JP2011208294A - ポリエステル系繊維構造物の加工剤およびポリエステル系繊維構造物の製造方法 - Google Patents

ポリエステル系繊維構造物の加工剤およびポリエステル系繊維構造物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】被処理物に対して効率的に末端封鎖加工剤等の加工剤を吸尽させることが可能なポリエステル系繊維構造物の加工剤およびそれを用いた耐加水分解性に優れるポリエステル系繊維構造物の製造方法を提供する。
【解決手段】カルボジイミド化合物および脂肪族炭化水素系相溶化剤を、界面活性剤を用いるなどして、水または溶剤中に乳化または分散させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル系繊維構造物の加工剤、およびそれを用いた、耐加水分解性に優れるポリエステル系繊維構造物の製造方法に関するものである。
近年は環境意識の高まりから、プラスチック廃棄物が問題となり、酵素や微生物による分解が期待される生分解性プラスチックが注目されている。また、地球温暖化の観点から、二酸化炭素の大気中への排気を抑制することが重要になっており、カーボンニュートラルという概念で表されるように、天然資源から作られる材料の使用が推奨される様になってきている。上記の問題から、特に非石油原料のポリ乳酸が脚光を浴びているが、ポリ乳酸は室温や高温の水中における加水分解性が非常に高く、さらには空気中の水分によっても分解されるという性質を持っている。これはポリ乳酸繊維だけの問題ではなく、ポリエステル系繊維に共通の問題であり、末端カルボキシル基から放出されるプロトンがエステルの加水分解の自己触媒として働くために加水分解が促進される。このため、熱水の存在下、高温、高湿度条件化で分解による強度低下が著しく、使用が制限されてきた。
これを解決する方法として、末端封鎖加工剤を添加することより末端カルボキシル基濃度を低下させる方法が特許文献1や特許文献2で開示されている。しかしながら、これらの方法は紡糸前にポリマーチップに混練・添加するため、紡糸時の高温により、末端封鎖加工剤が蒸発や分解による発煙を起こし、悪臭や有毒なガスを発生するという問題点があった。また、このために末端封鎖加工剤を過剰に添加しなければならないという問題もある。さらに紡糸性が悪化し生産性も低下する恐れもある。
別の解決する方法としては、末端封鎖加工剤を溶媒を用いて溶解あるいは乳化剤にてエマルジョン化したものを被処理物に直接接触させて、被処理物の表面に末端封鎖を付加する方法が特許文献3で開示されている。しかしながら、この方法は処理物表面近傍にのみ末端封鎖加工剤が存在するため、末端封鎖加工剤の付与量が十分なものではなく、長期間の湿熱に対する耐加水分解性は不十分なものである。
長期間にわたる湿熱に対する耐加水分解性を向上させる方法としては、湿熱が直接接触する構造物の表面に高濃度で末端封鎖加工剤を付与し、かつ構造物の内部にも一定の濃度で末端封鎖加工剤を付与することが考えられている。構造物の表面近傍に高濃度で末端封鎖加工剤を付加し、かつ構造物内部にも末端封鎖加工剤を一定以上の濃度で付加する方法が特許文献4で開示されている。しかしながら、末端封鎖加工剤の被処理物への吸尽効率が低いため、使用濃度が高く、末端封鎖加工剤に係るコストが高くなるという問題がある。
特開2001-261797号公報 特開2002-30208号公報 特開2009-249450号公報 特開2009-263840号公報
本発明は、かかる従来の背景に鑑み、被処理物に対して効率的に末端封鎖加工剤等の加工剤を吸尽させることが可能なポリエステル系繊維構造物の加工剤およびそれを用いた耐加水分解性に優れるポリエステル系繊維構造物の製造方法を提供せんとするものである。
本発明は、上記目的を達成するために下記の構成を有する。
(1) カルボジイミド化合物および脂肪族炭化水素系相溶化剤を水または溶剤に乳化または分散させてなることを特徴とするポリエステル系繊維構造物の加工剤。
(2) 前記カルボジイミド化合物が下記一般式(I)で表されることを特徴とする(1)に記載のポリエステル系繊維構造物の加工剤。
一般式(I):
Figure 2011208294
一般式(I)において、
は炭素原子数1から20のアルキル基、炭素原子数5から12のシクロアルキル基、炭素原子数6から20のアリール基、アリル基または炭素原子数7から20のアラルキル基を示す。
(3) 前記カルボジイミド化合物がN,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−シクロヘキシルカルボジイミドおよびN,N′−ジイソプロピルカルボジイミドから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(2)に記載のポリエステル系繊維構造物の加工剤。
(4) 前記脂肪族炭化水素系相溶化剤が、イソパラフィン系溶剤、ノルマルパラフィン系溶剤、流動パラフィン系溶剤およびパラフィン/ナフテン混合系溶剤から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のポリエステル系繊維構造物の加工剤。
(5) (1)〜(4)のいずれかに記載の加工剤をポリエステル系繊維構造物の内部に吸尽させることを特徴とするポリエステル系繊維構造物の製造方法。
(6) (1)〜(4)のいずれかに記載の加工剤を含有する処理液をポリエステル系繊維に付与した後、乾燥処理および熱処理をすることを特徴とするポリエステル系繊維構造物の製造方法。
