JP3700907B2 - 平版印刷版用支持体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は平版印刷版用支持体に関し、特に電気化学的粗面化処理による粗面化形状が均一で、かつ検版性及び面状に優れた平版印刷版用支持体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、平版印刷版用支持体としてアルミニウム合金板が用いられている。そして、このアルミニウム合金板は、感光層との密着性及び非画像部の保水性を付与するために粗面化処理が施される。粗面化方法としては、従来から、ボールグレインやブラシグレイン等の機械的粗面化法、塩酸や硝酸等を主体とする電解液を用いてアルミニウム合金板の表面を電解研磨する電気化学的粗面化法、酸溶液によりアルミニウム合金板の表面をエッチングする化学的粗面化法等が知られているが、近年では、電気化学的粗面化法により得られた粗面はピット(凹凸)が均質で、印刷性能に優れることから、この電気化学的粗面化法と他の粗面化方法とを組合わせて粗面化することが主流になってきている。
【0003】
しかしながら、この電気化学的粗面化処理においても、用いるアルミニウム合金板によっては、面質ザラツキと呼ばれる鮫肌状のムラやストリークと呼ばれる筋状のむら等の面状不良が生じている。このような面状不良は、アルミニウム合金板の表層部分(表面から深さ数μm程度の領域)の結晶組織に起因することが知られており、アルミニウム合金組成とともに結晶組織、特に結晶の大きさや形状について種々検討されている。
例えば、特開平8−179496号公報には、Fe:0.25〜0.5wt%、Si:0.03〜0.1wt%、Cu:0.0054〜0.04wt%、Ti:0.005〜0.020wt%を含有し、かつ最外表面層のマクロ組織粒の圧延方向に垂直な方向の大きさが50〜200μmであるアルミニウム合金板を電気化学的に粗面化した平版印刷版用支持体が記載されている。また、特開昭63−47349号公報には、Mg:0.30〜1.0wt%、Si:0.3〜1.3wt%、Cu:0.003〜0.10wt%含有し、かつ表面の圧延方向に垂直な板幅方向の結晶粒の平均幅が40μm以下であるアルミニウム合金板が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記に挙げたような従来のアルミニウム合金板は、ストリークの改善には効果が認められるものの、面質ザラツキの改善は十分ではなく、また電気化学的粗面化の均一性に劣るという問題がある。
更に、通常の平版印刷版の作製では、画像を焼き付けた際の検版作業、即ち画像の欠落がないが、あるいは不要な分に画像が残っていないかを目視により確認することが行われるが、その際支持体の表面が黒っぽいと、視認性が低下して検版作業の正確性に悪影響を与えるようになる。従来のアルミニウム合金板では、Tiの含有量が少ないことから、支持体とした時に表面が黒くなりやすく、正確な検版作業を行う上での妨げになっている。
【0005】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、電気化学的粗面化処理による粗面化が均一で、かつ検版性及び面状に優れた平版印刷版用支持体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、アルミニウム合金板を特定の合金組成とし、DC鋳造し、かつその表層部に位置する結晶粒の大きさを特定することにより、従来を上回る均一な粗面化と、検版性及び面状の改善を実現し得ることを見い出し、本発明を完成するに至った。