JP2009235475A - 絞りカップの真円度が良好なキャンボディ用アルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】一次絞りカップの真円度に優れ、搬送上のトラブルを起こし難く、かつ、しごき成形性、缶体強度、缶表面品質が良好なキャンボディ用アルミニウム合金板を提供する。
【解決手段】Mg:0.8〜1.5%、Mn:0.7〜1.5%、Cu:0.05〜0.25%、Si:0.2〜0.6%、Fe:0.3〜0.7%、Ti:0.005〜0.05%,B:0.0001〜0.001%を含有し最終素板の0−180°山の耳率が1.0%〜2.5%であるアルミニウム合金板であり、均質化処理後、熱間粗圧延時のラストパスの圧下率・粗圧延終了温度と、タンデム式の仕上げ圧延の総圧下率・終了温度を特定範囲に規制することによって再結晶組織化し、最終冷間圧延の圧下率を82〜86%とする。
【選択図】なし
【解決手段】Mg:0.8〜1.5%、Mn:0.7〜1.5%、Cu:0.05〜0.25%、Si:0.2〜0.6%、Fe:0.3〜0.7%、Ti:0.005〜0.05%,B:0.0001〜0.001%を含有し最終素板の0−180°山の耳率が1.0%〜2.5%であるアルミニウム合金板であり、均質化処理後、熱間粗圧延時のラストパスの圧下率・粗圧延終了温度と、タンデム式の仕上げ圧延の総圧下率・終了温度を特定範囲に規制することによって再結晶組織化し、最終冷間圧延の圧下率を82〜86%とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、絞りカップの真円度が良好なキャンボディ用アルミニウム合金板に関するものである。
飲料缶等には通常アルミニウム合金板にDI(Draw&Ironing)成形を施して缶胴とし、これに缶蓋を巻き締めた2ピース缶が用いられている。前記アルミニウム合金板は例えばJIS3004合金鋳塊を均質化処理後、熱間圧延、焼鈍処理、冷間圧延、仕上げ焼鈍を施して製造される。更には脱脂、洗浄、潤滑油が塗布される。
ところで缶胴用アルミニウム合金板には1)低耳率2)強度(耐圧強度、座屈強度)3)成形性(しごき成形性、フランジ成形性、ボトムしわ性)が要求されている。例えば耳率が悪い材料はDI成形後のトリミングしろが増すだけではなく、DI成形時に耳の部分が一部引きちぎれてアルミ片として混入し、しごき時の割れ(破胴)を引き起こしたりする場合もある。また、強度が低すぎれば缶成形後の強度(缶体強度)が確保できず、例えば内容物による内圧上昇により缶が変形したり、巻き締め時の座屈を招くことがある。成形性は缶の生産性に大きな影響を与えしごき成形性が不足するとDI成形時の割れ発生頻度が高くなり、生産性が低下する。フランジ成形性が不足すると成形時の割れによる生産性だけでなく、最悪巻き締め工程にて発生すると内容物の漏洩さえ起こす場合がある。ボトムしわ性が悪いとボトムしわが発生し、直接缶体としての機能を損なうものではなくても生産ライン上ではねられる事となり生産性が低下し、また、外観上好ましいものでもない。
缶胴用アルミニウム合金の製造工程としては大きく3種に分類される。
1) 熱間圧延後に焼鈍することなく冷間圧延のみを行う自己焼鈍工程材
2) 熱間圧延後に連続焼鈍を行い、その後冷間圧延を行うHOTCAL工程材
3) 熱間圧延後に冷間圧延を行うにあたり、その途中に連続焼鈍を挿入する中間CAL工程材
の3種であり、1)は耳率、フランジ成形性、製造コスト・生産性に優れており、2)は耳率、フランジ成形性、強度に優れており、3)は強度、しごき成形性、ボトムしわ性に優れている。近年ではコスト・生産性に有利な自己焼鈍工程材が主流の製造工程といえる。
1) 熱間圧延後に焼鈍することなく冷間圧延のみを行う自己焼鈍工程材
2) 熱間圧延後に連続焼鈍を行い、その後冷間圧延を行うHOTCAL工程材
3) 熱間圧延後に冷間圧延を行うにあたり、その途中に連続焼鈍を挿入する中間CAL工程材
の3種であり、1)は耳率、フランジ成形性、製造コスト・生産性に優れており、2)は耳率、フランジ成形性、強度に優れており、3)は強度、しごき成形性、ボトムしわ性に優れている。近年ではコスト・生産性に有利な自己焼鈍工程材が主流の製造工程といえる。