(7) (1)〜(4)のいずれかに記載の加工剤を含有する処理液にポリエステル系繊維を投入し、該処理液を循環させながら浴中加工することを特徴とするポリエステル系繊維構造物の製造方法。
(8) (1)〜(4)のいずれかに記載の加工剤を含有する処理液をポリエステル系繊維に付与した後、湿熱処理をすることを特徴とするポリエステル系繊維構造物の製造方法。
(9) 前記ポリエステル系繊維がポリ乳酸を主成分とするものであることを特徴とする(5)〜(8)のいずれかに記載のポリエステル系繊維構造物の製造方法。
(10) 前記ポリエステル系繊維の単繊維断面において、前記カルボジイミド化合物の濃度が、外層から内層に向けて小さくなることを特徴とする(5)〜(9)のいずれかに記載の方法で得られるポリエステル系繊維構造物。
本発明によれば、ポリエステル系繊維を含む繊維構造物に対して効率的に末端封鎖加工剤等の加工剤を繊維構造物表面および繊維構造物内部に付与することができ、高い耐加水分解性を与えることができる。
本発明によれば、カルボジイミド化合物および脂肪族炭化水素系相溶化剤を、例えばノニオン系界面活性剤またはアニオン系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤にて乳化または分散させた加工剤にてポリエステル系繊維構造物を処理することにより、効率的に繊維構造体内部に対してカルボジイミド化合物が吸尽され、該繊維構造体を構成するポリマー中のカルボキシル末端基と反応し、末端カルボキシル基濃度が低下するために耐加水分解性が付与される。
本発明においては、ポリエステル系繊維として、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステルが好ましく用いられる。
脂肪族ポリエステルとしては、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとの重縮合によって得られる重合体、脂肪族オキシカルボン酸の重合体、環状エステルを開環重合して得られる重合体などが挙げられる。さらに、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールと、脂肪族オキシカルボン酸及び/又は環状エステルとの共重合体、脂肪族オキシカルボン酸と環状エステルとの共重合体であってもよい。これらの中でも、汎用性の点でポリ乳酸が好適に用いられる。
ポリ乳酸としては、ポリ(D−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、D−乳酸とL−乳酸との共重合体、D−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、L−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、DL−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体から選ばれる重合体、あるいはこれらのブレンド体等が用いられる。中でも、汎用性の面からは、L−乳酸を主成分とするポリ乳酸が好ましく使用される。L−乳酸を主成分とするとは、脂肪族ポリエステル中、50重量%以上がL−乳酸であることを意味する。また、この脂肪族ポリエステルは紡糸時に末端封鎖加工剤が添加されることにより、末端カルボキシル基の一部が封鎖されていてもよい。
かかるポリ乳酸の製造方法としては、乳酸を原料としていったん環状二量体であるラクチドを生成せしめ、その後開環重合を行なう二段階のラクチド法と、乳酸を原料として溶媒中で直接脱水縮合を行なう一段階の直接重合法が知られている。本発明で用いられるポリ乳酸は、いずれの製法によって得られたものであってもよい。
芳香族ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどが用いられる。また、これらの芳香族ポリエステルは他の共重合成分を含んでいても良い。
本発明に用いるポリエステル系繊維は、通常のフラットヤーン以外に、仮撚り加工糸、強撚糸、タスラン加工糸、太細糸、混繊糸などのフィラメントヤーンであってもよく、ステープルファイバーやトウ、紡績糸、あるいは布帛など各種形態の繊維であってもよい。
本発明に用いるポリエステル系繊維は、ポリアミドなど他のポリマーとアロイを形成していてもよい。
本発明に用いるポリエステル系繊維には、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維などを混用することができる。複合の形態としては、混紡、交織、交編等いかなる形態でも良い。繊維構造物の形態としては、フィラメント、紡績糸、そしてそれらより得られる織物、編物、不織布、製品などの繊維構造物が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
天然繊維とは、綿、カポック、麻、亜麻、大麻、苧麻、羊毛、アルパカ、カシミヤ、モヘヤ、シルクなどが挙げられる。再生繊維とは、ビスコース、キュプラ、ポリノジック、ハイウエットモジュラスレーヨン、溶剤紡糸セルロース繊維などが挙げられる。半合成繊維とは、アセテート、ジアセテート、トリアセテートなどが挙げられる。合成繊維とは、ポリアミド、アクリル、ビニロン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、プロミックスなどが挙げられる。
本発明では、ポリエステル系繊維に他の繊維を任意の手法で混用して良いが、ポリエステル系繊維の混率が小さいと本発明の効果が小さくなるため、ポリエステル系繊維の混率は30重量%以上が好ましく、50重量%以上がさらに好ましい。
