JP2016153351A - 層状ケイ酸塩の結晶を含む粒子及びその製造方法 - Google Patents

層状ケイ酸塩の結晶を含む粒子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】安心・安全で優れた滑り摩擦特性を有する層状ケイ酸塩原料及びその製造方法を提供する。
【解決手段】チタン酸化合物は、窒素吸着によるBET一点法で測定した比表面積が10〜30m/gであり、異方性形状を有し、電子顕微鏡法で測定した長軸径Lが0.1<L≦0.9μmの範囲である粒子を個数基準で60%以上含む。このチタン酸化合物の製造方法は、比表面積が10m/g以上になるまでチタン酸アルカリ金属化合物を粉砕する工程、得られた粉砕物をアニールする工程、次いで、チタン酸アルカリ金属化合物を酸性水溶液と接触させて、チタン酸アルカリ金属化合物中のアルカリ金属カチオンの少なくとも一部をプロトンに置換する工程を備え、更に好ましくは、プロトン置換したチタン酸化合物を加熱する工程を備える。
八面体シートを、2枚の四面体シートでサンドイッチした基本構造を有し、下記一般式(1)で表される2:1型層状ケイ酸塩の結晶を含む粒子であって、
結晶(a,b)面の平均短径と平均長径の比(短径/長径)が0.3〜0.8であり、結晶c軸方向の平均厚さが10〜300nmであり、かつ、平均アスペクト比が20〜50である、薄片状結晶である、上記粒子。
MgSi10(OH) (1)
(ただし、0.50≦x/y≦1.20、6.5≦x+y≦7.5)
【選択図】なし

Description

本発明は、層状ケイ酸塩の結晶を含む粒子及びその製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、Mg及びSiを所定の比率で有する2:1型層状ケイ酸塩の薄片状結晶を含む粒子と、水熱合成法による当該粒子の製造方法に関する。
粘土鉱物等に代表される層状ケイ酸塩は、地球表層に多く存在し、これまで、陶磁器、耐火物、鋳物、土木建築、石油精製(触媒)、紙、化粧品及びプラスチックの充填剤など幅広く分野で利用されてきている。
層状ケイ酸塩の基本構造は、主にケイ素原子に4つのO2−が配位した四面体が六角網状に二次元に連続してつながった四面体シートと、アルミニウムやマグネシウムなどの原子に6つのOH又はO2−が配位した八面体が稜を共有して二次元に連続してつながった八面体シートからなる。この四面体シートと八面体シートが頂点の酸素を共有してつながり、八面体シートの両側に2枚の四面体シートが結合してサンドイッチした基本構造を有するものは2:1型層状ケイ酸塩と呼ばれる。2:1型層状ケイ酸塩の例としては、八面体シートに主にアルミニウムで置換されているパイロフィライト(AlSi10(OH))や、マグネシウムで置換されているタルク(MgSi10(OH))が挙げられる。このうち、タルクは板状結晶であって、滑石とも呼ばれ、皮膚への密着性と滑り性の両方に優れることから、このような特性をいかして化粧品原料としても利用されている。
工業用のタルクは、従来から、天然に産出するタルク原石を粉砕し、微粒子化して使用されている。しかしながら、天然タルクを原料とする従来の方法では、微粉末にするために粉砕工程が必要であり手間がかかっていた。しかも、粉砕工程によって粒子のサイズをある程度まで小さくすることはできるものの、特許文献1の段落[0004][0005]に記載のとおり、用途に応じて基準を満たすように粒子を正確に制御することは難しいという問題があった。また、従来の粉砕工程では、粉砕した天然タルクの粒子の形状を特定の形状に制御することは困難であり、粉砕によって粒子の形状が複雑なものとなり、それが滑り摩擦性の低下(平均摩擦係数の上昇)の原因となる場合があるため、用途によってさらなる改善の必要性があった。また、特許文献1の段落[0006]に記載のとおり、天然タルクの純度および不純物の性質は、産出される鉱床によって異なるため、天然タルクを原料に使用した場合、使用が禁止されているクリソタイル(石綿の一種、蛇紋石、化学組成MgSi(OH))やアモサイト(石綿の一種、角閃石、化学組成MgSi22(OH))の含有の懸念があり、安全性への特段の配慮が必要となるという問題があった。