JP2007291572A - ピッチコントロール剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】このピッチコントロール剤は、ジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土粒子状物からなり、該スメクタイト系粘土粒子状物は、無水物換算で測定して、Na2O含量が0.3乃至1.65重量%及びNa2O/CaO比(モル比)が0.3乃至0.7の範囲となる組成を有しているとともに、RH20%での水分吸着平衡状態で測定したX線回折で2θ=8.0乃至9.5度の領域に回折ピークを有していることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
製紙工場において、ピッチはパルプ分散液中に必然的に混入する物質であり、主として木材チップ、古紙パルプ、ロジンサイズ剤等から持ち込まれ、一部は排水とともに系外に除去されるものの、除去されないものは、紙の中に抄き込まれるもの以外は、蒸解、叩解、抄紙の各工程内で蓄積され、系内を循環している。このため、各工程におけるパルプの処理設備、パルプスラリーの貯蔵チェストの壁、抄紙機上のワイヤー、プレスロール、ドライヤーロール、フェルト、カンバス等に凝集したピッチが付着し、各種のトラブルを引き起こす。
(1)前記スメクタイト系粘土粒子状物は、150℃×2時間での乾燥後において、RH50%での平衡水分吸着量が5.5±1.5%の範囲にあり、10%水性懸濁液の粘度(25℃、B型粘度計、ロータNo.3)が2000mPa・s以下であり、且つACC法膨潤度が10乃至30ml/2gの範囲にあること、
(2)レーザ回折散乱法により測定した平均粒径(D50)が15μm以下の範囲にあること、
(3)前記スメクタイト系粘土粒子状物は、ベントナイト或いはベントナイトと酸性白土との混合物であること、
が好適である。
SiO2とAl2O3との合計量:85乃至92重量%
SiO2/Al2O3(重量比):3乃至7
Na2O:0.3乃至1.65重量%(特に0.8乃至1.5重量%)
CaO:1.2乃至3.0重量%
Na2O/CaO(モル比):0.3乃至0.7
その他の酸化物(Fe2O3,MgOなど);15重量%以下
(株)リガク製蛍光X線分析装置RIF−3000で測定した。
X線回折装置((株)リガク製、MultiFlex、Cu−Kα)を使用して、以下の条件で測定した。
管電圧:40kV、管電流:30mA、発散スリット:0.15mm、散乱スリット:1°、受光スリット:0.3mm。
積分強度は、2θ=8.0〜9.5°の区間をJADE積分強度測定法により求めた。
イオン交換水100mlを入れた100mlの共栓付きメスシリンダーに、試料2gを内壁に殆ど付着しないように約10回に分けて加える。先に加えた試料が殆ど沈着したのち次の試料を加える。加え終わったら栓をして24時間静置し容器内に堆積した試料の見掛け容積を読み取り、膨潤力をACC膨潤度(単位:ml/2g)として表示する。
(株)東京計器製B型粘度計で、No3のローターを用いて測定し、10%水性懸濁液の粘性率(mPa・s)を粘度として表示した。
マルバーン社製マスターサイザー2000を用い、粉末試料を純水に分散して測定し、平均粒径(D50:μm)を求めた。
試料約1gをあらかじめ重量を測定した40×40mmの秤量瓶に入れ、150℃の電気乾燥機で2時間乾燥後デシケーター中で放冷する。次いで試料の重さを精秤し、所定濃度の硫酸水溶液で関係湿度を調整したデシケーター中に入れ、所定時間後の重量増を測定して、平衡に達したところでの増加重量%を当該関係湿度での平衡水分吸着量(%)とした。
有機溶媒抽出したピッチ(インク、ホットメルト、SBR)を水に対して200ppmになるように分散させた試験原液を調製後、200mlのビーカーに100.0g秤取り、無機系ピッチコントロール剤を0.05g(対パルプ1.3%に相当)添加し、60分マグネッチクスターラーで攪拌・分散後アドバンテック社製ミクロフィルターKGS−47を用いてNo.4Aの濾紙で吸引濾過する。
次に、その濾液の濁度をLaMotte社製濁度計2020TURBIDIMETERを用いて測定し、その濁度が低いほどピッチ吸着性能が高いと判定できる。
尚、ピッチ吸着時の水温は30℃、液のpHは5.0で行った。
スメクタイト系粘土(新潟県新発田市小戸NO地区産)の有水原土20kgを10mmφの波目型造粒板を装着したスクリュー式一軸押出成型機で成型後、全体の固形分換算でNa2CO3分が2.2%になるようにNa2CO3(和光純薬製)粉末をふりかけ、よく混合後、造粒板を5mmφに替えた押出成形機を3回通過させて十分に混練後、150℃に設定した恒温電気乾燥機(オーブン)で5時間乾燥した。
次に、乾燥上がり品を2mmφのスクリーンを装着したスピードミルで粗粉砕を行い、その後0.3mmφのスクリーンを装着した小型アトマイザーで2回粉砕してから、小型風力遠心分級機を使用して粗粉部分をカット(約30%除去)し、本発明のスメクタイト系粘土粒子状物(活性化擬ベントナイト粉末)を得た。得られた粉末の化学組成、物性、ピッチ吸着試験結果等を表1に、X線回折パターンを図1に示した。