本発明においては、ポリエステル系繊維構造物を特定の加工剤で処理する。すなわち、カルボジイミド化合物および脂肪族炭化水素系相溶化剤を、例えばノニオン系界面活性剤またはアニオン系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤にて水または溶剤へ乳化または分散させた加工剤で処理することにより、カルボジイミド化合物がポリエステル系繊維構造物の内部に吸尽される。
加工剤の製造方法としては、カルボジイミド化合物と脂肪族炭化水素系相溶化剤と界面活性剤及び、必要に応じて、有機溶剤と混合し、加熱して、均一な溶融物とした後、放冷することにより、常温で液状の自己乳化型の加工剤を得ることができる。ポリエステル系繊維構造物の加工を行うに際しては、上記自己乳化型の加工剤に水を加えて、攪拌すれば、分散媒が水である加工剤の乳化物を得ることができる。
他方、有機溶剤を用いずに、例えば、カルボジイミド化合物を上述した脂肪族炭化水素系相溶化剤と界面活性剤と混合し、加熱して、均一な溶融物とした後、均一な溶融物とし、これを温水中に攪拌しながら、徐々に加えて乳化させ、放冷すれば、上記と同様に分散媒が水であるカルボジイミド化合物の乳化物を得ることができる。
本発明において、カルボジイミド化合物の乳化物を得るときに、上述のとおり必要に応じて、得られる乳化物を均一に保持したり、また、そのカルボジイミド化合物の乳化性を向上させるために、カルボジイミド化合物の吸尽率に影響しない範囲で、有機溶剤を用いることができる。この有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、アルキルナフタレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メチルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、ジオキサン等のエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル等のアルキレングリコールアルキルエーテル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、メチレンクロライド、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類を挙げることができる。これらの有機溶剤は、単独で用いてもよく、また、必要に応じて、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、高級アルコールアルキレンオキサイド付加物、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物、スチレン化フェノールアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸アルキレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪族エステルアルキレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドアルキレンオキサイド付加物等のポリオキシアルキレン型非イオン系界面活性剤や、アルキルグリコキシド、ショ糖脂肪酸エステル等の多価アルコール型非イオン系界面活性剤を挙げることができる。これらのノニオン系界面活性剤は、単独で用いてもよく、また、必要に応じて、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸等のカルボン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルポリアルキレングリコールエーテル硫酸エステル塩、スチレン化フェノールアルキレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル、硫酸化脂肪酸、硫酸化オレフィン等の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸等のホルマリン縮合物、α−オレフィンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、スルホ琥珀酸ジエステル塩等のスルホン酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩等を挙げることができる。これらのアニオン系界面活性剤は、単独で用いてもよく、また、必要に応じて、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、必要に応じて、ノニオン系界面活性剤とアニオン系界面活性剤を組み合わせても良い。
界面活性剤の添加量は、カルボジイミド化合物10重量部に対し、通常0.1〜3.5重量部、好ましくは0.1〜3重量部、更に好ましくは、0.1〜2.5重量部である。
界面活性剤が0.1重量部より少ないとカルボジイミド化合物が十分に乳化分散されず、3.5重量部より多いとカルボジイミド化合物の吸尽率が低下する恐れがある。
本発明において、乳化物を得るために乳化分散に使用する設備としては、プロペラ型攪拌機、ピストン型高圧乳化機、ホモミキサー、超音波式乳化分散機、加圧ノズル式乳化機、高速回転高せん断型攪拌分散機などが使用でき、これら2種以上の設備を組み合せて使用することもできる。
本発明の加工剤により、ポリエステル系繊維構造物を処理する方法としては、加工剤を含有する本発明の処理液にポリエステル系繊維を投入し、処理液を循環させながら浴中加工する方法が挙げられる。
