JP3318196B2 - 絞りしごき缶用樹脂被覆アルミニウム合金板 - Google Patents

絞りしごき缶用樹脂被覆アルミニウム合金板

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、絞りしごき加工を
含む加工により製造される2ピース缶に用いる材料に関
する。より詳細には、水、あるいは水系潤滑剤などによ
る冷却、あるいは潤滑を行うことなく、製缶後の缶の洗
浄を必要としない、絞りしごき加工を含む加工により缶
壁厚が薄い2ピース缶を製造するのに適した、熱可塑性
樹脂を被覆した絞りしごき缶用樹脂被覆アルミニウム合
金板に関する。
【0002】
【従来の技術】缶胴部と缶底部が一体で成形される2ピ
ース缶としては、ぶりきまたはアルミニウム合金板を絞
り加工、およびしごき加工により得られるDI缶(Draw
n andIroned Can)が従来より製造されている。DI缶
はぶりきまたはアルミニウム合金板を絞り加工した後、
連続的に配置された数個のしごきダイスとポンチを用い
て、大量の水、あるいは水系潤滑剤で冷却および潤滑し
ながら缶壁厚を元板厚の1/3程度に薄肉化し、その後
脱脂洗浄、乾燥し、塗装が施される。近年、特開平6−
312223号公報に、絞りしごき加工を含む複合加工
法により、樹脂被覆金属板から2ピース缶を製造する方
法が開示されている。この方法は従来のDI缶の製造法
とは異なり、高温揮発性の潤滑剤を塗布した樹脂被覆金
属板を絞り加工した後、水、あるいは水系潤滑剤を用い
ることなく、乾式で再絞りおよびしごき加工を同時に行
う複合加工法により、缶壁厚が薄い2ピース缶を製造す
るものである。この複合加工法によれば、2ピース缶に
成形した後の缶の脱脂洗浄、乾燥、塗装工程が不要とな
り、環境を殆ど汚染することなく、2ピース缶を製造す
ることが可能である。本発明は、この複合加工法に適し
た樹脂被覆アルミニウム合金板を提供することを目的と
して検討したものである。複合加工法に適した材料に関
しては、特開平7−266496号公報に、降伏強度、
抗張力、板厚、中心線粗さなどを限定した材料が開示さ
れ、実施例にJIS 3004 H19のアルミニウム合
金の使用が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は特開平6−3
12223号公報に示されるような複合加工法に適し、
かつリサイクル性に適した樹脂被覆アルミニウム合金板
を提供することを目的とする。本発明が対象とする複合
加工法は、再絞り加工部としごき加工部が一対となった
ダイスを用い、再絞りおよびしごき加工を同時に行う加
工法である。複合加工法の一つの特徴は、再絞り加工を
行う部分のダイスの肩アールの寸法を小さくし、このダ
イス肩アール部において材料を曲げ・曲げ戻し加工し、
缶壁厚を薄肉化することにある.この複合加工において
は、加工する板厚の2〜数倍程度の小さなダイス肩ア−
ルで厳しい曲げ・曲げ戻し加工を行うため、材料表面に
肌荒れ、割れを生じ易く、加工条件によってはこのダイ
ス肩アール部で缶壁破断が生じる。また、ダイス肩アー
ル部で破断を生じない場合においても、肌荒れ、表面割
れは、被覆樹脂被膜とアルミニウム合金板との密着性の
低下をもたらし、続くしごき加工において缶壁破断が極
めて生じやすくなる。本発明は、小さな肩ア−ルのダイ
ス肩アール部における曲げ・曲げ戻し加工、および続く
しごき加工を含む複合加工を乾式で行うに際して、缶壁
破断が生じ難く、かつ缶として必要な強度を有する樹脂
被覆アルミニウム合金板を導くことを課題とする。ま
た、現在市販されているアルミニウムしごき缶(以下ア
ルミニウムDI缶と記す)の缶胴材である、JIS 3
004合金、および蓋材であるJIS 5182合金の
いずれにも再生することが容易な合金組成とすることも
課題の一つとする。なお、特開平7−266496号公
報の実施例に示されるJISアルミニウム合金3004
H19は、必要とされる強度は有するものの、加工性は
本発明の目標に対しては不十分なものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の絞りしごき缶用
樹脂被覆アルミニウム合金板は、重量%でMn:≦0.
