安定してSi固溶量を0.04〜0.15%の範囲内に調整することが可能である。
【0027】
ここで、FeやSiの固溶量の測定は、アルミニウム合金を熱フェノールに溶解して行った。すなわちFe固溶量はろ液中のFe量を定量し、Si固溶量に関しては添加Si量から金属間化合物量に含まれるSi量を差し引いて求めた。詳細は、軽金属、Vol.50、(2000)518−526に記載されている「湿式化学分析による固溶量の測定」に従った。
【0028】
さらにこの発明の平版印刷版支持体用アルミニウム合金板においては、優れた電解グレイニング性を得るため、結晶粒径を適切に調整する必要がある。すなわち、電解粗面化ピットの均一性に関して、圧延板の表面における結晶粒の圧延方向に直角な方向の平均粒径が60μm以下であることが必要である。この値が60μmを越えれば、粗面化面に数mmの大きさの色調ムラが目視でわかる程度に発生して、製品としての価値が低下する。
【0029】
以上、この発明で規定する平版印刷版支持体用アルミニウム合金板の成分組成条件、Fe、Si固溶量条件、結晶粒径条件について説明したが、さらにこの発明の平版印刷版用アルミニウム合金板においては、より優れた電解グレイニング性を確実に得るため、上記各条件のほか、集合組織条件を規定している。次にこの点について説明する。
【0030】
集合組織はアルミニウム板の機械的性能や化学的性能、物理的性能に影響を及ぼすが、印刷版用支持体性能に関して如何に影響するかについては、これまで充分に検討されていなかった。しかるに本発明者らが鋭意、調査・研究を行なったところ、以下の事実を見出した。
【0031】
すなわち平版印刷版支持体用アルミニウム合金板は、一般に強度を増すために中間焼鈍後冷間圧延を行って圧延板として提供されるが、このようなアルミニウム合金圧延板の主な集合組織としては以下のような方位が知られている。
Cube方位 {001}<100>
Goss方位 {011}<100>
Brass方位 {011}<211> (以後、B方位と記す)
Cupper方位 {112}<111> (以後、Cu方位と記す)
S方位 {123}<634>
【0032】
ここで、純アルミニウム系合金の冷間圧延板では、S方位やCu方位、B方位が主となり、冷間圧延率が高くなるにしたがってこれらの方位の集積度が高くなってくる。
【0033】
そこで種々の集合組織を有する圧延板について、電解粗面化処理によるピット形状を調査したところ、これらの主な方位(S方位、Cu方位、B方位)よりも、残存するCube方位(キューブ方位)が少なくなれば電解粗面化ピットが均一に形成されることが判明した。そしてさらに実験を重ねた結果、キューブ方位密度を9以下にすることにより均一な電解粗面化ピットが得られることが判明した。キューブ方位密度が9を越えれば均一な電解粗面化ピットが得られず、そこでこの発明ではキューブ方位密度を9以下に規制することとした。
【0034】
上述のようにこの発明では、集合組織の方位分布密度(OrientationDensity)を規定しているが、この方位分布密度の測定には、通常のX線回折法を用いて(200)、(220)、(111)の不完全極点図を測定し、ランダム方位を持つ試料で強度補正を行い、それらから結晶方位分布関数(OrientationDisribution Function:ODF)を計算し、各方位の方位密度を求めている。
【0035】
次にこの本発明の平版印刷版支持体用アルニウム合金板の製造方法について説明する。
【0036】
先ず前述のような成分組成を有するアルミニウム合金をDC鋳造法等によって常法に従い鋳造する。もちろん駆動鋳型を用いた連続鋳造法によって鋳造してもよい。
【0037】
得られた鋳塊に対し、500〜620℃の範囲内の温度で均質化処理を行う。これにより不純物元素が拡散して電気化学的な粗面化処理時におけるピットの生成がより均一化される。またこの処理によりFeの固溶量が鋳造時に比べ低下してくる。ここで、均質化処理の保持時間は鋳塊サイズ等により適当な時間を定めればよいが、通常は1〜20時間程度とすればよい。1時間未満では均質化処理の効果が得られず、一方20時間を越えても均質化処理の効果は飽和し、経済的に好ましくなくなる。
【0038】
均質化処理後は、一旦鋳塊を冷却した後、熱間圧延のための加熱処理を行うこともできるが、均質化処理後350〜450℃まで冷却してそのまま熱間圧延を開始しても良い。
【0039】
