JP6923300B2 - フッ素含有ケイ素化合物 - Google Patents

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Description

本発明は、新規なフッ素含有ケイ素化合物に関する。
特に、潜熱蓄熱材料として用いるのに適したフッ素含有ケイ素化合物であって、防汚性も有する潜熱蓄熱材料用フッ素珪素化合物に関する。
近年、各種分野において潜熱蓄熱材料が利用されている。このような潜熱蓄熱材料としては、例えば、エリスリトールが知られている(非特許文献1)。しかし、エリスリトール、は水溶性である為、それ自体に高い撥水・撥油性、防汚性を有していない。
一方、特許文献1には、防汚性付与成分として、フルオロアルキル鎖を有するケイ素化合物が開示されているが、潜熱蓄熱材料とは別に防汚付与成分を添加すると、両者の混合が必要となるため、製造工程も複雑になる。また、シロキサン結合は炭素―炭素―炭素結合に比べ長い結合及び長結合角を有する為、室温において液状のものが多く、フルオロアルキル鎖を有するケイ素化合物は、一般に、室温付近では液状やペースト状を示すため、潜熱蓄熱材料から染み出してくるという問題もある。
特開2013−6819号公報
日本伝熱学会論文集 Vol.21(2013)No.4 p.83−93
上記従来技術の問題点に鑑み、本発明は、製造が容易で、防汚性付与成分の染み出し等の問題のない、高い撥水・撥油性と、防汚性を兼ね備える潜熱蓄熱材料を提供する事を目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、優れた潜熱蓄熱性と、高い撥水・撥油性や防汚性を兼ね備え、た化合物を見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、以下のとおりである。
[1]下記化学式(1)で表される環状シロキサン構造を少なくとも1つ有するフッ素含有ケイ素化合物。
Figure 0006923300
(式(1)中、
nは、0以上5以下の整数、
Rは、各々独立して、下記化学式(2)で表される基である。)
Figure 0006923300
(式(2)中、
Rfは、フッ素原子、炭素数1〜100の直鎖状もしくは分岐状フルオロアルキル基、又は炭素数3〜200のフルオロポリエーテル基、
Qは、炭素数0〜12の2価の有機基、
1、R2は、互いに独立に、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜10のアラルキル基であり、
aは、0〜30の整数である。)
[2]DSC測定による過冷却温度差が20℃以上である、[1]記載のフッ素含有ケイ素化合物。
[3]DSC測定による融点が30℃以上である、[1]又は[2]記載のフッ素含有ケイ素化合物。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載のフッ素含有ケイ素化合物を含む潜熱蓄熱材料
本発明のフッ素含有ケイ素化合物は、化合物自体が、優れた潜熱蓄熱特性に加えて、高い撥水・撥油性、防汚性も有するので、防汚性付与成分を別途混合する必要がなく、そのため防汚性付与成分等の染み出しの問題がなく良好な潜熱蓄熱特性を示す潜熱蓄熱材料を簡易な方法で製造することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の本実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[フッ素含有ケイ素化合物]
本発明のフッ素含有ケイ素化合物は、下記化学式(1)で示される環状のシロキサン構造を1分子内に1つ以上有する。
Figure 0006923300
式(1)中、nは0以上5以下の整数であり、
Rは、各々独立して、下記の化学式(2)で表される基である。
Figure 0006923300
式(2)中、Rfは、フッ素原子、炭素数1〜100の直鎖状もしくは分岐状フルオロアルキル基、又は、炭素数3〜200のフルオロポリエーテル基、Qは、炭素数0〜12の2価の有機基、R1、R2は、互いに独立に、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜10のアラルキル基であり、aは、0〜30の整数である。)
化学式(1)における環状シロキサン構造は、化合物に潜熱蓄熱特性を付与するためのものであり、nは0〜5の整数であり、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは1である。nが上限値、下限値を超える場合は、潜熱蓄熱特性性が落ちる傾向にある。このような環状シロキサン構造を有する化合物は、過冷却温度差が大きく、これにより良好な潜熱蓄熱特性を示すと考えられるが機序はこれによらない。
化学式(1)で表される環状シロキサン構造の骨格の例としては、例えば下記に示すものが例示できる。
Figure 0006923300
本実施形態のフッ素含有ケイ素化合物は、化学式(1)で表される環状のシロキサン構造を1分子内に1つ以上、好ましくは3つ以上、より好ましくは6以上有している。
環状のシロキサン構造の数が少ない場合は、潜熱特性、撥水・撥油性が落ちる傾向にある。
本実施形態のフッ素含有ケイ素化合物の環状シロキサン骨格の例としては、例えば下記に示すものが例示できる。
Figure 0006923300
化学式(1)において、Rは下記の化学式(2)で表される基である。
Figure 0006923300
式(2)中、Rfは、フッ素原子、炭素数1〜100、好ましくは炭素数4〜20、更に好ましくは4〜12の直鎖状もしくは分岐状フルオロアルキル基、又は炭素数3〜200、好ましくは炭素数6〜14のフルオロポリエーテル基であり、撥水・撥油性、防汚性、などの特性を化合物に付与するためのものである。
本発明者の研究によれば、環状シロキサン構造を有するケイ素化合物にRfを導入しても、Rf中における炭素数が上記範囲内である場合には化合物の過冷却特性には影響がないことが分かった。一方、Rf中における炭素数が上記上限値を超える場合には、ケイ素化合物の過冷却温度差を低下させ、潜熱蓄熱特性の低下を生じるおそれがある。