即ち、上記の目的は、本発明の、Fe:0.2〜0.4wt%、Si:0.03〜0.15wt%、Cu:0.006〜0.03wt%、Ti:0.020〜0.030wt%を含有し、かつTi/Cu:1〜5を満たし、残部が不可避不純物とAlとからなり、Al純度が99.3wt%以上である、DC鋳造法を用いて得られた平版印刷版用支持体であって、その表面から厚み方向深さ5μmまでの領域に位置する結晶粒の圧延方向に垂直な板幅方向の長さが30μm〜150μmで、かつ圧延方向に一致する方向の長さが100μm〜3000μmである板材の表面を、電気化学的粗面化を含む粗面化処理を施してなることを特徴とする平版印刷版用支持体により達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の平版印刷版用支持体において、Feは0.2〜0.4wt%が添加される。Feは支持体の強度に大きく影響を与えるため、含有量が0.2wt%未満では、機械的強度が低く過ぎて平版印刷版として印刷機の版胴に取り付ける際に、版切れを起こしやすくなる。一方、含有量が0.4wt%を越えると、必要以上の高強度となり、平版印刷版として印刷機の版胴に取り付ける際にフィットネス性が劣るようになり、印刷中に版切れを起こしやすくなるので望ましくない。但し、校正刷り用途に使う印刷版の場合は、これらフィットネス性や強度に関する制約は重要でなくなる。
【0008】
Siは原材料であるAl地金に不可避不純物として含有されているため、原材料差によるバラツキを防ぐため、意図的に微量添加されることが多い。その際、含有量が0.15wt%を越えると印刷した際に、非画像部が汚れやすくなるという不具合がある。一方、原材料によっては既に0.03wt%以上の含有量を持つ場合があるため、これ未満の数値は現実的でない。また、SiはAl−Fe−Si系金属化合物を形成して電解粗面を均一化する効果があり、従って含有量が0.03wt%未満では、この効果が得られない。更に、含有量として0.03wt%未満を維持するためには、高価な高純度Al地金を必要とするためこの点からも現実的でない。
従って、Siの含有量は0.03〜0.15wt%、好ましくは0.04〜0.10wt%とする。
【0009】
Cuは電気化学的粗面化を制御する上で非常に重要な元素である。従って、含有量が0.006wt%未満では、電気化学的にピットを形成する際の表面酸化皮膜の抵抗が過小となるため、均一なピットが形成されない。一方、含有量が0.03wt%を越えると、逆にピットを形成する際の表面酸化皮膜の抵抗が過大となるため、粗大なピットが生成されやすくなる。このピット生成の均一さは、優れた印刷適性を得るために不可欠な項目である。
従って、Cuの含有量は0.006〜0.03wt%、好ましくは0.01〜0.02wt%とする。
【0010】
Tiは、従来より鋳造時の結晶組織を微細にするために添加され元素であり、Al−Ti合金の形で、あるいはAl−B−Ti合金の形で添加される。しかし、本発明では、Tiが▲1▼電気化学的粗面化の均一化に大きく関与すること、▲2▼Cuの持つ上記の特性と相反する効果を持つこと、▲3▼Ti含有量によって粗面化処理後の支持体の色相が変化することを見い出し、絶対量とともにCuとの相対量の最適値を見い出したことを特徴とする。
即ち、本発明におけるTi含有量は、絶対量で0.020〜0.030wt%、好ましくは0.022〜0.028wt%であり、かつTi/Cu比が1以上5以下、好ましくは1.2以上4以下である。Ti添加量が0.030wt%を越える場合には、電気化学的粗面化処理においてピットを形成する際の表面酸化皮膜の抵抗が過小となるため、均一なピットが形成されなくなるという不具合が生じる。一方、添加量が0.020wt%未満では、支持体の表面が黒くなり、検版作業に支障を来すようになる。加えて、鋳造組織が微細化されないために、種々の工程を経て0.1〜0.5mmの厚みに仕上げた後も、粗大な鋳造組織の痕跡が残こり、外観に著しい不良を生じるという不具合がある。
また、電気化学的粗面化に際して、Tiはピットを形成する時に表面酸化皮膜の抵抗を下げ、一方Cuは表面酸皮膜の抵抗を上げるという相反するというそれぞれの効果のバランスを取ることで、均一な電気化学的粗面化を実現できる。従って、Ti/Cu比が1未満及び5を越える場合には、何れもピットの均一性が悪くなる。また、Ti/Cu比が1未満の場合には、上記のTi含有量が少ないことに相当して検版性を悪化させる。
