JP2015214608A - 塩基増殖剤及び当該塩基増殖剤を含有する塩基反応性樹脂組成物 - Google Patents

塩基増殖剤及び当該塩基増殖剤を含有する塩基反応性樹脂組成物 Download PDF

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Noriyuki Washio
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Abstract

【課題】エポキシ系化合物を含む塩基反応性組成物の架橋反応に用いることができ、塩基の存在によって新たな塩基を発生可能であり、塩基増殖反応が効率的に進行するとともに、塩基の増殖の際に炭酸ガスの発生もない塩基増殖剤及び当該塩基増殖剤を含有する塩基反応性樹脂組成物を提供すること。【解決手段】下記式(I)で表される化合物からなる塩基増殖剤。(式(I)中、Y1、Y2は、それぞれ独立して、ハメット置換基定数σpが0以上の電子求引性の置換基であり、Bは塩基、Xは水素原子、炭素数が1〜20のアルキル基、炭素数が5〜12のシクロアルキル基、炭素数が2〜12のアルケニル基、炭素数が2〜12のアルキニル基、炭素数6〜12の芳香族基を示し、Xを構成するこれらの基は置換基を有していてもよい。)【選択図】なし

Description

本発明は、塩基増殖剤及び当該塩基増殖剤を含有する塩基反応性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、塩基の作用によって、アウトガス(炭酸ガス)の発生を伴うことなく分解し、新たな塩基を発生可能な塩基増殖剤及び当該塩基増殖剤を含有する塩基反応性樹脂組成物に関する。
エポキシ系化合物(エポキシ系樹脂)等の塩基反応性化合物について、光の作用によって塩基を発生させ、これを触媒として樹脂を化学変性して硬化させる手段が広く知られている。例えば、光によって発生する塩基を触媒とする塩基反応性樹脂組成物(感光性樹脂組成物)をフォトレジスト材料や光硬化材料等への応用が考えられており、光塩基発生剤等の塩基発生剤の適用が検討されている(例えば、特許文献1を参照。)。加えて、塩基の作用により塩基を2次的に増幅する塩基増殖剤が提案されており、塩基増殖剤を光塩基発生剤及び塩基反応性化合物と組み合わせて得られた塩基反応性樹脂組成物(感光性樹脂組成物)とすることが検討されている。また、このように増殖的に塩基が増加する塩基増殖剤を添加することによって、樹脂組成物の高性能化を図ることができ、例えば、膜の表面層で塩基が増殖することにより、最終的には膜の深部(影部)までの硬化が可能となり、厚い膜の硬化を実施できることになる。そして、塩基増殖反応を起こす塩基増殖剤や、かかる塩基増殖剤を含有する塩基反応性樹脂組成物が開示ないし提案されている(例えば、特許文献2及び特許文献3を参照。)。
特開2003−212856号公報 特開2008−174515号公報 特開2008−250111号公報
しかしながら、従来提供されている塩基増殖剤は、感度が低く、樹脂組成物系での塩基増殖反応を効率よく進行させることが難しかった。加えて、従来の塩基増殖剤は、塩基を増殖する際に脱炭酸反応等により、分解物としてアウトガスと呼ばれる炭酸ガス(二酸化炭素:CO)の発生を伴うことがあったが、かかる炭酸ガスは、塩基反応性樹脂組成物を製膜した場合に硬化膜に残存した場合にあっては気泡となり、硬化膜に凸凹を生じさせる原因となっていた。
ここで、塩基反応性樹脂組成物(感光性樹脂組成物)を製膜した場合において、硬化膜中に気泡が残ると硬化膜の強度を低下させることになり、また、接着剤として用いる場合には接着強度を低下させる原因となるため好ましくない。さらに、封止材やコーティング材に用いる場合には水等の空気中における不純物に対するバリア性が低下する等の問題が生じるため、用途に制限ができてしまうことになっており、塩基を増殖する際に炭酸ガスを発生しない塩基増殖剤の開発が望まれていた。
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、例えば、エポキシ系化合物等の塩基反応性化合物の架橋反応に用いることができ、塩基の存在によって新たな塩基を発生可能であり、かつ塩基増殖反応が効率的に進行するとともに、塩基の増殖の際に炭酸ガスの発生もない塩基増殖剤及び当該塩基増殖剤を含有する塩基反応性樹脂組成物を提供することにある。
前記の課題を解決するために、本発明に係る塩基増殖剤は、下記式(I)で表される化合物からなることを特徴とする。
Figure 2015214608
(式(I)中、Y、Yは、それぞれ独立して、ハメット置換基定数σが0以上の電子求引性の置換基であり、Bは塩基、Xは水素原子、炭素数が1〜20のアルキル基、炭素数が5〜12のシクロアルキル基、炭素数が2〜12のアルケニル基、炭素数が2〜12のアルキニル基、炭素数6〜12の芳香族基を示し、Xを構成するこれらの基は置換基を有していてもよい。)
本発明に係る塩基増殖剤は、前記した本発明において、前記式(I)が下記式(I−A)で表されることを特徴とする。
Figure 2015214608
(式(I−A)中、R、Rは、それぞれ独立して、炭素数が1〜20のアルキル基、炭素数が5〜12のシクロアルキル基、炭素数が6〜12の芳香族基であり、B、Xは前記式(I)と共通する。)
本発明に係る塩基増殖剤は、前記した本発明において、前記R及びRの少なくとも1つが、炭素数が3〜20の分岐を有するアルキル基であることを特徴とする。
本発明に係る塩基反応性樹脂組成物は、前記した本発明に係る塩基増殖剤と、塩基反応性化合物とを含有することを特徴とする。
本発明に係る塩基反応性樹脂組成物は、前記した本発明に係る塩基増殖剤と、塩基発生剤及び塩基反応性化合物とを含有することを特徴とする。
本発明に係る塩基反応性樹脂組成物は、前記した本発明において、前記塩基発生剤が光塩基発生剤であることを特徴とする。
本発明に係る塩基反応性樹脂組成物は、前記した本発明において、前記塩基反応性化合物がエポキシ系化合物及び/またはエピスルフィド化合物であることを特徴とする。
本発明は、塩基増殖能に優れ、加えて、塩基の増殖に際しては炭酸ガスの発生を伴わない塩基増殖剤となる。
また、本発明は、硬化速度及び反応効率に優れたものとなり、硬化が速やかに実施され、硬化が十分になされる塩基反応性樹脂組成物となる。加えて、添加される塩基増殖剤が塩基を増殖時に炭酸ガスの発生を伴わないため、硬化膜に炭酸ガスの気泡による凸凹が生じることもなく、製品特性及び製品価値の高い硬化膜を提供することができる。
式(I)の合成スキームを示した図である。 式(I−A)の合成スキームを示した図である。 H−NMR等による帰属の結果を示した図である。 加熱時間とオレフィンの生成率との関係を示した図である。 露光量と残膜率との関係(感度曲線)を示した図である。
以下、本発明の一態様を説明する。本発明は、下記式(I)で表される化合物である。
Figure 2015214608
