JP2011207687A - ベントナイト粒子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】SiO2結晶に由来するX線回折ピークは有していないが、エチレングリコール処理した状態の2八面体型スメクタイトの面指数(001)に由来するX線回折ピークは有しており、且つ電気伝導度が4.0mS/cm以下の範囲にあることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
しかしながら、ベントナイトは、一般に、石英、玉髄、オパールC、オパールCT、クリストバライト、トリジマイト等のSiO2結晶とともに産出し、特に、2八面体型粘土鉱物に緊密に複合したオパールC、オパールCTやクリストバライト等は、スメクタイトの極微細結晶と渾然一体となって分離が困難である。しかも、このような分離が困難なSiO2結晶は、環境等に対する悪影響や安全性の問題並びにスメクタイト系粘土の特性を低下させる等の不都合を及ぼすことから、その除去が求められている。
(1)前記ベントナイト中のSiO2結晶の含有量が0.1重量%未満であること、
(2)窒素吸着法により測定して、細孔径1.7nm以上で且つ11.5nm以下での細孔容積(A)と細孔径11.5nmより大で100nm以下での細孔容積(B)との比(A/B)が5.0以上の範囲にあること、
という特性を有しており、さらに、
(3)前記ベントナイト粒子はヒドロゾルの形態で存在しており、動的光散乱法により測定した中位径(D50)が10乃至70nmの範囲にあること、
或いは
(4)前記ベントナイト粒子は粉末の形態で存在しており、レーザ回折散乱法により測定した中位径(D50)が1.0乃至70μmの範囲にあること、また、
(5)前記ベントナイト粒子は、Ca型ベントナイトを原料としてイオン交換処理した後に水簸してから、機械的強粉砕することにより得られる、
という形態をとり得る。
また、上記の水分散液を乾燥して粉末とした場合、ベントナイト粒子は凝集し、レーザ回折散乱法により測定した中位径(D50)は1.0乃至70μmの範囲となる。この粉末を水に再分散させて水分散液とした場合、粒子が凝集しているため、最早、上記のような微細なヒドロゾルの形態には戻らない。従って、本発明のベントナイト粒子は、その特徴を最大限に活かすためには、湿式粉砕により得られた水分散液のまま、他の材と混合することが好ましい。
本発明のベントナイト粒子の製造原料としては、天然に産出するベントナイトを用いる。ベントナイト(その水分散液のpHが酸性を示すものは、酸性白土と呼ばれることもある)は、スメクタイト系粘土に属するものであり、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト等の2八面体型スメクタイトを主成分とする。かかるスメクタイトは、SiO4四面体シート−AlO6八面体シート−SiO4四面体シートからなる層構造を有し、これらの八面体シートのAlの一部がMgやFe(II)に、四面体シートのSiの一部がAlにと、より低原子価の異種金属で同型置換された基本層を有している。この基本層結晶格子はその置換部分に陰電荷を生じるが、これらの積層層間にはそれにつり合う量のカチオンと水が存在し、電荷的には中和されている。すなわち、スメクタイトはこのような置換金属や層間イオンの種類や量に応じたカチオン交換能を示す。このような層構造においては、Si−O−Si結合の連なるSiO4四面体シート面の有機親和性と、基本層結晶格子にある金属置換部位の極性に由来して、親油性と同時に親水性を示すという特性を有している。
SiO2: 65乃至80重量%
Al2O3: 10乃至20重量%
MgO: 1.0乃至5.0重量%
Fe2O3: 1.0乃至5.0重量%
CaO: 1.0乃至5.0重量%
Na2O: 0.1乃至2.0重量%
K2O: 0.1乃至2.0重量%
その他の金属酸化物:1.0重量%以下
強熱減量(1050℃):4.0乃至10.0重量%
この場合、粗粉砕の方法は、生の原料粘土をそのまま水性媒体中で湿式粉砕してもよいし、一旦、乾燥してから乾式粉砕してもよい。
