JP2011201831A - 〔2,3,6,7,10,11−ヘキサ(置換)オキシ〕−トリフェニレン化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】効率的にかつ高収率で大量にトリフェニレン化合物を製造できるトリフェニレン化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】1,2−ジ(置換)オキシベンゼン化合物用いて反応させてトリフェニレン化合物を製造する方法において、酸素、ナイトライト化合物、ルイス酸性化合物、及び有機溶媒の存在下で反応させることを特徴とするトリフェニレン化合物の製造方法である。
【選択図】なし
【解決手段】1,2−ジ(置換)オキシベンゼン化合物用いて反応させてトリフェニレン化合物を製造する方法において、酸素、ナイトライト化合物、ルイス酸性化合物、及び有機溶媒の存在下で反応させることを特徴とするトリフェニレン化合物の製造方法である。
【選択図】なし
Description
本発明は、ディスコティック液晶の母核等に用いられる機能性有機材料及びその中間体原料等となる〔2,3,6,7,10,11−ヘキサ(置換)オキシ〕−トリフェニレン化合物(以下、トリフェニレン化合物という)の製造方法に関する。
液晶表示素子は、例えば、パーソナルコンピューター、及びテレビ等のディスプレイに広く用いられている。近年、液晶表示素子の根本をなす素材である液晶化合物についても活発に研究開発が行なわれており、数多くの液晶化合物が開発されている。これらの液晶化合物としては、従来からよく知られ、よく利用されている棒状の液晶化合物に加え、近年においては、円盤状の液晶化合物、いわゆるディスコティック液晶化合物が注目を浴びている。
代表的なディスコティック液晶化合物の一つとして、トリフェニレン化合物が挙げられる。トリフェニレン化合物の製造方法としては、1,2−ジ(置換)ベンゼン化合物を原料として、2,3,6,7,10,11−ヘキサ(置換)トリフェニレン化合物を製造する方法が種々検討されている。
例えば、よく知られている製造方法としては、1,2−ジアルコキシベンゼンを70%硫酸と無水塩化第二鉄との混合物に加え、2,3,6,7,10,11−ヘキサアルコキシトリフェニレンを得る方法(例えば、非特許文献1)や、1,2−ジアルコキシベンゼンと塩化第二鉄水溶液との混合物に濃硫酸を添加する方法(例えば、特許文献1)などが挙げられる。しかしながら、これらの方法は、硫酸を溶剤として大量に使用するため、反応時に塩化水素が大量に生成し、反応後に大量の廃酸が発生する。このため、工業的に大規模に製造するには問題がある。また、目的物を得るために濾過する際の濾過性も悪い。特に、得られた結晶の沈降を待ってから上澄み液を除去するため、時間がかかる。また、結晶の洗浄にも大量の水が必要となるため、大量生産には不向きである。
一方、有機溶媒を用いる方法としては、例えば、塩化メチレン中、五塩化モリブデンを使用する方法(例えば、非特許文献2)、ハロゲン化炭化水素溶媒中、塩化第二鉄を使用する方法(例えば、特許文献2)、有機溶媒中にて酸化剤を用いて酸化カップリング後に還元剤としてメタノールを反応させる方法(例えば、特許文献3)、及び酸化剤に無水塩化第二鉄を使用し、有機溶媒に水とプロトン酸を添加する方法(例えば、特許文献4)が知られている。
Synthesis,p477−478(1994)
Synlett,p622−624(2002)
しかしながら、これらの方法は、反応後に大量の廃液がでることや、例えば、特許文献3のように過剰の金属化合物を使用したりすること等、環境に負荷がかかるという問題がある。また、特許文献2記載の方法では、反応速度が遅く、十分な反応を行うためには、長い反応時間が必要となるという問題がある。さらに、特許文献4の方法では、反応混合液から目的物を取り出す際の濾過性が悪く非効率であり、結果的に、目的物の収率が低いという問題がある。
そこで本発明は、効率的にかつ高収率で大量にトリフェニレン化合物を製造できるトリフェニレン化合物の製造方法を提供することを目的とする。
以上の目的を達成するために、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、1,2−ジ(置換)オキシベンゼン化合物用いて反応させてトリフェニレン化合物を製造する方法において、酸素、ナイトライト化合物、ルイス酸性化合物、及び有機溶媒の存在下で反応を行うことにより、簡便な操作で高効率に、かつ収率よく、トリフェニレン化合物を製造できることを見出し、本願発明に到った。
即ち、本発明の課題は、以下に示す[1]から[4]に記載の発明により解決される。
[1]:式(1)で表わされる1,2−ジ(置換)オキシベンゼン化合物を用いて反応させて式(2)で表わされるトリフェニレン化合物を製造する方法において、酸素、ナイトライト化合物、ルイス酸性化合物、及び有機溶媒の存在下で反応させることを特徴とするトリフェニレン化合物の製造方法。
