JP2011195476A - ビスマレイミド誘導体とその製造方法、並びに熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ及び積層板 - Google Patents

ビスマレイミド誘導体とその製造方法、並びに熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ及び積層板 Download PDF

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Abstract

【課題】特に銅箔接着性、低熱膨張性、高ガラス転移温度を有し、また低誘電性、はんだ耐熱性、銅付き耐熱性、難燃性、ドリル加工性にも優れる熱硬化性樹脂組成物、並びにこれを用いたプリプレグ及び積層板を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で表されるビスマレイミド誘導体とその製造方法、並びに該ビスマレイミド誘導体を含有する熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ及び積層板である。
Figure 2011195476

【選択図】なし

Description

本発明は、ビスマレイミド誘導体とその製造方法、並びに熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ及び積層板に関し、詳しくは、特に銅箔接着性、低熱膨張性、高ガラス転移温度を有し、また低誘電性、はんだ耐熱性、銅付き耐熱性、難燃性、ドリル加工性にも優れ、更に毒性が低く安全性や作業環境に優れる、電子部品等に好適な熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ及び積層板と、該樹脂組成物に使用するビスマレイミド誘導体とその製造方法に関する。
熱硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂に特有な架橋構造が高い耐熱性や寸法安定性を発現するため、電子部品等の分野において広く使われている。特に、銅張積層板や層間絶縁材料においては、近年の高密度化や高信頼性への要求から、高い銅箔接着性や耐熱性(高ガラス転移温度)、良好な低熱膨張性等の特性が強く要求されている。
また、近年の環境問題から、鉛フリーはんだによる電子部品の搭載やハロゲンフリーによる難燃化が要求され、そのため従来のものよりも高い耐熱性及び難燃性が必要とされる。
さらに、製品の安全性や作業環境の向上化のため、毒性の低い成分のみで構成され、毒性ガス等が発生しない熱硬化性樹脂が望まれている。
シアネート化合物は、良好な誘電特性、難燃性に優れる熱硬化性樹脂となるものであるが、このシアネート化合物をエポキシ硬化系の熱硬化性樹脂にそのまま使用した場合、耐熱性や強靭性が不足するという問題や、次世代の絶縁材料に対応するような低熱膨張性が不足するという問題があった。
低熱膨張性を発現する樹脂としては、シアネート化合物と無機充填剤とを含む樹脂組成物(例えば、特許文献1参照)、シアネート化合物と無機充填剤とエポキシ樹脂とを含む樹脂組成物(例えば、特許文献2参照)、シアネート化合物と無機充填剤とエポキシ樹脂とフェノール樹脂とを含む樹脂組成物(例えば、特許文献3参照)、シアネート樹脂とアラルキル変性エポキシ樹脂を必須成分として含有する熱硬化性樹脂(例えば、特許文献4および5参照)などが開示されている。
しかしながら、上記の特許文献1〜3に記載の樹脂組成物は、低熱膨張性を発現させるための無機充填剤の配合使用量が樹脂組成物全体の30〜80質量%と多く、銅張積層板や層間絶縁材料として使用した場合、ドリル加工性や成形性が不足することがある。
また、特許文献4および5に記載の熱硬化性樹脂は、必須成分であるシアネート樹脂が靭性や硬化反応性に劣る樹脂であり、この熱硬化性樹脂の硬化反応性や強靭性が依然不足しており、これらを銅張積層板や層間絶縁材料として使用した場合も、耐熱性や信頼性、加工性等が不足することがある。
前記のように、積層板材料には近年の高密度化や高信頼性への要求から、高い銅箔接着性や高ガラス転移温度、良好な低熱膨張性等が必要とされている。
例えば、微細配線形成のため銅箔接着性としては、銅箔引き剥がし強度が1.0kN/m以上であること、特に1.2kN/m以上であることが望まれている。
また、高密度化に伴い基材はより薄型化される方向にあり、熱処理時における基材のそりが小さいことが必要となる。低そり化のためには基材が低熱膨張性であることが有効であり、その熱膨張係数は25ppm/℃以下であること、特に20ppm/℃以下であることが望まれている。
さらに、高密度化のためビルドアップ材等を用いてより高多層化することも必要であり、高いリフロー耐熱性が必要であるが、リフロー耐熱性評価の指針となる銅付き耐熱性(T−300)は、30分以上ふくれ等が生じないことが望まれている。
また、高密度化に伴い基材はより信頼性が要求される方向にあり、ドリル加工時のドリル穴の内壁粗さも小さいことが必要となる。ドリル穴の内壁粗さの評価は、めっき銅の染み込み性により評価され、めっき染み込み長さの最大が20μm以下であること、特に15μm以下であることが望まれている。
さらに、高速応答性の要求も増え続けており、基材の比誘電率は5.0以下であること、また誘電正接は0.020以下であることが望まれている。
特開2002−285015号公報 特開2003−73543号公報 特開2003−268136号公報 特開2002−309085号公報 特開2002−348469号公報
本発明の目的は、こうした現状に鑑み、特に銅箔接着性、低熱膨張性、高ガラス転移温度を有し、また低誘電性、はんだ耐熱性、銅付き耐熱性、難燃性、ドリル加工性にも優れる熱硬化性樹脂組成物、並びにこれを用いたプリプレグ及び積層板を提供することを目的とするものである。
本発明は、上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、特定の構造を有するビスマレイミド誘導体を含有する熱硬化性樹脂組成物が優れた耐熱性やドリル加工性等が得られ、上記の目的を達成しうることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、以下のビスマレイミド誘導体とその製造法、並びに熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ及び積層板を提供するものである。
1.下記一般式(I)で表されるビスマレイミド誘導体。
Figure 2011195476
(式中、Ar1は一般式(I−1)、(I−2)、(I−3)又は(I−4)で表される残基であり、Ar2は一般式(I−5)又は(I−6)で示される残基であり、R1は酸性置換基である水酸基、カルボキシ基又はスルホン酸基を示し、R2は水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、xは1〜5の整数、yは0〜4の整数で、且つxとyの和は5であり、nは0又は正数である。)
Figure 2011195476
(式中、R3は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、pは0〜4の整数である)
Figure 2011195476
(式中、R4及びR5は各々独立に炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、q、rは各々独立に0〜4の整数であり、A1は炭素数1〜5のアルキレン基、アルキリデン基、エーテル基、又はスルフォニル基で表される残基である。)
Figure 2011195476
(式中、rは1〜10の整数である。)
Figure 2011195476
Figure 2011195476