(式(I)中、Y、Yは、それぞれ独立して、ハメット置換基定数σが0以上の電子求引性の置換基であり、Bは塩基、Xは水素原子、炭素数が1〜20のアルキル基、炭素数が5〜12のシクロアルキル基、炭素数が2〜12のアルケニル基、炭素数が2〜12のアルキニル基、炭素数6〜12の芳香族基を示し、Xを構成するこれらの基は置換基を有していてもよい。)
式(I)の化合物のY、Yは、ハメット置換基定数σが0以上の電子求引性の置換基である。かかるY、Yとしては、有機電子論等において慣用の電子求引性基を使用することができ、例えば、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基等のトリスルホロアルキル基、シアノ基、カルボニル基、スルホ基、−C(=O)NH−R、−C(=O)O−R、−C(=O)−R、−SO−R、−SO−R、ニトロ基、フェニル基等が挙げられる。また、Y、Yは同じであっても、それぞれが異なるものであってもよい。
ここで、Rは、後記するR、Rと共通するが、炭素数が1〜20のアルキル基(直鎖または分岐を有するアルキル基)、炭素数が5〜12のシクロアルキル基、炭素数が6〜12の芳香族基等とすることができる。これらのアルキル基、シクロアルキル基、芳香族基は、無置換であっても、電子求引性、電子供与性を問わず任意の基からなる置換基を有していてもよい。なお、R(後記するR、Rと共通)は、ヘテロ原子や、シリル基、アクリル基、メタクリル基等の重合性基を含んでいてもよく、モノマーであってもそれらが重合した重合体でもよい。
炭素数が1〜20のアルキル基としては、直鎖のアルキル基でもよく、分岐を有するアルキル基でもよい。これらのアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、へプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ウンデシル基、イソウンデシル基、n−ドデシル基、イソドデシル基、n−トリデシル基、イソトリデシル基、n−テトラデシル基、イソテトラデシル基、n−ペンタデシル基、イソペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、イソヘプタデシル基、n−オクタデシル基、イソオクタデシル基等が挙げられる。なお、分岐を有するアルキル基の場合は、炭素数は3以上となる。
また、分岐を有するアルキル基としては、下記に示す基を用いてもよい。下記の基について、*は結合する部分である。
Figure 2015214608
炭素数が5〜12のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
炭素数が6〜12の芳香族基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、エチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アニソール基等が挙げられる。
また、ハメット置換基定数σが0以上の電子求引性の置換基の例としては、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、アラルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アルケニルスルホニル基、アラルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルホキシド基、アルケニルスルホキシド基、アラルキルスルホキシド基、アリールスルホキシド基、パーフルオロアルキル基、ハロゲン等が挙げられる。
ハメット置換基定数σが0以上の電子求引性の置換基としては、前記のうち、−C(=O)NH−R、−C(=O)O−R、−C(=O)−R、−SO−R、−SO−R等とすることが好ましい。
電子求引性(電子吸引性とも表される。)の指標としては、一般に、ハメット則の置換基定数σ等が知られており、本発明にあっては、YやYをハメット置換基定数σ(σパラ値)が0以上の電子求引性の置換基を用いることにより、式(I)の化合物のY及びYで挟まれた水素が引き抜かれやすくなり、塩基の作用によりX基を化合物内に維持したまま塩基Bが脱離して分解し、かかる塩基Bがさらに作用することにより自己増殖的に分解する塩基増殖剤として機能することになる。
なお、前記したハメット則は、1935年にルイス・ハメット(Louis Plack Hammett)により、ベンゼン誘導体の反応や平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために提唱された経験則であり、今日にあって、ハメットの置換基定数については、多数の文献に記載がある(例えば、井本稔、仲矢忠雄著、有機反応論、1982、p408等。)。
また、本発明では、YやYをハメットの置換基定数σにより限定して説明等しているが、これらの置換基は、文献等に記載されている既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではない。置換基のハメットの置換基定数が文献に記載されておらず、未知の値であったとしても、数多くの文献に記載される、従来公知のハメット則に基づいて測定した場合に、本発明で定義した範囲内(σが0以上)となる置換基は、本発明の範囲に含むものである。
式(I)の化合物において、Bは塩基である。使用できる塩基としては、従来公知の塩基等を使用することができ、例えば、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン等のアミン(アミン化合物)、ピリジル基を含有する化合物、ヒドラジン化合物、アミド化合物、水酸化四級アンモニウム塩等を使用することができる。また、例えば、国際公開番号WO2009/19979に開示されるアミンやピリジル基を含有する化合物、ヒドラジン化合物、アミド化合物、水酸化四級アンモニウム塩等を使用することができる。
使用できる塩基として、アミン(アミン化合物)等の例を以下に挙げる。第1級アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、ジエチレントリアミン等の脂肪族第1級アミン化合物や、シクロヘキシルアミン、1,3−(ビスアミノエチル)シクロヘキサン、ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環式第1級アミン化合物、ベンジルアミン、アニリン、メタフェニレンジアミン、メタキシレンジアミン等の芳香族第1級アミン化合物等を使用することができる。
第2級アミンとしては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジデシルアミン、エチルメチルアミン等の脂肪族第2級アミン化合物、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ノルボルナンジメチルアミン、1,3−ビス(4−ピペリジル)プロパン等の脂環式第2級アミン化合物、ベンジルメチルアミン、ジフェニルアミン、ジベンジルアミン等の芳香族第2級アミン化合物を使用することができる。
