JP4799698B1 - ガスバリアフィルムの製造方法及びガスバリアフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 複数枚のプラスチックフィルムが剥離可能に積層された状態である基材フィルムの最表面に対し、不活性ガス導入下において、気圧が1×10−1〜1×10−3torrという環境下にて予めプラズマ処理を施すプラズマ処理工程と、その表面にガスバリア層を積層してなるガスバリア層積層工程とを備えてなり、前記プラズマ処理がグロー放電プラズマ処理であり、前記グロー放電プラズマ処理工程が施された前記基材表面に、前記グロー放電プラズマ処理を施したことにより周期表における第4周期第4族から同第12族に属するいずれかの金属、若しくは当該範囲内の金属同士による合金が付着してなる方法とした。
【選択図】 なし
Description
本願発明に係るガスバリアフィルムの製造方法に関して、第1の実施の形態として説明する。
まず基材となるプラスチックフィルムの表面に対し不活性ガス導入下においてプラズマ処理を実施するのであるが、この際の気圧は本実施の形態においては気圧は1×10−1〜1×10−3torrであるものとする。即ち本実施の形態におけるプラズマ処理とは、不活性ガス導入下におけるGDプラズマ処理である。そしてさらに本実施の形態におけるプラズマ処理はグロー放電プラズマ処理であり、さらにグロー放電プラズマ処理工程が施された基材表面に、グロー放電プラズマ処理を施したことにより周期表における第4周期第4族から同第12族に属するいずれかの金属、若しくは当該範囲内の金属同士による合金が付着するようにされている。(以下、本願発明におけるプラズマ処理を「GDプラズマ処理」とも記す。)
従来のガスバリアフィルムでは基材フィルム表面に直接金属又は金属酸化物による層を積層していたところ、得られたものを実際に使用するに際して、また積層後更に加工処理を施している最中に基材フィルムと金属層との層間密着力が充分でないために剥離してしまい、その結果好適なガスバリアフィルムが製造できない、また使用中にガスバリア性が低下してしまう、といった問題が生じていた。
表面が未処理(プレーン)な状態のPETフィルム表面に何らかの積層を行おうとしても、積層物が「滑らか」な表面を有するPETフィルム表面に定着せず、いわば「ハジキ」と呼ばれる現象が生じ、所望のレベルの密着性を確保した積層が行えない。
まず最初に、上述したようにターゲットを鉄としてGDプラズマ処理を実行することで鉄原子が基材表面に付着する。そもそも前述の通り基材表面には異物等が存在しない状況となっているので、鉄原子は基材表面に密着する。次いで基材表面及びその表面に密着する鉄原子に対しシリカ原子が順次付着していき、これがシリカによる層となる。この際、鉄とシリカとの間には強固な結合が形成される。そして引き続きシリカが積層され続けるのである。鉄とシリカとにより形成されている結合が強い、ということは鉄とシリカとの密着性が良いと言える。そして鉄と基材とは密着している。故に基材と蒸着層(シリカ層)との密着性が非常に強固である、と言え、また実際密着性は良好なものとなる。そしてこの過程において、先に形成された鉄とシリカとの強固な結合の影響により、さらなるシリカの積層において、シリカがより凝集した形で暫時積層され続けるので、得られるシリカ層は最終的に緻密な蒸着膜(シリカ層)となる。シリカ層が緻密になる、ということはバリア性が向上することを意味する。そして鉄の表面にシリカを蒸着し続けていくと、やがて、あたかも鉄がシリカ層の中に展開していき、最終的にはシリカ層の中に鉄が散在した状態となり、実際そのように観察される。つまり最終的には鉄原子がシリカ層中に散在した状態の層がシリカ層として基材表面に積層されることとなる。つまり、単純に基材/鉄層/シリカ層、という3層の積層となるのではなく、基材表面に「鉄とシリカとが混合した状態」の層が積層されてなるのである。その結果、ガスバリア層はシリカ単独による層の場合に比して、よりバリア性が向上したものとなる。また基材と蒸着層との層間密着力がより向上する。さらには凝集応力に強い層となり、また結果的に濡れ性を向上したものとなる。
次に、先に述べた第1の実施の形態に係るガスバリアフィルムの製造方法において、全工程を終了後、更にガスバリア層の表面に第2高分子樹脂を積層する第2高分子樹脂積層工程を実行してなる、ガスバリアフィルムの製造方法につき、第2の実施の形態として説明する。
基材となる高分子樹脂フィルム:PETフィルム((株)帝人製「NS」厚み12μm)
第1高分子樹脂:信越化学工業(株)製
商品名:KBM403
積層厚み:0.2μm
第2高分子樹脂:信越化学工業(株)製