(式中、R6及びR7は各々独立に炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、メトキシ基又はハロゲン原子を示し、s、tは各々独立に0〜4の整数であり、A2は単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、アルキリデン基、エーテル基、スルフォニル基、ケトン基、フルオレン基、又はフェニレンジオキシ基で表される残基である。)
Figure 2011195476
(式中、A3は、単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、イソプロピリデン基、エーテル基、又はスルフォニル基である。)
2.下記式(II)で表される上記1のビスマレイミド誘導体。
Figure 2011195476
3.一般式(III)で表される1分子中に少なくとも2個の1級アミノ基を有する化合物(a)、一般式(IV)で表される1分子中に少なくとも2個のアルデヒド基を有する化合物(b)及び一般式(V)で表される酸性置換基を有するアミン化合物(c)を有機溶媒中で脱水縮合反応させることにより、一般式(VI)で表される末端に1級アミノ基を有する化合物(A)を製造し、次いで前記化合物(A)と、一般式(VII)で表される1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)を有機溶媒中でマイケル付加反応させることにより、前記一般式(I)で表されるビスマレイミド誘導体(B)を製造することを特徴とする上記1又は2のビスマレイミド誘導体の製造方法。
Figure 2011195476
(式中、Ar2は一般式(I)と同様である。)
Figure 2011195476
Figure 2011195476
(式中、R1及びR2、x及びyは一般式(I)と同様である。)
Figure 2011195476
(式中、Ar2、及びR1、R2、及びx、y、及びnは一般式(I)と同様である。)
Figure 2011195476
(式中、Ar1は一般式(I)と同様である。)
4.上記1又は2のビスマレイミド誘導体を含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
5.上記1又は2のビスマレイミド誘導体とエポキシ樹脂を含有する請求項4に記載の熱硬化性樹脂組成物。
6.上記4又は5の熱硬化性樹脂組成物を繊維シート状補強基材に含浸・塗工し、Bステージ化して得られたプリプレグ。
7.上記6のプリプレグを用いて積層成形して得られた積層板。
本発明のビスマレイミド誘導体を含有する熱硬化性樹脂組成物は、特に銅箔接着性、低熱膨張性、高ガラス転移温度を有し、また低誘電性、はんだ耐熱性、銅付き耐熱性、難燃性、ドリル加工性にも優れ、更に毒性が低く安全性や作業環境に優れる。従って、該熱硬化性樹脂組成物からなるプリプレグを用いて積層成形して得られた積層板は、多層プリント配線板として、電子部品等に好適に使用することができる。
製造例1で得られた末端に1級アミノ基を有する化合物(A−1)のFT−IR測定チャートである。 製造例1で得られたビスマレイミド誘導体(B−1)のFT−IR測定チャートである。
先ず、本発明のビスマレイミド誘導体について説明する。本発明のビスマレイミド誘導体は、下記一般式(I)で表される化合物である。
Figure 2011195476
(式中、Ar1は一般式(I−1)、(I−2)、(I−3)又は(I−4)で表される残基であり、Ar2は一般式(I−5)又は(I−6)で示される残基であり、R1は酸性置換基である水酸基、カルボキシ基又はスルホン酸基を示し、R2は水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、xは1〜5の整数、yは0〜4の整数で、且つxとyの和は5であり、nは0又は正数である。)
Figure 2011195476
(式中、R3は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、pは0〜4の整数である)
Figure 2011195476
(式中、R4及びR5は各々独立に炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、q、rは各々独立に0〜4の整数であり、A1は炭素数1〜5のアルキレン基、アルキリデン基、エーテル基、又はスルフォニル基で表される残基である。)
Figure 2011195476
(式中、rは1〜10の整数である。)
Figure 2011195476
Figure 2011195476
(式中、R6及びR7は各々独立に炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、メトキシ基又はハロゲン原子を示し、s、tは各々独立に0〜4の整数であり、A2は単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、アルキリデン基、エーテル基、スルフォニル基、ケトン基、フルオレン基、又はフェニレンジオキシ基で表される残基である。)
Figure 2011195476
(式中、A3は、単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、イソプロピリデン基、エーテル基、又はスルフォニル基である。)
本発明のビスマレイミド誘導体としては、下記式(II)で表されるビスマレイミド誘導体を例示することができる。
Figure 2011195476
次に、本発明のビスマレイミド誘導体の製造方法について説明する。本発明のビスマレイミド誘導体(B)は、一般式(III)で表される1分子中に少なくとも2個の1級アミノ基を有する化合物(a)、一般式(IV)で表される1分子中に少なくとも2個のアルデヒド基を有する化合物(b)及び一般式(V)で表される酸性置換基を有するアミン化合物(c)を有機溶媒中で脱水縮合反応させることにより、一般式(VI)で表される末端に1級アミノ基を有する化合物(A)を製造し、次いで前記化合物(A)と、一般式(VII)で表される1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)を有機溶媒中でマイケル付加反応させることにより製造することができる。
Figure 2011195476
(式中、Ar2は一般式(I)と同様である。)
Figure 2011195476
Figure 2011195476
(式中、R1及びR2、x及びyは一般式(I)と同様である。)
Figure 2011195476
(式中、Ar2、及びR1、R2、及びx、y、及びnは一般式(I)と同様である。)
Figure 2011195476
(式中、Ar1は一般式(I)と同様である。)
上記の一般式(III)で表される1分子中に少なくとも2個の1級アミノ基を有する化合物(a)としては、例えば4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチル−ジフェニルメタン、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジエチル−ジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルケトン、ベンジジン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジヒドロキシベンジジン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンジアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン等の芳香族アミン類が挙げられる。
1分子中に少なくとも2個の1級アミノ基を有する化合物(a)として、これらの中で、合成時の反応率が高く、より高耐熱性化できる4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチル−ジフェニルメタン、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジエチル−ジフェニルメタン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン等がより好ましく、安価であることや溶剤への溶解性の点から4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチル−ジフェニルメタン、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジエチル−ジフェニルメタンが特に好ましい。
