JP4799699B1 - ガスバリアフィルムの製造方法及びガスバリアフィルム - Google Patents

ガスバリアフィルムの製造方法及びガスバリアフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】 基材表面に位置する官能基がアミド化や窒化することを防ぎつつ、また酸素結合に頼ることなく層間密着力を向上させることを可能としたガスバリアフィルムの製造方法及び係る製造方法によるガスバリアフィルムを提供する。
【解決手段】 基材となるプラスチックフィルムの表面に対し、不活性ガス導入下において、気圧1×10−1〜1×10−3torrという環境下にて予めプラズマ処理を施すプラズマ処理工程と、前記プラズマ処理工程を実施した後に、その表面にガスバリア性を有するガスバリア層を積層してなるガスバリア層積層工程と、を備えてなる製造方法、及び該方法により得られるガスバリアフィルムとした。
【選択図】 なし

Description

本発明はガスバリアフィルムの製造方法及び該製造方法により得られるガスバリアフィルムに関するものであって、具体的には、層間剥離の発生を抑制、防止可能とし、同時に従来よりも更にバリア性を高めたハイバリア性を有するガスバリアフィルムの製造方法及び該製造方法により得られるガスバリアフィルムに関する。
従来より酸素や湿気を嫌う物質の保護のためにガスバリア性を付与したプラスチックフィルム(以下単に「ガスバリアフィルム」とも言う。)が様々なシーンにおいて広く用いられている。例えば食品の包装用材料として用いられたり、電子部品材料等の包装用材料として用いられている。そのような利用にあって包装材料は、内容物の変質を抑制・防止する性質を有してなることが強く求められている。特に最近では酸素や水蒸気などにより容易に変質してしまうほど繊細で取扱にも慎重さを要求される物品を酸素や水蒸気による変質から容易に保護可能と出来る包装材料が必要とされている。
ガスバリア性を有するフィルムとして従来はポリ塩化ビニリデンやポリアクリロニトリル等によるプラスチックフィルムを用いていたが、これらのフィルムは廃棄の際に環境有害物を排出してしまうため利用されなくなってきている。また環境問題の観点から言えばポリビニルアルコールによるプラスチックフィルムを用いることが好適であるかのように思われるが、このフィルムはガスバリア性の湿度依存性が高く、即ち高湿度下ではガスバリア性、特に水蒸気バリア性が著しくかつ容易に低下してしまうため、高度なガスバリア性を必要とする場面では利用できないものである。
そこでプラスチックフィルムの表面に酸化珪素や酸化アルミニウム等の無機物を物理的蒸着法又は化学的蒸着法により設けたフィルムをガスバリアフィルムとして包装材料に用いていたが、これらのガスバリアフィルムは屈曲に対する耐久性に乏しく、即ち屈曲時において蒸着層にクラックが容易に生じるため、そのためバリア性が容易に低下してしまうという問題があった。またプラスチックフィルムとその表面に蒸着した無機物との間の層間密着力が小さいので、屈曲等を繰り返すとフィルムの可撓性に無機物が追従できず、その結果これらが容易に剥離してしまってガスバリア性を喪失してしまうため、実用面で問題があった。
そこで、このような問題に対処すべく様々な提案がなされるようになってきた。例えば特許文献1では、基材として利用するポリエステルフィルムの表面をプラズマ処理し、その後その表面に、Siを構造単位中に含みかつプラズマ重合法にて形成される高分子層を有する積層体に関する発明が開示されている。
特許登録第3427398号
特許文献1に記載された積層体であれば、確かに基材フィルムであるポリエステルフィルムと、その表面に積層されてなる高分子層との密着性や屈曲性に優れたセラミックフィルムを得ることが可能である。
しかし特許文献1に記載の発明を詳細に検討するならば、この発明はプラズマ重合における酸化度の制御を主目的としたものであって、実際にここに記載された積層体であれば積層直後はポリエステルフィルムと高分子層との密着性は酸化結合が生じることにより良好となるものの、積層面、即ちプラズマ処理を施された面において酸化結合を生じさせているが故に、積層後この酸化結合が容易に切断してしまうことで層間密着力が失われ、その結果ハイバリア性を維持することが困難な積層体となってしまい問題であった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、基材表面に位置する官能基がアミド化や窒化することを防ぎつつ、また酸素結合に頼ることなく層間密着力を向上させることを可能としたガスバリアフィルムの製造方法及び係る製造方法によるガスバリアフィルムを提供することである。
上記課題を解決するため、本願発明の請求項1に記載の発明は、少なくとも、複数枚のプラスチックフィルムが剥離可能に積層された状態である基材フィルムの最表面に対し、不活性ガス導入下において、気圧1×10−1〜1×10−3torrという環境下にて予めプラズマ処理を施すプラズマ処理工程と、前記プラズマ処理を施された基材表面に対し、第1高分子樹脂を積層してなる第1高分子樹脂積層工程を実行してなり、前記第1高分子樹脂層積層工程後、該第1高分子樹脂層表面に対し前記プラズマ処理工程を再度実行した後、プラズマ処理後の表面にガスバリア性を有するガスバリア層を積層してなるガスバリア層積層工程と、を備えてなり、前記プラズマ処理がグロー放電プラズマ処理であり、前記グロー放電プラズマ処理工程が施された前記基材表面に、前記グロー放電プラズマ処理を施したことにより周期表における第4周期第4族から同第12族に属するいずれかの金属、若しくは当該範囲内の金属同士による合金が付着してなること、を特徴とする。
本願発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のガスバリアフィルムの製造方法において、前記複数のプラスチックフィルムの合計厚みが50μm以下であり、なおかつ前記複数のプラスチックフィルムの中の1枚の厚みが3μm以上であること、を特徴とする。
本願発明の請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、前記ガスバリア層積層工程の後に、前記ガスバリア層の表面に、第2高分子樹脂を積層してなる第2高分子樹脂積層工程を実行してなること、を特徴とする。
本願発明の請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法において、前記製造方法により得られた積層体の最も表面の更に外側表面にプラスチックフィルムをラミネートして最外層を積層してなるフィルムラミネート工程を実行してなること、を特徴とする。
本願発明の請求項5に記載の発明は、請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、前記不活性ガスが、アルゴンガス又はアルゴン/酸素ガスであること、を特徴とする。
本願発明の請求項6に記載の発明は、請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、前記ガスバリア層を構成する物質が、珪素、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム、インジウム、マグネシウム、の一群よりなる群のいずれか1つ若しくはその酸化物、窒化物、又は化合物のいずれか、又は前記一群の中の複数若しくはその酸化物、窒化物、又は化合物、であり、前記ガスバリア層が、真空蒸着法により積層されてなるものであること、を特徴とする。