被処理物であるポリエステル系繊維構造物の形態としては、布帛、糸、製品、トウ、ワタ等を例示できるが、それらに限定されるものではない。浴中加工の処理装置としては、ウインス染色機、ジッガー染色機、パドル染色機、ドラム型染色機、液流染色機、気流染色機、ビーム染色機、チーズ染色機、オーバーマイヤー等の装置が利用できるが、これらに限定されるものではない。
具体的には、カルボジイミド化合物を含有する処理液にポリエステル系繊維構造物を浸し、常圧または加圧の下、80〜130℃で加熱処理することが好ましい。その加熱処理時間は10〜120分間が好ましい。脂肪族ポリエステルの場合、90〜110℃で20〜60分間処理することがより好ましい。芳香族ポリエステルの場合、110〜130℃で20〜60分間処理することがより好ましい。このときにカルボジイミド化合物が繊維に付着し、繊維内部に吸尽・拡散する。処理時間が短い場合には、カルボジイミド化合物の繊維内部への吸尽・拡散が十分ではなく、満足できる耐加水分解性を得ることができない。また、処理時間が長すぎる場合は、処理中にポリエステルの加水分解が進行してしまう。
また、加工剤により、ポリエステル系繊維構造物を処理する方法として、加工剤を含有する処理液をポリエステル系繊維に付与した後、乾燥処理および熱処理をする方法が挙げられる。
ポリエステル系繊維構造物に、カルボジイミド化合物および脂肪族炭化水素系相溶化剤の乳化または分散液を付与する装置としては、通常のマングルが液付与装置として好適に用いられるが、繊維に均一に液を付与できる装置であれば良く、装置を限定するものではない。泡加工機や、プリント法、インクジェット、スプレー法、コーティング法等で付与しても良い。
かかる方法において処理液を付与した後、乾燥、熱処理を行う。
乾燥処理は、80〜130℃で行うことが好ましい。その乾燥時間は30秒〜5分間が好ましい。脂肪族ポリエステルの場合、90〜110℃で1〜3分間処理することがより好ましい。芳香族ポリエステルの場合、110〜130℃で1〜3分間処理することがより好ましい。
熱処理は、80〜170℃で行うことが好ましい。その熱処理時間は15秒〜8分間が好ましい。脂肪族ポリエステルの場合、90〜130℃で30秒〜5分間熱処理することがより好ましい。芳香族ポリエステルの場合、130〜170℃で30秒〜5分間熱処理することがより好ましい。熱処理時間が短い場合には、カルボジイミド化合物の繊維内部への吸尽・拡散・反応が十分ではなく、満足できる耐加水分解性を得ることができない。
乾燥、熱処理装置としては、テンター、ショートループ、シュリンクサーファー、スチーマー、シリンダー乾燥機等が利用できるが、該繊維に均一に熱を付与できる装置であればこれらに限定されるものではない。
また、加工剤により、ポリエステル系繊維構造物を処理する方法として、加工剤を含有する処理液をポリエステル系繊維に付与した後、湿熱処理をする方法が挙げられる。
湿熱処理は、80〜130℃で行うことが好ましい。その湿熱処理時間は1〜20分間が好ましい。脂肪族ポリエステルの場合、90〜110℃で3〜10分間処理することがより好ましい。芳香族ポリエステルの場合、100〜130℃で3〜10分間処理することがより好ましい。
処理時間が短い場合には、カルボジイミド化合物の繊維内部への吸尽・拡散・反応が十分ではなく、満足できる耐加水分解性を得ることができない。
また、処理時間が長すぎる場合は、処理中にポリエステルの加水分解が進行してしまう。
湿熱処理装置としては、スチーマー、オートクレーブ等が利用できるが、該繊維に均一に湿熱を付与できる装置であればこれらに限定されるものではない。
本発明の加工剤に分散染料に代表される疎水性染料を混合すると、末端封鎖処理とともに染色を行うことができる。末端封鎖処理を染色と同時に行うと染色濃度が高くなる。さらに湿熱処理工程を通る回数が減るため、ポリエステル系繊維構造物の加水分解が抑制される。
疎水性染料としては、バット染料、インジゴ染料、ナフトール染料等も用いることができる。
本発明のカルボジイミド化合物は、少なくとも1つのカルボジイミド基を有している化合物であり、例えば、次の一般式(I)で示される化合物である。
一般式(I):
Figure 2011208294
一般式(I)において、
は炭素原子数1から20のアルキル基、炭素原子数5から12のシクロアルキル基、炭素原子数6から20のアリール基、アリル基、炭素原子数7から20のアラルキル基のいずれかを示す。
具体的には、N,N´−ジ−o−トリルカルボジイミド、N,N´−ジフェニルカルボジイミド、N,N´−ジオクチルデシルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N−トリル−N´−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジ−tert.−ブチルフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−トリルカルボジイミド、p−フェニレン−ビス−ジ−o−トリルカルボジイミド、p−フェニレン−ビス−ジシクロヘキシルカルボジイミド、ヘキサメチレン−ビス−ジシクロヘキシルカルボジイミド、エチレン−ビス−ジフェニルカルボジイミド,N,N′−ベンジルカルボジイミド、N−オクタデシル−N′−フェニルカルボジイミド、N−ベンジル−N′−フェニルカルボジイミド、N−オクタデシル−N′−トリルカルボジイミド、N−フェニル−N′−トリルカルボジイミド、N−ベンジル−N′−トリルカルボジイミド、N,N′−ジ−o−エチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−エチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−o−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−o−イソブチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−イソブチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,6−ジエチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2−エチル−6−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2−イソブチル−6−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,4,6−トリメチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,4,6−トリイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,4,6−トリイソブチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジイソプロピルカルボジイミドなどが挙げられる。
さらには、これらのカルボジイミド化合物の中から1種または2種以上の化合物を任意に選択してポリエステルのカルボキシル末端を封鎖してもよい。
また、上記の中でも、工業的に入手可能なカルボジイミド化合物として、N,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド(TIC)、N,N´−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N′−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)等が挙げられ、好適に使用できる。これら化合物としては、ラインケミージャパン株式会社より「スタバクゾール」の商品名で販売されている、「スタバクゾール」I、「スタバクゾール」I LF、「スタバクゾール」P、「スタバクゾール」P−100が好適に例示される。
カルボジイミド化合物の相溶化剤としては、カルボジイミド化合物の溶解度が比較的低く、一方ポリエステル系繊維構造物との親和性に優れることから、脂肪族炭化水素系相溶化剤が用いられる。一般に用いられる線状または環状のアルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、芳香族炭化水素系溶剤はカルボジイミド化合物の溶解性が良好であるが、溶剤とカルボジイミド化合物の親和性が強く、カルボジイミド化合物のポリエステルへの移行がスムースに起こらないために、カルボジイミド化合物の吸尽率の低下の原因となる。
本発明で用いられる脂肪族炭化水素系相溶化剤としては、例えば、ノルマルパラフィン系溶剤、イソパラフィン系溶剤、流動パラフィン系溶剤、パラフィン/ナフテン混合系溶剤等が挙げられる。
さらには、これらの脂肪族炭化水素系相溶化剤の中から1種または2種類以上の相溶化剤を混合して用いてもよい。
ノルマルパラフィンとしては、日本石油化学社製の「ノルマルパラフィンSL,L,M,H」などが挙げられる。イソパラフィンとしては、エクソンモービル社製の「アイソパーG,H,L,M」、出光石油化学社製の「IPソルベント1620,2028」などが挙げられる。流動パラフィンとしては松村石油研究所製の「モレスコホワイト」、「モスコバイオレス」などが挙げられる。また、ナフテンとしては、エクソンモービル社製の「エクソールD110,D130」などが挙げられる。
上記脂肪族炭化水素系相溶化剤の添加量は、カルボジイミド化合物10重量部に対し、通常1.0〜15.0重量部、好ましくは1.5〜10.0重量部、更に好ましくは、3.0〜8.0重量部である。
本発明で用いるカルボジイミド化合物の加工剤中に含有されるべき量は対象となるポリエステル系繊維構造物の末端カルボキシル基の量にあわせて決定すればよい。
本発明においては、カルボジイミド化合物をポリエステル系繊維構造物の内部に吸尽により付与することから、吸尽された後のポリエステル系繊維の単繊維断面においては、カルボジイミド化合物は、外層から内層に向けてその濃度が小さくなった状態で存在する。
本発明により得られたポリエステル系繊維構造物は、耐加水分解性に優れ、ドレスシャツ、ブラウス、パンツ、スカート、ポロシャツ、Tシャツ、トレーニングウェア、コート、セーター、パジャマ、スクールユニフォーム、作業着、白衣、クリーンルームウェア、浴衣、肌着、裏地、芯地等として好ましく用いられる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。なお、実施例中の物性は以下のようにして測定をおこなった。
(各種物性の測定)
(1)ポリ乳酸の末端カルボキシル基濃度(当量/103kg):精秤した試料をo−クレゾール(水分5%)調整液に溶解し、この溶液にジクロロメタンを適量添加の後、0.02規定の水酸化カリウムメタノール溶液にて滴定することにより測定した。
(2)ポリエチレンテレフタレートの末端カルボキシル基濃度(当量/103kg):精秤した試料をベンジルアルコールに溶解後、クロロホルムを加えた後、0.1規定の水酸化カリウムベンジルアルコール溶液で滴定することにより測定した。
