JPH08311591A - オフセット印刷版支持体用アルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

オフセット印刷版支持体用アルミニウム合金板およびその製造方法

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JPH08311591A
JPH08311591A JP7117443A JP11744395A JPH08311591A JP H08311591 A JPH08311591 A JP H08311591A JP 7117443 A JP7117443 A JP 7117443A JP 11744395 A JP11744395 A JP 11744395A JP H08311591 A JPH08311591 A JP H08311591A
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rolling
plate
aluminum alloy
alloy
cold rolling
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JP7117443A
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Hidemiki Matsumoto
英幹 松本
Keisuke Yagi
啓介 八木
Yoshiro Togami
義朗 戸上
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Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 オフセット印刷版支持体用材料として、一層
の高強度と高耐熱性を与え、取扱いが容易で耐久性に優
れ、且つ粗面化処理性に適した微細結晶粒からなるアル
ミニウム合金板を提供すること。 【構成】 Mn:0.5〜2.0重量%(以下%は何れ
も重量%を表す)、Si:0.10〜1.0%、Fe:
0.15〜1.0%、Cu:0.05〜0.10%を含
有し、残部Alおよび不可避的不純物からなるAl合金
圧延板であって、該板の圧延方向に直交する方向の平均
結晶粒径が200μm以下であり、かつ圧延方向と圧延
方向に直角の方向の引張り強度差が10%以内であるこ
とを特徴とするオフセット印刷版支持体用アルミニウム
合金板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高強度で高耐熱性を有す
るために取扱が容易で、オフセット印刷版としての印刷
耐久性に優れると同時に、機械的粗面化処理あるいは機
械的粗面化処理および電気化学的粗面化処理を施す場合
にこれらの粗面化処理に適したオフセット印刷版支持体
用アルミニウム合金板およびその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】一般にオフセット印刷においては、軽量
で表面処理性、加工性に優れたアルミニウム合金板が支
持体として用いられ、印刷版感光膜の密着性および非画
像部の保水性を良好にするため、アルミニウム合金板支
持体の表面を粗面化する処理が行われる。この粗面化方
法としては、ボールグレイニング法、ブラシグレイニン
グ法、ワイヤーグレイニング法等の機械的粗面化方法、
塩酸もしくは硝酸系の電解液中で電解エッチングを施す
電気化学的粗面化方法、またはこれら機械的粗面化方法
および電気化学的粗面化方法の両方を併用する方法が用
いられている。従って、 支持体として用いられるアル
ミニウム合金板には、この様な粗面化処理性が良好であ
ることが重視されるほか、更に、取扱の容易さ、印刷版
の寸法安定性、印刷機の版胴への固定の際の作業性が良
好であること、またバーニング処理時に軟化し過ぎない
様な耐熱性を有すること等が要求される。これらの印刷
版支持体用材料に要求されるの種々の品質特性を考慮し
て、従来より、アルミニウム合金板支持体としては、J
IS規格のA1050、A1100、A3003等が用
いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする問題点】近年、印刷の経済性
