JP2007204775A - 平版印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

平版印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法 Download PDF

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Akio Uesugi
彰男 上杉
Mutsumi Matsuura
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Abstract

【課題】 平版印刷版用Al合金板として均一な粗面を得、かつコイル全長にわたり粗面の均一性を維持する。
【解決手段】 Fe0.1〜0.5%、Si0.05〜0.20%、Cu0.005〜0.07%、Ti0.005〜0.08%を含有するAl合金よりなり、結晶粒平均面積0.1mm2以下、結晶粒の圧延方向平均長さ1300μm以下、圧延直角方向平均長さ100μm以下、製品板コイルでの内巻部の圧延直角方向平均長さAと外巻部の圧延直角方向平均長さBとの比A/Bが0.8≦A/B≦1.2、内巻部の結晶粒平均面積Cと外巻部の結晶粒平均面積Dとの比C/Dが0.8≦C/D≦1.2を満たすAl合金板。製法として、熱間圧延を施すに当り、仕上げ圧延圧下量を、粗圧延上り板厚と仕上げ圧延上り板厚との比9以上、圧延上り板厚1.2〜4.0mm、圧延上り温度280〜360℃で行い、仕上げ圧延のクーラント噴射量調整により上がり板の最高温度部と最低温度部との差を30℃以内に制御し、その後中間焼鈍なしで冷間圧延する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、粗面化処理を施したアルミニウム合金板表面に陽極酸化処理を施し、さらに感光性物質を塗布して形成される平版印刷版に使用されるアルミニウム合金板に関するものであって、より詳しくは、粗面化処理後の外観の均一性に優れ、特に製品板コイルの全長にわたって粗面化処理後の外観にばらつきのない平版印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法に関するものである。
従来、平版印刷版としては、粗面化処理、陽極酸化皮膜処理などの表面処理を施したアルミニウム板表面に感光性物質を塗布したものが用いられている。この中で最も広く用いられているものは、あらかじめ感光性物質を塗布しておき、直ちに焼付けられる状態になっているいわゆるPS版である。このような平版印刷版に画像露光、現像、水洗、ラッカー盛り等の製版処理を施して印刷版が得られるが、現像処理による未溶解の感光層の部分は画像部を形成し、一方感光層が除去されてその下のアルマイト表面が露出した部分は親水性のため水受容部となり、非画像部を形成する。これを印刷機の回転する円筒形版胴に巻付け、湿し水の存在のもとにインキを画像部上に付着させゴムブランケットに転写し、印刷に供するのが通常である。
従来このような用途のアルミニウムおよびアルミニウム合金(以下総称してアルミニウム合金とする)板には、JIS1050、JIS1100、JIS3003等のアルミニウム合金が主として用いられている。通常これらのアルミニウム合金板は、表面を機械的方法、化学的方法および電気化学的方法のいずれか一つ、あるいは二つ以上を組合せた工程による粗面化方法により粗面化し、その後通常は陽極酸化処理を施して、平版印刷版用支持体として使用される。
以上のような平版印刷版用アルミニウム合金板には、次のような特性が強く要求されている。
すなわち、感光剤の被着を均一にして密着性を高め、かつ印刷中の湿し水の管理を容易にするため、粗面化処理により均一な粗面が容易に得られることが重要である。またこの種の平版印刷版用アルミニウム合金板を製造するにたっては、所望の製品板厚に仕上げて長尺のままコイル状に巻取り、製品板コイルとしてユーザーに供することが通常であるが、その長尺の製品板コイルの全長にわたり均一な粗面が得られることも重要である。すなわち、長尺なコイルの長さ方向に粗面化性能のばらつきがあればユーザー側で所定長さに切断して得られる平版印刷版の性能、外観にばらつきが生じてしまうから、製品板のコイル段階でその全長にわたり均一な粗面化性能を有していることが望まれる。
ところで前述のような従来の平版印刷版用アルミニウム合金板のうち、JIS1050アルミニウム合金板は、粗面化処理により均一な粗面が得られるものの、耐熱軟化性に劣る欠点があり、またJIS1100、JIS3003アルミニウム合金板は、粗面化処理により不均一な粗面となってしまう問題があった。すなわちJIS1100、JIS3003アルミニウム合金板は、板の圧延方向に沿って細かい筋状の模様(いわゆるストリークス)が発生し、粗面化処理によってピット形状が不均一となり、部分的にエッチング不足の箇所が点在し、平版印刷版として好ましくはない粗面形状を生じてしまう。