近年では製缶技術の向上、材料の改善により高品質なものが高い生産性で製造できるようになってきている。しかし高い生産性で製造するが故に途中工程品でのわずかな変形でもライン搬送上のジャミングの原因になる。特にDI缶の製造においては一次絞りカップの真円度がそれにあたる。この特性については中間CAL工程材の方が優れており、主流の自己焼鈍工程材やHOTCAL材はやや劣る事が知られている。よって一次絞りカップの真円度が良好となる自己焼鈍工程材、HOTCAL工程材が望まれていた。
この問題の解決にあたり、例えば特許文献1(特開平03−146632号公報)では最終板の強度異方性に着目し、それを低減させるため、最終冷間圧延率をできるだけ小さくし、その分の強度補償として熱間圧延後に連続焼鈍を施す手法が開示されている。しかしながら最終冷間圧延率の低減化(熱間圧延終了板厚の薄肉化)には限界があり、特に最終板厚が薄い場合には最終冷間圧延率は高めにならざるを得ない事や連続焼鈍の挿入はコストやリードタイムを増加させてしまう。よって無理な最終冷間圧延率の低減化に頼らず、しかも連続焼鈍炉を使用しない安価な自己焼鈍工程材にて一次絞りカップの真円度が良好でその他缶特性も満足する材料が望まれている。
本発明では一次絞りカップの真円度を向上させた自己焼鈍工程の缶胴用アルミニウム合金板およびその製造方法の提供することを目的とする。
特開平03−146632号公報
上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、一時絞りカップの真円度は最終板の0−180℃位置に発生する耳の大きさに関係があり、それを適正化するには最終冷延率に見合った熱延板の集合組織制御により実現できる事を見出した。
すなわち本発明は請求項1記載の通り、Mg:0.8〜1.5%、Mn:0.7〜1.5%、Cu:0.05〜0.25%、Si:0.2〜0.6%、Fe:0.3〜0.7%を含有し、更にTi:0.005〜0.05%,B:0.0001〜0.001%を含有し、残部Alと不可避不純物からなり、最終素板の0−180°山の耳率が1.0%〜2.5%である絞りカップの真円度が良好なキャンボディ用アルミニウム合金版であり。
また請求項2記載の通り、Mg:0.8〜1.5%、Mn:0.7〜1.5%、Cu:0.05〜0.25%、Si:0.2〜0.6%、Fe:0.3〜0.7%を含有し、更にTi:0.005〜0.05%,B:0.0001〜0.001%を含有し、残部Alと不可避不純物からなる合金鋳塊を、550℃〜620℃の温度範囲で1hr以上の均質化処理を施した後、熱間粗圧延と熱間仕上げ圧延からなる熱間圧延を施すにあたり、シングルリバース式の熱間粗圧延時のラストパスの圧下率を20〜40%、粗圧延終了温度を400〜450℃とし、ついで3スタンド以上のタンデム式の仕上げ圧延の総圧下率を91〜94%、終了温度を320〜370℃の条件で行い、熱間圧延終了後再結晶組織する。その後最終冷間圧延を行なうにあたりその圧下率を82〜86%とし、最終素板の0−180°山の耳率を1.0%〜2.5%としたことを特徴とする絞りカップの真円度が良好なキャンボディ用アルミニウム合金板の製造方法である。
本発明によれば一次絞りカップの真円度に優れ、搬送上のトラブルを起こし難く、かつ、しごき成形性、缶体強度、缶表面品質が良好なキャンボディ用アルミニウム合金板が得られる。
まず、合金成分の規制範囲について説明する。
Mgは強度を付与する元素であるが、0.8%未満では効果が十分ではなく、1.5%を超えると強度は上昇するもののしごき成形性が低下する。
Mnは強度を付与すると共に晶出物を形成し、その中のAl12(Fe、Mn)3Si相(α相)はしごき成形時にその固体潤滑作用により焼き付き防止に寄与する。またこの晶出物は最終板の0−180°耳にも影響する。添加量が0.7%未満では強度付与、しごき成形時の焼き付き防止効果が十分ではないうえ、最終板の0−180°耳が大きくなり、一次絞りカップの真円度が悪化する。1.5%を超えると強度が上昇しすぎるとともに粗大な晶出物を形成し、逆にしごき成形性を悪化させる。また最終板の0−180°耳が小さくなりすぎ、逆に45°耳が強すぎる状態となってしまいDI後のトリミングしろが大きくなりすぎたり、ネッキング後のフランジ成形時のフランジ幅のばらつきが大きくなりすぎる不具合を生じる。