本願発明の請求項7に記載の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、前記ガスバリア層がSiOxで示される酸化珪素であって、そのxが1.0≦x≦2.0であること、を特徴とする。
本願発明の請求項8に記載の発明は、請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、前記第1高分子樹脂又は前記第2高分子樹脂の何れか一方若しくは双方が、シランカップリング剤によるものであること、又はシランカップリング剤を主に配合してなる高分子樹脂であること、を特徴とする。
本願発明の請求項9に記載の発明は、請求項1ないし請求項8の何れか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、前記第1高分子樹脂層又は前記第2高分子樹脂層のいずれか若しくは双方に硬化触媒が添加されてなること、を特徴とする。
本願発明の請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、前記硬化触媒が、鉄アセチルアセトナート、亜鉛アセチルアセトナート、アルミニウムアセトナート、四塩化錫、ジイソプロポキシビスアセチルアセトナトチタン、ジヒドロキシビスラクタトチタン、のいずれか1つ又は複数であること、を特徴とする。
本願発明の請求項11に記載の発明は、請求項1ないし請求項10の何れか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法により製造されてなること、を特徴とする。
以上のように、従来は酸素ガスバリア性を良好にすることは容易であっても水蒸気バリア性を同時に向上させること、又は水蒸気ガスバリア性を良好にすることは容易であっても酸素ガスバリア性を同時に向上させること、を実現することは困難であったところ、本願発明に係るガスバリアフィルムの製造方法であれば、酸素ガスバリア性と同時に水蒸気ガスバリア性をも向上させることが可能となり、例えば酸素ガスバリア性と同時に水蒸気ガスバリア性も高いレベルで要求される電子部材の包装材料として好適な素材とすることが出来るようになる。これは本願発明による製造方法においては基材となるプラスチックフィルムの表面に不活性ガス導入下において、いわゆるプラズマ処理を施すことによりプラスチックフィルムの表面が単純にかつ純粋に物理的に荒らされた状態となることにより、その表面にいわゆるアンカーコート層を積層したり、直接ガスバリア性物質を積層することで基材フィルムとの結びつきが強固なものとなるからであり、即ちこの部分において、加水分解が生じることによる密着力低下、またそれに伴う層間剥離を抑制することが可能となるので、ひいてはガスバリア性を高いレベルで維持できるガスバリアフィルムを得ることが出来るのである。また基材表面に対し不活性ガス導入下におけるプラズマ処理を施すことにより、その表面に積層される物質が緻密に凝集した状態が誘発され、またそのように積層されることとなるので、ガスバリア性をよりハイレベルなものとすることが出来る。
さらに本願発明によればそもそも基材フィルムが複数枚のフィルムを貼着したものであることより、即ち従来単品では積層不可能とされていた厚みの薄いプラスチックフィルムの表面に対してであってもバリア性層等を積層することが出来るようになったものであり、従来のバリアフィルムに比べ同等の性能を有するもさらに薄いものを得られるようになる。
以下、本願発明の実施の形態について説明する。尚、ここで示す実施の形態はあくまでも一例であって、必ずもこの実施の形態に限定されるものではない。
(実施の形態1)
本願発明に係るガスバリアフィルムの製造方法に関して、第1の実施の形態として説明する。
本実施の形態に係るガスバリアフィルムの製造方法は、少なくとも、基材となるプラスチックフィルムの表面に対し、不活性ガス導入下において、気圧1×10−1〜1×10−3torrという環境下にて予めプラズマ処理を施すプラズマ処理工程と、前記プラズマ処理を施された基材表面に対し、第1高分子樹脂を積層してなる第1高分子樹脂積層工程を実行してなること、前記第1高分子樹脂層積層工程後、該第1高分子樹脂層表面に対し前記プラズマ処理工程を再度実行した後、プラズマ処理後の表面にガスバリア性を有するガスバリア層を積層してなるガスバリア層積層工程と、を備えてなり、前記プラズマ処理がグロー放電プラズマ処理であり、前記グロー放電プラズマ処理工程が施された前記基材表面に、グロー放電プラズマ処理を施したことにより周期表における第4周期第4族から同第12族に属するいずれかの金属、若しくは当該範囲内の金属同士による合金が付着してなること、を特徴とするものである。
以下、順次説明をしていく。
まず基材となるプラスチックフィルムの表面に対し不活性ガス導入下においてプラズマ処理を実施するのであるが、この際の気圧は本実施の形態においては気圧が1×10−1〜1×10−3torrであるものとする。即ち本実施の形態におけるプラズマ処理とは、不活性ガス導入下におけるGDプラズマ処理である。そしてさらに本実施の形態におけるプラズマ処理はグロー放電プラズマ処理であり、さらにグロー放電プラズマ処理工程が施された基材表面に、グロー放電プラズマ処理を施したことにより周期表における第4周期第4族から同第12族に属するいずれかの金属、若しくは当該範囲内の金属同士による合金が付着するようにされている。(以下、本願発明におけるプラズマ処理を「GDプラズマ処理」とも記す。)
より具体的に述べるならば、不活性ガスとしてはアルゴンガス又は酸素が混入されたアルゴンガスであることが望ましく、ここではアルゴンガスを用いることとする。また気圧は前述の通り気圧が1×10−1〜1×10−3torrとすることが好ましい。この範囲内であれば、アルゴンガス存在下におけるGDプラズマ処理を行うとプラズマ放電が生じるからであり、後述する所望の効果を確実に得られるからである。尚より確実にGDプラズマ処理による効果を得るのであれば気圧の範囲は2×10−2torr以上7×10−2torr以下とすれば良い。そして本実施の形態では5×10−2torrであるものとする。
また本実施の形態に係るGDプラズマ処理を施した後の基材フィルムのGDプラズマ処理済面の状態は、光電子分光分析(XPS)の分析結果によれば、表面官能基のカルボニル基が窒化あるいは酸化した状態にないことが必要である。また原子間力顕微鏡観察による1μm平方内部において抽出される(但しフィラー等の突起物を除く)任意の10点の表面粗さRaが0.6nm±0.2nm、であり、また十点平均高さRzがRz≧6nmであり、更に純水による接触角測定の結果が50°±5°、という条件を満たすこととする。これは後述の全ての実施の形態における各GDプラズマ処理において、即ち本願発明におけるGDプラズマ処理において、全て同一の条件である。尚、GDプラズマ処理に関しては後ほど改めて詳述する。
次に基材フィルムに関し説明をする。なおここで説明する基材フィルムに関する内容は本願発明において全て共通であり、後述の各実施の形態の説明において単に「基材フィルム」としてある箇所は全て以下の説明等同様であり、またその詳述を省略することを予め断っておく。
本実施の形態では基材として複数のプラスチックフィルムを積層したものを用いるが、これは通常ガスバリアフィルムの基材として用いられているフィルムであればよく、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムや、ナイロンフィルム、無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム、直鎖状低密度ポリエチレン(LLPDE)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、環状ポリオレフィン(COP)フィルム、ポリカーボネート(PC)フィルム、ポリエーテルスルホン(PES)フィルム、等であれば良い。
