JP5250068B2 - 裏面白化防止性に優れる印刷版用高強度アルミニウム合金板の製造方法 - Google Patents

裏面白化防止性に優れる印刷版用高強度アルミニウム合金板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、印刷、特に平版印刷の支持体として使用される印刷版用高強度アルミニウム合金板の製造方法に関するものである。
一般に、オフセット印刷の支持体としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金板が使用されており、印刷版への感光膜の密着性および非画像部の保水性を高めるために、合金板表面の片面に粗面化処理が行われている。この粗面化処理方法としては、ボール研磨法若しくはブラシ研磨法等の機械的処理方法、苛性ソーダ等のアルカリ性水溶液で脱脂された後に塩酸、若しくはこれを主体とする電解液、若しくは硝酸を主体とする電解液を使用して合金板表面を電気化学的に粗面化する電解粗面化処理方法、またはこれらの機械的処理方法と電解粗面化処理方法とを組み合わせた処理方法がある。そして、このように粗面化された表面に厚み1μm程度のアルマイト皮膜を形成させ、封孔処理、乾燥処理後、感光膜を塗装し、必要に応じてマット処理を行った後に、所定寸法に断裁することで印刷版とする。なお、電解粗面化処理により得られた粗面板は高い製版適正および印刷性能を示し、コイル材での連続処理に適している。
このような、アルミニウム合金板を支持体として使用した印刷版では、新聞等の印刷部数が10万枚程度の印刷においては、印刷版を印刷ロール(印刷機)に装着する際、印刷枚数が多くなると、印刷版の端部の折り曲げ固定部において、アルミニウム合金板自体にクラックが生じやすい。そして、このクラックを起点として、印刷版の版切れ、すなわち、印刷版が所謂くわえ切れを起こす可能性があるという問題もあった。そのため、より強度に優れた印刷版用アルミニウム合金板の開発が望まれている。
また、前記大量印刷における耐刷性の向上のためには、アルミニウム合金板を支持体とする印刷版を通常の方法で露光、現像処理した後、高温で加熱処理(バーニング処理)することにより画像部の感剤を熱硬化させる処理が行われている。バーニング処理は、通常200〜290℃×3〜10分の条件で行われるため、この処理により、支持体であるアルミニウム合金の強度が低下することのない耐熱性(バーニング性)も求められている。
このような強度特性および電解粗面化処理に適したアルミニウム合金板として、特許文献1または特許文献2には、Mg、Zn、Mn、Fe、Si、CuおよびTiを所定量添加したものが記載されている。これらのアルミニウム合金板においては、これらの元素を所定量添加することによって、塩酸あるいは硝酸電解粗面化処理での電解粗面化面の均一性と強度特性を向上させていた。
特開2004−250794号公報(請求項1、段落0009) 特開2007−70674号公報(請求項3、段落00011)
しかしながら、従来のアルミニウム合金板においては、製造過程において、合金板の表面にはAl−Fe−Si系、Al−Fe系、Al−Fe−Mn系等の金属間化合物が生成する。この金属間化合物のうち、最大長さの大きい金属間化合物が存在すると、電解粗面化面の均一性が低下しやすい。そして、従来のアルミニウム合金板においては、表面に存在する金属間化合物が他の金属化合物と比べて最大長さが大きいために、電解粗面化面の均一性において満足できるレベルではない。
さらに近年においては、CTP(Computer To Plate)版の普及によりプレートセッター等が登場し、印刷版の製造等において自動化が進んでいる。このような時代変化から、梱包された印刷版の取り出しについても自動化が進んだ結果、梱包物から印刷版を取り出す時に、外部からの進入光(赤外線や紫外線センサーの進入光)による感光膜塗装面の誤露光を防止するため、印刷版の梱包においては、開梱したときに、印刷版の裏面(非塗装面や非粗面化処理面に相当)が表となる梱包形態のものも普及している。そのため、従来は特別な管理が必要でなかった裏面の表面状態も適正にする必要が生じている。すなわち、脱脂処理や電解粗面化処理により、粗面化処理される面の裏面(無通電処理面)が白色化する問題もあり、この裏面外観の状態から、自動製版処理装置において、印刷版位置のセンサーによる検知ができずに搬送トラブルを生ずる問題も生じている。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、電解粗面化面の均一性に優れ、電解粗面化面の裏面が白色化しない印刷版とすると共に、強度特性にも優れた裏面白化防止性に優れる印刷版用高強度アルミニウム合金板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、アルミニウム合金の成分、製造条件を制御することにより、電解粗面化処理特性、電解粗面化面の裏面特性および強度特性を適正にすることができる発明を成すに至った。
