JP3287764B2 - 絞りしごき缶用樹脂被覆アルミニウム合金板 - Google Patents

絞りしごき缶用樹脂被覆アルミニウム合金板

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JP3287764B2 JP11958796A JP11958796A JP3287764B2 JP 3287764 B2 JP3287764 B2 JP 3287764B2 JP 11958796 A JP11958796 A JP 11958796A JP 11958796 A JP11958796 A JP 11958796A JP 3287764 B2 JP3287764 B2 JP 3287764B2
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    • Y02W30/80Packaging reuse or recycling, e.g. of multilayer packaging

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、絞りしごき加工を
含む加工により製造される2ピース缶に用いる材料に関
する。より詳細には、水、あるいは水系潤滑剤などによ
る冷却、あるいは潤滑を行うことなく、製缶後の缶の洗
浄を必要としない、絞りしごき加工を含む加工により缶
壁厚が薄い2ピース缶を製造するのに適した、熱可塑性
樹脂を被覆した絞りしごき缶用樹脂被覆アルミニウム合
金板に関する。
【0002】
【従来の技術】缶胴部と缶底部が一体で成形される2ピ
ース缶としては、ぶりきまたはアルミニウム合金板を絞
り加工、およびしごき加工により得られるDI缶(Draw
n andIroned Can)が従来より製造されている。DI缶
はぶりきまたはアルミニウム合金板を絞り加工した後、
連続的に配置された数個のしごきダイスとポンチを用い
て、大量の水、あるいは水系潤滑剤で冷却および潤滑し
ながら缶壁厚を元板厚の1/3程度に薄肉化し、その後
脱脂洗浄、乾燥し、塗装が施される。近年、特開平6−
312223号公報に、絞りしごき加工を含む複合加工
法により、樹脂被覆金属板から2ピース缶を製造する方
法が開示されている。この方法は従来のDI缶の製造法
とは異なり、高温揮発性の潤滑剤を塗布した樹脂被覆金
属板を絞り加工した後、水、あるいは水系潤滑剤を用い
ることなく、乾式で再絞りおよびしごき加工を同時に行
う複合加工法により、缶壁厚が薄い2ピース缶を製造す
るものである。この複合加工法によれば、2ピース缶に
成形した後の缶の脱脂洗浄、乾燥、塗装工程が不要とな
り、環境を殆ど汚染することなく、2ピース缶を製造す
ることが可能である。本発明においては、樹脂被覆アル
ミニウム合金板にこの複合加工法を適用してアルミニウ
ム缶を製造することにより、より幅広い合金組成のアル
ミニウム合金を適用できるはずであると考え、研究を重
ねたものである。ことが判明した。複合加工法に適した
材料に関しては、特開平7−266496号公報に、降
伏強度、抗張力、板厚、中心線粗さなどを限定した材料
が開示され、実施例にJIS 5052 H38、および
JIS 3004 H19のアルミニウム合金の使用が示
されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特開平6−
312223号公報に示されるような複合加工法に適し
た樹脂被覆アルミニウム合金板を提供することを目的と
する。本発明が対象とする複合加工法は、再絞り加工部
としごき加工部が一対となったダイスを用い、再絞りお
よびしごき加工を同時に行う加工法である。複合加工法
の一つの特徴は、再絞り加工を行う部分のダイスの肩ア
ールの寸法を小さくし、このダイス肩アール部において
材料を曲げ・曲げ戻し加工し、缶壁厚を薄肉化すること
にある.この複合加工においては、加工する板厚の2〜
数倍程度の小さなダイス肩ア−ルで厳しい曲げ・曲げ戻
し加工を行うため、材料表面に肌荒れ、割れを生じ易
く、加工条件によってはこのダイス肩アール部で缶壁破
断が生じる。また、ダイス肩アール部で破断を生じない
場合においても、肌荒れ、表面割れは、被覆樹脂被膜と
アルミニウム合金板との密着性の低下をもたらし、続く
しごき加工において缶壁破断が極めて生じやすくなる。
本発明は、小さな肩ア−ルのダイス肩アール部における
曲げ・曲げ戻し加工、および続くしごき加工を含む複合
加工を乾式で行うに際して、缶壁破断が生じ難く、かつ
缶として必要な強度を有する缶胴材として使用される樹
脂被覆アルミニウム合金板を導くことを課題とする。ま
た、本発明の樹脂被覆アルミニウム合金板は、市販のア
ルミニウムDI缶に使用される缶胴材を再利用しやすい
ことも課題の一つとする。なお、特開平7−26649
6号公報の実施例に示されるJIS 3004 H19合
金は、必要とされる強度は有するものの、加工性は本発
明の目標に対しては不十分なものである。一方、JIS
5052 H38合金は、加工性は本発明の目的とする
複合加工方法に適用可能であるが、Mn量が少なく、こ
の合金をスクラップから再生する際に、投入可能な30
04合金のスクラップの量が大幅に制限されるため、経
済的ではない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の絞りしごき缶用
樹脂被覆アルミニウム合金板は、重量%でMn:≦0.