これらの問題に対しては、既に熱間圧延後の平均冷却速度を規定することにより、粗面化処理面後の外観均一性、耐焼鈍軟化性を解決した例がある(例えば特許文献1参照)。
またFeおよびSiを含有するアルミニウム合金板を、板表面の結晶粒の平均粒径および同一結晶面を有する集合体サイズを規定することにより、グレインストリークやエッチング特性を解決した例がある(例えば特許文献2参照)。
特開平10−306355号公報 特開平11−335761号公報
前述のような特許文献1に示される方法では、粗面化処理後の外観の均一性、耐焼鈍軟化性について、ある程度の解決は図られているが、未だ充分とは言えず、特に製品板コイルの長さ方向の全長にわたって均一に粗面化されるとは限らず、そのため最終的な平版印刷版の性能、外観にばらつきが生じてしまうおそれがある等の問題があることが判明した。
一方、特許文献2に示される方法では、耐ストリークス性やエッチング特性について、ある程度の向上が図られてはいるが、未だ充分とは言えなかった。ここで、特許文献2の方法の場合、コイル内でのエッチング特性のばらつきが少ないことが効果の一つとして記載されてはいるものの、実際上は長尺なコイルの長さ方向の端部付近の粗面化性能が他の部分よりも劣ったりする問題が生じることが判明している。
この発明は以上の事情を背景としてなされたもので、粗面化処理によって均一な粗面を確実かつ容易に得ることができ、ストリークや面質ムラ、処理ムラ等の発生を招くことなく、均一な外観が確実かつ安定して得られ、しかもコイルの全長にわたって安定して均一かつ良好な粗面化性能が得られるようにした平版印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法を提供することを課題としている。
本発明者等は、前述のような課題を解決するべく鋭意実験・研究を重ねた結果、合金の成分組成を適切に調整するばかりでなく、製品板の結晶粒のサイズ、面積率を厳密かつ適切に調整するとともに、製品板コイルの内巻部、外巻部における結晶粒のサイズ、面積率のそれぞれの比を適切に規制することによって、前述の課題を解決し得ることを見出し、この発明をなすに至った。
具体的には、請求項1の発明は、Fe0.1〜0.5%、Si0.05〜0.20%、Cu0.005〜0.07%、Ti0.005〜0.08%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金からなり、かつ結晶粒の平均面積が0.1mm2以下であり、しかも結晶粒の圧延方向と平行な方向の平均長さが1300μm以下、結晶粒の圧延方向に対し直角な方向の平均長さが100μm以下であり、さらに製品板コイルにおける内周面の位置から外側へ巻厚の10%に相当する位置までの内巻部での結晶粒の圧延方向に対し直角な方向の平均長さAと、製品板コイルにおける外周面の位置から内側へ巻厚の10%に相当する位置までの外巻部での結晶粒の圧延方向に対し直角な方向の平均長さBとの比A/Bが、
0.8≦A/B≦1.2
を満たし、かつ前記内巻部での結晶粒の平均面積Cと前記外巻部での結晶粒の平均面積Dとの比C/Dが
0.8≦C/D≦1.2
を満たすことを特徴とするものである。
一方請求項2の発明の平版印刷版用アルミニウム合金板の製造方法は、Fe0.1〜0.5%、Si0.05〜0.20%、Cu0.005〜0.07%、Ti0.005〜0.08%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金鋳塊を、粗圧延および仕上げ圧延からなる熱間圧延によって所定の板厚まで圧延するにあたり、熱間仕上げ圧延の圧下量を、熱間粗圧延上がり板厚ta(mm)と熱間仕上げ圧延上がり板厚tb(mm)との比ta/tbが、
ta/tb>9
を満たすように規制し、かつ熱間仕上げ圧延上がり板厚tbを1.2〜4.0mmの範囲内、熱間仕上げ圧延上がり温度が280〜360℃の範囲内となるように熱間圧延するとともに、熱間仕上げ圧延におけるクーラント噴射量を調整することによって、熱間仕上げ圧延上がり直後の熱間圧延板の最高温度部と最低温度部との温度差が30℃以内となるように制御し、得られた熱間圧延板に対して、中間焼鈍を施すことなく冷間圧延により製品板厚とすることを特徴とするものである。