の改善の為、支持体の薄肉化、印刷耐久性の向上の要望
が強まると共に、印刷技術の進歩に伴う印刷精度の向上
の為、一層の支持体の寸法安定性も要求されるようにな
った。これらの要求に対して、従来使用されてきたA1
050或いはA1100では強度、耐熱性の点で必要な
特性を満足しない。またA3003合金等のAl−Mn
系合金板では製造工程に於いて再結晶粒の粗大化が生じ
易い。このような結晶粒の粗大化を生じると、版胴への
版の固定作業或いは印刷中に支持体の破損を生じ易くな
り、印刷版としての耐久性が劣化する。同時に、再結晶
粒の粗大化はアルミニウム合金板表面に凸凹(オレンジ
ピール)を発生させる為、均一な粗面化が困難になる。
【0004】A3003等の結晶粒を粗大化させない
為、熱間圧延後、冷間圧延のみで所定の支持体板厚まで
圧延し、その後に熱処理を施し、所要の機械的性質を得
る方法(H2X調質法)が行われている。しかし、この
様な方法では、熱処理条件の選定範囲が非常に狭くなる
為、熱処理が困難になり、機械的性質の変動が過大にな
り易く、安定した品質が得られ難いという欠点がある。
そこで本発明の目的は、アルミ合金板に一層の高強度と
高耐熱性を与えると共に、その組織を微細な再結晶粒と
する事により、取扱が容易で耐久性に優れ、且つ粗面化
処理に適したオフセット印刷版用アルミニウム合金板支
持体およびその製造方法を提供することにある。
【0005】
【問題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
の結果、取扱が容易で耐刷性に優れ、且つ粗面化処理に
適したオフセット印刷版用アルミニウム合金板支持体を
得るには、適切な合金組成により強度および耐熱性を向
上させ、且つ板の圧延方向と直交する方向の平均結晶粒
径を200μm以下にするとともに圧延方向(以下L方
向と略記する)と圧延方向に直角の方向(以下LT方向
と略記する)の引張り強度差を10%以内とすることが
必要であることを見いだした。
【0006】即ち本発明のオフセット印刷版支持体用ア
ルミニウム合金板は、Mn:0.5〜2.0%、Si:
0.1〜1.0%、Fe:0.15〜1.0%、Cu:
0.05〜0.10%を含有し、残部Al および不可避
的不純物からなるAl 合金圧延板であって、該板のLT
方向の平均結晶粒径が200μm以下であり、かつL方
向とLT方向の引張り強度差が10%以内であることを
特徴とするものである。
【0007】また本発明のアルミニウム合金板の製造方
法の一つは、Mn:0.5〜2.0%、Si:0.1〜
1.0%、Fe:0.15〜1.0%、Cu:0.05
〜0.10%を含有し、残部Al および不可避的不純物
からなるAl 合金を鋳造した後、580℃以上の温度に
3時間以上保持する均質化処理を行い、その後開始温度
400〜520℃、かつ終了温度220〜320℃で熱
間圧延を行い、引き続いて冷間圧延、中間焼鈍を施し、
さらに冷間圧延率30〜70%の最終冷間圧延を施すこ
と特徴とするものである。
【0008】さらに本発明の他のアルミニウム合金板の
製造方法は、Mn:0.5〜2.0%、Si:0.1〜
1.0%、Fe:0.15〜1.0%、Cu:0.05
〜0.10%を含有し、残部Al および不可避的不純物
からなるAl 合金を鋳造、均質化処理、熱間圧延、冷間
圧延、中間焼鈍、冷間圧延を順次施す際に、中間焼鈍を
1℃/秒以上の昇温速度で行い、かつ中間焼鈍後の最終
冷間圧延を冷間圧延率30〜70%で行うことを特徴と
するものである。
【0009】
【作用】次に本発明における合金組成の限定理由につい
て説明する。Mnは合金の強度を高めるが、0.5%未
満ではその効果が小さく、2.0%を越えるとその効果
が飽和するだけでなく、粗大金属間化合物が過剰に生成
される為、この化合物が破壊の原因となり、版胴に固定
する際或いは印刷中に版が破損し易くなる。また、これ
らの化合物の電気化学的性質はアルミニウム合金基地と
異なる為、電気化学的粗面化処理の際に金属間化合物の
部分或いはその近傍が局部的侵食を受け、均一な粗面化
処理が損なわれると共に、印刷の際に非画像部に腐食が
