JP7061284B2 - バリアフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、バリアフィルムに関し、さらに詳細には、樹脂基材と、平坦化層と、化学気相蒸着層と、バリアコート層とをこの順に備えるバリアフィルムに関する。
近年、酸素あるいは水蒸気等に対するバリア性材料として、フィルム基材に酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化物を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学気相成長法等で形成してなる透明ガスバリアフィルムが注目されている。特に、バリアフィルムの用途によっては、高温高湿環境下での保存後であってもガスバリア性を維持する必要があった。
上記の技術的課題に対して、特に高湿度下においてボイル処理およびレトルト処理を受けた後にも高いガスバリア性を維持し、さらに基材フィルムとの密着性を得るために、特定の骨格構造および化合物を含有するポリウレタン樹脂を用いたガスバリアフィルムが提案されている(特許文献1参照)。
特開2004-10656号公報
本発明者らは、バリアフィルムを用いた容器の場合、従来の高温高湿環境下での保存後におけるガスバリア性の維持に加えて、ゲルボフレックス試験後においてもガスバリア性の劣化を抑制する必要があることを知見した。
したがって、本発明の目的は、高温高湿環境下での保存後であってもガスバリア性に優れ、かつゲルボフレックス試験後においてもガスバリア性の劣化を抑制したバリアフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、樹脂基材上に、特定の厚さおよび特定の表面粗さRaを有する平坦化層を設けた上で、さらに、化学気相蒸着層とバリアコート層をこの順に積層することで、高温高湿環境下での保存後であってもガスバリア性に優れ、かつゲルボフレックス試験後においてもガスバリア性の劣化を抑制したバリアフィルムを提供できることを知見した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明の一態様によれば、
樹脂基材と、平坦化層と、化学気相蒸着層と、バリアコート層とをこの順に備えるバリアフィルムであって、
前記平坦化層の厚さが、0.3μm以上2.5μm以下であり、
前記平坦化層の化学気相蒸着層と接する側の表面粗さRaが、2.0nm以下である、バリアフィルムが提供される。
本発明の態様においては、前記化学気相蒸着層が、無機酸化物蒸着膜であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記無機酸化物蒸着膜が、珪素、酸素、および炭素を含むことが好ましい。
本発明の態様においては、前記化学気相蒸着層の厚さが、50nm以上200nm以下であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記バリアコート層が、金属アルコキシドの加水分解生成物と水溶性高分子との硬化膜であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記バリアコート層の厚さが、150nm以上300nm以下であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記平坦化層が、アクリル系樹脂を含むことが好ましい。
本発明の態様においては、医療品・医薬品用包装材料に用いられることが好ましい。
本発明によれば、高温高湿環境下での保存後であってもガスバリア性に優れ、かつゲルボフレックス試験後においてもガスバリア性の劣化を抑制したバリアフィルムを提供することができる。このようなバリアフィルムは、高度なガスバリア性、耐ピンホール・クラック性等を要求される用途、例えば、医療品・医薬品用包装材料等に好適に用いることができる。
本発明のバリアフィルムの一実施形態を示した概略断面図である。
<バリアフィルム>
本発明によるバリアフィルムは、樹脂基材と、平坦化層と、化学気相蒸着層と、バリアコート層とをこの順に備えるものである。
バリアフィルムは、水蒸気バリア性に優れ、水蒸気透過度が、好ましくは5.0×10-2g/m/day以下であり、好ましくは2.0×10-2g/m/day以下であり、好ましくは1.0×10-2g/m/day以下であり、より好ましくは8.0×10-3g/m/day以下であり、さらに好ましくは5.0×10-3g/m/day以下であり、さらにより好ましくは3.0×10-3g/m/day以下、最も好ましくは2.0×10-3g/m/day以下である。水蒸気透過度が上記数値範囲を満たせば、高度な水蒸気バリア性を要求される用途であっても、包装材料として用いることができる。なお、水蒸気透過度は、水蒸気透過度測定機(MOCON社製:PERMATRAN)を用いて、JIS K7129Bに準拠して、または、Tecnolox製DELTA PARMを用いて、ISO 15106-5に準拠して、温度40℃および湿度90%の環境下で測定することができる。
