JP2011201941A - フッ素変性アミノ基含有オルガノポリシロキサン及びその製造方法 - Google Patents

フッ素変性アミノ基含有オルガノポリシロキサン及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フッ素変性基が均一に導入された高いフッ素含有率を有するフッ素変性アミノ基含有オルガノポリシロキサン及びその製造方法の提供。
【解決手段】式(1)
Figure 2011201941

[R1は1価炭化水素基、R2は2価炭化水素基、Rf1は1価のパーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル基、Rf2は1価のパーフルオロポリエーテル基、X及びX’は水素原子、又は1価のオルガノシリル基である。また、lは3〜30、mは1〜10、nは1〜10、l+m+n=5〜50を満足する整数である。]で表されるフッ素変性アミノ基含有オルガノポリシロキサン。
【選択図】なし

Description

本発明は、フッ素変性基が均一に導入された高いフッ素含有率を有するアミノ基含有オルガノポリシロキサン及びその製造方法に関するものである。
下記一般式(3)で表されるアミノ基含有オルガノポリシロキサンへのフッ素変性基の導入は、例えば特許第3022070号公報(特許文献1)に記載されているように、含フッ素カルボン酸エステル化合物との反応により簡便に行える。これによって、フッ素変性基が均一に導入されたアミノ基含有オルガノポリシロキサンを製造することが可能である。
Figure 2011201941
[式中、R1は炭素数1〜10の1価炭化水素基であり、R2は結合途中に酸素原子、窒素原子、ケイ素原子又はイオウ原子を介在してもよく、アミド結合又はスルホンアミド結合を含有してもよい、置換又は非置換の炭素数1〜15の2価炭化水素基であり、X及びX’は同一でも異なってもよく、水素原子、又は下記一般式(2)で表される1価のオルガノシリル基である。pは5〜50、好ましくは10〜30の整数である。
Figure 2011201941
(式中、Yは、
Figure 2011201941
から選ばれる1価の有機基であり、R1は前記と同様、eは0、1、2又は3である。)」
特許第3022070号公報
特許第3022070号公報(特許文献1)では、導入されるフッ素基は炭素数1〜15の比較的分子量の低いフッ素基であった。用途によっては、この程度の分子量のフッ素基導入で十分機能を果たす場合もあるが、高度にフッ素化されたパーフルオロポリエーテルオイル等に分散させる場合、より分子量の大きなフッ素基を導入しないと、均一に分散・溶解しないという問題があった。
しかし、上記アミノ基含有オルガノポリシロキサンのフッ素含有率をより増加させるため、炭素数16〜100の嵩高いパーフルオロポリエーテル基を直接導入しようとしても、含フッ素カルボン酸エステル化合物とアミノ基含有オルガノポリシロキサンとの相溶性の差が大きくなるため、均一系での反応が困難となり、式(3)のアミノ基含有シロキサンにフッ素変性基が導入されていないポリマーとフッ素変性基が過剰に導入されたポリマーとが生成してしまい、均一にフッ素変性された目的物を得ることができなかった。
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、フッ素変性基が均一に導入された高いフッ素含有率を有するフッ素変性アミノ基含有オルガノポリシロキサン及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、上記式(3)のアミノ基含有オルガノポリシロキサン中のアミノ基の一部に、まず炭素数1〜15の1価のパーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル基からなるフッ素変性基Rf1を導入し、次いで残余のアミノ基の一部に、炭素数16〜100の1価のパーフルオロポリエーテル基からなるフッ素変性基Rf2を導入するという、二段階でのフッ素変性処理を施すことで、フッ素変性基が均一に導入された、高いフッ素含有率を有するアミノ基含有オルガノポリシロキサンが得られることを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は下記フッ素変性アミノ基含有オルガノポリシロキサン及びその製造方法を提供する。
請求項1:
下記一般式(1)
Figure 2011201941
[式中、R1は炭素数1〜10の1価炭化水素基であり、R2は結合途中に酸素原子、窒素原子、ケイ素原子又はイオウ原子を介在してもよく、アミド結合又はスルホンアミド結合を含有してもよい、置換又は非置換の炭素数1〜15の2価炭化水素基であり、Rf1は炭素数1〜15の1価のパーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル基であり、Rf2は炭素数16〜100の1価のパーフルオロポリエーテル基であり、X及びX’は同一でも異なってもよく、水素原子、又は下記一般式(2)で表される1価のオルガノシリル基である。
Figure 2011201941
(式中、Yは、
Figure 2011201941
から選ばれる1価の有機基であり、R1は前記と同様、eは0、1、2又は3である。)
また、lは3〜30の整数、mは1〜10の整数、nは1〜10の整数で、l+m+n=5〜50を満足する整数である。]
で表されることを特徴とするフッ素変性アミノ基含有オルガノポリシロキサン。
請求項2:
一般式(1)において、まず、下記一般式(3)
Figure 2011201941
(式中、R1、R2、X及びX’は前記と同様である。pは5〜50の整数である。)
で表されるアミノ基含有オルガノポリシロキサンに、下記一般式(4)
Rf1−COOR3 (4)
(式中、Rf1は炭素数1〜15の1価のパーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル基であり、R3は炭素数1〜8の置換又は非置換の1価炭化水素基である。)
で表されるフッ素変性基(Rf1−)を有するカルボン酸エステル化合物を、アミノ基の一部に付加反応してRf1基を導入し、その後、更に下記一般式(5)
Rf2−COOR3 (5)
(式中、Rf2は炭素数16〜100の1価のパーフルオロポリエーテル基であり、R3は前記と同様である。)
で表されるフッ素変性基(Rf2−)を有するカルボン酸エステル化合物を、残余のアミノ基の一部に付加反応して、Rf2基を導入することを特徴とする2段階のフッ素変性基導入過程を有する請求項1記載のフッ素変性アミノ基含有オルガノポリシロキサンの製造方法。
本発明の製造方法によって得られる、フッ素変性基が均一に導入された高いフッ素含有率を有するフッ素変性アミノ基含有オルガノポリシロキサンは、高度にフッ素化されたパーフルオロポリエーテルオイルへの溶解性の向上が期待される。これによって、例えば室温硬化性フルオロポリエーテル系ゴム組成物用架橋剤として用いると、ベースポリマーとの相溶性が格段に向上し、スタティックミキサのような簡易混合装置での混合成形においても、均一で平滑な表面を有するゴム組成物が得られる。
本発明の実施例における式(7)のフッ素変性アミノ基含有オルガノポリシロキサン(7)のIRスペクトルを示したものである。 本発明の実施例における式(7)のフッ素変性アミノ基含有オルガノポリシロキサン(7)の1H−NMRスペクトルを示したものである。 本発明の実施例における式(8)のフッ素変性アミノ基含有オルガノポリシロキサン(8)のIRスペクトルを示したものである。 本発明の実施例における式(8)のフッ素変性アミノ基含有オルガノポリシロキサン(8)の1H−NMRスペクトルを示したものである。 比較例より得られた高粘度白濁層のIRスペクトルを示したものである。 比較例より得られた低粘度微白濁層のIRスペクトルを示したものである。
本発明は、高いフッ素含有率を有し、均一にフッ素変性基が導入されたフッ素変性アミノ基含有オルガノポリシロキサン及びその製造方法に関するもので、その製造方法は、(a)原料のアミノ基含有オルガノポリシロキサン中のアミノ基の一部に、まず(b)炭素数1〜15からなるフッ素変性基(Rf1−)を有するカルボン酸エステル化合物を反応させ、次いで(c)炭素数16〜100からなるフッ素変性基(Rf2−)を有するカルボン酸エステル化合物を残余のアミノ基の一部に反応させるという、二段階の反応工程よりなる。以下、更に詳述する。
(a)アミノ基含有オルガノポリシロキサン
本発明の原料成分となるアミノ基含有オルガノポリシロキサンは、下記一般式(3)にて表される化合物を挙げることができる。
Figure 2011201941