特許文献1にはこのような課題の解決のため、ケイ素/ゲルマニウム−金属ゲルを300℃〜600℃で水熱処理を行うことにより得られるケイ素/ゲルマニウム−金属鉱物(タルク組成物)が開示されていて、このものは、天然タルクに極めて類似した粒子の形態であることが記載されているが([請求項1]、段落[0001])、X線回折解析において、面(001)の回折ピーク位置が天然タルクと異なること記載され(段落[0100])、開示されたX線回折図の半値幅からは天然タルクに比べ結晶性が明らかに低いものであった([図5])。
特許文献2には、化粧直し用の粉末化粧料として、平均摩擦係数(MIU)が0.30以下のタルクを配合した化粧直し用の粉末化粧料が、肌上に均一に塗布することが可能で、化粧直し効果に優れることが記載されている(請求項1、[0007][0008])。そして、そのようなタルクは、タルクを高濃度で水に分散してスラリーと為し、このスラリーに強い機械力を与え、タルク表面の形状をなめらかに仕上げるという手法等によって製造ができること、また、市販品も存在するのでこれら市販品を入手して使用することも可能であること、が記載されている([0012])。さらに具体的には、特許文献2の製造例1において、市販のタルクを水に分散してタルクスラリーを調整し、このスラリーにディスパーを用いて強い機械力を与えることによって、所望の平均摩擦係数が得られることが開示されている。しかしながら、前述の特許文献1の段落[0008]に記載のとおり、特許文献2のような天然タルクの機械的粉砕は、無視できない粒子の粒度分布の変動をもたらすだけでなく、タルクの構造の劣化および結晶構造内における多数の欠陥の出現をもたらし、粉砕が細かいほど結晶構造が劣化するという点で問題があった。
一方、特許文献3には、合成層状フイロケイ酸マグネシウムが記載され(請求項1)、そのような材料は、粘土鉱物の酸処理により得られた活性ケイ酸或は活性アルミノケイ酸と、マグネシウムの酸化物、水酸化物又は反応条件下に前記酸化物乃至水酸化物を形成し得る化合物とを、水熱処理することによって製造できることが記載されている(請求項2)。具体的には、特許文献3の実施例1〜4において、SiOを含むスラリーと水酸化マグネシウムの水熱合成反応を、160℃で行い、冷却・乾燥後、ミルで粉砕した上で試験したことが記載され、実施例の層状フイロケイ酸マグネシウムは、比較例の低結晶性ケイ酸マグネシウムに比べて、積層不整指数、BET比表面積及びメチレンブルー脱色力が大きく、乳化性能に優れたことが開示されている。
特許第5357755号公報 特開2012−193128号公報 特開平3−51651号公報
しかしながら、特許文献3の実施例に開示された方法では、微粉末にするために粉砕工程が必要であり、天然タルクの場合と同様に手間がかかる。また、粉砕工程によって粒子のサイズをある程度まで小さくすることはできるが、前述のとおり、粒子の形状を特定の形状に制御することは困難であり、形状の複雑化によりかえって滑り摩擦性の低下(平均摩擦係数の上昇)の原因となる場合がある。また、特許文献3の実施例に開示された方法では、水熱合成反応を160℃という低い温度で行っているため、本願の実施例で詳述するとおり、粒子の滑り摩擦性は十分ではなく、化粧品原料として改善の余地がある。
また特許文献1に開示されたタルク組成物においても結晶性は十分とは言えず、滑り摩擦性の更なる向上が求められる。
発明者らは、これらの課題に着目し、滑り摩擦性に優れ、安心・安全な原料とその製造法を提供することを目的とした。
本発明者らは、水熱合成法によるケイ酸塩の薄片状結晶の合成条件を鋭意検討し、合成したas−grown(未粉砕)の粒子の結晶成長挙動と滑り摩擦特性の関係を調べたところ、驚くべきことに、ある特定の条件において特徴的な形状や結晶性を有する粒子が得られ、塗布した場合に優れた滑り摩擦特性を示し良好な摩擦感を奏することが明らかとなり、本発明を完成するに至った。
本発明の要旨は、以下の通りである。