バリアフィルムは、温度85℃および湿度85%の環境下で120時間保存後の水蒸気透過度が、好ましくは5.0×10-2g/m/day以下であり、好ましくは2.0×10-2g/m/day以下であり、好ましくは1.0×10-2g/m/day以下であり、より好ましくは8.0×10-3g/m/day以下であり、さらに好ましくは5.0×10-3g/m/day以下であり、さらにより好ましくは3.0×10-3g/m/day以下、最も好ましくは2.0×10-3g/m/day以下である。上記条件の保存後の水蒸気透過度が上記数値範囲を満たせば、高温高湿環境下に曝される用途であっても、包装材料として用いることができる。
バリアフィルムは、MIL B 131(ASTM F 392)に準拠したゲルボフレックス試験後の水蒸気透過度が、好ましくは1.0g/m/day以下であり、好ましくは8.0×10-1g/m/day以下であり、より好ましくは5.0×10-1g/m/day以下であり、さらに好ましくは3.0×10-1g/m/day以下、さらにより好ましくは2.0×10-1g/m/day以下である。ゲルボフレックス試験後の水蒸気透過度が上記数値範囲を満たせば、耐ピンホール性に優れ、包装材料として好適に用いることができる。
バリアフィルムは、MIL B 131(ASTM F 392)に準拠したゲルボフレックス試験後の酸素透過度が、好ましくは5.0cc/m/day以下であり、より好ましくは3.0cc/m/day以下であり、さらに好ましくは2.0cc/m/day以下である。ゲルボフレックス試験後の酸素透過度が上記数値範囲を満たせば、耐ピンホール性に優れ、包装材料として好適に用いることができる。なお、酸素透過度は、酸素透過度測定機(MOCON社製:OX-TRAN)を用いてJIS K 7126に準拠して、温度23℃および湿度85%の環境下で測定することができる。
バリアフィルムは、透過性に優れ、全光線透過率が好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。全光線透過率が上記数値範囲を満たせば、包装材料として用いた際に内容物の視認性に優れる。なお、全光線透過率は、株式会社村上採光研究所製 HAZE METER HM-150を用いて、JIS K7361に準拠して測定することができる。
バリアフィルムは、透過性に優れ、ヘイズが好ましくは10%以下であり、より好ましくは5%以下であり、さらに好ましくは3%以下である。ヘイズが上記数値範囲を満たせば、包装材料として用いた際に内容物の視認性に優れる。なお、ヘイズは、株式会社村上採光研究所製 HAZE METER HM-150 を用いて、JIS K7136に準拠して測定することができる。
バリアフィルムの層構成を、図面を参照しながら説明する。図1に示すバリアフィルム10は、樹脂基材11と、平坦化層12と、化学気相蒸着層13と、バリアコート層14とをこの順に備える。以下、本発明のバリアフィルムを構成する各層について説明する。
(樹脂基材)
本発明によるバリアフィルムを構成する樹脂基材としては、下記の平坦化層および化学気相蒸着層を担持できるものであれば特に限定されず、公知の種々の樹脂基材を用いることができる。
樹脂基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4-メチル・1-ペンテン、およびポリブテン等のポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ナイロン-6、ナイロン-66、およびポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体もしくはその鹸化物、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アイオノマー、あるいはこれらの混合物等の樹脂フィルムが挙げられる。樹脂基材は、単層の樹脂フィルムであってもよいし、二種以上の樹脂フィルムからなる積層体であってもよい。
また、これらの樹脂フィルムは、下記の平坦化層および化学気相蒸着層との接着性を改良するために、その表面を、例えば、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、アンダーコート処理、プライマーコート処理、フレーム処理等の表面活性化処理を行っておいてもよい。
樹脂基材の厚さは、特に限定されるものではないが、好ましくは10μm以上300μmであり、より好ましくは20μm以上200μm以下であり、さらに好ましくは50μm以上200μm以下である。樹脂基材の膜厚が上記範囲内であれば、バリアフィルムとしての強度を保つことができる。
(平坦化層)