5%、Mg:0.5〜2.2%、残部がアルミニウム及び
不可避的不純物からなり、不可避的不純物としてSi:
≦0.3%、Fe:≦0.5%を含有し、Fe/Si比が
1.5以下であり、(Mg+2.5×Mn):≧1.5%の
関係を有する、板厚:0.18〜0.35mm、降伏強
度:180〜400 N/mm2であり、圧延方向に垂直
方向の引張強度と圧延方向に平行方向の引張強度との差
が 10N/mm2 以下であるアルミニウム合金板をエ
ッチング後、その両面に、ポリエチレンテレフタレー
ト、エチレンテレフタレート繰り返し単位を主体とする
共重合ポリエステル樹脂、ポリブチレンテレフタレー
ト、ブチレンテレフタレート繰り返し単位を主体とする
ポリエステル樹脂、またはこれらのポリエステル樹脂を
少なくとも2種類ブレンドしたポリエステル樹脂、また
は上記のポリエステル樹脂を少なくとも2種類積層して
なる複層のポリエステル樹脂のいずれか、が被覆され、
再絞り加工部としごき加工部が一対になったダイスを用
い、再絞り及びしごきを同時に行う複合加工により製造
されるものであることを特徴とする。請求項2の絞りし
ごき缶用樹脂被覆アルミニウム合金板は、前記Fe/S
i比が1以下であることを特徴とする。請求項3の絞り
しごき缶用樹脂被覆アルミニウム合金板は、前記アルミ
ニウム合金板の両面に前記樹脂を被覆した後、その両面
に高温揮発性の潤滑剤を塗布してなることを特徴とす
る。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明は、強度、加工性、密着性
に優れ、乾式での絞りしごき加工性に優れ、さらに缶に
成形し使用された後に蓋材、および缶胴材としてリサイ
クルするのに適した樹脂被覆アルミ合金板を提供するた
めに多岐にわたり検討を行った結果、合金組成、板厚、
降伏強度、引張強度の異方性、熱可塑性樹脂の種類など
を定めることにより、目的とする樹脂被覆アルミニウム
合金板を開発したものである。以下、本発明を実施例に
より詳細に説明する。
【0006】
【実施例】まず、本発明において樹脂被覆アルミニウム
合金板の被覆基板となるアルミニウム合金板の合金成分
などを限定する理由を以下に説明する。合金成分を検討
する際にはリサイクルを容易にするため、アルミニウム
DI缶の缶胴材の3004合金および蓋材の5182合
金の合金成分の量を考慮して、合金成分量、特にMn
量、Mg量を調整した。JIS規格において、3004
合金の組成は、Mn:1.0〜1.5 %、Mg:0.8〜
1.3%、5182合金の組成はMn:0.2〜0.5
%、Mg:4.0〜5.0%と規定されている。そこで、
Mn量については再溶解時に蒸発揮散する量が少ないた
め、5182合金の上限を越えないこと、Mg量につい
ては再溶解時に蒸発揮散するため、3004合金の上限
の 1.5倍以下であることを前提とした。このような合
金組成とすることにより、この合金組成を有する樹脂被
覆アルミニウム合金板を絞りしごき加工して得られた缶
をリサイクルする際に、Mgを添加して再溶解すれば蓋
材(5182合金)として、Mnを添加して再溶解すれ
ばアルミニウムDI缶の缶胴材(3004合金)として
再利用可能である。以上のような考えを基本とし、M
n、Mgの上限を定めるとともに、他の合金成分を定め
た。
【0007】以下に各合金成分の範囲を限定する理由に
ついて説明する。各合金成分は重量%で示す。 [Mn]Mnは安価に強度が得られる元素であり、強度を
得るためには添加することが望ましいが、前記リサイク
ル性の点から0.5 %以下とする。Mn添加量の不足に
よる強度の低下は、Mnより強化能の大であるMgを同
時に添加して補う。Mn量の下限はMgの添加量との関
係で定まるが、その関係については後述する。市販のア
ルミニウムDI缶の成形加工においては、Mn量に比例
して形成されるAl−Fe−Mn系の晶出物、特にそれ
の変態生成物であるα相がしごき加工時に潤滑作用を示
し、しごき加工性を向上させる。そのため、市販のアル
ミニウムDI缶用途においては一定量のMnが不可欠で
ある。しかし、本発明においては表面に樹脂が被覆され