第3級アミンとしては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、トリデシルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N−メチルモルホリン等の脂肪族第3級アミン化合物、トリフェニルアミン、メチルジフェニルアミン、ジエチルアニリン、トリベンジルアミン等の芳香族第3級アミン化合物が挙げられる。
また、ジアザビシクロノネン(DBN)、ジアザビシクロウンデセン(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン)(DBU)等のアミジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD)等のグアニジン類、1,4−ジアザビシクロ[2.2.0]オクタン、フォスファゼン塩基等や、ピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、2,6−ジ(t−ブチル)ピリジン等のピリジン系化合物、イミダゾリン、イミダゾール系化合物を使用することができる。
イミダゾール系化合物としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ベンジルイミダゾール、4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)フェニルアミン、3A,4,5,6,7,7A−ヘキサヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル メチルスルフィド、2−(4−ブロモフェニル)4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール、1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール、DL−イソアマリン等が挙げられる。なお、前記したイミダゾール系化合物に存在する炭素数が1〜4のアルキル基には、S等のヘテロ原子を含んでもよい。
また、式(I)の化合物におけるXは、基本骨格に対して付加される任意の基であり、水素原子あるいは有機基であれば特に制限はないが、水素原子、炭素数が1〜20のアルキル基、炭素数が5〜12のシクロアルキル基、炭素数が2〜12のアルケニル基、炭素数が2〜12のアルキニル基、炭素数が6〜12の芳香族基を示すものである。
また、Xを構成するこれらの基(アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族基)は置換基を有していてもよい。使用可能な置換基としては、例えば、電子供与基である、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基等が挙げられる。
炭素数が1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。
炭素数が5〜12のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
炭素数が2〜12のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基などを挙げることができる。
炭素数が2〜12のアルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基が挙げられる。
炭素数が6〜12の芳香族基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、エチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アニソール基等が挙げられる。
式(I)で表される塩基増殖剤は、例えば、メタンの水素2つが電子求引性基Y、Yで置換された化合物とX−CHO等を出発物質として、図1に示す合成スキームに従って合成するようにすればよい。また、式(I−A)(後記する)については、マロン酸エステル、X−CHO等を出発物質として、図2に示す合成スキームに従って合成するようにすればよい。ここで、図1は、式(I)の合成スキームを示した図、図2は、式(I−A)の合成スキームを示した図、をそれぞれ示す。
本発明に係る塩基増殖剤は、塩基の作用により分解して、オレフィンを形成するとともに塩基を発生する特性を有する。反応挙動について、反応スキームを以下に示す。なお、以下のスキームでは、式(I)の化合物の塩基Bに対して、共通する塩基Bを作用させるようにしている。
Figure 2015214608
反応スキームに示すように、本発明の塩基増殖剤は、その一定量に対してそれより少ない当量の塩基を作用させるだけで、自己増殖的に分解し、最終的にその全量が分解し、その塩基増殖剤の量に対応する多量の塩基を発生させる。そして、塩基反応性化合物(後記)と共存させると、発生した塩基(前記スキームではB)が塩基反応性化合物に作用し、発生する塩基により塩基反応性化合物を架橋反応させて効率よく硬化させることが可能となる。
なお、式(I)に示す塩基増殖剤に対する塩基の作用に際しては、適度の加熱や光照射を併用するようにしてもよい。また、かかる塩基増殖剤は、塩基の作用のほか、適度な加熱や光照射によっても分解して塩基を発生する場合があり、その場合は、塩基の作用を必要としなくても、塩基を増殖させることができる。このようにする場合の加熱条件(温度、時間等)や露光条件(波長、露光量、照射時間等)は、塩基増殖剤の種類や、添加対象となる塩基反応性化合物の種類や量、塩基増殖剤の含有量等により適宜決定することができる。
反応スキームに示すように、本発明の塩基増殖剤は、塩基の増殖に際して、式(I)の塩基Bの脱離により塩基を増殖し、炭酸ガス(アウトガス)の発生を伴わない塩基増殖剤となる。よって、塩基増殖剤を塩基反応性化合物と混合して塩基反応性樹脂組成物として、かかる塩基反応性樹脂組成物を製膜した場合にあっても炭酸ガスの気泡による凸凹を生じさせることもなく、製品特性及び製品価値の高い硬化膜を提供することができる。
式(I)については、下記式(I−A)のように、中心骨格をマロネート構造とした構造(Y、Yにおけるハメット置換基定数σが0以上の電子求引性の置換基が−C(=O)O−R(エステル基)であり、かかる基のRとして置換基R、Rが結合する構造)とするようにしてもよい。なお、式(I−A)中、R、Rは、それぞれ独立して、炭素数が1〜20のアルキル基、炭素数が5〜12のシクロアルキル基、炭素数が6〜12の芳香族基であり(前記したRと共通)、B、Xは、前記した式(I)と共通する。
Figure 2015214608