本発明によるバリアフィルムを構成する平坦化層は、樹脂基材表面の平滑性を向上させるための層である。平坦化層は、化学気相蒸着層と接する側の表面粗さRa(算術平均粗さ)が、2.0nm以下であり、より好ましくは1.5nm以下であり、さらに好ましくは1.0nm以下である。また、平坦化層は、化学気相蒸着層と接する側の表面粗さPv(最大谷深さ)が、好ましくは30nm以下であり、より好ましくは20nm以下であり、さらに好ましくは15nm以下である。化学気相蒸着層と接する側の平坦化層の表面粗さRaおよびPvが上記数値を満たせば、化学気相蒸着層との密着性をより向上させて、高温高湿環境下での保存後のガスバリア性に優れ、かつゲルボフレックス試験後においてもガスバリア性の劣化を抑制することができる。なお、表面粗さRa(算術平均粗さ)およびPv(最大谷深さ)は、JIS B 0601に準拠して、走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、ナノキュートSPI3800N)を用いて測定することができる。
平坦化層の厚さは、0.3μm以上2.5μm以下であり、好ましくは0.4μm以上2.0μm以下であり、より好ましくは0.5μm以上1.5μm以下である。平坦化層の厚さが上記範囲内であれば、化学気相蒸着層との密着性をより向上させて、高温高湿環境下での保存後のガスバリア性に優れ、かつゲルボフレックス試験後においてもガスバリア性の劣化を抑制することができる。なお、化学気相蒸着層の厚さは、蛍光X線分析装置(Rigaku社製、RIX)を用いて測定することができる。
平坦化層は、表面粗さRaおよびPvが上記数値を満たすものであれば、その組成は特に限定されない。包装材料として用いた際の視認性を向上させるためには、透明性の高い材料を用いて形成することが好ましい。平坦化層の材料は、樹脂基材の材料として用いられる上述の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等の樹脂材料を用いることができる。例えば、平滑性を向上し易いことから、(アクリル系樹脂、例えば、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルのポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチルを用いることが好ましい。
平坦化層の形成方法は特に限定されるものではないが、例えば、少なくとも上記の樹脂材料を含有する平坦化層形成用塗工液を樹脂基材上に塗布後、硬化させて平坦化層を形成することができる。平坦化層形成用塗工液の塗布は、樹脂基材上に、塗布することが可能であれば、その方法等は特に限定されるものではなく、例えばスピンコート法、ロールコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ビードコート法等の公知の塗布方法を用いることが可能である。また、硬化の方法についても、上記方法により塗布された平坦化層形成用塗工液を硬化させることが可能であれば、上記平坦化層形成用塗工液により適宜選択されるものであり、公知の硬化方法を用いることができる。
続いて、形成した平坦化層を、上記樹脂材料のガラス転移点温度以上の温度で加圧することにより、平坦化層表面を平坦化して、上記の表面粗さRaおよびPvを調節することができる。上記平坦化層の表面を加圧して平坦化することが可能であれば、その方法等は特に限定されるものではなく、例えばミラーロール、硬質金属鋼板、硬質金属製球体等により加圧することができる。
(化学気相蒸着層)
本発明によるバリアフィルムを構成する化学気相蒸着層は、化学気相成長法(CVD法)により形成される蒸着膜である。本発明において、化学気相蒸着層は、物理気相成長法(PVD法)により得られる蒸着膜に比べて、厚膜な蒸着層を形成し易く、また屈曲性に優れるため、バリアフィルムの蒸着層としてより好適である。
化学気相蒸着層は、無機酸化物蒸着膜であることが好ましく、無機酸化物蒸着膜は、珪素、酸素、および炭素を含むことが好ましい。無機酸化物蒸着膜は、珪素、酸素、および炭素の3元素の合計100%に対して、珪素の割合は、好ましくは25%以上40%以下であり、より好ましくは28%以上37%以下であり、さらに好ましくは30%以上35%以下である。酸素の割合は、好ましくは50%以上70%以下であり、より好ましくは55%以上65%以下であり、さらに好ましくは57%以上60%以下である。炭素の割合は、好ましくは5%以上20%以下であり、より好ましくは7%以上17%以下であり、さらに好ましくは10%以上15%以下である。蒸着膜中の珪素、酸素、および炭素の割合が上記条件を満たすことで、高温高湿環境下での保存後であってもガスバリア性に優れ、かつゲルボフレックス試験後においてもガスバリア性の劣化を抑制することができる。
化学気相蒸着層の厚さは、好ましくは50nm以上200nm以下であり、より好ましくは60nm以上180nm以下であり、さらに好ましくは70nm以上170nm以下であり、さらにより好ましくは80nm以上150nm以下である。化学気相蒸着層の厚さが上記条件を満たすことで、高温高湿環境下での保存後であってもガスバリア性に優れ、かつゲルボフレックス試験後においてもガスバリア性の劣化を抑制することができる。なお、化学気相蒸着層の厚さは、蒸着の際のフィルム搬送速度を調節することで、所望の範囲に調節することができる。