次いで熱間圧延を行なうが、熱間圧延開始温度は350〜450℃の範囲内とする。熱間圧延開始温度が350℃未満では、熱間圧延中に再結晶が発生せず、鋳塊組織が残ってしまうため、最終圧延板に対して電気化学的粗面化処理を行なえば、帯状もしくは筋状に外観ムラ(ストリークス)が発生して、印刷版としての表面外観品質に対して好ましくなくなる。一方熱間圧延開始温度が450℃を越えれば、熱間圧延中において再結晶粒が粗大化し、電気化学的粗面化処理時に筋状の模様(ストリークス)が発生して印刷版としての表面外観品質が低下する。そこで熱間圧延は350〜450℃で開始することとした。
【0040】
また熱間圧延は、粗圧延および仕上げ圧延の組合せで行なうことが一般的であるが、電気化学的粗面化処理時のエッチング性を均一にするためには、粗圧延の終了前1パスまたは2パスを圧延率40%以上で行なうことが重要である。すなわち、この発明の方法の場合、中間焼鈍時においても再結晶させるが、最終板における電気化学的粗面化処理後の粗面化面を、均一でかつストリークスの発生がなくしかも表面荒れもない面とするためには、熱間粗圧延の終了前1パスまたは2パスを圧延率40%以上で行ない、少なくとも板厚方向表面だけでも微細で均一な再結晶状態とする必要がある。ここで、熱間粗圧延終了前1パスまたは2パスの圧延率が40%未満では、微細で均一な再結晶を生じさせることが困難となる。そこで熱間粗圧延終了前1パスまたは2パスの圧延率を40%以上に限定した。
【0041】
熱間圧延における粗圧延後の仕上げ圧延では、終了温度は200〜280℃の範囲内とする必要がある。仕上げ圧延終了温度が200℃未満では、圧延油が蒸発せずに残って表面腐食を発生させるおそれがある。一方仕上げ圧延終了温度が280℃を越えれば、Fe固溶量が低下してしまい、また最終圧延板でのキューブ方位の残存が多くなってしまう。そこで仕上げ圧延終了温度は200〜280℃に限定した。なお熱間圧延の上がり板厚は特に限定しないが、通常は1.5〜6mm程度の範囲内であれば特に問題はない。
【0042】
熱間圧延後には、必要に応じて1次冷間圧延を行う。1次冷間圧延は必須ではないが、1次冷間圧延を行なえば中間焼鈍時の結晶粒が微細になり、電解粗面化面をより均一な表面品質としやすくなる。
【0043】
熱間圧延後、または必要に応じて1次冷間圧延を行なった後には、中間焼鈍を行なう。この中間焼鈍は450〜580℃の範囲内の温度で行なう。中間焼鈍温度が450℃未満では、Fe固溶量を0.001%以上とすることが困難となり、また耐バーニング性が低下し、さらにはSi固溶量も低下してしまう。一方580℃を越える高温で中間焼鈍すれば、結晶粒が粗大化されて、電解粗面化面に色調ムラが発生するおそれがある。そこで中間焼鈍は450〜580℃の範囲内で行なうこととした。なお中間焼鈍はバッチタイプ炉もしくは連続焼鈍炉で行なうのが通常であるが、再結晶粒の微細化の点からは連続焼鈍炉で行なうことが好ましい。この場合加熱昇温速度は数℃〜20℃/秒であり、また冷却速度も同程度であり、さらに保持時間は3分以内とすることが好ましい。
【0044】
中間焼鈍後には、最終板厚まで2次冷間圧延を行なう。この2次冷間圧延においては、トータルの圧延率が65%以上となるように行ない、かつ各パスにおける圧延上がり温度(コイル上げ温度)が120℃以下となるように制御する。すなわち、2次冷間圧延は主として強度を得るために行なうが、2次冷間圧延率が65%未満では強度が不足して好ましくなく、一方65%未満では、キューブ方位の方位分布密度が9を越えてしまって、電解粗面化面の均一性が低下する。そこで2次冷間圧延のトータル圧延率を65%以上とした。また、2次冷間圧延は、所定の厚さに仕上げるために1パスもしくは数パスで圧延するが、この時の各パスでの上り温度(コイル巻上げ温度)が120℃を越えれば、Si固溶量が低下して好ましくない。そこで2次冷間圧延における各パスの上り温度を120℃以下とした。なおこの上り温度は、各パスの圧下率、圧延速度、圧延油の量、温度、粘度等を調整することによって制御することができる。なおまた、この2次冷間圧延では、最終板の板厚として、0.1〜0.5mmの板厚まで圧延するのが一般的である。
【0045】
上述のように最終板厚まで圧延された板については、ローラーレベラー、テンションレベラー等の歪矯正ラインを通して、平面性を改善してもよい。
【0046】