なお、R、R(前記のRと共通する)は、例えば、炭素数を3〜20として、分岐を有するアルキル基とすることが好ましい。R、Rをかかるアルキル基とすることにより、R、R基のかさ高さと塩基Bの存在が障害となり、エポキシ系化合物等の塩基反応性化合物と混合しても、室温では塩基のフリーの窒素原子(N)がエポキシ基等と反応することがなく、1液(例えば、エポキシ樹脂+塩基増殖剤の混合物等)での保存安定性が向上する。また、室温でも溶剤を必要とせずにエポキシ系化合物等の塩基反応性化合物と混合することができる。炭素数を3〜20とする分岐を有するアルキル基は、R、Rの少なくとも1つであればよいが、R、Rの両方ともとすることが好ましい。また、炭素数は、4〜15とすることが特に好ましい。さらに、R、Rは同じであっても、それぞれが異なるものであってもよい。
塩基増殖剤に塩基を作用させるに際し、作用させる塩基としては、特に制限はなく、従来公知の塩基等を使用することができ、前記した塩基Bとして使用することができる例としてあげた塩基等を好ましく使用することができる。また、式(I)の塩基増殖剤に作用させる塩基としては、式(I)を構成する塩基Bと共通させるようにしてもよい。
また、本発明に係る塩基増殖剤は、塩基発生剤と組み合わせて塩基増殖剤組成物として使用することが好ましい。ここで、塩基発生剤とは、一般に、光等の活性エネルギー線を照射したり、加熱することによって塩基を発生する物質である。塩基発生剤としては、特に限定されないが、光等の活性エネルギー線の照射によって塩基を発生する光塩基発生剤や、加熱により塩基を発生する熱塩基発生剤(熱潜在性塩基発生剤)を使用することが好ましい。このうち、塩基を発生させるために高温下で加熱処理を行う必要がないため、光塩基発生剤を使用することが特に好ましい。
光塩基発生剤や熱塩基発生剤としては、特に制限されず、従来公知の光塩基発生剤、熱塩基発生剤を使用することができる。いずれも、塩基を発生する際に脱炭酸を伴わず、炭酸ガス(アウトガス)を発生しない光塩基発生剤、熱塩基発生剤を使用することが好ましく、例えば、特開2012−250969号公報等に開示される塩基発生剤等を使用するようにしてもよい。
塩基増殖剤と塩基発生剤を組み合わせて塩基増殖剤組成物として使用する場合には、塩基増殖剤を構成する塩基類と、塩基発生剤を構成する塩基類が共通するようにしてもよい。塩基類が共通することにより、塩基増殖剤の分解が効率よく行われることになる。
塩基増殖剤と塩基発生剤を組み合わせて塩基増殖剤組成物として使用する場合の塩基増殖剤と塩基発生剤の配合比は、質量比で(モル比でも)、塩基増殖剤/塩基発生剤=40/1〜5/20の範囲内とすることが好ましい。塩基増殖剤の配合量が少なすぎると塩基が効率的に発生せず、塩基反応性化合物を迅速に反応させることができなくなる場合がある。一方、塩基増殖剤の配合量が多すぎると、塩基発生剤の使用量が増加し、塩基発生剤自体が塩基反応性化合物の溶解性等に悪影響を与える場合があり、また、コスト的にも好ましくない。塩基増殖剤と塩基発生剤の配合比は、質量比で(モル比でも)、塩基増殖剤/塩基発生剤=20/1〜5/5の範囲内とすることが特に好ましい。
次に、本発明の塩基反応性樹脂組成物を説明する。本発明の塩基反応性樹脂組成物は、前記した式(I)に表される化合物からなる塩基増殖剤、あるいはかかる塩基増殖剤及び塩基発生剤(塩基増殖剤組成物)と、塩基の存在によって硬化反応をする塩基反応性化合物を必須成分として含有する。
塩基増殖剤は、1種を単独で用いるようにしてもよく、また、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、塩基増殖剤と塩基発生剤を併用して塩基増殖剤組成物として使用する場合には、塩基発生剤は、1種類を単独で用いるようにしてもよく、また、2種類以上を組み合わせて使用するようにしてもよい。
本発明の塩基反応性樹脂組成物を構成する塩基反応性化合物は、塩基増殖剤、あるいは塩基増殖剤及び塩基発生剤(塩基増殖剤組成物)により発生した塩基の作用により反応して、架橋等により硬化する化合物であり、例えば、下記No.2−1〜No.5−6の化合物等を使用することができる。塩基反応性化合物としては、例えば、少なくとも1つのエポキシ基を有するエポキシ系化合物、エピスルフィド化合物、少なくとも1つのアルコキシシリル基やシラノール基等を有しているケイ素系化合物等を使用することができる。
使用可能なエポキシ系化合物(エポキシ系樹脂)としては、例えば、ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フエニルグリシジルエーテル、アルキルフェノールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、脂肪族ジグリシジルエーテル、多官能グリシジルエーテル、3級脂肪酸モノグリシジルエーテル、スピログリコールジグリシジルエーテル、グリシジルプロポキシトリメトキシシラン等が挙げられる。これらのエポキシ系化合物はハロゲン化されていてもよく、水素添加されていてもよく、また、これらのエポキシ系化合物は誘導体も含む。そして、これらのエポキシ系化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
エピスルフィド化合物としては、単官能エピスルフィド化合物、または一分子内に1個以上のエピスルフィド基を有するものであり、各種公知のエポキシ樹脂と、チオシアン酸塩類、チオ尿素等の硫化剤を適当な溶媒の存在下、反応させ、エポキシ基の酸素原子を硫黄原子に置換することにより容易に得ることができる。なお、エポキシ基の酸素原子が硫黄原子に置換されるに際しては、すべてのエポキシ基の酸素原子が硫黄原子に置換されていてもよいし、一部のエポキシ基の酸素原子が硫黄原子に置換されていてもよい。
代表的なエピスルフィド化合物としては、以下のものが例示される。
(1)ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA等をグリシジル化することにより得られるビスフェノール型エポキシ樹脂を更にチオグリシジル化したビスフェノール型エピスルフィド樹脂;
(2)ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール類の核水添化物をグリシジル化することにより得られる水素化ビスフェノール型エポキシ樹脂を更にチオグリシジル化した水素化ビスフェノール型エピスルフィド樹脂;
(3)ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシアントラセン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等のその他の2価フェノール類をグリシジル化することにより得られるエポキシ樹脂を更にチオグリシジル化したエピスルフィド樹脂;
(4)1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4−(1−(4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチリデン)ビスフェノール等のトリスフェノール類をグリシジル化することにより得られるエポキシ樹脂を更にチオグリシジル化したエピスルフィド樹脂;