すなわち、請求項1に係る裏面白化防止性に優れる印刷版用高強度アルミニウム合金板の製造方法は、Si:0.03質量%以上0.15質量%以下、Fe:0.25質量%以上0.70質量%以下、Cu:0.0005質量%以上0.050質量%以下、Mg:0.05質量%以上0.40質量%未満、Ti:0.005質量%以上0.040質量%以下を含有し、Zn:0.05質量%以下、Mn:0.01質量%以下に規制し、残部がAlと不可避的不純物からなるアルミニウム合金を溶解、鋳造して鋳塊を作製する第1工程と、前記第1工程で作製された鋳塊を380℃以上600℃以下で均質化熱処理する第2工程と、前記第2工程で均質化熱処理された鋳塊を、圧延終了温度300℃以上370℃以下で熱間圧延する第3工程と、前記第3工程で熱間圧延された圧延板を、中間焼鈍を行わずに冷間圧延してアルミニウム合金板を作製する第4工程とを含むことを特徴とする。
このような手順によれば、裏面白化防止性に優れる印刷版用高強度アルミニウム合金板(以下、適宜、アルミニウム合金板という)が所定量のSi、Fe、Cu、MgおよびTiを含有すると共に、Mn含有量を所定量以下に規制することによって、アルミニウム合金板の表面を電解粗面化処理した際、電解粗面化面を不均一にする最大長さの大きい金属間化合物の個数密度を少なくでき、微細な金属間化合物の数を増やすことができる。これにより、初期ピットの形成が促進される。さらに、Fe、Cu、Mgの作用により、アルミニウム合金板の強度が向上する。そして、Zn含有量を所定量以下に規制することにより、脱脂処理や電解液への浸漬によっても電解粗面化面の裏面が白色化することのないアルミニウム合金板とすることができる。このようにして得られたアルミニウム合金板を使用した支持体は、その電解粗面化面およびその裏面が印刷版として適正な表面特性となる。
また、所定の組成を有するアルミニウム合金を使用し、所定温度の均質化熱処理および熱間圧延、そして冷間圧延を行うことによって、アルミニウム合金板の表面に存在する金属間化合物の個数密度が所定範囲になり、アルミニウム合金板の表面を電解粗面化処理した際、初期ピットの形成が促進される。また、電解粗面化面を不均一にする最大長さの大きい金属間化合物の個数密度も少なくなる。また、均質化処理温度を適正化することにより、Fe、Cu、Mgの固溶度が高まり、バーニング処理後の強度低下が抑制される。さらに、熱間圧延の終了温度を適正化することにより、中間焼鈍工程を省略することも可能となる。
請求項2に係る裏面白化防止性に優れる印刷版用高強度アルミニウム合金板の製造方法は、Si:0.03質量%以上0.15質量%以下、Fe:0.25質量%以上0.70質量%以下、Cu:0.0005質量%以上0.050質量%以下、Mg:0.05質量%以上0.40質量%未満、Ti:0.005質量%以上0.040質量%以下を含有し、Zn:0.05質量%以下、Mn:0.01質量%以下に規制し、残部がAlと不可避的不純物からなるアルミニウム合金を溶解、鋳造して鋳塊を作製する第1工程と、前記第1工程で作製された鋳塊を380℃以上600℃以下で均質化熱処理する第2工程と、前記第2工程で均質化熱処理された鋳塊を、圧延終了温度250℃以上300℃以下で熱間圧延する第3工程と、前記第3工程で熱間圧延された圧延板を冷間圧延し、さらに中間焼鈍、冷間圧延してアルミニウム合金板を作製する第4工程とを含むことを特徴とする。
このような手順によれば、裏面白化防止性に優れる印刷版用高強度アルミニウム合金板(以下、適宜、アルミニウム合金板という)が所定量のSi、Fe、Cu、MgおよびTiを含有すると共に、Mn含有量を所定量以下に規制することによって、アルミニウム合金板の表面を電解粗面化処理した際、電解粗面化面を不均一にする最大長さの大きい金属間化合物の個数密度を少なくでき、微細な金属間化合物の数を増やすことができる。これにより、初期ピットの形成が促進される。さらに、Fe、Cu、Mgの作用により、アルミニウム合金板の強度が向上する。そして、Zn含有量を所定量以下に規制することにより、脱脂処理や電解液への浸漬によっても電解粗面化面の裏面が白色化することのないアルミニウム合金板とすることができる。このようにして得られたアルミニウム合金板を使用した支持体は、その電解粗面化面およびその裏面が印刷版として適正な表面特性となる。