5%、Mg:2.2〜2.8%、残部がアルミニウム及び
不可避的不純物からなり、不可避的不純物としてSi:
≦0.3%、Fe:≦0.5%を含有し、(Si+Fe)
≦0.6%、Fe/Si比が 1.5以下の関係を有す
る、板厚:0.18〜0.35mm、降伏強度:180〜
400 N/mm2であり、圧延方向に垂直方向の引張強
度と圧延方向に平行方向の引張強度との差が 10N/
mm2 以下であるアルミニウム合金板をエッチング
後、その両面に、ポリエチレンテレフタレート、エチレ
ンテレフタレート繰り返し単位を主体とする共重合ポリ
エステル樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ブチレン
テレフタレート繰り返し単位を主体とするポリエステル
樹脂、またはこれらのポリエステル樹脂を少なくとも2
種類ブレンドしたポリエステル樹脂、または上記のポリ
エステル樹脂を少なくとも2種類積層してなる複層のポ
リエステル樹脂のいずれか、が被覆され、再絞り加工部
としごき加工部が一対になったダイスを用い、再絞り及
びしごきを同時に行う複合加工により製造されるもので
あることを特徴とする。このような絞りしごき缶用樹脂
被覆アルミニウム合金板においては、前記Fe/Si比
が1以下であることが望ましく、前記アルミニウム合金
板の両面に前記樹脂を被覆した後、その両面に高温揮発
性の潤滑剤を塗布してなるものであることが望ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明は、強度、加工性、密着性
に優れ、乾式での絞りしごき加工性に優れる樹脂被覆ア
ルミ合金板を提供するために多岐にわたり検討を行った
結果、合金組成、板厚、降伏強度、引張強度の異方性、
熱可塑性樹脂の種類などを定めることにより、目的とす
る樹脂被覆アルミニウム合金板を開発したものである。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
【0006】
【実施例】まず、本発明において樹脂被覆アルミニウム
合金板の被覆基板となるアルミニウム合金板の合金成分
などを限定する理由を以下に説明する。なお、各合金成
分の%は重量%で示す。本発明においては、アルミニウ
ム合金板の製造時に発生するスクラップや、使用後のア
ルミニウム缶のスクラップを混合し、溶解しての再使用
を容易とするため、アルミニウムDI缶の缶胴材である
3004合金、および蓋材である5052合金の合金成
分、特にMnとMgの量を考慮し検討した。JIS規格
においては3004材はMn:1.0〜1.5%、Mg:
0.8〜1.3%、5052材はMn:0.1% 以下、M
g:2.2〜2.8%と規定されている。本発明の樹脂被
覆アルミニウム合金板の被覆基板となるアルミニウム合
金板のMn量は、3004合金の下限のMn量までを含
みうることを前提とする。このようにすることにより、
本発明に使用するアルミニウム合金を製造する際に、多
量に存在する3004合金のスクラップの混合割合を格
段に大きくすることが可能となる。
【0007】[Mn]Mnは安価であり、強度が得られる
ために添加するが、缶胴材のスクラップを混合再利用す
ることを考慮し、添加量は3004合金の下限の1.0
%以下を検討した。Mnの添加によりAl−Fe−Mn
系の晶出物が形成されるが、その変態生成物である硬質