以上のようにして得られた平板印刷版支持体用アルミニウム合金板を平版印刷版用支持体として用いるためには、粗面化処理を施す。この発明のアルミニウム合金板は、前述のように電気化学的粗面化処理(電解グレイニング)に適しており、電気化学的粗面化処理と機械的粗面化処理および/または化学的粗面化処理との組合わせにも好適である。電気化学的粗面化処理はアルミニウム合金板の表面に微細な凹凸を付与することが容易であるため、印刷性の優れた平版印刷版を作るのに適している。この電気化学的粗面化処理は、一般に硝酸または塩酸を主体とする水溶液中で、直流または交流を用いて行なうのが通常である。
【0047】
このような粗面化処理によって、平均深さ約0.05〜1μm、平均直径約0.2〜20μmのクレーターまたはハニカム状のピットをアルミニウム合金板の表面に30〜100%の分散密度(面積率)で生成することができる。ここで、電気化学的粗面化処理においては、充分なピットを表面に設けるために必要なだけの電気量、すなわち電流と通電時間との積が重要な条件となるが、省エネルギの観点からは、より少ない電気量で充分なピットを生成することが好ましい。この発明においては、電気化学的粗面化処理の条件は限定されるものではなく、一般的な条件で行うことができるが、いずれの場合も、所要電気量を大幅に削減することができる。所要電気量は、所望のピットの深さ、直径、および分散の均一性、分散密度により異なるが、好ましくは100〜300C/dmの範囲であれば、均一微細な電解粗面を得ることができる。
【0048】
電気化学的粗面化処理と機械的粗面化処理を組み合わせる場合の機械的粗面化処理は、アルミニウム合金板の表面を、一般的には平均表面粗さRaを0.35〜1.0μm、好ましくは0.40〜0.80μmとするために行われる。平均表面粗さRaは、JISB0601−1994で規定される、支持体表面のうねり状態を示す因子であるが、これが大きいほど凹凸が大きく、保水性が良好となる。機械的粗面化処理の条件も特に制限されるものではないが、特公昭50−40047号公報に記載されている方法に従って行うことができる。また化学的粗面化処理も特に制限されるものではなく、公知の方法に従って実施できる。
【0049】
粗面化処理に引き続いては、アルミニウム合金板の表面の耐磨耗性を高めるために陽極酸化処理を行なうのが通常である。この場合に使用される電解質は多孔質酸化皮膜を形成するものであれば、いかなるものでもよい。一般には、硫酸、リン酸、シュウ酸、クロム酸、またはこれらの混合物が用いられる。電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。陽極酸化処理の条件は、電解質によってかなり変動するので、特定しにくいが、一般的には電解質の濃度が1〜80質量%、液温5〜70℃、電流密度1〜60A/dm、電圧1〜100V、電解時間10〜300秒であればよい。
【0050】
また印刷時の耐汚れ性能を向上させるため、電気化学的粗面化処理および水洗を行った後、アルカリ溶液で軽度のエッチング処理を行ってから水洗し、アルミニウム板の表面に残存するアルカリに不要な物質(スマット)を除去する酸によるデスマット処理を行った後、水洗し、硫酸中で直流電解を行って陽極酸化皮膜を設けてもよい。さらに、必要に応じて、シリケート等による親水化処理を行ってもよい。
【0051】
以上のようにして平版印刷版用支持体を得ることができるが、この発明の支持体用アルミニウム合金板を用いれば、粗面化処理を施して生成するピットを、処理条件により深さおよび直径を適切に調整し得るとともに、大きさが均一なピットを、所望の分散密度で、均一に分散させて生成することができる。そしてまたこれらの特性を付与するために要する電解処理コストを大幅に低減することができる。
【0052】
さらに支持体を平版印刷版とするためには、支持体表面に感光剤を塗布、乾燥して感光層を形成すればよい。感光剤は特に限定されるものではなく、通常感光性平版印刷版に用いられるものを使用することができる。そして、リスフィルムを用いて画像を焼付け、現像処理、ガム引き処理を行うことで、印刷機に取り付け可能な印刷版とすることができる。また、レーザー等を使って、フィルムを用いずに画像を直接焼付けることもできる。
【0053】
感光剤としては、露光の前後で現像液に対する溶解性または膨潤性が変化するものであればいずれでも差支えない。感光剤の代表的なものを以下に列挙する。
【0054】