また、所定の組成を有するアルミニウム合金を使用し、所定温度の均質化熱処理および熱間圧延、そして冷間圧延を行うことによって、アルミニウム合金板の表面に存在する金属間化合物の個数密度が所定範囲になり、アルミニウム合金板の表面を電解粗面化処理した際、初期ピットの形成が促進される。また、電解粗面化面を不均一にする最大長さの大きい金属間化合物の個数密度も少なくなる。また、均質化処理温度を適正化することにより、および中間焼鈍を行うことにより、Fe、Cu、Mgの固溶度が高まり、バーニング処理後の強度低下が抑制される。
また、請求項3に係る裏面白化防止性に優れる印刷版用高強度アルミニウム合金板の製造方法は、前記アルミニウム合金が、さらに、Ni:0.20質量%以下を含有することを特徴とし、請求項4に係る裏面白化防止性に優れる印刷版用高強度アルミニウム合金板の製造方法は、前記Niの含有量が、0.005質量%以上0.20質量%以下であることを特徴とする。
このような手順によれば、アルミニウム合金板の表面に、Al−Fe系の化合物よりさらに電位が貴であるAl−Fe−Ni系金属間化合物が生成し、電解粗面化処理の際、アルミニウム合金板表面の初期ピットの形成が促進される。そのため、このようにして得られたアルミニウム合金板を使用した支持体は、その電解粗面化面およびその裏面が印刷版としてさらに適正な表面特性となる。
本発明に係る裏面白化防止性に優れる印刷版用高強度アルミニウム合金板の製造方法によれば、電解粗面化面の均一性に優れ、電解粗面化面の裏面(無通電処理面)が白色化せず、強度特性にも優れたアルミニウム合金板が製造される。
(1)アルミニウム合金板
まず、本発明に係るアルミニウム合金板について説明する。
本発明に係るアルミニウム合金板は、所定量のSi、Fe、Cu、MgおよびTiを含有し、ZnとMnを所定量以下に規制し、残部がAlと不可避的不純物からなる。なお、必要に応じて、所定量のNiを含有してもよい。以下に、各化学成分の数値範囲の限定理由について説明する。
(Si:0.03質量%以上0.15質量%以下)
Siは、アルミニウム合金板の表面にAl−Fe−Si系金属間化合物を析出させ、電解粗面化処理の際、アルミニウム合金板表面の初期ピットの形成を促進させる。その結果、アルミニウム合金板の電解粗面化面(以下、適宜、粗面という)の均一性を向上させる。Si含有量が0.03質量%未満では、アルミニウム合金板表面での金属間化合物の個数密度が少ないため、初期ピットの形成が不足し、粗面の均一性が劣る。一方、Si含有量が0.15質量%を超えると、アルミニウム合金板表面での金属間化合物の個数密度が多くなりすぎて、粗面の均一性が劣る。したがって、Si含有量は、0.03質量%以上0.15質量%以下とする。
(Fe:0.25質量%以上0.70質量%以下)
Feは、アルミニウム合金板の強度向上のために重要な元素である。また、Feは、アルミニウム合金板の表面にAl−Fe−Si系金属間化合物等を析出させ、電解粗面化処理の際、アルミニウム合金板表面の初期ピットの形成を促進させる。その結果、アルミニウム合金板の粗面の均一性を向上させる。Fe含有量が0.25質量%未満では、アルミニウム合金板の強度が低くなり、引張強さ、曲げ疲労強度が低下し、印刷版の支持体として使用した際にくわえ切れが発生する。さらに、アルミニウム合金板表面での金属間化合物の個数密度が少ないため、初期ピットの形成が不足し、粗面の均一性が劣る。また、0.25質量%以上0.40質量%以下では、塩酸による電解粗面化処理では粗面の均一性は良好であるが、硝酸による電解粗面化処理ではやや均一性に劣る。しかし、0.40質量%を超え0.70質量%以下では、硝酸による粗面化処理でも粗面の均一性は良好なものとなる。一方、Fe含有量が0.70質量%を超えると、アルミニウム合金板表面での金属間化合物の個数密度が多くなりすぎ、また、アルミニウム合金板表面に粗大な金属間化合物が形成されて、粗面の均一性が劣る。したがって、Fe含有量は、0.25質量%以上0.70質量%以下とする。なお、Feの含有量は、さらに強度、粗面の均一性の向上を図るため、0.40質量%を超え0.70質量%以下が好ましい。
(Cu:0.0005質量%以上0.050質量%以下)
Cuは、アルミニウムに固溶状態で存在し、アルミマトリックスの強度を向上させると共に、アルミマトリックスと金属間化合物の電位を調整する作用を有する。Cu含有量が0.0005質量%未満では、アルミニウム合金板の電解粗面化の際に、初期ピットの形成が不足し、粗面の均一性が劣る。一方、Cu含有量が0.050質量%を超えると、粗大なピットが多くなり、粗面の均一性が劣る。したがって、Cu含有量は、0.0005質量%以上0.050質量%以下とする。
(Mg:0.05質量%以上0.40質量%未満)