たアルミニウム合金板を加工するため、Al−Fe−M
n系の晶出物の潤滑作用は不要である。むしろAl−F
e−Mn系の晶出物は、本発明が課題とする曲げ・曲げ
戻し加工性を著しく損なう。それゆえ、本発明の樹脂被
覆アルミ合金板においては、Mn量は必要な強度が得ら
れる範囲で、可能な限り少ないことが好ましい。
【0008】[Mg]Mgは、Mn以上に強度向上に効果
のある元素である。それゆえ、強度の面からは必要な元
素であるが、リサイクル性を考慮して3004合金に許
容される上限の約1.5倍である2.2%を上限とする。
一方、缶としての必要な強度、主として缶底の耐圧強度
を得るためには、Mn量との関係から0.5 %以上の添
加が不可欠である。本発明による樹脂被覆アルミニウム
合金板を前記の複合加工を用いて成形した2ピ−ス缶
は、ビ−ル、炭酸飲料、窒素ガス充填飲料など、缶内圧
が陽圧となる内容物を充填するが、缶底の耐圧強度が不
足すると缶底が座屈変形し、商品として使用に耐えなく
なる。缶底強度には、主として、板の降伏強度、板厚が
影響し、降伏強度が低い場合は板厚を厚くすることが必
要である。経済性の点からは、必要とされる上限付近の
量のMn、Mgを添加して強度を増加させて、使用する
板厚を薄くすることが好ましい。
【0009】[Mg+2.5×Mn]本発明においては、
缶底の耐圧強度を確保するために (Mg+2.5×Mn)
の量を1.5%以上、好ましくは 2%以上とする。上限
はMn量、およびMg量の上限により定まる。
【0010】[Si]SiはAl−Fe−Mn系晶出物に
相変態を生じさせ、いわゆる硬質のα相を形成する。こ
のα相はアルミニウムDI缶の製造においてはしごき加
工性を向上させるため必要とされるが、本発明にとって
は相変態前の晶出物以上に曲げ・曲げ戻し加工性を低下
させ、好ましくない。したがって、その上限を0.3 %
とする。
【0011】[Fe]FeはMnとの関係で、Al−Fe
−Mn系晶出物を形成する。Al−Fe−Mn系は、前
述のように曲げ・曲げ戻し加工性の点から本発明にとっ
て好ましくなく、その形成元素であるFeの上限を0.
5 %とする。好ましくは0.3 %以下とする。
【0012】[Fe/Si比]Fe/Si比もAl−Fe
−Mn系晶出物のα相を低いレベルとするために限定す
る。FeおよびSiが低いレベルにおいてはFe/Si
比は特に制限する必要はないが、Fe、Siの値が請求
する範囲の上限に近い領域においては、Fe/Si比を
1.5以下、望ましくは1以下にすることが好ましい。
【0013】その他の元素として、Cu、Znは特に限
定しないが、Cu、Znは以下の理由により下記の範囲
が好ましい。CuはMgとともにAl−Cu−Mg系析
出物による析出硬化を示し、高強度化の点からは有効で
あるが、多くなると加工性を低下させるため、0.3%
以下であることが好ましく、0.2%以下がより好まし
い。Zn添加は晶出物の分散を適正にする効果があり、
晶出物の弊害を軽減するため、0.01〜0.5%含有す
ることが好ましい。
【0014】次に板厚、および降伏強度を限定する理由
について説明する。板厚、および降伏強度の下限はいず
れも缶底耐圧の点から限定する。缶底の耐圧強度に関し
ては、板厚が厚い場合は降伏強度は低くても差し支えな
く、降伏強度が高い場合は板厚は薄くても差し支えな
い、という関係にある。降伏強度はアルミの合金組成、
および圧延などによる加工硬化により高めることが可能
であるが、400N/mm2 を越えると加工性が不十分
になる。しかし、降伏強度を400N/mm2とした場
合でも、板厚は0.18mm以上必要である。一方、降
伏強度を低くした場合はアルミニウム合金板の板厚を厚
くすることが必要となり、経済的でない。よって、降伏
強度の下限を180N/mm2 とする。その場合、板厚
が 0.35mmであれば、缶底の耐圧強度は十分であ
る。
【0015】アルミニウム合金板の引張強度に関して
は、圧延方向に垂直方向の引張強度と圧延方向に平行方
向の引張強度との差が10N/mm2 以下とする必要が
ある。DI缶の製造に用いられるアルミニウム合金板
