【発明の詳細な説明】ディスコチック液晶として有用な置換トリフェニレンの合成
本発明は、純粋な(すなわち異性体を含まない)、置換(例えば、非対称置換
)トリフェニレンの合成法に関し、そしてそのように作製された化合物を包含す
る。これまで、このような合成は、望ましくない異性体を大量に生じさせた。こ
れらの化合物は、重合の良好な原料を形成し、ディスコチック液晶としての用途
を見いだし得、低分子量または高分子量であり得る。
本方法によって、限定された構造の、ポリマー性ディスコチック液晶を調製す
ることが可能になる。なぜなら、非対称置換トリフェニレンがなければ、この核
に基づく限定された構造の均一なポリマーは作製され得ないからである。この方
法はまた、トリフェニレン核が対称または非対称に置換され得る、低分子量の液
晶系のためにも有用である。この方法は、これらの化合物を、純粋に、低価格で
、そして大量に作製することを可能にする。
トリフェニレン核に基づくディスコチック液晶は、秩序正しい六方晶系の柱状
相を形成するため、特に、有望であり、そして特にトリフェニレンベースのポリ
マーは、特に重要であると思われる。可能性のある用途は、ゼログラフィー、レ
ーザー印刷、雷子写真、情報記憶装置、センサー(特に化学
センサー)などにおいて用いるための伝導性材料および/または感光性材料を作
るために、この系に機能性を組み込むことに基づくと思われる。例えば、ヘキサ
アルコキシトリフェニレンをオキシダントでドープすると、半導体になり、その
半導体における好ましい導電方向は、六方晶系柱状相の柱に沿い、柱の芳香核は
導電通路を提供し、炭化水素鎖の環は絶縁性の鞘(sheath)を形成する。
Chandrasekharのオリジナル論文[1]が、ディスコチック液晶の最初の合成を報
告してから、新規なディスコチックメソゲン(mesogen)の調製に対する関心は高
まり続けている。しかし、高度に純粋な物質を大量に必要とするという入手性に
より制限される、合成の困難さによって、進歩は遅れている。
ヘキサ置換トリフェニレンは、広く合成されているディスコチック液晶のクラ
スである。この合成は、従来、キノンクロラニルをオキシダントとして用いる、
67%硫酸中での、1,2-ジメトキシベンゼン(ベラトロール)1の酸化的三量体化
を伴う[2,3]。この方法は、多かれ少なかれ、ヘキサメトキシトリフエニレン2
の生成に限定され、そして、例えばヘキサヘキシルオキシトリフェニレン(HAT6)
4が必要な場合には、アルコキシ基OMeを置換する必要がある。このメチルは臭
化水素/酢酸または三臭化ホウ素のいずれかを用いて除去され得る。得られたヘ
キサヒドロキシトリフェニレンを、次いで、臭化ヘキシルでアルキル化する。
クロラニル/硫酸混合物を用いて、1,2-ジヘキシルオキシベンゼンを三量体化し
て、直接HAT6を形成し得るが、HAT6の精製には、クロマトグラフィーの繰り返し
と再結晶の繰り返しが伴い、そして収率は低い。この理由で、化合物2および3
を介した間接的なルートが、通常より経済的である。しかし、この「クロラニル
」ルートにおけるアルコキシ置換基の置換の必要性は、無駄の多い工程であり、
そしてこの方法でのヘキサアルコキシトリフェニレンは、2つの非常に長いクロ
マトグラフィーによる分離(第1に化合物2をクロラニルから分離し、そして第
2に最終生成物を精製する)を伴い、この
ことによって、全プロセスはかなり時間がかかりことになり、そしてこのことが
製造の総スケールを限定する。発明者らの経験によれば、純粋なメソゲン(HAT6
のような)のいずれも約10gより多くを、1バッチで調製することは容易ではな
い。
検討されている別ルートは、電気化学的酸化である[4-7]。例えば、Bechgaard
およびParker[4]は、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートを支持
電解質とする、トリフルオロ酢酸/ジクロロメタン中でのベラトロールのアノー
ド酸化が、ヘキサメトキシトリフェニレン 2を与えることを示している。この
反応を達成するために必要とされるアノード電位はまた、トリフェニレンから電
子を除去するに充分に正であり、そのため、このような酸化で得られる見かけ上
の生成物は、トリフェニレンそれ自体ではなく、ラジカルカチオン塩5(R=Me)で
ある。
このタイプの塩は水のような求核試薬との反応によって分解され(このことが、
このような反応が酸性溶媒中で行われることの理由の一部である)、そのため、
作業(workup)手順が、反応の結果に対して重大な影響を与える。しかし、混合物
が還元的に作り上げられた場合、ヘキサメトキシトリフエニレンが良好な収率で
得られる。このような還元的な作業は、化学的方法または電気化学的方法のいず
れかによって達成され得る[6]。反応が、注意深く制御された条件下で行われる
場合、ラジカルカチオン塩5は、アノード表面に結晶化して析出する(結晶電析
)。しかし、電気化学的ルートは遅く、そして作業は比較的、冗長であることを
本発明者らは見いだし、その結果、この方法では一度に約1gを超える量を作製
することには成功しなかった。そして、多くの場合、本発明者らは、この方法が
「クロラニル」ルートと強力に競合するとは見なしていない。
これらの反応における、他の、別の酸化剤は、塩化第二鉄である[8]。Bengsら
は、70%硫酸中80℃で、塩化第二鉄で1,2-ビスヘキサデシルオキシベンゼンを処
理し、次いで氷/水で作業して、収率20%で2,3,6,7,10,11-ヘキサキスヘキサデ
シルオキシトリフェニレンを与える反応を記載し、そして混合三量体を、低収率
(特定されていない)で作製するために同様の手順を使用している。
本発明によれば、置換トリフェニレン
を合成する方法は、酸化剤、次いで還元剤を用いて
、またはビフェニル誘導体
とカップリングさせる工程を包含し、ここでA、B、C、D、E、およびFは、
独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アシルオキシ
、およびアリールオキシから選択され、そしてG、H、I、J、KおよびLは、
独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アシルオキシ
、およびアリールオキシから選択され、あるいはAおよびBは一緒になって、そ
して/あるいはGおよびHは一緒になって、
である。通常、A=G、B=Hなどである。A≠Bであり、そしてC=Fであり
、そしてD=Eであるトリフェニレンを合成する場合、
とを使用すると、所望のトリフェニレン以外のトリフェニレンがほんのわずかし
か生じないルートが提供される。
好ましくは、この酸化的カップリングは有機溶媒中で行われる。酸化剤は、Fe
(III)またはVまたはCrのような遷移金属を含み、例えはFeCl3化合物である。酸
化剤は、好ましくは有機溶媒に不溶である(生じる酸を相殺する(mop up)ために
、好ましくは過剰量の)、K2CO3のような塩基に伴われ得、あるいは1重量%を