一般式(IV)で表される1分子中に少なくとも2個のアルデヒド基を有する化合物(b)としては、例えばテレフタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、o−フタルアルデヒドが挙げられる。これらの中で、より低熱膨張化が可能であり、合成時の反応率が高く、溶剤溶解性にも優れ、商業的にも入手し易いテレフタルアルデヒドが特に好ましい。
一般式(V)で表される酸性置換基を有するアミン化合物(c)としては、例えば、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、o−アミノ安息香酸、o−アミノベンゼンスルホン酸、m−アミノベンゼンスルホン酸、p−アミノベンゼンスルホン酸、3,5−ジヒドロキシアニリン、3,5−ジカルボキシアニリン等が挙げられる。
これらの中で、溶解性や合成の収率の点からm−アミノフェノール、p−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸、3,5−ジヒドロキシアニリンが好ましく、高耐熱性や低熱膨張性、高ガラス転移温度(Tg)を有し、安価である点からp−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸が特に好ましい。
この反応において、1分子中に少なくとも2個の1級アミノ基を有する化合物(a)、1分子中に少なくとも2個のアルデヒド基を有する化合物(b)及び酸性置換基を有するアミン化合物(c)の使用量は、化合物(a)の一級アミノ基数〔即ち、化合物(a)の使用質量/化合物(a)の一級アミノ基当量〕と化合物(c)の一級アミノ基数〔即ち、化合物(c)の使用質量/化合物(c)の一級アミノ基当量〕の合計が、化合物(b)のアルデヒド基数〔即ち、化合物(b)の使用質量/化合物(b)のアルデヒド基当量〕を超えるように使用することが望ましい。また、化合物(a)の一級アミノ基数が化合物(c)の一級アミノ基数を超えるように使用することが望ましい。
化合物(a)の一級アミノ基数と化合物(c)の一級アミノ基数の合計が、化合物(b)のアルデヒド基数以下であると、合成中にゲル化や不溶化を起こしたり、これより得られるビスマレイミド誘導体の耐熱性が低下することがある。また、化合物(a)の一級アミノ基数が化合物(c)の一級アミノ基数以下であると、これより得られるビスマレイミド誘導体の耐熱性が低下することがある。
この反応で使用される有機溶媒は特に制限されないが、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の窒素原子含有溶剤、ジメチルスルホキシド等の硫黄原子含有溶剤、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶剤等が挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用できる。これらの中で、溶解性の点からジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン等が好ましく、揮発性が高くプリプレグの製造時に残溶剤として残りにくいジメチルアセトアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテルがより好ましい。
また、この反応は脱水縮合反応であるため副生成物として水が生成される。この副生成物である水を除去する目的でトルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶剤を併用することが特に好ましく、芳香族系溶剤との共沸により副生成物である水を除去しながら合成することが望ましい。
有機溶媒の使用量は、化合物(a)、化合物(b)、化合物(c)の総和100質量部当たり、25〜2000質量部とすることが好ましく、40〜1000質量部とすることがより好ましく、40〜500質量部とすることが特に好ましい。有機溶剤の配合量が25質量部より少ないと溶解性が不足し、また2000質量部より多いと反応に長時間を要し、製造コストが高くなる。
また、この反応には、必要により任意に反応触媒を使用することができる。反応触媒の例としては、特に限定されないが、p−トルエンスルホン酸等の酸性触媒、トリエチルアミン、ピリジン、トリブチルアミン等のアミン類、メチルイミダゾール、フェニルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン等のリン系触媒等が挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用できる。脱水縮合反応を効率よく進行させるため、p−トルエンスルホン酸等の酸性触媒が特に好ましい。
上記の合成原料、有機溶媒、必要により反応触媒を合成釜に仕込み、必要により加熱・保温しながら0.1〜10時間攪拌し脱水縮合反応させることにより、上記一般式(VI)で表される末端に1級アミノ基を有する化合物(A)が製造される。
反応温度は25〜200℃が好ましい。反応温度が25℃未満では反応速度が遅くなり、反応温度が200℃を超えるとゲル化を引き起し易い。
溶解性に優れるジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等と、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤を併用し共沸により副生成物である水を除去しながら反応を行うことが望ましく、反応温度は共沸点である120℃〜200℃が特に好ましい。
得られた上記一般式(VI)で表される末端に1級アミノ基を有する化合物(A)は、少量の試料を取り出しGPC測定、及びIR測定を行うことにより確認することができる。GPC測定により合成原料である化合物(a)、化合物(b)、化合物(c)のピークが消失していること、また、IR測定により合成原料であるアルデヒド基を有する化合物(b)のアルデヒド基に起因する1700cm-1、及び2750cm-1、2800cm-1のピークが消失し、シッフ塩基(−N=CH−)に起因する1620cm-1のピークが出現することを確認することにより、良好に合成反応が進行し所望の化合物(A)が製造されていることを確認できる。
一般式(I)で表される本発明のビスマレイミド誘導体(B)は、上記により製造される、一般式(VI)で表される末端に1級アミノ基を有する化合物(A)と、上記一般式(VII)で表される1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)とを有機溶媒中で必要により加熱・保温しながら0.1〜10時間攪拌しマイケル付加反応させることにより製造される。
1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)としては、例えば、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、下記一般式(VII′)で表されるポリフェニルメタンマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。
これらの中で、反応率が高く、より高耐熱性化できるビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンが好ましく、溶剤への溶解性の点から、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)メタンがより好ましく、安価である点からビス(4−マレイミドフェニル)メタンが特に好ましい。