(1)o−キノンジアジド化合物からなる感光層ポジ型感光性化合物としては、o−ナフトキノンジアジド化合物で代表されるo−キノンジアジド化合物が挙げられる。o−ナフトキノンジアジド化合物としては、特公昭43−28403号公報に記載されている1,2−ジアゾナフトキノンスルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステルが好ましい。米国特許第3,046,120号および第3,188,210号明細書に記載された1,2−ジアゾナフトキノンスルホン酸クロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステルも好ましい。その他公知のo−ナフトキノンジアジド化合物も使用可能である。
【0055】
特に好ましいo−ナフトキノンジアジド化合物は、分子量が1,000以下のポリヒドロキシ化合物と1,2−ジアゾナフトキノンスルホン酸クロライドとの反応で得られた化合物である。ポリヒドロキシ化合物の水酸基1当量に対し、1,2−ジアゾナフトキノンスルホン酸クロライドを0.2〜1.2当量の割合で、特に0.3〜1.0当量の割合で反応させるのが好ましい。1,2−ジアゾナフトキノンスルホン酸クロライドとしては、1,2−ジアゾナフトキノン−5−スルホン酸クロライドが好ましいが、1,2−ジアゾナフトキノン−4−スルホン酸クロライドも使用可能である。
【0056】
o−ナフトキノンジアジド化合物は、1,2−ジアゾナフトキノンスルホン酸クロライドの置換基の位置および導入量の種々異なるものの混合物になるが、水酸基が全て1,2−ジアゾナフトキノンスルホン酸エステルに転換されたものが混合物に占める割合(完全にエステル化されたものの含有率)は5モル%以上であること、特に20〜90もる%であるのが好ましい。
【0057】
またo−ナフトキノンジアジド化合物を用いずに、ポジ型に作用する感光性化合物として、例えば特公昭56−2696号公報に記載されているo−ニトロカルビノールエステル基を有するポリマーも使用可能である。さらに、光分解により酸を発生する化合物と、酸により解離する−C−O−C−基または−C−O−Si−基を有する化合物との組合せ系も使用可能である。例えば、光分解により酸を発生する化合物とアセタールまたはO,N−アセタール化合物との組合せ(特開昭48−89003号)、オルトエステルまたはアミドアセタール化合物との組合せ(特開昭51−120714号)、主鎖にアセタールまたはケタール基を有するポリマーとの組合せ(特開昭53−133429号)、エノールエーテル化合物との組合せ(特開昭55−12995号)、N−アシルイミノ炭素化合物との組合せ(特開昭55−126236号)、主鎖にオルトエステル基を有するポリマーとの組合せ(特開昭56−17345号)、シリルエステル化合物との組合わせ(特開昭60−10247号)およびシリルエーテル化合物との組合わせ(特開昭60−37549号、特開昭60−121446号)等が挙げられる。
【0058】
感光層の感光性組成物中に占めるポジ型感光性化合物(前記のような組合せ系も含む)の割合は10〜50質量%が好ましく、15〜40質量%がより好ましい。
【0059】
o−キノンジアジド化合物は単独でも感光層を構成し得るが、結合剤(バインダー)としてのアルカリ水に可溶な樹脂とともに使用することが好ましい。アルカリ水に可溶な樹脂としては、ノボラック樹脂があり、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール混合(m−、p−、m−/p−混合のいずれでもよい)−ホルムアルデヒド樹脂等のクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール変性キシレン樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリハロゲン化ヒドロキシスチレン、特開昭51−34711号公報に開示されているようなフェノール性水酸基を含有するアクリル系樹脂、特開平2−866号公報に記載のスルホンアミド基を有するアクリル系樹脂や、ウレタン系樹脂等種々のアルカリ可溶性のポリマーを含有させることができる。アルカリ可溶性のポリマーは重量平均分子量が500〜20,000で、数平均分子量が200〜60,000のものが好ましい。
【0060】