超えない、H2SO4のような酸に伴われ、そして好ましくは40℃未満(より好まし
くは30℃未満)、例えば15〜25℃である。あるいは、NOBF4のような1電子オ
キシダントを使用し得、または1電子オキシダントを遷移金属と組み合わせて使
用し得る(例えばNOBF4をFeCl3と組み合わせて使用し得る)。この酸化的カップ
リングは、次いで還元剤、例えばメタノールまたはエタノールのようなアルコー
ルで作業さ
れる。メタノールは穏和な還元剤の例である。塩化第二鉄を酸化剤として使用す
る場合、メタノールはまた第一鉄イオンFe(II)を溶解する作用を有し、他方、所
望の生成物の溶媒にはならない。そして酸化されるとメタノールは揮発性のアル
デヒドを形成する。
ベンゼンのオルト二置換誘導体の酸化的三量体化は常に、ビフェニル中間体を
通ることに留意すべきである。このビフェニル中間体は、ほんのつかの間、存在
するだけのものである。しかし、オルト二置換ベンゼンの三量体化を行おうとす
る場合、通常、トリフェニレンの複雑な混合物が得られる。前述の反応において
、あらかじめ形成されたビフェニルをベンゼン誘導体とカップリングし、そして
ここでA=B[またはA≠B、C=F、およびD=E]の場合、単独の交叉カッ
プリング生成物(1つの特定の異性体)のみが生成し、そして必要とされる分離
は、競合する
の三量体化により形成されるトリフェニレン生成物(単数および複数)からの分
離のみである。
ベンゼン/ビフェニルのカップリング反応を行う際には、段階的手順を用いる
ことが、ときには有利である。この手順は、ビフェニルを(例えば1〜2モルの
FeCl3で)酸化し、次にベンゼン誘導体を添加し、次に過剰の酸化剤で処理し、
次
いで還元作業が行われることを包含する。
とカップリングさせる場合、(2種の試薬の混合物にFeCl3を単に添加する場合
と比較して)収率が5%から35%に向上する結果となる。また、この手順を用い
ると、競合する三量体化が避けられる。
本発明で用いられる出発物質の修飾において、化合物
は、1つまたは両方の隣接位で置換され得、
であり、ここでGおよびHは先に定義されたものと同様であり、そしてNおよび
Mは、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アシル
オキシ、およびアリールオキシから選択される。
この修飾の例は:
この修飾のこれらすべての場合において、得られるトリフェニレン誘導体生成
物の1つのα位は、Mで置換される。このようなα-置換トリフェニレンは新規
であり、かつ本発明の一部であり、今まで作製することが不可能であった。ビフ
ェニル部分上の置換基の数、性質、および位置の同様のバリエーションは、この
ルートによって到達可能なトリフェニレン誘導体の範囲を広げるために選択され
得る。
対称生成物(AからLまですべて同一であり、M=N=水素)のためには、オ
ルト二置換ベンゼンの三量体化は、通常、ベンゼン/ビフェニルカップリング反
応よりも、より効率的であるが、上記の試薬/反応条件は、今まで使用されてい
た条件よりも、顕著な改善を与える。本発明者らは、例えば、約0.3%(w/v)硫酸
のジクロロメタン溶液中のFeCl3を用いて、15〜25℃、2時間で、ベラトロール
(オルト-ジメトキシベンゼン)の酸化が達成され得ることを見いだした。この
生成物は暗緑色の固体であり、これは確かにトリフェニレンの酸化形態であり、
最も可能性の高いのはラジカルカチオン塩5である。次いで、これを濾別し、フ
ィルターパッド上でメタノールを用いて還元する。
ホルムアルデヒドが遊離し、そしてこのようにしてヘキサメトキシトリフェニ
レンが直接得られ、そして実質的に純粋である。
本発明者らは、種々の酸の範囲(各場合、0.3g/100ml)を用いて、この反応を
繰り返したが、最高の収率は硫酸を用いて得られた。
実際には、この反応の副生成物として遊離するHClが、おそらく、すべての場合
において「主要」な酸である。この酸を全体として無視してもなお、合理的な収
率が得られる。ある場合には(以下に詳述するように)、塩基を添加することが
有利である。
ヘキサメトキシトリフェニレンに達するこのルートは、他
のいかなるルートよりも迅速かつ容易であり、そして比較的大規模で行うことが
容易であるという利点を有している。このルートはまた、クロラニルルートと比
べて、1,2-ジアルコキシベンゼンのほとんどが直接、三量体化し得、良好な収率
を与えるという利点も有している。この反応は種々のFeIII塩類を用いて行われ
得るが、特に塩化第二鉄が用いられている。
このように、本発明者らは、FeIII塩を、より酸性でない(a much less acid
)媒体中で使用すること、次いで還元的作業手順(たとえばメタノールで)によ
って、三量体化反応が以前よりもずっと高い収率かつ大規模で達成されようにな
ることを発見した。例えば:
この反応は、以下のルートによってヘキサアシルオキシタイプ6のディスコチ
ック液晶を調製するための工程として使用され得る:
式7で示されるタイプのリオトロピックディスコチック液晶もまた、上記スキ
ームで作製され得る。これらを、FeCl3/酸/CH2Cl2を用いる対応するベンゼン
誘導体の三量体化によって調製しようとする試みは、失敗した。しかし、関連す
る酸感受性物質の三量体化については、反応混合物に不溶性の塩基(FeCl3/K2CO3
/CH2Cl2) の過剰量を添加するならば、この反応は成功する。
ある場合には、これらの反応条件は、混合三量体化反応を達成するために使用
され得る。これは、好ましい環境(例えば生成物と反応物の溶解度についての環
境)において、位置異性体から分離され得、非対称誘導体が調製されることを可
能にする:
これらの反応を一緒に行うことは、特に重要である。なぜなら、このことによ
って、主鎖タイプおよび側鎖タイプの両方の液晶ポリマーを作り上げるために必
要とされるタイプのトリフェニレンを作製することが可能になるからである。例
えば:
ポリマー性ディスコチック系の合成に関する先行する研究[9、10]は、これら
が、その低分子量の対応物よりも重要であると思われること、しかし、純粋なこ
れらの材料を、位置異性体なしで、かつ大規模に作製し得るルートを開発するこ
とは失敗に終わっていることを示唆している。
ディスコチック液晶の用途はいまだ開発の途上にあるが、これらは、系に機能
性を組み込むことに基づき、そして特にポリマー系に基づくと思われる。
ポリマー材料は、その低分子量の対応物よりも加工(特に、
超分子配向繊維または膜を作製するための加工)が容易であるという点で利点を
有している。架橋は、弾性体的性質を与え、ひずみ依存性伝導性(strain-depend
ent conductivity)が必要とされる用途が開ける。ポリマー材料はまた、ドーパ
ントを炭化水素鎖マトリックス中に入れることに対して、より「寛容」であり、
かなり高濃度のドーピングを許容し、そしてそのため、欧州特許第364185号に教
示されているように、オキシダントまたはリダクタントを炭化水素鎖マトリック
