JP2019081748A - ハロゲン化合物の製造方法 - Google Patents

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Masahiko Seki
雅彦 関
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Abstract

【課題】高効率で経済的に有利なハロゲン化合物の製造方法を提供する。【解決手段】下記式(1)で示されるベンゼン誘導体と、ハロゲン化水素、およびハロゲン塩から選ばれる第一ハロゲン化剤とを、硫酸、メタンスルホン酸、およびトリフルオロメタンスルホン酸から選ばれる少なくとも1種の酸、および酸化剤の存在下で反応させるか、又は該ベンゼン誘導体と、N−ハロゲンコハク酸イミド、および1,3−ジハロゲン−5,5−ジメチルヒダントインから選ばれる第二ハロゲン化剤とを、硫酸、およびメタンスルホン酸から選ばれる少なくとも1種の酸の存在下で反応させることにより、該ベンゼン誘導体をハロゲン化合物にする方法。(式中、R1は、アルキル基等であり、nは、1〜4の整数であり、R2は、置換基を有してもよい芳香族環基、又は置換基を有してもよい複素環基である。)【選択図】なし

Description

本発明は、ハロゲン化合物の新規な製造方法に関する。詳しくは、高効率で経済的に有利なハロゲン化合物の新規な製造方法に関する。
ハロゲン化合物の1種であるヨウ化ベンゼン誘導体は、医薬、農薬の各種原料、原体として有用な化合物である(特許文献1、非特許文献1参照)。
これらヨウ化ベンゼン誘導体の合成方法としては、直接、ヨウ素化する方法が一般的である。例えば、イオン性流体(イオン性液体)、又は塩化メチレン溶媒中、塩化鉄(III)等を触媒として、ベンゼン誘導体とN−ヨードコハク酸イミド(N−Iodosuccinimide、以下「NIS」とする場合もある)とを反応させる方法が知られている(例えば、非特許文献2参照)。この方法によれば、水酸基、アルデヒド基のような電子吸引性基を有するベンゼン誘導体のパラ位(電子吸引性基のパラ位)にヨウ素を導入できることができる。
ヨウ素を導入される原料のベンゼン誘導体は、単に、電子吸引性基を置換基として有する化合物だけではなく、その他の置換基を有している化合物であることが好ましい場合がある。例えば、電子吸引性基、およびベンジル位に活性水素を有する基(例えば、アルキル基等)の両方の基が置換されたベンゼン誘導体を使用した場合、得られるヨウ化ベンゼン誘導体はその利用価値が高くなる。
そこで、本発明者等は、非特許文献2に記載されている方法を、電子吸引性基、およびベンジル位に活性水素を有する基で置換されたベンゼン誘導体に適用してみた。すると、使用するベンゼン誘導体の構造によっては、反応がうまく進まないことが判明した。
これに対して、電子吸引性基、およびベンジル位に活性水素を有する基で置換されたベンゼン誘導体のヨウ素化についても、様々な検討がなされている。例えば、電子吸引性基としてニトロ基を有し、ベンジル位に活性水素を有する基としてメチル基を有する、すなわち、ニトロトルエンにヨウ素を導入する方法が知られている。具体的には、硫酸の存在下、ニトロトルエンと、ヨウ素化剤として、前記NIS、又は1,3−ジヨード−5,5−ジメチルヒダントイン(1,3−Diiodo−5,5−dimethylhydantoin、以下「DIH」とする場合もある)とを反応させる方法である(例えば、非特許文献3、4参照)。
しかしながら、これらの方法においても、目的物の収率が中程度(約40〜50%)であり、特に、4−ヨウ化−2−ニトロトルエンの選択性は低く、高い選択性でメチル基のパラ位にヨウ素を導入した化合物を得るためには、改善の余地があった。
一方、ヨウ素と該ベンゼン誘導体(電子吸引性基とベンジル位に活性水素を有する基とを有するベンゼン誘導体、例えば、2−メチル安息香酸)とを、多孔質化合物の存在下で反応させる方法が提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。多孔質化合物を存在させているため、これら方法によれば、特定の位置にヨウ素を導入することができる。
これらの方法においては、実際には、硫酸(酢酸を併用)を使用し、酸化剤として、過ヨウ素酸、ヨウ素酸、および過硫酸ナトリウムを使用し、ヨウ素とベンゼン誘導体とを特定の多孔質化合物の存在下で反応させている。使用する試薬の問題であると考えられるが、これらの方法においては、反応を完結させるためには、比較的高温(具体的には、110〜130℃)で10時間程度の時間が必要であった。
米国特許出願公開第2010/0099883号明細書 国際公開WO2004/069722号 国際公開WO2005/003073号
Tohnishi,M. 等 J. Pestic. Sci. 2005,30,354 Racys, D. T.等 J. Organic Lett. 2015,17,4782 Chaikovskii, V. K. 等 Russ. J. Org. Chem. 2007,43,1278 Chaikovskii, V. K. 等 Russ. J. Org. Chem. 2009,45,1349
したがって、本発明の目的は、比較的緩和な条件であっても、高い収率で効率よく、所望とするハロゲン化合物を製造できる方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。そして、ベンゼン環がケトン結合(−CO−;カルボニル基)を有する、特定の置換基を有するベンゼン誘導体を使用し、かつ、特定の触媒成分下において、該ベンゼン誘導体とハロゲン化剤とを反応させることにより、効率よく該ベンゼン誘導体にハロゲン原子を導入できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、第一の本発明は、
硫酸、メタンスルホン酸、およびトリフルオロメタンスルホン酸から選ばれる少なくとも1種の酸、並びに酸化剤の存在下、
下記式(1)
Figure 2019081748
(式中、
は、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、又はハロゲン原子であり、
nは、1〜4の整数であり、nが2以上の場合には、Rは、それぞれ、同一の基であっても、異なる基であってもよく、
は、置換基を有してもよい芳香族環基、又は置換基を有してもよい複素環基である。)で示されるベンゼン誘導体と、
ハロゲン化水素、およびハロゲン塩から選ばれる少なくとも1種の第一ハロゲン化剤と