そして本実施の形態においては、プラスチックフィルムを複数枚積層し、なおかつこれらが剥離可能である物としているが、その理由は以下の通りである。
通常プラスチックフィルムの表面に種々の物質を種々の手法により積層する場合、その工程に耐えられるだけの厚みが必要であり、一般的には12μm程度以上の厚みが必要であるとされている。換言するならば、12μm未満、たとえば3μm程度のプラスチックフィルム表面に対して蒸着法により金属酸化物を積層しようとしても、蒸着工程で生じる電圧等の物理的な外圧にプラスチックフィルムが耐えられず破損してしまい、その結果、この厚みのプラスチックフィルムを基材とした積層フィルムを製造できなかった。
しかし別な見方をすれば、積層工程を実施する場合に、見かけ上であっても一定以上の厚みを基材が有していれば積層することが可能であることがわかったので、本実施の形態においては複数のプラスチックフィルムを後に剥離することが可能な状態で積層しておき、この複数枚が積層された状態のプラスチックフィルムの表面に対して、後述する種々の処理を施すこととしたのである。
そして最終的には複数枚が積層された状態のプラスチックフィルムの最表面に位置するプラスチックフィルムの表面に種々の物質が積層された後に、積層物を有する最表面のプラスチックフィルムから他のプラスチックフィルムを剥離することにより、結果として極薄の、つまりは従来は直接積層することが不可能であるとされていた薄さのプラスチックフィルムであっても、そこにガスバリア性を有する物質を積層することにより、極薄のガスバリア性フィルムを得ることが出来るのである。そして後述する本実施の形態のようにして積層工程を実行すれば、極薄であるにもかかわらず高度なバリア性を発揮しうる極薄のハイバリア性フィルムを得ることが出来るのである。
尚ここでは基材としてプラスチックフィルムを剥離可能に積層する、としたが、たとえば複数のプラスチックフィルムの合計厚みが50μm以下であり、なおかつ複数のプラスチックフィルムのうち最表面に位置する、即ち種々の物質が積層されるプラスチックフィルムの厚みが3μm以上ある、とすることが考えられる。
例えば、1枚が3μmの厚みを有するPETフィルム、もう1枚が25μmの厚みを有するPETフィルムであり、これらが剥離可能に積層されてなり、3μmの厚みのPETフィルムの表面に種々積層をしていき、最終的に積層工程が完了した後に25μmの厚みのPETフィルムを剥離すれば、結果として、3μmの厚みのPETフィルムを基材としたハイバリア性フィルムとすることが出来るのである。つまり、薄いフィルムと厚いフィルムとを貼着し、薄いフィルムの表面に積層をし、最後に厚いフィルムを剥離する、という手順で実行するのである。
尚、本実施の形態では、このように用いる複数のプラスチックフィルムとして上述のようにPETフィルムを用いることとするが(以下本明細書においてこの状態のフィルムを単に「PETフィルム」又は「基材フィルム」とも言う。)、これはその物性や特性が広く用いられていること、即ち扱いやすく、また入手しやすい、ということによるものであり、必ずしもこれに限定されるものではない。ちなみに、積層する複数のプラスチックフィルムを全て異なる種類のものとすることも考えられ、また極薄のプラスチックフィルムを例えば一定の厚いを有するガラス板等に積層したものを基材として積層工程を実施し、最後にガラスからフィルムを剥離することにより極薄のものを得る、という手法も考えられるが、作業の容易性を考えた場合、同種のプラスチックフィルムを積層していくことが好ましいのである。
尚、本実施の形態で用いる基材フィルムは、その最表面に対し例えばコロナ処理や易接着コートといった何らかの前処理が施されたものではなく、いわゆるプレーンタイプのフィルムであることが望ましい。つまり、コロナ処理や易接着コートといった処理が施された面に対して真空プラズマ処理を施しても、本実施の形態においてはむしろ有害となる表面状態が現出される可能性が高いからである。この点に関しては改めて詳述する。
このように基材フィルム最表面に対しアルゴンガスを用いた真空プラズマ処理を施すプラズマ処理工程を終えると、次に真空プラズマ処理を施した表面に対し、第1高分子樹脂を積層してなる第1高分子樹脂積層工程を実行する。
このGDプラズマ処理を施す対象である基材となるプラスチックフィルムは、本実施の形態においては特段制限されるものではなく、従来公知にガスバリアフィルムの基材フィルムとして用いられるものであれば良く、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムや、ナイロンフィルム、無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム、直鎖状低密度ポリエチレン(LLPDE)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、環状ポリオレフィン(COP)フィルム、ポリカーボネート(PC)フィルム、ポリエーテルスルホン(PES)フィルム、等であれば良い。
また用いられるフィルムの厚みは特段制限するものではないが、本実施の形態においてはGDプラズマ処理を施しても破損しない程度の厚みは必要であり、また最終的にハイバリア性を有するガスバリアフィルムを得た際にある程度の可撓性が必要であれば、係る可撓性を確保できる程度の厚み以下とする必要があることは詳細を述べるまでもなく当然のことである。この点を考慮してより具体的に検討するならば、フィルムの厚みは5μm以上200μm以下であることが好ましいと言えるが、これは5μm以下であると後述する積層工程を施す際に行われる種々の処理に耐えられずに破損する可能性が高いからであり、200μm以上であると実際に得られるフィルムの可撓性が乏しいものとなってしまい、ひいては包装材料として不適なものとなってしまうからである。尚、本実施の形態では12μmの厚みを有するPETフィルムであるものとするが、必ずしもこれに限定されるものではないことを断っておく。
また本実施の形態で用いるプラスチックフィルムの材質は特段制限をするものではないが、このフィルムは、その表面に対し例えばコロナ処理や易接着コートといった何らかの前処理が施されたものではなく、いわゆるプレーンタイプのフィルムであることが望ましい。つまり、コロナ処理や易接着コートといった処理が施された面に対してGDプラズマ処理を施しても、本実施の形態においてはむしろ有害となる表面状態が現出される可能性が高いからである。この点に関しては改めて詳述する。
このようにPETフィルム表面に対しアルゴンガスを用いたGDプラズマ処理を施すプラズマ処理工程を終えると、次にGDプラズマ処理を施した表面に対し、第1高分子樹脂を積層してなる第1高分子樹脂積層工程を実行する。
この第1高分子樹脂としては特段限定されるものではないが、最も好適であるのは、シランカップリング剤である。そしてより好適であると言えるのは、エポキシ系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、メタクリル系シランカップリング剤、ウレイド系シランカップリング剤、であり、本実施の形態においてはエポキシ系シランカップリング剤を第1高分子樹脂として用いることとする。
この第1層を設ける理由は以下の通りである。