このような含フッ素基Rfの例としては、例えば下記に示すものが例示できる。
m2m+1−,
H−Cm2m−,
r2r+1−CH2−(CF2s−,
F−(Cq2qO)p−C24−,
Figure 0006923300
上記式中、mは1〜10の整数、rは1〜8の整数、sは1〜8の整数、r+sは2〜10の整数であり、pは1〜6の整数、qは1〜3の整数である。Rf’は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状パーフルオロアルキル基、Xはフッ素原子又はトリフルオロメチル基、a、b、c、dは互いに独立に0〜66の整数であり、但し、a+b+c+dは1以上、好ましくは1〜50、より好ましくは1〜5であり、eは0又は1である。
これらの中でも下記に示すものが好適に使用し得る。
m2m+1−,
Figure 0006923300
上記式中、m、pは上記と同じである。
含フッ素基Rfの例として、具体的には、下記式に示される基が挙げられる。
F−
CF3−,
CF3CF2−,
CF3CF2CF2−,
(CF32CF−,
CF3CF2CF2CF2−,
HCF2CF2CF2CF2−,
(CF32CFCF2−,
CF3(CF24CF2−,
HCF2(CF24CF2−,
CF3(CF26CF2−,
CF3(CF23CH2(CF25−,
CF3OCF2CF2−,
CF3CF2CF2OCF2CF2−,
CF3CF2CF2OCF(CF3)−,
F(CF2CF2CF2O)3CF2CF2−,
F(CF2CF2CF2O)4CF2CF2−,
F(CF2CF2CF2O)10CF2CF2−,
F(CF2CF2CF2O)24CF2CF2−,
F(CF2CF2O)10(CF2O)15CF2CF2−,
Figure 0006923300
化学式(2)において、Qは炭素数0〜12、好ましくは炭素数0又は3〜8の2価の有機基である。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基(トリメチレン基、メチルエチレン基)、ブチレン基(テトラメチレン基、メチルプロピレン基)、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等のアルキレン基、フェニレン基等のアリーレン基、又はこれらの基の2種以上の組み合わせ(アルキレン・アリーレン基等)であってよく、あるいはこれらの基にエーテル結合、アミド結合、エステル結合、ジオルガノシリレン基等から選ばれる1種又は2種以上の構造を介在させたものであってもよく、更に上記以外に酸素原子、窒素原子、ケイ素原子から選ばれる1種又は2種以上を含む基を含有してもよい2価の炭化水素基が挙げられる。
このようなQの好ましい具体例としては、下記式に示される基が挙げられる。
−CH2−,
−CH2CH2−,
−CH2CH2CH2−,
−CH2−O−(CH2t−,
−CH2CH2−O−(CH2t−,
−OCH2−,
−CO−NH−CH2−,
−CO−N(Ph)−CH2−,
−CO−NH−CH2CH2−,
−CO−N(Ph)−CH2CH2CH2−,
−CO−N(CH3)−CH2CH2CH2−,
−CO−O−CH2−,
−CO−N(CH3)−Ph’−,
−CO−NR3−Y’−
上記式中、Phはフェニル基、Ph’はフェニレン基であり、tは1〜10の整数である。
Y’は、−CH2−又は下記式で表される2価の基である。
Figure 0006923300
R3は、水素原子又は非置換もしくは置換の、好ましくは炭素数1〜10の1価炭化水素基である。
ここで、上記R3の非置換もしくは置換の、好ましくは炭素数1〜10の1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基などや、これらの基の水素原子の一部又は全部がフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基(N≡C−)などで置換されたもの(例えば、クロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等)が挙げられる。
式(2)において、R1、R2は、互いに独立に炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜10、好ましくは炭素数6〜8のアリール基、又は炭素数7〜10、好ましくは炭素数7〜8のアラルキル基であり、該基は化合物に親油性、ハードコート材料への相溶性などを付与するために導入される。
R1、R2の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基などが挙げられる。中でも、メチル基、n−ブチル基、フェニル基であることが好ましく、特に好ましいのはメチル基である。
なお、R1、R2がそれぞれ複数ある場合(aが2以上である場合)は、複数あるR1及びR2は、それぞれ、同一の基であっても異種の基であってもよく、また、R1とR2が同一の基であっても異種の基であってもよい。
また、式(2)において、aは0〜30の整数であり、好ましくは0〜2の整数であり、特に好ましくは1である。
式(2)におけるSi−O−Si鎖は、化合物の過冷却特性(過冷却温度差)を増大させ、より任意に熱を取り出すことを可能にするためのものである。
式(2)で表される基中のRfとR1及びR2、並びに、Rは、特に本実施形態のフッ素含有ケイ素化合物を蓄熱材、防汚性付与剤、ハードコート材料用途に用いる場合、分子中のフッ素原子の質量割合が30〜100質量%となる割合で存在することが好ましく、より好ましくは40〜55質量%となる割合である。
分子中のフッ素原子の質量割合が上記上限値超である場合には、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、変性シリコーン樹脂等の樹脂への親和性が損なわれるため、本実施形態のフッ素含有ケイ素化合物をこれらの樹脂に練り込んで使用する場合には、その成形体の硬度の低下などが生じるおそれがある。