生じ易くなり、印刷汚れの原因となる。
【0010】Siは合金の強度を高める他、FeやMn
の固溶量を減少させる為、微細な結晶粒を得易くする。
しかしその含有量が0.05%未満ではその効果が小さ
く、また、1.0%を越えると電気化学的粗面化処理の
際に粗面化が不均一になると同時に、印刷の際の非画像
部の印刷汚れが生じ易くなる。
【0011】Feは合金の強度を高めると共に、他の合
金物元素、不純物元素と共にAl −Fe−Si、Al −
Fe−Mn−Si等の化合物を形成し、これが中間焼鈍
時の再結晶の核発生を促し、微細結晶粒の微細化を容易
にする。しかしその含有量が0.15%未満ではその効
果が小さく、1.0%を越えるとその効果が飽和するだ
けでなく、粗大化合物が過剰に生成される為、これが版
胴に固定する際に印刷版の破損或いは印刷の耐久性の低
下、印刷の際の非画像部の汚れの原因となる。また、粗
大な化合物は電気化学的粗面化処理の際に不均一な粗面
化の原因になる。
【0012】Cuは合金の強度および耐熱性を高める
が、0.05%未満ではその効果が小さく、また0.1
0%を越えると電気化学的粗面化処理の際に過剰な溶解
を起こし良好な粗面状態が得られ難くなると共に、材料
の耐食性が低下し非画像部に腐食を生じてインクが付着
しやすくなり非画像部の印刷汚れを生じ易くする。
【0013】以上の各元素の他は、基本的には不可避的
不純物として良いが、Mg,Znは更に強度を向上させ
るには有効であり、それぞれ2%以下ならば許容される
が、特に含有させる必要はない。また、Cr、Zr、V
は0.3%以下ならば本発明の効果に本質的な影響を及
ぼさないので許容して差し支えない。TiもしくはTi
とBの複合添加は鋳塊組織の微細化に有効であるが、過
剰にTiが含まれると、粗大なTi化合物の凝集物を形
成し、板表面に筋状の欠陥が生じ易くなるのでTi含有
量は0.05%以下とするのが良い。
【0014】しかし、このような組成の合金を用いて
も、製造方法が適切でなければ、板の引張強さの異方性
が強く現れ、或いは粗大再結晶粒が発生し、次の様な問
題を発生する。即ち、アルミニウム合金板のLT方向の
平均結晶粒径が200μmを越えると表面に凹凸(オレ
ンジピール)が生じる為、粗面化が不均一となり易く、
また版強度が低下して版を版胴に固定する際に破損した
り、印刷中に版切れを起こし、耐久性が劣る。また、L
方向とLT方向の引張り強度差が10%を超えると、素
板からの版取り方向によっては版胴の版の掴み部の強度
の不足するものが生じ、印刷耐久性が劣るものが発生し
品質が不安定になる。従ってアルミニウム合金素板のL
T方向の平均結晶粒径は200μm以下で、L方向とL
T方向の引張り強度差は10%以内とする必要がある。
【0015】以下にアルミニウム合金素板のLT方向の
結晶粒径を200μm以下で、かつL方向とLT方向の
引張り強度差を10%以内とする製造方法について説明
する。
【0016】第一の方法としては、上記合金を鋳造し、
その後均質化処理を580℃以上の温度で実質的な保持
時間を3時間以上で行い、引き続いて開始温度400〜
520℃、終了温度220〜320℃で熱間圧延を行
い、しかる後冷間圧延、中間焼鈍を施し、さらに冷間圧
延率30〜70%の最終冷間圧延を施すものである。
【0017】一般に支持体用アルミニウム合金板の平均
結晶粒径は中間焼鈍後の結晶粒径によって決まるが、中
間焼鈍における再結晶挙動は均質化処理後の合金元素の
固溶量および析出物の分布状態に大きく影響される。即
ち、中間焼鈍の際、合金元素の固溶量が多く再結晶進行
中に微細析出物の析出がおこる場合、或いは再結晶開始
前に既に微細な析出物が多い場合には再結晶は結晶粒界
の移動による進行が支配的になるため、再結晶核の発生
が制限され、再結晶粒は粗大粒ヘと成長し易くなる。従
って、アルミニウム合金板の再結晶粒を微細にするため
には、微細析出物の生成を抑制しなければならない。
【0018】このような合金元素の固溶と析出の挙動を
制御する方法としては、均質化処理を温度580℃以
上、実質保持時間(580℃以上になっている時間をい
い、この間一定温度である必要はない)3時間以上で行
い、引き続いて開始温度400〜520℃、終了温度2