を反応させることにより、
下記式(2)
Figure 2019081748
(式中、
、R、およびnは、前記式(1)におけるものと同義であり、
Xは、ハロゲン原子であり、
mは、1〜4の整数であり、ただし、n+mは、2〜5となる。)で示されるハロゲン化合物を製造する方法である。
第二の本発明は、硫酸、およびメタンスルホン酸から選ばれる少なくとも1種の酸の存在下、
下記式(1)
Figure 2019081748
(式中、
は、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、又はハロゲン原子であり、
nは、1〜4の整数であり、nが2以上の場合には、Rは、それぞれ、同一の基であっても、異なる基であってもよく、
は、置換基を有してもよい芳香族環基、又は置換基を有してもよい複素環基である。)で示されるベンゼン誘導体と、
N−ハロゲンコハク酸イミド、および1,3−ジハロゲン−5,5−ジメチルヒダントインから選ばれる少なくとも1種の第二ハロゲン化剤と
を反応させることにより、
下記式(2)
Figure 2019081748
(式中、
、R、およびnは、前記式(1)におけるものと同義であり、
Xは、ハロゲン原子であり、
mは、1〜4の整数であり、ただし、n+mは、2〜5となる。)で示されるハロゲン化合物を製造する方法である。
第三の本発明は、
下記式(1’’)
Figure 2019081748
(式中、
10は、アルキル基、又はハロゲン原子であり、
11は、水素原子、又はアルコキシアルキル基であり、
20は、フッ化フェニル基を置換として有してもよい複素環基、又はアルキル基若しくは複素環基が置換したアルキル基を有するフェニル基である。)で示されるベンゼン誘導体である。
本発明の方法によれば、比較的に安価な試薬・材料を使用し、比較的緩和な条件であっても、高い収率で効率よく、所望とするハロゲン化合物を製造できる。特に、臭化水素、ヨウ化水素、臭素塩、ヨウ素塩、N−ブロモコハク酸イミド、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、N−ヨードコハク酸イミド(NIS)、および1,3−ジヨードクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン(DIH)等の、臭素化、又はヨウ素化が可能なハロゲン化剤を使用した場合に、効果を発揮する。さらには、特定のベンゼン誘導体をハロゲン化しているため、得られたハロゲン化合物(特に、臭化物、およびヨウ化物)は、医薬原料等の様々な原料・中間体として使用可能となる。
本発明は、
特定の構造を有するベンゼン誘導体と、ハロゲン化水素、およびハロゲン塩から選ばれる第一ハロゲン化剤とを、硫酸、メタンスルホン酸、およびトリフルオロメタンスルホン酸から選ばれる少なくとも1種の酸、および酸化剤の存在下で反応させる第一のハロゲン化方法、および
第一ハロゲン化方法で使用するものと同じベンゼン誘導体と、N−ハロゲンコハク酸イミド、および1,3−ジハロゲン−5,5−ジメチルヒダントインから選ばれる第二ハロゲン化剤とを、硫酸、およびメタンスルホン酸から選ばれる少なくとも1種の酸の存在下で反応させる第二のハロゲン化方法
である。
第一のハロゲン化方法、および第二のハロゲン化方法は、原料となるベンゼン誘導体、および得られるハロゲン化合物が共通する。さらには、該ベンゼン誘導体の中には、新規化合物が含まれる。以下、順を追って説明する。先ず、第一、および第二のハロゲン化方法に使用するベンゼン誘導体について説明する。
(基質;ベンゼン誘導体)
本発明において、基質(材料)となるベンゼン誘導体は、
下記式(1)
Figure 2019081748
(式中、
は、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、又はハロゲン原子であり、
nは、1〜4の整数であり、nが2以上の場合には、Rは、それぞれ、同一の基であっても、異なる基であってもよく、
は、置換基を有してもよい芳香族環基、又は置換基を有してもよい複素環基である。)で示される化合物である。すなわち、本発明によれば、ケトン結合(−CO−;カルボニル結合)でベンゼン環と、芳香族環、又は複素環基とが結合している化合物のハロゲン化を効率よく実施できる。
(Rの説明)
前記式(1)において、Rは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、又はハロゲン原子である。
アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましく、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。
アルコキシアルキル基としては、得られるハロゲン化合物の有用性を考慮すると、トリフェニルメチルオキシメチル基が好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、歯得られるハロゲン化合物の有用性を考慮すると、フッ素原子、又は塩素原子が好ましい。
また、Rの基の数を示すnは1〜4であり、nが2以上の場合には、R1は同一の基であっても、異なる基であってもよい。得られるハロゲン化合物の有用性を考慮すると、nは1又は2であることが好ましい。
は、置換基を有してもよい芳香族環基、又は置換基を有してもよい複素環基である。
該芳香族環基としては、具体的には、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。これら芳香族環基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、複素環基、複素環基で置換されたメチル基等が挙げられる。該芳香族環基としては、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、4−エチルフェニル基、4−(テトラヒドロフラン−3−イル)フェニル基、4−(ベンゾチオフェン−3−イル)フェニル基等が挙げられる。
該複素環基としては、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子を有する原子数が5〜12の置換基を有してもよい複素環基が挙げられる。また、該置換基は、フッ化フェニル基等が挙げられる。該複素環基としては、5−(4−フルオロフェニル)チオフェン−2−イル基が好ましい。
(好適なベンゼン誘導体)
