JP2011213631A - エアゾール型毛髪化粧料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 新規なデキストリン脂肪酸エステルを含有する原液と噴射剤からなるエアゾール型毛髪化粧料。
【選択図】 なし
Description
(1)デキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、脂肪酸が炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上を全脂肪酸に対して50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を全脂肪酸に対して0mol%以上50mol%未満含有し、グルコース単位当たりの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステルを含有する原液と噴射剤とからなることを特徴とするエアゾール型毛髪化粧料を提供するものである。
(2)デキストリンの水酸基に、全脂肪酸誘導体に対して、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を0mol%以上50mol%未満含有する脂肪酸誘導体を反応させて得たデキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、グルコース単位当りの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステルを含有する原液と噴射剤とからなることを特徴とするエアゾール型毛髪化粧料を提供するものである。
(3)デキストリンの水酸基に、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を反応させ、次いで、その生成物と炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を反応させて得たデキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、全脂肪酸誘導体に対して、該炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を50mol%より多く100mol%以下、及び、該炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、該炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び該炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を0mol%以上50mol%未満反応させたものであり、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、グルコース単位当りの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステルを含有する原液と噴射剤とからなることを特徴とするエアゾール型毛髪化粧料を提供するものである。
(4)前記デキストリン脂肪酸エステルを構成する分岐飽和脂肪酸が、炭素数12〜22の分岐飽和脂肪酸から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のエアゾール型毛髪化粧料、
(5)前記デキストリン脂肪酸エステルがASTM D445測定方法による40℃おける動粘度が8mm2/sである流動パラフィンをゲル化しないことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のエアゾール型毛髪化粧料、
(6)前記デキストリン脂肪酸エステルを40質量%含有する軽質流動イソパラフィン溶液をガラス板に400μm厚のアプリケーターで成膜し、乾燥させた皮膜に、テクスチャーアナライザーを用いて100gの荷重をかけ、10秒保持後に0.5mm/秒で離したときの接触点にかかる荷重変化(最大応力値)が30〜1000gであるデキストリン脂肪酸エステルであること特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載のエアゾール型毛髪化粧料を提供するものである。
本発明のエアゾール型毛髪化粧料に使用されるデキストリン脂肪酸エステルは、デキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、脂肪酸が全脂肪酸に対して炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸を50mol%より多く含有するグルコース単位当たりの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0である新規な物質である。(以下、単に「新規なデキストリン脂肪酸エステル」ということもある。)
新規なデキストリン脂肪酸エステルのデキストリンへの脂肪酸の置換度は、グルコース単位当たり1.0〜3.0であり、好ましくは1.2〜2.8である。この置換度が1.0未満であると液状油等への溶解温度が100℃以上と高くなり、着色や特異な臭いが生じ、好ましくない。
(1)新規なデキストリン脂肪酸エステルを液状油に混合したときに、液状油がゲル化しない。
「液状油がゲル化しない」とは、ASTM D445測定方法による40℃における動粘度が8mm2/sである流動パラフィンを液状油とする場合、デキストリン脂肪酸エステルを5質量%(以下単に「%」で示す。)含有する該流動パラフィンを100℃で溶解し、24時間後25℃で粘度を測定したとき、粘度が、Yamco DIGITAL VISCOMATE粘度計VM−100A(振動式)(山一電機社製)の検出限界以下であることを意味する。なお、ゲル化する場合には、粘度が検出されることで確認できる。