【0011】
アルミニウム合金の残部は不可避不純物とアルミニウムであるが、上記に挙げた各成分の最大合計量からアルミニウム合金のアルミニウム純度は99.3wt%以上となる。
【0012】
上記のアルミニウム合金を板材とするには、例えば下記の方法が採用できる。
先ず、所定の合金成分に調整したアルミニウム合金溶湯を常法に従い清浄化処理を施し、鋳造する。清浄化処理には、溶湯中の水素などの不要なガスを除去するために、フラックス処理、Arガス、Clガス等を使った脱ガス処理や、セラミックチューブフィルタ、セラミックフォームフィルタ、等のいわゆるリジッドメディアフィルターや、アルミナフレーク、アルミナボール等を濾材とするフィルタや、グラスクロスフィルター等を使ったフィルタリング。あるいは、脱ガスとフィルタリングを組み合わせた処理が行われる。
【0013】
次いで、上記溶湯を鋳造する。鋳造方法に関しては、DC鋳造法に代表される、固定鋳型を用いる方法と、連続鋳造法に代表される、駆動鋳型を用いる方法とがあり、何れの方法も可能である。
例えばDC鋳造を行った場合、板厚300〜800mmの鋳塊が製造できる。その鋳塊は、常法に従い、面削により表層の1〜30mm、望ましくは、1〜10mmが切削される。その後、必要に応じて、均熱化処理が行われる。均熱化処理を行う場合、金属間化合物が粗大化してしまわないように、450〜620℃で1時間以上、48時間以下の熱処理が施される。1時間より短い場合は、均熱化処理の効果が不十分となる。次いで、熱間圧延、冷間圧延を行って、アルミニウム圧延板とする。熱間圧延の開始温度としては、350〜500℃の範囲とする。冷間圧延の、前、または後、またはその途中において中間焼鈍処理を施しても良い。この場合の中間焼鈍条件は、バッチ式焼鈍炉を用いて280℃〜600℃で2〜20時間、望ましくは、350〜500℃で2〜10時間加熱する方法や、連続焼鈍炉を用いて400〜600℃で360秒以下、望ましくは、450〜550℃で120秒以下の加熱処理が採用できる。連続焼鈍炉を使って、10℃/秒以上の昇温速度で加熱すると、結晶組織を細かくすることもできる。
【0014】
ここまでの工程により、アルミニウム合金板の表面から厚み方向深さ5μmまでの領域に位置する結晶粒の大きさを、その圧延方向に垂直な板幅方向の長さ(以下、幅と呼ぶ)が30μm〜150μmで、かつ圧延方向に一致する方向の長さ(以下、長さと呼ぶ)が100μm〜3000μmの範囲に調整することができる。平版印刷版の支持体では、面状の均一性が、上記した検版性を良好にするために白色であることと同等以上に重要な項目である。この面状の均一性は、アルミニウム合金板の表層部に位置する結晶粒の大きさに依存する。表層部に位置する結晶粒の幅はストリークに影響し、結晶粒の長さは面質ザラツキに影響する。本発明では、結晶粒の幅を30μm〜150μm、長さを100μm〜3000μmに規定することにより、良好な面状が得られることを見い出した。結晶粒の幅において、長さが150μmを越える場合にはストリークが発生し、一方30μm未満では過度の結晶微細化を必要とするため現実的ではない。結晶粒の長さについては、3000μmを越える場合には面質ザラツキが生じ、一方100μm未満では過度の結晶微細化を必要とするため現実的ではない。特に好ましくは、結晶粒の幅は35μm〜140μm、長さは150μm〜2800μmである。
また、平版印刷版においては、その用途によって、アルミニウム合金板の表層0〜3μmを支持体の表層とする場合もあれば、アルミニウム合金板の表層から4〜5μmを支持体の表層とする場合もある。従って、本発明のように、アルミニウム合金板の表面から厚み方向深さ5μmの領域における結晶粒の大きさを規定することは、汎用性の面からも有意義である。
【0015】