は、大略、溶解−均質化処理−熱間圧延−冷間圧延−再
結晶焼鈍−二次冷間圧延の工程を経て製造される。アル
ミニウム合金板の引張強度は、主として合金組成、二次
冷間圧延率により定まり、二次圧延率に関しては高いほ
ど引っ張り強度は大きく、また直角方向と平行方向の引
張強度の差も増大する。この差分の増加は、圧延集合組
織の集積が増大するためと考えられる。また、圧延率の
増大とともに晶出物は圧延方向に延在するようになる。
一方、本発明の課題である曲げ・曲げ戻し加工性も圧延
率の増加とともに低下する。曲げ・曲げ戻し加工性の低
下が、圧延集合組織の発達、晶出物の延在のいずれの影
響が大きいか明確ではないが、前記差分が10N/mm
2 以下であれば、曲げ・曲げ戻し加工性は本願発明の目
的に適する範囲にある。
【0016】上記の本発明に用いられるアルミニウム合
金板は、電解クロム酸処理、浸漬クロム酸処理、リン酸
クロム酸処理、アルカリ溶液、酸溶液によるエッチング処
理、陽極酸化処理など公知の方法で表面処理されたアル
ミニウム合金板がより好ましい。特に、アルミニウム合
金板に電解クロム酸処理により金属クロムとクロム水和
酸化物からなる二層皮膜を形成させる場合、積層される
樹脂フィルムの加工密着性の点から、クロム水和酸化物
の量はクロムとして3〜25mg/m2 の範囲が好まし
く、7〜20mg/m2 の範囲がより好ましい。また金
属クロム量は特に限定する必要はないが、加工後の耐食
性、積層される樹脂フィルムの加工密着性の観点から1
〜100mg/m2の範囲が好ましく、3〜50mg/
m2の範囲がより好ましい。
【0017】次に、本発明においてアルミニウム合金板
の少なくとも片面に積層される熱可塑性樹脂としては、
ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリカーボネート樹脂などを主成分とした単層また
は複層の樹脂フィルム、これらの樹脂を2種以上をブレ
ンドした樹脂フィルム、あるいは共重合した樹脂フィル
ムなどを用いることができる。特に本発明の厳しい成形
加工が施される絞りしごき缶用には、ポリエチレンテレ
フタレート、エチレンテレフタレート繰り返し単位を主
体とする共重合ポリエステル樹脂、ポリブチレンテレフ
タレート、ブチレンテレフタレート繰り返し単位を主体
とするポリエステル樹脂、またはこれらのポリエステル
樹脂を少なくとも2種類ブレンドしたポリエステル樹
脂、または上記のポリエステル樹脂を少なくとも2種類
積層してなる複層のポリエステル樹脂のいずれか、さら
にポリカーボネート樹脂、またはポリカーボネート樹脂
と上記のポリエステル樹脂を少なくとも1種類ブレンド
した樹脂、さらに、ポリカーボネート樹脂と上記のポリ
エステル樹脂を少なくとも2種類積層した複層樹脂から
なり、公知の押し出し機によりフィルム成形後、縦横二
方向に延伸し、熱固定して製造される二軸配向樹脂フィ
ルムが好ましい。
【0018】積層される樹脂フィルムの厚さは5〜50
μmの範囲が好ましく、10〜30μmの範囲がより好
ましい。厚さが5μm以下の場合、連続的に高速で金属
板に積層することがむずかしい。一方、積層される樹脂
フィルムの厚さが50μm以上になると、製缶用材料に
広く使用されているエポキシ系樹脂塗料などと比較し経
済性の点からも好ましくない。
【0019】また、樹脂フィルムはアルミニウム合金板
に直接積層されてもよいし、樹脂フィルムとアルミニウ
ム合金板の間にエポキシ−フェノール樹脂のような熱硬
化性接着剤を介在させて積層されてもよい。熱硬化性接
着剤を樹脂フィルムまたはアルミニウム合金板のどちら
かの、互いと接着する片面に予め塗布しておくことによ
り、熱硬化性接着剤を介在させて樹脂フィルムをアルミ
ニウム合金板に積層することができる。
【0020】本発明の樹脂被覆アルミニウム合金板は、
上記のアルミニウム合金板に上記の熱可塑性樹脂フィル
ムを積層することによって得られる。積層は以下のよう
にして行われる。すなわち、アルミニウム合金板供給手
段から連続的に送り出されたアルミニウム合金板を、加
熱手段を用いて熱可塑性樹脂フィルムの融点以上の温度