「タック性」を、支持体に該デキストリン脂肪酸エステルを塗布し、もうひとつの支持体を相互に離れた状態から面接触させた後に、後退させて別離させ、後退を開始してから完全に別離するまでの接触点にかかる荷重変化(最大応力値)で表す場合、該デキストリン脂肪酸エステルを40%含有する軽質流動イソパラフィン溶液をガラス板に400μm厚のアプリケーターで成膜し、乾燥させた皮膜に、テクスチャーアナライザー、例えば、テクスチャーアナライザーTA.XTplus(Stable Micro Systems社製)を用いて、プローブとして直径12.5mm円柱状のポリアセタール樹脂(Delrin(登録商標)デュポン社製)製プローブを使用し、100gの荷重をかけ10秒保持後に0.5mm/秒で離したときの荷重変化、すなわちタック性が30〜1,000gである。
ここで、イソステアリン酸とは、分岐したステアリン酸の1種、又は2種以上の混合物を意味する。
例えば、5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)−オクタン酸は、イソブチレン2量体のオキソ反応により炭素数9の分岐アルデヒドとし、次いでこのアルデヒドのアルドール縮合により炭素数18の分岐不飽和アルデヒドとし、次いで水素添加、酸化することにより製造することができ(以下、「アルドール縮合型」と略す)、これは、例えば、日産化学工業社より市販されている。
2−ヘプチルウンデカン酸は、ノニルアルコールをガーベット反応(Guerbet反応、ゲルベ反応ともいう)により二量化し、次いで酸化することにより製造することができ、これは、例えば、三菱化学社より市販されており、分岐位置の若干異なる類似混合物として、日産化学工業株式会社より市販され、さらに出発アルコールが直鎖飽和ではない2箇所メチル分岐したタイプも同様に日産化学工業社より市販されている(以下、総じて「ガーベット反応型」と略す)。
また、メチル分岐イソステアリン酸は、例えば、オレイン酸のダイマー製造時の副産物として得られるもので、例えばJ.Amer.Oil Chem.Soc.,51,522(1974)に記載されているものや、例えば、米国エメリー社などから市販されていたものがあげられる(以下「エメリー型」と略す)。エメリー型イソステアリン酸の出発物質であるダイマー酸のさらに出発物質は、オレイン酸だけでなく、リノール酸、リノレン酸等も含まれる場合がある。本発明においては、特に、このエメリー型がより好ましい。
デキストリンイソ酪酸エステル
デキストリンエチルメチル酢酸エステル
デキストリンイソヘプタン酸エステル
デキストリン2−エチルヘキサン酸エステル
デキストリンイソノナン酸エステル
デキストリンイソデカン酸エステル
デキストリンイソパルミチン酸エステル
デキストリンイソステアリン酸エステル
デキストリンイソアラキン酸エステル
デキストリンイソヘキサコサン酸エステル
デキストリン(イソ吉草酸/イソステアリン酸)エステル
デキストリン(イソ酪酸/カプリル酸)エステル
デキストリン(2−エチルヘキサン酸/カプリル酸)エステル
デキストリン(イソアラキン酸/カプリル酸)エステル
デキストリン(イソパルミチン酸/カプリル酸)エステル
デキストリン(エチルメチル酢酸/ラウリン酸)エステル
デキストリン(2−エチルヘキサン酸/ラウリン酸)エステル
デキストリン(イソヘプタン酸/ラウリン酸/ベヘン酸)エステル
デキストリン(イソステアリン酸/ミリスチン酸)エステル
デキストリン(イソヘキサコサン酸/ミリスチン酸)エステル
デキストリン(2−エチルヘキサン酸/パルミチン酸)エステル
デキストリン(イソステアリン酸/パルミチン酸)エステル
デキストリン(イソステアリン酸/イソ吉草酸/パルミチン酸)エステル
デキストリン(イソノナン酸/パルミチン酸/カプロン酸)エステル
デキストリン(2−エチルヘキサン酸/パルミチン酸/ステアリン酸)エステル
デキストリン(イソデカン酸/パルミチン酸)エステル
デキストリン(イソパルミチン酸/ステアリン酸)エステル
デキストリン(イソステアリン酸/アラキン酸)エステル
デキストリン(2−エチルヘキサン酸/アラキン酸)エステル
デキストリン(2−エチル酪酸/ベヘン酸)エステル
デキストリン(イソノナン酸/リノール酸)エステル
デキストリン(イソパルミチン酸/アラキドン酸)エステル
デキストリン(イソパルミチン酸/カプリル酸/リノール酸)エステル
デキストリン(イソステアリン酸/ステアリン酸/オレイン酸)エステル
デキストリン(イソアラキン酸/パルミチン酸/ショールムーグリン酸)エステル
次に、本発明に用いられる新規なデキストリン脂肪酸エステルの製造方法について説明する。
製造方法としては、特に限定されず、公知の製法を採用することができるが、たとえば以下のようにして製造することができる。
その場合、全脂肪酸誘導体に対して炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を50mol%より多く100mol%以下、及び、その他の脂肪酸誘導体を全脂肪酸誘導体に対して0mol%以上50mol%未満使用する。
(1)及び(2)のいずれの場合も、まず、デキストリンを反応溶媒に分散し、必要に応じて触媒を添加する。これに、上記脂肪酸のハロゲン化物、酸無水物等を添加して反応させる。(1)の製造法の場合は、これらの酸を混合して同時に添加反応させ、(2)の製造法の場合は、まず反応性の低い分岐飽和脂肪酸誘導体を反応させた後、次いでその他の脂肪酸誘導体を添加反応させる。