Figure 2011195476
(式中、rは1〜10の整数である。)
この反応において、マレイミド化合物(d)と、末端に1級アミノ基を有する化合物(A)の使用量は、化合物(d)のマレイミド基数(即ち、化合物(d)の使用量/化合物(d)のマレイミド基当量)が、末端に1級アミノ基を有する化合物(A)の一級アミノ基数(即ち、化合物(A)の使用量/化合物(A)の一級アミノ基当量)の2〜10倍になる範囲であることが望ましい。10倍を超えると溶剤への溶解性が不足したり熱硬化性樹脂の耐熱性が低下する場合があり、2倍未満であるとゲル化を起こしたり、熱硬化性樹脂の耐熱性が低下する場合がある。また、有機溶媒の使用量は、化合物(d)と末端に1級アミノ基を有する化合物(A)(固形分)の総和100質量部当たり、25〜2000質量部とすることが好ましく、40〜1000質量部とすることがより好ましく、40〜500質量部とすることが特に好ましい。有機溶剤の配合量が25質量部少ないと溶解性が不足し、また2000質量部より多いと反応に長時間を要し、製造コストが高くなる。
この反応で使用される有機溶媒は特に制限されないが、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の窒素原子含有溶剤、ジメチルスルホキシド等の硫黄原子含有溶剤、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶剤等が挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用できる。これらの中で、溶解性の点からジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン等が好ましく、揮発性が高くプリプレグの製造時に残溶剤として残りにくいジメチルアセトアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテルがより好ましい。末端に1級アミノ基を有する化合物(A)を製造する際にも有機溶媒を使用するが、この有機溶媒を、上記ビスマレイミド誘導体(B)を製造する際に連続的に使用することが、製造コストの点から特に好ましい。
また、この反応には、必要により任意に反応触媒を使用することができる。反応触媒は特に限定されないが、p−トルエンスルホン酸等の酸性触媒、トリエチルアミン、ピリジン、トリブチルアミン等のアミン類、メチルイミダゾール、フェニルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン等のリン系触媒等が挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用できる。
反応方法としては、マレイミド化合物(d)、末端に1級アミノ基を有する化合物(A)、有機溶媒、必要により反応触媒を合成釜に仕込み、必要により加熱・保温しながら0.1〜10時間攪拌し、マイケル付加反応させることにより、ビスマレイミド誘導体(B)が製造される。
反応温度は25℃〜200℃が好ましく、100℃〜160℃が特に好ましい。反応温度が25℃未満では反応速度が遅く、また200℃を越えるとゲル化を引き起こし易い。
得られたビスマレイミド誘導体(B)は、少量の試料を取り出し、再沈殿により精製した試料のIR測定を行うことにより確認することができる。マイケル付加反応による3400cm-1の一級アミノ基のピークの消失と、シッフ塩基(−N=CH−)の1620cm-1のピーク、及びビスマレイミド誘導体の1710〜1720cm-1のケトンのピークの出現を確認することにより、良好に合成反応が進行し所望の化合物が製造されていることを確認できる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物はビスマレイミド誘導体を含有することを特徴とするものであり、必要によりビスマレイミド誘導体と共に、エポキシ樹脂、硬化促進剤、金属水和物等の難燃剤、無機充填剤等を含有させても良く、これらを含有させることにより、諸特性を更に向上することができる。例えば、本発明の熱硬化性樹脂組成物に、エポキシ樹脂を含有させることにより、ボイド等の発生が少ない良好な成形加工性を付与することができ、更に耐熱性や難燃性、銅箔接着性等を向上させることができる。
エポキシ樹脂を含有させる場合のエポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であるものが耐熱性の点から好ましく、例えば、ビスフェノールA系、ビスフェノールF系、ビフェニル系、ノボラック系、多官能フェノール系、ナフタレン系、脂環式系及びアルコール系等のグリシジルエーテル、グリシジルアミン系並びにグリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
これらの中で、誘電特性、耐熱性、耐湿性及び銅箔接着性の点からビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が好ましく、難燃性や成形加工性の点からビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂がより好ましく、ドリル加工性が良好となる点や高難燃性となる点から、下記一般式(VIII)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂が特に好ましい。なお、該一般式(VIII)のmは1以上の正数である。
Figure 2011195476
エポキシ樹脂を含有させる場合、その使用量(固形分換算)は、固形分換算のビスマレイミド誘導体100質量部当たり、10〜200質量部とすることが好ましく、20〜200質量部とすることがより好ましく、20〜100重量部とすることが特に好ましい。
エポキシ樹脂の配合量が10質量部より少ないと銅箔接着性や耐薬品性が不足することがあり、また、200質量部を超えると耐熱性、低熱膨張率性、高弾性率性が低下することがある。
硬化促進剤の例としては、イミダゾール類及びその誘導体、第三級アミン類及び第四級アンモニウム塩等が挙げられる。その中でもイミダゾール類及びその誘導体が高弾性率性や難燃性、銅箔接着性等の点から好ましく、更に下記一般式(IX)で表されるイミダゾール基がエポキシ樹脂によって置換された化合物や、下記一般式(X)で表されるイソシアネート樹脂によって置換された化合物が200℃以下での比較的低温での硬化成形性とワニスやプリプレグの経日安定性に優れるためより好ましく、下記一般式(XI)又は(XII)で表される化合物が少量の配合使用量でよく、また商業的にも安価であることから特に好ましい。
Figure 2011195476
(式中、R6、R7、R8、R9は各々独立に水素原子、又は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、フェニル基を示し、Bは単結合、アルキレン基、アルキリデン基、エーテル基、スルフォニル基のいずれかである。)
Figure 2011195476
(式中、R6、R7、R8、R9は各々独立に水素原子、又は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、フェニル基を示し、Dはアルキレン基、芳香族炭化水素基等のイソシアネート樹脂の残基である。)
Figure 2011195476
Figure 2011195476
硬化促進剤を含有させる場合、その使用量は、固形分換算の本発明のビスマレイミド誘導体とエポキシ樹脂の総和100質量部当たり、0.1〜10質量部とすることが好ましく、0.1〜5質量部とすることがより好ましい。硬化促進剤の使用量が0.1質量部より少ないと耐熱性や難燃性、銅箔接着性等が不足することがあり、また、10質量部を超えると耐熱性や経時安定性が低下することがある。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、難燃性を向上させることを目的として、難燃剤を含有させてもよい。適切な難燃剤を含有させることにより、耐熱性や銅箔接着性、高弾性率、低熱膨張率性等の諸特性の低下が少なく、高難燃性を付与することができる。