本実施形態のフッ素含有ケイ素化合物は、既知の方法によって容易に製造することができる。
例えば、下記一般式(3)
Rf−Q−CH=CH2 (3)
(式中、Rf、Qは上記化学式(2)におけるそれらと同じである。)
で示される含フッ素オレフィン化合物を、下記化学式(4)で表される環状シロキサン構造を少なくとも1つ有するSiH化合物(以下、単に「SiH化合物」という。)に、従来公知のヒドロシリル化付加反応によって付加することで製造することができる。
Figure 0006923300
化学式(4)中、nは、0以上5以下の整数であり、
R’は、各々独立して、下記化学式(5)で表される基である。
Figure 0006923300
化学式(5)中、R1、R2は互いに独立に炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜10のアラルキル基であり、aは0〜30の整数である。
上述の一般式(3)で表される含フッ素オレフィン化合物の例としては、例えば下記に示すものが例示できる。
Figure 0006923300
また、化学式(4)で環状シロキサン構造を少なくとも1つ有するSiH化合物の例としては、例えば下記に示すものが例示できる。
Figure 0006923300
一般式(3)で表される含フッ素オレフィン化合物と前記SiH化合物とは、前記SiH化合物のSiH基を反応させるもので、具体的には反応時のモル比(ビニル基/SiH基のモル比)が0.5〜10、より好ましくは1〜5であるように反応を行うことが好ましい。前記モル比より少量であると、SiH基が残留し、SiH基が脱水素反応を起こして水素ガスを発生したりするおそれがある。一方、一般式(3)で表される含フッ素オレフィンが上記より過剰であると、該化合物の沸点が高い場合は余剰の未反応物を溜去するのが難しかったり、生成するフッ素含有ケイ素化合物との相溶性が悪い場合には、生成物に濁りを生じたりするおそれがある。
ヒドロシリル化付加反応は、白金族金属触媒の存在下で行ってもよい。白金族金属触媒としては、ヒドロシリル化に用いられる従来公知のものを使用できる。白金族金属は、一般に貴金属の化合物であり高価格であることから、比較的入手し易い白金又は白金化合物がよく用いられる。このような白金化合物としては、塩化白金酸又は塩化白金酸とエチレン等のオレフィンとの錯体、アルコール、ビニルシロキサンとの錯体、及びシリカ、アルミナ、カーボン等に担持された金属白金を用いることができる。白金化合物以外の白金族金属触媒としては、ロジウム、ルテニウム、イリジウム及びパラジウム系化合物が使用でき、例えば、RhCl(PPh33、RhCl(CO)(PPh32、Ru3(CO)12、IrCl(CO)(PPh32、Pd(PPh34等(式中、Phはフェニル基である。)を用いることができる。
白金族金属触媒の使用量に限定はなく、前記SiH化合物と一般式(3)で表される含フッ素オレフィン化合物の合計量100質量部に対し、0.1〜500ppm(白金質量換算)となる量が好ましい。
反応温度は、溶剤の量や種類により適宜決められ、通常、室温〜200℃でよく、好ましくは70〜140℃である。時間は、特に制約なく、個別の反応条件に応じて反応が十分に進行するようにすればよい。
ヒドロシリル化反応を行う際に、必要に応じて溶剤を用いてもよい。溶剤は、一般式(3)で表される含フッ素オレフィン化合物及びSiH化合物の少なくともいずれかを溶解するものであることが望ましいが、ヒドロシリル化反応を阻害するものでなければ特に制限されない。溶剤の使用量は、一般式(3)で表される含フッ素オレフィン化合物や生成するフッ素含有ケイ素化合物の粘度や仕込み量によって適宜選定されるが、一般式(3)で表される含フッ素オレフィン化合物及びSiH化合物の合計量100質量部に対して、10〜200質量部が好ましく、20〜100質量部がより好ましい。
このような溶剤としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン、イソドデカンなどの脂肪族炭化水素系化合物、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系化合物;トリフルオロトルエン、ヘキサフルオロメタキシレンなどの含フッ素芳香族炭化水素系化合物;パーフルオロブチルメチルエーテル、パーフルオロブチルエチルエーテル、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)ペンタンなどのハイドロフルオロエーテル系化合物;ダイフロイル(ダイキン工業製)などのクロロフルオロカーボン系化合物;ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、2−(トリメチルシロキシ)−1,1,1,2,3,3,3−ヘプタメチルトリシロキサンなどの鎖状シロキサン;オクタメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンなどの環状シロキサン;フォンブリン、ガルデン(ソルベイソレクシス製)、デムナム(ダイキン工業製)、クライトックス(デュポン製)などのパーフルオロポリエーテル系化合物などが挙げられる。中でも、ヘキサフルオロメタキシレン、デカメチルシクロペンタシロキサンが、一般式(3)で表される含フッ素オレフィン化合物、SiH化合物及び最終生成物であるフッ素含有ケイ素化合物の溶解性に優れており好適である。
[蓄熱特性]
本実施形態のフッ素含有ケイ素化合物は、化合物自体が、高い撥水・撥油性、防汚性を有し、しかも、良好な潜熱蓄熱特性を示す。したがって、潜熱蓄熱材料として使用するのに適している。
潜熱蓄熱材料として室温付近で安定した効果を発揮する為に、その融点は、30℃以上170℃以下である事が好ましく、50℃以上120℃以下である事がより好ましい。