本発明において、より有用なハロゲン化合物、特に、臭素化合物、ヨウ素化合物を製造するためには、前記式(1)で示されるベンゼン誘導体が、下記式(1’)
下記式(1’)
Figure 2019081748
(式中、
、およびRは、前記式(1)におけるものと同義である。)で示される化合物であることが好ましい。前記式(1’)で示される化合物は、aが1であり、ハロゲン原子に置換される水素原子が4個存在する。この化合物を原料として得られるハロゲン化合物は、様々な分野で使用することができる。特に好適なベンゼン誘導体を例示すれば、下記式のものが挙げられる。
Figure 2019081748
以上の化合物の中でも、2−(4−フルオロフェニル)−5−(2−メチルベンゾイル)チオフェンは、新規化合物である。そのため、この化合物の製造方法について、説明する。
<ベンゼン誘導体;新規化合物 2−(4−フルオロフェニル)−5−(2−メチルベンゾイル)チオフェンの製造方法の例>
2−(4−フルオロフェニル)−5−(2−メチルベンゾイル)チオフェンの製造方法は、特に制限されるものではないが、以下の2段階で実施することが好ましい。
先ず、ニッケル系触媒の存在下、2−ブロモチオフェンと4−フルオロフェニルマグネシウムブロマイドと反応させて、2−(4−フルオロフェニル)チオフェンを製造する。
ニッケル系触媒としては、市販のものを使用することができ、例えば、NiClとビス(ジフェニルホスフィノ)エタンの錯体(以下、NiCl(dppe)とする場合もある)等が挙げられる。触媒の使用量は、特に制限されるものではないが、2−ブロモチオフェン 1モルに対して、0.001〜0.1モルである。
2−ブロモチオフェンは、市販のものを使用できる。
4−フルオロフェニルマグネシウムブロマイドは、市販のものを使用できる。一般的には、テトラヒドロフラン(THF)溶液として販売されており、それをそのまま使用することができる。4−フルオロフェニルマグネシウムブロマイドの使用量は、特に制限されるものではないが、2−ブロモチオフェン 1モルに対して、1〜2モルである。
この反応は、ニッケル系触媒、2−ブロモチオフェン、および4−フルオロフェニルマグネシウムブロマイドを接触させることにより行うことができる。そのため、溶媒中で各成分を攪拌混合することにより接触させることが好ましい。使用する溶媒は、反応を阻害しない溶媒であれば特に制限されるものではなく、ハロゲン系溶媒、およびエーテル系溶媒が挙げられる。また、反応温度は、0〜100℃で行うことが好ましい。
以上の方法に従うことにより、得られた2−(4−フルオロフェニル)チオフェンを得ることができる。次いで、アルミニウム系触媒の存在下、得られた2−(4−フルオロフェニル)チオフェンと2−メチル安息香酸クロリドとを反応させることにより、2−(4−フルオロフェニル)−5−(2−メチルベンゾイル)チオフェンを製造できる。
アルミニウム系触媒としては、市販のものを使用することができ、例えば、三塩化アルミニウム等が挙げられる。触媒の使用量は、特に制限されるものではないが、2−メチル安息香酸クロリド 1モルに対して、1.0〜2.0モルである。
2−メチル安息香酸クロリドは、市販のものを使用できる。
2−(4−フルオロフェニル)チオフェンの使用量は、特に制限されるものではないが、2−メチル安息香酸クロリド 1モルに対して、1.0〜2.0モルである。
この反応は、アルミニウム系触媒、2−メチル安息香酸クロリド、および2−(4−フルオロフェニル)チオフェンを接触させることにより行うことができる。そのため、溶媒中で各成分を攪拌混合することにより接触させることが好ましい。使用する溶媒は、反応を阻害しない溶媒であれば特に制限されるものではなく、ハロゲン系溶媒、およびエーテル系溶媒が挙げられる。また、反応温度は、0〜50℃で行うことが好ましい。
以上の方法に従うことにより、下記式
Figure 2019081748
で示される2−(4−フルオロフェニル)−5−(2−メチルベンゾイル)チオフェンを製造できる。上記例に従い、原料化合物を様々変更することにより、所望とするベンゼン誘導体を製造できる
次に、前記ベンゼン誘導体をハロゲン化合物にする方法について説明する。先ず、第一ハロゲン化方法について説明する。
(第一ハロゲン化方法)
本発明において、第一ハロゲン化方法とは、前記ベンゼン誘導体と、ハロゲン化水素、およびハロゲン塩から選ばれる第一ハロゲン化剤とを、硫酸、メタンスルホン酸、およびトリフルオロメタンスルホン酸から選ばれる少なくとも1種の酸、および酸化剤の存在下で反応させて、ハロゲン化合物を製造する方法である。
(第一ハロゲン化方法;酸)
第一ハロゲン化方法においては、硫酸、メタンスルホン酸、およびトリフルオロメタンスルホン酸から選ばれる少なくとも1種の酸を使用する。これら酸は、後述する酸化剤とは異なるものである。これら酸と後述する酸化剤とを併用することにより、比較的緩和な条件であっても反応を進められるものと考えられる。これら酸は、試薬として販売されている市販のものを使用することができる。また、これら酸は、使用する温度にもよるが、各成分を混合接触し易くするように媒体(溶媒の役割)としても利用できる。なお、第一ハロゲン化方法においては、硫酸、メタンスルホン酸、およびトリフルオロメタンスルホン酸の3種を酸とする。そのため、一般的に酸と位置付けられるそれ以外のもの、例えば、酢酸は、本発明における酸に該当しないものとする。第一ハロゲン化方法において、酢酸は、後述する溶媒に分類分けされる。
これら酸の中でも、反応効率、操作性向上等を考慮すると、硫酸を使用することが好ましい。本発明において、硫酸を使用する場合には、水を少量含む硫酸であってもよい。ただし、含まれる水の量が多過ぎると、反応効率が低下するおそれがあるため、具体的には、硫酸90〜100質量%、水0〜10質量%含む濃硫酸であることが好ましい。なお、当然のことではあるが、水を含まない硫酸(硫酸100質量%)を使用することも可能である。
第一ハロゲン化方法において、酸の使用量は、特に制限されるものではなく、使用するベンゼン誘導体(基質)、ハロゲン化水素、およびハロゲン塩から選ばれる少なくとも1種のハロゲン化剤、並びに目的とするハロゲン化合物に応じて適宜決定することができる。中でも、生産性を高くし、精製等の後工程を容易とするためには、基質1質量部に対して、0.01〜100質量部の酸を使用することが好ましい。
(第一ハロゲン化方法;酸化剤)