ス中に入れることで、これらの材料はそれぞれp型またはn型半導体としての機
能が与えられる。
このオキシダントまたはリダクタントは、光増感剤で置き換えられ得、その結
果、電子の移動は光化学的に誘起され得る:
ここで、電子受容体Aは、例えばトリニトロフルオレノン、テトラクロロ-p-ベ
ンゾキノン、またはTCNQ-F4であり、この場合、直接移動は光化学的に誘起され
、あるいはシアニンまたはトリフェニルメタンカチオン性染料であり、ここで染
料の光励起状態はオキシダントとして働く。このドープされた材料は、興味深い
光伝導性およびエレクトロルミネセンス特性を有すると思われる。前者には、例
えばゼログラフィー、レーザー印刷、電子写真、画像/情報記憶装置などにおけ
る
用途が見いだされ、そして後者にはディスプレー、TVなどの広い領域の用途が
見いだされる。
本発明は、以下の実施例によって例示される。特に示さない限り、すべての工
程は室温で行われた。
これらの実施例で言及される多くの生成物は、以前には合成可能ではなく、あ
るいは少なくとも純粋な形態では合成可能ではなかった。従って、本発明は、そ
の範囲内で、上記の新規な合成法を提供するのみならず、このような合成による
新規な生成物をも提供する。
略号Hx(ヘキシル)は、特に指示がない限り、n-ヘキシルを意味する。
2,3,6,7,10,11-ヘキサメトキシトリフェニレン 化合物2
ジクロロメタン(500ml)および濃硫酸(1.6g)中に塩化鉄(III)(81g、0.5モル)を
含む懸濁液に、十分に撹拌しながら、ベラトロール(23g) 0.166モル)をゆっくり
と加えた。ベラトロールを加えると、塩化水素が発生し、そして温度はジクロロ
メタンが還流するまで(40℃)上昇した。反応混合物をさらに2時間撹拌し、次い
で濾過した。メタノールを濾過パッド上の固形物に注意深く加えると、その固形
物は、何回も洗浄することによって暗緑色から灰色に変色した。熱およびホルム
アルデヒドが放出され、従って、この工程は、換気の良い有毒ガス排出装置(fum
e-cupboard)内で行われることが薦められる。残留固形物を、真空下で乾燥して
、ヘキサメトキシトリフェニレン 2(灰色固形物(19.7g、86%)、mp>300℃と
して)を得た。1,2-ジヘキシルオキシベンゼン
エタノール(100ml)中にカテコール(1.1g、0.01モル)および炭酸カリウム(6.2g
)を含む溶液に、激しく撹拌しながら、ブロモヘキサン(4.92ml、0.0375モル)を
窒素下で加えた。反応混合物を16時間還流により撹拌し、そしてセライトを通し
てエタノールで何回も洗浄することによって濾過した。濾液を真空下で濃縮し、
そしてシリカのカラムクロマトグラフィーにかけ、1:1のジクロロメタン:軽
質石油(light petroleum)で溶出して、淡黄色オイルとしての生成物(2.6g、95%
)を与えた。
同様な方法により以下のものを調製した:
1,2-ジプロピルオキシベンゼン(反応時間4.5時間、収率89%):1,2-ジブチル
オキシベンゼン(4.5時間、91%);1,2-ジオクチルオキシベンゼン(16時間、7
9%、mp 24℃、文献値[15]23-26℃);および1,2-ジノニルオキシベンゼン(8時
間、86%、mp 37℃、文献値[15]37℃)。2,3,6,7,10,11-ヘキサヘキシルオキシトリフェニレン[HAT6,4]
濃硫酸(2滴)を加えたジクロロメタン(20ml)中に塩化鉄(III)(2.66g、0.016
5モル)を含む懸濁液に、激しく撹拌しながら、1,2-ジヘキシルオキシベンゼン(1
.5g、0.0055モル)を加えた。反応は、激しいガスの発生を伴って起こり、そして
45分後メタノール(60ml)で停止させた。反応混合物を濾過し、そして濾液を真空
下で濃縮して黒色の固形物を得た。この固形物をカラムクロマトグラフィーにか
け、1:1のジクロロメタン:軽質石油で溶出して、淡黄色固形物としての生成
物を与え、これをエタノールで再結晶した((1.09g、73%)K-D67℃、D-1 99.5℃
(文献値[16]68℃、97℃))。
同様な方法により以下のものを調製した:
2,3,6,7,10,11-ヘキサプロピルオキシトリフェニレン、HAT3 (77%)、K-1 176
.5℃(文献値[16]177℃);2,3,6,7,10,11-ヘキサブチルオキシトリフエニレン、
HAT4 (65%)、K-D 88℃、D-1 143.5℃(文献値[16]88.6℃、145.6℃);2,3,6,7,
10,11-ヘキサオクチルオキシトリフェニレン、HAT8 (60%)、
K-D 65.8℃、D-1 84.8℃(文献値[16]66.8℃、85.6℃);および2,3,6,7,10,11-
ヘキサノニルオキシトリフェニレン、HAT9 (55%)、K-D 56.5℃、D-1 78℃(文
献値[16]57℃、77.6℃)。2,3,6,7,10,11-ヘキサ-〈1,4,7-トリオキサオクチル〉-ト
リフェニレン 7 (TP 6EO2M)の合成のための改良手順
2,3,6,7,10,11-ヘキサヒドロキシトリフェニレン(1.11g、0.0034モル)を、エ
タノール(82ml)中の1-ブロモ-2-(2-メトキシエトキシ)-エタン(5.lg、0.028モル
)に窒素下で加えた。炭酸カリウム(5.27g)を加え、そしてその混合物を、窒素雰
囲気下で還流により20時間十分に撹拌した。混合物を、セライトを通して濾過す
る前に冷却させ、そして濾液を真空下で蒸発させて粗生成物を得た。この物質を
、Keiselgelのカラムクロマトグラフィーにかけ、最初にジクロロメタンで溶出
させ、続いて2%メタノールのジクロロメタン液で溶出させ、最後に4%メタノ
ールのジクロロメタン液で溶出させることによって、精製した。この生成物をエ
ーテルにより0℃にて繰り返し再結晶することによって、白色針状結晶(1.05g、
37%)、mp 53.4〜53.7℃(文献値[3] 51〜-53℃)としての純粋TP6EO2Mを与えた。2,3-ジメトキシ-6,7,10,11-テトラヘキシルオキシトリフェニレン
化合物8
ジクロロメタン(40ml)中に1,2-ジヘキシルオキシベンゼン(10g、0.036モル)お
よびベラトロール(10g、0.074モル)を含む溶液を、還流しているジクロロメタン
(250ml)中に塩化鉄
(III)(70g、0.434モル)および濃硫酸(1ml)を含む混合物に、穏やかな還流が維持
されるような速度で撹拌しながら加えた。混合物を、さらに1時間撹拌し、そし
てメタノール(400ml)上に注いだ。ジクロロメタンを真空下で除去し、そして固
形物を濾過し、そしてシリカのカラムクロマトグラフィーにかけ、ベンゼンで溶
出することによって精製した。白色固形物をジクロロメタン/メタノールにより
再結晶して、生成物(2.7g、22%)、mp 102℃を与えた。分析 実測値 C (76.6%)
、H (9.4%)、C44H64O6としては、C (76.7%)、H (9.4%)である。2-メトキシ-3,6,7,10,11-ペンタヘキシルオキシトリフェニレン
化合物9