Cuも強度を付与する元素であるが、添加量が0.05%未満ではその効果が無く、0.25%を超えると強度が上昇しすぎてしごき成形性が低下する。
SiはFe、Mn系晶出物をα相に変態させしごき成形性を向上させる元素であるが0.2%以下ではその効果が無く、0.6%を超えると、Mnの析出を促進するため、熱延中に微細なα相の析出が促進される。これが熱延終了後の再結晶を阻害し、熱延板を再結晶組織とすることが困難となる。熱延板を再結晶状態としないと強度が高くなり、耳率が悪化する。そのためしごき成形性が悪化する。
SiはFe、Mn系晶出物をα相に変態させしごき成形性を向上させる元素であるが0.2%以下ではその効果が無く、0.6%を超えると、Mnの析出を促進するため、熱延中に微細なα相の析出が促進される。これが熱延終了後の再結晶を阻害し、熱延板を再結晶組織とすることが困難となる。熱延板を再結晶状態としないと強度が高くなり、耳率が悪化する。そのためしごき成形性が悪化する。
Feは前述の晶出物形成に寄与する元素であり、しごき成形性に寄与するが、0.3%未満ではその効果が無く、またMnと同様に最終板の0−180°耳が大きくなり、一次絞りカップの真円度が悪化する。0.6%を超えるとやはり晶出物が粗大化し、逆にしごき成形性が低下するとともに、最終板の0−180°耳が小さくなりすぎ、逆に45°耳が強すぎる状態となってしまいDI後のトリミングしろが大きくなりすぎたり、ネッキング後のフランジ成形時のフランジ幅のばらつきが大きくなりすぎる不具合を生じる。
Ti及びBは鋳塊の結晶粒を均一微細化させる元素であるが、それぞれ0.005%、0.0001%未満だとその効果が無く、それぞれ0.05%、0.001%を超えると粗大な晶出物を形成し、しごき成形性を低下させ、缶側壁のピンホールを生じさせやすくなる。
なお不純物については、本発明の効果が損なわれない程度であれば許容される。たとえばZnは1%以下、Cr、Zr、Vは0.1%以下であれば問題ない。
次に特性について説明する。
最終素板の0−180°耳を1.0〜2.5%としたのは1.0%未満の状態では、相対的に45°耳が非常に強くなっている。通常の耳率の計算法でも3%を超える状態となりDI後のトリミングしろが大きくなりすぎたり、ネッキング後のフランジ成形時のフランジ幅のばらつきが大きくなりすぎる不具合を生じる。2.5%を超えるとカップの真円度が悪化する。
次に製造工程について説明する。
最終素板の0−180°耳を1.0〜2.5%としたのは1.0%未満の状態では、相対的に45°耳が非常に強くなっている。通常の耳率の計算法でも3%を超える状態となりDI後のトリミングしろが大きくなりすぎたり、ネッキング後のフランジ成形時のフランジ幅のばらつきが大きくなりすぎる不具合を生じる。2.5%を超えるとカップの真円度が悪化する。
次に製造工程について説明する。
均質化処理は過飽和に固溶した溶質元素を排出すると共に微細な析出物を整理し、熱延終了後に再結晶しやすくするため行なう。その範囲を550℃〜620℃の温度範囲で1hr以上としたのは、550℃未満または1hr未満ではその効果が十分ではなく、熱延板を再結晶組織とすることが困難となる。熱延板を再結晶状態としないと強度が高くなり、耳率が悪化する。そのためしごき成形性が悪化する。620℃を超えると局所的に融解する部分が発生し、表面品質が低下するからである。
熱間圧延工程は集合組織の制御に非常に重要な工程である。熱間圧延板の集合組織を適度に制御して、それに続く冷間圧延に伴う圧延集合組織の発達とバランスさせて最終板の0−180°耳を制御しているので、この工程では所定の集合組織の熱延板を製造する条件を規定している。熱間粗圧延のラストパスの圧下率を20〜40%としたのは、20%以下では粗圧延終了時点の再結晶の進行が少なく加工ひずみをより蓄えた状態で仕上げ圧延に送られる事となり、熱間圧延板の0−90°耳が強い状態となる。90°耳はその後の冷間圧延により弱められるが、0°耳は冷間圧延後も残留し、最終板の0−180°耳を大きくする。そのため一次絞りカップの真円度が悪化する。逆に40%を超えると、粗圧延終了時点の再結晶の進行が進み、仕上げ圧延に持ち込む加工ひずみが少なくなり、熱間圧延板の0−90°耳が弱い状態となる。そのため所定の冷間圧延量では0−180°耳が小さくなりすぎ、カップ真円度としては良好であるが、通常の耳率測定における耳率が45°側で強くなる。そのためDI後のトリミングしろが大きくなりすぎたり、ネッキング後のフランジ成形時のフランジ幅のばらつきが大きくなりすぎる不具合を生じる。
