JP2011194804A - ガスバリアフィルムの製造方法及びガスバリアフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 基材となるプラスチックフィルムの表面に対し、不活性ガス導入下において、気圧0.1Pa以上10Pa以下という環境下にて予めプラズマ処理を施すプラズマ処理工程と、前記プラズマ処理工程を実施した後に、その表面にガスバリア性を有するガスバリア層を積層してなるガスバリア層積層工程と、を備えてなる製造方法、及び該方法により得られるガスバリアフィルムとした。
【選択図】 なし
Description
(A) ガスバリア性を有する層を積層してなるガスバリア層積層工程と、
(B) 第1高分子樹脂を積層してなる第1高分子樹脂積層工程と、
(C) 第2高分子樹脂を積層してなる第2高分子樹脂積層工程と、
の各工程を、
(条件1) (A)を必ず1回実行する。
(条件2) 同じ工程を繰り返し実行しない。
(条件3) (B)又は(C)の何れかを実行しなくとも良い。
(条件4) (A)〜(C)の何れかの工程を1回実行するごとに1回工程を実行したと捉えて、全体で2回以上の工程を実行する。
という条件に沿って実行してなること、を特徴とする。
本願発明に係るガスバリアフィルムの製造方法に関して、第1の実施の形態として説明する。
まず基材となるプラスチックフィルムの表面に対し不活性ガス導入下においてプラズマ処理を実施するのであるが、この際の気圧は本実施の形態においては気圧0.1Pa以上10Pa以下であるものとする。即ち本実施の形態におけるプラズマ処理とは、不活性ガス導入下における真空プラズマ処理である。(以下、単に「真空プラズマ処理」とも記す。)
従来のガスバリアフィルムでは基材フィルム表面に直接金属又は金属酸化物による層を積層していたところ、得られたものを実際に使用するに際して、また積層後更に加工処理を施している最中に基材フィルムと金属層との層間密着力が充分でないために剥離してしまい、その結果好適なガスバリアフィルムが製造できない、また使用中にガスバリア性が低下してしまう、といった問題が生じていた。
表面が未処理(プレーン)な状態のPETフィルム表面に何らかの積層を行おうとしても、積層物が「滑らか」な表面を有するPETフィルム表面に定着せず、いわば「ハジキ」と呼ばれる現象が生じ、所望のレベルの密着性を確保した積層が行えない。
先に述べた第1の実施の形態に係るガスバリアフィルムの製造方法において、第1高分子樹脂を積層する第1高分子樹脂積層工程を実行しない場合について、これを第2の実施の形態として以下簡単に説明する。
次に、先に述べた第1の実施の形態に係るガスバリアフィルムの製造方法において、全工程を終了後、更にガスバリア層の表面に第2高分子樹脂を積層する第2高分子樹脂積層工程を実行してなる、ガスバリアフィルムの製造方法につき、第3の実施の形態として説明する。
次に、第2の実施の形態におけるガスバリアフィルムの製造方法において、全工程を終了後、更にガスバリア層の表面に前述の第2高分子樹脂層を積層する第2高分子樹脂積層工程を実行してなるガスバリアフィルムの製造方法を第4の実施の形態として簡単に述べておく。
最後に、これまで説明してきた各要素を更に組み合わせた構成を得るためのガスバリアフィルムの製造方法を第5の実施の形態として説明する。
まず基材となるプラスチックフィルムの表面に対し、不活性ガス導入下において、気圧0.1Pa以上10Pa以下という環境下にて予めプラズマ処理を施すプラズマ処理工程を最初に実行した後に、
(A) ガスバリア性を有する層を積層してなるガスバリア層積層工程と、
(B) 第1高分子樹脂を積層してなる第1高分子樹脂積層工程と、
(C) 第2高分子樹脂を積層してなる第2高分子樹脂積層工程と、
の各工程を、以下の条件に沿って実行する。
(条件2) 同じ工程を繰り返し実行しない。
(条件3) (B)又は(C)の何れかを実行しなくとも良い。
(条件4) (A)〜(C)の何れかの工程を1回実行するごとに1回工程を実行したと捉えて、全体で2回以上の工程を実行する。
本実施の形態に係るガスバリアフィルムの製造方法は、要するに真空プラズマ処理を施した基材フィルムの表面に、ガスバリア層、第1高分子樹脂層、第2高分子樹脂層、を積層するための各工程を実行する、ということである。そしてこれらの層は規則的に複数積層されていても良いし、ランダムに積層されていても良い。
基材フィルム/第1高分子樹脂層/ガスバリア層/第1高分子樹脂層/ガスバリア層/第2高分子樹脂層・・・
という形態も考えられ、また
基材フィルム/ガスバリア層/第1高分子樹脂層/ガスバリア層/第2高分子樹脂層・・・
という形態も考えられる。
「第1高分子樹脂層/ガスバリア層/第2高分子樹脂層」というユニットを「基材フィルム/ガスバリア層」のガスバリア層側に繰り返し積層することが考えられる。この場合、第1高分子樹脂層と第2高分子樹脂層とは異なった樹脂であることは自明のことである。
基材フィルム/第1高分子樹脂層/ガスバリア層/第1高分子樹脂層/ガスバリア層
という構成を得るものとする。
基材となる高分子樹脂フィルム:PETフィルム((株)帝人製「NS」厚み12μm)
第1高分子樹脂:信越化学工業(株)製
商品名:KBM403
積層厚み:0.2μm
第2高分子樹脂:信越化学工業(株)製
商品名:KBE403
積層厚み:0.2μm
ガスバリア層:SiOx(1.0≦x≦2.0) 厚み0.015μm
Dynasylan GLYMO 50重量部
水 50重量部
塩酸(35%) 0.07 重量部
これらを混合した液を作成して加水分解させた後、
IPA/n−ブタノール=575/575(重量部)を加えて希釈する。
そしてさらに硬化触媒(アルミニウムアセチルアセトナート)を2重量部加えて調製を完了する。