(3)ポリ乳酸の分子量:試料をクロロホルムに浸漬させ、PLA部のみを溶解させたクロロホルム溶液を測定溶液とする。これをゲルパーミテーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリスチレン換算で重量平均分子量を求めた。
(4)強度(cN/dtex):島津オートグラフAG−1Sを用い、試料長20cm、引張り速度20cm/分の条件で測定した。
(5)強度保持率(%):末端封鎖処理後の試料の強度をA、(株)東洋製作所製恒温恒湿試験機THN064PBを用い、70℃、90%RHの条件下で7日間加水分解処理した試料の強度をBとしたとき、以下の式から強度保持率を算出した。
強度保持率(%)={(加水分解処理後の強度A)/(末端封鎖処理後の強度B)}×100
本実施例で用いたポリエステル布帛について以下に説明する。
(ポリ乳酸布帛の作製)
融点166℃のL−ポリ乳酸チップを105℃に設定した真空乾燥機で12時間乾燥した。乾燥したチップを溶融紡糸機に投入し、溶融温度210℃にて溶融紡糸し紡糸温度220℃、紡糸速度4500m/分で品種100dtex−26フィラメントの未延伸糸を得た。この未延伸糸を予熱温度100℃、熱セット温度130℃にて延伸倍率1.2倍で延伸し、84dtex−26フィラメントの延伸糸を得た。得られた延伸糸でタフタを製織し、80℃で精練した後、130℃で1分間乾熱セットを行い、ポリ乳酸織物を得た。
(ポリエチレンテレフタレート布帛の作製)
公知の方法で84dtex−26フィラメントのポリエチレンテレフタレート(PET)の延伸糸を得た。得られたフィラメントでタフタを製織し、80℃、20分で精練した後、170℃で1分間乾熱セットを行い、PET織物を得た。
本実施例で使用した末端封鎖加工剤の作製方法について、以下に説明する。
(末端封鎖加工剤1の調製)
ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド15.0重量部、流動パラフィン{モレスコホワイトP−350P(松村石油)}10.0重量部、ステアリルアルコールエチレンオキサイド7モル付加物1.8重量部、ソルビタンモノステアレートエチレンオキサイド20モル付加体0.4重量部を混合し55℃まで加熱して均一に溶解し、70℃の水72.8重量部にプロペラ型攪拌機で攪拌下、徐々に加え乳化分散し放冷して、末端封鎖加工剤1を得た。
(末端封鎖加工剤2の調製)
末端封鎖加工剤1の流動パラフィンをイソパラフィン系炭化水素{アイソパーL(エクソンモービル)}に変更した以外は、同様にして、末端封鎖加工剤2を得た。
(末端封鎖加工剤3の調製)
末端封鎖加工剤1の流動パラフィンをパラフィン/ナフテン混合系炭化水素{エクソールD110(エクソンモービル)}に変更した以外は、同様にして、末端封鎖加工剤3を得た。
(末端封鎖加工剤4の調製)
末端封鎖加工剤1の流動パラフィンを脂肪族系炭化水素であるペガゾールAN45(エクソンモービル:ノルマルパラフィン、イソパラフィン、ナフテン系混合溶剤)に変更した以外は、同様にして、末端封鎖加工剤4を得た。
(末端封鎖加工剤5の調製)
末端封鎖加工剤1のビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミドをジシクロヘキシルカルボジイミドに変更した以外は、同様にして、末端封鎖加工剤5を得た。
(末端封鎖加工剤6の調製)
ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド15.0重量部、ステアリルアルコールエチレンオキサイド7モル付加物1.8重量部、ソルビタンモノステアレートエチレンオキサイド20モル付加体0.4重量部を混合し55℃まで加熱して均一に溶解し、70℃の水82.8重量部にプロペラ型攪拌機で攪拌下、徐々に加え乳化分散し放冷して、末端封鎖加工剤6を得た。
(末端封鎖加工剤7の調製)
ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド23.0重量部、2−ブチルオクタノールエチレンオキサイド5モルプロピレンオキサイド9モル付加物1.2重量部、2−ブチルオクタノールエチレンオキサイド20モルプロピレンオキサイド15モル付加物3.5重量部、ジスチレン化フェノールエチレンオキサイド10モル付加物2.3重量部を75℃下で混合し、均一化した後、冷却し、有機溶剤エチレングリコールモノイソブチルエーテル70.0重量部を添加し、上記末端封鎖加工剤を含む自己乳化型の末端封鎖加工剤7を得た。
(末端封鎖加工剤8の調製)
ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド15.0重量部、トルエン35.0重量部、ステアリルアルコールエチレンオキサイド7モル付加物3.6重量部、ソルビタンモノステアレートエチレンオキサイド20モル付加体0.8重量部を混合し55℃まで加熱して均一に溶解し、70℃の水45.6重量部にプロペラ型攪拌機で攪拌下、徐々に加え乳化分散し放冷して、末端封鎖加工剤8を得た。
(末端封鎖加工剤9の調製)
末端封鎖加工剤6のビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミドをジイソプロピルカルボジイミドに変更した以外は、同様にして、末端封鎖加工剤9を得た。
(末端封鎖加工剤10の調製)
末端封鎖加工剤7のビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミドをジシクロヘキシルカルボジイミドに変更した以外は、同様にして、末端封鎖加工剤10を得た。
(末端封鎖加工剤11の調製)