[1]:式(1)で表わされる1,2−ジ(置換)オキシベンゼン化合物を用いて反応させて式(2)で表わされるトリフェニレン化合物を製造する方法において、酸素、ナイトライト化合物、ルイス酸性化合物、及び有機溶媒の存在下で反応させることを特徴とするトリフェニレン化合物の製造方法。
(L1乃至L3において、Akは、置換基を有していてもよい、炭素数1から8のメチレン基を示す。Arは、置換基を有していてもよい、フェニレン基、ナフタニレン基、チオフェニレン基、及びピリジニレンから選ばれるアリーレン基を示す。X、Yは、結合基を示し、Zは、末端基を示す。nは前記Ak及びXからなる(Ak−X)基の数を示し、0から4の整数である。ここで、nが2以上の場合、(Ak−X)基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。mは前記Ar及びYからなる(Ar−Y)基の数を示し、0から4の整数である。mが2以上の場合、(Ar−Y)基はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。波線を付した結合は、式(1)中の酸素原子との結合部分を示す。)
[2]:ナイトライト化合物が、メチルナイトライト、n−ブチルナイトライト、及びt−ブチルナイトライトのうち少なくとも1種以上である前記[1]に記載のトリフェニレン化合物の製造方法。
[3]:ルイス酸性化合物が、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素一酢酸錯体、三フッ化ホウ素二酢酸錯体、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン錯体、三フッ化ホウ素二水和物、三フッ化ホウ素−n−ブチルエーテル錯体、及び三フッ化ホウ素ジメチルエーテル錯体のうち少なくとも1種以上である前記[1]又は[2]に記載のトリフェニレン化合物の製造方法。
[4]:前記有機溶媒が、トリフルオロ酢酸である前記[1]乃至[3]いずれか記載のトリフェニレン化合物の製造方法。
以上のように、本発明によれば、効率的にかつ高収率で大量にトリフェニレン化合物を製造できるトリフェニレン化合物の製造方法を提供することができる。
本発明においては、下記反応式〔I〕で示されるように、ナイトライト化合物とルイス酸性化合物とが活性化試薬となり、酸素によって1,2−ジ(置換)オキシベンゼン化合物が酸化され、酸化した1,2−ジ(置換)オキシベンゼン化合物が反応してトリフェニレン化合物が得られる。
L1乃至L3において、Akは、置換基を有していてもよい、炭素数1から8のメチレン基を示す。Arは、置換基を有していてもよい、フェニレン基、ナフタニレン基、チオフェニレン基、及びピリジニレンから選ばれるアリーレン基を示す。X、Yは、結合基を示し、単結合(none)、エーテル結合(−O−)、アミノ結合(−NH−)、チオエーテル結合(−S−)、スルホン結合(−S(=O)−)、スルホキシド結合(−SO2−)、カルボキシ結合(−COO−)、オキシカルボニル結合(−OCO−)、アミド結合(−CONH−、−NHCO−)、及び尿素結合(−NHCONH−)からなる群から選ばれる。Zは、末端基を示し、水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ビニル基、ビニルカルボニル基(−CO−CH=CH2)、ビニルカルボニルオキシ基(−OCO−CH=CH2)、イソプロペニルカルボニル基(−CO−C(CH3)=CH2)、及びイソプロペニルカルボニルオキシ基(−OCO−C(CH3)=CH2)からなる群から選ばれる。
nは、Ak及びXからなる(Ak−X)基の数を示し、0から4の整数である。ここで、nが2以上の場合、(Ak−X)基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。mは、Ar及びYからなる(Ar−Y)基の数を示し、0から4の整数である。mが2以上の場合、(Ar−Y)基はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
式(1)で表わされる1,2−ジ(置換)オキシベンゼン化合物において、L1乃至L3中のAk及びArは、置換基を有していてもよい。置換基は、上記反応式〔I〕で表される反応に悪影響を及ぼすものでなければ特に制限はなく、例えば、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、(炭素原子数1〜4のアルキル)オキシ基、及びハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及び沃素原子)が挙げられる。