のα相は、本発明が課題とする曲げ・曲げ戻し加工性に
は好ましくない。市販のアルミニウムDI加工において
は、Al−Fe−Mn系の晶出物はしごき加工時に潤滑
作用を有し、しごき加工性を向上させるため不可欠とさ
れる。しかし、本発明においては表面に樹脂が被覆され
たアルミニウム合金板を加工するため、Al−Fe−M
n系の晶出物の潤滑作用は必要ではなく、むしろ加工性
が損なわれる。すなわち、該晶出物は本発明の樹脂被覆
アルミ合金板の適用を図る複合加工方法には適さないも
のである。複合加工方法は、再絞り加工部としごき加工
部が一体となったダイスを用いて再絞り加工としごき加
工を同時に行い、再絞りダイスの肩ア−ルを板厚の数倍
程度以下の小さな肩ア−ルとすることを特徴とするが、
晶出物はそのダイス肩アール部における曲げ・曲げ戻し
加工性を著しく損なう。すなわち、曲げ・曲げ戻し加工
時にアルミニウム合金表面に荒れ、割れが生じやすく、
それに基づく被覆樹脂被膜の密着性を低下をもたらす。
さらに晶出物の量、サイズ、加工条件によっては缶壁破
断をもたらす。そのため、後述するMg量も考慮しMn
量の上限を 0.5%とする。3004合金を再利用する
点からは、上記範囲内の高い方が好ましい。
【0008】[Mg]Mgは、Mn以上に強度向上に効果
のある元素であり、缶として必要な強度を得るために添
加するが、添加量が多くなると加工性が低下する。本発
明においては前記の理由によりMn量の上限を 0.5%
とするが、加工性に十分余裕のある範囲ではない。その
ため、加工性の低下、および加工性の変動を少なくする
ために、Mg量の範囲を2.2〜2.8%とする。Mn量
が本発明の上限の 0.5%近傍にある場合は、Mgが
2.8%を越えると加工性が不良となる。一方、Mg量
が 2.2%未満では強度が不十分となる。本発明におけ
るMg量の好適範囲は、溶製、鋳造の生産性を考慮して
5052合金の規定範囲と一致させる。本発明による樹
脂被覆アルミニウム合金板を前記の複合加工を用いて成
形した2ピ−ス缶は、ビ−ル、炭酸飲料、窒素ガス充填
飲料など、缶内圧が陽圧となる内容物に適用されるが、
内容物によって缶内圧が異なる。このため、缶内圧が高
い内容物を充填する缶用材には、Mn、Mgの量が多い
材料を適用する。缶底の耐圧強度が不足すると缶底が座
屈変形し、商品として使用に耐えなくなる。缶底の耐圧
強度には、主として、板の降伏強度、板厚が影響し、降
伏強度が低い場合は板厚を厚くすることが必要である
が、経済性が損なわれることになる。このため、経済性
の点からMn、Mgの添加量の多い、高強度の薄板厚の
材料が適するが、Mn、Mgの添加量の増加による高強
度化を行うと、材料の加工性が低下する。比較的厳しい
加工条件の用途においては、Mn量を低めに、Mg量を
高めに設定する。
【0009】[Si]SiはAl−Fe−Mn系晶出物に
相変態を生じさせ、いわゆる硬質のα相を形成する。こ
のα相はDI缶の製造においてはしごき加工性を向上さ
せるため必要とされるが、本発明にとっては相変態前の
晶出物以上に曲げ・曲げ戻し加工性を低下させ、好まし
くない。したがって、その上限を0.3 %とする。
【0010】[Fe]FeはMnとの関係で、Al−Fe
−Mn系晶出物を形成する。Al−Fe−Mn系は、前
述のように曲げ・曲げ戻し加工性の点から本発明にとっ
て好ましくなく、その形成元素であるFeの上限を0.