難燃剤の例としては、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水和物、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、リン酸エステル系化合物、ホスファゼン、赤リン等のリン系難燃剤、三酸化アンチモン、モリブデン酸亜鉛等の無機難燃助剤等が挙げられる。難燃剤として臭素や塩素を含有する含ハロゲン系難燃剤は、近年の環境問題から本発明の目的にそぐわない。
これらの難燃剤の中で、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水和物が、高いガラス転移温度や銅箔接着性を発現することができ、またリンを含有しないことから安全性や環境適応性も高く、好適に使用される。
さらに、これらの金属水和物の中でも、ベーマイト型水酸化アルミニウム(AlOOH)、ギブサイト型水酸化アルミニウム〔Al(OH)3〕を熱処理によりその熱分解温度を300℃以上に調整した化合物、熱分解温度が300℃以上である水酸化マグネシウム等の金属水和物は、優れた耐熱性を有するため、より好適に使用される。
特に、ベーマイト型水酸化アルミニウム(AlOOH)は、350℃以上の特に高い熱分解温度を有するため、難燃性と、特に高い耐熱性が両立することや、耐酸性等の耐薬液性、低吸水率性等に優れるため、特に好適に使用される。
難燃剤を含有させる場合、その使用量は、難燃剤が金属水和物である場合は、固形分換算の本発明のビスマレイミド誘導体とエポキシ樹脂の総和100質量部当たり、10〜300質量部とすることが好ましく、10〜250質量部とすることがより好ましく、50〜200質量部とすることが特に好ましい。10質量部未満であると難燃性が不足することがあり、300質量部を越えると耐めっき液性等の耐薬品性が低下することがある。
難燃剤がリン系難燃剤である場合は、固形分換算の本発明のビスマレイミド誘導体とエポキシ樹脂の総和100質量部当たり、リン原子の含有量が0.1〜10.0質量部となるように配合することが好ましく、1.0〜10.0質量部となるように配合することがより好ましく、1.0〜8.0質量部となるように配合することが特に好ましい。0.1質量部未満であると難燃性が不足することがあり、10.0質量部を越えると耐めっき液性等の耐薬品性や耐熱性、銅箔接着性が低下する場合がある。
難燃助剤として、三酸化アンチモン、モリブデン酸亜鉛等の無機難燃助剤を使用する場合、その使用量は、固形分換算の本発明のビスマレイミド誘導体とエポキシ樹脂の総和100質量部当たり、0.1〜20質量部とすることが好ましく、0.1〜10質量部とすることがより好ましい。20質量部を越えると耐めっき液性等の耐薬品性が低下することがある。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、低熱膨張率性や高弾性率性、耐熱性、難燃性を向上させることを目的に、任意に適切な無機充填剤を含有させることができる。
無機充填剤の例としては、シリカ、アルミナ、マイカ、タルク、ガラス短繊維又は微粉末及び中空ガラス、炭酸カルシウム、石英粉末等が挙げられるが、これらの中で、銅箔接着性、耐熱性、難燃性の点からシリカ、アルミナ、マイカ、タルク等が好ましく、高放熱性の点からシリカ、アルミナが特に好ましい。
無機充填剤を含有させる場合、その使用量は、固形分換算の本発明のビスマレイミド誘導体とエポキシ樹脂の総和100質量部当たり、10〜300質量部とすることが好ましく、20〜200質量部とすることがより好ましく、30〜200質量部とすることが特に好ましい。無機充填剤の含有量が300重量部を超えると耐めっき液性等の耐薬品性や成形性が低下することがある。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、本発明の目的に反しない範囲で、任意に公知の熱可塑性樹脂、エラストマー、有機充填剤等の併用ができる。
熱可塑性樹脂としては、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂及びシリコーン樹脂等が挙げられる。
エラストマーとしては、ポリブタジエン、アクリロニトリル、エポキシ変性ポリブタジエン、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、フェノール変性ポリブタジエン及びカルボキシ変性アクリロニトリル等が挙げられる。
有機充填剤としては、シリコーンパウダー、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、並びにポリフェニレンエーテル等の有機物粉末等が挙げられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、任意に、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤及び密着性向上剤等を含有させることができる。例えば、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系やスチレン化フェノール等の酸化防止剤、ベンゾフェノン類、ベンジルケタール類、チオキサントン系等の光重合開始剤、スチルベン誘導体等の蛍光増白剤、尿素シラン等の尿素化合物やシランカップリング剤等の密着性向上剤等が挙げられる。
本発明のプリプレグは、本発明の熱硬化性樹脂組成物を、繊維シート状補強基材に含浸・塗工し、Bステージ化して得られたものである。本発明のプリプレグは、上記の熱硬化性樹脂組成物を、繊維シート状補強基材に含浸・塗工し、加熱等により半硬化(Bステージ化)して製造することができる。
プリプレグの繊維シート状補強基材として、各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている周知のものが使用できる。その材質としては、Eガラス、Dガラス、Sガラス及びQガラス等の無機物繊維、ポリイミド、ポリエステル及びテトラフルオロエチレン等の有機繊維、並びにそれらの混合物等が挙げられる。これらの基材は、例えば、織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット及びサーフェシングマット等の形状を有するが、材質及び形状は、目的とする成形物の用途や性能により選択され、必要により、単独又は2種類以上の材質及び形状を組み合わせることができる。
繊維シート状補強基材の厚さは、特に制限されず、例えば、約0.03〜0.5mmを使用することができ、シランカップリング剤等で表面処理したもの又は機械的に開繊処理を施したものが、耐熱性や耐湿性、加工性の面から好適である。該基材に対する樹脂組成物の付着量が、乾燥後のプリプレグの樹脂含有率で、20〜90質量%となるように、基材に含浸又は塗工した後、通常、100〜200℃の温度で1〜30分加熱乾燥し、半硬化(Bステージ化)させて、本発明のプリプレグを得ることができる。
本発明の積層板は、前述のプリプレグを用いて積層成形して得られたものである。例えば、プリプレグを1〜20枚重ね、その片面又は両面に銅及びアルミニウム等の金属箔を配置した構成で積層成形することにより製造することができる。金属箔は、電気絶縁材料用途で用いるものであれば特に制限されない。
成形条件は、電気絶縁材料用積層板及び多層板の手法が適用でき、例えば、多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用し、温度100〜250℃、圧力2〜100kg/cm2、加熱時間0.1〜5時間の範囲で成形することができる。
また、本発明のプリプレグと内層用配線板とを組合せ、積層成形して、多層板を製造することもできる。
次に、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの記載に限定されるものではない。
なお、各実施例及び比較例で得られた銅張積層板は、以下の方法により性能を測定・評価した。