また、任意に熱を取り出す事を可能にする過冷却特性を化合物に付与する観点から、過冷却温度差(融点−再結晶温度)が20℃以上であることが好ましく、30℃以上であることがより好ましい。
本実施形態のフッ素含有ケイ素化合物を潜熱蓄熱材料として使用する際の態様に限定はなく、例えば、該化合物をそのまま、容器や袋に入れて潜熱蓄熱材料としてもよいし、或いは、本実施形態のフッ素含有ケイ素化合物を熱可塑性樹脂に練りこんだ成型体としたり、熱硬化性樹脂の中に添加し固めた硬化物としてもよい。
以下、実施例を示して本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
[DSCによる熱分析]
パーキンエルマー社製ダイヤモンドDSCを用い、サンプル質量を5mgとして、0℃から毎分10℃で200℃まで昇温した後、毎分10℃で0℃まで降温測定を行い、得られた吸熱ピーク及び発熱ピークを与える温度から、サンプルの融点及び再結晶温度を求め、 過冷却温度差(℃)=融点(℃)−再結晶温度(℃)を算出した。
[合成例1]
還流冷却器を備えた50mL3つ口フラスコに、オクタキス(ジメチルシリルオキシ)オクタシルセスキオキサン(ハイブリッド プラスチック社製オクタシランPOSS)3.00g(3mmol)、3−(パーフルオロヘキシル)−1−プロペン(ユニマッテック社製)11.4g(31mmol)、及び、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン(3M社製Novec7300)16.69gを添加し、90℃に加熱後、白金原子15ppmとなるよう、カルステッド触媒(白金3重量%キシレン溶液)0.1gをNovec7300 10gで希釈した溶液を0.54g添加した。24h後に反応液をサンプリングし、5wt%の重クロロホルム中で1H−NMR測定(クロロホルムの基準ピークを7.24ppmとし、積算回数は64回とした)を行い4.7ppm付近のSiH基のピークが消失している事を確認後、反応液を50mLナス型フラスコに移し、50℃にて、低沸留去を行い、白色固体14gを得た。
得られた化合物について、日本電子株式会社製ECZ400S、プローブはTFHプローブを用いて、以下のようにしてNMR測定を行った。
得られた白色固体0.05gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5gを添加し、1H−NMRを測定した。
なお、クロロホルムの基準ピークを7.24ppmとし、積算回数は64回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これらは、下記の構造式における各部位a〜dにおける水素(部位aについてはメチル基の水素)を示す。
a:0.2ppm
b:0.8ppm
c:1.8ppm
d:2.2ppm
Figure 0006923300
また、a〜dのそれぞれのピークの積分比がa:b:c:d=3:1:1:1である事を確認した。
また、得られた白色固体0.1gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5g、テトラメチルシランを0.01g、トリスアセチルアセトナートクロムを15mg添加し、29Si−NMRを測定した。
なお、テトラメチルシランの基準ピークを0ppmとし、積算回数は1024回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これらは、下記の構造式における各部位A、Bにおけるケイ素を示す。A:−109ppm
B:12ppm
Figure 0006923300
さらに、1H−NMRを測定した溶液を用い、積算回数は64回で測定で19F−NMRを測定したところ、炭素数6のフルオロアルキル鎖に由来するピークを確認した。
以上の結果より、得られた化合物が下記の構造を有していることが確認された。
Figure 0006923300
[合成例2]
3−(パーフルオロヘキシル)−1−プロペンの代わりに3−(パーフルオロデシル)−1−プロペンを用いた以外は、合成例1と同様にして、白色固体を得た。
得られた白色固体0.05gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5gを添加し、1H−NMRを測定した。
なお、クロロホルムの基準ピークを7.24ppmとし、積算回数は64回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これらは、後掲の構造式における各部位a〜dにおける水素(部位aについてはメチル基の水素)を示す。
a:0.2ppm
b:0.8ppm
c:1.8ppm
d:2.2ppm
a〜dのそれぞれのピークの積分比がa:b:c:d=3:1:1:1である事を確認した。
また、得られた白色固体0.1gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5g、テトラメチルシランを0.01g、トリスアセチルアセトナートクロムを15mg添加し、29Si−NMRを測定した。
なお、テトラメチルシランの基準ピークを0ppmとし、積算回数は1024回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これらは後掲の構造式における各部位A、Bにおけるケイ素を示す。
A:−109ppm
B:12ppm
さらに、1H−NMRを測定した溶液を用い、積算回数は64回で測定で19F−NMRを測定したところ、炭素数6のフルオロアルキル鎖に由来するピークを確認した。
以上の結果より、得られた化合物が下記の構造を有していることが確認された。
Figure 0006923300
[合成例3]
3−(パーフルオロヘキシル)−1−プロペンの代わりに3−(パーフルオロオクチル)−1−プロペンを用いた以外は、合成例1と同様にして、白色固体を得た。
得られた白色固体0.05gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5gを添加し、1H−NMRを測定した。