L1としては、本発明のごく一例であるが、例えば、下記L1−1乃至L1−58が挙げられる。なお、下記式において、Ak、X,Ar、Y、Z、n及びmは、前記と同じである。波線を付した結合は、式(1)中の酸素原子との結合部分を示す。
L2としては、本発明のごく一例であるが、例えば、下記L2−1乃至L2−59が挙げられる。なお、下記式において、Ak、X,Ar、Y、Z、n及びmは、前記と同じである。波線を付した結合は、式(1)中の酸素原子との結合部分を示す。
L3としては、式(1)で示される1,2−ジ(置換)オキシベンゼン化合物として、
例えば、1,2−メチレンジオキシベンゼン、及び1,2−エチレンジオキシベンゼンが挙げられる。
例えば、1,2−メチレンジオキシベンゼン、及び1,2−エチレンジオキシベンゼンが挙げられる。
上記L1乃至L3のうち、R1及びR2は、置換若しくは無置換の炭素数1〜9のアルキル基であることが好ましく、無置換の炭素数1〜9のアルキル基(例えば、L1−1)であることがさらに好ましく、無置換の炭素数1〜6のアルキル基であることが特に好ましく、無置換の炭素数1〜4のアルキル基であることが最も好ましい。
本発明係るトリフェニレン化合物の製造方法において、使用される酸素としては、例えば、酸素ガス、空気、及び液体酸素が挙げられる。酸化剤として酸素を用いることで、特に、環境に対する負荷を低減し、効率的かつ高収率でトリフェニレン化合物を得ることができる。
本発明係るトリフェニレン化合物の製造方法において、ナイトライト化合物は、例えば、メチルナイトライト(MeONO)、エチルナイトライト(EtONO)、プロピルナイトライト(PrONO)、イソプロピルナイトライト(i−PrONO)、n−ブチルナイトライト(n−BuONO)、iso−ブチルナイトライト(i-BuONO)、t−ブチルナイトライト(t-BuONO)、アミルナイトライト(n−C5H11ONO)、イソアミルナイトライト(i−C5H11ONO)、及びシクロへキシルナイトライト(c-C6H11ONO)等が挙げられる。これらのナイトライト化合物は、単独で、又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
ナイトライト化合物としては、メチルナイトライト(MeONO)、エチルナイトライト(EtONO)、プロピルナイトライト(PrONO)、n−ブチルナイトライト(n−BuONO)、iso−ブチルナイトライト(i-BuONO)、及びt−ブチルナイトライト(t-BuONO)が好ましく、メチルナイトライト、n−ブチルナイトライト、及びt−ブチルナイトライトがさらに好ましい。
本発明係るトリフェニレン化合物の製造方法において、ルイス酸性化合物は、例えば、ハロゲン化ホウ素化合物、金属ハロゲン化合物、金属トリフラート化合物、及び金属トリフルオロアセテート化合物が挙げられる。これらのルイス酸性化合物は、単独で、又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
ハロゲン化ホウ素化合物としては、例えば、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、三ヨウ化ホウ素、三フッ化ホウ素一酢酸錯体、三フッ化ホウ素二酢酸錯体、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン錯体、三フッ化ホウ素アセトニトリル錯体、三フッ化ホウ素二水和物、三フッ化ホウ素−n−ブチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素ジメチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素メタノール錯体、三フッ化ホウ素フェノール錯体、及び三フッ化ホウ素リン酸錯体が挙げられ、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素一酢酸錯体、三フッ化ホウ素二酢酸錯体、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン錯体、三フッ化ホウ素アセトニトリル錯体、三フッ化ホウ素二水和物、三フッ化ホウ素−n−ブチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素ジメチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素メタノール錯体、三フッ化ホウ素フェノール錯体、及び三フッ化ホウ素リン酸錯体であることが好ましく、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素一酢酸錯体、三フッ化ホウ素二酢酸錯体、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン錯体、三フッ化ホウ素二水和物、三フッ化ホウ素−n−ブチルエーテル錯体、及び三フッ化ホウ素ジメチルエーテル錯体であることがさらに好ましい。