(1)銅箔接着性(銅箔ピール強度)
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより1cm幅の銅箔を形成して評価基板を作製し、引張り試験機を用いて銅箔の接着性(ピール強度)を測定した。
(2)線熱膨張係数
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置(デュポン社製、TMA2940)を用い、評価基板の厚み方向(Z方向)の30〜100℃の線熱膨張率を測定した。
(3)ガラス転移温度(Tg)
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置(デュポン社製、TMA2940)を用い、評価基板の厚み方向(Z方向)の熱膨張特性から測定した。
(4)はんだ耐熱性
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5cm角の評価基板を作製し、平山製作所(株)製プレッシャー・クッカー試験装置を用いて、121℃、2atmの条件で4時間プレッシャー・クッカー処理を行った後、温度288℃のはんだ浴に、評価基板を20秒間浸漬した後、外観を観察することによりはんだ耐熱性を評価した。(外観にふくれがあったものを「ふくれ」と記す。)
(5)銅付き耐熱性(T−300)
銅張積層板から5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置(デュポン社製、TMA2940)を用い、300℃で評価基板の膨れが発生するまでの時間を測定することにより評価した。(昇温時にふくれがあったものを「ふくれ」と記す。)
(6)難燃性
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた評価基板から、長さ127mm、幅12.7mmに切り出した試験片を作製し、UL94の試験法(V法)に準じて評価した。
(7)誘電特性(比誘電率及び誘電正接)
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた評価基板を作製し、Hewllet・Packerd社製比誘電率測定装置(製品名:HP4291B)を用いて、周波数1GHzでの比誘電率及び誘電正接を測定した。
(8)ドリル加工性
ドリルに径0.105mm(ユニオンツールMV J676)を用い、回転数:160000rpm、送り速度:0.8m/min、重ね枚数:1枚の条件でドリル加工を行い、6000ヒットさせて評価基板を作製し、ドリル穴の内壁粗さを評価した。内壁粗さの評価は、無電解銅めっきを行い(めっき厚:15μm)、穴壁へのめっき染み込み長さの最大値を測定することにより評価した。
製造例1:〔末端に1級アミノ基を有する化合物(A−1)及びビスマレイミド誘導体(B−1)溶液の製造〕
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積3リットルの反応容器に、テレフタルアルデヒド:134.0g、p−アミノフェノール:109.0g、N、N−ジメチルアセトアミド:1157.0g及びトルエン:115.7gを入れ、攪拌しながら80℃で1時間保温した。次いで、ジアミノジフェニルメタン:198.0gを添加し、昇温して約130〜145℃で還流脱水反応を行い、160℃まで昇温して常圧濃縮した後、120℃まで冷却し、末端に1級アミノ基を有する化合物(A−1)の溶液を得た。
この反応溶液を少量取り出し、GPC測定(ポリスチレン換算、溶離液:テトラヒドロフラン)を行ったところ、溶出時間が約13.7分付近に出現する合成原料であるテレフタルアルデヒド、及び、約12.8分付近に出現するp−アミノフェノールとジアミノジフェニルメタンに由来するピークが消失していた。
また、反応溶液を少量取り出し、メタノールとベンゼンの混合溶媒(混合重量比1:1)に滴下して再沈殿させることにより、精製された固形分を取り出し、FT−IR測定を行った。測定結果を図1に示す。
その測定結果より、アルデヒド基を有する化合物のアルデヒド基に起因する1700cm-1付近、及び2750cm-1、2800cm-1付近のピークは確認されず、シッフ塩基(−N=CH−)に起因する1620cm-1付近の強いピークが確認でき、下記化学式(XIII)の化合物が製造されていることを確認した。
Figure 2011195476
次に、上記反応溶液に、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン:716.0gを添加し、攪拌しながら120℃で6時間保温した後、冷却してビスマレイミド誘導体(B−1)の溶液を得た。この反応溶液を少量取り出し、メタノールとベンゼンの混合溶媒(混合重量比1:1)に滴下して再沈殿させることにより、精製された固形分を取り出し、FT−IR測定を行った。測定結果を図2に示す。
その測定結果から、マイケル付加反応による3400cm-1の一級アミノ基のピークの消失と、シッフ塩基(−N=CH−)の1620cm-1のピーク、及びビスマレイミド誘導体の1710〜1720cm-1のケトンのピークの出現を確認することにより、下記化学式(II)のビスマレイミド誘導体が製造されていることを確認した。
なお、製造例1において、ジアミノジフェニルメタンとp−アミノフェノールの一級アミノ基数の合計は3.0であり、テレフタルアルデヒドのアルデヒド基数は2.0である。また、ビス(4−マレイミドフェニル)メタンのマレイミド基数は、化合物(A−1)の一級アミノ基数の4.0倍である。
Figure 2011195476
製造例2: 〔末端に1級アミノ基を有する化合物(A−2)及びビスマレイミド誘導体(B−2)溶液の製造〕
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積5リットルの反応容器に、テレフタルアルデヒド:134.0gと、p−アミノ安息香酸:137.0g、及びN、N−ジメチルアセトアミド:1637.0gとトルエン:363.8gを配合し、攪拌しながら80℃で1時間保温した。
これに4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチル−ジフェニルメタン:226.0gを添加し、昇温して約130〜145℃で還流脱水反応を行った。次いで160℃まで昇温して常圧濃縮した後、120℃まで冷却し、末端に1級アミノ基を有する化合物(A−2)の溶液を得た。
次に、該溶液に2,2−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン:1140.0gを添加し、攪拌しながら120℃で6時間保温した後、冷却してビスマレイミド誘導体(B−2)の溶液を得た。
なお、製造例2において、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチル−ジフェニルメタンとp−アミノ安息香酸の一級アミノ基数の合計は3.0であり、テレフタルアルデヒドのアルデヒド基数は2.0である。また、2,2−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパンのマレイミド基数は、化合物(A−2)の一級アミノ基数の4.0倍である。
製造例3: 〔末端に1級アミノ基を有する化合物(A−3)及びビスマレイミド誘導体(B−3)溶液の製造〕
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積5リットルの反応容器に、イソフタルアルデヒド:268.0gと、m−アミノフェノール:109.0g、及びN、N−ジメチルアセトアミド:1769.0gとトルエン:393.1gを配合し、攪拌しながら80℃で1時間保温した。
これに4,4'−ジアミノ−3,3'−ジエチル−ジフェニルメタン:508.0gを添加し、昇温して約130〜145℃で還流脱水反応を行った。次いで、160℃まで昇温して常圧濃縮した後、120℃まで冷却し、末端に1級アミノ基を有する化合物(A−3)の溶液を得た。