化学気相蒸着層の形成方法は特に限定されるものではないが、以下の方法が挙げられる。例えば、樹脂基材上に、有機珪素化合物の1種以上を含む製膜用モノマーガスを原料とし、キャリアガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用し、更に、酸素供給ガスとして、酸素ガス等を使用し、かつ、プラズマ発生装置等を利用するプラズマ化学気相成長法を用いて珪素酸化物を含む化学気相蒸着層を形成することができる。
上記において、プラズマ発生装置としては、プラズマ雰囲気の制御のしやすさや使用可能なガスの自由度から、低圧プラズマ処理が可能な装置が好ましい。低圧プラズマ処理装置としては、ICP型のプラズマ処理装置、並行平板型のプラズマ処理装置、ロールツーロール型のプラズマ処理装置等を用いることができる。生産性の観点から、ロールツーロール型のプラズマ処理装置が好ましい。プラズマ生成に用いる電源としては、高周波電源、パルス波電源等の従来公知の電源を用いることができる。電源の周波数は100kHz以下の範囲であれば、ガスの自由度は高いため好ましい。
製膜用混合ガス組成物の各ガス成分の混合比としては、例えば、製膜用モノマーガス: 酸素ガス:不活性ガス=1:0~20:0~5(単位:slm、スタンダードリッターミニットの略)のガス組成比からなる製膜用混合ガス組成物等を使用することができる。このような製膜用混合ガス組成物を用いることで、珪素酸化物を主体とし、これに、更に、炭素、水素、珪素または酸素の1種類以上の元素からなる化合物の少なくとも1種類を化学結合等により含有する蒸着膜を形成することができる。製膜用混合ガス組成物の各ガス成分の混合比を調整することで、化学気相蒸着層に含まれる珪素、酸素、および炭素の割合を適宜調整することができる。
製膜用モノマーガスを構成する有機珪素化合物としては、例えば、1.1.3.3-テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、その他等を使用することができる。これらの有機珪素化合物の中でも、取り扱い性、形成された連続膜の特性等の観点から、1.1.3.3-テトラメチルジシロキサンやヘキサメチルジシロキサンを原料として使用することが特に好ましい。また、不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス等を使用することができる。
(バリアコート層)
本発明によるバリアフィルムを構成するバリアコート層は、ガスバリア性を有する層であり、塗布膜であることが好ましい。さらに、バリアコート層は、金属アルコキシドの加水分解生成物と水溶性高分子との硬化膜であることが好ましい。バリアコート層は、例えば、下記のガスバリア性塗布膜により形成することができる。ガスバリア性塗布膜は、高温多湿環境下でのガスバリア性を保持する塗膜であり、一般式R M(OR(ただし、式中、R、Rは、炭素数1~8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上の金属アルコキシドと、水溶性高分子とを含有し、更に、ゾルゲル法触媒、酸、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合してなるガスバリア性組成物からなる塗布膜である。
上記一般式R M(OR中、Rとしては、分岐を有していてもよい炭素数1~8、好ましくは1~5、より好ましくは1~4のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基などを挙げることができる。
上記一般式R M(OR中、Rとしては、分岐を有していてもよい炭素数1~8、より好ましくは1~5、特に好ましくは1~4のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基等を挙げることができる。なお、同一分子中に複数の(OR)が存在する場合には、(OR)は同一であっても、異なってもよい。
上記一般式R M(OR中、Mで表される金属原子としては、珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム等を例示することができる。
上記一般式R M(ORで表されるアルコキシドとしては、アルコキシドの部分加水分解物、アルコキシドの加水分解縮合物の少なくとも1種以上を使用することができ、また、上記アルコキシドの部分加水分解物としては、アルコキシ基のすべてが加水分解されるものに限定されず、1個以上が加水分解されているもの、および、その混合物であってもよく、更に、加水分解の縮合物としては、部分加水分解アルコキシドの2量体以上のもの、具体的には、2~6量体のものを使用してもよい。
本発明では、上記一般式R M(ORで表されるアルコキシドとして、MがSiであるアルコキシシランを好適に使用することができる。好適なアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシランSi(OCH、テトラエトキシシランSi(OC、テトラプロポキシシランSi(OC、テトラブトキシシランSi(OC、メチルトリメトキシシランCHSi(OCH、メチルトリエトキシシランCHSi(OC、ジメチルジメトキシシラン(CHSi(OCH、ジメチルジエトキシシラン(CHSi(OC等が挙げられる。本発明において、これらのアルコキシシランの縮重合物も使用することができ、具体的には、例えば、ポリテトラメトキシシラン、ポリテトラエメトキシシラン等を使用することができる。
