JP5566510B2 - エピスルフィド化合物用硬化剤、硬化性組成物、エピスルフィド化合物の硬化物、及びエピスルフィド化合物の硬化方法 - Google Patents
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Description
しかし、その反応性は非常に高いため、エピスルフィド化合物と硬化剤を含有する硬化性組成物の貯蔵安定性が悪く、ポットライフが非常に短いという問題があった。そこで、硬化性組成物の貯蔵安定性が良く、かつ外部刺激によって迅速に硬化反応を行わせる手段として、塩基発生剤の使用が提案されている。
しかし、特許文献1の光塩基発生剤は、発生できる塩基に制限があり、塩基強度を調整することが困難である。また、光の作用による塩基発生効率が低く、塩基を発生する反応が迅速に行われ難いという欠点もある。
X1,X2,及びX3は、それぞれ独立に、水素原子、酸素原子、炭素数1〜3のアルキレン基、硫黄原子、スルホニル基、及びシラノール基からなる群から選択されるいずれか1つの原子若しくは基である。
R1,R2,及びR3は、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20の単環、二環又は三環式アリール基、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素数3〜15の単環、二環又は三環式のヘテロアリール基、炭素数3〜15の単環、二環又は三環式のシクロアルキル基、並びに酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素数3〜15の単環、二環又は三環式のヘテロシクロアルキル基からなる群から選択されるいずれか1つの基である。R1,R2,及びR3からなる群から選択される2つ以上の基が結合して環状構造を形成していてもよく、この環状構造は酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1又は2以上のヘテロ原子を環内に有していてもよい。但し、X1,X2,及びX3が水素原子又はシラノール基の場合は、R1,R2,及びR3は存在しない。
R10は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20の単環、二環又は三環式アリール基、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素数3〜15の単環、二環又は三環式のヘテロアリール基、炭素数3〜15の単環、二環又は三環式のシクロアルキル基、並びに、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素数3〜15の単環、二環又は三環式のヘテロシクロアルキル基からなる群から選択されるいずれか1つの原子若しくは基である。
Bは、塩基である。
また、本発明の要旨は、エピスルフィド化合物を上記一般式(1)で示される化合物により硬化する硬化方法である。
本発明のエピスルフィド化合物用硬化剤は、下記一般式(1)で示される化合物からなることを特徴とする。
X1,X2,及びX3が水素原子又はシラノール基でない場合、言い換えれば酸素原子、炭素数1〜3のアルキレン基、硫黄原子、及びスルホニル基のいずれかである場合、X1,X2,及びX3のそれぞれに対応するR1,R2,及びR3は、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20の単環、二環又は三環式アリール基、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素数3〜15の単環、二環又は三環式のヘテロアリール基、炭素数3〜15の単環、二環又は三環式のシクロアルキル基、並びに酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素数3〜15の単環、二環又は三環式のヘテロシクロアルキル基からなる群から選択されるいずれか1つの基である。なお、X1,X2,及びX3が水素原子又はシラノール基の場合は、R1,R2,及びR3は存在しない。
R1,R2,及びR3からなる群より選択される2つ以上の基が結合して環状構造を形成していてもよく、この環状構造は酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1又は2以上のヘテロ原子を環内に有していてもよい。
メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、ジエチレントリアミン、等の脂肪族第1級アミン化合物;
シクロヘキシルアミン、1,3−(ビスアミノエチル)シクロヘキサン、ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、等の脂環式第1級アミン化合物;
ベンジルアミン、アニリン、メタフェニレンジアミン、メタキシレンジアミン等の芳香族第1級アミン化合物;
ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジデシルアミン、エチルメチルアミン等の脂肪族第2級アミン化合物;
アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ノルボルナンジメチルアミン、1,3−ビス(4−ピペリジル)プロパン等の脂環式第2級アミン化合物;
ベンジルメチルアミン、ジフェニルアミン、ジベンジルアミン等の芳香族第2級アミン化合物;
トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、トリデシルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.0]オクタン、フォスファゼン塩基等の脂肪族第3級アミン化合物;
ピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、2,6−ジ(t−ブチル)ピリジン等のピリジン系化合物、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール系化合物、トリフェニルアミン、メチルジフェニルアミン、ジエチルアニリン、トリベンジルアミン等の芳香族第3級アミン化合物が挙げられる。