末端封鎖加工剤8のビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミドをジシクロヘキシルカルボジイミドに変更した以外は、同様にして、末端封鎖加工剤11を得た。
(末端封鎖加工剤12の調製)
カルボジイミド変性イソシアネート{カルボジライトLA−1(日清紡ケミカル)}15.0重量部、トルエン35.0重量部、流動パラフィン{モレスコホワイトP−350P(松村石油)}10.0重量部、ステアリルアルコールエチレンオキサイド7モル付加物4.5重量部、ソルビタンモノステアレートエチレンオキサイド20モル付加体1.0重量部を混合し55℃まで加熱して均一に溶解し、70℃の水34.5重量部にプロペラ型攪拌機で攪拌下、徐々に加え乳化分散し放冷して、末端封鎖加工剤12を得た。
(末端封鎖加工剤13の調製)
末端封鎖加工剤8のビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミドをカルボジイミド変性イソシアネート{カルボジライトLA−1(日清紡ケミカル)}に変更した以外は、同様にして、末端封鎖加工剤13を得た。
(実施例1)
ポリ乳酸繊維織物を、高圧染色試験機を用い、末端封鎖加工剤1を末端封鎖加工剤の固形分として2%owf使用し、浴比1:20とした処理液中に浸し、UR・MINI−COLOR(赤外線ミニカラー(テクサム技研製))を用い、110℃、30分の条件で処理液を循環させながら加工を行った。さらに、ノニオン系界面活性剤グランアップUS−20(三洋化成工業株式会社)0.5g/L、ソーダ灰1.5g/L、ハイドロサルファイト2.0g/L、浴比1:20にて、60℃、20分の条件で還元洗浄をおこなった。遠心脱水後、110℃に設定したピンテンター中にて乾燥をおこなった。乾燥後、(株)東洋製作所製恒温恒湿試験機THN064PBを用い、70℃、90%RHの条件下で7日間加水分解処理をおこない、加水分解処理前後での糸強度の変化を確認した。
(実施例2)
実施例1において、末端封鎖加工剤1を末端封鎖加工剤2に変更し、同様の処理をおこなった。
(実施例3)
実施例1において、末端封鎖加工剤1を末端封鎖加工剤3に変更し、同様の処理をおこなった。
(実施例4)
実施例1において、末端封鎖加工剤1を末端封鎖加工剤4に変更し、同様の処理をおこなった。
(実施例5)
実施例1において、末端封鎖加工剤1を末端封鎖加工剤5に変更し、同様の処理をおこなった。
(比較例1)
実施例1において、ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミドと流動パラフィンとを添加せず、同様の処理をおこなった。
(比較例2)
実施例1において、末端封鎖加工剤1を末端封鎖加工剤6に変更し、同様の処理をおこなった。
(比較例3)
実施例1において、末端封鎖加工剤1を末端封鎖加工剤7に変更し、同様の処理をおこなった。
(比較例4)
実施例1において、末端封鎖加工剤1を末端封鎖加工剤8に変更し、同様の処理をおこなった。
(比較例5)
実施例1において、末端封鎖加工剤1を末端封鎖加工剤9に変更し、同様の処理をおこなった。
(比較例6)
実施例1において、末端封鎖加工剤1を末端封鎖加工剤10に変更し、同様の処理をおこなった。
(比較例7)
実施例1において、末端封鎖加工剤1を末端封鎖加工剤11に変更し、同様の処理をおこなった。
(比較例8)
実施例1において、末端封鎖加工剤1を末端封鎖加工剤12に変更し、同様の処理をおこなった。
(比較例9)
実施例1において、末端封鎖加工剤1を末端封鎖加工剤13に変更し、同様の処理をおこなった。
実施例1から5においては、強度保持率が85%以上と良好な耐加水分解性を有しており、かつ加水分解処理後のポリ乳酸の分子量低下も抑制されている。一方で、比較例1から7においては、加水分解試験によって大幅な強度低下およびポリ乳酸の分子量低下を起こしており、カルボジイミド系末端封鎖加工剤を脂肪族炭化水素系相溶化剤に相溶させることの優位性を示す結果となった(表1)。
Figure 2011208294
また、比較例8および9に示したポリカルボジイミドは、処理後の風合いが紙のように硬く、かつ耐加水分解性に乏しい結果となった(表1)。
(実施例6)
実施例1において、処理液として、末端封鎖加工剤1に、分散染料DENAPLA BLACK GSを4.5%owf、PH調整剤、均染剤イオネットRAP−250を0.5g/L(三洋化成工業株式会社)を追加して同様の処理をおこなった。
(実施例7)
実施例2において、処理液として、末端封鎖加工剤2に、分散染料DENAPLA BLACK GSを4.5%owf、PH調整剤、均染剤イオネットRAP−250を0.5g/L(三洋化成工業株式会社)を追加して同様の処理をおこなった。
(実施例8)
実施例3において、処理液として、末端封鎖加工剤3に、分散染料DENAPLA BLACK GSを4.5%owf、PH調整剤、均染剤イオネットRAP−250を0.5g/L(三洋化成工業株式会社)を追加して同様の処理をおこなった。
(実施例9)
実施例4において、処理液として、末端封鎖加工剤4に、分散染料DENAPLA BLACK GSを4.5%owf、PH調整剤、均染剤イオネットRAP−250を0.5g/L(三洋化成工業株式会社)を追加して同様の処理をおこなった。
(実施例10)
実施例5において、処理液として、末端封鎖加工剤5に、分散染料DENAPLA BLACK GSを4.5%owf、PH調整剤、均染剤イオネットRAP−250を0.5g/L(三洋化成工業株式会社)を追加して同様の処理をおこなった。