アルカリ可溶性のポリマーは全組成物の70質量%以下含有される。さらに米国特許第4,123,279号明細書に記載されているように、t−ブチルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂のような炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの重縮合で得られる樹脂を併用することは画像の感脂性を向上させるので好ましい。
【0061】
感光性組成物には、感度を高めるために環状酸無水物、露光後直ちに可視像を得るための焼出し剤、画像着色剤としての染料やその他の充填材等を含有させることができる。環状酸無水物は、米国特許第4,115,128号明細書に記載されているように無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシ−△4−テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸等が使用される。環状酸無水物は、全組成物の質量に対して1〜15質量%含有させることによって、感度を最大3倍程度に高めることができる。露光後直ちに可視像を得るための焼出し剤としては、露光によって酸を放出する感光性化合物と塩を形成し得る有機染料の組合せを代表として挙げることができる。
【0062】
具体的には、特開昭50−36209号公報、特開昭53−8128号公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組合せや、特開昭53−36233号公報、特開昭54−74728号公報、特開昭60−3626号公報、特開昭61−143748号公報、特開昭61−151644号公報、特開昭63−58440号公報に記載されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の組合せを挙げることができる。画像の着色剤としては、前記の塩形成性有機染料以外の他の染料も使用可能である。塩形成性有機染料を含めて好適な染料は油溶性染料や塩基染料である。
【0063】
具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上は全て、オリエント化学工業株式会社製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、ローダミンB(CI45170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等を挙げることができる。特開昭62−293247号公報に記載されている染料が特に好ましい。
【0064】
感光性組成物は、前記諸成分を溶解する溶媒に溶解させて支持体に塗布される。溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、トルエン、酢酸メチル、乳酸メチル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、水、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフルフリルアルコール、アセトン、ジアセトンアルコール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコール、ジメチルエーテル等が挙げられる。これらは混合して使用することもできる。
【0065】
溶液に占める前記成分(固形分)は2〜50質量%である。塗布量は用途により異なるが、例えば感光性平版印刷版について言えば、一般的に固形分として0.5〜3.0g/mが好ましい。塗布量が少なくなるにつれて感光性は増大するが、感光膜の物性が低下する。
【0066】
感光性組成物には、塗布性を良くするために界面活性剤、例えば特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を含有させる。好ましい含有量は、全感光性組成物の0.01〜1質量%、好ましくは0.05〜0.5質量%である。
【0067】
(2)ジアゾ樹脂とバインダーとからなる感光層ネガ作用型感光性ジアゾ化合物としては、米国特許第2,063,631号明細書および米国特許第2,667,415号明細書に開示されているジアゾニウム塩とアルドールやアセタールのような反応性カルボニル基を有する有機縮合剤との反応生成物であるジフェニルアミン−p−ジアゾニウム塩とホルムアルデヒドとの縮合生成物(いわゆる感光性ジアゾ樹脂)が好適に用いられる。
【0068】