Mgは、アルミニウムに固溶状態で存在し、アルミマトリックスの強度を向上させる重要な元素である。Mg含有量が0.05質量%未満では、アルミニウム合金板の強度が低くなり、引張強さ、曲げ疲労強度およびバーニング処理後の強度が低下し、印刷版の支持体として使用した際にくわえ切れが発生する。一方、Mg含有量が0.40質量%以上では、粗大なピットが多くなり、粗面の均一性が劣る。さらに、アルミニウム合金板表面に粗大な金属間化合物が形成されて、粗面の均一性が劣る。したがって、Mg含有量は、0.05質量%以上0.40質量%未満とする。
(Ti:0.005質量%以上0.040質量%以下)
Tiは、電解粗面化特性およびアルミニウム合金鋳塊の組織状態に大きな影響を及ぼす。Ti含有量が0.005質量%未満では、電解粗面化ピットが不均一になり、また鋳塊の結晶粒が微細化されずに粗大な結晶粒組織となるため、板製品のマクロ組織に、圧延方向に沿った帯状の筋が発生し、この帯状の筋が電解粗面化処理後にも残存する。一方、Ti含有量が0.040質量%を超えると、アルミニウム合金鋳塊の結晶粒を微細化する効果が飽和し、粗大なAlTi化合物が増加して電解粗面の均一性が低下する。したがって、Ti含有量は、0.005質量%以上0.040質量%以下とする。
(Zn:0.05質量%以下)
Znは、アルミニウムに固溶状態で存在し、アルミマトリックスと金属間化合物の電位を調整する作用を有する。しかし、Zn含有量が0.05質量%を超えると、Al−Fe系、Al−Fe−Mn系の金属間化合物に対して、アルミマトリックスの電位を卑にすることから、脱脂液や無通電状態の電解液への浸漬により、アルミマトリックスからのAl溶出が生ずる。これにより、電解粗面化面の裏面が白色化する。そのため、印刷版を自動製版処理装置に自動搬送する際に、印刷版位置のセンサーによる検知ができずに搬送トラブルを生ずる。この裏面白色化現象は、特に塩酸による電解粗面化処理時に生じやすい。したがって、Zn含有量は、0.05質量%以下とする。なお、Znの含有量は、より電解粗面化面の裏面の白色化を防ぐため、0.02質量%未満が好ましく、さらに電解粗面化面の裏面の白色化を防ぐため、Zn含有量はできるだけ少ないほうが好ましいことから、0.003質量%未満が好ましい。
(Mn:0.01質量%以下)
Mnは、アルミニウム合金板の製造過程において、鋳塊製造時に形成されるいわゆる晶出物に加えて、均質化熱処理時にいわゆる析出物の形態で多く形成される。Mnを所定量を超えて含有すると、Al−Fe−Mn系の粗大な金属間化合物を生成する。その結果、アルミニウム合金板の粗面が不均一となる。Al−Fe−Mn系金属間化合物は、Mn含有量が0.01質量%以下では、アルミニウム合金中に固溶するために、アルミニウム合金板表面での粗大な金属間化合物を少なくすることができ、均一な粗面が得られる。一方、Mn含有量が0.01質量%を超えると、アルミニウム合金板表面に粗大な金属間化合物が形成されて、粗面の均一性が劣る。したがって、Mn含有量は、0.01質量%以下とする。
(Ni:0.20質量%以下)
Niは、材料の化学溶解性を向上させ、電解粗面化時のエッチング性を向上させる元素である。Niは、アルミニウム合金板の表面にAl−Fe−Ni系金属間化合物を形成させる。この化合物はAl−Fe系の化合物よりさらに電位が貴であるため、電解粗面化処理の際、アルミニウム合金板表面の初期ピットの形成を促進させ、短時間で均一かつ微細な粗面を得ることが可能となる。しかし、Ni含有量が0.20質量%を超えると、粗大な金属間化合物が形成されて、粗面の均一性が劣る。また、Niは添加しなくてもよいが、0.005質量%以上添加すると、粗面の均一性を向上させる効果がより発揮されやすくなるため、0.005質量%以上添加するのが好ましい。なお、NiもZnと同様に化学溶解性を高めることになるが、アルミマトリクス自体が溶出することはなく、電解粗面化面の裏面が白色化することはない。したがって、Niを添加する場合は、Ni含有量は、0.20質量%以下、好ましくは、0.005質量%以上0.20質量%以下とする。
このように、本発明においては、アルミニウム合金板にNiを添加することで、粗面の均一性がさらに向上し、アルミニウム合金板の表面性をより良好にすることができる。
(残部:Alと不可避的不純物)
不可避的不純物は、通常市販されているアルミニウム地金に含まれる不可避的不純物であれば、本発明の目的を損なうものではない。また、アルミニウム純度が99.0質量%以上であることが好ましい。純度が99.0質量%以上であれば、粗大な金属間化合物の形成がより抑制され、粗面が均一となりやすい。
(2)アルミニウム合金板の製造方法
次に、本発明に係るアルミニウム合金板の製造方法について説明する。
アルミニウム合金板の製造方法としては、第1製造方法および第2製造方法があり、第1製造方法では、冷間圧延の途中に中間焼鈍を行わないのに対し、第2製造方法では、冷間圧延の途中に中間焼鈍を行うものである。第2製造方法では、中間焼鈍を行うため、熱間圧延での終了温度を、第1製造方法における終了温度よりも低くすることができる。
