JP2021195320A - 5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生産効率の高い5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸の製造方法の提供。【解決手段】硫酸存在下、式(I)に示す2−ハロゲン化安息香酸と、臭化アルカリ金属塩と、過硫酸アルカリ金属塩とを接触させて、式(II)に示す5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸を含む第1混合物を得ることを含む、5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸の製造方法。式(I)および式(II)において、Xは、Cl、Br、F及びIからなる群より選ばれるハロゲン元素。【選択図】なし
Description
本発明は、5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸の製造方法に関する。
下記式(III)に示すイプラグリフロジンは、非特許文献1に記載のように、抗糖尿病薬の有効成分である。
下記式(IV)に示す5−ブロモ−2−フルオロ安息香酸は、イプラグリフロジンを合成するための中間体として用いられる。
5−ブロモ−2−フルオロ安息香酸の製造方法として、下記式(V)に示す2−フルオロ安息香酸と臭素化剤とを反応させて合成する方法が複数開示されている。
特許文献1には、臭化ナトリウム、過ヨウ素酸ナトリウム、及び2−フルオロ安息香酸の混合溶液中に、濃硫酸を滴下することにより、5−ブロモ−2−フルオロ安息香酸を合成することが記載されている。
特許文献2には、2−フルオロ安息香酸と、NBS(N−ブロモコハク酸イミド)とを硫酸及びDCM(ジクロロメタン)存在下に反応させることにより、5−ブロモ−2−フルオロ安息香酸を合成することが記載されている。
特許文献3には、2−フルオロ安息香酸、臭素酸カリウム(KBrO3)、及び水を、硫酸に加えた後、これを加熱することにより、5−ブロモ−2−フルオロ安息香酸を含む混合物が得られることが記載されている。この混合物を酢酸エチルを用いて抽出した後、有機層を乾燥させて得られる粗製物の収率は、77%であることが記載されている。
Anderson R. Aguillon, Alessandra Mascarello, Natanael D. Segretti, Hatylas F. Z de Azevedo, Cristiano R. W. Guimaraes, Leandro S. M. Miranda, and Rodrigo O. M. A. de Souza, "Synthetic Strategies toward SGLT2 Inhibitors" Organic process research & development, 2018, 22, p.467−488.
本発明の目的は、生産効率の高い5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸の製造方法を提供することにある。
一実施形態によると、硫酸存在下、下記式(I)に示す2−ハロゲン化安息香酸と、臭化アルカリ金属塩と、過硫酸アルカリ金属塩とを接触させて、下記式(II)に示す5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸を含む第1混合物を得ることを含む、5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸の製造方法が提供される。
前記式(I)において、Xは、Cl、Br、F及びIからなる群より選ばれるハロゲン元素であり、
前記式(II)において、Xは、前記式(I)におけるXと同一である。
本発明によると、生産効率の高い5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸の製造方法が提供される。
特許文献1〜3に記載された方法では、ハロゲン化剤又は酸化剤として、高価な試薬を用いる必要がある。そこで、より安価で、かつ、生産効率の高い5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸の製造方法が求められている。
本発明者らが鋭意研究したところ、硫酸及び過硫酸アルカリ金属塩の存在下、2−ハロゲン化安息香酸と、臭化アルカリ金属塩とを反応させることにより、高い収率で5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸を得られることを見出した。これは、硫酸と過硫酸アルカリ金属塩とを併用することにより、これらの酸化力が高まり、2−ハロゲン化安息香酸と臭化アルカリ金属塩との反応性を高められたためと考えられる。過硫酸アルカリ金属塩及び臭化アルカリ金属塩は、比較的安価な試薬である。したがって、この方法によると、比較的安価で、かつ、高い収率で5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸を得ることができる。
以下、この方法の詳細を説明する。
2−ハロゲン化安息香酸は、下記式(I)で表される。