他の有用な縮合ジアゾ化合物は特公昭49−48001号公報、特公昭49−45322号公報、特公昭49−45323号公報等に記載されている。この型の感光性ジアゾ化合物は通常水溶性無機塩の形で得られるので、水溶液として塗布することができる。また、水溶性ジアゾ化合物を特公昭47−1167号公報に記載される方法により、1個またはそれ以上のフェノール性水酸基、スルホン酸基またはその両者を有する芳香族または脂肪族化合物と反応させ、その生成物である実質的に水不溶性の感光性ジアゾ樹脂を使用することもできる。
【0069】
ジアゾ樹脂の含有量は、感光層中に5〜50質量%含有されているのがよい。その含有量が少なくなれば感光性は当然増大するが、経時安定性が低下する。最適のジアゾ樹脂の含有量は約8〜20質量%である。一方、バインダーとしては、種々のポリマーが使用可能である、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アミド基、スルホンアミド基、活性メチレン基、チオアルコール基、エポキシ基を含むものがよい。
【0070】
具体的には、英国特許第1,350,521号明細書に記載されているシェラック、英国特許第1,460,978号明細書および米国特許第4,123,276号明細書に記載されているようなヒドロキシエチル(メタ)アクリレート単位を主たる繰返単位として含むポリマー、米国特許第3,751,257号明細書に記載されているポリアミド樹脂、英国特許第1,074,392号明細書に記載されているフェノール樹脂、および、例えばポリビニルフォルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂のようなポリビニルアセタール樹脂、米国特許第3,660,097号明細書に記載されている線状ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコールのフタレート化樹脂、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンから得られるエポキシ樹脂、ポリアミノスチレンやポリアルキルアミノ(メタ)アクリレートのようなアミノ基を含むポリマー、酢酸セルロース、セルロースアルキルエーテル、セルロースアセテートフタレート等のセルロース誘導体が包含される。
【0071】
ジアゾ樹脂とバインダーからなる組成物には、さらに、英国特許第1,041,463号明細書に記載されているようなpH指示薬、米国特許第3,236,646号明細書に記載されているリン酸、染料等の添加剤を含有させることができる。
【0072】
感光層の膜厚は0.1〜30μm、より好ましくは0.5〜10μmである。支持体上に設けられる感光層の量(固形分)は約0.1〜約7g/m、好ましくは0.5〜4g/mである。平版印刷版は画像露光された後、常法により現像を含む処理によって樹脂画像が形成される。例えば、感光層(A)を有するポジ型感光性平版印刷版の場合には、画像露光後、米国特許第4,259,434号明細書および特開平3−90388号公報に記載されているようなアルカリ水溶液で現像することにより露光部分の感光層が除去されて、平版印刷版が得られる。
【0073】
【実施例】
この発明を、実施例によりさらに具体的に説明するが、この発明は以下の実施例に限定されるものではないことはもちろんである。
【0074】
表1の合金No.1〜13に示す化学成分組成を有するアルミニウム合金を溶製し、半連続鋳造により500mm×1200mm×3500mmの鋳塊を鋳造した。その鋳塊に均質化熱処理し、室温まで徐冷して、片面10mmずつ面削を行なった後、加熱して熱間圧延を行ない、さらに1次冷間圧延を行なって、中間焼鈍を行ない、その後2次冷間圧延を2パスで行ない、最終的に0.3mm厚の平版印刷版支持体用素板に仕上げた。2次冷間圧延の各パスの上り温度は、圧下量と圧延速度、圧延油量で調整した。なお一部の製造条件(熱延製造条件符号H)では、均質化処理を行なわず、面削後350℃に2時間加熱して、熱間圧延を開始した。また一部の製造条件(冷間圧延製造条件符号カ)では、中間焼鈍を行なわなかった。詳細な熱延工程条件を表2中に示し、表3に熱延終了以降の冷間圧延等の工程条件を示す。
【0075】
これら合金および熱延条件、熱延以降の条件を組み合わせた材料について、次のような評価試験を行った。
【0076】
Fe、Si固溶量:
Fe固溶量、Si固溶量は最終圧延板をフェノール溶液に溶解する熱フェノール分析法で分析した。詳細な方法、条件に関しては前述の文献の通りである。