第一ハロゲン化方法において、酸化剤は、ハロゲン化反応に使用される公知の酸化剤を使用することができる。中でも、より比較的緩和な条件で、より高い収率でハロゲン化合物を得るためには、ペルオキシ一硫酸カリウムの複塩(2KHSO・KHSO・KSO)、ジメチルスルホキシド(以下、「DMSO」とする場合もある)、および臭素酸カリウムを使用することが好ましい。ペルオキシ一硫酸カリウムの複塩(2KHSO・KHSO・KSO)、DMSO、および臭素酸カリウムは、市販のものを使用することができる。
中でも、より一層、緩和な条件で反応を実施するためには、ペルオキシ一硫酸カリウムの複塩(2KHSO・KHSO・KSO)を使用することが好ましい。このペルオキシ一硫酸カリウムの複塩(2KHSO・KHSO・KSO)は、例えば、「オキソン」(登録商標)という商品名で販売されている。このペルオキシ一硫酸カリウムの複塩(2KHSO・KHSO・KSO)を使用することにより、−20〜30℃の温度範囲で反応を実施したとしても(反応温度を−20〜30℃としても)、比較的短時間であっても、高い収率で目的物のヨウ素化合物を得ることができる。
第一ハロゲン化方法において、酸化剤の使用量は、特に制限されるものではなく、使用するベンゼン誘導体、ハロゲン化剤、および目的とするハロゲン化合物に応じて適宜決定することができる。中でも、生産性を高くし、精製等の後工程を容易とするためには、ハロゲン化水素またはハロゲン塩(ハロゲン化剤)において、ハロゲン原子1モルに対して、1〜10モルの酸化剤を使用することが好ましい。なお、ペルオキシ一硫酸カリウムの複塩(2KHSO・KHSO・KSO)を使用した場合には、前記酸化剤の使用量は、活性酸素換算で計算した値である。
(第一ハロゲン化方法;第一ハロゲン化剤)
第一ハロゲン化方法において、前記基質と反応させる第一ハロゲン化剤は、ハロゲン化水素、およびハロゲン塩から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
(第一ハロゲン化方法;第一ハロゲン化剤 ハロゲン化水素)
前記ハロゲン化水素を具体的に例示すれば、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、又はヨウ化水素が挙げられる。中でも、得られるハロゲン化合物の有用性を考慮すると、臭化水素、又はヨウ化水素が好ましく、さらにヨウ化水素が好ましい。本発明において、該ハロゲン化水素は、使用時の安定性を考慮すると、水溶液(ハロゲン化水素酸)、すなわち、フッ酸、塩酸、臭化水素酸、又はヨウ化水素酸の状態で使用することが好ましい。ハロゲン化水素酸を使用する場合には、ハロゲン化水素の濃度が10〜60質量%の水溶液として使用することが好ましい。このハロゲン化水素酸は、市販のものを使用することができる。なお、当然のことであるが、ハロゲン化水素酸を使用する場合には、反応系内に水が含まれることになる。
(第一ハロゲン化方法;第一ハロゲン化剤 ハロゲン塩)
第一ハロゲン化剤において、ハロゲン化剤の1種であるハロゲン塩は、公知の化合物を使用することができる。ハロゲン塩を例示すると、ハロゲン塩を例示すると、ハロゲン化アルカリ金属、ハロゲン化アンモニウム、およびハロゲン化トリアルキルアンモニウムから選ばれる塩であることが好ましい。
具体的にハロゲン化アルカリ金属を例示すると、
フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化リチウム、フッ化セシウム等のフッ化物、
塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化セシウム等の塩化物、
臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、臭化セシウム等の臭化物、および
ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化セシウム等のヨウ化物が挙げられる。中でも、得られるハロゲン化合物の有用性を考慮すると、臭化物、又はヨウ化物が好ましく、さらに、ヨウ化物であることが好ましい。
ハロゲン化アンモニウムとしては、フッ化アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、又はヨウ化アンモニウムが挙げられる。中でも、得られるハロゲン化合物の有用性を考慮すると、臭化アンモニウム、又はヨウ化アンモニウムが好ましく、さらに、ヨウ化アンモニウムであることが好ましい。
ハロゲン化トリアルキルアンモニウムとしては、炭素数が1〜12のアルキル基を3つ有する、フッ化トリアルキルアンモニウム、塩化トリアルキルアンモニウム、臭化トリアルキルアンモニウム、又はヨウ化トリアルキルアンモニウムが挙げられる。中でも、得られるハロゲン化合物の有用性を考慮すると、炭素数が1〜12のアルキル基を3つ有する、臭化アンモニウム、又はヨウ化アンモニウムが好ましく、さらに、炭素数が1〜12のアルキル基を3つ有するヨウ化アンモニウムであることが好ましい。
以上のハロゲン塩の中でも、特に、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウムを使用することが好ましい。
(第一ハロゲン化方法 第一ハロゲン化剤の使用量)
第一ハロゲン化剤の使用量は、特に制限されるものではく、使用するベンゼン誘導体、目的とするハロゲン化合物に応じて、適宜決定すればよい。例えば、前記ベンゼン誘導体に対して、1個のハロゲン原子を置換する場合には、前記ベンゼン誘導体1モルに対して、1〜5モルの前記ハロゲン化剤を使用することが好ましい。なお、置換するハロゲン原子の数に応じて、使用する前記第一ハロゲン化剤のモル数を適宜増加させればよい。具体的には、本発明においては、前記ベンゼン誘導体に最大5個のハロゲン原子を置換できるが、この場合には、前記ベンゼン誘導体1モルに対して、5〜25モルの前記第一ハロゲン化剤を使用することが好ましい。
第一ハロゲン化方法は、前記酸、および前記酸化剤の存在下において、前記ベンゼン誘導体、および前記第一ハロゲン化剤を反応させる方法である。そのため、前記成分だけで反応を実施することができるが、以下のものを反応系内に存在させることもできる。次に、これらの成分について説明する。
(多孔質化合物)
本発明においては、多孔質化合物を反応系内に存在させることもできる。この多孔質化合物は、ベンゼン誘導体をハロゲン化する際に使用する公知の多孔質化合物を使用することができる。例えば、特許文献1、2に記載の多孔質化合物を使用することができる。これら多孔質化合物を反応系内に存在させておくことで、異性体の精製を抑制し、目的物の純度、収率をよりか高めることができる。