本発明のエアゾール型毛髪化粧料において用いられる噴射剤は、通常のエアゾール型製剤に用いられる噴射剤であれば特に限定されるものではないが、炭化水素やハロゲン化炭化水素等を用いることができる。具体的には、プロパン、イソブタン、ノルマルブタン、イソペンタン、液化石油ガス(以下、「LPG」と略す)、ジメチルエーテル(以下、「DME」と略す)、ジクロルジフルオルメタン、トリクロルモノフルオルメタン、窒素、炭酸等が挙げられ、特に、LPG、DMEが本発明に用いられる新規なデキストリン脂肪酸エステルの溶剤としても機能し、均一で安定な系とすることができるため、これをエアゾール型毛髪化粧料として使用した場合には、毛髪に均一に噴霧することができ、自然なツヤを与える効果をより発揮でき、好ましい。本発明の噴射剤は、これらを1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
また、本発明のエアゾール型毛髪化粧料の原液は、どのような系であっても良く、乳化、非乳化、及び、単層、多層は問わず、溶剤やアルコールを連続相とする溶剤・アルコール系、油を連続相とする油性系、油中水型乳化系、油性系−水性系による二層系、水中油型乳化系等とすることができるが、使用性の観点より、溶剤・アルコール系及び油性系が好ましい。
以下に本発明に用いる新規なデキストリン脂肪酸エステルの参考製造例を示す。また、下記方法で置換度、構成脂肪酸のmol%、粘度、タック性を測定した。
参考製造例のデキストリン脂肪酸エステルのIRスペクトルを測定し、アルカリ分解後の脂肪酸量とガスクロマトグラフィーから、置換度と、構成脂肪酸のmol%を求めた。
各試料(参考製造例のデキストリン脂肪酸エステル)を5質量%含有する流動パラフィンを100℃で溶解し、室温(25℃)まで冷却する。25℃の恒温槽で24時間保温し、以下の測定機器を用いて粘度を測定した。
尚、流動パラフィンは、ASTM D445測定方法による40℃の動粘度が8mm2/sのものを使用した。
[測定機器]Yamco DIGITAL VISCOMATE MODEL VM−100A(山一電機社製)
各試料(参考製造例のデキストリン脂肪酸エステル)をIPクリーンLX(軽質流動イソパラフィン)に40%溶解した溶液を、ガラス板に400μm厚のアプリケーターで塗布し、その皮膜を室温24時間乾燥後、70℃で12時間保存後、室温25℃において、乾燥させた皮膜に、以下に示す機器および条件で荷重をかけたときの接触点にかかる荷重変化(最大応力値)をタック性として評価した。
[測定機器]テクスチャーアナライザーTA.XTplus(Stable Micro Systems社製)
[プローブ]1/2 Cyl.Delrin(ポリアセタール樹脂(POM))P/0.5)、直径12.5mm円柱状
[測定条件]Test Speed:0.5mm/sec, Applied Force:100g, Contact Time:10sec
平均グルコース重合度30のデキストリン21.41g(0.132mol)をジメチルホルムアミド71g、3−メチルピリジン62g(0.666mol)とからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソステアリン酸クロライド(エメリー型)120g(0.396mol)を30分かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質107gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸60mol%)
尚、エメリー型の出発原料はコグニス社製のEMARSOL873を用いた。本原料の脂肪酸組成は分岐飽和脂肪酸が60mol%、その他の脂肪酸が40mol%(パルミチン酸10mol%を含む)のものを用いた。(以下同様)
置換度は2.2、分岐飽和脂肪酸60mol%、その他の脂肪酸40mol%(内パルミチン酸10mol%)、粘度は0mPa・s、タック性は161gであった。
参考製造例1記載の原料・方法に準じ、
参考製造例2は、平均グルコース重合度30のデキストリン0.132molに対し、イソステアリン酸クロライド(エメリー型)を0.172mol用い、デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)エステルを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸60mol%)
置換度1.0、分岐飽和脂肪酸60mol%、その他の脂肪酸40mol%(内パルミチン酸10mol%)、粘度は0mPa・s、タック性は35gであった。
参考製造例3は、平均グルコース重合度30のデキストリン0.132molに対し、イソステアリン酸クロライド(エメリー型)を0.224mol用い、デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)エステルを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸60mol%)
置換度1.4、分岐飽和脂肪酸60mol%、その他の脂肪酸40mol%(内パルミチン酸10mol%)、粘度は0mPa・s、タック性は45gであった。
参考製造例4は平均グルコース重合度30のデキストリン0.132molに対し、イソステアリン酸クロライド(エメリー型)を0.502mol用い、デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)エステルを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸60mol%)