また、水簸に際しては、例えば予めごく少量の炭酸ソーダ等を用いてのイオン交換処理により、Ca型ベントナイトをNa型の活性化ベントナイトに転換させることが好ましく、これにより、スメクタイトがコロイド分散し易くなり粗大な石英等のSiO2結晶を粒径差によって速やかに沈降分離することができる。しかし、この水簸だけでは細かい石英等のSiO2結晶は分離が不十分である。
この粉砕は、強く行うことが必要であるため、粉砕装置としてもナノ桁台までの粉砕が可能な高レベルの粉砕装置を使用し、粉砕ボールとしては、ボール径が0.5mm以下の微細なアルミナボール、ジルコニアボール等を使用できる。後述する実施例から分かるようにジルコニアボールを使用すると短時間に粒子径をナノ桁台にすることができ、SiO2結晶も完全に消失することができることから、特にジルコニアボール等の高硬度のボール(ビッカース硬度が13GPa以上)を使用することが好ましい。
また、ナノ桁台までの強粉砕が可能な高レベルの粉砕装置としては、例えばアシザワ・ファインテック社製スターミル、Willy.A.Bachofen社製ダイノーミルが市販されている。
即ち、ベントナイトを分散させた状態で湿式粉砕を行うことにより、ベントナイト粒子がほぐれ、靱やかな(しなやかな)スメクタイト粒子と一体化していた脆いSiO2結晶が単独の粒子として分散液中に現われ、微細な粉砕ボールにより、このSiO2結晶粒子が選択的に粉砕されるようになり、この結果、SiO2結晶の構造破壊が生じ、非晶質の形態に転換されるものと考えられる。一方、乾式粉砕では、SiO2結晶が消失する程度まで微粉砕することはできないし、また、粒径の大きな粉砕ボールを用いた場合にも、SiO2結晶が消失する程度まで微粉砕することができない。
上記のような湿式粉砕により、本発明のベントナイト粒子は水分散液(水懸濁液)の形態で得られる。
かかる水分散液において、このベントナイト粒子は、上記の説明から理解されるように、動的光散乱法により測定した中位径(D50)が10乃至70nmの範囲にあり、極めて微細なヒドロゾルの形態で存在している。
かかる粒子では、SiO2結晶が消失し、非晶質SiO2に転換しているため、Cu管球を用いたX線回折測定を行うと、SiO2結晶に由来するX線回折ピーク、例えば石英の2θ=26.5乃至26.7度の領域に現れる(101)面に由来するピーク、またクリストバライトの2θ=21.7乃至22.1度の領域に現れるピークは存在していない。また、アルカリ加熱処理も行われていないため、スメクタイト構造の破壊は生じていないので、スメクタイトの(001)面に由来するピークは、2θ=5.1乃至6.5度の領域にそのまま現れている。尚、X線回折測定法は、エチレングリコール処理した試料を測定した。詳細は、後述の実施例に記載する。
また、本発明のベントナイト粒子は、オパールC等の分離困難なSiO2結晶をほとんど含まずに産出したNa型ベントナイトからも、上記のような湿式粉砕によって得ることができるが、通常は、分離困難なSiO2結晶を含有して産出したCa型ベントナイトから得られる。即ち、このような分離困難なSiO2結晶は、非晶質SiO2に転換しているため、本発明のベントナイト粒子は、分離困難なSiO2結晶に相当する量の非晶質のSiO2粒子を含有しており、その含有量は、0.1重量%以上、特に5乃至35重量%の範囲にある。
試料の調製:
粉末状の試料はそのままで、分散液状の試料については、110℃で乾燥してから乳鉢で粉砕し粉末状とした試料について測定した。
X線回折装置:(株)リガク製RINT−UltimaIV
測定条件:X線=Cu−Kα線、管電圧=30kV、管電流=40mA、
発散スリット:2/3°、散乱スリット:2/3°、受光スリット=0.3mm
サンプリング幅:0.02°、走査速度:2°/min
試料の調製:
粉末状の試料はそのままで、分散液状の試料については、110℃で乾燥してから乳鉢で粉砕し粉末状とする。
110℃で2時間乾燥した試料を1.0g採取する。これに10%エチレングリコール水溶液をホールピペットで5ml加える。攪拌棒で良くかき混ぜてから60℃で12時間乾燥する。乾燥物をメノウ乳鉢ですりつぶしてできた粉末を下記の条件でX線回折測定した。モンモリロナイト(ICDD12−219)の2θ=5.1乃至6.5度の領域に現れる(001)面による回折ピークのこの半値幅を基に、シェラーの式から結晶子の大きさを求めた。但し、装置上避けられないピーク広がりを補正した。