請求項1の発明の平版印刷版用アルミニウム合金板は、粗面化処理後の外観としてストリークの発生や面質ムラ、処理ムラ等の発生がなく、外観の均一性が確実かつ安定して優れており、しかも特に長尺な製品板コイルの全長にわたって均一かつ良好な粗面が得られ、したがって平版印刷版支持体として極めて良好な性能、商品価値を有している。
また請求項2の発明の製造方法によれば、上述のような優れた性能、商品価値を有する平版印刷版用アルミニウム合金板が確実かつ安定して得られるばかりでなく、熱間圧延後の中間焼鈍を省略することにより、工程数減少、省エネルギにより低コスト化を図ることができる。
以下、この発明について、詳細に説明する。
先ずこの発明で用いるアルミニウム合金成分組成限定理由について説明する。
Fe:0.1〜0.5%
Fe量が0.1%未満では、再結晶時の結晶粒径が粗大となって粗面化処理により生成されるピットが不均一となって、粗面化処理後の外観に面質ムラが発生し、外観が不均一となる。一方Fe量が0.5%を越えれば、Al−Fe系、Al−Fe−Si系の粗大化合物が多量に生成されて、粗面化処理後のピットが不均一となり、前記同様に粗面化処理後の外観不均一が生じる。そのためFe量は0.1〜0.5%の範囲とした。
Si:0.05〜0.20%
Si量が0.05%未満では、粗面化処理後のピットが不均一となることから、粗面化処理後に面質ムラが発生し、外観が不均一となる。またSi量が0.20%を越えれば、Al−Fe−Si系の粗大化合物が多量に生成されて、粗面化処理後のピットが不均一となって、粗面化処理後に面質ムラが生じ、外観が不均一となり、また耐熱軟化性も低下し、さらには過酷インキ汚れ性も低下する。そのためSi量は0.05〜0.20%の範囲内とした。
Cu:0.005〜0.07%
Cuは電解グレーニング性に大きな影響を及ぼす元素である。Cu量が0.005%未満では、粗面化処理後のピットが不均一になり、前記同様に外観不均一となる。一方Cu量が0.07%を越えても粗面化処理後のピットが不均一となり、また粗面化処理後の色調が黒味を帯びすぎて商品価値を損なう。そのためCu量は0.005〜0.07%の範囲内とした。
Ti:0.005〜0.08%
Tiも電解グレーニング性に大きな影響を及ぼし、またアルミニウム合金鋳塊の組織状態にも大きな影響を及ぼす元素である。Ti量が0.005%未満では、粗面化処理後のピットが不均一になり、また鋳塊の結晶粒が微細化されずに粗大な結晶粒組織になるため、マクロ組織に圧延方向に沿う帯状の筋が発生して、粗面化処理後にも帯状の筋が残存し、平版印刷版用支持体として好ましくなくなる。一方Ti量が0.08%を越えれば、上記効果が飽和するばかりでなく、粗大なAl−Ti系化合物が形成されてその化合物が圧延板に筋状に分布し、その結果陽極酸化皮膜に欠陥が生じ、感光層の欠陥となって、きれいな印刷が困難となる。そのためTi量は0.005〜0.08%の範囲内とした。
なお一般にアルミニウム合金板においては、鋳塊結晶組織を微細化して圧延板のキメ、ストリークを防止するため、少量のTiを単独で、または微量のBと組合せて添加することがあり、この発明の平版印刷版用アルミニウム合金においても、Tiとともに微量のBを添加することは許容される。但しB量が1ppm未満では、上記の効果が得られず、一方B量が50ppmを越えればBの添加効果が飽和するばかりでなく、粗大なTiB2粒子による線状欠陥が生じやすくなるから、Bを添加する場合のB添加量は、1〜50ppmの範囲内とすることが好ましい。
この発明の平版印刷版用アルミニウム合金板においては、合金の成分組成を前述のように調整するだけではなく、最終板厚の製品板における結晶粒条件(平均結晶粒面積率、圧延方向に対し直角な方向および平行な方向の各平均結晶長さ)を適切に調整し、さらには製品板コイルの内巻部、外巻部の平均結晶粒面積の比および圧延方向に直角な方向の平均結晶粒長さの比を適切に規制することが重要である。
すなわち、製品板の結晶粒の平均面積率や、圧延方向と直角な方向、平行な方向の平均結晶粒長さは、粗面化処理性に大きな影響を及ぼすから、粗面化処理後の外観の面質ムラや処理ムラが生じないようにするためには、これらを適切かつ厳密に規制する必要がある。そしてこれらのうちでも特に結晶粒の平均面積率は、最も大きな影響を与え、その値が0.1mm2を越えれば、粗面化処理後の外観に面質ムラや処理ムラが発生し、外観が不均一となるから、結晶粒の平均面積率は0.1mm2以下に規制することとした。
また上述のように結晶粒の平均面積率が0.1mm2以下の条件を満たしていても、結晶粒の形状によっては外観不均一が生じることがあり、そこで結晶粒サイズの規定として、圧延方向と直角な方向、および圧延方向と平行な方向の平均結晶粒長さを規制している。すなわち、結晶粒の圧延方向と直角な方向の平均の長さ(したがって圧延方向に沿って見て結晶粒の幅)が100μmを越えれば、粗面化処理後の外観に面質ムラが発生し、外観不均一となるおそれがあるから、結晶粒の圧延方向に対し直角な方向の平均長さを100μm以下に規制することとした。