置換度2.6、分岐飽和脂肪酸60mol%、その他の脂肪酸40mol%(内パルミチン酸10mol%)、粘度は0mPa・s、タック性は750gであった。
イソステアリン酸クロライド(エメリー型)の代わりにイソステアリン酸クロライド(ガーベット反応型)を用いた以外は参考製造例1と同様に作成し、淡黄色の樹脂状物質80gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸100mol%)
尚、ガーベット反応型の出発原料は日産化学工業社製のファインオキソコール イソステアリン酸−Nを用いた。
置換度は1.8、イソステアリン酸100mol%、粘度は0mPa・s、タック性は173gであった。
イソステアリン酸クロライド(エメリー型)の代わりにイソステアリン酸クロライド(アルドール縮合型)を用いた以外は参考製造例1と同様に作成し、淡黄色の樹脂状物質60gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸100mol%)
尚、アルドール縮合型の出発原料は日産化学工業社製のファインオキソコール イソステアリン酸を用いた。
置換度は1.2、イソステアリン酸100mol%、粘度は0mPa・s、タック性は61gであった。
平均グルコース重合度150のデキストリン51.28gをジメチルホルムアミド150g、ピリジン60gとからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソアラキン酸クロライド132gとパルミチン酸クロライド12gの混合物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質145gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸90mol%)
置換度は1.1、イソアラキン酸85mol%、パルミチン酸15mol%、粘度は0mPa・s、タック性は45gであった。
平均グルコース重合度5のデキストリン34.19gを3−メチルピリジン215gに70℃で分散させ、イソ酪酸クロライド50g及びカプリン酸クロライド60gの混合物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をエタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質98gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸60mol%)
置換度は2.9、イソ酪酸63mol%、カプリン酸37mol%、粘度は0mPa・s、タック性は255gであった。
平均グルコース重合度100のデキストリン23.62gをジメチルホルムアミド71g、3−メチルピリジン62gとからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソパルミチン酸クロライド100gを30分間滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質90gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸100mol%)
置換度は2.0、イソパルミチン酸100mol%、粘度は0mPa・s、タック性は204gであった。
平均グルコース重合度20のデキストリン36.34gをジメチルホルムアミド120g、3−メチルピリジン62gとからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソノナン酸クロライド41g及びステアリン酸クロライド58gの混合物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質95gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸55mol%)
置換度は1.6、イソノナン酸51mol%、ステアリン酸49mol%、粘度は0mPa・s、タック性は64gであった。
平均グルコース重合度20のデキストリン54.56gをジメチルホルムアミド150g、3−メチルピリジン130gとからなる混合溶媒に70℃で分散させ、2−エチルヘキサン酸クロライド147g、次いでベヘン酸クロライド36gを計30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質95gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸90mol%)
置換度は2.3、2−エチルヘキサン酸95mol%、ベヘン酸5mol%、粘度は0mPa・s、タック性は138gであった。
平均グルコース重合度20のデキストリン22.56gをジメチルホルムアミド71g、3−メチルピリジン70gとからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソパルミチン酸クロライド110g及び無水酢酸10gの混合物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質96gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸80mol%)
置換度は2.8、イソパルミチン酸79mol%、酢酸21mol%、粘度は0mPa・s、タック性は430gであった。