(5)1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のテトラキスフェノール類をグリシジル化することにより得られるエポキシ樹脂を更にチオグリシジル化したエピスルフィド樹脂;
(6)フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、臭素化フェノールノボラック、臭素化ビスフェノールAノボラック等をグリシジル化することにより得られるノボラック型エポキシ樹脂を更にチオグリシジル化したノボラック型エピスルフィド樹脂;
(7)グリセリンやポリエチレングリコール等の多価アルコールをグリシジル化することにより得られる脂肪族エーテル型エポキシ樹脂を更にチオグリシジル化した脂肪族エーテル型エピスルフィド樹脂;
(8)p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸をグリシジル化することにより得られるエーテルエステル型エポキシ樹脂を更にチオグリシジル化したエーテルエステル型エピスルフィド樹脂;
(9)フタル酸、テレフタル酸のようなポリカルボン酸をグリシジル化することにより得られるエステル型エポキシ樹脂を更にチオグリシジル化したエステル型エピスルフィド樹脂;
(10)4,4−ジアミノジフェニルメタンやm−アミノフェノール等のアミン化合物をグリシジル化することにより得られるアミン型エポキシ樹脂やトリグリシジルイソシアヌレート等を更にチオグリシジル化したアミン型エピスルフィド樹脂;
(11)ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミン等のポリアルキレンポリアミンとアジピン酸等のジカルボン酸とのポリアミドポリアミンのチオグリシジル化物;
(12)3,4−エピチオシクロヘキシルメチル−3’,4’−エピチオシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エピチオシクロヘキシル)アジペート、1,2−エピチオ−4−ビニルシクロヘキサン等の脂環式エピスルフィド;
(13)オルガノポリシロキサンとエピスルフィド樹脂やフェノールノボラック型エピスルフィド樹脂との反応で得られるシリコーン変性エピスルフィド樹脂;
(14)チオグリシジルメタクリレートや3,4−エピチオシクロヘキシルメチルメタクリレート、プロピレンスルフィド、シクロヘキサンスルフィド等のエピスルフィド化合物及びその重合体;
(15)ビス(2,3−エピチオプロピル)スルフィドやビス(2,3−エピチオプロピルチオ)エタン、ビス(5,6−エピチオ−3−チオヘキサン)スルフィド等のエピスルフィド化合物;等を使用することができる。以上(1)〜(15)のエピスルフィド化合物は、その1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用するようにしてもよい。
ケイ素系化合物(ケイ素系樹脂)としては、例えば、アルコキシシラン化合物やシランカップリング剤等を使用することができる。アルコキシシラン化合物としては、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。これらのアルコキシシラン化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルシラン、アクリルシラン、エポキシシラン、アミノシラン等が挙げられる。ビニルシランとして、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。アクリルシランとしては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。エポキシシランとしては、β−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。アミノシランとしては、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。その他のシランカップリング剤としては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシシラン等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
その他、例えば、オキセタン環を含むオキセタン系化合物等を使用することができる。以上の塩基反応性化合物は、1種類を単独で用いるようにしてもよく、また、2種類以上を組み合わせて使用するようにしてもよい。
塩基反応性化合物としては、実用上及び式(I)の塩基増殖剤の反応効率等の点から、エポキシ系化合物やエピスルフィド化合物を使用することが好ましい。これらは単独で使用してもよく、また、組み合わせて使用するようにしてもよい。
以下、塩基反応性化合物の具体例を挙げる。なお、本願明細書では、使用可能な塩基反応性化合物として、脱炭酸を伴うものも一部挙げているが、脱炭酸を伴わないエポキシ系化合物等の塩基反応性化合物を使用することが好ましい。
Figure 2015214608
なお、前記した塩基反応性化合物No.2−1〜No.2−8は、いずれも塩基の作用で脱離反応を起こし、極性が変換されるポリマー群であり、分解前後で溶解性が変化することを利用してパターニングを行う材料(レジスト材料)等として適用することができる。
また、塩基反応性化合物の他の例を挙げる。なお、No.3−1及びNo.3−2において、xは0を超えて1以下の数を示す。
Figure 2015214608
本発明の塩基反応性樹脂組成物を構成する塩基反応性化合物は、少なくとも1つのエポキシ基を有するエポキシ系化合物を使用することができる。また、少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ系化合物に塩基を作用させることによって、エポキシ系化合物をエポキシ基の開環重合によりポリマーとすることができる。また、エポキシ系化合物に塩基を付加することにより、かかるエポキシ系化合物を化学変性することができる。重合反応性を示すエポキシ系化合物の一例を以下に示す。
Figure 2015214608
また、重合反応性を示すエポキシ系化合物(ポリマー)のその他の例を以下に示す。
Figure 2015214608
また、塩基反応性化合物としては、少なくとも1つのシラノール基またはアルコキシシリル基を有するケイ素系化合物を使用することができる。また、少なくとも2つのシラノール基またはアルコキシシリル基を有するケイ素系化合物に塩基を作用させることによって、かかるケイ素系化合物をシラノール基またはアルコキシシリル基の縮重合によりポリマーとすることができる。重合反応性を示すケイ素系化合物(No.5−2〜No.5−4はポリマー)の具体例を以下に示す。
Figure 2015214608