商品名:KBE403
積層厚み:0.2μm
ガスバリア層:SiOx(1.0≦x≦2.0) 厚み0.015μm
KBM403 50重量部
水 50重量部
塩酸(35%) 0.07 重量部
これらを混合した液を作成して加水分解させた後、
IPA/n−ブタノール=575/575(重量部)を加えて希釈する。
そしてさらに硬化触媒(アルミニウムアセチルアセトナート)を2重量部加えて調製を完了する。
KBE403 50重量部
水 50重量部
塩酸(35%) 0.07 重量部
これらを混合した液を作成して加水分解させた後、
IPA/n−ブタノール=575/575(重量部)を加えて希釈する。
そしてさらに硬化触媒(アルミニウムアセチルアセトナート)を2重量部加えて調製を完了する。
GDプラズマ処理時における導入ガス:アルゴン
GDプラズマ処理時における真空度:5×10−2torr
ガスバリアの性能測定方法
耐湿熱試験:85℃温水試験を2週間、更に85℃湿度85%で1000時間放置した。
得られたガスバリアフィルムは JIS Z 0208 に準じて透過湿度試験を行った。(カップ法)
また透湿度に関する測定は JIS K 7129 に準じて行った。(モコン法透湿)
また酸素透過度に関する測定は JIS K 7126 に準じて行った。(モコン法酸素)
実施例1−1 基材/第1高分子樹脂層/ガスバリア層
実施例1−2 基材/第1高分子樹脂層/ガスバリア層
実施例2 基材/ガスバリア層
実施例3−1 基材/第1高分子樹脂層/ガスバリア層/第2高分子樹脂層
実施例3−2 基材/第1高分子樹脂層/ガスバリア層/第2高分子樹脂層
実施例4 基材/ガスバリア層/第2高分子樹脂層
実施例5 基材/第1高分子樹脂層/ガスバリア層/第1高分子樹脂層/ガスバリア層
また実施例1−2及び実施例3−2では、第1高分子樹脂層の表面に対し再びGDプラズマ処理を施した後、更に積層を行った。
比較例2 基材/ガスバリア層
比較例3 基材/第1高分子樹脂層/ガスバリア層/第2高分子樹脂層
比較例4 基材/ガスバリア層/第2高分子樹脂層
比較例5 基材/第1高分子樹脂層/ガスバリア層/第1高分子樹脂層/ガスバリア層
比較例2・4では基材表面に何ら前処理を行うことなくガスバリア層を積層した。
・ バリア性1
各実施例及び比較例の積層フィルムに、更に厚みが60μmのCPP(東洋紡績(株)製:商品名「P1446」)を従来公知な手法によりドライラミネートしたものをサンプルとした。
得られたサンプルを125℃の熱水に30分間浸漬した。
その前後のバリア性を測定した。浸漬前を「初期」、浸漬後を「レト後」として表に記載する。尚(OTR/WVTR)とは、酸素透過度/水蒸気透過度である。
各実施例及び比較例の積層フィルムの両面に対しプラスチックフィルムを以下の通りラミネートしたものをサンプルとした。
厚み50μmの耐候PET(東洋紡績(株)製:商品名「シャインビームK1653」)/実施例又は比較例の積層フィルム/厚み188μmの白色PET(東洋紡績(株)製:商品名「TR810」)
得られたサンプルに対し以下の環境にさらした。
1) 85℃の温水に2週間浸漬した。
2) 気温85度湿度85%の状況で1000時間放置した。
それぞれの条件を満たした後に、前述の「カップ法」「モコン法透湿」「モコン法酸素」により測定されたガスバリア性につき表に記載する。
また、密着性に関しては上記サンプルの構成において
厚み50μmの耐候PET/実施例又は比較例の積層フィルム
の境界面における密着性を測定した。
測定方法は T型剥離 引っ張り速度300mm/min によるものとした。
更に先の試験と同様、得られたサンプルを125℃の熱水に30分間浸漬した前後の、上記同様の箇所における密着度を同様にして測定した。その結果は表中「密着」とした欄に記載する。
Claims (12)
- 少なくとも、
複数枚のプラスチックフィルムが剥離可能に積層された状態である基材フィルムの最表面に対し、不活性ガス導入下において、気圧が1×10−1〜1×10−3torrという環境下にて予めプラズマ処理を施すプラズマ処理工程と、
前記プラズマ処理工程後、前記プラズマ処理を施された基材表面に対し、第1高分子樹脂を積層してなる第1高分子樹脂積層工程と、
前記第1高分子樹脂積層工程を実施した後に、その表面にガスバリア性を有するガスバリア層を積層してなるガスバリア層積層工程と、
を備えてなり、
前記プラズマ処理がグロー放電プラズマ処理であり、
前記グロー放電プラズマ処理工程が施された前記基材表面に、前記グロー放電プラズマ処理を施したことにより周期表における第4周期第4族から同第12族に属するいずれかの金属、若しくは当該範囲内の金属同士による合金が付着してなること、