20〜320℃で熱間圧延を行えば良い。580℃以上
の均質化処理中に、鋳造時に生成した高密度のAl −M
n系微細析出物は再固溶して減少する。均質化処理温度
が580℃未満あるいは均質化処理温度が580℃以上
であっても均質化処理の実質保持時間が3時間未満で
は、微細析出物が多数残存するため、中間焼鈍後の再結
晶粒は粗大となる。さらに上記均質化処理後400〜5
20℃の熱間圧延開始温度まで冷却される際に、再固溶
したMnは残存している化合物を成長させながら析出す
る。熱間圧延の開始温度が520℃より高い場合、Mn
固溶量が多くなり再結晶粒が粗大となる。一方、開始温
度が400℃未満では材料の変形抵抗が高すぎるため熱
間圧延性が低下し、著しく生産性を阻害する。また熱間
圧延終了温度が220〜320℃の範囲から外れるとピ
ックアップ、ストリ−ク等の表面欠陥が出易くなる為好
ましくない。微細な再結晶粒を得るためには、中間焼鈍
前のMnの固溶量を0.6%以下とすることが好まし
く、上記均質化処理条件および熱間圧延条件でこれを達
成することができる。
【0019】さらに中間焼鈍の後、冷間圧延率30〜7
0%の最終冷間圧延を施す。最終冷間圧延の圧延率が3
0%未満であるとアルミニウム合金支持体としての強度
が不足する。一方70%超えるとLT方向に対してL方
向の強度が高くなり、両者の強度差が10%を超えてし
まう。一般に、圧延板の引張強度はL方向の強度よりL
T方向の引張強度が低い。この強度差を10%以内とし
たのは、アルミニウム合金コイルより所定の寸法の印刷
版を製造するとき、この強度差が10%を越えると版胴
への取付掴み部が圧延方向に平行となるとき、掴み部が
圧延方向に直角になる場合よりも、印刷中の版切れが生
じ易くなる。即ち、印刷版の耐久性に大きな差を生じ、
印刷版の品質変動が大きくなり、安定した耐久性の品質
が得られないからである。
【0020】第二の方法としては、上記と同じ組成の合
金を鋳造、均質化処理、熱間圧延、冷間圧延、中間焼
鈍、冷間圧延を順次施す製造工程において、中間焼鈍を
1℃/秒以上の昇温速度で行うものである。中間焼鈍を
1℃/秒以上の昇温速度で行えば、析出の進行より早く
再結晶が完了する。従って、中間焼鈍前に存在する多く
の微細な析出物の量に拘りなく、多数の再結晶核の形成
により再結晶が進行し、微細析出物による結晶粒核形成
の阻止作用が現れなくなる。その結果、合金元素の固溶
量及び微細な析出物の多少に拘らず、再結晶粒は小さく
なる。なおこのように中間焼鈍を1℃/秒以上の昇温速
度で行う方法としては、一般に連続焼鈍炉(CAL)を
用いれば良い。中間焼鈍後の最終冷間圧延率は第一の方
法と同様の理由により30〜70%とする。
【0021】また、これら二つの方法を併せて行っても
アルミニウム合金板のLT方向の平均結晶粒径を200
μm以下とし、かつL方向とLT方向の引張り強度差を
10%以内とするには有効である。
【0022】
【実施例】
(実施例1)表1に示すアルミニウム合金を溶解鋳造
し、両面を面削して厚さ350mm、長さ2000mm
の鋳塊とし、これを600℃の温度で9時間均質化処理
した。これを開始温度480℃、終了温度300℃で熱
間圧延して板厚4.5mmとし、さらに板厚0.5mm
まで冷間圧延した。その後360℃の温度で2時間の中
間焼鈍を施した後、さらに冷間圧延で板厚0.3mmと
して印刷版支持体用アルミニウム合金板を得た。
【0023】
【表1】
【0024】次にこれらの印刷版支持体用アルミニウム
合金板をパミストンと水の懸濁液中で回転ナイロンブラ
シで粗面化処理した後、苛性ソーダ20%水溶液を用い
てアルミニウムの溶解量が5g/m2となるようにエッチ
ングした。流水で十分に洗った後、25%硝酸水溶液で
酸洗し、更に水洗して支持体用板を用意した。このよう
に用意した板を特開昭54−146234号公報に記載
されているように、硝酸0.5〜2.5%を含む電解液
中で電流密度20A/dm2で交流電解した。引き続き1
5%硫酸の50℃水溶液に3分間浸漬して表面を清浄化
したのち、20%の硫酸を主成分とする電解液中で浴温
30℃で3g/m2の酸化皮膜を形成した。
【0025】このようにして得たサンプルに下記の感光
