JP2011195616A - 光硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】光照射により塩基性を発現または増大する光塩基発生剤と、アニオン性樹脂とを含有する光硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】シクロプロペノン環を有するアミン、好ましくは下記式(1)で表される化合物である光塩基発生剤(A)と、アニオン重合性樹脂(B)とを含有する光硬化性樹脂組成物。
Figure 2011195616

【選択図】なし

Description

本発明は、芳香族性を利用する光塩基発生剤を含有する光硬化性樹脂組成物に関する。
光硬化で主に用いられている硬化システムとして、ラジカル硬化およびカチオン硬化がある。ラジカル硬化は、光ラジカル発生剤および(メタ)アクリレート樹脂を主成分とし、光照射により光ラジカル発生剤が開裂や水素引抜きなどの過程を経てラジカルを発生し、(メタ)アクリレート樹脂の硬化を行うシステムであり、速硬化が可能であることを特徴とする。カチオン硬化は、光酸発生剤とエポキシ樹脂、オキセタン樹脂およびビニルエーテル樹脂などのカチオン重合性樹脂とを主成分とし、光照射により光酸発生剤が酸を発生してカチオン重合性樹脂の硬化を行うシステムであり、硬化時の硬化収縮が低いことを特徴とする。しかしながら、ラジカル硬化系では接着力が低いという問題がある。またカチオン硬化系では強酸が系内に残存するため金属や無機材質の被着体を使用すると腐食を引き起こすことがあり、フォトリソグラフィーでは酸を洗い流せばよいが、接着剤ではそれができないため問題となっていた。
一方、上記ラジカル硬化およびカチオン硬化とは異なる硬化システムとして、アニオン硬化に関する研究が近年行われており、光照射によってアミンなどの塩基性化合物を発生する光塩基発生剤として、カルバメート誘導体やオキシムエステル誘導体などが知られている(例えば、特許文献1、非特許文献1および2参照)。しかしながら、上記誘導体のほとんどは大変安定であるため光照射による塩基の発生効率が低く、また発生する塩基性化合物も1級または2級アミンであるため塩基性が低く、エポキシ樹脂などを十分に硬化することができなかった。また、特許文献1および非特許文献2の技術では、露光に伴い炭酸ガスが副生するため硬化物中に気泡が発生し、微細加工等において重大な問題点を有していた。さらに上記技術では、アルデヒドなどの副生成物も発生するため、硬化物の耐熱性や接着性などが低下するという問題もあった。特許文献2および3には、炭酸ガスが副生しない光塩基発生剤が開示されている。特許文献4では、光照射により1,4−ジヒドロピリジン骨格をピリジン骨格に変化させ、塩基性を増加させる例が開示されている。したがって現在までのところ、露光による炭酸ガスなどの不要な副生物の発生は抑制されつつ、塩基性を十分に発現する光塩基発生剤を開発するに至っておらず、絶縁信頼性、耐熱性および微細加工性など、電子材料分野において光硬化樹脂に求められる要求に応えるべく、光照射によっても炭酸ガスなどの副生を十分に抑制しつつ、塩基性を発現または増大できる光塩基発生剤の開発が望まれていた。
特開平10-77264号公報 特開2005-264156号公報 特開2003-212856号公報 特開2003-20339号公報
Chemistry & Technology of UV & EBFormulation for Coatings, Inks & Paints, Ed. By G. Bradley, John Wiley and Sons Ltd.(1998年)、p.479〜545 UV・EB硬化技術III(1997年、シーエムシー出版)、P.78
本発明は光照射により塩基性を発現または増大する光塩基発生剤と、アニオン重合性樹脂とを含有する光硬化性樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、シクロプロペノンに紫外線を照射すると、ノリッシュI型反応が起こり、一酸化炭素とアセチレンに分解されること(G. Quinkert et al., Tetrahedron lett., 4, 1863-1868(1963)およびJ. Ciabattoni et al., J. Am. Chem. Soc., 91, 4766-4771(1969)など)、アミノ基を有するシクロプロペノンについても同様の反応が起こること(Y. Chiang et al., J. Org. Chem., 62, 5363-5370 (1997)、Y. Chiang et al., J. Am. Chem. Soc., 118, 4366-4372(1996)およびY. Chiang et al., Angew. Chem. 103, 1407-1408(1991)など)に着目し、光塩基発生剤として、シクロプロペノン環を有するアミンを使用することにより、上記問題を解決する光硬化性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の事項からなる。
[1]シクロプロペノン環を有するアミンからなる光塩基発生剤(A)と、アニオン重合性樹脂(B)とを含有することを特徴とする光硬化性樹脂組成物。
[2]前記光塩基発生剤(A)が下記式(1)で表される化合物であることを特徴とする[1]に記載の光硬化性樹脂組成物。
Figure 2011195616
式(1)中、R1は水素原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子またはアミノ基を示し;R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アラルキル基またはアリール基を示し、R2およびR3は互いに結合して飽和環または不飽和環を形成してもよい。
[3]前記R1が水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アラルキル基またはアリール基を示すことを特徴とする[1]または[2]に記載の光硬化性樹脂組成物。
[4]前記R1がアリール基であり、R2およびR3がそれぞれ独立にアルキル基であるか、または互いに結合して飽和環または不飽和環を形成していることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
[5]前記アニオン重合性樹脂(B)がエポキシ樹脂であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
[6]前記アニオン重合性樹脂(B)100質量部に対し、前記光塩基発生剤(A)を0.001〜100質量部含有してなることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
本発明によれば、紫外線照射により塩基性を発現または増大する光塩基発生剤と、アニオン性樹脂とを含有する光硬化性樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明の光硬化性樹脂組成物について詳細に説明する。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、シクロプロペノン環を有するアミンからなる光塩基発生剤(A)と、アニオン重合性樹脂(B)とを含有することを特徴とする。
[光塩基発生剤(A)]
本発明で用いられる光塩基発生剤(A)は、シクロプロペノン環を有するアミンであり、好ましくは下記式(1)で表される化合物である。
Figure 2011195616