に加熱し、その両面に、フィルム供給手段から送り出さ
れた熱可塑性樹脂フィルムを接触させ、1対のラミネー
トロールの間で重ね合わせ、挟みつけて圧着した後、直
ちに急冷する。
【0021】最後に、上記のようにして積層された熱可
塑性樹脂フィルムの上面に、高温揮発性潤滑剤を塗布す
る。高温揮発性潤滑剤は、絞りしごき加工後に200℃
程度の温度で数分の加熱を施した時に50%以上飛散す
ることが望ましく、具体的には、流動パラフィン、合成
パラフィン、天然ワックスなどの単体、またはこれらの
混合物から加工条件、加工後の加熱条件に応じ選択す
る。塗布される潤滑剤の特性としては融点が25〜80
℃、沸点が180〜400℃の範囲にあるものが本発明
の目的を果たすのに望ましい。また、塗布量は缶外面と
なる面、缶内面となる面、加工条件、加工後の加熱条件
等を考慮し、決定されるべきであるが、5〜100mg
/m2、好ましくは30〜60mg/m2の範囲が適して
いる。
【0022】以上のように、アルミニウム合金板の合金
組成、板厚、降伏強度、圧延方向と圧延方向と直角方向
の引張強度の差、熱可塑性樹脂の特性などを限定し、さ
らに積層された熱可塑性樹脂の上に高温揮発性潤滑剤を
塗布することなどにより、絞りしごき加工により缶壁厚
の薄い缶を成形するのに適した熱可塑性樹脂被覆アルミ
ニウム合金板が得られる。
【0023】(実施例)表1〜2に示す組成の合金を常
法により溶解、鋳造、面削し、550℃で均質化熱処理
を行った後、熱間圧延、さらに冷間圧延を行い種々の板
厚とした。ついで520℃で10秒加熱する連続焼鈍を
行い、その後再び冷間圧延し、 0.16mm、0.18
mm、0.25mm、0.35mm、0.40mmの板厚
とし、アルカリ溶液によるエッチング処理を施した後板
温を240℃に加熱し、その両面にポリエチレンイソフ
タレート12モル%とポレエチレンテレフタレート88
モル%からなる厚み20μmの共重合ポリエステル樹脂
二軸配向フィルムを積層し、直ちに水中に浸漬冷却し
た。乾燥した後、その両面にグラマーワックス(沸点1
15℃)を約50mg/m2 塗布し供試板とした。供試
板の評価は、前述の曲げ・曲げ戻し後の強度、複合加工
による加工性、耐圧強度、加工後の被覆樹脂フィルムと
アルミ合金板表面の密着性について行った。曲げ・曲げ
戻し後の強度は、曲げ半径 0.5mmでの曲げ・曲げ戻
し加工を施した供試板の引っ張り強度が加工前の供試板
の強度の30%以上の場合を○(良)、30%未満を×
(不良)とした。複合加工性の評価は、アルミニウム合
金板の板厚が0.25mm、0.35mm、0.40mm
の供試板について、下記に示すようにして行った。絞り
比1.6で成形した直径100mmの絞り缶を直径75
mm、缶壁厚が元板厚の80%である一次再絞り缶に加
工し、続く二次再絞り加工性を評価した。二次再絞り加
工は、再絞り比を 1.15とし、再絞りダイス肩ア−ル
0.4mmとし、しごきダイスのクリアランスを変更し
てダイス肩部、しごき加工部での加工性を加工時の缶壁
破断の発生の有無で評価し、缶壁破断が無い場合を○
(良)、缶壁破断が発生した場合を×(不良)とした。耐圧
強度は、樹脂被覆アルミニウム合金板を通常の絞り加工
により直径65mmの缶に成形し、缶底部をド−ム加工
した後内圧を付加し、缶底が座屈する圧力で良否を評価
し、座屈圧力が6.3kg/cm2以上の場合を○(良)、
6.3kg/cm2未満を×(不良)とした。密着性は、上
記と同一条件で二次再絞り加工を行った後の缶壁内面に
ついて、被覆樹脂の剥離の有無によりにより評価し剥離
無しを○(良)、剥離無しを×(不良)とした。評価結果を
表3に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】 (注) *P-H: 圧延方向に垂直方向と平行方向の引張強度の差
【0026】
【表3】供試板の特性評価結果(1)
【0026】
【発明の効果】本発明は、重量%でMn:≦0.5%、
Mg:0.5〜2.2%、不可避的不純物としてSi:≦
0.3%、Fe:≦0.5%を含有し、かつ(Mg+2.5