従来のガスバリアフィルムでは基材フィルム表面に直接金属又は金属酸化物による層を積層していたところ、得られたものを実際に使用するに際して、また積層後更に加工処理を施している最中に基材フィルムと金属層との層間密着力が充分でないために剥離してしまい、その結果好適なガスバリアフィルムが製造できない、また使用中にガスバリア性が低下してしまう、といった問題が生じていた。
しかしこの第1層を設けることにより、まず積層面における凹凸を緩和することとなり、即ち積層面が略平滑状となるので積層物同士の密着性が良くなる、つまり層間密着力を確保することに寄与することとなり、またその他にも後述のガスバリア層を積層する場合ガスバリア層の積層を緻密なものとすることが可能となるのである。更に第1層がいわゆる接着剤のような働きをして基材フィルムとガスバリア層とが容易に剥離することを防止することが出来るようにもなる。よってこのような目的を達するために本実施の形態では第1層を設けるのである。更にこの第1層自身にもガスバリア性が備わっていればより一層、全体としてのガスバリア性向上に寄与することが可能となる。
そしてこのような目的に適した素材としてシランカップリング剤やシランカップリング剤を主に配合してなる高分子樹脂が好適であると言え、本実施の形態においては第1高分子樹脂としてエポキシ系シランカップリング剤を用いるのであり、以下の本実施の形態においてはこれを用いたものとして説明を続ける。
第1高分子樹脂を積層する手法は従来公知の手法であって構わないが、本実施の形態においてはコーティング法を用いるものとし、またその積層厚みは0.2μmであることとする。ちなみに層の厚みは0.03μm以上2μm以下であることが好ましいが、これは0.03μm以下であると上述した効果が得られにくくなり、また2μm以上とすると、本実施の形態により得られるガスバリアフィルム全体の厚みが増えてしまい、可撓性が欠けたものとなってしまうからであり、更にホログラムが生じてしまう、クラックが発生してしまう、実際の製造時において乾燥工程に時間を要するためにコスト抑制が難しくなる、等の理由により、包装材料として好適なものではなくなるからである。
このようにしてGDプラズマ処理をその表面に施したPETフィルムのGDプラズマ処理済表面にエポキシ系シランカップリング剤による第1高分子樹脂層を積層する第1高分子樹脂積層工程を実行すると、当然これを硬化させるのであるが、その手法は従来公知のものであって構わない。しかしここで硬化触媒を添加することによりその硬化を促進させることも考えられる。
ここで用いられる硬化触媒も従来公知のものであって構わないが、用いる硬化触媒を例えば、鉄アセチルアセトナート、亜鉛アセチルアセトナート、アルミニウムアセトナート、四塩化錫、ジイソプロポキシビスアセチルアセトナトチタン、ジヒドロキシビスラクタトチタン、の何れか1つ又は複数であること、とすれば、効果的にエポキシ系シランカップリング剤を主に配合してなる高分子樹脂が硬化することとなり、後述する目的に応じて大変好適なものとすることが出来る。尚、添加量に関しては効果的な量を適宜選択、決定すれば良い。
このようにしてPETフィルム表面にエポキシ系シランカップリング剤を主に配合してなる高分子樹脂による第1高分子樹脂を積層し硬化させると、形成された第1高分子樹脂層表面に対し、前述のGDプラズマ処理を再度施す。なおこの処理を施すことにより、第1高分子樹脂層表面に対しても前述同様の効果を得られるが、これについては既に説明したのと同様であるため、ここでは詳述を省略する。
そしてこの処理を終えると、次にその表面にガスバリア性を有するガスバリア層を積層するガスバリア層積層工程を実行する。
本実施の形態におけるガスバリア層を構成するガスバリア性物質として、例えば珪素、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム、インジウム、マグネシウム、の一群よりなる群の何れか1つ若しくはその酸化物、窒化物、又は化合物の何れか、又はこの一群の中の複数若しくはその酸化物、窒化物、又は化合物、であることが好適である。更に具体的に述べるならば、例えば珪素を用いても良く、また酸化珪素、窒化珪素でも良く、更に珪素化合物であっても良い。またスズとインジウムの合金の酸化物や窒化物であっても良い。即ちこれら一群の金属を原材料とした物質によるガスバリア層とすれば良い。
又は、ガスバリア層がSiOxで示される酸化珪素によるものであって、なおかつxが1.0≦x≦2.0であるものとしても良い。
また後述するが、SiOxによる層は基本的には透明であり、そして本実施の形態に係るハイバリア性フィルムに用いる物質を全て基本的に透明なものを用いれば、本実施の形態により得られるハイバリア性フィルム全体も透明なものとなり、かようなハイバリア性フィルムを包装材料として用いれば内容物も容易に視認可能となるので、単にガスから内容物を保護するだけではなく、内容物の状態も視認できる、という利点が生じるので、SiOxを用いることはこの点において有利であると言える。
SiOxを積層する場合、その積層手法は従来公知のものであって良い。そして本実施の形態では真空蒸着法によるものであることとするが、必ずしもこれに限定されるものではなく、いわゆる物理的蒸着方法、化学的蒸着方法、その他公知な手法で行えば良い。
ガスバリア層の厚みについては、70Å以上1000Å以下であることが好ましい。これは、70Å以下であるとガスバリア層自身が発揮すべきガスバリア性が不十分なものとなってしまい、また1000Å以上であると得られるガスバリアフィルム全体の可撓性が乏しくなってしまうからである。尚、本実施の形態においてはこの厚みは120Åであるものとする。
以上説明したように、本実施の形態におけるガスバリアフィルムの製造方法は、まずGDプラズマ処理を行うプラズマ処理工程を行い、次にその表面に第1高分子樹脂積層工程を実行し、次にガスバリア層積層工程を実行する。ここで本実施の形態におけるGDプラズマ処理に関し更に説明を加える。
先に述べたように、本実施の形態に係るガスバリアフィルムの製造方法では膜厚が12μmのPETフィルムに対しアルゴンガスの導入下GDプラズマ処理を行う。この際の気圧は5×10−2torrとする。
GDプラズマ処理を基材フィルムであるPETフィルム表面に対し実行することで、例えるならば、最初は「滑らか」だったPETフィルムの表面が、GDプラズマ処理後にはいわば「ささくれだった状態」となる。また本実施の形態においてこのGDプラズマ処理を行ってもPETフィルム表面に存在する表面官能基のカルボニル基が酸化あるいは窒化することはない。
これを更に述べると次のようになる。
表面が未処理(プレーン)な状態のPETフィルム表面に何らかの積層を行おうとしても、積層物が「滑らか」な表面を有するPETフィルム表面に定着せず、いわば「ハジキ」と呼ばれる現象が生じ、所望のレベルの密着性を確保した積層が行えない。
そこで滑らかな表面を有するPETフィルム表面に対し従来のプラズマ処理を行うならば、一見表面はある程度ささくれだったような状態となり、ささくれだった部分に積層物が結合し、密着性が向上するように考えられる。しかしこの際、ささくれだった部分をよく観察すると、そこには表面官能基であるカルボニル基が通常のプラズマ処理が施されることにより酸化あるいは窒化した状態になって存在していることが分かる。そして酸化(窒化)したカルボニル基に何らかの積層物を積層させると、まず酸化(窒化)したカルボニル基と積層物とが酸素(窒素)結合を生じることになり、実際積層直後は密着性が非常に向上したような状態となる。しかしこのようにして得られた積層体が一定時間を経過すると、酸素(窒素)結合部分が、例えば加水分解により容易に切断されてしまう。これは大気中の水分と酸素(窒素)結合部分とが反応することにより生じるのである。そしてこの酸素(窒素)結合が切断するということは容易に層間剥離が生じることを意味し、即ち層間剥離が生じることにより積層物により付与されていた機能が弱体化する、又は消失する、という現象が生じてしまうのである。