式(1)中、R1は水素原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子またはアミノ基を示し、R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アラルキル基またはアリール基を示し、R2およびR3は互いに結合し飽和環または不飽和環を形成してもよい。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基またはtert−ブチル基が挙げられ、原料入手の容易さや性能の観点からイソプロピル基が好ましい。アルケニル基としては、例えば、プロペニル基、ブテニル基またはイソブテニル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシル基が挙げられる。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基が挙げられる。アリール基としては、製造の容易さの観点からフェニル基およびナフチル基が好ましい。アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基またはtert-ブチルチオ基が挙げられ、原料入手の容易さの観点から、tert-ブチルチオ基が好ましい。アリールチオ基としては、フェニルチオ基、ベンジルチオ基またはトリルチオ基が挙げられ、原料入手の容易さの観点から、フェニルチオ基が好ましい。ハロゲン原子としては、製造の容易さの観点から塩素原子または臭素原子が好ましい。アミノ基は置換していてもよいし置換していなくてもよい。モノ置換アミノ基としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ベンジルアミノ基またはフェニルアミノ基が挙げられ、原料入手の容易さの観点から、エチルアミノ基およびイソプロピルアミノ基が好ましく、イソプロピルアミノ基がより好ましい。ジ置換アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ピロリジニル基、ピペリジノ基またはモルホリノ基が挙げられ、原料入手の容易さの観点から、ジメチルアミノ基およびジエチルアミノ基が好ましく、ジエチルアミノ基がより好ましい。
上記式(1)において、R2およびR3は互いに結合して飽和環または不飽和環を形成してもよい。そのような飽和環または不飽和環としては、例えば、ピラゾール環、ピロリジン環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環またはテトラゾール環のようなアゾール環が挙げられる。なかでも、ピロリジン環およびイミダゾール環、チアゾール環が好ましく、ピロリジン環およびイミダゾール環がより好ましい。
本発明で用いられる光塩基発生剤(A)は、上記化合物のうち1種を単独で、または2種以上を組み合わせて含有してもよい。
すなわち、本発明で用いられる光塩基発生剤(A)は、例えば、以下に示す合成方法に従って合成される。
Figure 2011195616
まず、テトラクロロシクロプロペン(化合物(i))と、塩化アルミニウムとを、ベンゼンおよび塩化メチレン中、−40℃で20分間撹拌して、1,3,3-トリクロロ-2-フェニルシクロプロペン(化合物(ii))を得る。
次いで、塩化メチレン中でジエチルアミンを添加し、5℃で30分間撹拌した後、過塩素酸水溶液を加えてさらに5℃で30分間撹拌することにより、1,3-ビスジエチルアミノ-2-フェニルシクロプロペニウムカチオンの過塩素酸塩(化合物(iii))を得るか(合成経路(1))、氷冷アセトン中で撹拌することにより、2-ヒドロキシ-3-フェニルシクロプロペノン(化合物(v))を得る(合成経路(2))。
合成経路(1)において、化合物(iii)を、水酸化カリウムを溶解させた水および塩化メチレンの二層系中で室温で終夜反応させることにより、2-ジエチルアミノ-3-フェニルシクロプロペノン(化合物(iv))を得るか、合成経路(2)において、0℃下で化合物(v)にジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させた塩化チオニルを加え、室温で10分間反応させた後、未反応の塩化チオニルを除去し(化合物(vi)が生成)、5℃下で塩化メチレンに溶解させたジエチルアミンを加えて30分間反応させることにより、化合物(iv)を得る。
なお、上記反応例は、本発明で用いられる光塩基発生剤(A)の合成の一例を示すものであり、上記合成方法に限らず、種々の公知の方法を使って合成することができる。
<光塩基発生剤(A)の塩基性評価>
光照射による光塩基発生剤(A)の塩基性の発現または増大は、以下に述べる方法を用いて確認する。
光塩基発生剤(A)の溶液を用意し、室温におけるpHを測定する。次いで、その溶液に波長150〜750 nmの光を光量が500〜20×106 μW/cm2(5×10-4〜20 J)となるよう照射し、その後のpHを測定する。光照射前後でpHの変化がみられ、光照射前後でpHが増大した場合、好ましくはpH7.0以下からpH7.0より高い数値となった場合には塩基性が発現したと認められ、また光照射前のpHが7.0以上であって照射後により高い数値となった場合、塩基性が増大したと認められる。
本発明の光硬化性樹脂組成物における上記光塩基発生剤(A)の含有量は、後述するアニオン重合性樹脂(B)100質量部に対して、0.001〜100質量部であると好ましく、0.005〜80質量部であるとより好ましく、0.01〜10質量部であると特に好ましく、0.05〜5質量部であると最も好ましい。光塩基発生剤(A)の含有割合が上記範囲内にあることにより、硬化物の性能がより優れるという効果が得られる。
[アニオン重合性樹脂(B)]
本発明で用いられるアニオン重合性樹脂(B)は、塩基により硬化する樹脂であれば特に限定されない。そのような樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド前駆体、およびイソシアネート基を有する化合物などが挙げられる。それらの中では、総合的性能や経済性などの点からエポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えば、2価フェノール類のジグリシジルエーテル、3〜6価またはそれ以上の多価フェノール類のポリグリシジルエーテル、脂肪族2価アルコールのジグリシジルエーテル、および3〜6価またはそれ以上の脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂肪族もしくは脂環式ポリカルボン酸のグリシジルエステル、活性水素原子を有する芳香族、脂環式もしくは複素環式アミン類のグリシジルアミン、および鎖状脂肪族もしくは脂環式エポキシドが挙げられる。
2価フェノール類のジグリシジルエーテルとしては、例えば、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ハロゲン化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラクロロビスフェノールAジグリシジルエーテル、カテキンジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、1,5−ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、オクタクロロ−4,4’−ジヒドロキシフェニルジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェニルジグリシジルエーテル、9,9'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンジグリシジルエーテル、およびビスフェノールA2モルとエピクロロヒドリン3モルとの反応から得られるジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
3〜6価またはそれ以上の多価フェノール類のポリグリシジルエーテルとしては、例えば、ピロガロールトリグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフチルクレゾールトリグリシジルエーテル、トリス(ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル、ジナフチルトリグリシジルエーテル、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、p−グリシジルフェニルジメチルトリールビスフェノールAグリシジルエーテル、トリスメチルtert−ブチルブチルヒドロキシメタントリグリシジルエーテル、4,4'−オキシビス(1,4−フェニルエチル)テトラクレゾールグリシジルエーテル、4,4'−オキシビス(1,4−フェニルエチル)フェニルグリシジルエーテル、ビス(ジヒドロキシナフタレン)テトラグリシジルエーテル、フェノールもしくはクレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、リモネンフェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、フェノールとグリオキザール、グルタルアルデヒドまたはホルムアルデヒドとの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル、およびレゾルシンとアセトンとの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