金属ハロゲン化物としては、例えば、フッ化アルミニウム、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、フッ化ガリウム、塩化ガリウム、臭化ガリウム、ヨウ化ガリウム、フッ化インジウム、塩化インジウム、臭化インジウム、ヨウ化インジウム、塩化スカンジウム、臭化スカンジウム、ヨウ化スカンジウム、塩化イットリウム、臭化イットリウム、ヨウ化イットリウム、四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン、四塩化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム、四ヨウ化ジルコニウム、四塩化ハフニウム、四臭化ハフニウム、四ヨウ化ハフニウム、三フッ化鉄、三塩化鉄、二塩化鉄、三臭化鉄、三ヨウ化鉄、三フッ化ルテニウム、三塩化ルテニウム、三臭化ルテニウム、三ヨウ化ルテニウム、フッ化亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、フッ化カドニウム、塩化カドニウム、臭化カドニウム、ヨウ化カドニウム、フッ化水銀、塩化水銀、臭化水銀、フッ化スズ、塩化スズ、臭化スズ、ヨウ化スズ、フッ化アンチモン、塩化アンチモン、臭化アンチモン、ヨウ化アンチモン、及び原子番号57〜71のランタノイド三ハロゲン化物が挙げられ、三フッ化鉄、三臭化鉄、三塩化鉄、三ヨウ化鉄、フッ化亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、フッ化スズ、塩化スズ、臭化スズ、ヨウ化スズ及び、原子番号57〜71のランタノイド三ハロゲン化物であることが好ましく、三臭化鉄、三塩化鉄、塩化亜鉛、臭化亜鉛、塩化スズ、及び臭化スズであることがさらに好ましく、三臭化鉄、三塩化鉄、塩化亜鉛、及び臭化亜鉛であることが特に好ましい。
金属トリフラート化合物としては、例えば、銅トリフラート、銀トリフラート、亜鉛トリフラート、カドミウムトリフラート、スズトリフラート、スカンジウムトリフラート、イットリウムトリフラート、及び原子番号57〜71のランタノイドトリフラートが挙げられ、銅トリフラート、亜鉛トリフラート、スズトリフラート、スカンジウムトリフラート、イットリウムトリフラート、及び原子番号57〜71のランタノイドトリフラートであることがさらに好ましい。
金属トリフルオロアセテート化合物としては、例えば、銅トリフルオロアセテート、銀トリフルオロアセテート、亜鉛トリフルオロアセテート、カドミウムトリフルオロアセテート、スズトリフルオロアセテート、スカンジウムトリフルオロアセテート、及びイットリウムトリフルオロアセテートが挙げられ、銅トリフルオロアセテート、カドミウムトリフルオロアセテート、スズトリフルオロアセテート、スカンジウムトリフルオロアセテート、及びイットリウムトリフルオロアセテートであることが好ましく、銅トリフルオロアセテート、スズトリフルオロアセテート、スカンジウムトリフルオロアセテート、及びイットリウムトリフルオロアセテートであることがさらに好ましい。
本発明係るトリフェニレン化合物の製造方法において、有機溶媒は、本発明に係る反応に悪影響を与える等の不都合がない限り特に制限されず、従来使用されているものを広く使用できる。
有機溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−へキサン、n−ヘプタン、及びシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN−メチルピロリドン等のアミド類;N,N’−ジメチルイミダゾリジノン等の尿素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、及びジオキサン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、及びt−ブチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、及び1,4−ジクロロベンゼン等の芳香族ハライド類;ニトロベンゼン等の芳香族ニトロ化合物類;塩化メチレン、及び1,2−ジクロロエタン等の脂肪族ハライド類;酢酸、トリクロロ酢酸、及びトリフルオロ酢酸等の有機カルボン酸類;メタンスルホン酸、及びトリフルオロメタンスルホン酸等の有機スルホン酸類が挙げられ、n−ペンタン、n−へキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、t−ブチルベンゼン、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、及びトリフルオロメタンスルホン酸であることが好ましく、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、及びトリフルオロメタンスルホン酸であることが好ましく、ベンゼン、トルエン、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、及びトリフルオロメタンスルホン酸であることがさらに好ましく、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、及びトリフルオロメタンスルホン酸であることが特に好ましく、塩化メチレン、トリフルオロ酢酸であることが最も好ましい。