1,2-ジヘキシルオキシベンゼン(10g、0.036モル)および2-ヘキシルオキシアニ
ソール(7.5g、0.036モル)を、還流しているジクロロメタンおよび濃硫(0.5ml)中
に塩化鉄(III)(35g、0.217モル)を含む懸濁液に1時間かけて加えた。混合物を
、さらに1時間還流下で撹拌し、そしてメタノール(250ml)に注いだ。固形物を
濾過し、メタノールで洗浄し、そしてシリカカラム(ベンゼン溶出液)上で分離
して、2-メトキシ-3,6,7,10,11-ペンタヘキシルオキシトリフェニレン(2.4g、18
%)K-D53℃、D-1 72℃を与えた。4-ヨード-2-ヘキシルオキシアニソール
5-ヨード-2-メトキシフェノール(50g、0.2モル)、ヘキシルブロマイド(38g、0
.23モル)および炭酸カリウム(42g)を、還流しているエタノール(150ml)中で6時
間撹拌した。軽質石油
エーテル(light petroleum ether)を冷却した混合物に加え、そして固形物を濾
過し、軽質石油エーテルで洗浄した。有機溶媒を真空下で除去し、そして残渣オ
イルを減圧下で蒸留して、4-ヨード-2-ヘキシルオキシアニソール(58g、87%)、
bp130−132℃/0.75mmHgを与えた。3,3’ジヘキシルオキシ-4,4’-ジメトキシビフェニル
4−ヨード−2−ヘキシルオキシアニソール(20g、0.06モル)および銅粉末(20
g)を一緒に完全に混合し、そして10分間270℃に加熱した。混合物を冷却し、ク
ロロホルムで繰り返し抽出した。溶媒を真空下で除去し、そして残渣をエタノー
ルから結晶化して、3,3’ジヘキシルオキシ-4,4’-ジメトキシビフェニル(5.9g
、48%) mp 75.5〜76.5℃を与えた。2,7-ジメトキシ-3,6,10,11-テトラヘキシルオキシトリフェニレン
化合物10
塩化鉄(III)(45g、0.279モル)、濃硫酸(0.5ml)、3,3’-ジヘキシルオキシ-4,4
’-ジメトキシビフェニル(8g、0.019モル)および1,2-ジヘキシルオキシベンゼン
(22.8g、0.082モル)の混合物を、ジクロロメタン(150ml)中で1時間撹拌した。
反応混合物をメタノール(500ml)に注意深く注ぎ、そして氷上で冷却した後、得
られた沈澱物を濾過し、そしてメタノールで洗浄した。シリカ上で分離して(ベ
ンゼン溶出液)、2,7-ジメトキシ-3,6,10,11-テトラヘキシルオキシトリフェニ
レン(6g、45%)、mp 98℃を与えた。
分析 実測値 C,76.7%;H,9.4%:C44H64O6としては、C,76.
7%;H,9.4%である。2,7-ジヒドロキシ-3,6,10,11-テトラヘキシルオキシトリフェニレン
乾燥THF(40ml)中にジフェニルホスフィン(0.9g、4.84×10-3モル)を含む溶液
を、氷浴内でアルゴン下に撹拌した。ブチルリチウム(2.8ml、ヘキサン中2.5M、
7×10-3モル)を加え、そしてその溶液を10分間撹拌した。2,7-ジメトキシ-6,7,1
0,11-テトラヘキシルオキシトリフエニレン(1g、1.45×10-3モル)を加え、そし
てその溶液を、室温で2時間および45℃で1.5時間撹拌して、沈澱物を形成させ
た。反応混合物を希硫酸に注ぎ、そしてジクロロメタンで2回抽出した。有機溶
液を希硫酸で2回洗浄し、そして真空下で蒸発させた。白色生成物をエタノール
から2回再結晶させて、2,7-ジヒドロキシ-3,6,10,11-テトラヘキシルオキシト
リフェニレン(0.7g) 73%)、mp 186℃を与えた。2,7-ジヒドロキシ-3,6,10,11-テトラヘキシルオキシトリフェニレンの重合
化
合物11
2,7-ジヒドロキシ-3,6,10,11-テトラヘキシルオキシトリフェニレン(400mg、6
.06×10-4モル)および炭酸セシウム(caesium carbonate)(390mg、1.2×10-3モル
)を、N-メチルピロリドン(NMP)(1.3ml)中に溶解させた。NMP(1ml)中の1,11-ジブ
ロモウンデカン(190mg、6.05×10-4モル)を加え、そして混合物を直ちに110℃の
油浴中に沈めた。混合物を110℃で1時間撹拌し、そして冷却した。水を加え、
そして得られた固形物を
水およびエタノールで繰り返し洗浄した。固形物をジクロロメタンからエタノー
ルにより沈澱させて、白色固形物としての2つのポリマーを与えた。
1)Mw = 16000、mp 100〜115℃
2)Mw = 25000、mp 100〜115℃2-ヘキシルオキシフェノール
カテコール(50g、0.45モル)、ブロモヘキサン(75g、0.45モル)および炭酸カリ
ウム(100g)の混合物を、還流しているエタノール(250ml)中で12時間撹拌した。
混合物を冷却し、そしてジクロロメタン(250ml)を加えた。固形物を濾別し、そ
して濾液を真空下で濃縮した。150〜160℃/14mmHgで蒸留して、無色オイルとし
ての2-ヘキシルオキシフェノール(60g、69%)を与えた。
分析 C,73.95%;H,9.3%:C12H18O2としては、C,74.19%;H,9.34%である。2-ヘキシルオキシフェニルアセテート
アセチルクロライド(35g、0.45モル)を2-ヘキシルオキシフエノール(65g、0.3
4モル)に撹拌しながら1時間かけて加え、そして混合物をさらに24時間撹拌した
。ジクロロメタン(200ml)を加え、そしてその溶液を、水層が塩基性になるまで
、希炭酸カリウムで洗浄した。有機溶液を乾燥(MgSO4)し、そして溶媒を真空下
で除去した。残渣を100〜106℃/0.8mmHgで蒸留して、無色オイルとしての2-ヘキ
シルオキシフェニルアセテート(75g、94%)を与えた。2-ヘキシルオキシ-5-ヨードフェノール
2-ヘキシルオキシフェニルアセテート(24g、0.10モル)をクロロホルム(150ml)
中に溶解し、そして8℃に冷却した。クロロホルム(50ml)中のヨウ素モノクロラ
イド(20g、0.12モル)を、8〜13℃の間の反応温度を維持しながら、滴下した。
混合物を室温で一晩撹拌し、ヨウ素の色が消失するまでメタ重亜硫酸ナトリウム
(sodium metabisulfite)で洗浄し、次いで水で洗浄した。有機溶液を分離し、そ
して溶媒を真空下で除去した。残渣の赤/褐色オイルをエタノール(20ml)中に溶
解し、そしてエタノール(50ml)および水(40ml)中に水酸化ナトリウム(35g、0.86
モル)を含む溶液を加えた。その溶液を1時間還流し、冷却させ、そして40%硫酸
で注意深く酸性にした。混合物をジクロロメタン(2×150ml)で抽出し、そして
有機溶液を乾燥(MgSO4)した。溶媒を真空下で除去し、続いて残渣を140〜145℃/
1.2mmHgで蒸留して黄色オイルを与え、これを一晩結晶化した。軽質石油から再
結晶して、2-ヘキシルオキシ-5-ヨードフェノール(20.5g、64%)mp 29〜30℃を
与えた。2-ヘキシルオキシ-5-ヨードアニソール
2-ヘキシルオキシ-5-ヨードフェノール(15.1g、0.047モルおよび水酸化ナトリ