脂肪族2価アルコールのジグリシジルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、およびビスフェノールAのアルキレンオキシド(エチレンオキシドもしくはプロピレンオキシド)付加物のジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
3〜6価またはそれ以上の脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテルとしては、例えば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールヘキサグリシジルエーテルおよびポリグリセロールポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
グリシジルエステル型エポキシ樹脂としては、例えば、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステルおよびトリメリット酸トリグリシジルエステルなどの芳香族ポリカルボン酸のグリシジルエステルなどが挙げられる。
脂肪族もしくは脂環式ポリカルボン酸のグリシジルエステルとしては、例えば、芳香族ポリカルボン酸のグリシジルエステルの芳香核水素添加物、ダイマー酸ジグリシジルエステル、ジグリシジルオキサレート、ジグリシジルマレエート、ジグリシジルスクシネート、ジグリシジルフタレート、ジグリシジルアジペート、ジグリシジルピメレート、グリシジル(メタ)アクリレートの(共)重合体およびトリカルバリル酸トリグリシジルエステルなどが挙げられる。
活性水素原子を有する芳香族アミン類のグリシジルアミンとしては、例えば、N,N−ジグリシジルトルイジン−N,N,N',N'−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、N,N,N',N'−テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホン、N,N,N',N'−テトラグリシジルジエチルジフェニルメタンおよびN,N,O-トリグリシジルアミノフェノールなどが挙げられる。
活性水素原子を有する脂環式アミン類のグリシジルアミンとしては、例えば、N,N,N',N'−テトラグリシジルキシリレンジアミンの水素添加物などが挙げられる
活性水素原子を有する複素環式アミン類のグリシジルアミンとしては、例えば、トリスグリシジルメラミンなどが挙げられる。
鎖状脂肪族エポキシドとしては、例えば、エポキシ化ブタジエンおよびエポキシ化大豆油などが挙げられる。
脂環式エポキシドとしては、例えば、ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエーテル、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシ−6'−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペートおよびビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ブチルアミンなどが挙げられる。
上記エポキシ樹脂は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。なかでも、硬化物の性能や入手容易性の観点から、エポキシ樹脂がグリシジルエーテル型エポキシ樹脂またはグリシジルエステル型エポキシ樹脂であると好ましく、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂であるとより好ましい。
[その他の成分]
本発明の光硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、有機溶剤、無機充填剤、着色剤、重合禁止剤、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、酸化防止剤、光安定剤および光ラジカル開始剤をさらに含有させてもよい。
有機溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテルおよびプロピレングリコールジエチルエーテルに代表されるエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルおよびジエチレングリコールモノエチルエーテルに代表されるグリコールモノエーテル類(いわゆるセロソルブ類);メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノンおよびシクロヘキサノンに代表されるケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、前記グリコールモノエーテル類の酢酸エステル(例えば、メチルセロソルブアセテートおよびエチルセロソルブアセテートなど)、メトキシプロピルアセテート、エトキシプロピルアセテート、シュウ酸ジメチル、乳酸メチルおよび乳酸エチルなどのエステル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびグリセリンに代表されるアルコール類;塩化メチレン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、1−クロロプロパン、1−クロロブタン、1−クロロペンタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジクロロベンゼンおよびm−ジクロロベンゼンに代表されるハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミドに代表されるアミド類;N−メチルピロリドンに代表されるピロリドン類;γ−ブチロラクトンに代表されるラクトン類;ジメチルスルホキシドに代表されるスルホキシド類;ヘキサン、シクロヘキサンおよびへプタンに代表される鎖状または環状飽和炭化水素類;ベンゼン、トルエンおよびキシレンに代表される芳香族炭化水素類などが挙げられる。これらのうち、メチルエチルケトンが好ましい。上記有機溶媒は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
無機充填剤としては、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、無定形シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムおよび雲母粉などが挙げられる。上記無機充填剤は、光硬化性樹脂組成物の硬化体と基材との密着性や硬化体の硬度などの各種特性を向上する目的で用いられる。
着色剤としては、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラックおよびナフタレンブラックなどが挙げられる。
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、tert−ブチルカテコール、ピロガロールおよびフェノチアジンなどが挙げられる。
増粘剤としては、アスベスト、オルベン、ベントンおよびモンモリロナイトなどが挙げられる。
消泡剤およびレベリング剤としては、シリコーン系、フッ素系および高分子系のものなどが挙げられる。
密着性付与剤としては、イミダゾール系、チアゾール系およびトリアゾール系のもの、ならびにシランカップリング剤などが挙げられる。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系のものなどが挙げられる。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)などが挙げられる。
光ラジカル開始剤としては、べンゾフェノン、べンゾフェノン誘導体、アセトフェノンおよびアセトフェノン誘導体などが挙げられる。