[第1製造方法]
本発明に係るアルミニウム合金板の第1の製造方法は、鋳塊を作製する第1工程と、鋳塊を均質化熱処理する第2工程と、均質化熱処理された鋳塊を熱間圧延する第3工程と、熱間圧延された圧延板を冷間圧延する第4工程とを含むことで構成される。
以下、各工程について説明する。
(第1工程)
第1工程は、化学成分(Si、Fe、Cu、Mg、Ti、ZnおよびMn、さらに、Niを含有する場合はNi)の含有量を前記所定範囲に限定したアルミニウム合金を溶解、鋳造して鋳塊を作製する工程である。溶解、鋳造方法としては従来公知の方法を使用する。
(第2工程)
第2工程は、前記第1工程で作製された鋳塊を380℃以上600℃以下で均質化熱処理する工程である。この均質化熱処理、および後記する熱間圧延、冷間圧延によって、アルミニウム合金板の表面に存在する金属間化合物の個数密度を所定範囲にすることが可能となる。なお、均質化熱処理方法については、従来公知の方法を使用する。以下、均質化熱処理温度の数値限定理由について説明する。
(均質化熱処理温度:380℃以上600℃以下)
均質化熱処理温度が380℃未満では、均質化熱処理が不十分であることに加えて、金属間化合物の析出量が少なく、アルミニウム合金板の表面に存在する金属間化合物の大きさが小さくなる。そのため、粗面化処理において初期ピットの形成が促進されず、粗面化不足となり、粗面の均一性が劣る。一方、均質化熱処理温度が600℃を超えると、金属間化合物が固溶し、アルミニウム合金板の表面に存在する金属間化合物の個数密度が少なくなるため、ピットひとつひとつの直径が大きくなり、粗面の均一性が劣る。したがって、均質化熱処理温度は、380℃以上600℃以下とする。
なお、適正な温度範囲よりも高温側・低温側のほうが、バーニング処理後の強度は高くなるが、この場合、温度範囲を外れるため、粗面の均一性が劣ることとなる。そこで、均質化熱処理温度を適正化することにより、粗面の均一性が劣ることなく、Fe、Cu、Mgの固溶度が高まることで、バーニング処理後の強度低下も抑制される。
(第3工程)
第3工程は、前記第2工程で均質化熱処理された鋳塊を、圧延終了温度300℃以上370℃以下で熱間圧延する工程である。なお、熱間圧延方法については、従来公知の方法を使用する。また、必要に応じて、熱間圧延を複数回繰り返し行ってもよい。以下、熱間圧延の圧延終了温度の数値限定について説明する。
(熱間圧延終了温度:300℃以上370℃以下)
熱間圧延終了温度が300℃未満では、圧延板中の動的再結晶が不十分であり、圧延板の結晶組織が不均一となり、粗面の均一性が劣る。また、それに加えて、アルミニウム合金板の表面に存在する金属間化合物の個数密度が不足するため、初期ピットの形成が促進されず、粗面の均一性が劣る。一方、熱間圧延終了温度が370℃を超えると、熱間圧延の各パス間において結晶粒が過剰に成長してしまい、粗面の均一性が劣る。また、それに加えて、金属間化合物が固溶し、アルミニウム合金板の表面に存在する金属間化合物の個数密度が少なくなるため、初期ピットの形成が促進されず、粗面の均一性が劣る。なお、熱間圧延終了温度を前記範囲にすることで、熱間圧延の直後の荒焼鈍を行う必要がなく、また、冷間圧延の途中の中間焼鈍を省略することができる。
したがって、熱間圧延工程の後の冷間圧延工程の途中の中間焼鈍を省略する場合には、熱間圧延終了温度は、300℃以上370℃以下とする。
(第4工程)
第4工程は、前記第3工程で熱間圧延された圧延板を、中間焼鈍を行わずに冷間圧延してアルミニウム合金板を作製する工程である。なお、冷間圧延方法については、従来公知の方法を使用する。ここで、冷間圧延率は60〜95%が好ましい。また、必要に応じて、冷間圧延を複数回繰り返し行ってもよい。
[第2製造方法]
本発明に係るアルミニウム合金板の第2の製造方法は、鋳塊を作製する第1工程と、鋳塊を均質化熱処理する第2工程と、均質化熱処理された鋳塊を熱間圧延する第3工程と、熱間圧延された熱間圧延板を冷間圧延し、さらに中間焼鈍、冷間圧延する第4工程とを含むことで構成される。
以下、各工程について説明する。
第1工程、第2工程については、前記第1製造方法と同様であるため、ここでは、説明を省略する。
(第3工程)
第3工程は、前記第2工程で均質化熱処理された鋳塊を、圧延終了温度250℃以上300℃以下で熱間圧延する工程である。第2製造方法では、冷間圧延の途中で中間焼鈍を行うため、圧延終了温度を、第1製造方法における終了温度よりも低い温度に設定することができる。なお、圧延終了温度以外については、前記第1製造方法の第3工程と同様である。以下、熱間圧延の圧延終了温度の数値限定について説明する。
(熱間圧延終了温度:250℃以上300℃以下)