熱間粗圧延終了温度を400〜450℃としたのは400℃未満では粗圧延終了時点の再結晶の進行が少なく加工ひずみをより蓄えた状態で仕上げ圧延に送られる事となり、熱間圧延板の0−90°耳が強い状態となる。90°耳はその後の冷間圧延により弱められるが、0°耳は冷間圧延後も残留し、最終板の0−180°耳を大きくする。そのため一次絞りカップの真円度が悪化する。450°を超えると粗圧延終了時点の再結晶の進行が進み、仕上げ圧延に持ち込む加工ひずみが少なくなり、熱間圧延板の0−90°耳が弱い状態となる。そのため所定の冷間圧延量では0−180°耳が小さくなりすぎ、カップ真円度としては良好であるが、通常の耳率測定における耳率が45°側で強くなる。そのためDI後のトリミングしろが大きくなりすぎたり、ネッキング後のフランジ成形時のフランジ幅のばらつきが大きくなりすぎる不具合を生じる。
続いて熱間仕上げ圧延を3スタンド以上のタンデム式の仕上げ圧延機で行うのは熱延板に適度な0−90°耳を発達させるためであり、2スタンドのタンデム圧延機やシングルリバース式の圧延機では多パスの圧延とせざるを得なく、その場合パス間で回復が起こり熱延板の0−90°耳を十分に発達させるのが困難となるためである。
また仕上げ圧延の総圧下率を91〜94%としたのは91%未満では熱間圧延板の0−90°耳が弱い状態となる。そのため所定の冷間圧延量では0−180°耳が小さくなりすぎ、カップ真円度としては良好であるが、通常の耳率測定における耳率が45°側で強くなる。そのためDI後のトリミングしろが大きくなりすぎたり、ネッキング後のフランジ成形時のフランジ幅のばらつきが大きくなりすぎる不具合を生じる。94%を超えると熱間圧延板の0−90°耳が強い状態となる。90°耳はその後の冷間圧延により弱められるが、0°耳は冷間圧延後も残留し、最終板の0−180°耳を大きくする。そのため一次絞りカップの真円度が悪化する。
また、その終了温度を320〜370℃としたのは、320℃以下では熱間圧延板が再結晶できないため最終板が著しい45°耳になるとともに素板強度が上昇ししごき成形性が著しく低下する。370℃を超えると表面品質が低下し、成形品の外観にフローマーク等が現れる。
熱間圧延板が適正集合組織が得られている目安は、熱延板耳率として2.5〜5.0%である。
熱間圧延板が適正集合組織が得られている目安は、熱延板耳率として2.5〜5.0%である。
最終冷間圧延率を82%〜86%としたのは82%未満では最終板の強度が十分ではなく、缶体強度が低下する。86%を超えると素板強度が高くなりすぎ、しごき成形性が低下する。
また、最終冷間圧延後に通常120℃〜160℃の仕上げ焼鈍を施すが、最終冷間圧延のラストパスを120℃以上の高温で仕上げて、仕上げ焼鈍を省略してもよく、この方がコスト的に有利である。
以下実施例を用いて本発明を具体的に説明する。
表1に示す合金成分を常法により溶解鋳造して厚さ500mmのスラブ(板状鋳塊)を得た。次にこのスラブを470mmの厚さに面削し、ついで均質化処理とシングルリバースミルによる熱間粗圧延(開始温度480℃)を順に施し、ついで4スタンドのタンデム圧延機を用いて熱間仕上げ圧延を行なった。続いて常法により冷間圧延をして厚さ0.30mmの冷延板を得た。これに150℃で2時間の最終焼鈍を施して最終板とした。以上の工程について表2にまとめた。
このようにして得られた最終板について引張試験、耳率、カップ楕円量、しごき成形性、耐圧強度、表面品質を測定した。また、熱延板の耳率についても測定した。
引張試験:200℃×15minの加熱前後の引張強さ、耐力、伸び等を測定した。
耳率:前記合金板から57mmφのブランク径で直径33mm、肩R2.5mmのポンチを用いてしわ押さえ力300kgfの条件でエリクセンカップ成形し、圧延方向に対し22.5°おきにカップ高さ測定を行なった。計算式は
0−180°耳率(%)=(0°位置180°位置高さ平均―平均高さ)/平均高さ×100
通常耳率(%)=(4山高さ平均−4谷平均高さ)/平均高さ×100