[光硬化性樹脂組成物]
本発明の光硬化性樹脂組成物は、シクロプロペノン環を有するアミンからなる光塩基発生剤(A)と、アニオン重合性樹脂(B)とを含有することを特徴とする。
上記光硬化性樹脂組成物は、該組成物に光照射のみを行うことにより、光照射と加熱とを同時に行うことにより、あるいは、光照射の後に加熱することにより硬化する。
光照射は、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプおよびメタルハライドランプなどを用いて、通常150〜750 nm、好ましくは200〜400 nmの波長で、通常500〜20×106 μW/cm2(5×10-4〜20 J)の照射量で行う。
加熱を行う場合、加熱温度は、アニオン重合性樹脂(B)の分解点以下の温度であれば特に限定されず、30〜4000 ℃の温度であると好ましく、50〜3000 ℃の温度であるとより好ましい。加熱を行う場合の加熱時聞は、1秒間〜3時間であると好ましく、30秒間〜1時間であるとより好ましい。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、これを用いたパターン形成が可能である。ここで、パターンの形成方法の一例を示す。本発明の光硬化性樹脂組成物を基材に塗布した塗膜または成形体の表面に、フォトマスクを介するなどして光を所定のパターン状に照射する。これにより光照射部位が硬化して潜像が形成される。次に、光照射後の塗膜または成形体に対して、熱処理などを行い、上記塗膜または成形体の光照射部位の溶解性を選択的に低下させる。その後、水溶液や有機溶媒などの現像液を用いて、塗膜または成形体の光未照射部位を選択的に除去する。
上記光硬化性樹脂組成物を基材に塗布する方法は特に限定されず、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット法、スプレー法、スピンコート法、ロールコート法、静電塗装法およびカーテンコート法などが挙げられる。
塗膜または成形体の光未照射部位を選択的に除去する際に用いられる現像液としては、特に限定されず、有機溶剤、塩基性水溶液、酸性水溶液および中性水溶液が挙げられる。現像液は、光硬化性樹脂組成物に含有される高分子前駆体などの硬化性成分に依存して適宜選択されればよい。
有機溶剤としては、上記光硬化性樹脂組成物に必要に応じて含有させてもよい有機溶剤として前述したものと同様のものが挙げられる。なおより良好なパターン形状を得るために、上記有機溶媒を水、塩基性水溶液または酸性水溶液と組み合わせて混合溶媒として用いてもよい。
塩基性水溶液としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化マグネシウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、1級、2級および3級アミンの水溶液、ならびに水酸化物イオンおよびアンモニウムイオンなどの水溶液が挙げられる。塩基性水溶液のアルカリ濃度は、通常O.01〜10質量%、好ましくはO.05〜5質量%である。塩基性水溶液に含まれる溶質は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
酸性水溶液としては、例えば、乳酸、酢酸、シュウ酸およびリンゴ酸などの有機酸の水溶液ならびに塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸の水溶液などが挙げられる。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、塗料、導電性接着剤などの接着剤、印刷インクなどのインク、フォトレジストおよびソルダーレジストなどのレジスト材料、カバーレイフィルム、コーティング材、各種自動車部品、電気・電子材料、半導体装置、半導体材料、半導体封止材料、半導体液状モールディング材、ダイボンディング材、アンダーフィル材、光学材料、光ファイバー、光ファイバー用接着剤、光導波路材、光回路部品、カラーフィルター、フレキシブルディスプレイ用フィルム、液晶封止剤、LED封止剤、有機EL封止剤、層間絶縁膜、配線被覆膜、反射防止膜、ホログラム、建築材料、三次元造形、充填剤、成形材料など、多種多様な分野や製品の用途に応用することができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
反応生成物の同定、塩基性評価および硬化性評価の方法は以下のとおりである。
[反応生成物の同定]
(1)融点(mp)
装置:DSC-60((株)島津製作所製)
測定方法:DSC
(2)質量分析法(EIMSおよびHRMS)
装置:JMS-T1000CS((株)日本電子製)
測定方法:ESI-TOF
(3)核磁気共鳴法(1HNMRおよび13CNMR)
装置:JNM-EX270 ((株)日本電子製)
測定条件
内部基準:TMS
1H 共鳴周波数:270 MHz
(4)赤外分光法
装置:FT/IR-4200 (日本分光(株)製)
測定方法:液膜法またはKBr 法
(5)紫外・可視(UV−VIS)分光法
装置:UV-240 ((株)島津製作所製)
測定方法:シングルビーム測定方式
測定条件
溶媒:CH2Cl2
[2]塩基性評価
装置:pH メーター(東亜ディーケーケー(株)製、製品名「PHM-103」)
測定方法:ガラス電極法
国際公開第2008/072651号パンフレットに記載された方法に従って以下のように確認した。
光塩基発生剤(A)の溶液を用意し、室温におけるpHを測定する。次いで、その溶液に紫外線を照射し、その後のpHを1時間ごとに測定する。
光照射前後でpHの変化がみられ、光照射前後でpHが増大した場合、好ましくはpH7.0以下からpH7.0より高い数値となった場合には、塩基性が発現したと認められ、光照射前のpHが7.0以上であって照射後により高い数値となった場合には、塩基性が増大したと認められる。
[3]硬化性評価
光の照射による光硬化性樹脂組成物の樹脂硬化性は、特開2003-212856号公報の実施例6および特開2005-264156号公報の実施例5を参照して不溶化率を計算することにより評価した。
すなわち、光塩基発生剤(A)およびアニオン重合性樹脂(B)を含有する光硬化性樹脂組成物に紫外線を照射する。未照射のとき未硬化であったのが、照射後硬化している場合、光硬化性樹脂組成物には樹脂硬化性があると認められる。
[合成例1]1-ジエチルアミノ-2-フェニルシクロプロペノン(化合物(iv))の合成
M. T. Wu et al., Tetrahedron Lett., 28, 2405-2408(1976)に記載された方法に従っ
て合成した。以下、具体的に説明する。
(1)テトラクロロシクロプロペン(化合物(i))の合成
C. Gluck et al., Synthesis, 3, 260-262 (1987) に記載された方法に従って合成した。
Figure 2011195616
(2)1,3,3,-トリクロロ-2-フェニルシクロプロペン(化合物(ii))の合成
R. West et al., J. Am. Chem. Soc., 92, 168-172 (1970)に記載された方法に従って合成した。
テトラクロロシクロプロペン(23.7 g、133 mmol)に塩化アルミニウム(17.8 g、133 mmol)を加え-45 ℃に冷却した後、ベンゼン(34 ml、387 mmol)を滴下し5 ℃まで昇温した後30 分間反応させた。反応溶液を氷水(170 ml)に投入し四塩化炭素(50 ml)で3回抽出した。有機層を塩化カルシウムで乾燥後減圧濃縮、得られた残渣を減圧蒸留にて精製し、下記式(3)で表される1,3,3,-トリクロロ-2-フェニルシクロプロペン(14.1 g、48%)を微黄色固体として得た。
1,3,3,-トリクロロ-2-フェニルシクロプロペンの融点、NMRおよびIR測定の結果を以下に示す。
mp 38.5 ℃ (lit. near 30 ℃);
1H-NMR (270 MHz, CDCl3) δ: 7.50-7.64 (3H, m), 7.69-7.75 (2H, m);
13C-NMR (67.5 MHz, CDCl3) δ:129.4, 129.8, 132.0;
IR (cm-1): 3063, 2200, 1736, 1449, 1254, 1157, 1010.