前記した光塩基発生剤や、本発明の塩基増殖剤と光塩基発生剤を併用して(塩基増殖剤組成物として)、塩基増殖剤及び光塩基発生剤を含有した塩基反応性樹脂組成物(感光性樹脂組成物)における照射光の波長及び露光量の範囲としては、光塩基発生剤の種類や量、及び塩基反応性樹脂組成物(感光性樹脂組成物)を構成する塩基反応性化合物の種類等に応じて適宜決定すればよいが、例えば、波長として190〜400nm、露光量として100〜10000mJ/cmの範囲内から選択して適用すればよく、後記する増感剤を用いることによりさらに高波長域を使用することも可能である。照射光の照射時間は、数秒でも可能な場合もあるが、概ね10秒以上とすればよく、1.5〜20分とすることが好ましい。
一方、熱塩基発生剤を使用する場合の加熱条件は、使用する熱塩基発生剤の種類や量、及び塩基反応性樹脂組成物(感光性樹脂組成物)を構成する塩基反応性化合物の種類等に応じて適宜決定すればよいが、加熱温度を概ね50〜150℃として、加熱時間を1〜1800分とすればよい。
また、塩基発生剤を併用せず、主成分を塩基増殖剤と塩基反応性化合物として塩基反応性樹脂組成物とする場合には、前記したように、塩基増殖剤が分解可能な所望の塩基を添加するようにすればよく、塩基増殖剤と共通する塩基Bを添加することが好ましい。
本発明の塩基反応性樹脂組成物における塩基増殖剤の含有量は、エポキシ系化合物等の塩基反応性化合物の分子量等が比較的低い場合を考慮して、塩基反応性化合物100質量部に対して概ね0.1〜350質量部の範囲から選択することが好ましく、0.1〜300質量部とすることがより好ましく、0.1〜120質量部とすることがさらに好ましい。また、塩基増殖剤の含有量は、塩基反応性化合物100質量部に対して1〜60質量部とすることがさらにまた好ましく、2〜30質量部とすることがなお好ましく、2〜20質量部とすることが特に好ましい。
塩基増殖剤は、塩基反応性化合物(エポキシ系化合物等)のモノマーユニットあたり0.1〜60mol%の範囲内から選択して含有させるようにしてもよい。エポキシ系化合物に対して、塩基増殖剤を0.1〜80mol%の範囲で含有させるようにしてもよい。
また、塩基増殖剤は、塩基反応性化合物がエポキシ系化合物である場合、塩基反応性化合物中のエポキシ基100molに対する塩基増殖剤のアミン官能基比率で、10〜90mol%の範囲内から選択するようにしてもよく、40〜80mol%とすることが好ましい。なお、アミン官能基比率とは、対象となる塩基反応性化合物を例えばエポキシ系化合物とすると、エポキシ系化合物におけるエポキシ基の個数に対する塩基増殖剤中のアミノ基の個数をmol%として表したものであり、例えばアミン官能基比率10mol%(対エポキシ基)とは、塩基反応性化合物中のエポキシ基100個(100mol)に対して、塩基増殖剤からアミノ基が10個(10mol)発生するような塩基増殖剤のことを指す(後記する塩基発生剤についてのアミン官能基比率についても同様。)。以上の塩基増殖剤のアミン官能基比率をもとにした選択は、エポキシ系化合物を例に挙げて説明したが、他の塩基反応性化合物について適用するようにしてもよい。また、後記する塩基発生剤のアミン官能基比率をもとにした選択についても同様である。
塩基増殖剤と塩基発生剤を併用して塩基反応性化合物に塩基増殖剤組成物として含有させる場合にあっては、塩基発生剤の含有量は、前記した塩基増殖剤と塩基発生剤の配合比(質量比)に対応させるように塩基発生剤を含有させるようにすることが好ましい。また、塩基反応性化合物100質量部に対して塩基発生剤の含有量を0.5〜40質量部とすることが好ましい。塩基発生剤の含有量が少なすぎると、塩基増殖剤に作用せず、塩基反応性化合物を迅速に反応させることができなくなる場合がある一方、塩基発生剤の含有量が多すぎると、塩基増殖剤と同様、塩基発生剤の存在が塩基反応性化合物の溶媒に対する溶解性に悪影響を与える場合があり、また、過剰量の塩基発生剤の存在はコスト高に繋がることになる。塩基発生剤の含有量は、塩基反応性化合物100質量部に対して0.5〜35質量部とすることがなお好ましく、2〜35質量部とすることがさらに好ましく、5〜20質量部とすることが特に好ましい。
塩基発生剤は、塩基反応性化合物(エポキシ系化合物等)のモノマーユニットあたり0.1〜50mol%の範囲内から選択して含有させるようにしてもよい。また、エポキシ系化合物に対して塩基発生剤を0.1〜80mol%の範囲で含有させるようにしてもよい。
塩基発生剤は、塩基反応性化合物がエポキシ系化合物である場合、塩基反応性化合物中のエポキシ基100molに対する塩基発生剤のアミン官能基比率で、5〜90mol%の範囲内から選択するようにしてもよく、10〜80mol%とすることが好ましい。
本発明に係る塩基反応性樹脂組成物を用いてパターンを形成するには、例えば、当該樹脂組成物を有機溶媒に溶解して塗布液を調製し、調製された塗布液を基板等の適当な固体表面に塗布し、乾燥して塗膜を形成するようにする。そして、形成された塗膜に対して、パターン露光を行って塩基を発生させた後、所定の条件で加熱処理を行って、塩基反応性樹脂組成物に含有される塩基反応性化合物の重合反応を促すようにする。
本発明の塩基反応性樹脂組成物は、本発明の塩基増殖剤を含有するため、室温でも重合反応は進行するが、重合反応を効率よく進行させるべく、加熱処理を施すことが好ましい。加熱処理の条件は、露光エネルギー、使用する塩基増殖剤から発生する塩基の種類、エポキシ系化合物やエピスルフィド化合物等の塩基反応性化合物の種類によって適宜決定すればよいが、加熱温度は40℃〜250℃の範囲内とすることが好ましく、50℃〜200℃の範囲内とすることが特に好ましい。また、加熱時間は10秒〜60分とすることが好ましく、60秒〜30分とすることが特に好ましい。これを露光部と未露光部とで溶解度に差を生じる溶媒中に浸漬して現像を行ってパターンを得ることができる。
本発明の塩基反応性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物として使用する場合、感光波長領域を拡大し、感度を高めるべく、増感剤を添加することができる。
本発明の塩基反応性樹脂組成物を所定の基材に塗布等する場合にあっては、必要により、溶媒を適宜含有するようにしてもよい。塩基反応性樹脂組成物に溶媒を含有させることにより、塗布能力を高めることができ、作業性が良好となる。本発明の塩基反応性樹脂組成物において、溶媒の含有量は、例えば、所定の基材上に塩基反応性樹脂組成物を塗布し、塩基反応性樹脂組成物による層を形成する際に、均一に塗工されるように適宜選択すればよい。
なお、本発明の塩基反応性樹脂組成物には、本発明の目的及び効果を妨げない範囲において、添加剤を適宜添加するようにしてもよい。使用することができる添加剤としては、例えば、顔料、染料、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、分散剤、分散助剤、表面改質剤、可塑剤、可塑促進剤、タレ防止剤、硬化促進剤、充填剤等が挙げられ、これらの1種類を単独で用いるようにしてもよく、2種類以上を組み合わせて使用するようにしてもよい。