なお、クロロホルムの基準ピークを7.24ppmとし、積算回数は64回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これらは、後掲の構造式における各部位a〜dにおける水素(部位aについてはメチル基の水素)を示す。
得られた白色固体について、合成例1と同様にして1H−NMRを測定したところ、以下に示すケミカルシフト値が観測され、a〜dのそれぞれのピークの積分比がa:b:c:d=3:1:1:1であることを確認した。
a:0.2ppm
b:0.8ppm
c:1.8ppm
d:2.2ppm
a〜dのそれぞれのピークの積分比がa:b:c:d=3:1:1:1である事を確認した。
また、得られた白色固体0.1gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5g、テトラメチルシランを0.01g、トリスアセチルアセトナートクロムを15mg添加し、29Si−NMRを測定した。
なお、テトラメチルシランの基準ピークを0ppmとし、積算回数は1024回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これらは後掲の構造式における各部位A、Bにおけるケイ素を示す。
また、合成例1と同様にして29Si−NMRを測定したところ、以下に示すケミカルシフト値が観測された。
A:−109ppm
B:12ppm
さらに、1H−NMRを測定した溶液を用い、積算回数は64回で測定で19F−NMRを測定したところ、炭素8のフルオロアルキル鎖に由来するピークを確認した。
以上の結果より、得られた化合物が下記の構造を有していることが確認された。
Figure 0006923300
[合成例4]
還流冷却器を備えた50mL3つ口フラスコに、2、4、6、8―テトラメチルシクロテトラシロキサン(TCI社製)1.90g(8mmol)、3−(パーフルオロヘキシル)−1−プロペン(ユニマッテック社製)13.7g(38mmol)、及びNovec7300(3M社製)16.69gを添加し、90℃に加熱後、白金原子200ppmとなるよう、カルステッド触媒(白金3重量%キシレン溶液)0.09gを添加した。24h後に1H−NMRにてSiH基のピークが消失している事を確認後、反応液を50mLナス型フラスコに移し、50℃にて、低沸留去を行い、白色固体13gを得た。
得られた白色固体0.05gに重クロロホルム1.0gを添加して、1H−NMRを測定した。
なお、クロロホルムの基準ピークを7.24ppmとし、積算回数は64回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これらは、後掲の構造式における各部位a〜dにおける水素(部位aについてはメチル基の水素)を示す。
a:0.1ppm
b:0.7ppm
c:1.7ppm
d:2.1ppm
a〜dのそれぞれのピークの積分比がa:b:c:d=3:2:2:2である事を確認した。
また、得られた白色固体0.1gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5g、テトラメチルシランを0.01g、トリスアセチルアセトナートクロムを15mg添加し、29Si−NMRを測定した。
なお、テトラメチルシランの基準ピークを0ppmとし、積算回数は1024回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これは後掲の構造式における部位Aにおけるケイ素を示す。
A:−20ppm
さらに、1H−NMRを測定した溶液を用い、積算回数は64回で測定で19F−NMRを測定したところ、炭素数6のフルオロアルキル鎖に由来するピークを確認した。
以上の結果より、得られた化合物が下記の構造を有していることが確認された。
Figure 0006923300
[合成例5]
3−(パーフルオロヘキシル)−1−プロペンの代わりに3−(パーフルオロデシル)−1−プロペンを用いた以外は、合成例4と同様にして、白色固体を得た。
得られた白色固体0.05gに重クロロホルム1.0gを添加し、1H−NMRを測定した。
なお、クロロホルムの基準ピークを7.24ppmとし、積算回数は64回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これらは、後掲の構造式における各部位a〜dにおける水素(部位aについてはメチル基の水素)を示す。
a:0.1ppm
b:0.7ppm
c:1.7ppm
d:2.1ppm
a〜dのそれぞれのピークの積分比がa:b:c:d=3:2:2:2である事を確認した。
また、得られた白色固体0.1gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5g、テトラメチルシランを0.01g、トリスアセチルアセトナートクロムを15mg添加し、29Si−NMRを測定した。
なお、テトラメチルシランの基準ピークを0ppmとし、積算回数は1024回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これは後掲の構造式における部位Aにおけるケイ素を示す。
A:−20ppm
さらに、1H−NMRを測定した溶液を用い、積算回数は64回で測定で19F−NMRを測定したところ、炭素数4のフルオロアルキル鎖に由来するピークを確認した。
以上の結果より、得られた化合物が下記の構造を有していることが確認された。
Figure 0006923300
[合成例6]
3−(パーフルオロヘキシル)−1−プロペンの代わりに3−(パーフルオロオクチル)−1−プロペンを用いた以外は、合成例4と同様にして、白色固体を得た。
得られた白色固体0.05gに重クロロホルム1.0gを添加し、1H−NMRを測定した。
なお、クロロホルムの基準ピークを7.24ppmとし、積算回数は64回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これらは、後掲の構造式における各部位a〜dにおける水素(部位aについてはメチル基の水素)を示す。