Figure 2011195616
(3)1,2-ビスジエチルアミノ-3-フェニルシクロプロペニウムカチオンの過塩素酸塩(化合物(iii))の合成
M. T. Wu et al., Tetrahedron Lett., 28, 2405-2408 (1976)に記載された方法に従って合成した。
1,3,3,-トリクロロ-2-フェニルシクロプロペン(2.00 g、9.11 mmol)を塩化メチレン(91 ml)に溶解し 0 ℃ に冷却した後、ジエチルアミン(3.8 ml、36.4 mmol)を加え 2 時間撹拌した。70 % 過塩素酸水溶液 (10 ml) を加え室温まで昇温し1 時間反応させた。反応溶液を分離し有機層を水(90 ml)で洗浄後無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮した。得られた残渣に酢酸エチルを加え再結晶を行い、下記式(4)で表される1,2-ビスジエチルアミノ-3-フェニルシクロプロペニウムカチオンの過塩素酸塩(2.13 g、66%)を無色針状物質として得た。
1,2-ビスジエチルアミノ-3-フェニルシクロプロペニウムカチオンの過塩素酸塩の融点、NMRおよびIR測定の結果を以下に示す。
mp 122.0-123.0 ℃;
1H-NMR (270 MHz, CDCl3) δ: 1.40 (12H, dt, J = 2.6, 7.3 Hz), 3.71 (8H, dq, J = 7.3, 15.0 Hz), 7.50-7.56 (5H, m);
13C-NMR (67.5 MHz, CDCl3) δ: 14.1, 14.2, 48.2, 48.8, 107.0, 121.4, 129.5, 129.7, 131.4, 132.6;
IR (cm-1): 3445, 2987, 2940, 1928, 1580, 1448, 1091.
Figure 2011195616
(4)2-ジエチルアミノ-3-フェニルシクロプロペノン(化合物(iv))の合成
M. T. Wu et al., Tetrahedron Lett., 28, 2405-2408 (1976)に記載された方法に従って合成した。
1,2-ビスジエチルアミノ-3-フェニルシクロプロペニウムカチオンの過塩素酸塩(1.00 g、2.80 mmol)を塩化メチレン(9.3 ml)に溶解し、4M 水酸化カリウム水溶液(19 ml)を加え一晩反応させた。反応溶液を分離し、有機層を水(9.3 ml)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル 100%)で精製し、下記式(5)で表される2-ジエチルアミノ-3-フェニルシクロプロペノン(417 mg、74%)を黄色油状物質として得た。
2-ジエチルアミノ-3-フェニルシクロプロペノンのNMR、IRおよびUV測定の結果を以下に示す。
1H-NMR (270 MHz, CDCl3) δ: 1.38 (6H, dt, J = 7.5, 7.5 Hz), 3.58 (4H, dq, J = 7.3, 30.3 Hz), 7.38-7.47 (3H, m), 7.60-7.65 (2H, m);
13C-NMR (67.5 MHz, CDCl3) δ: 14.2, 14.3, 47.0, 47.5, 110.6, 123.1, 124.6, 128.8, 128.9, 129.0, 142.3, 146.0;
IR (cm-1): 3462, 2977, 1863, 1618;
λmax (nm) (εmax): 227 (5,030), 281 (23,541), 285 (23,943).
Figure 2011195616
<塩基性評価>
紫外線(UV)照射
得られた2-ジエチルアミノ-3-フェニルシクロプロペノン30.3 mg(0.151 mmol)をアセトン2.7 ml、蒸留水0.3 mlの混合溶液に溶解して得られた溶液をUV測定用石英セルに入れ、遮光・大気雰囲気下においてUV(アズワン(株)製 SLUV-4,波長 254 nm,光量 614 μW/cm2)を照射した。
塩基性評価
上記溶液にUVを照射しながら1時間ごとに反応系内のpHを測定した。
その結果、UV未照射時の溶液のpHは8.40であったが、UV照射6時間後には10.07に上昇しており、UV照射による塩基性の増大が認められた。
なお、2-ジエチルアミノ-3-フェニルシクロプロペノンを溶解させる前の蒸留水/アセトン=1:9(v/v)混合溶媒(UV未照射)のpHは8.38であった。
反応生成物構造解析
紫外線(UV)照射して得られた溶液を濃縮後、減圧乾燥して得られた反応混合物、および該反応混合物をシリカゲルクロマトグラフィーを用いて精製した精製物の赤外線吸収スペクトルを測定して構造解析を行った。その結果、精製物においてシクロプロペノンに特徴的な三員環の吸収の消失を確認した。しかしながら、反応混合物および精製物ともにノリッシュI型反応で生成されるアセチレンのピークは得られなかった。
Y. Chiang et al., J. Am. Chem. Soc., 118, 4366-72(1996)には、反応系に水が含まれていると、アセチレンアミン(例えばRC≡CNR'2)からエナミンをたどりアミドが生成されることが記述されていることから、以下の実験を行った。
2-ジエチルアミノ-3-フェニルシクロプロペノン30.3 mg(0.151 mmol)をアセトン3.0 mlに溶解して得られた溶液をUV測定用石英セルに入れ、遮光・大気雰囲気下において紫外線(波長254 nm、光量614μW/cm2)を6時間照射した。濃縮後、減圧乾燥し得られた反応混合物を赤外線吸収スペクトルを測定して構造解析を行ったところ、アセチレンのピークが得られた。以上のことからUV照射によってノリッシュ I 型反応が起こったことが推測された。
[合成例2]2-ジエチルアミノ-3-(1-ナフチル)シクロプロペノン(化合物(iv))の合成
(1)1,3,3-トリクロロ-2-(1-ナフチル)シクロプロペン(化合物(ii))の合成
合成例1の(1)で得られたテトラクロロシクロプロペン(1.50 g、8.44 mmol)に塩化アルミニウム(1.13 g、8.44 mmol)を加え 10 ℃ に冷却した、塩化メチレン(2.2 ml)に溶解したナフタレン(1.08 g、8.44 mmol)を滴下し 1 時間反応させた。反応溶液を氷水(10 ml)に投入し塩化メチレン(5 ml)で3回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、下記式(6)で表される1,3,3-トリクロロ-2-(1-ナフチル)シクロプロペンを含む混合物(1.83 g)を茶褐色油状物質として得た。
下記式(6)で表される1,3,3-トリクロロ-2-(1-ナフチル)シクロプロペンのNMR、IRおよびUV測定の結果を以下に示す。
1H-NMR (270 MHz, CDCl3) δ: 7.60-8.20 (4H, complex), 8.23 (2H, d, J = 7.7 Hz), 8.32 (1H, d, J = 1.1), 8.75 (1H, d, J = 8.3 Hz);
13C-NMR (67.5 MHz, CDCl3) δ: 118.8, 124.5, 125.2, 125.4, 127.0, 128.2, 128.4, 128.6, 128.8, 130.2, 133.1, 133.5, 133.8;
IR (cm-1): 3059, 2217, 1835, 1711, 1601, 1508.