X線回折装置:(株)リガク製RINT−UltimaIV
測定条件:X線=Cu−Kα線、管電圧=30kV、管電流=40mA、
発散スリット:2/3°、散乱スリット:2/3°、受光スリット=0.3mm
サンプリング幅:0.02°、走査速度:0.2°/min
ベントナイトに含まれるSiO2結晶含有量は、X線回折による内部標準法により、内部標準物質としてCaF2を用い被検試料に対して一定量の割合で添加し下記の条件で測定した。試料に含まれる石英および玉髄は、2θ=26.0乃至26.7度の領域に現れる(101)面(ICDD46−1045)による回折ピークの積分強度と、クリストバライト、オパールCおよびオパールCTは、2θ=21.4乃至22.1度の領域に現れる(101)面(ICDD39−1425)による回折ピークの積分強度とCaF2(ICDD35−816)の(220)面による回折ピークの積分強度との比をそれぞれ求めた。なお、石英の標準試料としては、NIST 1878aを、クリストバライトの標準試料としては、NIST 1879aをそれぞれ用いた。
X線回折装置:(株)リガク製RINT−UltimaIV
測定条件:X線=Cu−Kα線、管電圧=40kV、管電流=50mA、
発散スリット:2/3°、散乱スリット:2/3°、受光スリット=0.3mm
ステップ幅:0.01°、計数時間:10s
乾燥粉末2.0gを100mLビーカーに採取し、イオン交換水を加え2%分散液に調製する。約1時間静置し、その後加熱式マグネチックスターラーにより60℃に加温しながらスターラーの回転数400rpmで5時間撹拌する。その後、22℃まで冷却し(株)堀場製作所製電気伝導度計(DS-8F)で測定した。
Micromeritics社製Tri Star 3000を用いて測定を行った。比表面積は比圧が0.05から0.25以下の吸着枝側窒素吸着等温線からBET法で解析した。
細孔容積は窒素吸着法により測定を行い、脱離枝側窒素吸着等温線から、BJH法により細孔直径1.7〜100nmまでの細孔容積を求めた。また、1.7〜11.5nmの細孔直径における細孔容積(A)と11.5nmより大で100nm以下の細孔直径における細孔容積(B)の比(A/B)より、細孔容積比を求めた。
200mLトールビーカにイオン交換水約100mL入れ、そこへ分散液を0.1mL採取し分散させる。超音波分散機により15分間超音波分散した後、マルバーン社製ゼーターサイザーを使用し、動的散乱法により体積基準での中位径(D50)を測定した。
100mLトールビーカにイオン交換水約50mL入れ,そこへ乾燥粉末試料を1g採取し分散させる。超音波分散機により5分間超音波分散した後、マルバーン社製マスターサイザー2000を使用し、レーザ回折散乱法により体積基準での中位径(D50)を測定した。
強熱減量、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3) 、酸化ナトリウム(Na2O)の分析はJIS.M.8853:1998に準拠して測定した。また、Fe2O3、CaO、MgO、K2Oは原子吸光法を用いた。なお、測定試料は110℃乾燥物を基準とした。
新潟県産Ca型ベントナイト(水分35%)に対し炭酸ソーダ3重量部加え混錬した後、5mm径の円柱状に造粒し,この造粒物を乾燥・粉砕して活性化ベントナイトを得た。この活性化ベントナイトを水に分散させ、10%分散液に調製し、遠心分離機による水簸操作で夾雑物を取り除いた。この水簸したベントナイトのX線回折像を図1に示す。
この水簸操作を行った固形分濃度6%のベントナイト分散液350mLを粉砕容積150mLの高速回転式ビーズミル(アシザワ・ファインテック(株)社製)で、粉砕媒体として0.1mmジルコニアビーズを粉砕容積に対し85%使用し、周速度13m/s、流量0.1L/minで分散液を循環しながら粉砕した。分散液の粒度は、動的光散乱法で測定し、経時による粒度測定結果を図2に示した。粉砕前の試料の中位径は408nmであったが、2時間粉砕した分散粒子は、中位径で30nmまで粉砕されていることが確認できた。