これらの中でも、脂肪族第3級アミン化合物又は芳香族第3級アミン化合物が硬化剤として使用する場合の配合量が少なくて済む点で好ましく、中でも、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD)、フォスファゼン塩基、イミダゾール、2−メチルイミダゾールなどが好ましい。
また、カチオン部分構造については、塩基Bが1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD)、フォスファゼン塩基、イミダゾール、2−メチルイミダゾールなどであることが好ましい。
(1)ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA等をグリシジル化することにより得られるビスフェノール型エポキシ樹脂を更にチオグリシジル化したビスフェノール型エピスルフィド樹脂;
(2)ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール類の核水添化物をグリシジル化することにより得られる水素化ビスフェノール型エポキシ樹脂を更にチオグリシジル化した水素化ビスフェノール型エピスルフィド樹脂;
(3)ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシアントラセン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等のその他の2価フェノール類をグリシジル化することにより得られるエポキシ樹脂を更にチオグリシジル化したエピスルフィド樹脂;
(4)1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4−(1−(4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチリデン)ビスフェノール等のトリスフェノール類をグリシジル化することにより得られるエポキシ樹脂を更にチオグリシジル化したエピスルフィド樹脂;
(5)1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のテトラキスフェノール類をグリシジル化することにより得られるエポキシ樹脂を更にチオグリシジル化したエピスルフィド樹脂;
(6)フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、臭素化フェノールノボラック、臭素化ビスフェノールAノボラック等をグリシジル化することにより得られるノボラック型エポキシ樹脂を更にチオグリシジル化したノボラック型エピスルフィド樹脂;
(7)グリセリンやポリエチレングリコール等の多価アルコールをグリシジル化することにより得られる脂肪族エーテル型エポキシ樹脂を更にチオグリシジル化した脂肪族エーテル型エピスルフィド樹脂;
(8)p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸をグリシジル化することにより得られるエーテルエステル型エポキシ樹脂を更にチオグリシジル化したエーテルエステル型エピスルフィド樹脂;
(9)フタル酸、テレフタル酸のようなポリカルボン酸をグリシジル化することにより得られるエステル型エポキシ樹脂を更にチオグリシジル化したエステル型エピスルフィド樹脂;
(10)4,4−ジアミノジフェニルメタンやm−アミノフェノール等のアミン化合物をグリシジル化することにより得られるアミン型エポキシ樹脂やトリグリシジルイソシアヌレート等を更にチオグリシジル化したアミン型エピスルフィド樹脂;
(11)ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミン等のポリアルキレンポリアミンとアジピン酸等のジカルボン酸とのポリアミドポリアミンのチオグリシジル化物;
(12)3,4−エピチオシクロヘキシルメチル−3’,4’−エピチオシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エピチオシクロヘキシル)アジペート、1,2−エピチオ−4−ビニルシクロヘキサン等の脂環式エピスルフィド;
(13)オルガノポリシロキサンとエピスルフィド樹脂やフェノールノボラック型エピスルフィド樹脂との反応で得られるシリコーン変性エピスルフィド樹脂;
(14)チオグリシジルメタクリレートや3,4−エピチオシクロヘキシルメチルメタクリレート、プロピレンスルフィド、シクロヘキサンスルフィド等のエピスルフィド化合物及びその重合体;
(15)ビス(2,3−エピチオプロピル)スルフィドやビス(2,3−エピチオプロピルチオ)エタン、ビス(5,6−エピチオ−3−チオヘキサン)スルフィド等のエピスルフィド化合物;
等が挙げられる。これらエピスルフィド化合物から選択される1種のエピスルフィド化合物又は2種以上を混合したエピスルフィド化合物の混合物を用いることができる。
なお、エピスルフィド化合物のエピスルフィド当量は、ゲル浸透クロマトグラフィーと当該化合物のエピスルフィド官能基数から算出することができる。
本発明の硬化性組成物は、本発明のエピスルフィド化合物用硬化剤と、上記のエピスルフィド化合物とを含有することを特徴とする。
本発明の硬化性組成物において、溶剤の含有量は、例えば、所定の基材上に硬化性組成物を塗布し、硬化性組成物による層を形成する際に、均一に塗工されるように適宜選択することができる。
また、硬化促進剤としての本発明の硬化剤の含有量は、エピスルフィド化合物100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。
更に、上記の公知の硬化剤100重量部に対しては、硬化促進剤としての本発明の硬化剤が0.1〜10重量部であることが好ましく、更には、1〜5重量部であることが好ましい。
本発明において、エピスルフィド化合物は、上記一般式(1)で示される化合物により硬化させることができる。例えば、本発明のエピスルフィド化合物用硬化剤と上記エピスルフィド化合物とを含有する硬化性組成物に光照射又は加熱することにより硬化させることができる。
光又は熱の作用により、本発明の硬化性組成物中で塩基が発生し、エピスルフィド化合物が重合により硬化されることとなり、エピスルフィド化合物の硬化物が形成される。
『8−ブロモ−7−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オン(i)の合成』
500ml反応器に、7−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オン20.00g(0.11mol)、N‐ブロモスクシンイミド23.14g(0.13mol)、アセトニトリル200mlを加えた。反応器全体を遮光し、室温にて30時間反応を行った。反応終了後、反応液を水300mlで3回洗浄し、続いて濃縮することで粗生成物を得た。