具体的には、β型ゼオライト、ZSM型ゼオライト、モルデナイト型ゼオライト、L型ゼオライト、Y型ゼオライトなどの合成ゼオライト、例えば、商品名;モレキュラーシーブス3Å、4Å、または13X等が挙げられる。
その他、合成樹脂からなる多孔質化合物を使用することができる。具体的には、スチレン−ジビニルベンゼン含む合成吸着材(イオン交換樹脂)、例えば、商品名 Dowx 50WX4、Amberlyst 15等が挙げられる。
本発明において、使用する多孔質化合物の使用量は、特に制限されるものではない。中でも、生産性、効果の発揮する範囲を考慮すると、前記ベンゼン誘導体1質量部に対して、多孔質化合物を0.001〜10質量部使用することが好ましく、さらに0.1〜1質量部使用することが好ましい。
(溶媒)
本発明においては、反応温度において、酸が液体であれば、その酸を媒体として反応を実施することができる。ただし、この反応においては、本発明で使用する酸以外の液体(溶媒)を、酸と併用して使用することができる。
使用する溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば、特に制限されるものではない。具体的には、
塩化メチレン、クロロホルム、4塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタンのようなハロゲン系溶媒;
メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノールのようなアルコール溶媒;
ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ニトロメタン、ニトロエタンのようなヘテロ原子を有する溶媒;
酢酸のようなカルボン酸;、または
水等が挙げられる。以上の溶媒は、単独で使用することもできるし、複数種類のものを併用して使用することもできる。
中でも、得られるハロゲン化合物の純度をより一層高くするためには、ニトロメタンなど極性溶媒を使用することが好ましく、後工程を考慮すると、ニトロメタンを使用することが好ましい。
溶媒の使用量は、特に制限されるものではない。中でも、効率的に各成分を反応させるためには、前記ベンゼン誘導体1質量部に対して、前記溶媒を0.01〜100質量部使用することが好ましく、さらに0.1〜5質量部使用することが好ましい。
(第一ハロゲン化方法 反応条件)
第一ハロゲン化方法においては、前記酸、および前記酸化剤、並びに、必要に応じて系内に、さらに存在させる前記多孔質化合物、および溶前記媒の存在下、前記ベンゼン誘導体と前記第一ハロゲン化剤とを反応させる。該反応は、各成分を混合することにより実施できる。
各成分を混合する方法は、特に制限されるものではなく、攪拌装置を備えた反応容器内で実施することができる。各成分を反応容器内に添加する手順は、前記酸、前記酸化剤、前記第一ハロゲン化剤、必要に応じて前記溶媒、および前記多孔質化合物を反応容器に予め仕込んで撹拌しておき、前記ベンゼン誘導体を添加する方法が望ましい。
各成分を混合する際の温度、すなわち反応温度(反応系内の温度)は、特に制限されるものではない。具体的には、−50〜200℃の範囲で実施することができる。中でも、本発明によれば、比較的緩和な条件でも反応を進行することができる。そのため、本発明によれば、副生物等の不純物を抑制できる。その場合、具体的には、反応温度は、好ましくは−30〜100℃の範囲であり、さらに好ましくは−30〜50℃の範囲である。特に、本発明において、前記酸化剤として、ペルオキシ一硫酸カリウムの複塩(2KHSO・KHSO・KSO)を使用した場合には、該反応温度を−20〜30℃の範囲とすることもできる。この場合、前記酸は、硫酸を使用することが好ましい。
反応時間も、特に制限されるものではなく、原料のベンゼン誘導体の反応割合を確認しながら適宜決定することができる。本発明によれば、比較的、短時間で反応が進むため、通常であれば、1分間以上72時間以下であることが好ましく、5分間以上16時間以下であることがより好ましく、30分間以上8時間以下であることがさらに好ましい。なお、この反応時間は、前記ベンゼン誘導体と前記ハロゲン化剤との全量が混合されている時間を指す。
反応時の圧力も、特に制限されるものではない。具体的には、大気圧下、減圧下、加圧下の何れの雰囲気下で反応を実施してもよい。操作性を考慮すると、大気圧下で実施することが好ましい。また、反応時の雰囲気も、特に制限されるものではない。具体的には、空気雰囲気下、不活性ガス雰囲気下で実施することができる。操作性を考慮すると、空気雰囲気下で実施することが好ましい。
その他、本発明においては、副生物等を低減するためには、遮光下で反応を実施することが好ましい。
反応が終了した後の工程は、特に制限されるものではない。例えば、反応終了後に、より冷却するか、または貧溶媒(例えば、水)等を添加することにより、得られる生成物を結晶化させ、他成分と分離し精製することができる。多孔質化合物を使用した場合には、該結晶化の前に、遠心分離、濾過等の手段により先に該多孔質化合物を分離しておくことが好ましい。
また、得られた生成物(ハロゲン化合物)は、その性質に応じて、再結晶、カラム精製、溶媒洗浄、再沈殿、水洗等の公知の手段により、さらに精製することができる。
次に、第二ハロゲン化方法について説明する。
(第二ハロゲン化方法)
第二ハロゲン化方法は、前記ベンゼン誘導体と、N−ハロゲンコハク酸イミド、および1,3−ジハロゲン−5,5−ジメチルヒダントインから選ばれる第二ハロゲン化剤とを、硫酸、およびメタンスルホン酸から選ばれる少なくとも1種の酸の存在下で反応させて、ハロゲン化合物を製造する方法である。
(第二ハロゲン化方法;酸)
第二ハロゲン化方法においては、硫酸、およびメタンスルホン酸から選ばれる少なくとも1種の酸を使用する。これら酸と後述する第二ハロゲン化剤とを併用することにより、比較的緩和な条件であっても反応を進められるものと考えられる。これら酸は、試薬として販売されている市販のものを使用することができる。また、これら酸は、使用する温度にもよるが、各成分を混合接触し易くするように媒体(溶媒の役割)としても利用できる。なお、第二ハロゲン化方法においては、硫酸、およびメタンスルホン酸の2種を酸とする。そのため、一般的に酸と位置付けられるそれ以外のもの、例えば、酢酸などは、本発明における酸に該当しないものとする。第二ハロゲン化方法において、酢酸は、後述する溶媒に分類分けされる。