平均グルコース重合度40のデキストリン19.99gをジメチルホルムアミド71g、3−メチルピリジン62gとからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソステアリン酸クロライド(エメリー型)108gとオレイン酸クロライド12gの混合物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質88gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸54mol%)
置換度は2.2、分岐飽和脂肪酸54mol%、その他の脂肪酸46mol%(内オレイン酸10mol%)、粘度は0mPa・s、タック性は350gであった。
〔新規デキストリン脂肪酸エステルの溶解性〕
毛髪に自然なツヤを与え、滑らかさと、しなやかさを付与するためには、毛髪に均一な塗布膜ができることが好ましく、そのためには本発明品若しくは本発明品の原液が均一であることが好ましい。このことを確認するために、本発明に用いられる新規なデキストリン脂肪酸エステルの溶解性について検討を行った。
表1に示す処方及び下記製造方法によりヘアグロススプレーの試験例を調製し、透明なガラス容器に充填し、該デキストリン脂肪酸エステルの溶解性を目視にて評価した。
なお「溶解性」の評価は、透明で均一に溶解したものを◎、わずかに濁りがあるものを○、濁っているものを△、分離や沈殿が見られるものを×、として評価し、結果も表1に併せて示した。
A:成分1〜5を75℃に加熱して均一に混合する。
B:40℃に冷却したAに成分6を加え、均一に混合する。
C:Bを透明な耐圧ガラス容器に充填し、さらに噴射剤7〜9を充填して評価サンプルを得た。
表2に示す処方及び下記製造方法によりヘアグロススプレーを調製し、「べたつき感のなさ」、「仕上がりの自然なツヤ」、「仕上がりの滑らかさ」と「仕上がりのしなやかさ」について評価した。
その他の官能評価項目については、以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、結果を併せて表2に示した。
A:成分1〜11を75℃に加熱して均一に混合する。
B:成分12、13を均一に混合する。
C:Bに40℃に冷却したAを添加して、均一に混合する。
D:Cをエアゾール容器に充填し、さらに成分14の噴射剤を充填してグロススプレーを得た。
化粧品評価専門パネル10名に、本発明品1〜6及び比較品1〜4のヘアグロススプレーを使用してもらい、「べたつき感のなさ」、「仕上がりの自然なツヤ」、「仕上がりの滑らかさ」と「仕上がりのしなやかさ」について、以下の評価基準に従って5段階評価してもらった。その後、全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。
<評価基準>:
[評価結果] :[評点]
非常に良好 : 5点
良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
<判定基準>:
[評点の平均点] :[判定]
4.5以上 : ◎
3.5以上4.5未満 : ○
1.5以上3.5未満 : △
1.5未満 : ×
一方、本発明に用いられる新規なデキストリン脂肪酸エステルを含有していない比較品1は、「仕上がりの自然なツヤ」に劣り、「仕上がりの滑らかさ」と「仕上がりのしなやかさ」も良好ではなかった。また、前記デキストリン分岐脂肪酸エステルの代わりに、シリコーン化合物を含有した比較品2は、「仕上がりの自然なツヤ」と「仕上がりの滑らかさ」は良好であるが、「べたつき感のなさ」に劣り、「仕上がりのしなやかさ」が良好ではなかった。そして、前記デキストリン分岐脂肪酸エステルの代わりに、N−アシルグルタミン系化合物を含有する比較品3では、「仕上がりの自然なツヤ」は良好であるが、「べたつき感のなさ」、「仕上がりの滑らかさ」と「仕上がりのしなやかさ」は良好ではなかった。更に、前記デキストリン分岐脂肪酸エステルの代わりに、ゲル化剤として用いられている分岐脂肪酸の含有量の少ないデキストリン脂肪酸を含有する比較品4では、「べたつき感のなさ」、「仕上がりの自然なツヤ」、「仕上がりの滑らかさ」と「仕上がりのしなやかさ」の何れも良好ではなかった。
<原液>
(成分) (%)
1.エチルヘキサン酸セチル 5
2.パルミチン酸オクチル 5
3.セトステアリルアルコール 1
4.水添ポリイソブテン 10
5.シクロメチコン 5
6.製造例2のデキストリンイソステアリン酸エステル 2
7.メチルパラベン 0.5
8.グリセリン 2
9.香料 0.5
10.スクワラン 0.1
11.エタノール 残量
12.ポリビニルピロリドン 1
13.加水分解コムギタンパク 0.1
<噴射剤>
14.LPG
A:成分1〜8を75℃に加熱して均一に混合する。
B:成分9〜13を均一に混合する。
C:Bに40℃に冷却したAを添加して、均一に混合し、原液とする。
D:Cの原液をエアゾール容器に充填し、原液50部に対し、成分14の噴射剤50部を充填してヘアスプレーを得た。
<原液>
(成分) (%)
1.水添ポリデセン 10
2.ミネラルオイル 20
3.ポリブテン 2
4.イソノナン酸イソトリデシル 15
5.ミリスチン酸イソプロピル 15
6.製造例1のデキストリンイソステアリン酸エステル 0.2
7.製造例3のデキストリンイソステアリン酸エステル 0.2
8.フェノキシエタノール 0.5
9.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 0.5
10.ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/
オクチルドデシル) 0.5
11.オレンジ油 1
12.1,3−ブチレングリコール 3
13.ジプロピレングリコール 3
14.エタノール 残量
<噴射剤>
15.窒素
A:成分1〜10を75℃に加熱して均一に混合する。