Dynasylan GLYEO 50重量部
水 50重量部
塩酸(35%) 0.07 重量部
これらを混合した液を作成して加水分解させた後、
IPA/n−ブタノール=575/575(重量部)を加えて希釈する。
そしてさらに硬化触媒(アルミニウムアセチルアセトナート)を2重量部加えて調製を完了する。
真空プラズマ処理時における導入ガス:アルゴン
真空プラズマ処理時における真空度:4Pa
ガスバリアの性能測定方法
耐湿熱試験:85℃温水試験を2週間、更に85℃湿度85%で1000時間放置した。
得られたガスバリアフィルムは JIS Z 0208 に準じて透過湿度試験を行った。(カップ法)
また透湿度に関する測定は JIS K 7129 に準じて行った。(モコン法透湿)
また酸素透過度に関する測定は JIS K 7126 に準じて行った。(モコン法酸素)
実施例1−1 基材/第1高分子樹脂層/ガスバリア層
実施例1−2 基材/第1高分子樹脂層/ガスバリア層
実施例2 基材/ガスバリア層
実施例3−1 基材/第1高分子樹脂層/ガスバリア層/第2高分子樹脂層
実施例3−2 基材/第1高分子樹脂層/ガスバリア層/第2高分子樹脂層
実施例4 基材/ガスバリア層/第2高分子樹脂層
実施例5 基材/第1高分子樹脂層/ガスバリア層/第1高分子樹脂層/ガスバリア層
また実施例1−2及び実施例3−2では、第1高分子樹脂層の表面に対し再び真空プラズマ処理を施した後、更に積層を行った。
比較例2 基材/ガスバリア層
比較例3 基材/第1高分子樹脂層/ガスバリア層/第2高分子樹脂層
比較例4 基材/ガスバリア層/第2高分子樹脂層
比較例5 基材/第1高分子樹脂層/ガスバリア層/第1高分子樹脂層/ガスバリア層
比較例2・4では基材表面に何ら前処理を行うことなくガスバリア層を積層した。
・ バリア性1
各実施例及び比較例の積層フィルムに、更に厚みが60μmのCPP(東洋紡績(株)製:商品名「CT−P1146」)を従来公知な手法によりドライラミネートしたものをサンプルとした。
得られたサンプルを125℃の熱水に30分間浸漬した。
その前後のバリア性を測定した。浸漬前を「初期」、浸漬後を「レト後」として表に記載する。尚(OTR/WVTR)とは、酸素透過度/水蒸気透過度である。
各実施例及び比較例の積層フィルムの両面に対しプラスチックフィルムを以下の通りラミネートしたものをサンプルとした。
厚み50μmの耐候PET(東洋紡績(株)製:商品名「K1653」)/実施例又は比較例の積層フィルム/厚み188μmの白色PET(東洋紡績(株)製:商品名「TR55」)
得られたサンプルに対し以下の環境にさらした。
1) 85℃の温水に2週間浸漬した。
2) 気温85度湿度85%の状況で1000時間放置した。
それぞれの条件を満たした後に、前述の「カップ法」「モコン法透湿」「モコン法酸素」により測定されたガスバリア性につき表に記載する。
また、密着性に関しては上記サンプルの構成において
厚み50μmの耐候PET(東洋紡績(株)製:商品名「K1653」)/実施例又は比較例の積層フィルム
の境界面における密着性を測定した。
測定方法は T型剥離:引張速度300mm/min によるものとした。
更に先の試験と同様、得られたサンプルを125℃の熱水に30分間浸漬した前後の、上記同様の箇所における密着度を同様にして測定した。その結果は表中「密着」とした欄に記載する。
Claims (17)
- 少なくとも、
複数枚のプラスチックフィルムが剥離可能に積層された状態である基材フィルムの最表面に対し、不活性ガス導入下において、気圧0.1Pa以上10Pa以下という環境下にて予めプラズマ処理を施すプラズマ処理工程と、
前記プラズマ処理工程を実施した後に、その表面にガスバリア性を有するガスバリア層を積層してなるガスバリア層積層工程と、
を備えてなること、
を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。 - 請求項1に記載のガスバリアフィルムの製造方法において、
前記複数のプラスチックフィルムの合計厚みが50μm以下であり、
なおかつ前記複数のプラスチックフィルムの中の1枚の厚みが3μm以上であること、を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。 - 請求項1又は請求項2に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、
前記プラズマ処理工程後、前記ガスバリア層積層工程の前に、
前記プラズマ処理を施された基材最表面に対し、第1高分子樹脂を積層してなる第1高分子樹脂積層工程を実行してなること、
を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。 - 請求項1又は請求項2に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、
前記ガスバリア層積層工程の後に、
前記ガスバリア層の表面に、第2高分子樹脂を積層してなる第2高分子樹脂積層工程を実行してなること、
を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。 - 請求項1又は請求項2に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、
前記プラズマ処理工程後、前記ガスバリア層積層工程の前に、
前記プラズマ処理を施された基材最表面に対し、第1高分子樹脂を積層してなる第1高分子樹脂積層工程を実行してなり、
前記ガスバリア層積層工程の後に、
前記ガスバリア層の表面に、第2高分子樹脂を積層してなる第2高分子樹脂積層工程を実行してなること、