これらの溶媒は、単独で、又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明係るトリフェニレン化合物の製造方法において、有機溶媒として、少なくともトリフルオロ酢酸を加えた2種以上が好ましい。トリフルオロ酢酸を用いると、反応速度が向上し、トリフェニレン化合物の収率も向上する。
酸素の使用量(導入量)は、式(1)で示される1,2−ジ(置換)オキシベンゼン化合物1モルに対して、1モル以上であることが好ましく、1〜50000モルであることがさらに好ましく、1〜5000モルであることが特に好ましい。また、反応系中に酸素を吹き込む場合、その供給速度は、100〜100000ml/hrであることが好ましく、200〜20000ml/hrであることがさらに好ましい。
ナイトライト化合物の使用量は、式(1)で示される1,2−ジ(置換)オキシベンゼン化合物1モルに対して、0.001〜5モルであることが好ましく、0.01〜3モルであることがさらに好ましく、0.1〜3モルであることが特に好ましい。
ルイス酸性化合物の使用量は、式(1)で示される1,2−ジ(置換)オキシベンゼン化合物1モルに対して、0.01〜10モルであることが好ましく、0.05〜5モルであることがさらに好ましく、0.1〜5モルであることが特に好ましい。
有機溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性等により適宜調節できるが、式(1)で示される1,2−ジ(置換)オキシベンゼン化合物1gに対して、0.1〜1000mlであることが好ましく、0.3〜500mlであることがさらに好ましく、0.5〜200mlであることが特に好ましい。
トリフルオロ酢酸を用いる場合は、トリフルオロ酢酸の使用量は、式(1)で示される1,2−ジ(置換)オキシベンゼン化合物1ミリモルに対して、0.05〜10mLであることが好ましく、0.1〜5mLであることがさらに好ましく、0.5〜3mLであることが特に好ましい。
本発明に係るトリフェニレン化合物の製造方法において、酸素は、例えば、あらかじめ1,2−ジ(置換)オキシベンゼン化合物に分散、溶解させてもよいし、必要に応じて有機溶媒中に分散、溶解させてもよい。また、反応系内又は反応液内に吹き込んでもよいし、ガスバッグ等の容器に充填して反応系内と接続して供給してもよい。
本発明に係るトリフェニレン化合物の製造方法における反応温度は、一般的には、−50〜80℃であり、−20〜60℃であることが好ましく、−10〜10℃であることがさらに好ましく、−5〜5℃であることが特に好ましい。反応時間は、仕込み量、反応温度等により異なるが、通常0.5〜24時間である。
反応終了後は、例えば、得られた反応混合物に、水を加えて、有機層を抽出、洗浄、及び乾燥する等の後処理を行うことで、目的とするトリフェニレン化合物を得ることができる。得られたトリフェニレン化合物は、例えば、特開2009−155328号に記載の精製方法や、一般的な再結晶、晶析、及びカラムクロマトグラフィー等の方法によって、更に単離・精製してもよい。
実施例1(2,3,6,7,10,11−ヘキサメトキシトリフェニレンの合成)
攪拌装置及び温度計を備えた内容量100mLのガラス製容器に、酸素ガスバッグ(1L、34.7mol)中でベラトロール1.38g(10.0mmol)を溶解させた50mLの塩化メチレン溶液を加えた。この溶液に、温度0℃を保ちながら、トリフルオロ酢酸20mL(ベラトロール1mmolに対して、2mL使用)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体4.47g(30.0mmol)を溶解させた10mLの塩化メチレン溶液、及びn−ブチルナイトライト0.20g(2.00mmol)を順次滴下し、1時間攪拌した。反応終了後、得られた反応混合物を減圧濾過した。得られた濾物を塩化メチレンで洗浄した後、減圧乾燥し、2,3,6,7,10,11−ヘキサメトキシトリフェニレン粗生成物を2.08g得た。得られた濾物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC;絶対検量線法)で分析した結果、反応収率は、77.7%であった。