得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/7(体積比))により精製することで、8−ブロモ−7−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オン(i)を23.28g取得した。収率は83%であった。
『8−ブロモ−1−エチリデン−7−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(ii)の合成』
窒素雰囲気下、500ml反応器に、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド37.28g(0.10mol)、t−ブトキシカリウム8.64g(0.08mol)、テトラヒドロフラン90mlを加え、室温にて1時間攪拌した。次いで、合成例1で得られた8−ブロモ−7−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オン(i)20.15g(0.08mol)のテトラヒドロフラン40ml溶液を反応混合液に滴下し、滴下終了後室温にて16時間反応させた。反応終了後、反応液に希塩酸を加え、ジクロロメタン200mlで3回洗浄した。得られた有機層を濃縮し、濃縮液にヘキサン700mlを加えて30分撹拌した。次いで、析出してきた結晶をろ過で除去し、得られたろ液を濃縮することで粗生成物を得た。
得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/5(体積比))により精製することで、8−ブロモ−1−エチリデン−7−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(ii)を16.36g取得した。収率は79%であった。
『8−エチリデン−2−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸(iii)の合成』
窒素雰囲気下、500ml反応器に、マグネシウム1.46g(0.06mol)、テトラヒドロフラン80mlを加え、室温にて10分間攪拌した。次いで、合成例2で得られた8−ブロモ−1−エチリデン−7−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(ii)8.55g(0.03mol)のテトラヒドロフラン40ml溶液を反応混合液に滴下し、滴下終了後1時間加熱還流させた。加熱還流終了後、反応液を大過剰のドライアイス(およそ500g)に注ぎ込み、ドライアイスが昇華するまで放置した。その後、反応液に希塩酸を加え、ジクロロメタン200mlで3回洗浄した。得られた有機層を濃縮することで粗生成物を得た。
得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/5(体積比))により精製することで8−エチリデン−2−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸(iii)を4.53g取得した。収率は61%であった。
『8−エチリデン−2−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸ジアザビシクロウンデセン塩の合成』
500ml反応器に、合成例3で得られた8−エチリデン−2−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸(iii)1.00g(4.3mmol)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン0.66g(4.3mmol)、ジエチルエーテル250mlを加え、室温にて1時間反応させた。反応終了後、溶媒を減圧下溜去することで、下記に示す8−エチリデン−2−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸ジアザビシクロウンデセン塩を1.38g取得した。収率は83%であった。
『8−エチリデン−2−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸トリアザビシクロデカエン塩の合成』
200ml反応器に、合成例3で得られた8−エチリデン−2−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸(iii)1.00g(4.3mmol)、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン0.60g(4.3mmol)、ジエチルエーテル100mlを加え、室温にて1時間反応させた。反応終了後、析出した結晶を濾過することで分取し、下記に示す8−エチリデン−2−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸トリアザビシクロデカエン塩を1.47g取得した。収率は92%であった。
『8−エチリデン−2−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸フォスファゼン塩基塩の合成』
200ml反応器に、合成例3で得られた8−エチリデン−2−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸(iii)0.80g(3.4mmol)、フォスファゼン塩基0.61g(3.4mmol)、ジエチルエーテル100mlを加え、室温にて1時間反応させた。反応終了後、溶媒を減圧下溜去することで、下記に示す8−エチリデン−2−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸フォスファゼン塩基塩を1.41g取得した。収率は100%であった。
『8−エチリデン−2−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸イミダゾール塩の合成』
1L反応器に、合成例3で得られた8−エチリデン−2−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸(iii)1.96g(8.4mmol)、イミダゾール0.57g(8.4mmol)、ジエチルエーテル500mlを加え、室温にて1時間反応させた。反応終了後、析出した結晶を濾過することで分取し、下記に示す8−エチリデン−2−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸
イミダゾール塩を1.72g取得した。収率は68%であった。
『8−ブロモ−5−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オン(iv)の合成』
500ml反応器に、5−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オン20.00g(0.11mol)、N‐ブロモスクシンイミド23.14g(0.13mol)、アセトニトリル200mlを加えた。反応器全体を遮光し、室温にて48時間反応を行った。反応終了後、反応液を水300mlで3回洗浄し、続いて濃縮することで粗生成物を得た。
得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/7(体積比))により精製することで、8−ブロモ−5−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オン(iv)を25.98g取得した。収率は89%であった。
『8−ブロモ−1−エチリデン−5−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(v)の合成』
窒素雰囲気下、500ml反応器に、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド37.28g(0.10mol)、t−ブトキシカリウム8.64g(0.08mol)、テトラヒドロフラン90mlを加え、室温にて1時間攪拌した。次いで、合成例4で得られた8−ブロモ−5−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オン(iv)20.15g(0.08mol)のテトラヒドロフラン40ml溶液を反応混合液に滴下し、滴下終了後室温にて16時間反応させた。反応終了後、反応液に希塩酸を加え、ジクロロメタン200mlで3回洗浄した。得られた有機層を濃縮し、濃縮液にヘキサン700mlを加えて30分撹拌した。次いで、析出してきた結晶をろ過で除去し、得られたろ液を濃縮することで粗生成物を得た。
得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/5(体積比))により精製することで、8−ブロモ−1−エチリデン−5−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(v)を13.78g取得した。収率は65%であった。
『8−エチリデン−4−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸(vi)の合成』
窒素雰囲気下、500ml反応器に、マグネシウム1.46g(0.06mol)、テトラヒドロフラン80mlを加え、室温にて10分間攪拌した。次いで、合成例5で得られた8−ブロモ−1−エチリデン−5−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(v)8.55g(0.03mol)のテトラヒドロフラン40ml溶液を反応混合液に滴下し、滴下終了後1時間加熱還流させた。加熱還流終了後、反応液を大過剰のドライアイス(およそ500g)に注ぎ込み、ドライアイスが昇華するまで放置した。その後、反応液に希塩酸を加え、ジクロロメタン200mlで3回洗浄した。得られた有機層を濃縮することで粗生成物を得た。
得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/5(体積比))により精製することで8−エチリデン−4−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸(vi)を4.00g取得した。収率は54%であった。
『8−エチリデン−4−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸ジアザビシクロウンデセン塩の合成』
500ml反応器に、合成例6で得られた8−エチリデン−4−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸(vi)1.00g(4.3mmol)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン0.66g(4.3mmol)、ジエチルエーテル250mlを加え、室温にて1時間反応させた。反応終了後、溶媒を減圧下溜去することで、下記に示す8−エチリデン−4−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸ジアザビシクロウンデセン塩を1.67g取得した。収率は100%であった。
『8−エチリデン−4−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸トリアザビシクロデカエン塩の合成』
200ml反応器に、合成例6で得られた8−エチリデン−4−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸(vi)0.31g(1.3mmol)、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン0.19g(1.3mmol)、ジエチルエーテル120mlを加え、室温にて1時間反応させた。反応終了後、析出し結晶を濾過することで分取し、下記に示す8−エチリデン−4−メトキシ−5,6,7,−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸トリアザビシクロデカエン塩を0.34g取得した。収率は69%であった。
『8−エチリデン−4−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸フォスファゼン塩基塩の合成』
200ml反応器に、合成例6で得られた8−エチリデン−4−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸(vi)0.23g(1.0mmol)、フォスファゼン塩基0.18g(1.0mmol)、ジエチルエーテル50mlを加え、室温にて1時間反応させた。反応終了後、溶媒を減圧下溜去することで、下記に示す8−エチリデン−4−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸トリアザビシクロデカエン塩を0.40g取得した。収率は97%であった。