a:0.1ppm
b:0.7ppm
c:1.7ppm
d:2.1ppm
a〜dのそれぞれのピークの積分比がa:b:c:d=3:2:2:2である事を確認した。 また、得られた白色固体0.1gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5g、テトラメチルシランを0.01g、トリスアセチルアセトナートクロムを15mg添加し、29Si−NMRを測定した。
なお、テトラメチルシランの基準ピークを0ppmとし、積算回数は1024回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これは後掲の構造式における部位Aにおけるケイ素を示す。
A:−20ppm
さらに、1H−NMRを測定した溶液を用い、積算回数は64回で測定で19F−NMRを測定したところ、炭素数8のフルオロアルキル鎖に由来するピークを確認した。
以上の結果より、得られた化合物が下記の構造を有していることが確認された。
Figure 0006923300
[合成例7]
オクタシランPOSS(ハイブリッドプラスチック社製)の代わりにハイドロ−T8−シルセスキオキサン(ハイブリッドプラスチック社製オクタハイドロPOSS)を用いた他は、合成例1と同様にして、白色固体を得た。
得られた白色固体0.05gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5gを添加し、1H−NMRを測定した。
なお、クロロホルムの基準ピークを7.24ppmとし、積算回数は64回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これらは、後掲の構造式における各部位a〜cにおける水素を示す。
a:0.9ppm
b:1.8ppm
c:2.2ppm
a〜cのそれぞれのピークの積分比がa:b:c=1:1:1である事を確認した。 また、得られた白色固体0.1gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5g、テトラメチルシランを0.01g、トリスアセチルアセトナートクロムを15mg添加し、29Si−NMRを測定した。
なお、テトラメチルシランの基準ピークを0ppmとし、積算回数は1024回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これは後掲の構造式における部位Aにおけるケイ素を示す。
A:−67ppm
さらに、1H−NMRを測定した溶液を用い、積算回数は64回で測定で19F−NMRを測定したところ、炭素数6のフルオロアルキル鎖に由来するピークを確認した。
以上の結果より、得られた化合物が下記の構造を有していることが確認された。
Figure 0006923300
[合成例8]
オクタシランPOSS(ハイブリッドプラスチック社製)の代わりにオクタハイドロPOSS(ハイブリッドプラスチック社製)を用いた他は、合成例2と同様の実験を行い、白色固体を得た。
得られた白色固体0.05gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5gを添加し、1H−NMRを測定した。
なお、クロロホルムの基準ピークを7.24ppmとし、積算回数は64回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これらは、後掲の構造式における各部位a〜cにおける水素を示す。
a:0.9ppm
b:1.8ppm
c:2.2ppm
a〜cのそれぞれのピークの積分比がa:b:c=1:1:1である事を確認した。
また、得られた白色固体0.1gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5g、テトラメチルシランを0.01g、トリスアセチルアセトナートクロムを15mg添加し、29Si−NMRを測定した。
なお、テトラメチルシランの基準ピークを0ppmとし、積算回数は1024回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これは後掲の構造式における部位Aにおけるケイ素を示す。
A:−67ppm
さらに、1H−NMRを測定した溶液を用い、積算回数は64回で測定で19F−NMRを測定したところ、炭素数4のフルオロアルキル鎖に由来するピークを確認した。
以上の結果より、得られた化合物が下記の構造を有していることが確認された。
Figure 0006923300
[合成例9]
オクタシランPOSS(ハイブリッドプラスチック社製)の代わりにオクタハイドロPOSS(ハイブリッドプラスチック社製)を用いた他は、合成例3と同様の実験を行い、白色固体を得た。
得られた白色固体0.05gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5gを添加し、1H−NMRを測定した。
なお、クロロホルムの基準ピークを7.24ppmとし、積算回数は64回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これらは、後掲の構造式における各部位a〜cにおける水素を示す。
a:0.9ppm
b:1.8ppm
c:2.2ppm
a〜cのそれぞれのピークの積分比がa:b:c=1:1:1である事を確認した。
また、得られた白色固体0.1gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5g、テトラメチルシランを0.01g、トリスアセチルアセトナートクロムを15mg添加し、29Si−NMRを測定した。
なお、テトラメチルシランの基準ピークを0ppmとし、積算回数は1024回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これは後掲の構造式における部位Aにおけるケイ素を示す。
A:−67ppm