組成物の乾燥時の塗布量が2.5g/m2となるよう感光
層を塗布した。 ・ナフトキノン−1、2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとピロガロール 、アセトン樹脂とのエステル化合物(米国特許第3635709号明細書に記載 されているもの) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 0.75g ・クレゾールノボラック樹脂 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2.00g ・オイルブルー #603(オリエント化学製)・・・・・・・・・・・・・・ 0.04g ・エチレンジクロライド ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16g ・2−メトキシエチルアセテート ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12g このようにして得られた感光製平版印刷版を透明陽画に
密着させて1mの距離からPSライト〔東芝メタルハラ
イドランプMU2000−2−OL型3KWの光源を有
し、富士写真フイルム(株)より発売されているもの〕
で30秒露光を行った後、珪酸ナトリウム5%水溶液に
1分間浸漬して現像し、水洗、乾燥した。
【0026】これらの印刷板について、以下の各種評価
を行った。 (評価方法) 1)引張強度 印刷版用アルミニウム合金板から圧延方向と平行(タテ
取り)および直角方向(ヨコ取り)にJIS5号試験片
を取り、引張試験による引張強さ(σB )および耐力
(σY )を求めた。 2)耐熱性 バーニングプロセッサ1300(12kWの熱源を有す
る富士写真フイルム(株)製バーニングプロセッサ)中
で板を300℃、7分間加熱し、冷却後圧延方向と平行
(タテ取り)および直角方向(ヨコ取り)にJIS5号
試験片を取り、引張試験による引張強さ(σB )および
耐力(σY )を求めた。 3)平均結晶粒径 印刷版用アルミニウム合金板よりサンプルを採取し、そ
の結晶粒界を現出させた後、画像処理装置(Luzex
−5000)によりLT方向の平均結晶粒径を求めた。
【0027】4)疲労強度 印刷版用アルミニウム合金素板から圧延方向と平行(タ
テ取り)および直角方向(ヨコ取り)に幅20mm、長
さ100mmの試験片を取り、一端を治具に固定し、他
方を上方30°の角度に曲げ、これを元の位置に戻し、
これを1回として破断までの回数を測定した。この回数
が多いほど、版胴への固定の際に破断し難く、また印刷
耐久性に優れるものである。 5)粗面の均一性 電解エッチングを行い、酸化皮膜を付与した後のサンプ
ルの表面を走査型電子顕微鏡にて観察し、ピットの均一
性を評価し、優れたもの:○、劣るもの:×として表し
た。 6)非画像部の汚れ オフセット印刷機KORにて非画像部の汚れを評価し、
優れたもの:○、劣るもの:×として表した。
【0028】以上の方法で評価した結果を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】表2から明らかなように、本発明により得
られた印刷版支持体用アルミニウム合金板は、強度、耐
熱性、粗面の均一性、非画像部の汚れ性、印刷耐久性に
おいて優れることが判る。これに対し、Si、Feの少
ないもの(No10、12)は平均結晶粒径が200μm
を超え、その為強度、粗面の均一性、耐久性が劣り、ま
た多いもの(No11、13)は粗面の均一性、非画像部
の汚れ性、耐久性に劣っていることが判る。またCuが
少ないもの(No14)は耐熱性に劣り、多いもの(No1
5)は粗面の均一性、非画像部の汚れ性に劣っているこ
とが判る。さらにMnが少ないもの(No16)は強度、
耐久性に劣り、また多いもの(No17)は粗面の均一
性、非画像部の汚れ性、耐久性に劣っていることが判
る。
【0031】(実施例2)実施例1におけるNo2の組成
の合金鋳塊を用いて、表3に示す条件以外は全て実施例
1と同様の工程で、印刷版等アルミニウム合金素板を製
造した。その後、実施例1と同様に表面処理した後、露
光、現像、乾燥まで同様に行った。これらのサンプルに