さらに上述のように結晶粒の圧延方向と直角な方向の平均長さが100μm以下の条件を満たしていても、結晶粒が圧延方向に著しく伸長されている場合には粗面化処理後の外観として面質ムラが発生し、外観が不均一となるおそれがあり、特に結晶粒の圧延方向と平行な方向の平均長さが1300μmを越えれば、外観不均一が生じやすくなるから、結晶粒の圧延方向と平行な方向の平均長さを1300μm以下に規制することとした。
このような製品板における結晶粒の平均面積率、圧延方向と直角な方向の平均長さ、圧延方向に対し平行な方向の平均長さの3条件の全てを満たすことによって、確実かつ安定して粗面化処理性が向上して、粗面化処理後の外観として均一な処理面を確実に得ることが可能となる。
さらにこの発明では、製品板コイルの状態における内巻部、外巻部の結晶粒の平均面積率の比、および平均結晶粒長さ(圧延方向に対し直角な方向の平均長さ)の比をも規定している。その理由は次の通りである。
この種の平版印刷版用アルミニウム合金板の製造にあたっては、熱間圧延や冷間圧延等の各工程ごとに長尺のままコイル状に巻取り、最終的に所定の製品板厚に仕上げた段階でもコイルとして巻取って(コイルアップして)、そのコイルの状態で圧延メーカからユーザ(印刷版製造メーカ)に供されるのが通常である。一方、アルミニウム合金板製造工程のうち、特に熱間圧延およびそれに続く巻取りおよび冷却の過程は、結晶粒サイズに大きな影響を及ぼす。すなわちこの発明の平版印刷版用アルミニウム合金板の製造にあたっては、請求項2で規定しているように、熱間圧延直後あるいはその後の冷間圧延の中途での中間焼鈍を省略したプロセス、したがって熱間圧延時の熱を利用して熱間圧延からその後の巻取り・冷却過程にかけて自己焼鈍により再結晶させることによって、その後に改めて再結晶のための中間焼鈍を行なわないプロセスが推奨される。そしてこのように中間焼鈍を省略したプロセスでは、熱間圧延を行なって巻取り、冷却した段階での熱延板コイルの結晶粒の大きさが最終的に冷間圧延により所定の製品板厚に仕上げられた製品板コイル(冷間圧延板コイル)の結晶粒の大きさに反映する。しかるに、1個の鋳塊に対して熱間圧延を行なう間では、その初期と末期とでは圧延温度が異なってしまうことが多く、通常は初期は熱間圧延のための加熱からの経過時間が短いため材料温度が高く圧延温度も高いが、末期では次第に材料温度が低下して圧延温度も低くなる傾向を示すことが多い。このようにして熱間圧延されたコイルに巻取るにあたっては、初期に圧延された部分がコイルの内周側の部分(内巻部)となり、末期に圧延された部分がコイルの外周側の部分(外巻部)となる。そしてこのように巻取られた熱延板を室温放置して冷却する際には、外側の部分よりも内側の部分の方が冷却速度が遅くなる傾向を示す。したがってこれらの作用が相俟って、熱延板コイルの内周側の部分(初期の圧延部分)は外周側の部分(末期の圧延部分)よりも結晶粒が大きくなる傾向を示しやすく、その部分で過度の粒成長が生じて、冷間圧延後の製品板で粗面化性能に悪影響を与えやすい。
一方、熱延板コイルを冷間圧延等の次工程に供し、各工程ごとにコイルに巻上げ、最終的に製品板として巻上げた状態のコイルでは、その内周側の部分もしくは外周側の部分のいずれか一方が、熱延板コイルでの外周側の部分に相当することになる。より詳しく説明すれば、熱間圧延−巻取後の各工程での合計巻上げ回数が偶数であれば、熱延板コイルの内周部分が製品板コイルの内周部分に相当し、奇数であれば熱延板コイルの内周部分が製品板コイルの外周部分に相当することになる。そして製品板コイルの外周部分もしくは内周部分のいずれかの部分(熱延板コイルの内周部分に対応する部分)では、冷間圧延後の状態でもその他の部分より結晶粒が大きくなる傾向を示す。既に述べたように製品板の結晶粒の大きさ(粒面積、粒径)は、粗面化処理性、したがって粗面化処理後の外観に大きな影響を及ぼすから、製品板コイルの一部の結晶粒の大きさが他の部分と異なること(したがって板の長さ方向に結晶粒の大きさのばらつきがあること)は、同一のコイルから最終的にユーザ側において最終的に所定の長さに切断して得られた多数の平版印刷版支持体として、その外観特性や性能が不均一となってしまうことになる。
一方、本発明者等の詳細な実験・検討によれば、図1に示すように、製品板コイル1の巻厚(外径R1と内径R2との差)をTとし、その製品板コイル1の内周面1Aの位置から外側へ巻厚Tの10%の位置までを内巻部2とし、また製品板コイル1の外周面1Bの位置から内側へ巻厚Tの10%の位置までを外巻部3とすれば、内巻部2における結晶粒の圧延方向に直角な方向の平均長さAと、外巻部3における結晶粒の圧延方向に対し直角な方向の平均長さBとの比A/Bが