(1) 八面体シートを、2枚の四面体シートでサンドイッチした基本構造を有し、下記一般式(1)で表される2:1型層状ケイ酸塩の結晶を含む粒子であって、結晶(a,b)面の平均短径と平均長径の比(短径/長径)が0.3〜0.8であり、結晶c軸方向の平均厚さが10〜300nmであり、かつ、平均アスペクト比が15以上である、薄片状結晶である、上記粒子。
MgSi10(OH) (1)
(ただし、0.50≦x/y≦1.20、6.5≦x+y≦7.5)
(2) 八面体シートを、2枚の四面体シートでサンドイッチした基本構造を有し、下記一般式(1)で表される2:1型層状ケイ酸塩の結晶を含む粒子であって、CuのKα線を用いた不定方位粉末X線回折測定(XRD)において、2θ=9.4°±1°に存在するピークの半値半幅が0.1°〜0.3°であり、かつ、2θ=9.4°±1°に存在するピークの強度が、2θ=60.5°±1°に存在するピークの2〜5倍である、上記粒子。
MgSi10(OH) (1)
(ただし、0.50≦x/y≦1.20、6.5≦x+y≦7.5)
(3) 八面体シートを、2枚の四面体シートでサンドイッチした基本構造を有し、下記一般式(1)で表される2:1型層状ケイ酸塩の結晶を含む粒子であって、熱重量解析(TG)において、2.0%重量減少温度が800〜900℃であり、5.0%重量減少温度が900〜930℃である、上記粒子。
MgSi10(OH) (1)
(ただし、0.50≦x/y≦1.20、6.5≦x+y≦7.5)
(4) Mg/Si比が、0.80≦x/y≦1.20であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか一項に記載の粒子。
(5) 水熱合成法により結晶成長させて得られた未粉砕粒子であることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれか一項に記載の粒子。
(6) 前記粒子の平均摩擦係数(MIU)が0.30以下であり、平均摩擦係数の変動幅(MMD)が0.003以下であることを特徴とする、(5)に記載の粒子。
(7) MgSi(OH)及びMgSi22(OH)を含まないことを特徴とする、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の粒子。
(8) 八面体シートを、2枚の四面体シートでサンドイッチした基本構造を有し、下記一般式(1)で表される2:1型層状ケイ酸塩の結晶を含む粒子の製造方法であって、少なくとも、水酸化マグネシウム及びシリカを含む原料を準備する工程、及び原料を温度500℃〜700℃に加熱して水熱合成を行う工程、を含む、前記製造方法。
MgSi10(OH) (1)
(ただし、0.50≦x/y≦1.20、6.5≦x+y≦7.5)
(9) 前記の水熱合成を行う工程において、撹拌を行わずに結晶成長を行うことを特徴とする、(8)に記載の製造方法。
(10) (1)〜(9)のいずれか1項に記載された粒子を製造する、(9)又は(10)に記載の製造方法。
本発明の粒子は、優れた滑り摩擦特性を有するとともに良好な摩擦感を示し、しかも天然タルク等に存在しうる石綿等の毒性のある成分を含まないため、安心・安全な化粧品原料等の用途に極めて有用である。また、本発明の製造方法により製造された粒子は、未粉砕の状態でも結晶性が良好であり、かつ優れた滑り摩擦特性を有するとともに良好な摩擦感を示すため、化粧品原料等の用途の粒子の製法として極めて有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
<本発明の粒子>
本発明の粒子は、八面体シートを、2枚の四面体シートでサンドイッチした基本構造を有し、下記一般式(1)で表される2:1型層状ケイ酸塩の結晶を含むことを特徴とする。
MgSi10(OH) (1)
(ただし、0.50≦x/y≦1.20、6.5≦x+y≦7.5)
本発明の粒子はタルクであってもよく、その場合の組成式は、上記一般式(1)において、x/y=0.75であるが、必ずしもこのような組成式でなくてもよい。すなわち、本発明の粒子において、上記一般式(1)のx/yは、0.50以上であればよく、好ましくは、0.70以上、より好ましくは0.80以上である。また、x/yは、1.20以下であればよく、好ましくは1.15以下、より好ましくは1.10以下である。