×Mn):≧1.5%の関係を有する、板厚:0.18〜
0.35mm、降伏強度:180〜400 N/mm2
アルミニウム合金板の両面に、熱可塑性樹脂を被覆して
なる絞りしごき缶用樹脂被覆アルミニウム合金板であ
り、前記アルミニウム合金板の圧延方向に垂直方向の引
張強度と圧延方向に平行方向の引張強度との差が10N
/mm2以下であることを特徴とし、またFe/Si比
が1.5以下、より好ましくは1以下であることを特徴
とし、さらにまた、前記熱可塑性樹脂が熱可塑性ポリエ
ステル樹脂であることを特徴とし、さらにまた、前記ア
ルミニウム合金板の両面に前記熱可塑性樹脂を被覆した
後、その両面に高温揮発性の潤滑剤を塗布してなること
を特徴としており、本発明の目的とする、小さな肩ア−
ルのダイス肩アール部における曲げ・曲げ戻し加工、お
よび続くしごき加工を含む複合加工を乾式で行うに際し
て、缶壁破断が生じ難く、缶として必要な強度を有する
絞りしごき缶を得ることが可能となる。また、特にMn
量、Mg量を調整し、Mn量については5182合金の
上限を越えないように限定し、Mg量については300
4合金の上限の 1.5倍以下に限定することにより、本
発明の合金組成を有する樹脂被覆アルミニウム合金板を
絞りしごき加工して得られた缶をリサイクルする際に、
Mgを添加して再溶解すれば蓋材(5182合金)とし
て、Mnを添加して再溶解すればアルミニウムDI缶の
缶胴材(3004合金)として再利用可能である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−261466(JP,A) 特開 平4−228551(JP,A) 特開 平7−266496(JP,A) 特開 平7−126789(JP,A) 特開 平4−268038(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 21/00 - 21/18 B21D 51/26 B32B 15/08

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%でMn:≦0.5%、Mg:0.5〜
    2.2%、残部がアルミニウム及び不可避的不純物から
    なり、不可避的不純物としてSi:≦0.3%、Fe:
    ≦0.5%を含有し、Fe/Si比が 1.5以下であ
    り、(Mg+2.5×Mn):≧1.5%の関係を有する、
    板厚:0.18〜0.35mm、降伏強度:180〜40
    0 N/mm2であり、圧延方向に垂直方向の引張強度と
    圧延方向に平行方向の引張強度との差が 10N/mm
    2 以下であるアルミニウム合金板をエッチング後、 その両面に、ポリエチレンテレフタレート、エチレンテ
    レフタレート繰り返し単位を主体とする共重合ポリエス
    テル樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ブチレンテレ
    フタレート繰り返し単位を主体とするポリエステル樹
    脂、またはこれらのポリエステル樹脂を少なくとも2種
    類ブレンドしたポリエステル樹脂、または上記のポリエ
    ステル樹脂を少なくとも2種類積層してなる複層のポリ
    エステル樹脂のいずれか、が被覆され、再絞り加工部と
    しごき加工部が一対になったダイスを用い、再絞り及び
    しごきを同時に行う複合加工により製造される絞りしご
    き缶用樹脂被覆アルミニウム合金板。
  2. 【請求項2】前記Fe/Si比が1以下であることを特
    徴とする、請求項1に記載の絞りしごき缶用樹脂被覆ア
    ルミニウム合金板。
  3. 【請求項3】前記アルミニウム合金板の両面に前記樹脂
    を被覆した後、その両面に高温揮発性の潤滑剤を塗布し
    てなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の絞り
    しごき缶用樹脂被覆アルミニウム合金板。
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