実施例1において、Na2CO3(和光純薬製)の添加量を1.0%とした以外は略同様の方法で本発明のスメクタイト系粘土粒子状物を調製した。得られた粉末の化学組成、物性、ピッチ吸着試験結果等を表1に示した。
スメクタイト系粘土(新潟県新発田市小戸N地区産)20kgを10mmφの波目型造粒板を装着したスクリュー式一軸押出成型機で成型後、全体の固形分換算でNa2CO3分が3.2%になるようにNa2CO3(和光純薬製)粉末をふりかけ、よく混合後、造粒板を5mmφに替えた押出成型機を3回通過させて十分に混練後、150℃に設定した恒温電気乾燥機(オーブン)で5時間乾燥した。
以下、実施例1と同様にスメクタイト系粘土粒子状物(粉末試料A)を調製した。
次に、スメクタイト系粘土(新潟県新発田市小戸N地区産)を用いて、Na2CO3を添加しない以外は上記と同様にしてスメクタイト系粘土粒子状物(粉末試料B)を調製した。
次に、得られた粉末試料Aと粉末試料Bをそれぞれ1.5kgと0.5kgずつポリエチレン製袋に秤り取り、内容物全体をよく振り混ぜて混合し、更にスーパーミキサーで5分間かけて十分混合し、本発明のスメクタイト系粘土粒子状物を調製した。得られた混合粉末(A:B=75:25)の化学組成、物性、ピッチ吸着試験結果等を表1に示した。
市販土木用ベントナイト粉末(水分9.7%)を小型風力遠心分級機で粗粉部分をカット(約50%除去)し粉末試料Cを調製した。
次に、得られた粉末試料Cと前記粉末試料Bをそれぞれ1.5kgと0.5kgずつポリエチレン製袋に秤り取り、内容物全体をよく振り混ぜて混合し、更にスーパーミキサーで5分間かけて十分混合し、本発明のスメクタイト系粘土粒子状物を調製した。得られた混合粉末(C:B=75:25)の化学組成、物性、ピッチ吸着試験結果等を表1に示した。
実施例3と実施例4の中で得られた粉末試料A、粉末試料Bおよび粉末試料Cをそれぞれ比較例1、比較例2および比較例3とし、それぞれの粉末の化学組成、物性、ピッチ吸着試験結果等を表1に、粉末試料B(比較例2)と粉末試料C(比較例3)のX線回折パターンをそれぞれ図2と図3に示した。
市販タルク系ピッチコントロール剤を用いてピッチ吸着試験を行った結果について表1に示した。
スメクタイト系粘土(新潟県新発田市小戸N地区産)20kgを10mmφの波目型造粒板を装着したスクリュー式一軸押出成型機で成型後、市販粉末硫酸バンド溶液(Al2O3分:17%)を粘土の固形分100部に対して添加Al2O3分が7部になるようにふりかけ、十分混合後、造粒板を5mmφに替えた押出成型機を3回通過させて混練し、150℃に設定した電気式恒温乾燥機で5時間乾燥した。
以後、実施例1と同様にスメクタイト系粘土粉末を調製した。得られた粉末の化学組成、物性、ピッチ吸着試験結果等を表1に示した。
比較例5で調製した粉末50部に対して、市販の活性白土粉末を小型風力遠心分級機で粗粒部分をカット(約35%)し、平均粒径4.0μmに調整した微粉末50部を小型スーパーミキサーで十分混合してスメクタイト系粘土粉末を調製した。得られた粉末の化学組成、物性、ピッチ吸着試験結果等を表1に示した。
米袋60kg、ダンボール10kg、損紙10kgを用いて古紙パルプスラリーを調製した。このパルプ原液に、パルプ固形分100重量部に対して1.3重量部になるように、それぞれ実施例1、実施例3、比較例3、比較例4、比較例5、比較例6で得られた粉末を添加し、3時間攪拌後、混合液の一部をサンプリングし、ピッチ吸着試験法に記載のアドバンテック社製ミクロフィルターKGS−47を用いてNo4Aの濾紙で吸引濾過し、濾液の濁度を比較した。その結果を表2にまとめて示した。
Claims (4)
- ジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土粒子状物からなり、該スメクタイト系粘土粒状物は、無水物換算で測定して、Na2O含量が0.3乃至1.65重量%及びNa2O/CaO比(モル比)が0.3乃至0.7の範囲となる組成を有しているとともに、RH20%での水分吸着平衡状態で測定したX線回折で2θ=8.0乃至9.5度の領域に回折ピークを有していることを特徴とするピッチコントロール剤。
- 前記スメクタイト系粘土粒子状物は、150℃×2時間での乾燥後において、RH50%での平衡水分吸着量が5.5±1.5%の範囲にあり、10%水性懸濁液の粘度(25℃、B型粘度計、ロータNo.3)が2000mPa・s以下であり、且つACC法膨潤度が10乃至30ml/2gの範囲にある請求項1に記載のピッチコントロール剤。
- 前記スメクタイト系粘土粒子状物は、レーザ回折散乱法により測定した平均粒径(D50)が15μm以下の範囲にある請求項1または2に記載のピッチコントロール剤。
- 前記スメクタイト系粘土粒子状物は、ベントナイト或いはベントナイトと酸性白土との混合物である請求項1乃至3の何れかに記載のピッチコントロール剤。
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