を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。 - 請求項1に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、
前記ガスバリア層積層工程の後に、
前記ガスバリア層の表面に、第2高分子樹脂を積層してなる第2高分子樹脂積層工程を実行してなること、
を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。 - 請求項1又は請求項2に記載のガスバリアフィルムの製造方法において、
前記複数のプラスチックフィルムの合計厚みが50μm以下であり、
なおかつ前記複数のプラスチックフィルムの中の1枚の厚みが3μm以上であること、を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。 - 請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法において、
前記製造方法により得られた積層体の最も表面の更に外側表面にプラスチックフィルムをラミネートして最外層を積層してなるフィルムラミネート工程を実行してなること、
を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。 - 請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、
前記不活性ガスが、アルゴンガス又はアルゴン/酸素ガスであること、
を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。 - 請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、
前記ガスバリア層を構成する物質が、珪素、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム、インジウム、マグネシウム、の一群よりなる群のいずれか1つ若しくはその酸化物、窒化物、又は化合物のいずれか、又は前記一群の中の複数若しくはその酸化物、窒化物、又は化合物、であり、
前記ガスバリア層が、真空蒸着法により積層されてなるものであること、
を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。 - 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、
前記ガスバリア層がSiOxで示される酸化珪素であって、なおかつそのxが1.0≦x≦2.0であること、
を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。 - 請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、
前記第1高分子樹脂又は前記第2高分子樹脂の何れか一方若しくは双方が、シランカップリング剤によるものであること、又はシランカップリング剤を主に配合してなる高分子樹脂であること、
を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。 - 請求項1ないし請求項8の何れか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、
前記第1高分子樹脂層又は前記第2高分子樹脂層のいずれか若しくは双方に硬化触媒が添加されてなること、
を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。 - 請求項9に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、
前記硬化触媒が、鉄アセチルアセトナート、亜鉛アセチルアセトナート、アルミニウムアセトナート、四塩化錫、ジイソプロポキシビスアセチルアセトナトチタン、ジヒドロキシビスラクタトチタン、のいずれか1つ又は複数であること、
を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。 - 請求項1ないし請求項10の何れか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法により製造されてなること、
を特徴とする、ガスバリアフィルム。 - 請求項11に記載のガスバリアフィルムを用いてなること、
を特徴とする、太陽電池バックシート。
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