ここで、R1は炭素数1〜10、好ましくは1〜6の1価炭化水素基であり、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
2は置換又は非置換の炭素数1〜15、好ましくは2〜12の2価炭化水素基であり、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基や、これらが組み合わさったものが挙げられ、具体的には、上記R1の1価炭化水素基の具体例より炭素原子に結合している水素原子の1個が脱離したもの等が挙げられる。また、R2としては、上記2価炭化水素基の水素原子の1個又は2個以上が塩素原子、フッ素原子のハロゲン原子で置換されたものでもよく、更に結合途中に酸素原子、窒素原子(−NR−:Rは水素原子、又は炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基等の1価炭化水素基)、ケイ素原子(−SiR’2−:R’は炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基等の1価炭化水素基)、又はイオウ原子を介在してもよく、アミド結合(−CONH−)又はスルホンアミド結合(−SO2NH−)を含有してもよい。
X及びX’は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子又は下記一般式(2)
Figure 2011201941
(式中、R1は前記の通りであり、eは0、1、2又は3である。また、Yは下記式から選ばれる1価有機基である。
Figure 2011201941
で示される1価のオルガノシリル基である。
また、pは5〜50、特に10〜30の整数である。
このようなアミノ基含有オルガノポリシロキサンとしては、例えば下記のような化合物が挙げられるが、これらの化合物は単独で使用しても、2種類以上を併用してもよく、また以下の例に限定されるものではない。
Figure 2011201941
(式中、pは前記と同様である。)
(b)炭素数1〜15からなるフッ素変性基(Rf1−)を有するカルボン酸エステル化合物
本発明における炭素数1〜15からなるフッ素変性基(Rf1−)を有するカルボン酸エステル化合物は、下記一般式(4)にて表すことができる。
Rf1−COOR3 (4)
(式中、Rf1は炭素数1〜15の1価のパーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル基であり、R3は炭素数1〜8、好ましくは1〜3の置換又は非置換の1価炭化水素基である。)
1価のパーフルオロアルキル基、1価のパーフルオロアルキルエーテル基は、分子構造は鎖状、分岐状のいずれでもよく、その代表例としては下記一般式で示される基を例示することができるが、これに限定されるものではない。
g2g+1
(式中、gは1〜6、好ましくは4〜6の整数である。)
Figure 2011201941
(式中、fは1〜4の整数、好ましくは2又は3であり、hは1〜3の整数である。)
F−(CF2O)c−(CF2CF2O)d−CF2
(式中、c及びdはそれぞれ1〜4の整数、好ましくは2又は3である。)
Figure 2011201941
(式中、a及びbは、それぞれ1〜3の整数、好ましくは1又は2である。)
F−(CF2CF2CF2O)i−CF2CF2
(式中、iは1〜4の整数、好ましくは1又は2である。)
以上より、炭素数1〜15からなるフッ素変性基(Rf1−)を有するカルボン酸エステル化合物は、具体的には以下の化合物が挙げられるが、これに限定するものではない。また、これらの化合物は単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
Figure 2011201941
(c)炭素数16〜100からなるフッ素変性基(Rf2−)を有するカルボン酸エステル化合物
本発明における炭素数16〜100からなるフッ素変性基(Rf2−)を有するカルボン酸エステル化合物は下記一般式(5)にて表される化合物を挙げることができる。
Rf2−COOR3 (5)
(式中、Rf2は炭素数16〜100の1価のパーフルオロポリエーテル基であり、R3は前記と同様である。)
1価のパーフルオロアルキルエーテル基は、分子構造は鎖状、分岐状のいずれでもよく、その代表例としては下記一般式で示される基を例示することができるが、これに限定されるものではない。
Figure 2011201941