つまり従来のプラズマ処理を実施した後に積層を行って得られる積層体は、積層体として完成した直後から大気圏中の水分に暴露されることとなり、その水分を理由として積層部分の酸素(窒素)結合部分において加水分解が生じ、それが故に結合部分が切断してしまい、結果層間剥離が生じ、本願発明で目的とするところのガスバリア性が失われてしまう、という現象が生じるのである。
しかし本願発明においては、まずGDプラズマ処理としていること、更に導入ガスとしてアルゴンガスを用いる、ということを理由として上記現象の発生を回避しているのである。
まず導入ガスにアルゴンガスを用いることで、プラズマ処理時にPETフィルムの表面官能基であるカルボニル基が酸化又は窒化することがない。つまり、PETフィルム表面が酸化又は窒化することがない状態で、PETフィルム表面が「ささくれだった」状態となっているので、これに何らかの樹脂等を積層すれば、積層物は従来のように酸素(窒素)結合により結合するのではなく、直接物理的にささくれ立ったPETフィルム表面と結合することになる。故に、これを大気中の水分に暴露したところで、結合部分に加水分解が生じることもなく、ひいては層間剥離が生じることも無くなるのである。故に、積層後の層間密着力をそのまま維持できることとなり、つまりは機能を維持し続けることが可能な状態となる。
またGDプラズマ処理とすることにより、大気中に含まれる水分や窒素がプラズマ処理時に不用意に表面官能基たるカルボニル基と反応することを抑制するので、この点からも加水分解による層間剥離を抑制できることとなる。
尚、アルゴンガス以外の不活性ガスを導入することでも同様の効果が期待できるが、ここではその詳細な説明は省略する。
また現実的にGDプラズマ処理を実行する際に真空チャンバー内における導入ガスをアルゴンのみとするのは困難な場合もあり、必然的に酸素が混入せざるを得ない場合も考えられるが、この場合にあっても酸素の混合割合はアルゴンガスの総量に対し10%以下であれば良い。例えば真空チャンバー内においてGDプラズマ処理を実行する場合、真空チャンバー内の水蒸気が活性化して、PETフィルム表面の官能基と結合することが想定され、そのために前述の場合と同様、不用意に酸素と結合してしまうケースが生じることが考えられるのである。
そこで発明者が鋭意研究、検討した結果、酸素の存在する割合が不活性ガス総量の10%以下であれば本実施の形態における作用効果を充分に奏することが可能であることを見いだしたため、本実施の形態においてはそのレベルで不活性ガスに一部酸素が混入していても良いものとする。
更にGDプラズマ処理を施すことで積層物がより緻密な構造となり、その結果ガスバリア性を更に向上させることが出来る。この点につき簡単に説明をしておく。
通常、表面が未処理のPETフィルムに対し、例えばSiOx等のガスバリア性物質を蒸着させようとする場合、最初にSiOxが蒸着する箇所はPETフィルム表面状に散在している。つまりPETフィルム表面にSiOx分子がいきなり緻密に蒸着するのではなく、PETフィルム表面において点状にSiOxが散在した状態でまずは蒸着される。この状態で続いて更にSiOxを蒸着させると、このSiOx分子は、すでにPETフィルム表面に蒸着しているSiOx同士の隙間に入り込んで蒸着するのではなく、PETフィルム表面のSiOx分子に更に蒸着しようとし、また実際そのように蒸着する。即ち、最初にPETフィルム表面上に点として存在するSiOx分子を核として、この核があたかも成長するような状態で次々とSiOxが蒸着していくのである。
そして、やがて隣り合った核から成長したSiOx分子同士が結合し、最終的には一面のSiOx分子による膜、即ちSiOxによるガスバリア層が形成されることになる。
この状態に至ったガスバリア層を略側面視で観察すると、PETフィルム表面から、緻密な状態に至ったSiOxによるガスバリア層までの距離は大体3nm〜5nmであり、その更に表面にガスバリア層が例えば10nm積層された状態となっている。
つまり、緻密な状態のガスバリア層とPETフィルム表面との間に存在する3nm〜5nmの間隙には、緻密でない、疎な状態のSiOxによる層が存在しているが、この部分は逆な見方をすればガスバリア性物質が存在していない空隙が多数存在していることより、この部分の存在がガスバリア性を低下させる大きな要因となっている。
そこでこの無用な空隙を出来るだけ無くすために、酸素や窒素を導入ガスとしたプラズマ処理を行うと、PETフィルム表面にはささくれだったような微細な凹凸が無数発生し、その状態のPETフィルムに対しSiOxを蒸着するならば、まず最初に凹部にSiOxの分子が入り込んでいき、次いで凹部に入り込んだSiOx分子を核として更にSiOx分子が蒸着していく。
この時、凹部にSiOx分子が入り込むことによって凹部があたかもSiOx分子で埋められた状態となるが、これは上述したようにPETフィルム表面に直接SiOxが蒸着するよりも、同一物質である蒸着済のSiOxに更にSiOxが蒸着していくためであり、この場合では凹部に存在する最初のSiOxの周囲に後からSiOxが蒸着されるという状態が、即ち凹部をSiOxで埋めていくかのように観察され、また実際にそのように埋められていくのである。
そして更に蒸着を続けると、上述したように成長していくSiOx同士がやがて結合し、その後は密な状態でのSiOxの蒸着が継続していくのである。
この場合、先に述べた3nm〜5nm程度の空隙部分は、あたかもプラズマ処理により生じた凹凸の凸部に置き換えられたかのような状態となっている。つまりガスバリア性を阻害する無用な空隙はこの場合生じにくい、と言え、それがひいてはガスバリア性の向上に寄与していると言えるのである。
更にこのようにして表面が平滑な状態の層を積層できることより、本実施の形態における製造方法により得られるフィルムの表面は非常に平滑なものとすることが出来る。これは、最初のPETフィルム表面それ自体はGDプラズマ処理にてささくれだった状態とされているものの、その表面に積層を行うことでその層の表面は滑らかな状態となり、よって表面が滑らかな部分に更に積層を繰り返しても、その滑らかさは維持されるため、予め基材表面にプラズマ処理を施すことで、最終的に得られる積層体の表面は非常に滑らかなものとすることが容易に可能となるのである。
そして平滑かつ緻密な積層を実現できると、必然的にその表面への積層も平滑でかつ緻密な積層とすることが出来るようになる。
尚、ここでは珪素を蒸着する場合を想定して説明したが、これが例えばシランカップリング剤などのような樹脂であっても同様である。即ち何ら処理の施されていないPETフィルム表面に直接シランカップリング剤を塗布し、これによる層を積層しようとしてもPETフィルム表面においてシランカップリング剤がはじかれてしまい、充分に密着性を確保した状態での積層が困難であるが、プラズマ処理を予め施しておくことで、先述したと同様に凹部にシランカップリング剤が入り込み、それが基礎となって更にシランカップリング剤同士が弾かれることなく次々と積層されていき、やがては緻密な状態でシランカップリング剤が積層される、という状態が現出するのである。