上記の如く結晶粒の大きさを調整され、所定の厚さ、例えば0.1〜0.5mmに仕上げられたアルミニウム合金板は、更にローラレベラ、テンションレベラ等の矯正装置によって平面性を改善しても良い。また、板巾を所定の巾に加工するため、スリッタラインを通すことも通常行われる。
【0016】
このようにして作られたアルミニウム合金板は、次いで平版印刷版用支持体とするために粗面化処理が施される。上述したように、本発明のアルミニウム合金板は電気化学的粗面化処理に適しており、従って、粗面化処理として電気化学的粗面化処理と、機械的粗面化処理及び/または化学的粗面化処理とを適宜組み合わせることが好ましい。
電気化学的粗面化処理は、アルミニウム合金板の表面に微細な凹凸を付与することが容易であるため、印刷性の優れた平版印刷版を作るのに適している。
この電気化学的粗面化処理は、硝酸または塩酸を主体とする水溶液中で、直流又は交流を用いて行われる。この粗面化により、平均直径約0.5〜20μmのクレーターまたはハニカム状のピットをアルミニウム表面に30〜100%の面積率で生成することが出来る。ここで設けたピットは、印刷版の非画像部の汚れ難さと耐刷力を向上する作用がある。
本発明においては、この電気化学的粗面化処理の諸条件は特に限定されるものではなく、一般的な条件で行うことができる。
【0017】
これと組み合わされる機械的粗面化処理は、アルミニウム合金板表面を、一般的には平均表面粗さ0.35〜1.0μmとする目的で行われる。本発明においては、この機械的粗面化処理の諸条件は特に制限されるものではないが、例えば特開平6−135175号公報、特公昭50−40047号公報に記載されている方法に従って行うことができる。
また、化学的粗面化処理も特に制限されるものではなく、公知の方法に従うことができる。
【0018】
上記の粗面化処理に引き続き、通常はアルミニウム合金板の表面の耐磨耗性を高めるために陽極酸化処理が施されるが、本発明においても陽極酸化処理を施すことが好ましい。
この陽極酸化処理に用いられる電解質としては多孔質酸化皮膜を形成するものならば、いかなるものでも使用することができる。一般には硫酸、リン酸、シュウ酸、クロム酸、またはそれらの混合液が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。陽極酸化の処理条件は用いる電解質によって変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80wt%、液温は5〜70℃、電流密度1〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜300秒の範囲にあれば適当である。
【0019】
また、印刷時の汚れ性能を向上するため、電気化学的粗面化処理及び水洗を行った後、アルカリ溶液で軽度のエッチング処理を行ってから水洗しH2SO4溶液でデスマットを行った後水洗し、引き続きH2SO4溶液中で直流電解を行って陽極酸化皮膜を設けてもよい。
更に、必要に応じて、シリケート等による親水化処理を施してもよい。
【0020】
以上のようにして本発明の平版印刷版用支持体が得られるが、この支持体はピットが均一に形成されており、ストリークや面質ザラツキ等の面状不良も無く、平版印刷版とした時に良好な画質が得られる。また、表面も白色もしくは灰色に近い色相を呈しており、検版作業を容易に行うことができる。
尚、平版印刷版とするには、表面に感光材を塗布・乾燥して感光層を形成すればよい。感光材は特に限定されるものではなく、通常、感光性平版印刷版に用いられているものを使用できる。そして、リスフィルムを用いて画像を焼き付け・現像処理、ガム引き処理を行うことで、印刷機に取り付け可能な印刷版とすることができる。また、高感度な感光層を設けると、レーザを使って画像を直接焼き付けることも出来る。
【0021】
【実施例】