Figure 2011195616
(2)1,2-ビスジエチルアミノ-3-(1-ナフチル)シクロプロペニウムカチオンの過塩素酸塩(化合物(iii))の合成
1,3,3-トリクロロ-2-(1-ナフチル)シクロプロペンを含む混合物(1.00 g)を塩化メチレン(37 ml)に溶解し0 ℃に冷却した後、ジエチルアミン(1.6 ml、14.8 mmol)を加え室温まで自然昇温させながら2 時間反応させた。再び0 ℃に冷却した後70 %過塩素酸水溶液(4.0 ml)を加え室温まで昇温し45 分間反応させた。反応溶液を分離し有機層を水(40 ml)で洗浄後無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム : 酢酸エチル = 1 : 4)で精製、減圧濃縮し得られた残渣に酢酸エチルを加え再結晶を行い、下記式(7)で表される1,2-ビスジエチルアミノ-3-(1-ナフチル)シクロプロペニウムカチオンの過塩素酸塩(95.6 mg、33%)を淡茶褐色針状物質として得た。
下記式(7)で表される1,2-ビスジエチルアミノ-3-(1-ナフチル)シクロプロペニウムカチオンの過塩素酸塩の融点、NMRおよびIR測定の結果を以下に示す。
mp 110.0-111.0 ℃;
1H-NMR (270 MHz, CDCl3) δ: 1.36 (12H, dt, J = 7.3, 44.6 Hz), 3.68 (8H, dq, J = 7.3, 44.6 Hz);
13C-NMR (67.5 MHz, CDCl3) δ: 13.5, 14.1, 14.0, 47.0, 47.4, 48.2, 105.9, 116.5, 119.9, 124.5, 125.6, 127.1, 127.7, 128.9, 129.0, 130.8, 131.4, 133.5, 135.3;
IR (cm-1): 3606, 3533, 2982, 1927, 1580, 1092.
Figure 2011195616
(3)2-ジエチルアミノ-3-(1-ナフチル)シクロプロペノン(化合物(iv))の合成
1,2-ビスジエチルアミノ-3-(1-ナフチル)シクロプロペニウムカチオンの過塩素酸塩(150 mg、0.369 mmol)を塩化メチレン(1.2 ml)に溶解し4M水酸化カリウム水溶液(2.5 ml)を加え一晩反応させた。反応溶液を分離し、有機層を水(1.2 ml)で洗浄後無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル 100%)で精製し、下記式(8)で表される2-ジエチルアミノ-3-(1-ナフチル)シクロプロペノン(75.8 mg、82%)を茶色油状物質として得た。
下記式(8)で表される2-ジエチルアミノ-3-(1-ナフチル)シクロプロペノンの融点、NMR、IRおよびUV測定の結果を以下に示す。
mp 75.0-76.5 ℃;
1H-NMR (270 MHz, CDCl3) δ: 1.41 (6H, dt, J = 7.3, 16.5 Hz), 3.62 (4H, dq, J = 7.3, 40.2 Hz), 7.43-7.61 (3H, m), 7.66-7.74 (1H, m), 7.82-7.91 (2H, m), 8.79 (1H, d, J = 8.5 Hz);
13C-NMR (67.5 MHz, CDCl3) δ: 14.4, 14.5, 47.4, 47.6, 106.8, 123.0, 125.1, 125.9, 126.7, 126.8, 127.5, 128.0, 129.7, 132.2, 133.6, 142.4, 146.0;
IR (cm-1): 3453, 2972, 1856, 1614, 1341;
λmax (nm) (εmax): 235 (44,221), 258 (11,307), 319 (22,864), 329 (26,633), 344 (21,357).
Figure 2011195616
[合成例3]2-ジエチルアミノ-3-フェニルシクロプロペノン(化合物(iv))の合成
(1)2-ヒドロキシ-3-フェニルシクロプロペノン(化合物(v))の合成
合成例1の(2)で得られた1,3,3,-トリクロロ-2-フェニルシクロプロペン(1.00 g、4.56 mmol)を氷冷アセトン(20 ml)に溶解し、0 ℃に冷却した後氷(7.9 g)を加え4 時間撹拌した。室温まで昇温しさらに1 時間反応させた。反応溶液を氷冷しながら減圧濃縮し、得られた残渣をろ取、エーテルで洗浄し、下記式(9)で表される2-ヒドロキシ-3-フェニルシクロプロペノン(421 mg、63%)を白色固体として得た。
下記式(9)で表される2-ヒドロキシ-3-フェニルシクロプロペノンの融点、NMR、IRおよびUV測定の結果を以下に示す。
mp 241.0-243.0 ℃ (lit. 242-244 ℃);
1H-NMR (270 MHz, DMSO) δ: 5.79 (1H, br s), 7.48-7.54 (3H, m), 7.62-7.68 (2H, m);
13C-NMR (67.5 MHz, DMSO) δ: 123.0, 125.9, 128.6, 129.3, 129.7, 130.6, 147.5;
IR (cm-1): 3428, 3062, 1601, 1494, 1403, 771, 691;
λmax (nm) (εmax): 223 (12,135), 252 (27,924), 257 (28,363).