実施例6から10においても、良好な耐加水分解性を有しており、加工後の試料においては染色ムラは確認されなかった。すなわち、染色と末端封鎖加工を同時におこなえることを示している(表2)。
Figure 2011208294
(実施例11)
ポリ乳酸布帛を以下の処理液中に浸漬させ、マングルで余分な処理液を絞った後(ピックアップ率:52%)、110℃に設定したテンターにて3分間乾燥させ、さらに130℃に設定したテンターにて3分間熱処理をした。熱処理後のポリ乳酸布帛を、ノニオン系界面活性剤グランアップUS−20(三洋化成工業株式会社)0.5g/Lを添加した60℃の湯にて10分間洗浄をおこなった。洗浄後のポリ乳酸布帛を110℃に設定したテンターにて3分間乾燥させた。
(処理液)末端封鎖加工剤1:250g/L
イソプロピルアルコール:10g/L
(実施例12)
実施例11において、熱処理工程を102℃の飽和蒸気によるスチーミングに変更し、同様の処理をおこなった。
実施例11および12においても、良好な耐加水分解性を有しており、乾熱および湿熱処理による末端封鎖にも本発明が有効であることが示された(表3)。
Figure 2011208294
(実施例13)
ポリエチレンテレフタレート織物を、高圧染色試験機を用い、末端封鎖加工剤1を末端封鎖加工剤の固形分として2%owf使用し、浴比1:20とした処理液中に浸し、UR・MINI−COLOR(赤外線ミニカラー(テクサム技研製))を用い、130℃、30分の条件で処理液を循環させながら加工を行った。さらに、ノニオン系界面活性剤グランアップUS−20(三洋化成工業株式会社)0.5g/L、ソーダ灰1.5g/L、ハイドロサルファイト2.0g/L、浴比1:20にて、80℃、20分の条件で還元洗浄をおこなった。遠心脱水後、110℃に設定したピンテンター中にて乾燥をおこなった。乾燥後の試料を、UR・MINI−COLORを用いて、130℃、40時間の条件でPET織物の加水分解処理をおこなった。
(比較例10)
実施例13において、ジシクロヘキシルカルボジイミドと流動パラフィンとを添加せず同様の処理をおこなった。
比較例10においては、加水分解処理後のPET織物は強度測定が不可能なほど劣化していたのに対して、実施例13においては、良好な耐加水分解性を有しており、PET織物に対しても本発明が有効であることが示された(表4)。
Figure 2011208294
本発明は、耐加水分解性に優れたポリエステル系繊維構造物を製造するために広く利用可能である。

Claims (10)

  1. カルボジイミド化合物および脂肪族炭化水素系相溶化剤を水または溶剤に乳化または分散させてなることを特徴とするポリエステル系繊維構造物の加工剤。
  2. 前記カルボジイミド化合物が下記一般式(I)で表されることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル系繊維構造物の加工剤。
    一般式(I):
    Figure 2011208294

    一般式(I)において、
    は炭素原子数1から20のアルキル基、炭素原子数5から12のシクロアルキル基、炭素原子数6から20のアリール基、アリル基または炭素原子数7から20のアラルキル基を示す。
  3. 前記カルボジイミド化合物がN,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−シクロヘキシルカルボジイミドおよびN,N′−ジイソプロピルカルボジイミドから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2に記載のポリエステル系繊維構造物の加工剤。
  4. 前記脂肪族炭化水素系相溶化剤が、イソパラフィン系溶剤、ノルマルパラフィン系溶剤、流動パラフィン系溶剤およびパラフィン/ナフテン混合系溶剤から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル系繊維構造物の加工剤。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の加工剤をポリエステル系繊維構造物の内部に吸尽させることを特徴とするポリエステル系繊維構造物の製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の加工剤を含有する処理液をポリエステル系繊維に付与した後、乾燥処理および熱処理をすることを特徴とするポリエステル系繊維構造物の製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の加工剤を含有する処理液にポリエステル系繊維を投入し、該処理液を循環させながら浴中加工することを特徴とするポリエステル系繊維構造物の製造方法。
  8. 請求項1〜4のいずれかに記載の加工剤を含有する処理液をポリエステル系繊維に付与した後、湿熱処理をすることを特徴とするポリエステル系繊維構造物の製造方法。
  9. 前記ポリエステル系繊維がポリ乳酸を主成分とするものであることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載のポリエステル系繊維構造物の製造方法。
  10. 前記ポリエステル系繊維の単繊維断面において、前記カルボジイミド化合物の濃度が、外層から内層に向けて小さくなることを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載の方法で得られるポリエステル系繊維構造物。
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