ウム(2g、0.05モル)をエタノール(100ml)中で10分間撹拌した。ヨウ化メチル(10
g、0.07モル)を加え、そしてその溶液を室温で3日間撹拌した。混合物を希硫酸
で酸性にし、そしてジクロロメタン(2×100ml)で抽出した。溶媒を真空下で除
去し、そして残渣をエタノールから結晶化し
て、2-ヘキシルオキシ-5-ヨードアニソール(12.2g、78%)、mp 44〜44.5℃を与え
た。
分析 C,46.9%;H,5.95%;I,37.95%:C13H19IO2としては、C,46.72%;H,5.9
5%;I,37.97%である。4,4’-ジヘキシルオキシ-3,3’-ジメトキシビフエニル
2-ヘキシルオキシ-5-ヨードアニソール(15g、0.45モル)を銅粉末(17g)で念入
りに混合した。混合物を、発熱反応が起こる270℃まで注意深く加熱することに
よって、温度は320℃にまで上昇した。冷却後、混合物をジクロロメタン(約350m
l)で繰り返し抽出した。溶媒を真空下で除去し、そして残渣をメタノールから結
晶化して、4,4’-ジヘキシルオキシ-3,3’-ジメトキシビフェニル(6.1g、66%)、
mp 82.5〜83℃を与えた。
分析 C,75.4%;H,9.45%:C26H38O4としては、C,75.32%;H,9.24%である。2,7,10,11-テトラヘキシルオキシ-3,6-ジメトキシトリフェニレン
化合物12
4,4’-ジヘキシルオキシ-3,3’-ジメトキシビフェニル(3.6g、8.7ミリモル)お
よび1,2-ジヘキシルオキシベンゼン(7.25g、26ミリモル)をジクロロメタン(50ml
)中で撹拌し、そして塩化鉄(III)(18g、111ミリモル)を加えた。1時間撹拌後、
混合物をメタノール(100ml)に注ぎ、そして得られた固形物を直ちに濾別し、そ
してデシケーター中で乾燥した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、ベンゼン
/軽質石油4:1)により精製して、2,7,10,11-テトラヘキシルオキシ-3,6-ジ
メトキシトリフェニ
レン(4.6g、77%)、mp 116.5℃を与えた。
分析 C,76.85%;H,9.5%:C44H64O6としては、C,76.70%;H,9.36%である。2,7,10,11-テトラヘキシルオキシ-3,6-ジヒドロキシトリフェニレン
ジフェニルホスフィン(1.7g、9.2ミリモル)を乾燥THF(60ml)中に溶解し、そ
して氷浴中でアルゴン下に冷却した。ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、5ml、1
2.5ミリモル)を10分かけて加えた。固形物2,7,10,11-テトラヘキシルオキシ-3,6
-ジメトキシトリフェニレン(1.7g、2.5ミリモル)を加え、そしてその溶液を、50
〜60℃で4時間撹拌し、そして室温で一晩撹拌した。混合物を希硫酸に注ぎ、そ
して酢酸エチル(3×70ml)で抽出した。溶媒を真空下で除去し、そして残渣をジ
クロロメタンからメタノールにより沈澱させた。沈澱物を濾別し、乾燥し、そし
てカラムクロマトグラフィー(シリカ、ベンゼン)により精製して、2,7,10,11-
テトラヘキシルオキシ-3,6-ジヒドロキシトリフェニレン(1.2g、74%)、mp 105℃
を与えた。
分析 C,76.15%;H,9.1%:C42H60O6としては、C,76.32%;H,9.15%である。2,7,10,11-テトラヘキシルオキシ-3,6-ジヒドロキシトリフェニレンの重合
2,7,10,11-テトラヘキシルオキシ-3,6-ジヒドロキシトリフェニレン(0.576g、
0.872ミリモル)をN-メチルピロリドン(2ml)中で撹拌し、そしてアルゴンで脱気
した。炭酸セシウム(0.
5g)を加え、そして混合物を5分間撹拌した。N-メチルピロリドン(0.5ml)中の1
,11−ジブロモウンデカン(274mg、0.872ミリモル)を加え、そしてフラスコを直
ちに85℃の油浴内に浸した。2相混合液が直ちに形成され、これを85℃で2日間
撹拌し、そして水に注いだ。固形物を濾過し、ジクロロメタンからエタノールに
より再沈澱させ、そしてカラムクロマトグラフィー(シリカ、ベンゼン、次いで
ジクロロメタン)により分離して、モノマー(60mg)、mp 73℃;ダイマー(35mg)
、K-D 130℃ D-I 140℃;およびポリマー(450mg)、Mw約9000、K-D 93℃D-I 120
℃を与えた。2,3,6,7-テトラヘキシルオキシ-10-ヒドロキシ-11-メトキシトリフェニレン
化
合物13
3,3’,4,4’-テトラヘキシルオキシビフェニル(100mg、0.18ミリモル)および
グアイアコールアセテート(guaicol acetate)(25Omg、1.5ミリモル)をジクロロ
メタン(20ml)中で撹拌した。塩化鉄(III)(0.5g、3.1ミリモル)を加え、混合物を
2時間撹拌し、それをメタノール(30ml)に注いだ。固形物を濾別し、メタノール
で洗浄し、乾燥し、そしてカラムクロマトグラフィー(シリカ、ベンゼン)によ
り精製して、2,3,6,7-テトラヘキシルオキシ-10-ヒドロキシ-11-メトキシトリフ
ェニレン(57mg、47%)、mp 112℃を与えた。メチル-2,3,6,7,10,11-テトラヘキシルオキシトリフェニレン
化合物14
3,3’,4,4’-テトラヘキシルオキシビフェニル(1g、1.8ミリ
モル)および2,3-ジヘキシルオキシトルエン(1g、3.4ミリモル)をジクロロメタ
ン(30ml)中で撹拌した。塩化鉄(III)(2g、12ミリモル)を加え、混合物を2時間
撹拌し、そしてメタノール(100ml)に注いだ。固形物を濾別し、乾燥し、カラム
クロマトグラフィー(シリカ、ベンゼン/軽質石油 1:1)により精製し、そして
エタノールから再結晶して、メチル-2,3,6,7,10,11-テトラヘキシルオキシトリ
フェニレン(1.1g、73%)、mp60℃を与えた。
分析 C,78.25%;H,10.3%:C55H86O6としては、C,78.34%;H,10.28%である。フルオロ-6,7,10,11-テトラヘキシルオキシ-2,3-ジメトキシトリフェニレン
化
合物15
3,3’,4,4’-テトラヘキシルオキシビフェニル(1g、1.8ミリモル)および3-フ
ルオロベラトロール(1g、6.4ミリモル)をジクロロメタン中で撹拌した。塩化鉄
(III)(5g、30ミリモル)を加え、そして混合物を1.5時間撹拌し、そしてメタノー
ル(150ml)に注いだ。沈澱物を濾別し、メタノールで洗浄し、乾燥し、そしてカ
ラムクロマトグラフィー(シリカ、ベンゼン)により精製して、白色固形物とし
てのフルオロ-6,7,10,11-テトラヘキシルオキシ-2,3-ジメトキシトリフェニレン
(0.85g、67%)、mp 95℃を与えた。2,3,6,7,10,11-ヘキサキス-((2-クロロエトキシ)エトキシ)トリフェニレン
化
合物16
1,2-ビス-((2-クロロエトキシ)エトキシ)ベンゼン(14g、0.