『2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオン酸ジアザビシクロウンデセン塩の合成』
100ml反応器に、2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオン酸3.0g(11.8mmol)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン1.80g(11.8mmol)、ジエチルエーテル30mlを加え、室温にて1時間反応させた。反応終了後、溶媒を減圧下溜去することで、下記に示す2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオン酸ジアザビシクロウンデセン塩を4.96g取得した。収率は100%であった。
『2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオン酸トリアザビシクロデカエン塩の合成』
100ml反応器に、2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオン酸1.00g(3.9mmol)、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン0.55g(3.9mmol)、ジエチルエーテル150mlを加え、室温にて1時間反応させた。反応終了後、溶媒を減圧下溜去することで、下記に示す2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオン酸トリアザビシクロデカエン塩を1.73g取得した。収率は100%であった。
製造例1〜7で製造した化合物を実施例1〜7の硬化剤として使用し、比較製造例1〜2で製造した化合物を比較例1〜2の硬化剤として使用し、以下の評価をおこなった。
(1)不溶化率測定(塩基発生効率)
核水添ビスフェノールA型エピスルフィド樹脂(三菱化学株式会社製、YL−7007)100部に対して、硬化剤8部、クロロホルム100部を混合し、均一溶液を調製した。この調製した液を無アルカリガラス上にバーコーター(No.20)を用いて塗膜し、50℃で5分間プリベイクした。メタルハライドランプを用い、365nm換算で露光量928mJ/cm2の紫外線を照射した後、表1記載の温度で40分間加熱処理し硬化膜を得た。得られた硬化膜をクロロホルムに30秒間浸漬した後、クロロホルムから取り出し、乾燥させた。クロロホルム浸漬前後の硬化膜重量差から不溶化率を求めた。結果を表1に示す。
核水添ビスフェノールA型エピスルフィド樹脂(三菱化学株式会社製、YL−7007)100部に対して、硬化剤8部を混合した。混合した液を脱泡機にかけて脱泡してサンプルを調製した。調製したサンプルを厚さ2mmのシリコンスペーサーで作成した型に入れ、離型フィルムを介して、2枚の無アルカリガラスで挟み込み、メタルハライドランプを用い、365nm換算で露光量2145mJ/cm2の紫外線を照射した。次いで、表1記載の温度で1時間加熱処理した後、型枠から取り外し、約2mmの板状の硬化物を得た。得られた硬化物について、気泡の有無について目視確認をした。結果を表1に示す。
実施例6において、核水添ビスフェノールA型エピスルフィド樹脂をビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、jER828)に変更した以外は同様に評価を試みたものの、硬化膜を得ることができなかった。
実施例6において、核水添ビスフェノールA型エピスルフィド樹脂を核水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、YX8000)に変更した以外は同様に評価を試みたものの、硬化膜を得ることができなかった。
〔貯蔵安定性試験〕
下記の実施例8、9及び比較例5、6に示す硬化性組成物をそれぞれ調製し、25℃においてB型粘度計(BROOKFIELD社製、DV−II+Pro)を用いて初期粘度の2倍の粘度に達するまでの時間を測定し、その時間を貯蔵安定性として評価した。
核水添ビスフェノールA型エピスルフィド樹脂100部に対して、製造例5の硬化剤を8部、クロロホルムを16部混合し、硬化性組成物を調製した。この硬化性組成物の粘度が25℃において初期粘度の2倍になるまでの時間を測定し、貯蔵安定性を評価した。結果を表2に示す。
核水添ビスフェノールA型エピスルフィド樹脂100部に対して、製造例6の硬化剤を8部、クロロホルムを16部混合し、硬化性組成物を調製した。この硬化性組成物の粘度が25℃において初期粘度の2倍になるまでの時間を測定し、貯蔵安定性を評価した。結果を表2に示す。
核水添ビスフェノールA型エピスルフィド樹脂100部に対して、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンを3部、クロロホルムを16部混合し、硬化性組成物を調製した。この硬化性組成物の粘度が25℃において初期粘度の2倍になるまでの時間を測定し、貯蔵安定性を評価した。結果を表2に示す。
核水添ビスフェノールA型エピスルフィド樹脂100部に対して、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エンを3部、クロロホルムを16部混合し、硬化性組成物を調製した。この硬化性組成物の粘度が25℃において初期粘度の2倍になるまでの時間を測定し、貯蔵安定性を評価した。結果を表2に示す。
Claims (6)
- 下記一般式(1)で示される化合物からなることを特徴とするエピスルフィド化合物用硬化剤。
X1,X2,及びX3は、それぞれ独立に、水素原子、酸素原子、炭素数1〜3のアルキレン基、硫黄原子、スルホニル基、及びシラノール基からなる群から選択されるいずれか1つの原子若しくは基である。