表1に示す組成のアルミニウム合金を用いてDC鋳造し、その鋳塊を面削した後、均熱化処理、熱間圧延、中間焼鈍及び冷間圧延を順次行うとともに、処理条件を変えて、表2に示す如く表面から深さ5μmの領域に位置する結晶粒の大きさを調整したアルミニウム合金板を作製した。結晶粒の大きさの測定は、アルミニウム合金板の表面をアルミナ懸濁液(粒子径0.05μm)を用いて約1〜1.5μmバフ研磨した後、10%HF溶液で約0.5〜1.0μmエッチングを行うことで結晶粒界を観察可能とし、偏光顕微鏡で結晶組織を写真撮影し、写真から結晶粒の幅と長さを測定した。
そして、各アルミニウム合金板について、以下の粗面化処理を施した。
先ず、パミス懸濁液を板の表面に供給しながらブラシグレイン処理を行い、機械的な粗面化処理を施した。次いで、表面を水洗してから、NaOH溶液でエッチング処理を行い、水洗後HNO3溶液でデスマット処理を行い、更に水洗後HNO3溶液中で、交流電解を行うことで電気化学的粗面化処理を行った。水洗後、希薄NaOH溶液で軽くエッチングを行い、水洗後H2SO4溶液でデスマットを行った。そして、水洗後H2SO4溶液中で直流電解を行って陽極酸化皮膜を形成して、実施例及び比較例の支持体を作製した。
【0022】
上記の如く処理された各支持体について、ピットの均一性、検版性(白色度)及び面状評価を行った。
ピットの均一性は粗面をSEM観察して判定し、サイズの揃っている場合を「○」、そうでない場合を「×」とした。
検版性は目視評価と白色度計を併用して評価し、白くで画像部とのコントラストが明確に出来る場合を「○」、過度に黒っぽい色の場合を「×」とした。
面状評価は目視でストリーク(スジ状のムラ)及び面質ザラツキ(鮫肌状のムラ)の発生の有無を調べ、発生していない場合を「○」、発生している場合を「×」とした。
それぞれの評価結果を表2に示した。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
表2に示す通り、実施例では、結晶粒の大きさを所定の範囲内としたことにより、電解粗面化により均一なピットが形成され、かつ検版性に優れ、面状にも優れた平版印刷版用支持体とすることができる。
これに対して、Ti/Cu比が本発明の範囲外である比較例−1では、結晶粒の大きさが本発明の範囲内であっても、表面が黒く検版性に劣り、またピットの均一性も余り良くない。また、結晶粒の幅及び長さ共に本発明の範囲外である比較例−2では、ストリークと面質ザラツキの両方が発生して面状が不良であり、さらにTi/Cu比が本発明の範囲外であることから検版性も悪く、ピットの均一性も余り良くない。また、結晶粒の長さが本発明の範囲外である比較例−3では、面質ザラツキが発生して面状を不良にしている。
【0026】
以上の実施例では、粗面化処理として、機械的粗面化処理と電気化学的粗面化処理とを組み合わせた例を示したが、本発明は優れた電気化学的粗面化特性を示し、かつ優れた検版性及び面状を示すものであって、上記の例には限定されず、電気化学的粗面化処理を施す全ての平版印刷版用支持体に適用できることはいうまでもない。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、合金組成とともに、表層部における結晶粒の大きさを特定したことにより、電気化学的粗面化処理が均一になされ、かつ検版性及び面状に優れた平版印刷版用支持体が得られる。
Claims (1)
- Fe:0.2〜0.4wt%、Si:0.03〜0.15wt%、Cu:0.006〜0.03wt%、Ti:0.020〜0.030wt%を含有し、かつTi/Cu:1〜5を満たし、残部が不可避不純物とAlとからなり、Al純度が99.3wt%以上である、DC鋳造法を用いて得られた平版印刷版用支持体であって、その表面から厚み方向深さ5μmまでの領域に位置する結晶粒の圧延方向に垂直な板幅方向の長さが30μm〜150μmで、かつ圧延方向に一致する方向の長さが100μm〜3000μmである板材の表面を、電気化学的粗面化を含む粗面化処理を施してなることを特徴とする平版印刷版用支持体。
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