本発明において、結晶(a,b)面の平均短径と平均長径の比(短径/長径)は、好ましくは0.3〜0.8、より好ましくは0.4〜0.7、さらに好ましくは0.45〜0.65であり、結晶c軸方向の平均厚さは、好ましくは10〜300nm、より好ましくは10〜200nm、さらに好ましくは20〜100nmである。これらの寸法は、面方向から粒子を観察した電子顕微鏡の写真から長径及び短径を計測し、また断面方向から粒子を観察した電子顕微鏡の写真から厚さを計測することにより求めることができ、少なくとも10個程度のアトランダムな計測値をそれぞれ平均することによりこれらの平均値を求めることができる。本発明の粒子は特定の形状を有する薄片状結晶である点に特徴があり、本発明の粒子において、平均アスペクト比は、好ましくは15〜100、より好ましくは15〜50、さらに好ましくは20〜40である。本発明においてアスペクト比とは、粒子の長径を厚さで除した値であり、長径/厚さである。すなわち、粒子が球状の場合はアスペクト比が1であり、扁平な度合いが増すにつれてアスペクト比は大きくなる。本発明の粒子の平均アスペクト比の下限は15以上、好ましくは20以上、さらに好ましくは25以上であり、また上限は100以下、好ましくは50以下、さらに好ましくは40以下、最も好ましくは30以下である。本発明の粒子は、このように特定の形状を有する薄片状結晶であり、良好な滑り摩擦特性を発揮するものである。
本発明の粒子は、CuのKα線を用いた不定方位粉末X線回折測定(XRD)において、2θ=9.4°±1°に存在するピークの半値半幅(half width at half maximum,HWHM)が0.1°〜0.3°である。また、2θ=9.4°±1°に存在するピークの強度が、2θ=60.5°±1°に存在するピークの2〜5倍である。本発明の粒子は、このように特定のX線回折特性を有する結晶であるため、良好な滑り摩擦特性を発揮することができる。
本発明の粒子は、熱重量解析(TG)において、1.0%重量減少温度が800〜950℃であり、2.0%重量減少温度が800〜900℃であり、5.0%重量減少温度が900〜930℃である。本発明の粒子は、このように特定の熱特性を有する結晶であるため、良好な滑り摩擦特性を発揮するものである。
本発明の粒子は、後述するとおり、例えば、水熱合成法による結晶成長によって得ることができ、未粉砕粒子として使用することができる。
水熱合成法により結晶成長させて得られた本発明の未粉砕粒子は、後述するとおり、摩擦感テスターによって滑りやすさ及びざらつき感を測定することができ、具体的には、平均摩擦係数(MIU)及び平均摩擦係数の変動幅(MMD)として測定することができる。本発明の粒子において、平均摩擦係数(MIU)は0.30以下、好ましくは0.25以下であり、また、平均摩擦係数の変動幅(MMD)は0.003以下、好ましくは0.002以下、より好ましくは00015以下である。本発明の粒子は、このように、良好な滑り摩擦特性を発揮し、滑りやすさとざらつき感に優れるため、化粧品等の幅広い分野に応用することができる。
本発明の粒子は、使用が禁止されているクリソタイル(MgSi(OH))及びアモサイト(MgSi22(OH))を含まないことを特徴とする。例えば、水熱合成法により結晶成長させて得られた本発明の未粉砕粒子は、天然タルクが含みうるこれらの有害な化合物を一切含まないため、優れた滑り摩擦特性を有するだけでなく、安心・安全な層状ケイ酸塩原料を確実に提供することができる。
<本発明の粒子の製造方法>
本発明の粒子は、少なくとも、水酸化マグネシウム及びシリカを含む原料を準備する工程、及び原料を所定の温度に加熱して水熱合成を行う工程、を含む製造方法により製造できる。水酸化マグネシウム及びシリカをそれぞれ粉末状態のまま用いることが、操作性および経済性の点から好ましい。本発明の水熱合成には、自生圧力により発生した加圧状態を用いてもよいが、適宜、加圧装置を用いて加圧してもよく、100〜10000barの加圧条件下であればいずれも好適に用いることができる。水熱合成反応における上記温度は500℃以上、好ましくは550℃以上、より好ましくは600℃以上であり、また、1000℃以下、好ましくは900℃以下、より好ましくは800以下である。上記の下限温度以上とすることで、好ましい結晶成長条件を実現し維持できるとともに、優れた滑り摩擦特性を有する結晶を得ることができ、また、上記の上限温度以下とすることで比較的安価な設備を採用でき、かつ製造上のエネルギーコストを低減することができるので好ましい。