043モル)を固形炭酸カリウム(80g) と共にジクロロメタン(200ml) 中で撹拌した
。塩化鉄(III)(30g、0.19モル)を加え、そして混合物を1時間撹拌した。メタノ
ール(50ml)を注意深く加え、そして固形物を濾別し、そしてジクロロメタンで洗
浄した。濾液を真空下で濃縮し、そしてメタノール(150ml)を加えた。30分間静
置した後、沈澱物を濾別し、乾燥し、そしてカラムクロマトグラフィー(シリカ
、ジクロロメタン、次いでジクロロメタン/酢酸エチル85:15)により精製した。
一緒にした黄色生成物の画分を活性炭(30g)と共に5分間撹拌し、そして濾過し
た。溶媒を真空下で除去し、そしてジクロロメタン/メタノールから再結晶する
ことによって、白色固形物としての2,3,6,7,10,11-ヘキサキス-((2-クロロエト
キシ)エトキシ)トリフェニレン(5g、36%)、mp 95.5℃を与えた。
分析 C,52.15%;H,5.4%;Cl,21.95%:C42H54Cl6O12としては、C,52.35%;H
,5.65%;Cl,22.08%である。4-ヨード-1,2-ジヘキシルオキシベンゼン
ヨウ素モノクロライド(102g、0.63モル)をクロロホルム(500ml)中のジヘキシ
ルオキシベンゼン(176g、0.63モル)に加え、そして1.5時間撹拌した。その溶液
をデカンテーションし、そしてメタ重亜硫酸ナトリウム溶液、水で洗浄し、次い
で真空下で濃縮した。残渣を蒸留(175℃/1.5mmHg)して、橙色のオイルとしての4
-ヨード-1,2-ジヘキシルオキシベンゼン(144g、56%)を与えた。3,3’,4,4’-テトラヘキシルオキシビフェニル
4-ヨード-1,2-ジヘキシルオキシベンゼン(16g、0.04モル)を銅粉末(30g)に撹
拌しながら加え、次いで約300℃に加熱した(発熱は240℃で起こることに留意)
。懸濁液を冷却させ、そしてジクロロメタン(100ml)で抽出した。次いで、抽出
物を真空下で濃縮し、そしてエタノールから結晶化した(5.5g、50%)。
mp 68〜70℃。2,2’-(4-スピロ-3-メトキシシクロヘキサジエノン)-4,4’,5,5’-テトラヘキシ ルオキシビフェニル
化合物17
1,3-ジメトキシベンゼン(0.49g、0.0036モル)および3,3’,4,4’-テトラヘキ
シルオキシビフェニル(0.5g、0.0009モル)を、ジクロロメタン(30ml)中に塩化鉄
(III)(2.2g、0.0135モル)を含む懸濁液に撹拌しながら加えた。50分後に、反応
をメタノールで停止させ、そして一晩静置させたままにした。粗固形生成物を濾
別し、カラムクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル/石油エーテル 1:3)にか
けた。生成物を集め、そしてエタノールから再結晶して、白色針状結晶(0.25g、
42%)を与えた。
mp 173〜175℃(実測値:C,76.55%;H,9.0%:C43H62O6としては、C,76.52%;
H,9.25%である。)1-メトキシ-3-アセチルオキシ-6,7,10,11-テトラヘキシルオキシトリフェニレン
化合物18
前記のスピロ化合物(0.55g、0.0008モル)を無水酢酸(20ml)および濃硫酸(3
滴)に加えた。次いで、この混合物を30分間加温し、そして氷上に注ぎ、そして
一晩置いた。固形物を
濾別し、カラムクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン/軽質石油 55:45)
にかけ、そしてエタノールから再結晶させて、白色針状結晶としての1-メトキシ
-3-アセチルオキシ-6,7,10,11-テトラヘキシルオキシトリフェニレン(0.1g、18%
)を与えた。
mp 116〜118℃(実測値:C,75.2%;H,9.05%:C45H64O7としては、C,75.39%:
H,8.99%である。)2,3,6,7,9,12-ヘキサヘキシルオキシトリフェニレン
化合物19
3,3’,4,4’-テトラヘキシルオキシビフェニル(0.5g、0.0009モル)および1,4-
ジヘキシルオキシベンゼン(1g、0.0036モル)を、ジクロロメタン(20ml)中に塩化
鉄(III)(2.63g、0.016モル)を含む懸濁液に撹拌しながら加えた。80分後、反応
をメタノールで停止させ、そして固形生成物を濾別し、そしてカラムクロマトグ
ラフィー(シリカ、ジクロロメタン/石油エーテル 2:5)にかけて、白色固形物と
しての2,3,6,7,9,12-ヘキサヘキシルオキシトリフェニレン(0.1g、13%)を与えた
。
mp 82〜84℃(実測値:C,78.05%;H,10.2%:C54H34O6としては、C,78.21%;H
,10.21%である。)2-メトキシ-6,7,10,11-テトラヘキシルオキシトリフェニレン
化合物20
3,3’,4,4’-テトラヘキシルオキシビフェニル(0.5g、0.0009モル)およびアニ
ソール(0.9g)を、ジクロロメタン(15ml)中に塩化鉄(III)(2.71g)を含む懸濁液に
撹拌しながら加えた。
反応混合物を40分間撹拌し、そしてメタノール(100ml)で反応停止させた。混合
物を濃縮させた後、暗灰色の固形物を沈澱させ、次いでこの粗生成物をカラムク
ロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン/石油エーテル 45:55)にかけた。エ
タノールから再結晶させて、白色板状結晶としての2-メトキシ-6,7,10,11-テト
ラヘキシルオキシトリフェニレン(0.03g、5%)を与えた。
(実測値:M+,658.45898:C43H62O5としては、M+,658.45973である。)1,2-ジメチル-3-メトキシ-6,7,10,11-テトラヘキシルオキシトリフェニレン
化
合物21
3,3’,4,4’-テトラヘキシルオキシビフェニル(0.5g、0.0009モル)および2,3-
ジメチルアニソール(1.5g、0.011モル)を、ジクロロメタン(15ml)中に塩化鉄(II
I)(2.71g)を含む懸濁液に撹拌しながら加えた。混合物を45分間撹拌し、メタノ
ールで反応停止させ、濃縮し、そして一晩静置したままにした。得られた固形生
成物を濾過し、そしてカラムクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン)に
かけて、そしてエタノールから再結晶させて、白色針状結晶としての1,2-ジメチ
ル-3-メトキシ-6,7,10,11-テトラヘキシルオキシトリフェニレン(0.19g、31%)
を与えた。