第二ハロゲン化方法において、硫酸を使用する場合には、第一ハロゲン化方法と同じく、水を含む硫酸であってもよい。本発明においては、水を含まない硫酸(硫酸100質量%)、市販の希硫酸、濃硫酸を使用することができる。
第二ハロゲン化方法において、酸の使用量は、特に制限されるものではなく、使用するベンゼン誘導体(基質)、前記第二ハロゲン化剤、並びに目的とするハロゲン化合物に応じて適宜決定することができる。中でも、生産性を高くし、精製等の後工程を容易とするためには、基質1質量部に対して、0.01〜100質量部の酸を使用することが好ましい。なお、当然のことであるが、酸の質量は、酸自体の質量であり、例えば、水を含む硫酸(水溶液)を使用する場合には、該水溶液に含まれる硫酸の質量が、前記範囲を満足すればよい。
(第二ハロゲン化方法;第二ハロゲン化剤)
第二ハロゲン化方法において、前記基質と反応させる第二ハロゲン化剤は、N−ハロゲンコハク酸イミド、および1,3−ジハロゲン−5,5−ジメチルヒダントインから選ばれる少なくとも1種の化合物である。具体的には、N−クロロコハク酸イミド、1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、N−ブロモコハク酸イミド、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、N−ヨードコハク酸イミド(NIS)、1,3−ジヨードクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン(DIH)が挙げられる。得られるハロゲン化ベンゼン誘導体の有用性を考慮すると、N−ブロモコハク酸イミド(NBS)、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン(DBH)、N−ヨードコハク酸イミド(NIS)、1,3−ジヨードクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン(DIH)が好ましく、N−ヨードコハク酸イミド(NIS)、1,3−ジヨードクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン(DIH)がより好ましい。これら化合物は、市販のものを使用することができる。
(第二ハロゲン化方法;第二ハロゲン化剤の使用量)
第二ハロゲン化剤の使用量は、特に制限されるものではく、使用するベンゼン誘導体、目的とするハロゲン化合物に応じて、適宜決定すればよい。例えば、前記ベンゼン誘導体に対して、1個のハロゲン原子、例えばヨウ素原子を置換する場合には、前記ベンゼン誘導体1モルに対して、1〜4モルの前記第二ハロゲン化剤を使用することが好ましい。なお、置換するハロゲン原子の数に応じて、使用する前記第二ハロゲン化剤のモル数を適宜増加させればよい。具体的には、第二ハロゲン化方法においては、前記ベンゼン誘導体に最大4個のハロゲン原子を置換できるが、この場合には、前記ベンゼン誘導体1モルに対して、4〜16モルの前記第二ハロゲン化剤を使用することが好ましい。
第二ハロゲン化方法は、前記酸の存在下において、前記ベンゼン誘導体、および前記第二ハロゲン化剤を反応させる方法である。そのため、前記成分だけで反応を実施することができるが、以下のものを反応系内に存在させることもできる。次に、これらの成分について説明する。
(第二ハロゲン化方法;多孔質化合物)
第二ハロゲン化方法においても、多孔質化合物を反応系内に存在させることもできる。この多孔質化合物は、前記第一ハロゲン化方法の多孔質化合物で説明したものと同じものを同じ量使用することができる。第一ハロゲン化方法と同じく、これら多孔質化合物を反応系内に存在させておくことで、異性体の精製を抑制し、目的物の純度、収率をよりか高めることができる。
(第二ハロゲン化方法;溶媒)
第二ハロゲン化方法においては、反応温度において、酸が液体であれば、その酸を媒体として反応を実施することができる。ただし、この反応においては、前記酸以外の液体(溶媒)を、酸と併用して使用することができる。使用する溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば、特に制限されるものでない。具体的には、第一ハロゲン化方法で説明した溶媒と同じ溶媒を同じ量使用することができる。
(反応条件)
本発明においては、前記酸、および、必要に応じて系内に、さらに存在させる前記多孔質化合物、および溶前記媒の存在下、前記ベンゼン誘導体と前記第二ハロゲン化剤とを反応させる。該反応は、各成分を混合することにより実施できる。
各成分を混合する方法は、特に制限されるものではなく、攪拌装置を備えた反応容器内で実施することができる。各成分を反応容器内に添加する手順は、前記酸、前記第二ハロゲン化剤、必要に応じて前記溶媒、および前記多孔質化合物を反応容器に予め仕込んで撹拌しておき、前記ベンゼン誘導体を添加する方法が望ましい。
各成分を混合する際の温度、すなわち反応温度(反応系内の温度)は、特に制限されるものではない。具体的には、−50〜200℃の範囲で実施することができる。中でも、本発明によれば、比較的緩和な条件でも反応を進行することができる。そのため、本発明によれば、副生物等の不純物を抑制できる。その場合、具体的には、反応温度は、好ましくは−30〜100℃の範囲であり、さらに好ましくは−30〜50℃の範囲である。特に、本発明においては 反応を−20℃以上30℃以下の温度範囲で行うことも可能である。このような比較的緩和な条件下においても、目的物の収率を高くできるため、分解等による副生物の生成をより一層抑制できる。
反応時間も、特に制限されるものではなく、原料のベンゼン誘導体の反応割合を確認しながら適宜決定することができる。本発明によれば、比較的、短時間で反応が進むため、通常であれば、1分間以上72時間以下であることが好ましく、5分間以上16時間以下であることがより好ましく、30分間以上8時間以下であることがさらに好ましい。なお、この反応時間は、前記ベンゼン誘導体と前記ハロゲン化剤との全量が混合されている時間を指す。
反応時の圧力も、特に制限されるものではない。具体的には、大気圧下、減圧下、加圧下の何れの雰囲気下で反応を実施してもよい。操作性を考慮すると、大気圧下で実施することが好ましい。また、反応時の雰囲気も、特に制限されるものではない。具体的には、空気雰囲気下、不活性ガス雰囲気下で実施することができる。操作性を考慮すると、空気雰囲気下で実施することが好ましい。
その他、本発明においては、副生物等を低減するためには、遮光下で反応を実施することが好ましい。