ついて、実施例1と同様の評価を行った。
【0032】
【表3】 以上の評価結果を4表に示す。
【0033】
【表4】
【0034】表4から明らかなように本発明により得ら
れた印刷版用アルミニウム合金板は、強度、耐熱性、粗
面の均一性、非画像部の汚れ性、耐久性において優れる
ことが判る。これに対し、中間焼鈍の昇温速度が1℃/
分未満で、均質化処理温度、または均質化処理時間が本
発明の範囲を外れるもの(No24、25)は、平均結晶
粒径が大きく、粗面の均一性、耐久性に劣っていること
が判る。また、冷間圧延率が30%未満のもの(No2
6)は、強度、耐久性に劣り、70%を超えるもの(No
27)は、板取り方向による強度及び耐久性の差が大き
く、圧延方向に直角方向に板取り(ヨコ取り)した場合
は耐久性が劣っている。
【0035】
【発明の効果】このように本発明による印刷版支持体用
アルミニウム合金板は高強度、高耐熱性を有しているた
め取扱が容易で耐久性に優れると同時に、さらに粗面化
処理に適したアルミニウム合金素板が得られ、オフセッ
ト印刷版用支持体として有用である効果を奏する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mn:0.5〜2.0重量%(以下%は
    何れも重量%を表す)、Si:0.10〜1.0%、F
    e:0.15〜1.0%、Cu:0.05〜0.10%
    を含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなるAl
    合金圧延板であって、該板の圧延方向に直交する方向の
    平均結晶粒径が200μm以下であり、かつ圧延方向と
    圧延方向に直角の方向の引張り強度差が10%以内であ
    ることを特徴とするオフセット印刷版支持体用アルミニ
    ウム合金板。
  2. 【請求項2】 Mn:0.5〜2.0%、Si:0.1
    0〜1.0%、Fe:0.15〜1.0%、Cu:0.
    05〜0.10%を含有し、残部Alおよび不可避的不
    純物からなるAl合金を鋳造した後、580℃以上の温
    度に3時間以上保持する均質化処理を行い、その後、開
    始温度400〜520℃、終了温度220〜320℃で
    熱間圧延を行い、しかる後冷間圧延、中間焼鈍を施し、
    さらに冷間圧延率30〜70%の最終冷間圧延を施すこ
    とを特徴とするオフセット印刷版支持体用アルミニウム
    合金板の製造方法。
  3. 【請求項3】 Mn:0.5〜2.0%、Si:0.1
    0〜1.0%、Fe:0.15〜1.0%、Cu:0.
    05〜0.10%を含有し、残部Alおよび不可避的不
    純物からなるAl合金を鋳造、均質化処理、熱間圧延、
    冷間圧延、中間焼鈍、冷間圧延を順次施す際に、中間焼
    鈍を1℃/秒以上の昇温速度で行い、かつ中間焼鈍後の
    最終冷間圧延を冷間圧延率30〜70%で行うことを特
    徴とするオフセット印刷版支持体用アルミニウム合金板
    の製造方法。
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JP (1) JPH08311591A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6387198B1 (en) 1998-03-09 2002-05-14 Nippon Light Metal Co., Ltd. Process for producing aluminum alloy substrate for lithographic printing plate
JP2011214107A (ja) * 2010-03-31 2011-10-27 Kobe Steel Ltd 缶胴用Al合金板およびその製造方法
JP2011214109A (ja) * 2010-03-31 2011-10-27 Kobe Steel Ltd 包装容器蓋用アルミニウム合金板およびその製造方法

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