0.8≦A/B≦1.2
の条件を満たし、同時に内巻部2における結晶粒の平均面積率Cと外巻部3における結晶粒の平均面積Dとの比C/Dが、
0.8≦C/D≦1.2
の条件を満たしていれば、製品板コイルの内周端から外周端までにわたり(すなわちコイル長尺板の全長にわたって)、粗面化処理により均一な粗面が得られ、粗面化処理後の外観も均一に良好となることが判明し、上記の2条件を規定した。
ここで、A/Bの値もしくはC/Dの値が0.8未満もしくは1.2を越えれば、製品板コイル全長のうちの一部(内巻部に相当する部分もしくは外巻部に相当する部分)で、他の部分よりも粗面化処理性が劣り、粗面化処理後の外観がコイル全長の各部分で均一とはならなくなってしまう。
なおここで、製品板コイルの内巻部もしくは外巻部とは、要はコイルの内周端もしくは外周端に近い一定の長さの領域(巻厚にして10%の領域)を意味しており、このような製品板コイルの内巻部、外巻部のうちのいずれか一方は、前述のように熱延板コイルの段階での内周端に近い部分(すなわち熱延板コイル段階で他の部分よりも結晶粒が粗大化しやすい傾向を示す部分)に相当し、これに対し製品板コイルの内巻部、外巻部のうちの他方は、熱延板コイルの段階での外周端に近い部分(すなわち熱延板コイル段階で特に結晶粒が粗大化する傾向が少ない部分)に相当する。したがって製品板コイルにおける内巻部、外巻部の結晶粒の面積率および粒径の比が、結果的に製品板コイルの全体的な長さ方向での結晶粒のばらつきにほぼ対応することになるのである。そしてこのようなばらつきが0.8〜1.2の範囲内、すなわち20%以内であれば、製品板コイルの全長にわたって均一な平均結晶粒面積、平均結晶粒径を有していて、全長にわたって均一な粗面化処理性を示し、その製品板コイルに粗面化処理を施しさらに最終的に所定の長さに切断された多数の平版印刷版支持体とした場合も、いずれの支持体も均一かつ良好な外観を呈することができるのである。
なおまた、長尺なアルミニウム合金板の製造にあたっては、各工程(特に熱間圧延の各パスや冷間圧延の各パス)で、先端や末端に割れや極端な表面荒れあるいは幅不足などの不良が生じることが多く、一般にはこのような先端、末端の不良部分を切落として、最終的に製品板コイルに仕上げられるのが通常である。そこでこの発明においても、製品板コイルの内巻部、外巻部についてその前提となる巻厚Tの値に関して、飽くまで先端、末端の不良部分を切落とした製品板コイルについて規定するものとする。ここで、製品板コイルの巻厚は、製造ロットや板厚、ユーザー側の希望等によっても異なるが、通常は0.6〜2m程度のことが多い。そして例えば製品板コイルの巻厚が1mの場合、その巻厚に対し10%の内巻部、外巻部は、厚さ10mmの部分となる。
以上のような請求項1に記載の平版印刷版用アルミニウム合金板を製造するための方法としては、前述のような製品板の結晶粒の平均結晶面積および平均結晶粒サイズ(圧延方向に対し直角な方向および圧延方向と平行な方向)が前記条件を満たし、かつ製品板コイルにおける内巻部と外巻部との平均結晶面積の比および平均結晶粒サイズ(圧延方向に対し直角な方向)の比が前記式を満たすような方法であれば、特に限定されるものではない。しかしながら、工程数を削減するとともに省エネルギを図って製造コスト低減を図るためには、請求項2で規定しているような、中間焼鈍を省いた製造方法を適用することが望ましい。
そこで次に請求項2で規定する平版印刷版用アルミニウム合金板の製造方法について詳細に説明する。
先ず前述のような成分組成のアルミニウム合金を、常法に従ってDC鋳造法等により鋳造し、得られた鋳塊に対して必要に応じて均質化処理を施してから熱間圧延を行なう。均質化処理の条件は特に規定しないが、通常は500〜620℃で1〜10時間保持とすれば良い。
熱間圧延は、熱間粗圧延および熱間仕上げ圧延を組合せて行なう。そして熱間圧延の条件としては、熱間仕上げ圧延の圧下量を、熱間粗圧延上がり板厚ta(単位:mm)および熱間仕上げ圧延上がり板厚tb(単位:mm)に応じて
ta/tb>9
が満たされるように定めるとともに、熱間仕上げ圧延上がり板厚tbを1.2〜4.0mmの範囲内、熱間仕上げ圧延上がり温度を280〜360℃の範囲内に規制して、熱間圧延からその直後の巻取および冷却過程の間で再結晶を生起させ、さらに熱間仕上げ圧延におけるクーラント噴射量を調整することにより、熱間仕上げ圧延直後の熱間圧延板の最高温度部と最低温度部との温度差が30℃以内となるように制御する。
これらの熱間圧延条件を定めた理由は次の通りである。