(4山、4谷とは全ての得られた山、谷のうち高い山4つ、低い谷4つを選択した事を意味する。)
の2種を用いた。最終板は上記2種での計算を行い、熱延板の耳率は通常耳率の計算式のみを用いた。
0−180°耳率の符号は計算式通りであり、通常耳率の符号は最大山が45°位置の時マイナス、0°または90°のときプラスで表記した。
通常耳率は2.5%以内でないとDI後のトリミングしろが大きくなりすぎたり、ネッキング後のフランジ成形時のフランジ幅のばらつきが大きくなりすぎる不具合を生じる。
0−180°耳率(%)=(0°位置180°位置高さ平均―平均高さ)/平均高さ×100
通常耳率(%)=(4山高さ平均−4谷平均高さ)/平均高さ×100
(4山、4谷とは全ての得られた山、谷のうち高い山4つ、低い谷4つを選択した事を意味する。)
の2種を用いた。最終板は上記2種での計算を行い、熱延板の耳率は通常耳率の計算式のみを用いた。
0−180°耳率の符号は計算式通りであり、通常耳率の符号は最大山が45°位置の時マイナス、0°または90°のときプラスで表記した。
通常耳率は2.5%以内でないとDI後のトリミングしろが大きくなりすぎたり、ネッキング後のフランジ成形時のフランジ幅のばらつきが大きくなりすぎる不具合を生じる。
カップ楕円量:DI成形用の一次絞りカップ(ブランク径140mm、ポンチ径87mm)に成形し、カップ開口部の最大径(圧延方向と直角方向)から最小径(圧延方向と平行方向)を差し引いた値を表記した。
しごき成形性:内径66mmとなるようにDI成形し、10000缶の製缶で全く缶切れしないものを○、連続製缶できるものの、1缶以上缶切れしたもの、または缶切れしなくともしごきダイスにアルミがやきついてゴーリングのような外観不良を起こしたものを△、缶切れが多発し、全く連続製缶できないものを×とした。
耐圧強度:DI成形した缶を200℃×15minのベークを施し、エアー式の耐圧試験機にてドーム成形したボトムがバックリングする圧力を測定した。圧力が6.5kgf/cm2以上のものを○、6.5kgf/cm2未満のものを×とした。
表面品質については目視にてフローマークの強さを判定した。
結果を表3にまとめた。
表3から明らかなようにNo.1〜4の本発明範囲内のものは、しごき成形性、ボトムしわ性、フランジ成形性が全て良好であった。
一方、比較例であるNo.5はSi量が過多のため熱延板の再結晶率が低くなってしまい強度が高くしごき成形性が悪化している。また、耳率極端な45°耳となっており、トリミングやネッキング・フランジングで不具合を起こす。
No.6はFe量が過多のためしごき成形性が悪化している。また耳率が悪くトリミングやネッキング・フランジングで不具合を起こす。
No.7はCu量が過多のため強度が高くなりすぎ、しごき成形性が悪化している。
No.8はMn量過小のためしごき時にゴーリングが発生した。また、強度が不足し耐圧強度が悪化している。また、通常の耳率としては問題ないが0−180°の耳率が高く、カップの真円度が悪い。
No.9はMn量過多のため強度が高くなりすぎ、しごき成形性が悪かった。また、耳率が45°耳側で悪くトリミングやネッキング・フランジングで不具合を起こす。
No.10はMg量が過小のため強度が不足し耐圧強度が悪化している。
No.11はMg量が過多のため強度が高くなりすぎ、しごき成形性が悪かった。
No.12はTi、Bが過多のため粗大な晶出物を形成し、しごき成形性が悪かった。
No.13は均質化処理条件が不十分なため、熱間圧延後の再結晶率が低くなってしまい、強度が高くしごき成形性が悪化している。また、耳率極端な45°耳となっており、トリミングやネッキング・フランジングで不具合を起こす。
No.14は均質化処理温度が高温すぎたため、局所的に溶融を起こし缶外観にフローマークが発生した。
No.15は熱間粗圧延のラストパスの圧下率が低すぎて、粗圧延終了時点での再結晶の進行が少なくなり、ひずみを蓄えたまま仕上げ圧延が行なわれる。そのため熱延板の0−90°耳が非常に強い状態であった。そのため最終板の通常の耳率としては問題ないものの、0−180°耳が強くなりカップの真円度が悪化している。