前記式(I)において、Xは、Cl、Br、F及びIからなる群より選ばれるハロゲン元素である。Xは、好ましくは、Cl又はFである。すなわち、実施形態に係る製造方法は、2−フルオロ安息香酸又は2−クロロ安息香酸を基質として用いた、5−ブロモ−2−フルオロ安息香酸又は5−ブロモ−2−クロロ安息香酸の製造方法として好適である。特に、2−フルオロ安息香酸を基質として用いた、5−ブロモ−2−フルオロ安息香酸の製造方法として好適である。
2−ハロゲン化安息香酸としては、工業的に入手可能なものを用いてもよく、合成したものを用いてもよい。
2−ハロゲン化安息香酸と、臭化アルカリ金属塩と、過硫酸アルカリ金属塩とを接触させる順番は、硫酸存在下で行われれば、特に限定されない。2−ハロゲン化安息香酸と臭化アルカリ金属塩とを混合した後、この混合物に過硫酸アルカリ金属塩を加えてもよいし、2−ハロゲン化安息香酸と過硫酸アルカリ金属塩とを混合した後、この混合物に臭化アルカリ金属塩を加えてもよいし、過硫酸アルカリ金属塩と臭化アルカリ金属塩とを混合した後、この混合物に2−ハロゲン化安息香酸を加えてもよい。硫酸は、2−ハロゲン化安息香酸、臭化アルカリ金属塩、又は過硫酸アルカリ金属塩とあらかじめ混合されていてもよく、あるいは、これらの混合物に加えてもよい。
好ましくは、2−ハロゲン化安息香酸と硫酸とを混合した後、この混合物に過硫酸アルカリ金属塩及び臭化アルカリ金属塩を加える。この際、2−ハロゲン化安息香酸は、硫酸に溶解されることが好ましい。また、過硫酸アルカリ金属塩と臭化アルカリ金属塩とは、あらかじめ混合されていることが好ましい。
すなわち、2−ハロゲン化安息香酸のブロモ化反応を促進させるためのより好ましい態様は下記のとおりである。先ず、2−ハロゲン化安息香酸を硫酸に溶解させて、2−ハロゲン化安息香酸溶液を調製する。次に、過硫酸アルカリ金属塩と臭化アルカリ金属塩とを混合して、塩混合物を調製する。2−ハロゲン化安息香酸溶液と塩混合物とを混合し、一定温度で一定時間にわたって攪拌して、5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸を含む第1混合物を得る。塩混合物は、2−ハロゲン化安息香酸溶液に1時間以上3時間以下の時間をかけて、徐々に加えられることが好ましい。
硫酸存在下での2−ハロゲン化安息香酸と、臭化アルカリ金属塩と、過硫酸アルカリ金属塩との反応温度は、−5℃以上60℃以下であることが好ましく、0℃以上40℃以下であることがより好ましい。また、これらの反応時間は、1時間以上72時間以下であることが好ましく、3時間以上24時間以下であることがより好ましい。
硫酸存在下での2−ハロゲン化安息香酸と、臭化アルカリ金属塩と、過硫酸アルカリ金属塩との反応は、2段階に分けて行われることが好ましい。すなわち、2−ハロゲン化安息香酸、臭化アルカリ金属塩、過硫酸アルカリ金属塩、及び硫酸の混合物は、30℃以上60℃以下の温度で3時間以上10時間以下にわたって攪拌された後、10℃以上30℃以下の温度で10時間以上30時間以下にわたって攪拌されることがより好ましい。
臭化アルカリ金属塩は、臭素化剤の役割を果たす。臭化アルカリ金属塩としては、例えば、臭化リチウム(LiBr)、臭化ナトリウム(NaBr)、臭化カリウム(KBr)、臭化ルビジウム(RbBr)、及び臭化セシウム(CsBr)からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。臭化アルカリ金属塩としては、LiBr、NaBr、及びKBrからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、KBrを用いることがより好ましい。
2−ハロゲン化安息香酸に対する臭化アルカリ金属塩の量は、臭素化するのに十分な量であれば特に限定されない。1モルの式(I)に示す2−ハロゲン化安息香酸に対する臭化アルカリ金属塩の量は、例えば、1モル以上3モル以下であり、好ましくは、1モル以上2モル以下である。
過硫酸アルカリ金属塩は、酸化剤の役割を果たす。すなわち、芳香族化合物の臭素化においては、臭素カチオン(Br+)が活性種となり、ベンゼン環に結合する。過硫酸アルカリ金属塩は、臭化アルカリ金属塩からの臭素カチオンの生成を促進する。
過硫酸アルカリ金属塩としては、例えば、過硫酸ナトリウム(Na2S2O8)、及び過硫酸カリウム(K2S2O8)からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。
臭化アルカリ金属塩に対する過硫酸アルカリ金属塩の量は、2−ハロゲン化安息香酸を臭素化するのに十分な量であれば特に限定されない。1モルの臭化アルカリ金属塩に対する過硫酸アルカリ金属塩の量は、例えば、0.3モル以上3モル以下であり、好ましくは、0.5モル以上1.5モル以下である。
2−ハロゲン化安息香酸に対する過硫酸アルカリ金属塩の量は、特に限定されない。1モルの2−ハロゲン化安息香酸に対する臭化アルカリ金属塩の量は、例えば、1モル以上3モル以下であり、好ましくは、1モル以上2モル以下である。
硫酸は、酸化剤及び反応溶媒の役割を果たす。実施形態に係る製造方法においては、酸化剤として、硫酸と上記過硫酸アルカリ金属塩とを併用することにより、その相乗効果で、臭化アルカリ金属塩からの臭素カチオンの生成がより促進され、5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸の選択性及び収率が高められると考えられる。