熱間圧延終了温度が250℃未満では、圧延板中の動的再結晶が不十分であり、圧延板の結晶組織が不均一となり、粗面の均一性が劣る。また、それに加えて、アルミニウム合金板の表面に存在する金属間化合物の個数密度が不足するため、初期ピットの形成が促進されず、粗面の均一性が劣る。一方、熱間圧延終了温度が300℃を超えると、得られた熱間圧延板に冷間圧延を施した後に中間焼鈍を行うと、歪エネルギーの蓄積が不足して、中間焼鈍によって生じる再結晶粒を微細にできないことから、粗面の均一性に劣る。
したがって、熱間圧延工程後の冷間圧延工程の途中で中間焼鈍を行う場合には、熱間圧延終了温度は、250℃以上300℃以下とする。
(第4工程)
第4工程は、前記第3工程で熱間圧延された圧延板を冷間圧延し、さらに中間焼鈍、冷間圧延してアルミニウム合金板を作製する工程である。中間焼鈍については、従来公知の条件で行えばよい。例えば、バッチ式焼鈍では400〜500℃×1〜10時間、連続焼鈍では400〜550℃×0〜30秒間の条件で行うことが好ましい。なお、冷間圧延の途中で中間焼鈍を行うこと以外は前記第1製造方法の第4工程と同様であるため、ここでは、説明を省略する。
本発明の製造方法は、以上説明したとおりであるが、第1製造方法および第2製造方法を行うにあたり、前記各工程に悪影響を与えない範囲において、前記各工程の間あるいは前後に、例えば、鋳塊を面削する面削工程や、ごみ等の不要物を除去する不要物除去工程や、板の歪みを矯正する歪み矯正処理工程等、他の工程を含めてもよい。
[第1実施例]
本発明に係るアルミニウム合金板の実施例(実施例1〜13)について、その比較例(比較例1〜14)と比較して具体的に説明する。
<実施例1〜13、比較例1〜14>
第1実施例では、第1製造方法によりアルミニウム合金板を作製した。
表1に示す組成を有するアルミニウム合金を溶解、鋳造して鋳塊を作製し、面削して580mm厚さとした。この鋳塊を480℃×4hで均質化熱処理し、圧延終了温度330℃で熱間圧延して厚さ3mmでコイル状に巻き取った。この熱間圧延板に、中間焼鈍を施さずに冷間圧延を施して最終製品厚さ0.3mmの圧延板とした後に、テンションレベラーによる矯正を施し、評価用コイル製品を作製した。このコイル製品外周からシート状のアルミニウム合金板を切り出した。なお、表1において、成分を含有していないものについては、「−」で示し、本発明の請求範囲を満たさないものについては、数値に下線を引いて示す。
次に、前記のアルミニウム合金板の表面を、以下の条件で電解粗面化処理した。
(電解粗面化処理条件)
アルミニウム合金板を、5質量%水酸化ナトリウム水溶液で、温度50℃にて30秒間脱脂した後、1質量%硝酸で、室温にて30秒間中和洗浄した。中和洗浄されたアルミニウム合金板を、2質量%塩酸中で、電流密度120A/dm、周波数50Hz、温度25℃の電解条件で、10秒間の電解処理する方法と、2質量%硝酸中で、電流密度50A/dm、周波数50Hz、温度25℃の電解条件で、30秒間の電解処理する方法で交流電解粗面化処理した。電解粗面化処理されたアルミニウム合金板を、5質量%水酸化ナトリウム水溶液で、温度50℃にて10秒間デスマット処理した後、30質量%硝酸で、室温にて30秒間中和洗浄し、水洗、乾燥させ、これを評価試料とした。
この評価試料について、粗面の均一性を調べた。その結果を表1に示す。
(均一性の評価方法)
評価試料の粗面を、SEMを用いて2000倍で表面観察し、これを写真撮影した。この写真を並べて全長100cmの線を平行に3本引き、この線の下にある最大のピットと最小のピットの大きさ(最大長さ)の差を求めることにより均一性を評価した。ここで、ピットの大きさの差が1μm以下のものを◎(極めて良好)とし、ピットの大きさの差が1μmを超え1.5μm以下のものを○(良好)とし、1.5μmを超え2μm以下のものを△(やや良好)とし、2μmを超えるものを×(不良)とした。そして、◎、○、△の判定を合格とした。
また、前記アルミニウム合金板について、裏面白色化特性を調べた。その結果を表1に示す。
(裏面白色化特性の評価方法)
アルミニウム合金板を、5質量%水酸化ナトリウム水溶液で、温度50℃にて30秒間脱脂した後、1質量%硝酸で、室温にて30秒間中和洗浄した。中和洗浄されたアルミニウム合金板を、2質量%塩酸中(温度25℃)に30秒間浸漬した後、5質量%水酸化ナトリウム水溶液で、温度50℃にて10秒間デスマット処理した。その表面性状について色差計にて明度L値を測定し、裏面白色化特性(裏面は通電されない)を評価した。L値が86.5未満のものを殆ど白色化しないということで◎(極めて良好)とし、86.5以上87.0未満のものを○(良好)とし、87.0以上のものを白色化したということで×(不良)とした。
次に、前記アルミニウム合金板について、以下の方法で引張強さ、および曲げ疲労強度を測定または算出した。その結果を表1に示す。