次に、該溶液に3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド:884.0gを添加し、攪拌しながら120℃で6時間保温した後、冷却してビスマレイミド誘導体(B−3)の溶液を得た。
なお、製造例3において、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジエチル−ジフェニルメタンとm−アミノフェノールの一級アミノ基数の合計は5.0であり、テレフタルアルデヒドのアルデヒド基数は4.0である。また、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミドのマレイミド基数は、化合物(A−3)の一級アミノ基数の4.0倍である。
製造例4: 〔末端に1級アミノ基を有する化合物(A−4)及びビスマレイミド誘導体(B−4)溶液の製造〕
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積3リットルの反応容器に、テレフタルアルデヒド:134.0gと、p−アミノフェノール:109.0g、及びN,N-ジメチルアセトアミド:1189.0gとトルエン:264.2gを配合し、攪拌しながら80℃で1時間保温した。
これに2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン:410.0gを添加し、昇温して約130〜145℃で還流脱水反応を行った。次いで、160℃まで昇温して常圧濃縮した後、120℃まで冷却し、末端に1級アミノ基を有する化合物(A−4)の溶液を得た。
次に、m−フェニレンビスマレイミド:536.0gを添加し、攪拌しながら120℃で6時間保温した後、冷却してビスマレイミド誘導体(B−4)の溶液を得た。
なお、製造例4において、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパンとp−アミノフェノールの一級アミノ基数の合計は3.0であり、テレフタルアルデヒドのアルデヒド基数は2.0である。また、m−フェニレンビスマレイミドのマレイミド基数は、化合物(A−4)の一級アミノ基数の4.0倍である。
製造例5: 〔末端に1級アミノ基を有する化合物(A−5)及びビスマレイミド誘導体(B−5)溶液の製造〕
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積3リットルの反応容器に、テレフタルアルデヒド:134.0gと、p−アミノフェノール:109.0g、及びN、N−ジメチルアセトアミド:882.0gとトルエン:196.0gを配合し、攪拌しながら80℃で1時間保温した。
これに3,3'−ジヒドロキシベンジジン:216.0gを添加し、昇温して約130〜145℃で還流脱水反応を行った。次いで、160℃まで昇温して常圧濃縮した後、120℃まで冷却し、末端に1級アミノ基を有する化合物(A−5)の溶液を得た。
次に、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド:423.0gを添加し、攪拌しながら120℃で6時間保温した後、冷却してビスマレイミド誘導体(B−5)の溶液を得た。
なお、製造例5において、3,3'−ジヒドロキシベンジジンとp−アミノフェノールの一級アミノ基数の合計は3.0であり、テレフタルアルデヒドのアルデヒド基数は2.0である。また、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミドのマレイミド基数は、化合物(A−5)の一級アミノ基数の3.0倍である。
製造例6: 〔末端に1級アミノ基を有する化合物(A−6)及びビスマレイミド誘導体(B−6)溶液の製造〕
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積3リットルの反応容器に、テレフタルアルデヒド:134.0gと、p−アミノフェノール:109.0g、及びN、N−ジメチルアセトアミド:1215.0gとトルエン:270.0gを配合し、攪拌しながら80℃で1時間保温した。
これにビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン:432.0gを添加し、昇温して約130〜145℃で還流脱水反応を行った。次いで、160℃まで昇温して常圧濃縮した後、120℃まで冷却し、末端に1級アミノ基を有する化合物(A−6)の溶液を得た。
次に、ビス(4−マレイミドフェニル)エーテル:540.0gを添加し、攪拌しながら120℃で6時間保温した後、冷却してビスマレイミド誘導体(B−6)の溶液を得た。
なお、製造例6において、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホンとp−アミノフェノールの一級アミノ基数の合計は3.0であり、テレフタルアルデヒドのアルデヒド基数は2.0である。また、ビス(4−マレイミドフェニル)エーテルのマレイミド基数は、化合物(A−6)の一級アミノ基数の3.0倍である。
製造例7: 〔末端に1級アミノ基を有する化合物(A−7)及びビスマレイミド誘導体(B−7)溶液の製造〕
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積3リットルの反応容器に、テレフタルアルデヒド:134.0gと、p−アミノフェノール:109.0g、及びN、N−ジメチルアセトアミド:987.0gとトルエン:219.3gを配合し、攪拌しながら80℃で1時間保温した。
これに4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル:368.0gを添加し、昇温して約130〜145℃で還流脱水反応を行った。次いで、160℃まで昇温して常圧濃縮した後、120℃まで冷却し、末端に1級アミノ基を有する化合物(A−7)の溶液を得た。
次に、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン:376.0gを添加し、攪拌しながら120℃で6時間保温した後、冷却してビスマレイミド誘導体(B−7)の溶液を得た。
なお、製造例7において、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニルとp−アミノフェノールの一級アミノ基数の合計は3.0であり、テレフタルアルデヒドのアルデヒド基数は2.0である。また、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホンのマレイミド基数は、化合物(A−7)の一級アミノ基数の2.0倍である。
製造例8: 〔末端に1級アミノ基を有する化合物(A−8)及びビスマレイミド誘導体(B−8)溶液の製造〕
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積3リットルの反応容器に、テレフタルアルデヒド:67.0gと、p−アミノ安息香酸:68.5g、及びN,N−ジメチルアセトアミド:1143.5gとトルエン:254.1gを配合し、攪拌しながら80℃で1時間保温した。
これに4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチル−ジフェニルメタン:113.0gを添加し、昇温して約130〜145℃で還流脱水反応を行った。次いで、160℃まで昇温して常圧濃縮した後、120℃まで冷却し、末端に1級アミノ基を有する化合物(A−8)の溶液を得た。
次に、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン:895.0gを添加し、攪拌しながら120℃で6時間保温した後、冷却してビスマレイミド誘導体(B−8)の溶液を得た。
なお、製造例8において、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチル−ジフェニルメタンとp−アミノ安息香酸の一級アミノ基数の合計は1.5であり、テレフタルアルデヒドのアルデヒド基数は1.0である。また、ビス(4−マレイミドフェニル)メタンのマレイミド基数は、化合物(A−8)の一級アミノ基数の10.0倍である。