【0077】
キューブ方位密度:
集合組織のキューブ方位密度の測定には、通常のX線回折法を用いて(200)、(220)、(111)の不完全極点図を測定し、ランダム方位を持つ試料で強度補正を行い、それらから結晶方位分布関数(Orientation Disribution Function:ODF)を計算し、キューブ方位の方位密度を求めた。なお測定は板の表面で行なった。
【0078】
電解グレイニング性(電気化学的粗面化処理性):
電解グレイニング性評価は、素板に対し表4に示すような表面処理を施して行なった。各処理は、表4に示す左側の処理から順に行ない、各処理の間で水洗を行なった。なお本実施例においては、ブラシによる機械的粗面化は行なわなかった。ここで表4におけるアルカリエッチング処理(1)および(2)では、NaOH濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、液温65℃の溶液を使用した。また電気化学的粗面化処理においては、電解液として硝酸濃度1質量%、アルミニウムイオン濃度0.5質量%の溶液を使用し、交流電流で電解を行なった。なおこの実施例で用いたアルミニウム合金では、In、Sn、Pb、Ni、Be等を含有するため、電気化学的粗面化処理における電気量は240C/dmとした。これらの元素を含有していない場合には、このような低電気量では均一なピットを全面に生成することが困難となる。一般には300C/dmを越える程度の電気量でなければ均一なピットが生成できないとされている。この点についての比較例としては、合金No.13を用いた試料番号24の結果を参照されたい。また表4における陽極酸化処理は、電解液として15質量%の硫酸溶液を使用し、直流電流で行なった。このようにして表面処理を行なった面について、肉眼及びSEMで観察し、電解グレイニング性を評価した。すなわち、肉眼では帯状、筋状のストリークスや数mmの花びら状の模様等の有無を観察し、SEMでは微小なピットが均一であるか否かを調べた。評価としては、○印を粗面化が均一、×印を粗面化が不均一とした。
【0079】
耐バーニング性:
耐バーニング性は便宜的に270℃のオイルバスにJIS5号試験片に加工した材料を7分間浸漬し、その後引っ張り試験を行って0.2%耐力を求めた。この値が110MPa以上であればバーニング特性は合格とし、○評価とした。
【0080】
結晶粒径:
一般にアルミニウム合金の結晶粒の測定に用いられるバーカー氏液による陽極酸化処理後、偏光顕微鏡により結晶粒観察を行って、アルミニウム合金板表面の圧延方向に直角方向の平均結晶粒径を切断法により求めた。
【0081】
以上の各評価結果を表5、表6に示す。
【0082】
【表1】
Figure 0004270363
【0083】
【表2】
Figure 0004270363
【0084】
【表3】
Figure 0004270363
【0085】
【表4】
Figure 0004270363
【0086】
【表5】
Figure 0004270363
【0087】
【表6】
Figure 0004270363
【0088】
表5、表6に示すように、この発明の方法による試料番号1〜7のものは、いずれも低電気量で電解グレイニング性、耐バーニング特性ともに良好な性能を示した。
【0089】
これに対し、試料番号8〜10のものは、それぞれこの発明で規定するCu、Ti、In量の範囲を外れているため、電解グレイニング性が劣った。また試料番号11のものは、均質化処理温度が低く、そのためSi固溶量が少なくなって電解グレイニング性が低下した。さらに試料番号12のものは、熱間粗圧延温度が高過ぎて、熱間圧延での再結晶粒が粗大となり、電気化学的粗面化処理後にストリークが発生して、電解グレイニング性が低下した。また試料番号13のものは、熱間粗圧延温度が低過ぎて熱間圧延中に再結晶が発生せず電気化学的粗面化処理後にストリースが発生し、また熱延上り温度が低いために一部に腐食跡が見られた。さらに試料番号14のものは、熱間粗圧延終了2パス目および1パス目の圧下率が小さいため微細な再結晶が発生せず、そのため電気化学的粗面化処理後にストリークスが発生し、さらにキューブ方位の分布密度が高く、電解グレイニング性が不均一となった。さらに試料番号15のものは、連続中間焼鈍時の温度が低いためFe固溶量が低下して、電解グレイニング性、耐バーニング性が低下した。