(式中、jは5〜32、好ましくは15〜30の整数であり、kは1〜3の整数である。)
F−(CF2O)o−(CF2CF2O)q−CF2
(式中、o及びqは、それぞれ5〜33、好ましくは15〜30の整数である。)
Figure 2011201941
(式中、r及びsは、それぞれ4〜24、好ましくは10〜20の整数である。)
F−(CF2CF2CF2O)t−CF2CF2
(式中、tは5〜32、好ましくは20〜30の整数である。)
以上より、炭素数16〜100からなるフッ素変性基(Rf2−)を有するカルボン酸エステル化合物は、具体的には以下の化合物が挙げられるが、これに限定するものではない。また、これらの化合物は単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
Figure 2011201941
一般式(3)で表されるアミノ基含有オルガノポリシロキサンと一般式(4)で表されるフッ素変性基(Rf1−)を有するカルボン酸エステル化合物との第1の付加反応、続いて一般式(5)で表されるフッ素変性基(Rf2−)を有するカルボン酸エステル化合物との第2の付加反応によって、アミノ基含有オルガノポリシロキサンにRf1基の導入、Rf2基の導入を順次行う手法としては、例えば特許第3022070号公報(特許文献1)に記載されているアミノ基含有オルガノポリシロキサンと含フッ素カルボン酸エステル化合物との付加反応を順次、2段階で行うことにより簡便に実施できる。
更に詳述すると、上記第1の付加反応及び第2の付加反応は、いずれも通常200℃以下、好ましくは50〜150℃の温度範囲で行なわれる。反応時間はそれぞれ数分〜数十時間の範囲で適宜選択されるが、好ましくは5〜20時間がよい。また、反応は、無溶媒系で行っても溶媒系で行ってもよい。溶媒としては、トルエン、ベンゼン、ヘキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタキシレンヘキサフロリド等が好適に使用できる。
反応に際して使用されるフッ素変性基(Rf1−)を有する第1のカルボン酸エステル化合物及びフッ素変性基(Rf2−)を有する第2のカルボン酸エステル化合物の使用量は、目的とするフッ素変性アミノ基含有オルガノポリシロキサンの含フッ素含有量に応じて決定される。
即ち、上記第1及び第2の付加反応により下記一般式(1)で示されるフッ素変性アミノ基含有オルガノポリシロキサンが得られ、本発明はこの式(1)のフッ素変性アミノ基含有オルガノポリシロキサンを提供するものである。
Figure 2011201941
ここで、R1、R2、X、X’は上記の通りである。また、lは3〜30、好ましくは5〜20の整数、mは1〜10、好ましくは3〜9の整数、nは1〜10、好ましくは2〜6の整数で、l+m+nは5〜50、好ましくは10〜35を満足する整数である。
従って、上記第1及び第2のカルボン酸エステル化合物の使用量は、上記l、m、nの値を満足するように選択される。
即ち、第1の付加反応において、一般式(3)で示されるアミノ基含有オルガノポリシロキサン中のアミノ基に対する一般式(4)で示されるフッ素変性基(Rf1−)を有する第1のカルボン酸エステルのモル比は等モル未満であり、更に、第2の付加反応において、中間体中の残余のアミノ基に対する一般式(5)で示されるフッ素変性基(Rf2−)を有する第2のカルボン酸エステルのモル比も等モル未満の条件で反応させるものである。
なお、上記付加反応の終了後は、副生するアルコール及び溶媒を留去することにより、目的とする式(1)のフッ素変性アミノ基含有オルガノポリシロキサンが得られ、これは優れた表面特性を持ち、繊維処理材、離型剤、樹脂改質剤等として用いられ、耐溶剤性、耐薬品性ゴム材料として有用である。
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例1]
下記式(6)で示されるアミノ基含有オルガノポリシロキサン300g(0.169モル)
Figure 2011201941
(屈折率:1.48、密度(23℃):1.07g/cm3、粘度(23℃):1.54Pa・s)
及びトルエン500mLをフラスコにとり、N2雰囲気下、氷浴中で撹拌した。そこに下記式
Figure 2011201941