反応が終了した後の工程は、特に制限されるものではない。例えば、反応終了後に、より冷却するか、または貧溶媒(例えば、水)等を添加することにより、得られる生成物を結晶化させ、他成分と分離し精製することができる。多孔質化合物を使用した場合には、該結晶化の前に、遠心分離、濾過等の手段により先に該多孔質化合物を分離しておくことが好ましい。
また、得られた生成物(ハロゲン化合物)は、その性質に応じて、再結晶、カラム精製、溶媒洗浄、再沈殿、水洗等の公知の手段により、さらに精製することができる。
(ハロゲン化合物;第一、および第二ハロゲン化方法により得られるハロゲン化物)
前記第一ハロゲン反応、および前記第二ハロゲン化反応を実施することにより、下記式(2)
Figure 2019081748
(式中、
、R、およびnは、前記式(1)におけるものと同義であり、
Xは、ハロゲン原子であり、
mは、1〜4の整数であり、ただし、n+mは、2〜5となる。)で示されるハロゲン化合物を製造できる。Xは、使用する第一、第二ハロゲン化剤によって決まる。また、mは、第一、第二ハロゲン化剤の使用量によって決まる。好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子であり、より好ましくは臭素原子、又はヨウ素原子であり、さらに好ましくはヨウ素原子である。
、R、およびn、使用する前記ベンゼン誘導体によって決まるものであり、これら好ましい基、数値は、前記ベンゼン誘導体で説明した通りである。また、Xは、使用する前記ハロゲン化剤によって決まるものである。
(好適なハロゲン化合物)
前記好適なベンゼン誘導体を原料として使用した場合には、得られるハロゲン化合物は、下記式(2’)
Figure 2019081748
(式中、
、およびRは、前記式(1)におけるものと同義であり、
Xは、前記式(2)におけるものと同義である。)で示される化合物となる。そして、特に好適なベンゼン誘導体を使用した場合には、下記式のハロゲン化合物が得られる。
Figure 2019081748
以上のハロゲン化合物は、医薬品の原料・中間体など、様々な用途に使用することができる。本発明によれば、使用するベンゼン誘導体を限定し、さらには、第一ハロゲン化方法、または第二ハロゲン化方法を採用することにより、効率よく高収率で前記ハロゲン化合物を製造できる。
以下に実施例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、具体例であって、本発明はこれらにより限定されるものではない。
製造例1 ベンゼン誘導体の製造方法
下記式で示される反応を行い、ベンゼン誘導体を合成した。
Figure 2019081748
第一工程
2−ブロモチオフェン(5g、30.7mmol)のTHF(10mL)溶媒を2℃まで冷却し、NiCl(dppe)(0.08g、0.15mmol)を加え同温で40分間攪拌を続けた。
その後、反応溶液に4−フルオロフェニルマグネシウムブロマイドの19%THF溶液(32g、30.7mmol)を40分かけて、反応液の温度が10℃以下となるように滴下した。その後、反応液を室温(23℃)まで昇温し、23℃で2時間撹拌した。
次いで、反応液を7℃まで冷却後、酢酸(3.7g、61.4mmol)、水(10mL)を15分かけて滴下した後、30分攪拌した。得られた反応液を氷水50mLで希釈後、酢酸エチル/トルエン=5/1で抽出、飽和食塩水で洗浄、濃縮を行うことによって、2−(4−フルオロフェニル)チオフェン(5.2g、収率95%)を褐色結晶として得た。得られた結晶の融点は、43〜45℃であった。
第二工程
次に、2−メチル安息香酸クロリド(0.86g、5.6mmol)の塩化メチレン(6mL)溶液を2℃まで冷却した。得られた反応液に、該反応液の温度が10℃以下となるように塩化アルミニウム(0.9g、6.6mmol)を添加した。塩化アルミニウムを加え終わった後、15分間攪拌後、反応液の温度が10℃以下となるように、第一工程で得られた2−(4−フルオロフェニル)チオフェン(1g、5.6mmol)の塩化メチレン(3mL)溶液を反応液に滴下し、そのままの温度で1時間攪拌し、23℃に昇温して3時間攪拌した。
得られた反応液に氷(30g)を加えて希釈した後、分液する。水層を塩化メチレンで抽出後、先に得られた塩化メチレン層と合し、水洗浄を行い、塩化メチレンを減圧濃縮することにより、2−(4−フルオロフェニル)−5−(2−メチルベンゾイル)チオフェンの粗結晶(1.61g、97%)を得た。粗結晶を酢酸エチル/ヘキサンで再結晶することにより(0.65g、収率40モル%)目的物を黄色結晶として得た。黄色結晶の純度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定したところ、99.89%であった。以下、IR、H−NMRの測定結果を示す。
IR(KBr);1630cm−1
H−NMR(CDCl);δ 6.75−7.90(m,10H),2.90(s,3H)。
実施例1 第一ハロゲン化方法によるハロゲン化合物の製造
前記製造例1で得られた2−(4−フルオロフェニル)−5−(2−メチルベンゾイル)チオフェン(ベンゼン誘導体)を使用して、下記式で示される反応を行った。
Figure 2019081748
磁気撹拌子を装着した反応容器内に硫酸(6.0ml、11g)を仕込んで、氷冷した(反応容器内の硫酸(反応系内)の温度を5℃とした。)。次いで、撹拌下、ヨウ化カリウム(第一ハロゲン化剤;0.17g;1.0mmol)を反応容器内へ添加した。攪拌下、反応系内の温度を5℃に維持しながら、ペルオキシ一硫酸カリウムの複塩(2KHSO・KHSO・KSO;酸化剤;登録商標「オキソン」;0.34g;0.5mmol、活性酸素換算1.0mmol)を反応容器内へ添加して、30分間攪拌を続けた。
その後、撹拌下、反応系内の温度を5℃に維持しながら、遮光下、2−(4−フルオロフェニル)−5−(2−メチルベンゾイル)チオフェン(ベンゼン誘導体;0.29g、1.0mmol)を反応容器内へ添加して、同温で2時間、室温で17時間攪拌を続けた(反応を実施した)。
反応生成物をHPLCで確認したところ、2−(4−フルオロフェニル)−5−(2−メチルベンゾイル)チオフェンがヨウ素化された転化率は55%であった。また、目的物(前記式における(5−I))と異性体(前記式における(3−I))とのモル比は、目的物:異性体=88:12であった。目的物と異性体とを含む混合物をクロロホルム/メタノール=1:2で再結晶することにより、目的とする5−ヨード体(ハロゲン化合物;前記式における(5−I))の純品を結晶として得た。該5−ヨード体の1H−NMR測定結果は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl3);