さらに、1H−NMRを測定した溶液を用い、積算回数は64回で測定で19F−NMRを測定したところ、炭素数8のフルオロアルキル鎖に由来するピークを確認した。
以上の結果より、得られた化合物が下記の構造を有していることが確認された。
Figure 0006923300
[合成例10]
還流冷却器を備えた50mL3つ口フラスコに、1H、1H、2H、2H―ノナフルオロヘキシルトリエトキシシラン(TCI社製)4.1gをエタノール10mLに溶解した溶液に、及び水酸化カリウム2mgを270mgのイオン交換水に溶解した水溶液を添加し、25℃で、24h撹拌した。得られた白色沈殿を濾過し、エタノールで繰り返し洗浄した。
洗浄固体を1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(アサヒクリンAK225G)に再溶解し、イオン交換水で繰り返し洗浄した。
有機層に硫酸マグネシウムを添加し乾燥後、濾過を行い、ろ液を50mLナス型フラスコに移し、50℃にて、低沸留去を行い、白色固体を得た。
得られた白色固体0.05gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5gを添加し、1H−NMRを測定した。
なお、クロロホルムの基準ピークを7.24ppmとし、積算回数は64回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これらは、後掲の構造式における各部位a、bにおける水素を示す。
a:1.1ppm
b:2.3ppm
a、bのそれぞれのピークの積分比がa:b=1:1である事を確認した。
また、得られた白色固体0.1gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5g、テトラメチルシランを0.01g、トリスアセチルアセトナートクロムを15mg添加し、29Si−NMRを測定した。
なお、テトラメチルシランの基準ピークを0ppmとし、積算回数は1024回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これは後掲の構造式における部位Aにおけるケイ素を示す。
A:−67ppm
さらに、1H−NMRを測定した溶液を用い、積算回数は64回で測定で19F−NMRを測定したところ、炭素数6のフルオロアルキル鎖に由来するピークを確認した。
以上の結果より、得られた化合物が下記の構造を有していることが確認された。
Figure 0006923300
[合成例11]
1H、1H、2H、2H―ノナフルオロヘキシルトリエトキシシランの代わりに、1H、1H、2H、2H―トリデカフルオロヘキシルトリエトキシシランを用いた以外は合成例10と同様にして、白色固体を得た。
得られた白色固体0.05gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5gを添加し、1H−NMRを測定した。
なお、クロロホルムの基準ピークを7.24ppmとし、積算回数は64回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これらは、後掲の構造式における各部位a、bにおける水素を示す。
a:1.1ppm
b:2.3ppm
a、bのそれぞれのピークの積分比がa:b=1:1である事を確認した。
また、得られた白色固体0.1gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5g、テトラメチルシランを0.01g、トリスアセチルアセトナートクロムを15mg添加し、29Si−NMRを測定した。
なお、テトラメチルシランの基準ピークを0ppmとし、積算回数は1024回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これは後掲の構造式における部位Aにおけるケイ素を示す。
A:−67ppm
さらに、1H−NMRを測定した溶液を用い、積算回数は64回で測定で19F−NMRを測定したところ、炭素数4のフルオロアルキル鎖に由来するピークを確認した。
以上の結果より、得られた化合物が下記の構造を有していることが確認された。
Figure 0006923300
[合成例12]
1H、1H、2H、2H―ノナフルオロヘキシルトリエトキシシランの代わりに、1H、1H、2H、2H―ヘキサデカフルオロヘキシルトリエトキシシランを用いた以外は合成例10と同様にして、白色固体を得た。
得られた白色固体0.05gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5gを添加し、1H−NMRを測定した。
なお、クロロホルムの基準ピークを7.24ppmとし、積算回数は64回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これらは、後掲の構造式における各部位a、bにおける水素を示す。
a:1.1ppm
b:2.3ppm
a、bのそれぞれのピークの積分比がa:b=1:1である事を確認した。
また、得られた白色固体0.1gに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン0.5g、及び重クロロホルム0.5g、テトラメチルシランを0.01g、トリスアセチルアセトナートクロムを15mg添加し、29Si−NMRを測定した。
なお、テトラメチルシランの基準ピークを0ppmとし、積算回数は1024回で測定を行った。
観測されたケミカルシフト値を以下に示す。これは後掲の構造式における部位Aにおけるケイ素を示す。
A:−67ppm
さらに、1H−NMRを測定した溶液を用い、積算回数は64回で測定で19F−NMRを測定したところ、炭素数8のフルオロアルキル鎖に由来するピークを確認した。
以上の結果より、得られた化合物が下記の構造を有していることが確認された。
Figure 0006923300
[合成例13]