先ず熱間仕上げ圧延の圧下量については、熱間粗圧延上がり板厚taと熱間仕上げ圧延上がり板厚tbとの比ta/tbが9を越えるように相対的に大きな圧下量とすることにより、熱延板組織を微細にして、製品板について粗面化処理後の外観を均一化する効果が得られる。ta/tbの値が9以下の場合には、熱延板の再結晶粒が粗大化して、粗面化処理後の外観に面質ムラが生じ、外観不均一となる。
次に、熱間仕上げ圧延上がり板厚は1.2〜4.0mmの範囲内とする。
ここで、熱間仕上げ圧延上がり板厚が1.2mmより小さい場合には、熱間圧延後に冷間圧延により所定の製品板厚にした際、冷間圧延による加工硬化による素板強度の上昇が充分に得られないため、製品板が強度不足となり、一方熱間仕上げ圧延上がり板厚が4.0mmより大きい場合には、熱間圧延後に冷間圧延により所定の製品板厚にした際、冷間圧延による加工硬化によって素板強度が高くなり過ぎてしまう。このように素板強度が高過ぎれば、PS版として円筒形版胴に巻きつける際に板切れが生じてしまうおそれがある。したがって適切な強度を得るために、熱間仕上げ圧延上がり板厚を1.2〜4.0mmの範囲内とする。
さらに熱間仕上げ圧延上がり温度は、280〜360℃の範囲内とする。熱間仕上げ圧延上がり温度が280℃より低温になれば、熱延板断面で充分に再結晶せずに未再結晶が残存して、素板強度が高くなり過ぎる。またこの場合、熱延板表面にも未再結晶部が残存してしまって、粗面化処理後の外観としてストリークが発生して、外観不均一となるおそれがある。すなわち請求項2の発明の製造方法では、熱間圧延後に再結晶のための中間焼鈍を行なわずに冷間圧延のみによって製品板厚まで仕上げることとしているため、熱間圧延〜巻取り・冷却の段階で自己焼鈍により再結晶を生起させる必要があり、そのためには熱間仕上げ圧延上がり温度を280℃以上とする必要がある。一方、熱間仕上げ圧延上がり温度が360℃を越える高温になれば、再結晶粒が粗大化して、この場合も粗面化処理後の外観が不均一になる。したがって適切に再結晶を生起させて、外観不均一の発生を防止しかつ適切な強度を得るためには、熱間圧延上がり温度を280〜360℃の範囲内とする必要がある。なおこの範囲内でも特に290〜350℃の範囲内が好ましい。
さらに、熱間仕上げ圧延においては、単に上がり温度が280〜360℃(好ましくは290〜350℃)の範囲内となるように制御するばかりでなく、クーラントの噴射量の調整により、仕上げ圧延上がり直後の熱間圧延板の材料温度の最高と最低との差、すなわちコイルの長さ方向における材料温度のばらつきが30℃以内となるように制御する。すなわち、既に述べたように熱間仕上げ圧延においては、同一の板でも先端部と後端部とでは圧延されるタイミングに時間差があるため、特に対策を講じない限りは、圧延温度、ひいては圧延上がり温度に差が生じ、通常は先端部(したがって熱延板コイルの内周側の部分:内巻部)で高温となる傾向を示し、その場合、巻取った熱延板コイルの冷却過程でのコイル内外の冷却速度の差も加わって、熱延板コイルの結晶粒サイズについて、外周部、内周部の間にかなりの差が生じてしまうおそれがあり、特に最高温度部と最低温度部との温度差が30℃を越えるような大きな差となれば、最高温度部分で過度の粒成長が生じてしまうおそれがある。そしてその場合、既に述べたような製品板コイルの内巻部、外巻部の平均結晶粒面積および平均結晶粒サイズのそれぞれの比の値の条件を満たすことが困難となり、ひいては製品板コイル全長にわたって均一かつ良好な粗面を得ることが困難となる。そこで請求項2の発明における熱間仕上げ圧延では、クーラントの噴射量の調整により、最高温度部と最低温度部との温度差が30℃以内となるように制御することとした。なお、実際の操業にあたっては、例えば熱間仕上げ圧延上がり温度を連続的もしくは間欠的に監視し、その温度に応じてクーラント噴射量をフィードバック制御することにより、最高温度部と最低温度部との温度差を30℃以内に制御すれば良い。
以上のような条件以外の熱間圧延条件は特に限定されるものではなく、通常の条件に従えば良く、例えば熱間粗圧延開始温度は400〜600℃程度とすれば良い。
前述のような条件を満たすようにして熱間圧延を施し、コイルに巻取って室温まで冷却した熱延板に対しては、その後、中間焼鈍を施すことなく冷間圧延により所定の板厚に仕上げる。すなわち、請求項1で規定する製造方法では、熱間仕上げ圧延温度を高めとして、熱間圧延からその後の巻取・冷却にかけての段階で自己焼鈍により再結晶を生起させることができ、そのため熱間圧延後(あるいは冷間圧延の中途)に改めて中間焼鈍を施す必要がない。冷間圧延の条件は特に規定しないが、通常は圧下率80〜98%程度とすれば良い。