攪拌装置及び温度計を備えた内容量100mLのガラス製容器に、酸素ガスバッグ(1L、34.7mol)中でベラトロール1.38g(10.0mmol)を溶解させた50mLの塩化メチレン溶液を加えた。この溶液に、温度0℃を保ちながら、トリフルオロ酢酸20mL(ベラトロール1mmolに対して、2mL使用)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体4.47g(30.0mmol)を溶解させた10mLの塩化メチレン溶液、及びn−ブチルナイトライト0.20g(2.00mmol)を順次滴下し、1時間攪拌した。反応終了後、得られた反応混合物を減圧濾過した。得られた濾物を塩化メチレンで洗浄した後、減圧乾燥し、2,3,6,7,10,11−ヘキサメトキシトリフェニレン粗生成物を2.08g得た。得られた濾物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC;絶対検量線法)で分析した結果、反応収率は、77.7%であった。
次に、2,3,6,7,10,11−ヘキサメトキシトリフェニレン粗生成物のうち0.20gを、水5mlに投入し、一時間撹拌後、濾過し、得られた濾物を減圧乾燥し、実施例1に係る2,3,6,7,10,11−ヘキサメトキシトリフェニレンを得た。得られた2,3,6,7,10,11−ヘキサメトキシトリフェニレンの物性は、以下のとおりであった。
1H−NMR(THF−d8,400MHz,δ(ppm));7.99(6H,s),4.04(18H,s)
FAB−MS(m/z);408
FAB−MS(m/z);408
実施例2(2,3,6,7,10,11−ヘキサメトキシトリフェニレンの合成)
攪拌装置及び温度計を備えた内容量100mLのガラス製容器に、酸素ガスバッグ(1L、34.7mol)中でベラトロール0.138g(1.0mmol)を溶解させた8mLの塩化メチレン溶液を加えた。この溶液に、温度2〜3℃を保ちながら、トリフルオロ酢酸2mL(ベラトロール1mmolに対して、2mL使用)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体0.447g(3.0mmol)を溶解させた1mLの塩化メチレン溶液、及びn−ブチルナイトライト0.021g(0.20mmol)を順次滴下し、1時間攪拌した。反応終了後、得られた反応混合物を減圧濾過して実施例2に係る2,3,6,7,10,11−ヘキサメトキシトリフェニレンを得た。高速液体クロマトグラフィー(HPLC;絶対検量線法)で分析した結果、反応収率は、71.0%であった。
攪拌装置及び温度計を備えた内容量100mLのガラス製容器に、酸素ガスバッグ(1L、34.7mol)中でベラトロール0.138g(1.0mmol)を溶解させた8mLの塩化メチレン溶液を加えた。この溶液に、温度2〜3℃を保ちながら、トリフルオロ酢酸2mL(ベラトロール1mmolに対して、2mL使用)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体0.447g(3.0mmol)を溶解させた1mLの塩化メチレン溶液、及びn−ブチルナイトライト0.021g(0.20mmol)を順次滴下し、1時間攪拌した。反応終了後、得られた反応混合物を減圧濾過して実施例2に係る2,3,6,7,10,11−ヘキサメトキシトリフェニレンを得た。高速液体クロマトグラフィー(HPLC;絶対検量線法)で分析した結果、反応収率は、71.0%であった。
実施例3(2,3,6,7,10,11−ヘキサメトキシトリフェニレンの合成)
トリフルオロ酢酸を使用しなかった以外は、実施例2と同様にして実施例3に係る2,3,6,7,10,11−ヘキサメトキシトリフェニレンを得た。高速液体クロマトグラフィー(HPLC;絶対検量線法)で分析した結果、反応収率は、69.0%であった。
トリフルオロ酢酸を使用しなかった以外は、実施例2と同様にして実施例3に係る2,3,6,7,10,11−ヘキサメトキシトリフェニレンを得た。高速液体クロマトグラフィー(HPLC;絶対検量線法)で分析した結果、反応収率は、69.0%であった。
実施例4(トリスメチレンジオキシトリフェニレンの合成)
攪拌装置及び温度計を備えた内容量100mLのガラス製容器に、酸素ガスバッグ(1L、34.7mol)中で1,2−メチレンジオキシベンゼン0.128g(1.0mmol)を溶解させた8mLの塩化メチレン溶液を加えた。この溶液に、温度2〜3℃を保ちながら、トリフルオロ酢酸2mL(1,2−メチレンジオキシベンゼン1mmolに対して、2mL使用)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体0.150g(1.0mmol)を溶解させた1mLの塩化メチレン溶液、及びn−ブチルナイトライト0.021g(0.20mmol)を順次滴下し、1時間攪拌した。反応終了後、得られた反応混合物を減圧濾過して実施例4に係るトリスメチレンジオキシトリフェニレン(式(2−L3))を得た。高速液体クロマトグラフィー(HPLC;絶対検量線法)で分析した結果、反応収率は、57.0%であった。