その後、粉砕して得た分散液をテフロン製バットに入れ、110℃に設定した恒温乾燥機で約12時間乾燥し、乾燥した試料を乳鉢で粉砕し、各物性測定を行いその結果を表1に示す。図3及び4に示した粉末X線測定結果から経時でオパールCTのピーク強度は弱くなり、粉砕開始から2時間後にはオパールCTのピーク強度は確認できなくなり、石英、クリストバライトの各標準試料が0.1wt%含有するX線回折像と比較することにより明らかにピーク強度の弱いことが分かる。しかし、表1に示した様に同時に測定した粉末X線測定による面指数(001)及び(06)のピークの半値幅から求めたスメクタイトの結晶子径は、粉砕開始時点から全く変化していないことが確認できた。
外国産Ca型ベントナイトを用い、実施例1と同様の方法によりベントナイトを得た。得られたベントナイト粉末に含まれるSiO2結晶のX線回折像を図3及び4に、物性測定結果を表1に示した。
水簸精製されたベントナイトであるクニピアF(クニミネ工業株式会社製)を用い、固形分濃度3%に調製したベントナイト分散液1.8kgを容積7Lのポットミルで、粉砕媒体として0.5mmジルコニアビーズを粉砕容積に対し50%使用し、80rpmで粉砕した。得られたベントナイト粉末に含まれるSiO2結晶のX線回折像を図3及び4に、物性測定結果を表1に示した。
実施例1と同様の水簸分散液を用い、実施例1と同様の粉砕方法で、粉砕媒体に0.1mmアルミナビーズを使用して粉砕した。得られたベントナイト粉末の物性測定結果を表1に示した。
実施例1と同様のCa型ベントナイトを用い、水簸操作を行わずに実施例1と同様の方法により粉砕しベントナイトを得た。得られたベントナイト粉末に含まれるSiO2結晶のX線回折像を図3及び4に、物性測定結果を表1に示した。
新潟県産Ca型ベントナイト(水分35%)を5mm径の円柱状に造粒する。この造粒物を水に分散させ、固形分濃度を15%に調製し、遠心分離機による水簸操作で夾雑物を取り除いた。この水簸操作を行ったベントナイト分散液の固形分濃度は6%で、その固形分量に対し苛性ソーダを20重量部加え,100℃に加熱した状態で7.5時間反応した。反応後のベントナイト分散液をテフロン製バットに入れ、110℃に設定した恒温乾燥機で約12時間乾燥し、乾燥した試料を乳鉢で粉砕した。得られたベントナイト粉末に含まれるSiO2結晶のX線回折像を図3及び4に、物性測定結果を表1に示した。
Claims (6)
- SiO2結晶に由来するX線回折ピークは有していないが、エチレングリコール処理した状態の2八面体型スメクタイトの面指数(001)に由来するX線回折ピークは有しており、且つ電気伝導度が4.0mS/cm以下の範囲にあることを特徴とするベントナイト粒子。
- 前記ベントナイト中のSiO2結晶の含有量が0.1重量%未満であることを特徴とする請求項1に記載のベントナイト粒子。
- 窒素吸着法により測定して、細孔径1.7nm以上で且つ11.5nm以下での細孔容積(A)と細孔径11.5nmより大で100nm以下での細孔容積(B)との比(A/B)が5.0以上の範囲にある請求項1または2に記載のベントナイト粒子。
- 前記ベントナイト粒子はヒドロゾルの形態で存在しており、動的光散乱法により測定した中位径(D50)が10乃至70nmの範囲にある請求項1乃至3の何れかに記載のベントナイト粒子。
- 前記ベントナイト粒子は粉末の形態で存在しており、レーザ回折散乱法により測定した中位径(D50)が1.0乃至70μmの範囲にある請求項1乃至3の何れかに記載のベントナイト粒子。
- Ca型ベントナイトを原料としてイオン交換処理した後に水簸してから、機械的強粉砕することによって、請求項1乃至5の何れかに記載のベントナイト粒子を得る方法。
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JP2006282446A (ja) | ヒドロキシアパタイト被覆シリカ多孔体及びその製造方法 |
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