硫酸は、水の混入を避けるために、濃度の高いものを用いることが好ましく、濃度が90質量%以上の濃硫酸を用いることが好ましい。反応系内に水が混入すると、2−ハロゲン化安息香酸と臭化アルカリ金属塩との反応性が低下し得る。硫酸の濃度は、96質量%以上であることが好ましく、98質量%以上であることがより好ましい。硫酸の濃度の上限値は、100質量%である。硫酸として発煙硫酸を用いてもよい。
硫酸は、反応溶媒として十分な量を用いられることが好ましい。硫酸を反応溶媒として用いるためには、1gの2−ハロゲン化安息香酸に対して、1mL以上用いればよく、2mL以上用いることがより好ましい。硫酸の量に上限は特にないが、1gの2−ハロゲン化安息香酸に対して、一例によると、10mL以下であり、他の例によると、6mL以下である。
以上の方法により、5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸を含む第1混合物を得ることができる。5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸は、下記式(II)で表される。
式(II)において、Xは、前記式(I)におけるXと同一である。上述したように、Xは、好ましくは、Cl又はFであり、より好ましくは、Fである。XがFである5−ブロモ−2−フルオロ安息香酸は、抗糖尿病薬の有効成分であるイプラグリフロジンの合成材料として使用できる。
XがClである5−ブロモ−2−クロロ安息香酸は、抗糖尿病薬であるダパグリフロジン、エルツグリフロジン、及びエンパグリフロジンの合成原料として使用できる(非特許文献1)。
ダパグリフロジンは、下記式(VI)で表される。
エルツグリフロジンは、下記式(VII)で表される。
エンパグリフロジンは、下記式(VIII)で表される。
硫酸存在下での2−ハロゲン化安息香酸と、臭化アルカリ金属塩と、過硫酸アルカリ金属塩との反応は、第1混合物にクエンチ液を加えて、終息させることが好ましい。クエンチ液としては、水を使用することができ、氷水を用いることが好ましい。クエンチ液を入れた後の第1混合物の温度は、0℃以上60℃以下であることが好ましく、10℃以上40℃以下であることがより好ましい。クエンチ液の量は、1gの2−ハロゲン化安息香酸に対して、例えば、20mL以上60mL以下である。
クエンチ液を加えた第1混合物を濾過し、得られた固形物を乾燥させることにより、未精製の5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸の結晶を得られる。乾燥は、40℃以上80℃以下の温度で、10時間以上20時間以下にわたって行われることが好ましい。
なお、得られた固形物は、5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸の異性体である2−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸を含み得る。固形物における5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸及び2−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸の割合は、高速液体クロマトグラフィー(High Performance Liquid Chromatography: HPLC)により確認できる。
HPLCの分析条件は下記の通りである。
サンプル濃度:0.1%THF
注入量:5μL
検出波長:280nm
流速:1.0mL/min
カラム温度:30℃
移動相:30〜100% アセトニトリル/0.1%リン酸(0〜15min)
充填剤:X Bridge C18 5μm (4.6x150mm)
保持時間:原料:3.672min;2−ブロモ体:5.584min
以上の方法で得られた未精製の5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸の結晶は、精製されることが好ましい。精製方法は、例えば、第1混合物から5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸を含む固形物を取り出すことと、取り出した5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸の固形物を精製溶媒に溶解させて第1溶液を得ることと、第1溶液を冷却して5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸の析出物を得ることとを含む。
注入量:5μL
検出波長:280nm
流速:1.0mL/min
カラム温度:30℃
移動相:30〜100% アセトニトリル/0.1%リン酸(0〜15min)
充填剤:X Bridge C18 5μm (4.6x150mm)
保持時間:原料:3.672min;2−ブロモ体:5.584min