(引張強さの評価方法)
アルミニウム合金板からJIS5号試験片(JISZ2201)各4枚を切り出しにより作製した。この試験片(試験片A)を各2枚、および、この試験片を雰囲気温度240℃に設定した空気炉に挿入し、炉蓋を閉めた後に再び雰囲気温度が240℃に到達してから10分間経過後に炉内から取り出した試験片(試験片B)各2枚(バーニング処理後の引張強さの評価用)を用いて、JISZ2241に準じて引張試験を行い、引張強さを測定した。ここで、各2枚の平均値を算出し、試験片Aでは引張強さが180MPa以上のものを○(良好)とし、引張強さが180MPa未満のものを×(不良)とし、試験片Bでは引張強さが135MPa以上のものを○(良好)とし、引張強さが135MPa未満のものを×(不良)とした。
(曲げ疲労強度の評価方法)
アルミニウム合金板から試験片(長さ10mm×幅80mm)を切り出しにより作製した。この試験片を用いて、JISZ2273に準じた平面曲げ疲労試験を、試験片の厚み方向に与える片振り幅5mmで行った。そして、繰返し曲げ104回での破断応力を算出し、この破断応力を曲げ疲労強度とした。ここで、破断応力350MPa以上のものを○(良好)とし、350MPa未満のものを×(不良)とした。この曲げ疲労強度が良好なアルミニウム合金板を用いた印刷版は、くわえ切れ性が良好である。
次に、前記アルミニウム合金板を支持体として使用した印刷版について、印刷版としての表面性を調べた。その結果を表1に示す。
(印刷版の表面性の評価方法)
印刷版を汎用の印刷機に装着して、ロール状に巻き取り、印刷を行うことで表面性を評価した。網点面積の面内バラツキ等が生じなかったもの、および、インク不要部へインクが残ってしまうような印刷品質低下が生じなかったものを○(極めて良好)とし、網点面積の面内バラツキ等がわずかに生じたものの、印刷品質は低下せず、製品として問題がなかったものを△(良好)とし、網点面積の面内バラツキ等が生じたもの、インク不要部にインクが残ってしまって印刷品質が低下したものを×(不良)とした。そして、○、△の判定を合格とした。
Figure 0005250068
表1に示すように、実施例1〜13は、化学組成が本発明の請求範囲(以下、請求範囲と称す)を満足するため、粗面の均一性、裏面白色化特性、アルミニウム合金板の強度(引張強さ、バーニング処理後の引強さ、曲げ疲労強度)、印刷版の表面性に優れるものであった。なお、実施例11、12は、Niが好ましい量添加されているために、粗面の均一性が特に優れていた。
比較例1は、Si含有量が請求範囲の下限値未満であるため、粗面の均一性に劣り、印刷版の表面性に劣るものであった。比較例2は、Si含有量が請求範囲の上限値を超えるため、粗面の均一性に劣り、印刷版の表面性に劣るものであった。
比較例3は、Fe含有量が請求範囲の下限値未満であるため、粗面の均一性に劣り、印刷版の表面性に劣るものであった。また、強度が不足し、引張強さ、曲げ疲労強度に劣るものであった。比較例4は、Fe含有量が請求範囲の上限値を超えるため、粗面の均一性に劣り、印刷版の表面性に劣るものであった。
比較例5は、Cu含有量が請求範囲の下限値未満であるため、粗面の均一性に劣り、印刷版の表面性に劣るものであった。比較例6は、Cu含有量が請求範囲の上限値を超えるため、粗面の均一性に劣り、印刷版の表面性に劣るものであった。
比較例7は、Mg含有量が請求範囲の下限値未満であるため、強度が不足し、引張強さ、曲げ疲労強度に劣るものであった。比較例8は、Mg含有量が請求範囲の上限値を超えるため、粗面の均一性に劣り、印刷版の表面性に劣るものであった。
比較例9、10は、Mn含有量が請求範囲の上限値を超えるため、粗面の均一性に劣り、印刷版の表面性に劣るものであった。
比較例11は、Zn含有量が請求範囲の上限値を超えるため、裏面白色化特性に劣るものであった。比較例12は、Ni含有量が請求範囲の上限値を超えるため、粗面の均一性に劣り、印刷版の表面性に劣るものであった。
比較例13は、Ti含有量が請求範囲の下限値未満であるため、粗面の均一性に劣り、また、表面に帯状の筋が残存したため、印刷版の表面性に劣るものであった。比較例14は、Ti含有量が請求範囲の上限値を超えるため、粗面の均一性に劣り、印刷版の表面性に劣るものであった。
[第2実施例]
本発明に係るアルミニウム合金板の実施例(実施例14〜20)について、その比較例(比較例15〜24)と比較して具体的に説明する。
<実施例14〜20、比較例15〜24>