R1,R2,及びR3は、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20の単環、二環又は三環式アリール基、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素数3〜15の単環、二環又は三環式のヘテロアリール基、炭素数3〜15の単環、二環又は三環式のシクロアルキル基、並びに酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素数3〜15の単環、二環又は三環式のヘテロシクロアルキル基からなる群から選択されるいずれか1つの基である。R1,R2,及びR3からなる群から選択される2つ以上の基が結合して環状構造を形成していてもよく、この環状構造は酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1又は2以上のヘテロ原子を環内に有していてもよい。但し、X1,X2,及びX3が水素原子又はシラノール基の場合は、R1,R2,R3は存在しない。
R4,R5,R6,R7,R8,及びR9は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、ニトロ基、シラノール基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20の単環、二環又は三環式アリール基、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素数3〜15の単環、二環又は三環式のヘテロアリール基、炭素数3〜15の単環、二環又は三環式のシクロアルキル基、並びに酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素数3〜15の単環、二環又は三環式のヘテロシクロアルキル基からなる群から選択されるいずれか1つの原子若しくは基である。R4とR6又はR6とR9が一緒になって、存在する炭素−炭素結合と共に、不飽和結合を形成していてもよい。
R10は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20の単環、二環又は三環式アリール基、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素数3〜15の単環、二環又は三環式のヘテロアリール基、炭素数3〜15の単環、二環又は三環式のシクロアルキル基、並びに酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素数3〜15の単環、二環又は三環式のヘテロシクロアルキル基からなる群から選択されるいずれか1つの原子若しくは基である。
Bは、塩基である。 - 一般式(1)において、R4,R5,R6,R7,R8,及びR9がいずれも水素原子であり、R10がメチル基であることを特徴とする請求項1に記載のエピスルフィド化合物用硬化剤。
- エピスルフィド化合物がエピスルフィド当量50〜2,000のエピスルフィド化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエピスルフィド化合物用硬化剤。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のエピスルフィド化合物用硬化剤と、エピスルフィド化合物とを含有することを特徴とする硬化性組成物。
- エピスルフィド化合物が請求項1〜3のいずれかに記載のエピスルフィド化合物用硬化剤により硬化されてなることを特徴とするエピスルフィド化合物の硬化物。
- エピスルフィド化合物を下記一般式(1)で示される化合物により硬化することを特徴とするエピスルフィド化合物の硬化方法。
X1,X2,及びX3は、それぞれ独立に、水素原子、酸素原子、炭素数1〜3のアルキレン基、硫黄原子、スルホニル基、及びシラノール基からなる群から選択されるいずれか1つの原子若しくは基である。
R1,R2,及びR3は、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20の単環、二環又は三環式アリール基、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素数3〜15の単環、二環又は三環式のヘテロアリール基、炭素数3〜15の単環、二環又は三環式のシクロアルキル基、並びに酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素数3〜15の単環、二環又は三環式のヘテロシクロアルキル基からなる群から選択されるいずれか1つの基である。R1,R2,及びR3からなる群から選択される2つ以上の基が結合して環状構造を形成していてもよく、この環状構造は酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1又は2以上のヘテロ原子を環内に有していてもよい。但し、X1,X2,及びX3が水素原子又はシラノール基の場合は、R1,R2,及びR3は存在しない。
R4,R5,R6,R7,R8,及びR9は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、ニトロ基、シラノール基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20の単環、二環又は三環式アリール基、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素数3〜15の単環、二環又は三環式のヘテロアリール基、炭素数3〜15の単環、二環又は三環式のシクロアルキル基、並びに酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素数3〜15の単環、二環又は三環式のヘテロシクロアルキル基からなる群から選択されるいずれか1つの原子若しくは基である。R4とR6又はR6とR9が一緒になって、存在する炭素−炭素結合と共に、不飽和結合を形成していてもよい。
R10は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20の単環、二環又は三環式アリール基、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素数3〜15の単環、二環又は三環式のヘテロアリール基、炭素数3〜15の単環、二環又は三環式のシクロアルキル基、並びに酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む炭素数3〜15の単環、二環又は三環式のヘテロシクロアルキル基からなる群から選択されるいずれか1つの原子若しくは基である。
Bは、塩基である。
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