Figure 2011195616
(2)2-ジエチルアミノ-3-フェニルシクロプロペノン(化合物(iv))の合成
2-ヒドロキシ-3-フェニルシクロプロペノン(25.0 mg、0.171 mmol)に氷冷下塩化チオニル(0.096 ml、1.32 mmol)、触媒量のDMFを加え室温まで昇温し、10 分間反応させた。反応溶液を減圧濃縮し未反応の塩化チオニルを除いた後、塩化メチレン(0.50 ml)に溶解、0 ℃に冷却し、塩化メチレン(0.12 ml)に溶解したジエチルアミン(25.0 mg、0.342 mmol)を加え20 分間反応させた。反応溶液を水(0.62 ml)で洗浄後無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル 100%)で精製し、前記式(5)で表される2-ジエチルアミノ-3-フェニルシクロプロペノン(17.9 mg、52%)を微黄色油状物質として得た。
[合成例4]2-ピロリジニル-3-フェニルシクロプロペノン(化合物(iv))の合成
合成例3の(1)で得られた2-ヒドロキシ-3-フェニルシクロプロペノン(25.0 mg、0.171 mmol)に氷冷下塩化チオニル(0.096 ml、1.32 mmol)、触媒量の DMF を加え室温まで昇温し、10 分間反応させた。反応溶液を減圧濃縮し未反応の塩化チオニルを除いた後、塩化メチレン(0.50 ml)に溶解、0 ℃ に冷却し、塩化メチレン(0.12 ml)に溶解したピロリジン(24.3 mg、0.342 mmol)を加え 20 分間反応させた。反応溶液を水(0.62 ml)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮した。得られた残渣にエーテルを加え析出固体をろ取、エーテル洗浄し、下記式(10)で表される2-ピロリジニル-3-フェニルシクロプロペノン(12.8 mg、38%)を淡黄色固体として得た。
下記式(10)で表される2-ピロリジニル-3-フェニルシクロプロペノンの融点、NMR、IRおよびUV測定の結果を以下に示す。
mp 68.0-71.0 ℃;
1H-NMR (270 MHz, CDCl3) δ: 2.04 (4H, dqui, J = 5.6, 6.6 Hz), 3.77 (4H, dt, J = 6.6, 27.8), 7.25-7.42(3H, m), 7.60-7.63 (2H, m);
13C-NMR (67.5 MHz, CDCl3) δ: 25.6, 25.7, 50.6, 50.9, 123.1, 126.9, 128.4, 128.7, 128.9, 129.1, 132.4;
IR (cm-1): 3450, 3413, 2975, 2962, 2927, 2878, 1859, 1602, 1590, 767, 695;
λmax (nm) (εmax): 228 (2,151), 292 (8,387).
Figure 2011195616
[合成例5]2-イミダゾリル-3-フェニルシクロプロペノン(化合物(iv))の合成
(1)2-イミダゾリル-3-フェニルシクロプロペノン(化合物(iv))の合成
合成例3の(1)で得られた2-ヒドロキシ-3-フェニルシクロプロペノン(75.4 mg、0.516 mmol)に氷冷下塩化チオニル(0.29 ml、3.97 mmol)、触媒量の DMF を加え室温まで昇温し、10 分間反応させた。反応溶液を減圧濃縮し未反応の塩化チオニルを除いた後、塩化メチレン(1.5 ml)に溶解、0 ℃ に冷却し、塩化メチレン(0.38 ml)に溶解したイミダゾール(70.3 mg、1.03 mmol)を加え 20 分間反応させた。反応溶液を水(1.9 ml)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮し、得られた残渣にエーテルを加え析出固体をろ取、エーテル洗浄し、下記式(11)で表される2-イミダゾリル-3-フェニルシクロプロペノン(52.2 mg、52%)を黄色固体として得た。
下記式(11)で表される2-イミダゾリル-3-フェニルシクロプロペノンの融点、NMR、IRおよびUV測定の結果を以下に示す。
mp 101.0-105.5 ℃;
1H-NMR (270 MHz, DMSO) δ: 7.29-7.30 (2H, m), 7.58-7.70 (3H, m), 7.93-7.96 (2H, m), 9.10 (1H, s);
13C-NMR (67.5 MHz, DMSO) δ: 120.2, 121.8, 128.9, 129.5, 129.6, 131.1, 131.2, 132.6, 139.8, 143.7, 167.5;
IR (cm-1): 3445, 3134, 3102, 1898, 1879, 1663;
λmax (nm) (εmax): 276 (13,946).
Figure 2011195616
合成例1の<塩基性評価>に記載した方法にしたがって、塩基性評価を行ったところ、UV未照射時の溶液のpHは5.92であったが、UV照射6時間後には6.09に上昇していた。
[合成例6]2-イソプロピルアミノ-3-フェニルシクロプロペノン(化合物(iv))の合成
合成例3の(1)で得られた2-ヒドロキシ-3-フェニルシクロプロペノン(100 mg、0.684 mmol)に氷冷下塩化チオニル(0.38 ml、5.27 mmol)、触媒量の DMF を加え室温まで昇温し、10 分間反応させた。反応溶液を減圧濃縮し未反応の塩化チオニルを除いた後、塩化メチレン(2.0 ml)に溶解、0 ℃ に冷却し、塩化メチレン(0.50 ml)に溶解したイソプロピルアミン(80.9 mg、1.37 mmol)を加え 20 分間反応させた。反応溶液を水(2.5 ml)で洗浄後無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮した。得られた残渣にエーテルを加え析出固体をろ取、エーテル洗浄し、下記式(12)で表される2-イソプロピルアミノ-3-フェニルシクロプロペノン(21.5 mg、17%)を白色固体として得た。
下記式(12)で表される2-イソプロピルアミノ-3-フェニルシクロプロペノンの融点、NMR、IRおよびUV測定の結果を以下に示す。
mp 92.5-94.5 ℃ (lit. 104℃);
1H-NMR (270 MHz, DMSO) δ: 1.22 (6H, d, J = 6.6 Hz), 3.54-3.65 (1H, m), 7.33-7.52 (3H, m), 7.59-7.63 (2H, m), 8.58 (1H, d, J = 3.4 Hz);
13C-NMR (67.5 MHz, DMSO) δ: 22.9, 47.2, 108.0, 124.5, 128.7, 128.9, 129.0, 141.8, 143.2;
IR (cm-1): 3442, 2163, 2968, 2913, 1865, 1621, 1595, 768, 691;
λmax (nm) (εmax): 276 (4,869).