以上の方法で得られた未精製の5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸の結晶は、精製されることが好ましい。精製方法は、例えば、第1混合物から5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸を含む固形物を取り出すことと、取り出した5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸の固形物を精製溶媒に溶解させて第1溶液を得ることと、第1溶液を冷却して5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸の析出物を得ることとを含む。
すなわち、未精製の5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸の結晶を、精製溶媒に溶解させた後、再析出させることにより、精製された5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸の結晶を得られる。
精製溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロパノール、n−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、酢酸、及び水からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。
精製溶媒としては、アルコール系溶媒を用いることが好ましい。アルコール系溶媒を用いることにより、より純度の高い5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸の結晶を得られる。アルコール系溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロパノール、及びn−ブタノールからなる群より選ばれる1種である。アルコール系溶媒としては、メタノール及びエタノールの少なくとも一方を含むことが好ましい。なお、アルコール系溶媒は、水を含んでいてもよい。
精製溶媒の量は特に限定されない。1gの固形物に対する精製溶媒の量は、一例によると、0.5mL以上20mL以下であり、他の例によると、2mL以上10mL以下である。
5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸の結晶を再析出させる際の温度は、例えば、−10℃以上100℃以下であり、好ましくは、0℃以上70℃以下である。
精製溶媒としてアルコール系溶媒を用いる場合、アルコール系溶媒を50℃以上に加熱して固形物を溶解させて第1溶液を得た後、30℃以下に冷却して5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸の結晶を再析出させることが好ましい。これにより、より純度の高い5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸の結晶を得られる。
アルコール系溶媒の加熱温度の上限値は、例えば、80℃以下である。第1溶液の冷却温度の下限値は、例えば、0℃以上である。第1溶液の冷却は、水を加えることにより行ってもよい。1gの未精製の5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸の結晶に対する水の量は、例えば、1mL以上10mL以下である。
以下に実施例を挙げて、本発明を詳細に説明する。ただし、以下の実施例は具体例であって、本発明はこれらにより限定されるものではない。
<実施例1>
以下の方法で、5−ブロモ−2−フルオロ安息香酸を合成した。
先ず、10.00g(71.4mmol)の2−フルオロ安息香酸を、75mLの硫酸に溶解させて、2−フルオロ安息香酸溶液を調製した。次に、12.8g(107.1mmol)のKBrと、29.0g(107.3mmol)の過硫酸カリウムとを混合して、塩混合物を調製した。2−フルオロ安息香酸溶液に、45℃以上53℃以下の温度範囲に保ちながら、2時間かけて塩混合物を滴下し、得られた混合物を45℃で6時間、20℃で19時間にわたって攪拌した。
以下の方法で、5−ブロモ−2−フルオロ安息香酸を合成した。
先ず、10.00g(71.4mmol)の2−フルオロ安息香酸を、75mLの硫酸に溶解させて、2−フルオロ安息香酸溶液を調製した。次に、12.8g(107.1mmol)のKBrと、29.0g(107.3mmol)の過硫酸カリウムとを混合して、塩混合物を調製した。2−フルオロ安息香酸溶液に、45℃以上53℃以下の温度範囲に保ちながら、2時間かけて塩混合物を滴下し、得られた混合物を45℃で6時間、20℃で19時間にわたって攪拌した。
攪拌後の混合物に、400mLの氷水を投入し、その後、濾過した。得られた固形物を、300mLの水で洗浄した。洗浄後の固形物を、60℃の温度で17時間にわたって、送風乾燥させて、未精製の5−ブロモ−2−フルオロ安息香酸の結晶を含む固形物を得た。固形物の量は15.6gであり、添加率は94%であり、収率は100%であった。また、HPLCで固形物における5−ブロモ−2−フルオロ安息香酸及び2−ブロモ−2−フルオロ安息香酸の割合を確認したところ、固形物には5−ブロモ−2−フルオロ安息香酸のみ含まれていた。