5 %とする。好ましくは0.3 %以下とする。
【0011】[Si+Fe](Si+Fe)量も、Al−
Fe−Mn系晶出物の量、特に硬質なα相の量を低いレ
ベルとするため上限を定める。Fe、Si量の上限を前
記の如く定めるが、それぞれが上限近傍である場合、A
l−Fe−Mn系晶出物が加工性を損なう。よってその
上限を0.6%、好ましくは0.4%以下とする。
【0012】[Fe/Si比]Fe/Si比もAl−Fe
−Mn系晶出物のα相を低いレベルとするために限定す
る。FeおよびSiが低いレベルにおいてはFe/Si
比は特に制限する必要はないが、Fe、Siの値が請求
する範囲の上限に近い領域においては、Fe/Si比を
1.5以下、好ましくは1以下にすることが好ましい。
【0013】その他の元素として、Cu、Znは特に限
定しないが、Cu、Znは以下の理由により下記の範囲
が好ましい。CuはMgとともにAl−Cu−Mg系析
出物による析出硬化を示し、高強度化の点からは有効で
あるが、多くなると加工性を低下させるため、0.3%
以下であることが好ましく、0.2%以下がより好まし
い。Zn添加は晶出物の分散を適正にする効果があり、
晶出物の弊害を軽減するため、0.01〜0.5%含有す
ることが好ましい。
【0014】次に板厚、および降伏強度を限定する理由
について説明する。板厚、および降伏強度の下限はいず
れも缶底耐圧の点から限定する。缶底の耐圧強度に関し
ては、板厚が厚い場合は降伏強度は低くても差し支えな
く、降伏強度が高い場合は板厚は薄くても差し支えな
い、という関係にある。降伏強度はアルミの合金組成、
および圧延などによる加工硬化により高めることが可能
であるが、400N/mm2 を越えると加工性が不十分
になる。しかし、降伏強度を400N/mm2とした場
合でも、板厚は0.18mm以上必要である。一方、降
伏強度を低くした場合はアルミニウム合金板の板厚を厚
くすることが必要となり、経済的でない。よって、降伏
強度の下限を180N/mm2 とする。その場合、板厚
が 0.35mmであれば、十分な缶底の耐圧強度が得ら
れる。
【0015】アルミニウム合金板の引張強度に関して
は、圧延方向に垂直方向の引張強度と圧延方向に平行方
向の引張強度との差が10N/mm2 以下とする必要が
ある。DI缶の製造に用いられるアルミニウム合金板
は、大略、溶解−均質化処理−熱間圧延−冷間圧延−再
結晶焼鈍−二次冷間圧延の工程を経て製造される。アル
ミニウム合金板の引張強度は、主として合金組成、二次
冷間圧延率により定まり、二次圧延率に関しては高いほ
ど引っ張り強度は大きく、また直角方向と平行方向の引
張強度の差も増大する。この差分の増加は、圧延集合組
織の集積が増大するためと考えられる。また、圧延率の
増大とともに晶出物は圧延方向に延在するようになる。
一方、本発明の課題である曲げ・曲げ戻し加工性も圧延
率の増加とともに低下する。曲げ・曲げ戻し加工性の低
下が、圧延集合組織の発達、晶出物の延在のいずれの影
響が大きいか明確ではないが、前記差分が10N/mm
2 以下であれば、曲げ・曲げ戻し加工性は本願発明の目
的に適する範囲にある。
【0016】上記の本発明に用いられるアルミニウム合
金板は、電解クロム酸処理、浸漬クロム酸処理、リン酸
クロム酸処理、アルカリ溶液、酸溶液によるエッチング処
理、陽極酸化処理など公知の方法で表面処理されたアル
ミニウム合金板がより好ましい。特に、アルミニウム合
金板に電解クロム酸処理により金属クロムとクロム水和
酸化物からなる二層皮膜を形成させる場合、積層される
樹脂フィルムの加工密着性の点から、クロム水和酸化物
の量はクロムとして3〜25mg/m2 の範囲が好まし