本発明の製造方法においては、適宜撹拌を行って結晶成長を行ってもよいが、撹拌を行わずに結晶成長を行ってもよく、撹拌を行わずに結晶成長させることが、よりアスペクト比の高い粒子が得られる点から好ましい。その他の条件については、公知の水熱合成法を適宜用いて本発明の製造方法を実施することができる。
以下、実施例 によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1
水酸化マグネシウム及びシリカを原料とし、水熱合成法により、層状ケイ酸塩MgSi10(OH) (ただし、x/y=1.04)の合成を行った。原料は、あらかじめ、水酸化マグネシウムのMgとシリカのSiが、Mg/Si=1.04となるように、調製して準備した。合成装置には、金チューブを用いた急冷型の水熱合成装置を用いた。水熱合成は、合成温度を600℃として、5日間行い、粉末状の粒子を得た。なお、この粒子は水熱合成後に粉砕を一切行わず、未粉砕粒子としてアズグロウン(as−grown)状態で後述の評価を行った(試料A)。
実施例2
原料を、あらかじめ、水酸化マグネシウムのMgとシリカのSiが、Mg/Si=0.787となるように調製して準備した以外は、実施例1と同様に水熱合成を行い、粉末状の粒子を得た(試料B)。
実施例3
水熱合成を1日間行った以外は、実施例1と同様に水熱合成を行い、粉末状の粒子を得た(試料C)。
実施例4
水熱合成の合成温度を500℃とした以外は、実施例1と同様に水熱合成を行い、粉末状の粒子を得た(試料D)。
比較例1
水熱合成の合成温度を400℃として、7日間の水熱合成を行った以外は、実施例1と同様に水熱合成を行い、粉末状の粒子を得た(試料E)。
比較例2
水熱合成の合成温度を300℃として、7日間の水熱合成を行った以外は、実施例1と同様に水熱合成を行い、粉末状の粒子を得た(試料F)。
比較例3
水熱合成の合成温度を280℃として、18日間の水熱合成を行った以外は、実施例1と同様に水熱合成を行い、粉末状の粒子を得た(試料G)。
比較例4
乾式粉砕品である市販のタルク(SWA)を粉末状の粒子として用いた(試料H)
比較例5
湿式粉砕品である市販のタルク(EX−15)を粉末状の粒子として用いた(試料I)
<評価>
(粒子形状)
試料A〜Jの粒子の形状を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、粒子の平均短径、平均長径及び平均厚さを、SEM写真から計測した各10個の計測値の平均値として求めた。また、これらの粒子の平均長径を平均厚さで除することによって平均アスペクト比を求めた。これらの結果を表1に示す。
(粉末X線回折測定:XRD)
X線回折装置(Cu−Kα線)(ULTIMA−IV、リガク製)を用いて、試料A〜Jの粒子の不定方位粉末X線回折測定(XRD)を行った。2θ=9.4°±1°に存在するピークの半値半幅(HWHM(001))とそのピーク強度(I001)、2θ=60.5°±1°に存在するピーク強度(I060)、及びI001とI060の比(I001/I060)の測定結果を表1に示す。
(熱重量解析:TG)
示差熱/熱天秤測定(リガク、Thermoplus TG8120)を用いて、試料A〜Jの粒子の熱重量解析(TG)を行った。2.0%重量減少温度、5.0重量減少温度の解析結果を表1に示す。
(平均動摩擦係数試験)
試験粉末として試料A〜Jを用い、人工皮革(出光テクノファイン製)に、0.5mg/cmで塗布した。塗布したものを、摩擦感テスター(カトーテック製:センサー:人工皮革、加重25g)を用いて、平均摩擦係数(MIU)及び平均摩擦係数(MMD)の値を測定した。これらの測定結果を表1に示す。
Figure 2016153351