攪拌装置及び温度計を備えた内容量100mLのガラス製容器に、酸素ガスバッグ(1L、34.7mol)中で1,2−メチレンジオキシベンゼン0.128g(1.0mmol)を溶解させた8mLの塩化メチレン溶液を加えた。この溶液に、温度2〜3℃を保ちながら、トリフルオロ酢酸2mL(1,2−メチレンジオキシベンゼン1mmolに対して、2mL使用)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体0.150g(1.0mmol)を溶解させた1mLの塩化メチレン溶液、及びn−ブチルナイトライト0.021g(0.20mmol)を順次滴下し、1時間攪拌した。反応終了後、得られた反応混合物を減圧濾過して実施例4に係るトリスメチレンジオキシトリフェニレン(式(2−L3))を得た。高速液体クロマトグラフィー(HPLC;絶対検量線法)で分析した結果、反応収率は、57.0%であった。
比較例1
三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体を使用しなかった以外は、実施例1と同様にした。反応終了後、得られた反応混合物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC;絶対検量線法)で分析したところ、ベラトロールは、55.2%消費されていたにも関わらず、目的物である2,3,6,7,10,11−ヘキサメトキシトリフェニレンは、全く生成していなかった。
三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体を使用しなかった以外は、実施例1と同様にした。反応終了後、得られた反応混合物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC;絶対検量線法)で分析したところ、ベラトロールは、55.2%消費されていたにも関わらず、目的物である2,3,6,7,10,11−ヘキサメトキシトリフェニレンは、全く生成していなかった。
本発明は、高効率的なトリフェニレン化合物の製造方法に関する。1,2−ジ(置換)オキシベンゼン化合物用いてトリフェニレン化合物を製造する方法において、酸素、ナイトライト化合物、ルイス酸性化合物、及び有機溶媒の存在下で反応を行うことにより、簡便な操作でかつ収率の良いトリフェニレン化合物の製造方法を提供することができる。
Claims (4)
- 式(1)で表わされる1,2−ジ(置換)オキシベンゼン化合物用いて反応させて式(2)で表わされるトリフェニレン化合物を製造する方法において、酸素、ナイトライト化合物、ルイス酸性化合物、及び有機溶媒の存在下で反応させることを特徴とするトリフェニレン化合物の製造方法。
(式中、R1及びR2は、以下のL1乃至L3からそれぞれ選ばれる。)
(L1乃至L3において、Akは、置換基を有していてもよい、炭素数1から8のメチレン基を示す。Arは、置換基を有していてもよい、フェニレン基、ナフタニレン基、チオフェニレン基、及びピリジニレンから選ばれるアリーレン基を示す。X、Yは、結合基を示し、Zは、末端基を示す。nは前記Ak及びXからなる(Ak−X)基の数を示し、0から4の整数である。ここで、nが2以上の場合、(Ak−X)基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。mは前記Ar及びYからなる(Ar−Y)基の数を示し、0から4の整数である。mが2以上の場合、(Ar−Y)基はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。波線を付した結合は、式(1)中の酸素原子との結合部分を示す。)
(式中、R1及びR2は、前記と同義である。) - ナイトライト化合物が、メチルナイトライト、n−ブチルナイトライト、及びt−ブチルナイトライトのうち少なくとも1種以上である請求項1記載のトリフェニレン化合物の製造方法。
- ルイス酸性化合物が、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素一酢酸錯体、三フッ化ホウ素二酢酸錯体、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン錯体、三フッ化ホウ素二水和物、三フッ化ホウ素−n−ブチルエーテル錯体、及び三フッ化ホウ素ジメチルエーテル錯体のうち少なくとも1種以上である請求項1又は2記載のトリフェニレン化合物の製造方法。
- 有機溶媒が、トリフルオロ酢酸であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載のトリフェニレン化合物の製造方法。
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