しかし、やはり先述した通り、導入ガスに酸素や窒素を用いると、ささくれだった状態となったプラズマ処理後のPETフィルム表面には、例えば表面に存在するカルボニル基が酸素や窒素に置換されてしまい、この酸素や窒素が蒸着される珪素と結合する、という現象が生じてしまうのである。そしてこの結合を有したまま例えば水蒸気にこれをさらすと、水蒸気が結合部分を攻撃してこれを切断してしまう、という現象が生じ、これが原因で層間剥離やガスバリア性の低下といった現象が生じるのである。この詳細については前述した通りである。そこで本実施の形態では、そのような無用な結合を生じないために不活性ガス、特にアルゴンガスを好適に用いることとしている。また本実施の形態においては単にプラズマ処理ではなくGDプラズマ処理としているのは、略真空状態としないと、プラズマ処理中に、大気中に存在する酸素や窒素とPETフィルム表面とが反応してしまい、前述の無用な酸素結合等を生じてしまうからである。
上述したようなメカニズムを生じさせるため、本実施の形態に係るガスバリアフィルムの製造方法では不活性ガスを導入ガスとしたGDプラズマ処理を実行することとしているのである。また無用な酸素結合を生じない真空状態とするために、その大気圧は1×10−1〜1×10−3torrとしているのである。
さらに本実施の形態ではプラズマ処理をGDプラズマ処理としている。この点につき説明を加える。
GDプラズマ処理とはグロー放電を用いたプラズマ処理であるが、このGDプラズマ処理における最大の特色はカソードとして用いられるターゲットである。
そもそもGDプラズマ処理とは低圧ガスのグロー放電を用いるプラズマ処理であり、このプラズマ処理により表面処理された基材表面では、基材表面下のサブミクロンの層だけしか変化が生じないため、基材そのものの性質に殆ど影響を及ぼさない、という特徴を呈するのである。
例えばアルゴン雰囲気下で電圧を印加して行うGDプラズマ処理を基材表面に対して施す場合、まずアルゴンプラズマが生成され、次いでこのアルゴンイオンにより基材表面に付着している異物が除去される。即ち基材表面がクリーニングされた状態となる。
次いでプラズマ中のイオンがターゲットに衝突し、ターゲット表面の原子を脱離させ、その結果、ターゲットによる電子、イオン、ラジカル、或いは励起電子などの科学種を種々生成するが、この場合の状況ではラジカルは寿命が長く、気相中に高い濃度で蓄積している。そしてこのラジカルが基材表面に到達しそこに付着することにより、基材表面がプラズマ処理された、という状態になる。
この状態においては前述の通り、基材表面下のサブミクロンの層の部分だけが反応するためGDプラズマ処理であれば基材そのものの性質には影響を殆ど及ぼさないのである。
そして本実施の形態におけるGDプラズマ処理に用いるターゲットとして、周期表における第4周期第4属から同第12族に属するいずれかの金属、若しくは当該範囲内の金属同士による合金を用いることで、グロー放電を用いたプラズマ処理を基材フィルム表面に対し施すことにより、基材表面において前記の金属又は合金が付着し、薄膜層を形成することとなる。
この範囲の金属に含まれる鉄を例に説明すると、鉄は酸化還元力が強いことは知られる所であるが、それが故にシリカとの反応性が大きいものである。そしてこれが基材表面に付着することで、その後さらに表面に積層されるガスバリア性を有する物質による積層、具体的にはシリカによる層を積層した場合、基材との密着性を著しく好ましいものとすることが出来るのである。
この点をさらに説明する。
まず最初に、上述したようにターゲットを鉄としてGDプラズマ処理を実行することで鉄原子が基材表面に付着する。そもそも前述の通り基材表面には異物等が存在しない状況となっているので、鉄原子は基材表面に密着する。次いで基材表面及びその表面に密着する鉄原子に対しシリカ原子が順次付着していき、これがシリカによる層となる。この際、鉄とシリカとの間には強固な結合が形成される。そして引き続きシリカが積層され続けるのである。鉄とシリカとにより形成されている結合が強い、ということは鉄とシリカとの密着性が良いと言える。そして鉄と基材とは密着している。故に基材と蒸着層(シリカ層)との密着性が非常に強固である、と言え、また実際密着性は良好なものとなる。そしてこの過程において、先に形成された鉄とシリカとの強固な結合の影響により、さらなるシリカの積層において、シリカがより凝集した形で暫時積層され続けるので、得られるシリカ層は最終的に緻密な蒸着膜(シリカ層)となる。シリカ層が緻密になる、ということはバリア性が向上することを意味する。そして鉄の表面にシリカを蒸着し続けていくと、やがて、あたかも鉄がシリカ層の中に展開していき、最終的にはシリカ層の中に鉄が散在した状態となり、実際そのように観察される。つまり最終的には鉄原子がシリカ層中に散在した状態の層がシリカ層として基材表面に積層されることとなる。つまり、単純に基材/鉄層/シリカ層、という3層の積層となるのではなく、基材表面に「鉄とシリカとが混合した状態」の層が積層されてなるのである。その結果、ガスバリア層はシリカ単独による層の場合に比して、よりバリア性が向上したものとなる。また基材と蒸着層との層間密着力がより向上する。さらには凝集応力に強い層となり、また結果的に濡れ性を向上したものとなる。
その他、上記範囲内の物質を利用することで同様の作用効果が期待され、さらには基材が本来有する応力を増強することができ、また凝集破壊に対しても強靱なものとすることができる、という効果も奏するのである。
本実施の形態では上述した効果を得るために鉄(SUS304)をターゲットとして用いることとするが、それ以外の物質であっても前述の周期表範囲に属する金属、若しくは当該範囲内の金属同士による合金をターゲットとして用いても構わない。
以上のように、本実施の形態に係るガスバリアフィルムの製造方法であれば、基材フィルム/金属薄膜層/第1高分子樹脂層/ガスバリア層、という構成を有するガスバリアフィルムを得ることが出来る。
例えばPETフィルム等のような高分子樹脂フィルムを基材とし、その表面を不活性ガスを導入ガスとしたGDプラズマ処理によりある程度ささくれだった状態とし、またこのGDプラズマ処理に伴い表面にSUSターゲットのスパッタリングによる金属薄膜層が積層され、次いでその表面に第1高分子樹脂としてシランカップリング剤による積層を行い、その表面に珪素等のガスバリア性物質によるガスバリア層を積層することで、緻密なガスバリア層を有する積層体となり、またシランカップリング剤をPETフィルムとガスバリア層との間に位置するように積層したことで、より一層層間密着力を強固なものとし、また各層とも緻密に積層された状態となっているので、より一層ガスバリア性を高めた、特に水蒸気等に対するガスバリア性を非常に良好なものとしたガスバリアフィルムを得ることが出来る。
(実施の形態2)
次に、先に述べた第1の実施の形態に係るガスバリアフィルムの製造方法において、全工程を終了後、更にガスバリア層の表面に第2高分子樹脂を積層する第2高分子樹脂積層工程を実行してなる、ガスバリアフィルムの製造方法につき、第2の実施の形態として説明する。
この第2高分子樹脂に関して、例えばこれがガスバリア性を有する物質であるならば、これをガスバリア層の表面に積層することでガスバリア層により得られるガスバリア性を更に補完することが可能となり、即ちよりハイバリア性を得られることが考えられ、またガスバリア層それ自体を保護するトップコート層としての役割を果たすことが期待される。
更にこの第2高分子樹脂について述べると、これは先に説明した第1高分子樹脂と同様にガスバリア性を有した高分子樹脂であればより好ましく、例えばエポキシ系シランカップリング剤であれば好ましい。そして第1高分子樹脂と同一のエポキシ系シランカップリング剤を第2高分子樹脂とすれば、製造過程においても同一物質を利用することでその作業が容易なものとすることが出来、更に得られたハイバリア性フィルムの物性を安定させるためにも、出来るだけ構成する物質の種類は少ない方が好ましいと言えるので、本実施の形態においては、第1層と同一の材料である、エポキシ系シランカップリング剤を用いたものとする。そしてこの第2高分子樹脂層を積層することにより、より一層ガスバリア性を向上させることが出来るのである。