く、7〜20mg/m2 の範囲がより好ましい。また金
属クロム量は特に限定する必要はないが、加工後の耐食
性、積層される樹脂フィルムの加工密着性の観点から1
〜100mg/m2の範囲が好ましく、3〜50mg/
2の範囲がより好ましい。
【0017】次に、本発明においてアルミニウム合金板
の少なくとも片面に積層される熱可塑性樹脂としては、
ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリカーボネート樹脂などを主成分とした単層また
は複層の樹脂フィルム、これらの樹脂を2種以上をブレ
ンドした樹脂フィルム、あるいは共重合した樹脂フィル
ムなどを用いることができる。特に本発明の厳しい成形
加工が施される絞りしごき缶用には、ポリエチレンテレ
フタレート、エチレンテレフタレート繰り返し単位を主
体とする共重合ポリエステル樹脂、ポリブチレンテレフ
タレート、ブチレンテレフタレート繰り返し単位を主体
とするポリエステル樹脂、またはこれらのポリエステル
樹脂を少なくとも2種類ブレンドしたポリエステル樹
脂、または上記のポリエステル樹脂を少なくとも2種類
積層してなる複層のポリエステル樹脂のいずれか、さら
にポリカーボネート樹脂、またはポリカーボネート樹脂
と上記のポリエステル樹脂を少なくとも1種類ブレンド
した樹脂、さらに、ポリカーボネート樹脂と上記のポリ
エステル樹脂を少なくとも2種類積層した複層樹脂から
なり、公知の押し出し機によりフィルム成形後、縦横二
方向に延伸し、熱固定して製造される二軸配向樹脂フィ
ルムが好ましい。
【0018】積層される樹脂フィルムの厚さは5〜50
μmの範囲が好ましく、10〜30μmの範囲がより好
ましい。厚さが5μm以下の場合、連続的に高速で金属
板に積層することがむずかしい。一方、積層される樹脂
フィルムの厚さが50μm以上になると、製缶用材料に
広く使用されているエポキシ系樹脂塗料などと比較し経
済性の点からも好ましくない。
【0019】また、樹脂フィルムはアルミニウム合金板
に直接積層されてもよいし、樹脂フィルムとアルミニウ
ム合金板の間にエポキシ−フェノール樹脂のような熱硬
化性接着剤を介在させて積層されてもよい。熱硬化性接
着剤を樹脂フィルムまたはアルミニウム合金板のどちら
かの、互いと接着する片面に予め塗布しておくことによ
り、熱硬化性接着剤を介在させて樹脂フィルムをアルミ
ニウム合金板に積層することができる。
【0020】本発明の樹脂被覆アルミニウム合金板は、
上記のアルミニウム合金板に上記の熱可塑性樹脂フィル
ムを積層することによって得られる。積層は以下のよう
にして行われる。すなわち、アルミニウム合金板供給手
段から連続的に送り出されたアルミニウム合金板を、加
熱手段を用いて熱可塑性樹脂フィルムの融点以上の温度
に加熱し、その両面に、フィルム供給手段から送り出さ
れた熱可塑性樹脂フィルムを接触させ、1対のラミネー
トロールの間で重ね合わせ、挟みつけて圧着した後、直
ちに急冷する。
【0021】最後に、上記のようにして積層された熱可
塑性樹脂フィルムの上面に、高温揮発性潤滑剤を塗布す
る。高温揮発性潤滑剤は、絞りしごき加工後に200℃
程度の温度で数分の加熱を施した時に50%以上飛散す
ることが望ましく、具体的には、流動パラフィン、合成
パラフィン、天然ワックスなどの単体、またはこれらの
混合物から加工条件、加工後の加熱条件に応じ選択す
る。塗布される潤滑剤の特性としては融点が25〜80
℃、沸点が180〜400℃の範囲にあるものが本発明
の目的を果たすのに望ましい。また、塗布量は缶外面と
なる面、缶内面となる面、加工条件、加工後の加熱条件
等を考慮し、決定されるべきであるが、5〜100mg
/m2、好ましくは30〜60mg/m2の範囲が適して