で表される含フッ素カルボン酸メチルエステル323g(0.633モル)を1.5時間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、30分間撹拌した。30分後、反応溶液の赤外吸収スペクトルを測定し、含フッ素カルボン酸メチルエステルに由来するカルボニル基(>C=O)の特性吸収(1,790cm-1)が消失していることから、含フッ素カルボン酸メチルエステルが消費され、反応が終了していることを確認した。次いで、反応溶液を減圧ストリップすることにより、トルエン、副生したメタノールを除去し、無色透明のフッ素変性アミノ基含有オルガノポリシロキサン585gを得た。
赤外吸収スペクトル:チャートを図1に示す。
(特性吸収)
1,000〜1,400cm-1:(C−F)
1,540、3,350cm-1:(N−H)
1,590cm-1:(NH2
1,720cm-1:(C=O)
(屈折率)1.41
(密度、23℃)1.34g/cm3
(粘度、23℃)102Pa・s
1H−NMR測定を行い、図2中のb、dの積分比より組成比を見積もった結果、得られたフッ素変性アミノ基含有オルガノポリシロキサンは下記式(7)
Figure 2011201941

で表されることを確認した(フッ素含有率:33.2%)。
図2の1H−NMRスペクトル
Figure 2011201941

b/dの積分比:1.00/0.76より、u/w=0.76/0.24
次に、得られたフッ素変性アミノ基含有オルガノポリシロキサン(7)450g(0.126モル)と1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン1.00kgをフラスコにとり、N2雰囲気下、75℃のオイルバス中で撹拌した。そこに下記式
Figure 2011201941
で表される含フッ素カルボン酸メチルエステル1,570g(0.378モル)を1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン500gにて希釈を行った溶液を4時間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、30分間撹拌した。30分後、反応溶液の赤外吸収スペクトルを測定し、含フッ素カルボン酸メチルエステルに由来するカルボニル基(>C=O)の特性吸収(1,790cm-1)が完全に消失していることから、含フッ素カルボン酸メチルエステルが全て消費し、反応が終了していることを確認した。次いで、反応溶液を減圧ストリップすることにより、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、副生したメタノールを除去し、淡黄色透明のフッ素変性アミノ基含有オルガノポリシロキサン1,990gを得た。
赤外吸収スペクトル:チャートを図3に示す。
(特性吸収)
1,000〜1,400cm-1:(C−F)
1,540、3,350cm-1:(N−H)
1,590cm-1:(NH2
1,720cm-1:(C=O)
(屈折率)1.33
(密度、23℃)1.73g/cm3
(粘度、23℃)918Pa・s
1H−NMR測定を行い、図4中のb、dの積分比より組成比を見積もった結果、得られたフッ素変性アミノ基含有オルガノポリシロキサンは、下記式(8)
Figure 2011201941

で表されることを確認した(フッ素含有率:59.0%)。
図4の1H−NMRスペクトル
Figure 2011201941

b/dの積分比:1.00/0.61より、v/w/y=0.61/0.24/0.15
[比較例1]
下記式(6)で示されるアミノ基含有オルガノポリシロキサン300g(0.169モル)
Figure 2011201941
及びトルエン500mLをフラスコにとり、N2雰囲気下、室温中で撹拌した。そこに下記式
Figure 2011201941
で表される含フッ素カルボン酸メチルエステル93.8g(0.023モル)を1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン300gにて希釈を行った溶液を1時間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、30分間撹拌した。30分後、反応溶液の赤外吸収スペクトルを測定し、含フッ素カルボン酸メチルエステルに由来するカルボニル基(>C=O)の特性吸収(1,790cm-1)が完全に消失していることから、含フッ素カルボン酸メチルエステルが全て消費し、反応が終了していることを確認した。次いで、反応溶液を減圧ストリップすることによりトルエン、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、副生したメタノールを除去し、高粘度の白濁層と低粘度の微白濁層からなる、不均一なフッ素変性アミノ基含有オルガノポリシロキサン385gを得た。