1gの固形物を、60℃の温度の1mLのメタノールに溶解させて、第1溶液を得た。この第1溶液に、2mLの水を加えた後、室温で1時間、5℃で2時間にわたって攪拌して、結晶を再析出させた。再析出した結晶を取り出し、50℃の温度で、17時間にわたって送風乾燥させて、精製後の5−ブロモ−2−フルオロ安息香酸の結晶を得た。精製後の結晶の量は0.8gであり、収率は80%であった。
<実施例2>
以下の方法で、5−ブロモ−2−クロロ安息香酸を合成した。
先ず、2.00g(12.8mmol)の2−クロロ安息香酸を、10mLの硫酸に溶解させて、2−クロロ安息香酸溶液を調製した。次に、2.28g(19.2mmol)のKBrと、5.17g(19.1mmol)の過硫酸カリウムとを混合して、塩混合物を調製した。2−クロロ安息香酸溶液に、20℃以上30℃以下の温度範囲に保ちながら、30分かけて塩混合物を添加し、得られた混合物を室温で18時間にわたって攪拌した。なお、2−クロロ安息香酸への塩混合物の添加により、およそ3℃の発熱が生じた。
以下の方法で、5−ブロモ−2−クロロ安息香酸を合成した。
先ず、2.00g(12.8mmol)の2−クロロ安息香酸を、10mLの硫酸に溶解させて、2−クロロ安息香酸溶液を調製した。次に、2.28g(19.2mmol)のKBrと、5.17g(19.1mmol)の過硫酸カリウムとを混合して、塩混合物を調製した。2−クロロ安息香酸溶液に、20℃以上30℃以下の温度範囲に保ちながら、30分かけて塩混合物を添加し、得られた混合物を室温で18時間にわたって攪拌した。なお、2−クロロ安息香酸への塩混合物の添加により、およそ3℃の発熱が生じた。
攪拌後の混合物に、50mLの氷水を投入し、その後、濾過した。得られた固形物を、30mLの水で洗浄した。洗浄後の固形物を、送風乾燥させて、未精製の5−ブロモ−2−クロロ安息香酸の結晶を含む固形物を得た。固形物の量は2.72gであり、収率は90%であった。また、下記の条件でHPLCを用いて固形物における5−ブロモ−2−クロロ安息香酸及び2−ブロモ−2−クロロ安息香酸の割合を確認したところ、5−ブロモ−2−クロロ安息香:2−ブロモ−2−クロロ安息香酸=36:17であった。
HPLC分析条件:
サンプル濃度:0.5%THF
注入量:5μL
検出波長:254nm
流速:1.0mL/min
カラム温度:30℃
移動相:30〜100% アセトニトリル/0.1%リン酸(0〜15min)
充填剤:X Bridge C18 5μm (4.6x150mm)
保持時間:原料:5.106min;5−ブロモ体:7.205min;3−ブロモ体:6.848min
サンプル濃度:0.5%THF
注入量:5μL
検出波長:254nm
流速:1.0mL/min
カラム温度:30℃
移動相:30〜100% アセトニトリル/0.1%リン酸(0〜15min)
充填剤:X Bridge C18 5μm (4.6x150mm)
保持時間:原料:5.106min;5−ブロモ体:7.205min;3−ブロモ体:6.848min
次に、1.8gの固形物を、80℃まで加熱した10mLのトルエンに溶解させて、第1溶液を得た。この第1溶液を室温まで冷却して19時間にわたって攪拌して、結晶を再析出させた。再析出した結晶を取り出し、4mLのトルエンで洗浄した。洗浄後の結晶を、減圧下、50℃の温度で乾燥させて、精製後の5−ブロモ−2−クロロ安息香酸の結晶を含む固形物を得た。精製後の結晶の量は0.54gであり、収率は30%であった。また、上記の条件でHPLCで固形物における5−ブロモ−2−クロロ安息香酸及び2−ブロモ−2−クロロ安息香酸の割合を確認したところ、5−ブロモ−2−クロロ安息香:2−ブロモ−2−クロロ安息香酸=97:3であった。
Claims (4)
- 1モルの前記式(I)に示す2−ハロゲン化安息香酸に対する前記臭化アルカリ金属塩の量は、1モル以上3モル以下である請求項1に記載の5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸の製造方法。
- 1モルの前記式(I)に示す2−ハロゲン化安息香酸に対する前記過硫酸アルカリ金属塩の量は、1モル以上3モル以下である請求項1又は2に記載の5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸の製造方法。
- 1gの前記式(I)に示す2−ハロゲン化安息香酸に対する前記硫酸の量は、1mL以上10mL以下である請求項1〜3の何れか1項に記載の5−ブロモ−2−ハロゲン化安息香酸の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN116008435A (zh) * | 2023-02-03 | 2023-04-25 | 沈阳感光化工研究院有限公司 | 一种用高效液相色谱测定2,4-二溴-5-氯苯甲酸含量的方法 |
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CN116008435A (zh) * | 2023-02-03 | 2023-04-25 | 沈阳感光化工研究院有限公司 | 一种用高效液相色谱测定2,4-二溴-5-氯苯甲酸含量的方法 |
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