いる。
【0022】以上のように、アルミニウム合金板の合金
組成、板厚、降伏強度、圧延方向と圧延方向と直角方向
の引張強度の差、熱可塑性樹脂の特性などを限定し、さ
らに積層された熱可塑性樹脂の上に高温揮発性潤滑剤を
塗布することなどにより、絞りしごき加工により缶壁厚
の薄い缶を成形するのに適した熱可塑性樹脂被覆アルミ
ニウム合金板が得られる。
【0023】(実施例)表1〜2に示す組成の合金を常
法により溶解、鋳造、面削し、550℃で均質化熱処理
を行った後、熱間圧延、さらに冷間圧延を行い種々の板
厚とした。ついで520℃で10秒加熱する連続焼鈍を
行い、その後再び冷間圧延し、 0.16mm、0.18
mm、0.25mm、0.35mm、0.40mmの板厚
とし、アルカリ溶液によるエッチング処理を施した後板
温を240℃に加熱し、その両面にポリエチレンイソフ
タレート12モル%とポレエチレンテレフタレート88
モル%からなる厚み20μmの共重合ポリエステル樹脂
二軸配向フィルムを積層し、直ちに水中に浸漬冷却し
た。乾燥した後、その両面にグラマーワックス(沸点1
15℃)を約50mg/m2 塗布し供試板とした。供試
板の評価は、前述の曲げ・曲げ戻し後の強度、複合加工
による加工性、耐圧強度、加工後の被覆樹脂フィルムと
アルミ合金板表面の密着性について行った。曲げ・曲げ
戻し後の強度は、曲げ半径 0.5mmでの曲げ・曲げ戻
し加工を施した供試板の引っ張り強度が、加工前の供試
板の強度の30%以上の場合を○(良)、30%未満を×
(不良)とした。複合加工性の評価は、アルミニウム合金
板の板厚が 0.25mm、 0.35mm、0.40mm
の供試板について下記に示すようにして行った。絞り比
1.6で成形した直径100mmの絞り缶を直径75m
m、缶壁厚が元板厚の80%である一次再絞り缶に加工
し、続く二次再絞り加工性を評価した。二次再絞り加工
は、再絞り比を 1.15とし、再絞りダイス肩ア−ル
0.4mmとし、しごきダイスのクリアランスを変更し
てダイス肩部、しごき加工部での加工性を加工時の缶壁
破断の発生の有無で評価し、缶壁破断が無い場合を○
(良)、缶壁破断が発生した場合を×(不良)とした。耐圧
強度は、樹脂被覆アルミニウム合金板を通常の絞り加工
により直径65mmの缶に成形し、缶底部をド−ム加工
した後内圧を付加し、缶底が座屈する圧力で良否を評価
し、座屈圧力が6.3kg/cm2以上の場合を○(良)、
6.3kg/cm2未満を×(不良)とした。密着性は、上
記と同一条件で二次再絞り加工を行った後の缶壁内面に
ついて、被覆樹脂の剥離の有無によりにより評価し、剥
離無しを○(良)、剥離無しを×(不良)とした。評価結果
を表3〜4に示す。
【0024】
【表1】 (注) *P-H: 圧延方向に垂直方向と平行方向の引張強度の差
【0025】
【表2】 (注) *P-H: 圧延方向に垂直方向と平行方向の引張強度の差
【0026】
【表3】 供試板の特性評価結果 (1) (注) −: 評価せず
【0027】
【表4】 供試板の特性評価結果 (2) (注) −: 評価せず
【0028】
【発明の効果】本発明は、重量%でMn:≦0.5%、
Mg:2.2〜2.8 %、不可避的不純物としてSi:
≦0.3%、Fe:≦0.5%を含有し、かつ(Si+F
e):≦0.6%の関係を有する板厚:0.18〜0.3
5 mm、降伏強度:180〜400 N/mm2のアル
ミニウム合金板の両面に、熱可塑性樹脂を被覆してなる
絞りしごき缶用樹脂被覆アルミニウム合金板であり、前
記アルミニウム合金板の、圧延方向に垂直方向の引張強
度と圧延方向に平行方向の引張強度との差が10N/m
2以下であることを特徴とし、またFe/Si比が1.