mp 79〜80℃(実測値:C,78.55%;H,9.7%:C45H66O5としては、C,78.68%;H
,9.68%である。)2-メチル-3-メトキシ-6,7,10,11-テトラヘキシルオキシトリ フェニレン
化合物22
3,3’,4,4’-テトラヘキシルオキシビフェニル(0.5g、0.0009モル)および2-メ
チルアニソール(1.32g、0.011モル)を、ジクロロメタン(15ml)中に塩化鉄(III)(
2.65g、0.016モル)を含む懸濁液に撹拌しながら加えた。混合物を70分間撹拌し
、次いでメタノール(100ml)で反応停止させ、そして一晩静置したままにした。
粗生成物を濾過し、乾燥し、カラムクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタ
ン/石油エーテル6:4)にかけ、そしてエタノールから再結晶させて、白色板
状結晶としての2-メチル-3-メトキシ-6,7,10,11-テトラヘキシルオキシトリフェ
ニレン(0.38g、63%)を与えた。
mp 118〜119℃(実測値:C,78.55%;H,9.65%:C44H64O5としては、C,78.53%
;H,9.58%である。)2,3-ジメチル-6,7,10,11-テトラヘキシルオキシトリフェニレン
化合物23
3,3’,4,4’-テトラヘキシルオキシビフェニル(0.3g、0.0005モル)をo-キシレ
ン(5ml)中に溶解し、そしてo-キシレン(10ml)中に塩化鉄(III)(1.85g)を含む懸
濁液に撹拌しながら加えた。混合物を2時間撹拌し、次いでメタノール(100ml)
で反応停止させ、そして一晩静置したままにした。得られた固形物をカラムクロ
マトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン/石油エーテル 6:4)にかけ、そしてエ
タノールから再結晶させて、白色板状結晶としての2,3-ジメチル-6,7,10,11-テ
トラヘキシルオキシトリフェニレン(0.154g、43%)を与えた。
mp 133〜135℃(実測値:C,80.2%;H,9.6%:C44H64O4としては、C,80.4%;H
,9.8%である。)2-メトキシ-6,7,10,11-テトラヘキシルオキシトリフェニレン
化合物20(段階的 ルート
)
3,3’,4,4’-テトラヘキシルオキシビフェニル(0.5g、0.0009モル)を、塩化第
二鉄(0.29g、0.0018モル)の懸濁液に0℃にて撹拌しながら加え、そして30分間
撹拌した。次いで、アニソール(メトキシベンゼン)(0.097g、0.0009モル)を加
え、そして反応混合物を室温で45分間撹拌した。過剰の塩化第二鉄を加え、そし
てさらに10分間撹拌し、次いでメタノールで反応停止させ、そして一晩静置した
ままにした。得られた固形物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメ
タン/石油エーテル 45:55)にかけ、そしてエタノールから再結晶させて、白色結
晶としての2-メトキシ-6,7,10,11-テトラヘキシルオキシトリフェニレン(0.21g
、35%)を与えた。
mp 97〜99℃。2,3-ジヘキシル-6,7,10,11-テトラヘキシルオキシトリフェニレン
化合物24
3,3’,4,4’-テトラヘキシルオキシビフェニル(0.5g、0.0009モル)および1,2-
ジヘキシルベンゼン(6g、0.024モル)を、ジクロロメタン(6ml)中に塩化第二鉄(2
.63g)を含む懸濁液に撹拌しながら加えた。混合物を1時間45分間撹拌し、次い
でメタノール(100ml)で反応停止させ、そして一晩静置したままにした。得られ
た粗固形物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、
ジクロロメタン/石油エーテル 5:5)にかけ、そしてエタノールから再結晶させて
、白色板状結晶としての2,3-ジヘキシル-6,7,10,11-テトラヘキシルオキシトリ
フェニレン(0.25g、35%)を与えた。
mp 91〜93℃(実測値:C,81.42%;H,10.4%:C54H84O4としては、C,81.36%;H
,10.62%である。)2-ヘキシルオキシトルエン
o-クレゾール(20g、0.19モル)、1-ブロモヘキサン(43g、0.26モル)および炭
酸カリウム(50g)の混合物を、還流しているエタノール(200ml)中で24時間撹拌し
た。次いで、混合物を冷却し、そしてジクロロメタン(200ml)を加えた。固形物
を濾別し、そして濾液を真空下で濃縮した。104℃/40mmHgで蒸留することによっ
て、無色オイルとしての2-ヘキシルオキシトルエン(23g、63%)を与えた。2-メチル-3,6,7,10,11-ペンタヘキシルオキシトリフェニレン
化合物25
3,3’,4,4’-テトラヘキシルオキシビフェニル(0.5g、 0.0009モル)および2-
ヘキシルオキシトルエン(2.1g、0.011モル)を、ジクロロメタン(20ml)中に塩化
第二鉄(2.65g)を含む懸濁液に撹拌しながら加えた。混合物を45分間撹拌し、次
いでメタノールで反応停止させ、そして4時間静置したままにした。粗生成物を
濾別し、乾燥させ、次いでカラムクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン
/石油エーテル 4:6)にかけ、そしてエタノールから再結晶させた。これにより
、白色結晶とし
ての2-メチル-3,6,7,10,11-ペンタヘキシルオキシトリフェニレン(0.32g、48%)
を与えた。
mp 105〜106℃(実測値:C,79.2%;H,10.2%:C49H74O5としては、C,79.2%;H
,10.03%である。)化合物26
3,3’,4,4’-テトラヘキシルオキシビフェニル(0.3g、0.0005モル)およびジベ
ンゾ-p-ジオキシン(0.6g、0.0033モル)を、ジクロロメタン(15ml)中に塩化第二
鉄(0.9g)を含む懸濁液に撹拌しながら加え、そして1時間15分間撹拌した。次い
で、反応をメタノール(100ml)で停止させ、そして3時間静置したままにした。
得られた粗固形物を濾別し、乾燥させ、カラムクロマトグラフィー(シリカ、ジ
クロロメタン/石油エーテル4:6)にかけ、そしてエタノールから再結晶させた。
これにより、白色結晶としての化合物26(0.1g、25%)を与えた。
mp 162〜164℃。2-ブロモ-3-メトキシ-6,7,10,11-テトラヘキシルオキシトリフェニレン
化合物
27
2-ブロモアニソール(4.0g、0.021モル)および3,3’,4,4’-テトラヘキシルオ
キシビフェニル(1g、0.0018モル)を、ジクロロメタン(25ml)中に塩化第二鉄(5.3
