図41乃至図54は、参考例による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
まず、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法により素子領域を確定する素子分離領域212を形成する(図41参照)。
次に、全面に、熱酸化法により犠牲酸化膜272を形成する。
次に、N型低リークトランジスタ形成領域201,N型標準トランジスタ形成領域202及びN型高速トランジスタ形成領域203を露出するフォトレジスト膜(図示せず)を形成する。次に、フォトレジスト膜をマスクとして、イオン注入法により、半導体基板210内にボロン(B)を導入することにより、P型ウェル214を形成する。加速エネルギーは150keVとし、ドーズ量は1.3×1013cm−2とする。この後、アッシングによりフォトレジスト膜を除去する。
次に、P型低リークトランジスタ形成領域204,P型標準トランジスタ形成領域205及びP型高速トランジスタ形成領域206を露出するフォトレジスト膜(図示せず)を形成する。次に、フォトレジスト膜をマスクとして、イオン注入法により、半導体基板210内にリン(P)を導入することにより、N型ウェル216を形成する。加速エネルギーは300keVとし、ドーズ量は3×1013cm−2とする。この後、アッシングによりフォトレジスト膜を除去する。
次に、N型低リークトランジスタ形成領域201を露出する開口部276が形成されたフォトレジスト膜274をマスクとして、イオン注入法によりボロンを導入することにより、チャネルドープ層218を形成する(図42参照)。加速エネルギーは10keVとし、ドーズ量は1.3×1013cm−2とする。この後、アッシングにより、フォトレジスト膜274を除去する。
次に、N型標準トランジスタ形成領域202を露出する開口部277が形成されたフォトレジスト膜275をマスクとして、イオン注入法によりボロンを導入することにより、チャネルドープ層219を形成する(図43参照)。加速エネルギーは10keVとし、ドーズ量は5.0×1012cm−2とする。この後、アッシングにより、フォトレジスト膜275を除去する。
次に、N型高速トランジスタ形成領域203を露出する開口部284が形成されたフォトレジスト膜282をマスクとして、イオン注入法によりボロンを導入することにより、チャネルドープ層220を形成する(図44参照)。加速エネルギーは10keVとし、ドーズ量は3.0×1012cm−2とする。この後、アッシングにより、フォトレジスト膜282を除去する。
次に、P型低リークトランジスタ形成領域204を露出する開口部280が形成されたフォトレジスト膜278をマスクとして、イオン注入法によりリンを導入することにより、チャネルドープ層240を形成する(図45参照)。加速エネルギーは50keVとし、ドーズ量は1.2×1013cm−2とする。この後、アッシングにより、フォトレジスト膜278を除去する。
次に、P型標準トランジスタ形成領域205を露出する開口部281が形成されたフォトレジスト膜279をマスクとして、イオン注入法によりリンを導入することにより、チャネルドープ層241を形成する(図46参照)。加速エネルギーは50keVとし、ドーズ量は8.0×1012cm−2とする。この後、アッシングにより、フォトレジスト膜279を除去する。
次に、P型高速トランジスタ形成領域206を露出する開口部288が形成されたフォトレジスト膜286をマスクとして、イオン注入法によりリンを導入することにより、チャネルドープ層254を形成する(図47参照)。加速エネルギーは50keVとし、ドーズ量は4.0×1012cm−2とする。この後、アッシングにより、フォトレジスト膜286を除去する。
次に、全面に、熱酸化法により、ゲート絶縁膜222を形成する。
次に、全面に、CVD(Chemical Vapor Deposition、化学気相堆積)法によりポリシリコン膜を形成する。
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、ポリシリコン膜をパターニングすることにより、ゲート電極224a〜224fを形成する。
次に、N型低リークトランジスタ形成領域201,N型標準トランジスタ形成領域202及びN型高速トランジスタ形成領域203を露出する開口部292が形成されたフォトレジスト膜290を形成する。
次に、フォトレジスト膜290とゲート電極224a〜224cとをマスクとして、イオン注入法により、半導体基板210内にボロンを導入する。これにより、N型低リークトランジスタ234aのポケット領域226、N型標準トランジスタ234bのポケット領域226及びN型高速トランジスタ234cのポケット領域226が形成される(図48参照)。イオン注入は、4方向から行う。イオン注入の角度は、半導体基板10の法線方向に対して25度とする。加速エネルギーは10keVとし、4方向のドーズ量の合計は4.0×1013cm−2とする。
次に、フォトレジスト膜290及びゲート電極224a〜224cをマスクとして、イオン注入法により、半導体基板210内に砒素(As)を導入する。これにより、N型低リークトランジスタ234aのエクステンション領域238、N型標準トランジスタ234bのエクステンション領域238及びN型高速トランジスタ234cのエクステンション領域238が形成される(図49参照)。加速エネルギーは4keVとし、ドーズ量は1.0×1015cm−2とする。この後、アッシングにより、フォトレジスト膜290を除去する。