(結果)
表1のとおり、実施例1〜4の粒子(試料A〜D)は、比較例1〜5の粒子(試料F〜J)と比較して、優れた滑り摩擦特性を有するとともに良好な摩擦感を示すことが示された。また、実施例1及び2の粒子(試料A及びB)について、XRD測定を行ったところ、クリソタイル及びアモサイトなどの有害な石綿に相当するピークは一切検出されなかった。
本発明の粒子は、優れた滑り摩擦特性を有するとともに良好な摩擦感を示し、しかも天然タルク等に存在しうる石綿等の毒性のある成分を含まないため、安心・安全な化粧品原料等の用途に極めて有用である。また、本発明の製造方法により製造された粒子は、未粉砕の状態でも結晶性が良好であって、優れた滑り摩擦特性を有するとともに良好な摩擦感を示すため、化粧品原料等の用途の粒子の製法として極めて有用である。

Claims (10)

  1. 八面体シートを、2枚の四面体シートでサンドイッチした基本構造を有し、下記一般式(1)で表される2:1型層状ケイ酸塩の結晶を含む粒子であって、
    結晶(a,b)面の平均短径と平均長径の比(短径/長径)が0.3〜0.8であり、結晶c軸方向の平均厚さが10〜300nmであり、かつ、平均アスペクト比が15以上である、薄片状結晶である、上記粒子。
    MgSi10(OH) (1)
    (ただし、0.50≦x/y≦1.20、6.5≦x+y≦7.5)
  2. 八面体シートを、2枚の四面体シートでサンドイッチした基本構造を有し、下記一般式(1)で表される2:1型層状ケイ酸塩の結晶を含む粒子であって、
    CuのKα線を用いた不定方位粉末X線回折測定(XRD)において、2θ=9.4°±1°に存在するピークの半値半幅が0.1°〜0.3°であり、かつ、2θ=9.4°±1°に存在するピークの強度が、2θ=60.5°±1°に存在するピークの2〜5倍である、上記粒子。
    MgSi10(OH) (1)
    (ただし、0.50≦x/y≦1.20、6.5≦x+y≦7.5)
  3. 八面体シートを、2枚の四面体シートでサンドイッチした基本構造を有し、下記一般式(1)で表される2:1型層状ケイ酸塩の結晶を含む粒子であって、
    熱重量解析(TG)において、2.0%重量減少温度が800〜900℃であり、5.0%重量減少温度が900〜930℃である、上記粒子。
    MgSi10(OH) (1)
    (ただし、0.50≦x/y≦1.20、6.5≦x+y≦7.5)
  4. Mg/Si比が、0.80≦x/y≦1.20であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粒子。
  5. 水熱合成法により結晶成長させて得られた未粉砕粒子であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の粒子。
  6. 前記粒子の平均摩擦係数(MIU)が0.30以下であり、平均摩擦係数の変動幅(MMD)が0.003以下であることを特徴とする、請求項5に記載の粒子。
  7. MgSi(OH)及びMgSi22(OH)を含まないことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の粒子。
  8. 八面体シートを、2枚の四面体シートでサンドイッチした基本構造を有し、下記一般式(1)で表される2:1型層状ケイ酸塩の結晶を含む粒子の製造方法であって、
    少なくとも、水酸化マグネシウム及びシリカを含む原料を準備する工程、及び原料を温度500℃〜700℃に加熱して水熱合成を行う工程、を含む、前記製造方法。
    MgSi10(OH) (1)
    (ただし、0.50≦x/y≦1.20、6.5≦x+y≦7.5)
  9. 前記の水熱合成を行う工程において、撹拌を行わずに結晶成長を行うことを特徴とする、請求項8に記載の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載された粒子を製造する、請求項9又は10に記載の製造方法。
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