g)を含む懸濁液に撹拌しながら加え、そして3時間撹拌した。次いで、反応をメ
タノール(200ml)で停止させ、濃縮し、そして一晩静置したままにした。得られ
た固形物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン/石油エーテル
7:3)にかけ、そして粗生成物
を黄色固形物として集めた。この固形物をさらにカラムクロマトグラフィー(シ
リカ、ジクロロメタン/石油エーテル 50:50または1:1)にかけ、そしてエタノー
ルから再結晶させて、白色結晶としての2-ブロモ-3-メトキシ-6,7,10,11-テトラ
ヘキシルオキシトリフェニレン(0.55g、41%)を与えた。
mp 136〜139℃。3,4-ジヘキシルオキシビフェニル
1,2-ジヘキシルオキシ-4-ヨードベンゼン(10g、0.025モル)およびヨードベン
ゼン(5g、0.025モル)を銅粉末(20g)に加え、そして250℃に加熱した。冷却後、
反応混合物をジクロロメタン(4×50ml)で抽出し、濾過し、そして真空下で濃縮
した。次いで、エタノールを加えて不要な対称型ビフェニルの結晶化を開始させ
、次いでこれを濾過により除去し、次いで残渣を真空下で再び濃縮した。次に、
この残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン/石油エーテル
3:7)にかけ、3,4-ジヘキシルオキシビフェニルを淡黄色オイルとして集めた(1.
6g、18%)。2,3,6,7-テトラヘキシルオキシトリフェニレン
化合物28
3,4-ジヘキシルオキシビフエニル(0.33g、0.0009モル)および1,2-ジヘキシル
オキシベンゼン(1.3g、0.0047モル)を、ジクロロメタン(15ml)中に塩化第二鉄(1
.82g)を含む懸濁液に撹拌しながら加え、そして2時間撹拌した。次いで、反応
混合物をメタノール(100ml)で反応停止させ、そして3時間静置したままにした
。次いで、得られた固形物をカラムクロマトグ
ラフィー(シリカ、ジクロロメタン/石油エーテル 35:65)にかけ、そしてエタ
ノールから再結晶させて、白色固形物としての2,3,6,7-テトラヘキシルオキシト
リフェニレン(0.28g、40%)を与えた。
mp 114〜116℃。2-メトキシ-6,7,10,11-テトラヘキシルオキシトリフェニレン
化合物29 (代替オ キシダントを用いる段階的ルート)
3,3’,4,4’-テトラヘキシルオキシビフェニル(1g、0.0018モル)を、乾燥ジク
ロロメタン(20ml)中にニトロソニウムテトラフルオロボレート(0.35g、0.0032モ
ル)を含む懸濁液に撹拌しながら0℃にて加え、そして10分間撹拌した。次いで
、アニソール(0.22g、0.0020モル)を加え、そして反応混合物を室温て30分間撹
拌した。過剰の塩化第二鉄を加え、そして反応をメタノール(150ml)で停止させ
る前に、さらに30分間撹拌した。真空下での濃縮から得られた粗固形物をカラム
クロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン/石油エーテル 45:55)にかけ、
そしてエタノールから再結晶させて、白色固形物としての2-メトキシ-6,7,10,11
-テトラヘキシルオキシトリフェニレン(0.41g、35%)を与えた。
mp 96〜98℃。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年4月28日
【補正内容】
明細書ディスコチック液晶として有用な置換トリフェニレンの合成
本発明は、純粋な(すなわち異性体を含まない)、置換(例えば、非対称置換
)トリフェニレンの合成法に関し、そしてそのように作製された化合物を包含す
る。これまで、このような合成は、望ましくない異性体を大量に生じさせた。こ
れらの化合物は、重合の良好な原料を形成し、ディスコチック液晶としての用途
を見いだし得、低分子量または高分子量であり得る。
本方法によって、限定された構造の、ポリマー性ディスコチック液晶を調製す
ることが可能になる。なぜなら、非対称置換トリフェニレンがなければ、この核
に基づく限定された構造の均一なポリマーは作製され得ないからである。この方
法はまた、トリフェニレン核が対称または非対称に置換され得る、低分子量の液
晶系のためにも有用である。この方法は、これらの化合物を、純粋に、低価格で
、そして大量に作製することを可能にする。対称および非対称置換トリフェニレ
ンは両方とも、Acta Chemica Scandinavica B36(1982)321および322、ならびにJ
.Organometallic Chemistry 344(1988)1-8に開示されている。
トリフェニレン核に基づくディスコチック液晶は、秩序正しい六方晶系の柱状
相を形成するため、特に、有望であり、
そして特にトリフェニレンベースのポリマーは、特に重要であると思われる。可
能性のある用途は、ゼログラフィー、レーザー印刷、電子写真、情報記憶装置、
センサー(特に化学センサー)などにおいて用いるための伝導性材料および/ま
たは感光性材料を作るために、この系に機能性を組み込むことに基づくと思われ
る。例えば、ヘキサアルコキシトリフェニレンをオキシダントでドープすると、
半導体になり、その半導体における好ましい導電方向は、六方晶系柱状相の柱に
沿い、柱の芳香核は導電通路を提供し、炭化水素鎖の環は絶縁性の鞘(sheath)を
形成する。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C07C 41/30 7419−4H C07C 41/30
43/20 7419−4H 43/20 D
67/293 67/293
69/12 69/12
69/22 69/22
C07D 319/24 9454−4C C07D 319/24
C09K 19/32 9279−4H C09K 19/32
// G02F 1/13 500 G02F 1/13 500
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),CN,JP,RU,US
(72)発明者 ヘッドドック,ガレス
イギリス国 エルエス6 1ビーゼット
リーズ,ヘッディングリィ,リッチモンド
アベニュー 25
(72)発明者 ボーナー, ルース キャロル
イギリス国 エヌイー25 8ユーティ タ
イン アンド ウィア,ホワイトリー ベ
イ, シールズ ロード 33
(72)発明者 ボーデン,ネビル
イギリス国 エルエス17 8アールエック
ス リーズ,ハイ アッシュ アベニュー
77