以上のようにして得られた製品板は、その結晶粒組織条件として既に述べたような平均結晶面積、平均結晶粒サイズ、さらにはコイルとしての内巻部、外巻部の平均結晶面積率、平均結晶粒サイズの条件を満たすことが可能となる。
このようにして得られた平版印刷版用アルミニウム合金板(製品板)を実際に平版印刷版支持体とするためには、粗面化等のための表面処理を施す。この表面処理方法は、特に限定されるものではなく、常法に従えば良いが、代表的な表面処理方法について以下に説明する。
粗面化のための表面処理方法としては、塩酸または硝酸電解液中で電気化学的に砂目立てする電気化学的粗面化処理方法、およびアルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立てするボールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を粗面化するブラシグレイン法のような機械的粗面化法などを用いることができ、上記いずれの粗面化方法も、単独あるいは組み合わせて用いることもできる。
このように粗面化処理したアルミニウム合金板に対しては、さらに粗面化の第2段階として、酸またはアルカリにより化学的にエッチングするのが通常である。酸をエッチング剤として用いる場合は、微細構造を破棄するのに長時間を要するため、工業的に不利となるが、アルカリをエッチング剤として用いることにより改善できる。エッチングのためのアルカリ剤としては、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を用いることができ、またその濃度と温度の好ましい範囲はそれぞれ1〜50%、20〜100℃であり、エッチング時のAlの溶解量が5〜20g/m2となるような条件を選択することが好ましい。
エッチング後には、表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗浄を行なうのが通常である。酸洗浄に用いる酸としては硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸およびホウフッ化水素酸などがある。特に電気化学的粗面化処理後のスマット除去には、好ましくは特開昭53−12739号公報に記載されているような50〜90℃の温度の15〜65重量%の硝酸と接触させる方法、及び特公昭48−28123号公報に記載されているアルカリエッチングする方法がある。
以上のようにして処理されたアルミニウム合金板は、平版印刷版用支持体として使用することができるが、通常はさらに陽極酸化処理、苛性処理等の処理を施すことが望ましい。陽極酸化処理は、この分野で従来より行われている方法で行うことができる。具体的には、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルフォン酸等あるいはこれらの2種以上を組み合わせた水溶液または非水溶液中で、アルミニウム合金板に直流または交流を流すことにより表面に陽極酸化皮膜を形成することができる。陽極酸化の条件は、使用される電解液によって種々変化するから一概には決められないが、一般には、電解液濃度1〜80%、液温5〜70℃、電流密度0.5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10〜100秒の範囲とすることが適当である。
以上のようにして得られた平版印刷版用アルミニウム合金板支持体をPS版に仕上げるにあたっては、常法に従って感光層、または中間層と感光層を塗布して乾燥させればよい。
Fe、Si、Cu、Tiの各元素を表1のNo.1〜No.9に示すように含有し、その他の元素をJIS1050合金組成に調整し、残部がAlよりなるアルミニウム合金を、常法に従ってDC鋳造して、厚さ600mmの鋳塊とし、その鋳塊について560℃×3時間保持の均質化処理を施した後、500℃で熱間圧延(熱間粗圧延+熱間仕上げ圧延)を開始して、表2に示す条件により熱間圧延し、コイルに巻上げた。なおNo.7以外の例では、熱間仕上げ圧延の上がり温度を放射温度計により連続的に計測して、その上がり温度に応じて仕上げ圧延でのクーラント噴射量をフィードバック制御した。得られた熱延板コイルを、中間焼鈍を施すことなく冷間圧延により最終板厚(0.3mm)まで圧延し、製品板(平版印刷版用アルミニウム合金板)コイルを得た。なお熱間圧延においては、粗圧延上がり板厚と仕上げ圧延上がり板厚との比を種々変化させた。