Figure 2011195616
[合成例7]2-ジエチルアミノ-3-(1-ナフチル)シクロプロペノン(化合物(iv))の合成
(1)2-ヒドロキシ-3-(1-ナフチル)シクロプロペノン(化合物(v))の合成
合成例2の(1)で得られた1,3,3-トリクロロ-2-(1-ナフチル)シクロプロペンを含む混合物(500 mg)を氷冷アセトン(8.0 ml)に溶解し、0 ℃に冷却した後氷(4.0 g)を加え 4 時間撹拌した。室温まで昇温しさらに1 時間反応させた。反応溶液を氷冷しながら減圧濃縮し、得られた残渣をろ取、エーテルで洗浄し、下記式(13)で表される2-ヒドロキシ-3-(1-ナフチル)シクロプロペノン(161 mg、44%)を淡黄色固体として得た。
下記式(13)で表される2-ヒドロキシ-3-(1-ナフチル)シクロプロペノンの融点、NMR、IRおよびUV測定の結果を以下に示す。
mp 260.0-262.0 ℃;
1H-NMR (270 MHz, DMSO) δ: 6.56 (1H, br s), 7.60-8.76 (8H, complex);
13C-NMR (67.5 MHz, DMSO) δ: 120.9, 124.4, 125.3, 125.9, 126.9, 127.3, 128.5, 129.7, 130.8, 131.2, 133.2, 147.4;
IR (cm-1): 3443, 3045, 1934, 1603, 1508, 1465, 1428, 1372, 798, 768;
λmax (CH2Cl2) nm (εmax): 231 (16,601), 298 (6,013), 312 (6,405), 328 (7,582).
Figure 2011195616
(2)2-ジエチルアミノ-3-(1-ナフチル)シクロプロペノン(化合物(iv))の合成
2-ヒドロキシ-3-(1-ナフチル)シクロプロペノン(30.0 mg、0.153 mmol)に氷冷下塩化チオニル(0.086 ml、1.18 mmol)、触媒量のDMFを加え室温まで昇温し、10 分間反応させた。反応溶液を減圧濃縮し、未反応の塩化チオニルを除いた後、塩化メチレン(0.45 ml)に溶解、0 ℃に冷却し、水(0.50 ml)で2 回洗浄後無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。ろ過した溶液を0 ℃に冷却し、塩化メチレン(0.10 ml)に溶解したジエチルアミン(0.032 ml、0.306 mmol)を加え20 分間反応させた。反応溶液を水(0.60 ml)で洗浄後無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル 100%)で精製し、前記式(8)で表される2-ジエチルアミノ-3-(1-ナフチル)シクロプロペノン(23.7 mg、62%)を茶色油状物質として得た。
なお、上記合成例1〜7で記載した「化合物(ii)〜(v)」は、前述した合成経路(1)および(2)において「化合物(ii)〜(v)」を合成する段階で得られる生成物にそれぞれ対応する。
光硬化性樹脂組成物の調製および硬化性評価を実施例1および2に示す。
[実施例1]
エポキシ樹脂としてビスフェノール A 型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製,商品名 jER828,エポキシ当量 184〜190)185 mgにメタノール10 mgと合成例1で得られた2-ジエチルアミノ-3-フェニルシクロプロペノン20.1 mgとを加え十分に混合した後、混合溶液40 mgをスライドグラス上に25 mm×25 mmの範囲で塗布し、遮光・大気雰囲気下において614 μW/cm2の紫外線(波長 254 nm)を8時間照射した。照射終了後の樹脂膜をTHF中に室温で10 秒間浸漬し、スライドグラス上の残存樹脂の重量比を測定した。このとき紫外線未照射の樹脂残存率は1.0 %であり、紫外線照射の樹脂残存率は23.2 %であった。
[実施例2]
エポキシ樹脂としてビスフェノール A 型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製,商品名 jER828 ,エポキシ当量 184〜190)185 mgにメタノール10 mgと合成例5で得られた2-イミダゾリル-3-フェニルシクロプロペノン19.6 mgとを加え十分に混合した後、混合溶液40 mgをスライドグラス上に25 mm×25 mmの範囲で塗布し、遮光・大気雰囲気下において614 μW/cm2の紫外線(波長 254 nm)を8時間照射した。照射終了後の樹脂膜をTHF中に室温で10秒間浸漬し、スライドグラス上の残存樹脂の重量比を測定した。このとき紫外線未照射の樹脂残存率は39.3 %であり、紫外線照射の樹脂残存率は55.9 %であった。

Claims (6)

  1. シクロプロペノン環を有するアミンからなる光塩基発生剤(A)と、アニオン重合性樹脂(B)とを含有することを特徴とする光硬化性樹脂組成物。
  2. 前記光塩基発生剤(A)が下記式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
    Figure 2011195616
    (式(1)中、R1は水素原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子またはアミノ基を示し;R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アラルキル基またはアリール基を示し、R2およびR3は互いに結合して飽和環または不飽和環を形成してもよい。)
  3. 前記R1が、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アラルキル基またはアリール基を示すことを特徴とする請求項1または2に記載の光硬化性樹脂組成物。
  4. 前記R1がアリール基であり、R2およびR3がそれぞれ独立にアルキル基であるか、または互いに結合して飽和環または不飽和環を形成していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
  5. 前記アニオン重合性樹脂(B)がエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
  6. 前記アニオン重合性樹脂(B)100質量部に対し、前記光塩基発生剤(A)を0.001〜100質量部含有してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
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