本発明で使用する水溶性高分子は、ポリビニルアルコール系樹脂、またはエチレン・ビニルアルコ一ル共重合体を単独で各々使用することができ、あるいは、ポリビニルアルコ一ル系樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体を組み合わせて使用することができる。本発明では、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体を使用することにより、ガスバリア性、耐水性、耐候性、その他等の物性を著しく向上させることができる。
ポリビニルアルコ一ル系樹脂としては、一般に、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られるものを使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸基が数十%残存している部分ケン化ポリビニルアルコール系樹脂でも、酢酸基が残存しない完全ケン化ポリビニルアルコールでも、OH基が変性された変性ポリビニルアルコール系樹脂でもよく、特に限定されるものではない。
また、バリアコート層にシランカップリング材を添加してもよい。例えば、メトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシ基、アセトキシ基、アミノ基、エポキシ基などの反応基を有するシランカップリング材が、使用できる。
更に、上記のガスバリア性組成物において用いられる有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール等を用いることができる。なお、上記ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体は、上記アルコキシドやシランカップリング剤などを含む塗工液中で溶解した状態で取り扱われることが好ましく、上記有機溶媒の中から適宜選択することができる。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂とエチレン・ビニルアルコール共重合体とを組み合わせて使用する場合には、n-ブタノールを使用することが好ましい。
バリアコート層は、以下の方法で製造することができる。まず、上記金属アルコキシド、必要に応じてシランカップリング剤、水溶性高分子、ゾルゲル法触媒、酸、水、有機溶媒等を混合し、ガスバリア性組成物(バリアコート液)を調製する。
次いで、該ガスバリア性組成物を上記の化学気相蒸着層の上に塗布する。ガスバリア性組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアロールコーターなどのロールコート、スプレーコート、スピンコート、ディッピング、刷毛、バーコード、アプリケータ等の塗布手段が挙げられる。
次いで、上記ガスバリア性組成物を塗布したフィルムを20℃~200℃、かつ蒸着フィルムの融点以下の温度、好ましくは、50℃~180℃の範囲の温度で、10秒~10分間加熱・乾燥する。これによって、重縮合が行われ、バリアコート層を形成することができる。また、上記ガスバリア性組成物を上記の化学気相蒸着層の上に重ねて塗布して塗布膜を2層以上重層し、20℃~200℃、かつ、上記樹脂基材の融点以下の温度で10秒~10分間加熱乾燥処理して、ガスバリア性塗布膜を2層以上重層した複合ポリマー層を形成してもよい。以上により、上記ガスバリア性組成物によるバリアコート層を1層ないし2層以上形成することができる。
バリアコート層の厚さは、好ましくは150nm以上300nm以下であり、より好ましくは180nm以上250nm以下である。バリアコート層の厚さが上記範囲内であれば、高温高湿環境下での保存後のガスバリア性に優れ、かつゲルボフレックス試験後においてもガスバリア性の劣化を抑制することができる。
<用途>
本発明によるバリアフィルムは、高度なガスバリア性を要求される様々な分野の製品に適用することができる。例えば、包装材料や、太陽電池、有機発光ダイオード、および表示装置等の電気・電子製品に用いることができる。特に、本発明によるバリアフィルムは、医療品、医薬品、化粧品、化学品、飲食品等の包装材料として用いることができる。バリアフィルムは、高温高湿環境下での保存後であってもガスバリア性に優れ、かつゲルボフレックス試験後においてもガスバリア性の劣化を抑制したものであるため、高度なガスバリア性が要求される、医療品・医薬品用包装材料として特に好適に用いることができる。
<バリアフィルムの製造>
[実施例1]