高粘度白濁層と低粘度微白濁層それぞれ赤外吸収スペクトル測定を行ったところ、高粘度白濁層にはアミド結合の特性吸収(1,710cm-1)が確認されたのに対し、低粘度微白濁層にはアミド結合の特性吸収(1,710cm-1)は確認されず、アミノ基の特性吸収(1,590cm-1)が確認された(図5,6)。
以上より、実施例1においては、フッ素変性基が均一に導入された高いフッ素含有率のアミノ基含有オルガノポリシロキサンが得られたのに対し、比較例1においては、フッ素変性基が不均一に導入された含フッ素アミノ基含有オルガノポリシロキサンが得られた。
[実施例2]
実施例1より得られるフッ素変性アミノ基含有オルガノポリシロキサン(8)10gをガラス瓶に採り、そこにフォンブリンY45(ソルベイソレクシス(株)製パーフルオロポリエーテルオイル)20gを添加し、よく撹拌したところ、無色透明の均一な溶液が得られた。
[比較例2]
実施例2において、フッ素変性アミノ基含有オルガノポリシロキサンを、実施例1より得られるフッ素変性アミノ基含有オルガノポリシロキサン(7)に変更し、同様の実験を行ったところ、溶液は白濁し、しばらく静置すると分層が確認された。
以上より、実施例1で得られるフッ素変性基が均一に導入された、高いフッ素含有率を有するフッ素変性アミノ基含有オルガノポリシロキサン(8)では、高度にフッ素化されたパーフルオロポリエーテルオイルへの溶解性が向上したことが確認された。

Claims (2)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 2011201941
    [式中、R1は炭素数1〜10の1価炭化水素基であり、R2は結合途中に酸素原子、窒素原子、ケイ素原子又はイオウ原子を介在してもよく、アミド結合又はスルホンアミド結合を含有してもよい、置換又は非置換の炭素数1〜15の2価炭化水素基であり、Rf1は炭素数1〜15の1価のパーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル基であり、Rf2は炭素数16〜100の1価のパーフルオロポリエーテル基であり、X及びX’は同一でも異なってもよく、水素原子、又は下記一般式(2)で表される1価のオルガノシリル基である。
    Figure 2011201941
    (式中、Yは、
    Figure 2011201941
    から選ばれる1価の有機基であり、R1は前記と同様、eは0、1、2又は3である。)
    また、lは3〜30の整数、mは1〜10の整数、nは1〜10の整数で、l+m+n=5〜50を満足する整数である。]
    で表されることを特徴とするフッ素変性アミノ基含有オルガノポリシロキサン。
  2. 一般式(1)において、まず、下記一般式(3)
    Figure 2011201941
    (式中、R1、R2、X及びX’は前記と同様である。pは5〜50の整数である。)
    で表されるアミノ基含有オルガノポリシロキサンに、下記一般式(4)
    Rf1−COOR3 (4)
    (式中、Rf1は炭素数1〜15の1価のパーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル基であり、R3は炭素数1〜8の置換又は非置換の1価炭化水素基である。)
    で表されるフッ素変性基(Rf1−)を有するカルボン酸エステル化合物を、アミノ基の一部に付加反応してRf1基を導入し、その後、更に下記一般式(5)
    Rf2−COOR3 (5)
    (式中、Rf2は炭素数16〜100の1価のパーフルオロポリエーテル基であり、R3は前記と同様である。)
    で表されるフッ素変性基(Rf2−)を有するカルボン酸エステル化合物を、残余のアミノ基の一部に付加反応して、Rf2基を導入することを特徴とする2段階のフッ素変性基導入過程を有する請求項1記載のフッ素変性アミノ基含有オルガノポリシロキサンの製造方法。
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