δ 6.75−7.90(m,10H),2.25(s, 3H)。
実施例2 第一ハロゲン化方法によるハロゲン化合物の製造
実施例1で使用した硫酸をメタンスルホン酸(6mL、8.9g)に代えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、反応生成物を得た。
得られた反応生成物をHPLCで確認したところ、2−(4−フルオロフェニル)−5−(2−メチルベンゾイル)チオフェンがヨウ素化された転化率は41.5%であった。また、目的物(前記式における(5−I))と異性体(前記式における(3−I))とのモル比は、目的物:異性体=90:10であった。
実施例3 第二ハロゲン化方法によるハロゲン化合物の製造
磁気撹拌子を装着した反応容器内に硫酸(6.0ml、11g)を仕込んで、氷冷した(反応容器内の硫酸(反応系内)の温度を5℃とした。)。次いで、撹拌下、2−(4−フルオロフェニル)−5−(2−メチルベンゾイル)チオフェン(ベンゼン誘導体;0.29g、1.0mmol)を反応容器内へ添加した。
その後、撹拌下、反応系内の温度を5℃に維持しながら、遮光下、N−ヨードコハク酸イミド(第二ハロゲン化剤;225mg;1.0mmol)を反応容器内へ添加して、同温で2時間、室温で17時間攪拌を続けた(反応を実施した)。
反応生成物をHPLCで確認したところ、2−(4−フルオロフェニル)−5−(2−メチルベンゾイル)チオフェンがヨウ素化された転化率は53%であった。また、目的物(前記式における(5−I))と異性体(前記式における(3−I))とのモル比は、目的物:異性体=86:14であった。

Claims (7)

  1. 硫酸、メタンスルホン酸、およびトリフルオロメタンスルホン酸から選ばれる少なくとも1種の酸、並びに酸化剤の存在下、
    下記式(1)
    Figure 2019081748
    (式中、
    は、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、又はハロゲン原子であり、
    nは、1〜4の整数であり、nが2以上の場合には、Rは、それぞれ、同一の基であっても、異なる基であってもよく、
    は、置換基を有してもよい芳香族環基、又は置換基を有してもよい複素環基である。)で示されるベンゼン誘導体と、
    ハロゲン化水素、およびハロゲン塩から選ばれる少なくとも1種の第一ハロゲン化剤と
    を反応させることにより、
    下記式(2)
    Figure 2019081748
    (式中、
    、R、およびnは、前記式(1)におけるものと同義であり、
    Xは、ハロゲン原子であり、
    mは、1〜4の整数であり、ただし、n+mは、2〜5となる。)で示されるハロゲン化合物を製造する方法。
  2. 硫酸、およびメタンスルホン酸から選ばれる少なくとも1種の酸の存在下、
    下記式(1)
    Figure 2019081748
    (式中、
    は、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、又はハロゲン原子であり、
    nは、1〜4の整数であり、nが2以上の場合には、Rは、それぞれ、同一の基であっても、異なる基であってもよく、
    は、置換基を有してもよい芳香族環基、又は置換基を有してもよい複素環基である。)で示されるベンゼン誘導体と、
    N−ハロゲンコハク酸イミド、および1,3−ジハロゲン−5,5−ジメチルヒダントインから選ばれる少なくとも1種の第二ハロゲン化剤と
    を反応させることにより、
    下記式(2)
    Figure 2019081748
    (式中、
    、R、およびnは、前記式(1)におけるものと同義であり、
    Xは、ハロゲン原子であり、
    mは、1〜4の整数であり、ただし、n+mは、2〜5となる。)で示されるハロゲン化合物を製造する方法。
  3. 前記式(1)で示されるベンゼン誘導体と前記第一ハロゲン化剤、又は前記第二ハロゲン化剤との反応を−20℃以上30℃以下の温度範囲で行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記酸化剤が、ペルオキシ一硫酸カリウムの複塩(2KHSO・KHSO・KSO)、ジメチルスルホキシド、および臭素酸カリウムから選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 前記第一ハロゲン化剤、又は前記第二ハロゲン化剤におけるハロゲン原子がヨウ素原子、又は臭素原子であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の方法。
  6. 前記式(1)で示されるベンゼン誘導体が、
    下記式(1’)
    Figure 2019081748
    (式中、
    、およびRは、前記式(1)におけるものと同義である。)で示される化合物であり、
    得られる前記式(2)で示されるハロゲン化合物が、
    下記式(2’)
    Figure 2019081748
    (式中、
    、およびRは、前記式(1)におけるものと同義であり、
    Xは、前記式(2)におけるものと同義である。)で示される化合物であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の方法。
  7. 下記式(1’’)
    Figure 2019081748
    (式中、
    10は、アルキル基、又はハロゲン原子であり、
    11は、水素原子、又はアルコキシアルキル基であり、
    20は、フッ化フェニル基を置換として有してもよい複素環基、又はアルキル基若しくは複素環基が置換したアルキル基を有するフェニル基である。)で示されるベンゼン誘導体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113372326A (zh) * 2021-06-23 2021-09-10 江苏法安德医药科技有限公司 一种2-(4-氟苯基)噻吩的分离提纯方法
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