表1に示す合金記号(AまたはK)のアルミニウム合金を溶解、鋳造して500mm厚さの鋳塊を作製し、面削して470mm厚さとした。この鋳塊を表2に示す製造条件で処理すると共に、冷間圧延を施して最終製品厚さ0.3mmの圧延板とした後に、テンションレベラーによる矯正を施し、評価用コイル製品を作製した。このコイル製品外周からシート状のアルミニウム合金板を切り出し、第1実施例と同じ項目の試験および評価を行った。この結果を表2に示す。なお、表2において、中間焼鈍を行わなかったものについては、「−」で示し、本発明の請求範囲を満たさないものについては、数値に下線を引いて示す。
Figure 0005250068
表2に示すように、実施例14〜20は、化学組成および製造条件が本発明の請求範囲を満足するため、粗面の均一性、裏面白色化特性、アルミニウム合金板の強度(引張強さ、バーニング処理後の引強さ、曲げ疲労強度)、印刷版の表面性に優れるものであった。なお、実施例15、20は、Niが好ましい量添加されているために、粗面の均一性が特に優れていた。
比較例15は、均質化熱処理の温度が請求範囲の下限値未満であるため、粗面の均一性に劣り、印刷版の表面性に劣るものであった。比較例16は、均質化熱処理の温度が請求範囲の上限値を超えるため、粗面の均一性に劣り、印刷版の表面性に劣るものであった。比較例17は、均質化熱処理の温度が請求範囲の上限値を超えるため、粗面の均一性に劣り、印刷版の表面性に劣るものであった。
比較例18、19は、中間焼鈍を施さないものである。比較例18は、熱間圧延終了温度が請求範囲の下限値未満であるため、粗面の均一性に劣り、印刷版の表面性に劣るものであった。比較例19は、熱間圧延終了温度が請求範囲の上限値を超えるため、粗面の均一性に劣り、印刷版の表面性に劣るものであった。
比較例20は、均質化熱処理の温度が請求範囲の下限値未満であるため、粗面の均一性に劣り、印刷版の表面性に劣るものであった。比較例21は、均質化熱処理の温度が請求範囲の上限値を超えるため、粗面の均一性に劣り、印刷版の表面性に劣るものであった。
比較例22、23は、中間焼鈍を施したものである。比較例22は、熱間圧延終了温度が請求範囲の下限値未満であるため、粗面の均一性に劣り、印刷版の表面性に劣るものであった。比較例23は、熱間圧延終了温度が請求範囲の上限値を超えるため、粗面の均一性に劣り、印刷版の表面性に劣るものであった。比較例24は、均質化熱処理の温度が請求範囲の上限値を超えるため、粗面の均一性に劣り、印刷版の表面性に劣るものであった。

Claims (4)

  1. Si:0.03質量%以上0.15質量%以下、Fe:0.25質量%以上0.70質量%以下、Cu:0.0005質量%以上0.050質量%以下、Mg:0.05質量%以上0.40質量%未満、Ti:0.005質量%以上0.040質量%以下を含有し、Zn:0.05質量%以下、Mn:0.01質量%以下に規制し、残部がAlと不可避的不純物からなるアルミニウム合金を溶解、鋳造して鋳塊を作製する第1工程と、
    前記第1工程で作製された鋳塊を380℃以上600℃以下で均質化熱処理する第2工程と、
    前記第2工程で均質化熱処理された鋳塊を、圧延終了温度300℃以上370℃以下で熱間圧延する第3工程と、
    前記第3工程で熱間圧延された圧延板を、中間焼鈍を行わずに冷間圧延してアルミニウム合金板を作製する第4工程とを含むことを特徴とする裏面白化防止性に優れる印刷版用高強度アルミニウム合金板の製造方法。
  2. Si:0.03質量%以上0.15質量%以下、Fe:0.25質量%以上0.70質量%以下、Cu:0.0005質量%以上0.050質量%以下、Mg:0.05質量%以上0.40質量%未満、Ti:0.005質量%以上0.040質量%以下を含有し、Zn:0.05質量%以下、Mn:0.01質量%以下に規制し、残部がAlと不可避的不純物からなるアルミニウム合金を溶解、鋳造して鋳塊を作製する第1工程と、
    前記第1工程で作製された鋳塊を380℃以上600℃以下で均質化熱処理する第2工程と、
    前記第2工程で均質化熱処理された鋳塊を、圧延終了温度250℃以上300℃以下で熱間圧延する第3工程と、
    前記第3工程で熱間圧延された圧延板を冷間圧延し、さらに中間焼鈍、冷間圧延してアルミニウム合金板を作製する第4工程とを含むことを特徴とする裏面白化防止性に優れる印刷版用高強度アルミニウム合金板の製造方法。
  3. 前記アルミニウム合金が、さらに、Ni:0.20質量%以下を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の裏面白化防止性に優れる印刷版用高強度アルミニウム合金板の製造方法。
  4. 前記Niの含有量が、0.005質量%以上0.20質量%以下であることを特徴とする請求項3に記載の裏面白化防止性に優れる印刷版用高強度アルミニウム合金板の製造方法。
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