樹脂基材として二軸延伸PETフィルム(三菱ケミカル(株)製、商品名:T600W、厚さ23μm)を用意した。次に、該PETフィルムの一方の面上に平坦化層(主成分:アクリル樹脂、厚さ0.5μm、表面粗さRa0.7nm、Pv8.0nm)を設けた。なお、平坦化層の表面粗さのRa(算術平均粗さ)およびPv(最大谷深さ)は、MIL B 131(ASTM F 392)に準拠して、走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、ナノキュートSPI3800N)を用いて走査エリア5μmエリアで測定した。
続いて、該PETフィルムの平坦化層上に、ロールツーロール型プラズマCVD処理装置を用いて、下記の条件で蒸着膜組成比Si:O:Cが31:59:10である化学気相蒸着層(厚さ160nm)を形成した。なお、化学気相蒸着層の厚さは、蛍光X線分析装置(Rigaku社製、RIX)を用いて測定した。
(化学気相蒸着層の蒸着条件1)
・投入電力 0.7kW
・原料ガス組成 HMDSO
・He/Mn/O 100/100/1500sccm
・電極用Ar 100sccm
・成膜圧力 3.5Pa
・膜厚 160nm
・フィルム搬送速度 0.5m/min
また、表1に示す組成に従って、調製した組成Aの混合液に、予め調製した組成Bの加水分解液を加えて攪拌し、無色透明のガスバリア性組成物を得た。

Figure 0007061284000001
次に、該PETフィルムの化学気相蒸着層上に、上記で調製したガスバリア性組成物をダイレクトグラビア法によりコーティングした。その後、140℃で60秒間、加熱処理して、厚さ200nm(乾操状態)のガスバリア性塗布膜を形成して、バリアフィルムを得た。
[実施例2]~[実施例6]、[比較例1]
平坦化層の厚さおよび表面粗さならびに化学気相蒸着層の厚さを下記の表2に示した通りにした以外は、実施例1と同様にしてバリアフィルムを製造した。
<バリアフィルムの性能評価>
上記の実施例および比較例で製造したバリアフィルムに下記の測定を行った。
(水蒸気透過度の測定1)
バリアフィルムの水蒸気透過度を、水蒸気透過度測定機(MOCON社製:PERMATRAN)を用いて、JIS K7129Bに準拠して、または、Tecnolox製DELTA PARMを用いて、ISO 15106-5に準拠して、温度40℃および湿度90%の環境下で測定した。測定結果は、下記の表2に示される通りであった。
(水蒸気透過度の測定2)
バリアフィルムを、温度85℃および湿度85%の環境下で120時間保存した。続いて、保存後のバリアフィルムの水蒸気透過度を、上記の水蒸気透過度の測定1と同様にして測定した。測定結果は、下記の表2に示される通りであった。
(水蒸気透過度の測定3)
バリアフィルムを、テスター産業製ゲルボフレックステスターを用いて、MIL B 131(ASTM F 392)に準拠し、実際の使用状況を考慮して50回の屈曲回数で、ゲルボフレックス試験を行った。続いて、ゲルボフレックス試験後のバリアフィルムの水蒸気透過度を、上記の水蒸気透過度の測定1と同様にして測定した。測定結果は、下記の表2に示される通りであった。
(酸素透過度の測定)
バリアフィルムを、テスター産業製ゲルボフレックステスターを用いて、MIL B 131(ASTM F 392)に準拠し、実際の使用状況を考慮して50回の屈曲回数で、ゲルボフレックス試験を行った。続いて、ゲルボフレックス試験後のバリアフィルムの酸素透過度を、酸素透過度測定機(MOCON社製:OX-TRAN)を用いてJIS K 7126に準拠して、温度23℃および湿度85%の環境下で測定した。測定結果は、下記の表2に示される通りであった。
Figure 0007061284000002
符合の説明
10 バリアフィルム
11 樹脂基材
12 平坦化層
13 化学気相蒸着層
14 バリアコート層

Claims (7)

  1. 樹脂基材と、平坦化層と、化学気相蒸着層と、バリアコート層とをこの順に備えるバリアフィルムであって、
    前記平坦化層の厚さが、0.3μm以上2.5μm以下であり、
    前記平坦化層の化学気相蒸着層と接する側の表面粗さRaが、2.0nm以下であり、
    前記バリアコート層が、金属アルコキシドの加水分解生成物と水溶性高分子との硬化膜である、バリアフィルム。
  2. 前記化学気相蒸着層が、無機酸化物蒸着膜である、請求項1に記載のバリアフィルム。
  3. 前記無機酸化物蒸着膜が、珪素、酸素、および炭素を含む、請求項2に記載のバリアフィルム。
  4. 前記化学気相蒸着層の厚さが、50nm以上200nm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のバリアフィルム。
  5. 前記バリアコート層の厚さが、150nm以上300nm以下である、請求項1~のいずれか一項に記載のバリアフィルム。
  6. 前記平坦化層が、アクリル系樹脂を含む、請求項1~のいずれか一項に記載のバリアフィルム。
  7. 医療品・医薬品用包装材料に用いられる、請求項1~のいずれか一項に記載のバリアフィルム。
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