実施例1〜18、比較例1〜6
製造例1〜8で得られたビスマレイミド誘導体の溶液(第1表〜第3表)又は第4表に記載のビスマレイミド誘導体、或いはこれにエポキシ樹脂、硬化促進剤、無機充填剤、難燃剤を含有させ、希釈溶剤にメチルエチルケトンを使用して第1表〜第4表に示した配合割合(質量部)で混合して樹脂分60質量%の均一なワニスを得た。
次に、上記ワニスを厚さ0.2mmのEガラスクロスに含浸塗工し、160℃で10分加熱乾燥して樹脂含有量55質量%のプリプレグを製造した。
さらに、これらのプリプレグを4枚重ね、18μmの電解銅箔を上下に配置し、圧力25kg/cm2、温度230℃で120分間プレスを行って銅張積層板を製造した。
このようにして得られた銅張積層板を用いて、銅箔接着性(銅箔ピール強度)、耐熱性〔ガラス転移温度(Tg)、はんだ耐熱性及び銅付き耐熱性〕、難燃性、誘電特性〔比誘電率(1GHz)及び誘電正接(1GHz)〕、ドリル加工性を前記の方法で測定・評価した。結果を第1表〜第4表す。
Figure 2011195476
Figure 2011195476
Figure 2011195476
Figure 2011195476
なお、第1表〜第4表におけるエポキシ樹脂、硬化促進剤、無機充填剤、難燃剤およびビスマレイミド誘導体(比較例にて使用)は以下の通りである。
(1)ビスマレイミド誘導体
・ビス(4−マレイミドフェニル)メタン(ケイアイ化成社製)
・2,2'−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン(和歌山精化社製)
(2)エポキシ樹脂
・NC−3000−H:ビフェニルアラルキルエポキシ樹脂
(日本化薬社製、商品名NC−3000H、エポキシ当量290)
・N−770:フェノールアラルキルエポキシ樹脂
(三井化学社製、商品名E−XL-3L、エポキシ当量235)
・YX−4000:ビフェニル型エポキシ樹脂
(ジャパンエポキシレジン社製、商品名YX−4000、エポキシ当量190)
(3)硬化促進剤
・P−200(ジャパンエポキシレジン社製エポキシマスクイミダゾール:商品名)
・G−8009L(第一工業製薬社製イソシアネートマスクイミダゾール:商品名)
(4)無機充填剤
・溶融シリカ(アドマテックス社製:商品名SO−25R)
(5)難燃剤
・AlOOH:ベーマイト型水酸化アルミニウム(河合石灰社製:商品名BMT−3L、熱分解温度:400℃)
・Mg(OH)2:水酸化マグネシウム(関東化学社製、熱分解温度:350℃)
・TPP:トリフェニルホスフェート(関東化学社製、リン含有量:9.6〜9.7質量%)
第1表〜第3表から明らかなように、本発明の実施例においては、銅箔接着性、低熱膨張性、高ガラス転移温度、はんだ耐熱性、銅付き耐熱性、難燃性、低誘電特性、ドリル加工性に優れているプレプリグ及び積層板が得られている。
これに対し、第4表から明らかなように、本発明のビスマレイミド誘導体を含有しない比較例1〜6においては、銅箔接着性、低熱膨張性、高ガラス転移温度、はんだ耐熱性、銅付き耐熱性、難燃性、低誘電特性、ドリル加工性において実施例より劣るものである。
本発明のビスマレイミド誘導体を用いることにより、特に顕著な銅箔接着性、低熱膨張性、高ガラス転移温度を有し、また低誘電特性、はんだ耐熱性、銅付き耐熱性、難燃性、ドリル加工性に優れる熱硬化性樹脂組成物が得られ、プリプレグ及び積層板を提供することができ、多層プリント配線板として電子機器などに有利に使用される。

Claims (7)

  1. 下記一般式(I)で表されるビスマレイミド誘導体。
    Figure 2011195476
    (式中、Ar1は一般式(I−1)、(I−2)、(I−3)又は(I−4)で表される残基であり、Ar2は一般式(I−5)又は(I−6)で示される残基であり、R1は酸性置換基である水酸基、カルボキシ基又はスルホン酸基を示し、R2は水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、xは1〜5の整数、yは0〜4の整数で、且つxとyの和は5であり、nは0又は正数である。)
    Figure 2011195476
    (式中、R3は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、pは0〜4の整数である)
    Figure 2011195476
    (式中、R4及びR5は各々独立に炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、q、rは各々独立に0〜4の整数であり、A1は炭素数1〜5のアルキレン基、アルキリデン基、エーテル基、又はスルフォニル基で表される残基である。)
    Figure 2011195476
    (式中、rは1〜10の整数である。)
    Figure 2011195476
    Figure 2011195476
    (式中、R6及びR7は各々独立に炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、メトキシ基又はハロゲン原子を示し、s、tは各々独立に0〜4の整数であり、A2は単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、アルキリデン基、エーテル基、スルフォニル基、ケトン基、フルオレン基、又はフェニレンジオキシ基で表される残基である。)
    Figure 2011195476
    (式中、A3は、単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、イソプロピリデン基、エーテル基、又はスルフォニル基である。)
  2. 下記式(II)で表される請求項1に記載のビスマレイミド誘導体。
    Figure 2011195476
  3. 一般式(III)で表される1分子中に少なくとも2個の1級アミノ基を有する化合物(a)、一般式(IV)で表される1分子中に少なくとも2個のアルデヒド基を有する化合物(b)及び一般式(V)で表される酸性置換基を有するアミン化合物(c)を有機溶媒中で脱水縮合反応させることにより、一般式(VI)で表される末端に1級アミノ基を有する化合物(A)を製造し、次いで前記化合物(A)と、一般式(VII)で表される1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)を有機溶媒中でマイケル付加反応させることにより、前記一般式(I)で表されるビスマレイミド誘導体(B)を製造することを特徴とする請求項1又は2に記載のビスマレイミド誘導体の製造方法。
    Figure 2011195476
    (式中、Ar2は一般式(I)と同様である。)
    Figure 2011195476
    Figure 2011195476
    (式中、R1及びR2、x及びyは一般式(I)と同様である。)
    Figure 2011195476
    (式中、Ar2、及びR1、R2、及びx、y、及びnは一般式(I)と同様である。)
    Figure 2011195476
    (式中、Ar1は一般式(I)と同様である。)
  4. 請求項1又は2に記載のビスマレイミド誘導体を含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
  5. 請求項1又は2に記載のビスマレイミド誘導体とエポキシ樹脂を含有する請求項4に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項4又は5に記載の熱硬化性樹脂組成物を繊維シート状補強基材に含浸・塗工し、Bステージ化して得られたプリプレグ。
  7. 請求項6に記載のプリプレグを用いて積層成形して得られた積層板。
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