そして試料番号16のものは、中間焼鈍がバッチ焼鈍であってFe固溶量が少なく、またキューブ方位の分布密度が高いため、電解グレイニング性が低下し、さらに耐バーニング性も低下した。また試料番号17のものは、連続中間焼鈍の温度が高すぎて結晶粒が120μmと粗大化し、またキューブ方位の分布密度も高いため、電解グレイニング性が不均一となり、またストーリクスも見られた。また試料番号18のものは、2次冷間圧延率が少ないため圧延板の強度が低過ぎ、しかもキューブ方位の分布密度が高いため、電解グレイニング性も不均一となった。さらに試料番号19のものは、2次冷間圧延時の各パス上り温度が高いため、Si固溶量が低下し、そのため電解グレイニング性が不均一となった。また試料番号20のものは、熱間圧延終了温度が高く、かつ中間焼鈍を行なっていないため、キューブ方位の分布密度が高くなって、電解グレイニング性が不均一となった。そしてまた試料番号21のものは、Si量が高いためにSi固溶量が高く、逆にFe固溶量は低下し、そのため電解グレイニング性が低下した。さらに試料番号22のものは、Si量が低過ぎるために固溶Si量が低く、そのため電解グレイニング性が不均一となった。さらに試料番号23のものは、均質化処理なしで熱間粗圧延の最終から2パス目、1パス目ともに圧下率が低く、熱延での再結晶が発生していないため、キューブ方位の分布密度が高くなって、電解グレイニング性が不均一となった。そして試料番号24のものはIn、Sn、Pb、Ni、Beが添加されていないため、低電気量では電解グレイニング性が不均一となった。
【0090】
【発明の効果】
前述の実施例からも明らかなように、この発明による平版印刷版支持体用アルミニウム合金板は、電解グレイニング性が優れていて、低電気量でも均一かつ微細な粗面を形成することができ、しかも耐熱軟化性が良好で耐バーニング性も優れており、したがって平板印刷版支持体に最適である。

Claims (2)

  1. Cu0.0001〜0.03%(mass%、以下同じ)、Ti0.005〜0.03%、Fe0.1〜0.5%、Si0.05〜0.20%を含有し、Fe固溶量が0.001〜0.005%でかつSi固溶量が0.04〜0.15%であり、さらに、In0.001〜0.05%、Sn0.001〜0.05%、Pb0.001〜0.05%、Ni0.001〜0.05%、およびBe0.0001〜0.01%のうちの1種または2種以上を含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、しかも板表面の結晶粒の圧延方向に直角な方向の平均粒径が60μm以下であり、さらに集合組織として、キューブ方位の方位分布密度が9以下であることを特徴とする、電気化学的粗面化処理を施して使用される、電解グレイニング性および耐バーニング性に優れた平版印刷版支持体用アルミニウム合金板。
  2. Cu0.0001〜0.03%、Ti0.005〜0.03%、Fe0.1〜0.5%、Si0.05〜0.20%を含有し、さらにIn0.001〜0.05%、Sn0.001〜0.05%、Pb0.001〜0.05%、Ni0.001〜0.05%、およびBe0.0001〜0.01%のうちの1種または2種以上を含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金を鋳造し、その鋳塊に500〜620℃の範囲内の温度で1時間以上均質化処理を施した後、熱間圧延を行なうにあたって、圧延開始温度を350〜450℃とし、かつ熱間粗圧延終了前1パスまたは2パスを圧延率40%以上とし、かつ熱間仕上げ圧延終了温度を200〜280℃とし、その熱間圧延とその後の冷間圧延との間もしくは冷間圧延の中途において中間焼鈍を450〜580℃で行ない、前記中間焼鈍後の冷間圧延を65%以上の圧延率で施し、かつその中間焼鈍後の冷間圧延の各パスにおける圧延上り温度が120℃以下となるように制御し、これによってFe固溶量が0.001〜0.005%でかつSi固溶量が0.04〜0.15%であって、しかも板表面の結晶粒の圧延方向に直角な方向の平均粒径が60μm以下であり、さらに集合組織として、キューブ方位の方位分布密度が9以下である平版印刷版支持体用アルミニウム合金板を得ることを特徴とする、電解グレイニング性および耐バーニング性に優れた平版印刷版支持体用アルミニウム合金板の製造方法。
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