B:成分12〜14を均一に混合する。
C:Bに40℃に冷却したAおよび成分11を添加して、均一に混合し、原液とする。
D:Cの原液をエアゾール容器に充填し、成分15の噴射剤を0.5MPaの圧力で充填してヘアグロススプレーを得た。
<原液>
(成分) (%)
1.イソノナン酸イソノニル 1
2.トリエチルヘキサノイン 1
3.水添ロジン酸ペンタエリスリチル 0.1
4.プロピレングリコール 1
5.製造例4のデキストリンイソステアリン酸エステル 0.3
6.ウレタンポリマー(注2) 1
7.ジフェニルジメチコン 1
8.プロピレングリコール 1
9.ジブチルヒドロキシトルエン 0.5
10.(オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/
メタクリル酸ブチルアミノエチル)コポリマー 0.5
11.2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール 0.1
12.エタノール 残量
<噴射剤>
13.DME
注2:DynamX(アクゾノーベル社製)
A:成分1〜10を75℃に加熱して均一に混合する。
B:成分11および12を均一に混合する。
C:Bに40℃に冷却したAを添加して、均一に混合し、原液とする。
D:Cの原液をエアゾール容器に充填し、原液30部に対し、成分13の噴射剤を70部充填してヘアスプレーを得た。
以 上
Claims (7)
- デキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、脂肪酸が炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上を全脂肪酸に対して50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を全脂肪酸に対して0mol%以上50mol%未満含有し、グルコース単位当たりの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステルを含有する原液と噴射剤からなることを特徴とするエアゾール型毛髪化粧料。
- デキストリンの水酸基に、全脂肪酸誘導体に対して、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を0mol%以上50mol%未満含有する脂肪酸誘導体を反応させて得たデキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、グルコース単位当りの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステルを含有する原液と噴射剤からなることを特徴とするエアゾール型毛髪化粧料。
- デキストリンの水酸基に、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を反応させ、次いで、その生成物と炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上とを反応させて得たデキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、全脂肪酸誘導体に対して、該炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を50mol%より多く100mol%以下、及び、該炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、該炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び該炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を0mol%以上50mol%未満反応させたものであり、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、グルコース単位当りの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステルを含有する原液と噴射剤からなることを特徴とするエアゾール型毛髪化粧料。
- 前記デキストリン脂肪酸エステルを構成する分岐飽和脂肪酸が、炭素数12〜22の分岐飽和脂肪酸から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエアゾール型毛髪化粧料。
- 前記デキストリン脂肪酸エステルが、ASTM D445測定方法による40℃における動粘度が8mm2/sである流動パラフィンをゲル化しないことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエアゾール型毛髪化粧料。
- 前記デキストリン脂肪酸エステルを40質量%含有する軽質流動イソパラフィン溶液をガラス板に400μm厚のアプリケーターで成膜し、乾燥させた皮膜に、テクスチャーアナライザーを用いて100gの荷重をかけ、10秒保持後に0.5mm/秒で離したときの接触点にかかる荷重変化(最大応力値)が30〜1000gであるデキストリン脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のエアゾール型毛髪化粧料。
- 更に、原液に前記デキストリン脂肪酸エステルを溶解する溶媒を含有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のエアゾール型毛髪化粧料。
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