No.16は熱間粗圧延のラストパスの圧下率が高すぎて粗圧延終了時点での再結晶の進行が多くなり、ひずみの蓄えが少ないまま仕上げ圧延が行なわれる。そのため熱延板の0−90°耳が弱い状態であった。そのため最終板の通常の耳率が悪化し、トリミングやネッキング・フランジングで不具合を起こす。
No.17は熱間粗圧延の終了温度が低くなりすぎ粗圧延終了時点での再結晶の進行が少なくなり、ひずみを蓄えたまま仕上げ圧延が行なわれる。そのため熱延板の0−90°耳が非常に強い状態であった。そのため最終板の通常の耳率としては問題ないものの、0−180°耳が強くなりカップの真円度が悪化している。
No.18は熱間粗圧延の終了温度が高くなりすぎ、粗圧延終了時点での再結晶の進行が多くなり、ひずみの蓄えが少ないまま仕上げ圧延が行なわれる。そのため熱延板の0−90°耳が弱い状態であった。そのため最終板の通常の耳率が悪化し、トリミングやネッキング・フランジングで不具合を起こす。
No.19は熱間仕上げ圧延終了温度が低すぎて熱延板の再結晶率が低く、そのため強度が高くしごき成形性が悪化している。また耳率も極端な45°耳となりトリミングやネッキング・フランジングで不具合を起こす。
No.20は熱間仕上げ圧延終了温度が高すぎて表面品質が低下した。そのため缶表面にフローマークが現れた。
No.21は熱間仕上げ圧延における総圧下量が低く、耳率が悪くトリミングやネッキング・フランジングで不具合を起こす。
No.22は熱間仕上げ圧延における総圧下量が高すぎて熱延板の0−90°耳が非常に強い状態であった。そのため最終板の通常の耳率としては問題ないものの、0−180°耳が強くなりカップの真円度が悪化している。
No.23は最終冷延率が低すぎて強度が低く耐圧強度が低下している。
Claims (2)
- Mg:0.8〜1.5%(質量%、以下同じ)、Mn:0.7〜1.5%、Cu:0.05〜0.25%、Si:0.2〜0.6%、Fe:0.3〜0.7%を含有し、更にTi:0.005〜0.05%,B:0.0001〜0.001%を含有し、残部Alと不可避不純物からなり、最終素板の0−180°山の耳率が1.0%〜2.5%である絞りカップの真円度が良好なキャンボディ用アルミニウム合金版。
- Mg:0.8〜1.5%、Mn:0.7〜1.5%、Cu:0.05〜0.25%、Si:0.2〜0.6%、Fe:0.3〜0.7%を含有し、更にTi:0.005〜0.05%,B:0.0001〜0.001%を含有し、残部Alと不可避不純物からなる合金鋳塊を、550℃〜620℃の温度範囲で1hr以上の均質化処理を施した後、熱間粗圧延と熱間仕上げ圧延からなる熱間圧延を施すにあたり、シングルリバース式の熱間粗圧延時のラストパスの圧下率を20〜40%、粗圧延終了温度を400〜450℃とし、ついで3スタンド以上のタンデム式の仕上げ圧延の総圧下率を91〜94%、終了温度を320〜370℃の条件で行い、熱間圧延終了後再結晶組織する。その後最終冷間圧延を行なうにあたりその圧下率を82〜86%とし、最終素板の0−180°山の耳率を1.0%〜2.5%としたことを特徴とする絞りカップの真円度が良好なキャンボディ用アルミニウム合金板の製造方法。
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JP2011214107A (ja) * | 2010-03-31 | 2011-10-27 | Kobe Steel Ltd | 缶胴用Al合金板およびその製造方法 |
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WO2016002226A1 (ja) * | 2014-07-04 | 2016-01-07 | 株式会社Uacj | 飲料缶胴用アルミニウム合金板及びその製造方法 |
CN107406924A (zh) * | 2015-03-19 | 2017-11-28 | 株式会社神户制钢所 | 罐体用铝合金板 |
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2008
- 2008-03-27 JP JP2008082324A patent/JP2009235475A/ja active Pending
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