5以下、より好ましくは1以下であることを特徴とし、
さらにまた、前記熱可塑性樹脂が熱可塑性ポリエステル
樹脂であることを特徴とし、さらにまた、前記アルミニ
ウム合金板の両面に前記熱可塑性樹脂を被覆した後、そ
の両面に高温揮発性の潤滑剤を塗布してなることを特徴
としており、本発明の目的とする、小さな肩ア−ルのダ
イス肩アール部における曲げ・曲げ戻し加工、および続
くしごき加工を含む複合加工を乾式で行うに際して、缶
壁破断が生じ難く、缶として必要な強度を有する絞りし
ごき缶を得ることが可能となる。さらに、本発明の樹脂
被覆アルミニウム合金板の被覆基板となるアルミニウム
合金板のMn量を、3004合金の下限のMn量まで含
有することにより、本発明に使用するアルミニウム合金
を製造する際に、多量に存在する3004合金のスクラ
ップの混合割合を格段に大きくすることが可能となり、
リサイクル性にも優れたものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−26146(JP,A) 特開 平4−228551(JP,A) 特開 平7−266496(JP,A) 特開 平7−126789(JP,A) 特開 平4−268038(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 21/00 - 21/18

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%でMn:≦0.5%、Mg:2.2〜
    2.8%、残部がアルミニウム及び不可避的不純物から
    なり、不可避的不純物としてSi:≦0.3%、Fe:
    ≦0.5%を含有し、(Si+Fe)≦0.6%、Fe/
    Si比が 1.5以下の関係を有する、板厚:0.18〜
    0.35mm、降伏強度:180〜400N/mm2であ
    り、圧延方向に垂直方向の引張強度と圧延方向に平行方
    向の引張強度との差が 10N/mm2 以下であるアル
    ミニウム合金板をエッチング後、その両面に、ポリエチ
    レンテレフタレート、エチレンテレフタレート繰り返し
    単位を主体とする共重合ポリエステル樹脂、ポリブチレ
    ンテレフタレート、ブチレンテレフタレート繰り返し単
    位を主体とするポリエステル樹脂、またはこれらのポリ
    エステル樹脂を少なくとも2種類ブレンドしたポリエス
    テル樹脂、または上記のポリエステル樹脂を少なくとも
    2種類積層してなる複層のポリエステル樹脂のいずれ
    か、が被覆され、再絞り加工部としごき加工部が一対に
    なったダイスを用い、再絞り及びしごきを同時に行う複
    合加工により製造される絞りしごき缶用樹脂被覆アルミ
    ニウム合金板。
  2. 【請求項2】前記Fe/Si比が1以下であることを特
    徴とする、請求項1に記載の絞りしごき缶用樹脂被覆ア
    ルミニウム合金板。
  3. 【請求項3】前記アルミニウム合金板の両面に前記樹脂
    を被覆した後、その両面に高温揮発性の潤滑剤を塗布し
    てなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の絞り
    しごき缶用樹脂被覆アルミニウム合金板。
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