を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。 - 複数枚のプラスチックフィルムが剥離可能に積層された状態である基材フィルムの最表面に対し、
不活性ガス導入下において、気圧0.1Pa以上10Pa以下という環境下にて予めプラズマ処理を施すプラズマ処理工程を最初に実行した後に、
(A) ガスバリア性を有する層を積層してなるガスバリア層積層工程と、
(B) 第1高分子樹脂を積層してなる第1高分子樹脂積層工程と、
(C) 第2高分子樹脂を積層してなる第2高分子樹脂積層工程と、
の各工程を、以下の条件に沿って実行してなること、
を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。
(条件1) (A)を必ず1回実行する。
(条件2) 同じ工程を繰り返し実行しない。
(条件3) (B)又は(C)の何れかを実行しなくとも良い。
(条件4) (A)〜(C)の何れかの工程を1回実行するごとに1回工程を実行したと捉えて、全体で2回以上の工程を実行する。 - 請求項3、請求項5又は請求項6の何れか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、
前記第1高分子樹脂工程を実行した後に、前記第1高分子樹脂層の表面に対し前記プラズマ処理工程を再度実行してなること、
を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。 - 請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法において、
得られたガスバリアフィルムの最表面に対し、更に第3高分子樹脂を積層してなる第3高分子樹脂積層工程を実行してなること、
を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。 - 請求項1ないし請求項8の何れか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法において、
前記製造方法により得られた積層体の最も表面の更に外側表面にプラスチックフィルムをラミネートして最外層を積層してなるフィルムラミネート工程を実行してなること、
を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。 - 請求項1ないし請求項9の何れか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、
前記不活性ガスが、アルゴンガス又はアルゴン/酸素ガスであること、
を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。 - 請求項1ないし請求項10の何れか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、
前記ガスバリア層を構成する物質が、珪素、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム、インジウム、マグネシウム、の一群よりなる群の何れか1つ若しくはその酸化物、窒化物、又は化合物の何れか、又は前記一群の中の複数若しくはその酸化物、窒化物、又は化合物、であり、
前記ガスバリア層が、真空蒸着法により積層されてなるものであること、
を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。 - 請求項1ないし請求項10の何れか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、
前記ガスバリア層がSiOxで示される酸化珪素によるものであって、かつxが1.0≦x≦2.0であること、
を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。 - 請求項3ないし請求項12の何れか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、
前記第1高分子樹脂、前記第2高分子樹脂又は前記第3高分子樹脂の何れか若しくは複数が、シランカップリング剤によるものであること、又はシランカップリング剤を主に配合してなる高分子樹脂であること、
を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。 - 請求項3ないし請求項13の何れか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、
前記第1高分子樹脂層、前記第2高分子樹脂層又は前記第3高分子樹脂の何れか若しくは複数に硬化触媒が添加されてなること、
を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。 - 請求項14に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、
前記硬化触媒が、鉄アセチルアセトナート、亜鉛アセチルアセトナート、アルミニウムアセトナート、四塩化錫、ジイソプロポキシビスアセチルアセトナトチタン、ジヒドロキシビスラクタトチタン、の何れか1つ又は複数であること、
を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。 - 請求項1ないし請求項15の何れか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法により製造されてなること、
を特徴とする、ガスバリアフィルム。 - 請求項16に記載のガスバリアフィルムを用いてなること、
を特徴とする、太陽電池バックシート。
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