第2高分子樹脂層の厚みは0.03μm以上2μm以下であることが好ましいが、これは0.03μm以下であるとガスバリア性向上という目的を達することが出来ず、また2μm以上とするとフィルム全体の可撓性が乏しくなるからである。尚、本実施の形態においてはこの厚みは0.3μmであるものとする。
尚、この第2高分子樹脂層に対しても、第1高分子樹脂層に関する箇所で説明したように、シランカップリング剤の硬化を促進するために、第1の実施の形態にて説明したのと同様の硬化触媒を添加することが考えられる。詳細については先述と同様であるので、ここではその説明を省略する。
この第1高分子樹脂としては特段限定されるものではないが、最も好適であるのは、シランカップリング剤である。そしてより好適であると言えるのは、エポキシ系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、メタクリル系シランカップリング剤、ウレイド系シランカップリング剤、であり、本実施の形態においてはエポキシ系シランカップリング剤を第1高分子樹脂として用いることとする。
このようにして実行される本実施の形態に係るガスバリアフィルムの製造方法によれば、基材フィルム/第1高分子樹脂層/ガスバリア層/第2高分子樹脂、という構成を有するガスバリアフィルムを得ることが出来る。
尚、不活性ガスを導入ガスとしたGDプラズマ処理を施した基材フィルム表面に直接ガスバリア性を有する物質を積層してガスバリア層を積層した場合の、これらの密着性については、先のプラズマ処理において説明した通りであり、また本実施の形態における密着性の点でも何ら問題もないので、ここではその詳述は省略する。
また、以上本願発明に係る種々の実施の形態につき説明を行ったが、その中で、第1高分子樹脂層の更に表面に何かを積層する際に密着性をより良いものにするために、第1高分子樹脂層積層工程を実行した後に第1高分子樹脂層の表面に対し、すでに説明したのと同様のプラズマ処理工程を実行することで、第1高分子樹脂層の密着性を向上させ、ひいては層間密着力をより良いものとすることが考えられるが、このプラズマ処理工程はすでに説明したものと同様であるのでここではこれ以上の詳述は省略する。
また、以上本願発明に係る種々の実施の形態につき説明を行ったが、その中で、各製造方法により得られたガスバリアフィルムの更に表面に、よりガスバリア性を向上させるために第3高分子樹脂を積層する第3高分子樹脂積層工程を実行することも考えられる。この場合の第3高分子樹脂として好適なものは、すでに説明した第1高分子樹脂又は第2高分子樹脂と同様であって良いので、ここではその詳述を省略する。
また、以上本願発明に係る種々の実施の形態につき説明を行ったが、その中で、各製造方法により得られたガスバリアフィルムの最表面に、プラスチックフィルムをラミネートすることでガスバリア性を向上させることも考えられる。この場合のプラスチックフィルムとしては特段制限をするものではないが、例えば厚みは25μm〜70μmのものが好適であると言え、また具体的な素材としてはPPフィルム、又はPEフィルム等を用いることが好適であると考えられるが、ここではこれ以上の詳述を省略する。
更に以上説明した本願発明に係る種々の実施の形態により得られるガスバリアフィルムは、いわゆるハイバリア性を有したものであるから、このハイバリア性に着目してこれを例えば太陽電池のバックシートとして利用することが考えられる。これは太陽電池の主構造が水蒸気などのガスに対し脆弱であることを保護するために設けられるものであり、そのガスバリアの性能が高ければ高いほど好適に利用することが出来る。具体的な利用方法については従来公知の太陽電池におけるバックシートと同様であるので、ここではこれ以上の詳述を省略する。
本願発明に係るガスバリアフィルムの製造方法及び得られるガスバリアフィルムに関し、更に実施例を交えて以下説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また各実施例に用いたガスバリアフィルムは、第1の実施の形態〜第5の実施の形態にてすでに説明した製造方法により得られたものであり、比較例に用いたものもそれに準じた製造方法により得られたものであることを断っておく。
(各部材・装置の説明)
基材となる高分子樹脂フィルム:PETフィルム((株)帝人製「NS」厚み12μm)
第1高分子樹脂:信越化学工業(株)製
商品名:KBM403
積層厚み:0.2μm
第2高分子樹脂:信越化学工業(株)製
商品名:KBE403
積層厚み:0.2μm
ガスバリア層:SiOx(1.0≦x≦2.0) 厚み0.015μm
(第1高分子樹脂層の調製)
KBM403 50重量部
水 50重量部
塩酸(35%) 0.07 重量部
これらを混合した液を作成して加水分解させた後、
IPA/n−ブタノール=575/575(重量部)を加えて希釈する。
そしてさらに硬化触媒(アルミニウムアセチルアセトナート)を2重量部加えて調製を完了する。
(第2高分子樹脂層の調製)
KBE403 50重量部
水 50重量部
塩酸(35%) 0.07 重量部
これらを混合した液を作成して加水分解させた後、
IPA/n−ブタノール=575/575(重量部)を加えて希釈する。
そしてさらに硬化触媒(アルミニウムアセチルアセトナート)を2重量部加えて調製を完了する。
(GDプラズマ処理に関する説明)
GDプラズマ処理時における導入ガス:アルゴン
GDプラズマ処理時における真空度:5×10−2torr
(ガスバリア性の測定に関する説明)
ガスバリアの性能測定方法
耐湿熱試験:85℃温水試験を2週間、更に85℃湿度85%で1000時間放置した。
得られたガスバリアフィルムは JIS Z 0208 に準じて透過湿度試験を行った。(カップ法)
また透湿度に関する測定は JIS K 7129 に準じて行った。(モコン法透湿)
また酸素透過度に関する測定は JIS K 7126 に準じて行った。(モコン法酸素)
(各実施例及び比較例の構成)
実施例1−1 基材/第1高分子樹脂層/ガスバリア層
実施例1−2 基材/第1高分子樹脂層/ガスバリア層
実施例2−1 基材/第1高分子樹脂層/ガスバリア層/第2高分子樹脂層
実施例2−2 基材/第1高分子樹脂層/ガスバリア層/第2高分子樹脂層
実施例3 基材/第1高分子樹脂層/ガスバリア層/第1高分子樹脂層/ガスバリア層
以上各実施例においては、基材の表面に対しGDプラズマ処理工程を実行することによりGDプラズマ処理を施した後に積層物を積層した。
また実施例1−2及び実施例2−2では、第1高分子樹脂層の表面に対し再びGDプラズマ処理を施した後、更に積層を行った。
比較例1 基材/第1高分子樹脂層/ガスバリア層
比較例2 基材/第1高分子樹脂層/ガスバリア層/第2高分子樹脂層
比較例3 基材/第1高分子樹脂層/ガスバリア層/第1高分子樹脂層/ガスバリア層
比較例1・2・3では基材表面に酸素を導入ガスとしたプラズマ処理を施した。
各実施例及び各比較例につき、以下の項目を調べた。
・ バリア性1
各実施例及び比較例の積層フィルムに、更に厚みが60μmのCPP(東洋紡績(株)製:商品名「P1446」)を従来公知な手法によりドライラミネートしたものをサンプルとした。
得られたサンプルを125℃の熱水に30分間浸漬した。
その前後のバリア性を測定した。浸漬前を「初期」、浸漬後を「レト後」として表に記載する。尚(OTR/WVTR)とは、酸素透過度/水蒸気透過度である。
・ バリア性2及び密着性
各実施例及び比較例の積層フィルムの両面に対しプラスチックフィルムを以下の通りラミネートしたものをサンプルとした。