以上説明した本発明の塩基反応性樹脂組成物は、本発明の塩基増殖剤、あるいは本発明の塩基増殖剤と塩基発生剤と塩基反応性化合物を含有することにより、エポキシ系化合物の存在下で塩基増殖剤から発生する塩基とエポキシ系化合物等の塩基反応性化合物との反応が連鎖的に進行し、硬化速度及び反応効率に優れたものとなり、硬化が速やかに実施され、硬化が十分になされる塩基反応性樹脂組成物となる。
また、本発明の塩基反応性樹脂組成物は、添加される塩基増殖剤が塩基を増殖する際に炭酸ガスの発生を伴わないため、硬化膜に炭酸ガスの気泡による凸凹を生じさせることもなく、製品特性及び製品価値の高い硬化膜を提供することができる。
かかる効果を奏する本発明の塩基反応性樹脂組成物は、例えば、高感度の光硬化材料やレジスト材料(パターン形成材料)等に好適に用いることができる。光硬化材料として適用された成形体は、耐熱性、寸法安定性、絶縁性等の特性が有効とされる分野の部材等として、例えば、塗料または印刷インキ、有機ELやLEDの封止用シール剤及び、接着剤、偏光板接着剤、カラーフィルター、有機EL等の光取出し層及び光取出しフィルム、ディスプレイ基板、フレキシブルディスプレイ基板、フレキシブルディスプレイ用フィルム、半導体装置、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム、光学部材または建築材料の構成部材として広く用いられ、印刷物、カラーフィルター、フレキシブルディスプレイ用フィルム、半導体装置、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム、光学部材または建築部材等が提供される。また、形成されたパターン等は、耐熱性や絶縁性を備え、例えば、カラーフィルター、ディスプレイ基板、フレキシブルディスプレイ基板、フレキシブルディスプレイ用フィルム、電子部品、半導体装置、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、その他の光学部材または電子部材として有利に使用することができる。
以下、実施例等に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例に何ら限定されるものではない。なお、式(H−2)及び式(I−1)において、MeO−はメトキシ基(CHO−)を示す。
[実施例1]
塩基増殖剤の合成:
下記(1)〜(3)の操作に従って、塩基増殖剤を合成した。具体的には、マロン酸クロリドから合成した中間体(1)、中間体(1)にo−アニスアルデヒドを反応させて得た中間体(2)を合成した後、中間体(2)に4−フェニルイミダゾールを付加させることにより、実施例1の塩基増殖剤を得た。
(1)中間体(1)の合成:
ナスフラスコにテトラヒドロラバンズロール11.2g(71mmol)、ピリジン6ml、脱水テトラヒドロフラン(THF)30mlを加え室温で30分間攪拌した後、氷浴下でマロン酸クロリドをゆっくりと滴下した。室温で3時間攪拌後、溶媒を留去し、ジクロロメタンと飽和食塩水により抽出を行なった。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を留去してカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/20)で目的物の単離を行い、減圧乾燥後、下記式(H−1)で表される薄黄色透明液体である中間体(1)を収量6.1g、収率45%で得た。
Figure 2015214608
(2)中間体(2)の合成:
ナスフラスコにo−アニスアルデヒド0.75g(5.5mmol)と脱水ベンゼン10mlを加え撹拌し、前記中間体(1)2.0g(5.2mmol)、ピペリジン0.06g(0.7mmol)、酢酸0.06g(1.0mmol)、脱水ベンゼン20mlを混合したものを滴下し、ディーンスターク装置を用いて還流を29時間行なった。溶媒留去後、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/8)で目的物の単離を行い、減圧乾燥後、下記式(H−2)で表される無色透明液体である中間体(2)を収量2.0g、収率75%で得た。
Figure 2015214608
(3)塩基増殖剤の合成:
ナスフラスコに前記中間体(2)1.0g(2.0mmol)、4−フェニルイミダゾール0.31g(2.2mmol)、脱水ベンゼン10mlを加え撹拌し、70℃で4時間加熱した。溶媒留去後、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/3)で目的物の単離を行い、減圧乾燥後、下記(I−1)で表される薄黄色透明液体である塩基増殖剤を収量0.52g(0.81mmol)、収率39%で得た。分解点は131.2℃(示差熱分析(DTA))であった。
Figure 2015214608
前記した実施例1の合成について、H−NMR等による帰属の結果を示した図を図3に示す。
[試験例1]
高分子固体(PTMG)中での塩基増殖剤の分解挙動の確認:
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)(シグマ−アルドリッジ社製、Mn=2900)0.05gに対して、実施例1で得られた塩基増殖剤0.02g(PTMG100質量部に対して40質量部)含有させることにより樹脂組成物1とした。
また、前記のポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)0.05gに対して、実施例1で得られた塩基増殖剤0.02g(PTMG100質量部に対して40質量部)、さらに塩基として前記塩基増殖剤に対して29mol%の4−フェニルイミダゾールを含有させることにより樹脂組成物2とした。
かかる樹脂組成物1及び樹脂組成物2をそれぞれ、キャスト溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)0.3gに溶解させて試料溶液とし、この試料溶液を1000rpmで30秒間シリコンウェハ上にスピンコートし、ホットプレート上にて80℃で1分間プリベイクすることにより製膜した。この膜を、100℃で所定の時間加熱し、FT−IRで継時変化を測定することで、熱分解挙動を追跡した。
分解挙動の確認は、FT−IRによって得られた結果のIRスペクトルにより、実施例1の塩基増殖剤の分解後に現れる分解物(式(H−2)の化合物)のオレフィン部由来のピーク(1625cm−1付近)を追跡し、そのピーク面積の最大値を基準にして算出、規格化し、加熱時間に対してプロットすることにより、塩基増殖剤の分解挙動を確認した。加熱時間とオレフィン生成率との関係を図4に示す。なお、転化率は、加熱開始前のピーク強度を基準として算出した。
図4に示すように、塩基増殖剤に塩基(4−フェニルイミダゾール)を加えた系(樹脂組成物2:実施例1+塩基)では、加熱開始と同時に分解が速やかに進行し、塩基増殖反応が進行したことが確認できた。