オクタシランPOSSを用いる代わりに、両末端トリメトキシ基を有するポリヒドロメチルシロキサン及びポリジメチルシロキサンのコポリマー(化学式:{(CH33SiO[−(H)CH3SiO−]8[−(CH32SiO−]18Si(CH33})(Glest社製)を用いた他は、合成例3と同様に合成した。
なお、上記合成は、Journal of Polymer Science Part A. Polymer Chemistry 2002年40巻3120頁で報告されているものであり、これにより得られる化合物の構造(Si骨格及びビニル骨格)を表1に示した。
[合成例14]
オクタシランPOSSを用いる代わりに、両末端トリメトキシ基を有するポリヒドロメチルシロキサンポリマー(化学式:{(CH33SiO[−(CH32SiO−]25Si(CH33})を用いた他は、合成例3と同様に合成した。
なお、上記合成は、Journal of Polymer Science Part A. Polymer Chemistry 2002年40巻3120頁で報告されているものであり、これにより得られる化合物の構造(Si骨格及びビニル骨格)を表1に示した。
[実施例1]
合成例1で合成した化合物のDSCを測定し、融点及び過冷却温度差を求めた。測定温度領域(0〜200℃)に発熱ピークは現れなかったため、再結晶温度は0℃未満、過冷却温度差は「78℃より大きい」とした。
[実施例2]
合成例2で合成した化合物のDSCを測定し、融点及び過冷却温度差を求めた。測定温度領域(0〜200℃)に発熱ピークは現れなかったため、再結晶温度は0℃未満、過冷却温度差は「62℃より大きい」とした。
[実施例3]
合成例3で合成した化合物のDSCを測定し、融点及び過冷却温度差を求めた。
参考例4]
合成例4で合成した化合物のDSCを測定し、融点及び過冷却温度差を求めた。
参考例5]
合成例5で合成した化合物のDSCを測定し、融点及び過冷却温度差を求めた。
参考例6]
合成例6で合成した化合物のDSCを測定し、融点及び過冷却温度差を求めた。
参考例7]
合成例7で合成した化合物のDSCを測定し、融点及び過冷却温度差を求めた。
参考例8]
合成例8で合成した化合物のDSCを測定し、融点及び過冷却温度差を求めた。
参考例9]
合成例9で合成した化合物のDSCを測定し、融点及び過冷却温度差を求めた。
参考例10]
合成例10で合成した化合物のDSCを測定し、融点及び過冷却温度差を求めた。
参考例11]
合成例11で合成した化合物のDSCを測定し、融点及び過冷却温度差を求めた。
参考例12]
合成例12で合成した化合物のDSCを測定し、融点及び過冷却温度差を求めた。
[比較例1]
合成例13で合成した化合物のDSCを測定したが、測定温度領域には吸熱ピーク及び発熱ピークは現れなかったため、融点についてはJournal of Polymer Science Part A. Polymer Chemistry 2002年40巻3120頁に記載されている値を採用した。
[比較例2]
合成例14で合成した化合物のDSCを測定し、融点及び過冷却温度差を求めた。
Figure 0006923300
実施例1〜3、参考例4〜12(合成例1〜12)のフッ素含有ケイ素化合物は、いずれも室温以上の融点を有しており、潜熱蓄熱材料にも、防汚性付与成分にも適していた。さらに、これらは過冷却温度差が大きいため、潜熱蓄熱材料に適していた。
一方、比較例1(合成例13)のフッ素含有ケイ素化合物は、融点が−36℃であるため潜熱蓄熱材料にも防汚性付与成分にも適していなかった。また、比較例2(合成例14)のフッ素含有ケイ素化合物は、過冷却温度差が小さく、潜熱蓄熱特性が不十分であった。
本発明のフッ素含有ケイ素化合物は、潜熱蓄熱性と撥水撥油性を兼ね備えているので、潜熱蓄熱材料、特に屋外等の外気に曝露される状態で使用される潜熱蓄熱材料、として好適に利用できる。
さらに、本発明のフッ素含有ケイ素化合物は、耐薬品性、耐加水分解性、潤滑性、離型性などにも優れ、かつ、従来の含フッ素有機基含有化合物と比較して、有機溶剤もしくは塗料、化粧料、各種コーティング材料などの物質との親和性に優れているため、化粧品添加剤、成型時の金型離型性を向上させる離型剤、グリースに撥水撥油性を付与するための添加剤、潤滑油の耐摩耗性向上のための添加剤、染料及び顔料工業分野における顔料の着色性及び分散性向上用助剤、塗料欠陥是正のための流展性及びへこみ防止性付与剤等、潜熱蓄熱材料以外の用途にも有用に使用することができる。

Claims (4)

  1. 下記化学式(1)で表される環状シロキサン構造を少なくとも1つ有するフッ素含有ケイ素化合物。
    Figure 0006923300
    (式(1)中、
    nは、0以上5以下の整数、
    Rは、各々独立して、下記化学式(2)で表される基である。)
    Figure 0006923300
    (式(2)中、
    Rfは、フッ素原子、炭素数1〜100の直鎖状もしくは分岐状フルオロアルキル基、又は炭素数3〜200のフルオロポリエーテル基、
    Qは、直接結合又は炭素数1〜12の2価の有機基であり、アルキレン基、アリーレン基、又はこれらの基の2種以上の組み合わせであるか、あるいはこれらの基にエーテル結合、アミド結合、エステル結合、ジオルガノシリレン基から選ばれる1種又は2種以上の構造を介在させた基であり、
    1、R2は、互いに独立に、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜10のアラルキル基であり、
    aは、1〜30の整数である。)
  2. DSC測定による過冷却温度差が20℃以上である、請求項1記載のフッ素含有ケイ素化合物。
  3. DSC測定による融点が30℃以上である、請求項1又は2記載のフッ素含有ケイ素化合物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のフッ素含有ケイ素化合物を含む潜熱蓄熱材料。
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