上述のようにして得られた冷間圧延後の製品板について、板表面の結晶粒平均サイズ(圧延方向と平行な方向および直角な方向)を調べるとともに、結晶粒の平均面積を求め、さらに製品板コイルの内巻部、外巻部における圧延方向に対し直角な方向の長さの各平均値A、Bとその比A/Bの値、同じく製品板コイルの内巻部、外巻部における平均結晶粒面積C、Dおよびその比C/Dの値を求めたので、それらの結果を表3に示す。
ここで、結晶粒サイズは、板表面をバーカー法によりエッチングした後、偏光下で顕微鏡観察して20倍写真を撮影後、交線法により求めた。さらに結晶粒の面積は、結晶粒の圧延方向に対し直角な方向の長さ(LT)と、平行な方向の長さ(L)とを掛け合わせ、LT×Lの値により求めた。
さらに前述のようにして得られた各製品板(アルミニウム合金板)について、アルカリエッチング及びデスマット処理を施した後、極性が交互に交換する電解波形を持つ電源を用いて、1%硝酸中で陽極時電気量が150C/dm2となる電解エッチングにより電解粗面化を行った。これを硫酸浴中にて洗浄した後、以下の(1)、(2)の要領でストリークス発生の有無、外観の均一性を評価し、表4中に示した。
(1)ストリークス発生の有無
粗面化処理後の外観について目視で観察し、ストリークスの発生が認められないものを○、発生が確認されるものを×とした。
(2)外観の均一性
粗面化処理後の外観について、製品板コイルの全長にわたって目視により観察し、製品板コイルの全長にわたって粗面が均一なものを○、製品板コイルの全長の一部の粗面状況が他の部分と異なっていて、全長にわたっての粗面均一性が劣るものを×とした。
Figure 2007204775
Figure 2007204775
Figure 2007204775
Figure 2007204775
表4から明らかなように、この発明の条件を外れて得られた比較例(No.5〜No.9)の平版印刷版用アルミニウム合金板は、粗面化処理後の表面にストリークスが発生したり、コイル全長にわたり粗面が均一ではなく外観の均一性に欠けたりすることが確認された。これに対し、この発明の条件を満たして得られた平版印刷版用アルミニウム合金板(No.1〜No.4)は、粗面化処理後の表面にストリークスの発生が見られず、またコイルの全長にわたって面質ムラや処理ムラも発生せず、コイル全長にわたって粗面の均一性、外観の均一性が維持されていることが確認された。
この発明の平版印刷版用アルミニウム合金板の製品板コイルにおける内巻部、外巻部を説明するための概略的な斜視図である。
符号の説明
1 製品板コイル
2 内巻部
3 外巻部
T 巻厚

Claims (2)

  1. Fe0.1〜0.5%(mass%、以下同じ)、Si0.05〜0.20%、Cu0.005〜0.07%、Ti0.005〜0.08%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金からなり、かつ結晶粒の平均面積が0.1mm2以下であり、しかも結晶粒の圧延方向と平行な方向の平均長さが1300μm以下、結晶粒の圧延方向に対し直角な方向の平均長さが100μm以下であり、さらに製品板コイルにおける内周面の位置から外側へ巻厚の10%に相当する位置までの内巻部での結晶粒の圧延方向に対し直角な方向の平均長さAと、製品板コイルにおける外周面の位置から内側へ巻厚の10%に相当する位置までの外巻部での結晶粒の圧延方向に対し直角な方向の平均長さBとの比A/Bが、
    0.8≦A/B≦1.2
    を満たし、かつ前記内巻部での結晶粒の平均面積Cと前記外巻部での結晶粒の平均面積Dとの比C/Dが
    0.8≦C/D≦1.2
    を満たすことを特徴とする、平版印刷版用アルミニウム合金板。
  2. Fe0.1〜0.5%、Si0.05〜0.20%、Cu0.005〜0.07%、Ti0.005〜0.08%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金鋳塊を、粗圧延および仕上げ圧延からなる熱間圧延によって所定の板厚まで圧延するにあたり、熱間仕上げ圧延の圧下量を、熱間粗圧延上がり板厚ta(mm)と熱間仕上げ圧延上がり板厚tb(mm)との比ta/tbが、
    ta/tb>9
    を満たすように規制し、かつ熱間仕上げ圧延上がり板厚tbを1.2〜4.0mmの範囲内、熱間仕上げ圧延上がり温度が280〜360℃の範囲内となるように熱間圧延するとともに、熱間仕上げ圧延におけるクーラント噴射量を調整することによって、熱間仕上げ圧延上がり直後の熱間圧延板の最高温度部と最低温度部との温度差が30℃以内となるように制御し、得られた熱間圧延板に対して、中間焼鈍を施すことなく冷間圧延により製品板厚とすることを特徴とする、平版印刷版用アルミニウム合金板の製造方法。
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