一方、塩基を加えない系(樹脂組成物1:実施例1のみ)では、20分程度の誘導期間を必要とし、その後加速的に分解が進行し、塩基を添加した系より分解が遅かった。また、この系では、図4より、塩基増殖剤が分解することで生じた塩基(4−フェニルイミダゾール)が自己触媒的にはたらき塩基増殖剤のさらなる分解を促進させているものであり、得られる曲線は自己触媒反応特有のS字形の曲線となっていることが確認できる。以上のことから、塩基増殖剤が、添加された塩基を引き金として高分子固体中で自己触媒的に分解することが確認できた。
[試験例2]
PGMA中での感光特性の評価(光反応性材料への応用):
式(No.4−12)に表されるエポキシ系化合物であるポリグリシジルメタクリレート(PGMA:M=10000)0.05gに対して、実施例1で得られた塩基増殖剤を0.009g(PGMAのモノマーユニットに対して4.0mol%、PGMA100質量部に対して18質量部)、式(E−1)で表される光塩基発生剤(イミダゾール−1−カルボン酸−4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルエステル)を0.002g(PGMAのモノマーユニットに対して2.0mol%、PGMA100質量部に対して4質量部)含有させることにより樹脂組成物3(実施例2の塩基反応性樹脂組成物)とした。
Figure 2015214608
また、比較として、前記のポリグリシジルメタクリレート(PGMA)0.05gに対して、式(B−1)で表される光塩基発生剤を0.007g(PGMAのモノマーユニットに対して6.0mol%、PGMA100質量部に対して14質量部)含有させることにより樹脂組成物4とした。
得られた樹脂組成物3及び樹脂組成物4を0.3gのクロロホルムに溶解させ試料溶液とし、かかる試料溶液を1000rpmで30秒間シリコンウェハ上にスピンコートし、ホットプレート上にて100℃で30秒間プリベイクすることにより、厚さ3.4〜4.0μmの膜を作製した。この膜に365nmの単色光を所定の露光量(0(ブランク)、100、200、500、1000、2000mJ/cm)で照射し、ポストベイクの温度を100℃として加熱時間を20分間実施し、クロロホルムで1分間現像し、残っている膜の厚さを測定し、各露光量における現像後の膜厚を規格化し、露光量と残膜率との関係(感度曲線)を作成した。結果を図5に示す。
図5に示すように、PGMAを不溶化するために光塩基発生剤のみを添加した系(樹脂組成物4:光塩基発生剤のみ)では、露光量として2000mJ/cm以上の露光が必要であるのに対して、実施例1の塩基増殖剤と光塩基発生剤を添加した系(樹脂組成物3:実施例1+光塩基発生剤)では、500mJ/cmの露光量で、PGMAの不溶化挙動が確認された(光塩基発生剤のみの系と比較して約4倍の感度)。これは、光塩基発生剤より発生した塩基によって塩基増殖剤が分解し、増殖的に塩基を増大させたためであると考えられる。なお、それぞれの系において、発生するイミダゾール類の最大量は6mol%で揃えているため、塩基増殖剤の添加によって、光反応性材料の高感度化が実現したと考えられる。
[試験例3]
炭酸ガス(二酸化炭素)の発生の有無の確認(脱炭酸型塩基増殖剤との比較):
式(No.4−13)に表されるエポキシ系化合物であるソルビトールポリグリシジルエーテル(デナコール(登録商標)EX−622/ナガセケムテックス(株)製)0.05gに対して、実施例1の塩基増殖剤を0.0065g(エポキシ系化合物に対して13質量部)添加して塩基反応性樹脂組成物とした。得られた塩基反応性樹脂組成物を2枚のガラス基板の間に挟み込んで膜を作製した。その膜を100℃で30分間加熱し、膜の様子を観察した。なお、実施例1の塩基増殖剤は液状であるため、溶剤を必要としなくともエポキシ系化合物との混合が容易に行われるため、溶剤(テトラヒドロフラン等)は用いなかった。
また、比較として、前記したエポキシ系化合物0.1gに対して、下記式(BA−1)で表される脱炭酸型塩基増殖剤を0.01g(エポキシ系化合物に対して10質量部)添加した樹脂組成物を0.8gのテトラヒドロフラン(THF)に溶解させた溶液を調製した。かかる溶液をガラス基板に塗布し、100℃で加熱して溶媒(テトラヒドロフラン)を揮発させ、もう1枚のガラス基板で挟むことにより膜を作製した。その膜を150℃で30分間加熱し、膜の様子を観察した。
Figure 2015214608
加熱終了後、両系ともガラス基板は接着していた。実施例1の塩基増殖剤を用いた系は、膜は全面で接着しており、実施例1の塩基増殖剤の分解により発生した塩基(4−フェニルイミダゾール)に伴う増殖反応によりエポキシ系化合物を硬化させたものと考えられる。本系では、気泡は見られず、分解に伴って炭酸ガス(二酸化炭素)の発生による気泡は認められなかった。一方、式(BA−1)の脱炭酸型塩基増殖剤を用いた膜は、ガラス基板を接着したが、炭酸ガスによる気泡が見られた。
本発明は、高感度の光硬化材料やレジスト材料ないしパターン形成材料等を提供する材料として有利に使用することができ、産業上の利用可能性は高い。

Claims (7)

  1. 下記式(I)で表される化合物からなることを特徴とする塩基増殖剤。
    Figure 2015214608
    (式(I)中、Y、Yは、それぞれ独立して、ハメット置換基定数σが0以上の電子求引性の置換基であり、Bは塩基、Xは水素原子、炭素数が1〜20のアルキル基、炭素数が5〜12のシクロアルキル基、炭素数が2〜12のアルケニル基、炭素数が2〜12のアルキニル基、炭素数6〜12の芳香族基を示し、Xを構成するこれらの基は置換基を有していてもよい。)
  2. 前記式(I)が下記式(I−A)で表されることを特徴とする請求項1に記載の塩基増殖剤。
    Figure 2015214608
    (式(I−A)中、R、Rは、それぞれ独立して、炭素数が1〜20のアルキル基、炭素数が5〜12のシクロアルキル基、炭素数が6〜12の芳香族基であり、B、Xは前記式(I)と共通する。)
  3. 前記R及びRの少なくとも1つが、炭素数が3〜20の分岐を有するアルキル基であることを特徴とする請求項2に記載の塩基増殖剤。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の塩基増殖剤と、塩基反応性化合物とを含有することを特徴とする塩基反応性樹脂組成物。
  5. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の塩基増殖剤と、塩基発生剤及び塩基反応性化合物とを含有することを特徴とする塩基反応性樹脂組成物。
  6. 前記塩基発生剤が光塩基発生剤であることを特徴とする請求項5に記載の塩基反応性樹脂組成物。
  7. 前記塩基反応性化合物がエポキシ系化合物及び/またはエピスルフィド化合物であることを特徴とする請求項4ないし請求項6のいずれかに記載の塩基反応性樹脂組成物。
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