厚み50μmの耐候PET(東洋紡績(株)製:商品名「シャインビームK1653」)/実施例又は比較例の積層フィルム/厚み188μmの白色PET(東洋紡績(株)製:商品名「TR810」)
得られたサンプルに対し以下の環境にさらした。
1) 85℃の温水に2週間浸漬した。
2) 気温85度湿度85%の状況で1000時間放置した。
それぞれの条件を満たした後に、前述の「カップ法」「モコン法透湿」「モコン法酸素」により測定されたガスバリア性につき表に記載する。
また、密着性に関しては上記サンプルの構成において
厚み50μmの耐候PET/実施例又は比較例の積層フィルム
の境界面における密着性を測定した。
測定方法は T型剥離 引っ張り速度300mm/min によるものとした。
更に先の試験と同様、得られたサンプルを125℃の熱水に30分間浸漬した前後の、上記同様の箇所における密着度を同様にして測定した。その結果は表中「密着」とした欄に記載する。
Figure 0004799699
以上の結果より分かるように、本願発明に係るガスバリアフィルムがハイバリア性を有することが分かる。
より比較して述べるならば、基材フィルムにプラズマ処理を施した後に積層を行ったことにより層間密着性は本願発明に係るガスバリアフィルムの方が遙かに好ましいものとなっていることが分かる。ちなみに第1高分子樹脂層に対しプラズマ処理を施した場合、より一層層間密着性が良好であることが分かる。
また本願発明では単なるプラズマ処理ではなく、アルゴンガスを導入ガスとしたGDプラズマ処理としていることより、比較例のプラズマ処理を施した場合に比して層間密着性が良好であることが分かる。これはすでに説明した通り、通常の酸素や窒素を用いたプラズマ処理を行った場合、不用意に生じてしまった酸素結合が水蒸気により切断し、その結果層間剥離が生じていることの査証であるものと考える。
ちなみに本実施例において、基材表面にプラズマ処理を施さずに第1高分子樹脂を直接積層した例を示していないが、これはそのように積層しようとしても「ハジキ」と呼ばれる現象が生じてしまったために積層が不可能であったため、即ち結果として積層体を得ることが出来なかったからである。

Claims (12)

  1. 少なくとも、
    複数枚のプラスチックフィルムが剥離可能に積層された状態である基材フィルムの最表面に対し、不活性ガス導入下において、気圧1×10−1〜1×10−3torrという環境下にて予めプラズマ処理を施すプラズマ処理工程と、
    前記プラズマ処理を施された基材表面に対し、第1高分子樹脂を積層してなる第1高分子樹脂積層工程を実行してなり、
    前記第1高分子樹脂層積層工程後、該第1高分子樹脂層表面に対し前記プラズマ処理工程を再度実行した後、プラズマ処理後の表面にガスバリア性を有するガスバリア層を積層してなるガスバリア層積層工程と、
    を備えてなり、
    前記プラズマ処理がグロー放電プラズマ処理であり、
    前記グロー放電プラズマ処理工程が施された前記基材表面に、前記グロー放電プラズマ処理を施したことにより周期表における第4周期第4族から同第12族に属するいずれかの金属、若しくは当該範囲内の金属同士による合金が付着してなること、
    を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。
  2. 請求項1に記載のガスバリアフィルムの製造方法において、
    前記複数のプラスチックフィルムの合計厚みが50μm以下であり、
    なおかつ前記複数のプラスチックフィルムの中の1枚の厚みが3μm以上であること、を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、
    前記ガスバリア層積層工程の後に、
    前記ガスバリア層の表面に、第2高分子樹脂を積層してなる第2高分子樹脂積層工程を実行してなること、
    を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法において、
    前記製造方法により得られた積層体の最も表面の更に外側表面にプラスチックフィルムをラミネートして最外層を積層してなるフィルムラミネート工程を実行してなること、
    を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。
  5. 請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、
    前記不活性ガスが、アルゴンガス又はアルゴン/酸素ガスであること、
    を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。
  6. 請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、
    前記ガスバリア層を構成する物質が、珪素、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム、インジウム、マグネシウム、の一群よりなる群のいずれか1つ若しくはその酸化物、窒化物、又は化合物のいずれか、又は前記一群の中の複数若しくはその酸化物、窒化物、又は化合物、であり、
    前記ガスバリア層が、真空蒸着法により積層されてなるものであること、
    を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、
    前記ガスバリア層がSiOxで示される酸化珪素であって、そのxが1.0≦x≦2.0であること、
    を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。
  8. 請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、
    前記第1高分子樹脂又は前記第2高分子樹脂の何れか一方若しくは双方が、シランカップリング剤によるものであること、又はシランカップリング剤を主に配合してなる高分子樹脂であること、
    を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。
  9. 請求項1ないし請求項8の何れか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、
    前記第1高分子樹脂層又は前記第2高分子樹脂層のいずれか若しくは双方に硬化触媒が添加されてなること、
    を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。
  10. 請求項9に記載のガスバリアフィルムの製造方法であって、
    前記硬化触媒が、鉄アセチルアセトナート、亜鉛アセチルアセトナート、アルミニウムアセトナート、四塩化錫、ジイソプロポキシビスアセチルアセトナトチタン、ジヒドロキシビスラクタトチタン、のいずれか1つ又は複数であること、
    を特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。
  11. 請求項1ないし請求項10の何れか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法により製造されてなること、
    を特徴とする、ガスバリアフィルム。
  12. 請求項11に記載のガスバリアフィルムを用いてなること、
    を特徴とする、太陽電池バックシート。
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