次に、P型低リークトランジスタ形成領域204、P型標準トランジスタ形成領域205及びP型高速トランジスタ形成領域206を露出する開口部296が形成されたフォトレジスト膜294を形成する。
次に、フォトレジスト膜294とゲート電極224d〜224fとをマスクとして、イオン注入法により、半導体基板210内にリンを導入する。これにより、P型低リークトランジスタ248aのポケット領域242、P型標準トランジスタ248bのポケット領域242及びP型高速トランジスタ248cのポケット領域242が形成される(図50参照)。イオン注入は、例えば4方向から行う。イオン注入の角度は、半導体基板10の法線方向に対して25度とする。加速エネルギーは例えば30keVとし、4方向のドーズ量の合計は4.0×1013cm−2とする。
次に、フォトレジスト膜294とゲート電極224d〜224fとをマスクとして、イオン注入法により、半導体基板210内にBF2を導入する。これにより、P型低リークトランジスタ248aのエクステンション領域244、P型標準トランジスタ248bのエクステンション領域244及びP型高速トランジスタ248bのエクステンション領域244が形成される(図51参照)。加速エネルギーは3keVとし、ドーズ量は5.0×1014cm−2とする。この後、アッシングにより、フォトレジスト膜294を除去する。
次に、全面に、熱CVD法により、シリコン酸化膜を形成する。
次に、ドライエッチングにより、シリコン酸化膜を異方性エッチングし、ゲート電極224a〜224fの側壁部分にシリコン酸化膜のサイドウォール絶縁膜230を形成する。
次に、N型低リークトランジスタ形成領域201、N型標準トランジスタ形成領域202及びN型高速トランジスタ形成領域203を露出する開口部308が形成されたフォトレジスト膜306を形成する。
次に、フォトレジスト膜306とゲート電極224a〜224cとをマスクとして、イオン注入法により、半導体基板210内にリンを導入する。これにより、N型低リークトランジスタ234aのソース/ドレイン領域232、N型標準トランジスタ234bのソース/ドレイン領域232及びN型高速トランジスタ234cのソース/ドレイン領域232が形成される(図52参照)。加速エネルギーは、例えば8keVとする。ドーズ量は、例えば1.0×1016cm−2程度とする。この後、アッシングにより、フォトレジスト膜306を除去する。
次に、P型低リークトランジスタ形成領域204、P型標準トランジスタ形成領域205及びP型高速トランジスタ形成領域206を露出する開口部312が形成されたフォトレジスト膜310を形成する。
次に、フォトレジスト膜310とゲート電極224d〜224fとをマスクとして、イオン注入法により、半導体基板210内にボロンを導入する。これにより、P型低リークトランジスタ248aのソース/ドレイン領域246、P型標準トランジスタ248bのソース/ドレイン領域246及びP型高速トランジスタ248cのソース/ドレイン領域246が形成される(図53参照)。加速エネルギーは4keVとし、ドーズ量は3.0×1016cm−2程度とする。この後、アッシングにより、フォトレジスト膜310を除去する。
次に、全面に、スパッタリング法により、ニッケル膜を形成する。
次に、熱処理を行うことにより、半導体基板210の表面とニッケル膜とを反応させるとともに、ゲート電極224a〜224fの上部とニッケル膜とを反応させる。この後、未反応のニッケル膜を、エッチング除去する。これにより、ソース/ドレイン領域232、246上にニッケルシリサイドのシリサイド膜256が形成される。また、ゲート電極224a〜224f上にもシリサイド膜256が形成される。
次に、熱CVD法により、層間絶縁膜258を形成する。
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、ソース/ドレイン領域242、246上のシリサイド層256に達するコンタクトホール260を層間絶縁膜258に形成する。
次に、スパッタリング法により、Ti膜とTiN膜とを順次形成することにより、バリア膜262を形成する。
次に、CVD法により、タングステン膜264を形成する。
次に、CMP(Chemical Mechanical Polishing、化学的機械的研磨)法により、層間絶縁膜258の表面が露出するまでタングステン膜264及びバリア膜262を研磨することにより、コンタクトホール60内にタングステンの導体プラグ262を埋め込む。
こうして、参考例による半導体装置が製造される(図54参照)。
参考例による半導体装置では、各々のN型トランジスタ234a〜234cのチャネルドープ層218、219、220を形成する際に、それぞれ別個のフォトレジスト膜を用いて、互いに異なるイオン注入条件で、ドーパント不純物を導入していた。また、各々のP型トランジスタ248a〜248cのチャネルドープ層240、241、254を形成する際に、それぞれ別個のフォトレジスト膜を用いて、互いに異なるイオン注入条件で、ドーパント不純物を導入していた。
このような参考例による半導体装置では、高速トランジスタ234cにおいて、十分に大きいオン電流が得られなかった。また、このような参考例による半導体装置では、標準トランジスタ234bにおいても、必ずしも十分に大きいオン電流が得られなかった。
[第1実施形態]
第1実施形態による半導体装置及びその製造方法を図1乃至図28を用いて説明する。
(半導体装置)
まず、本実施形態による半導体装置について図1を用いて説明する。図1は、本実施形態による半導体装置を示す断面図である。図1の紙面左上側は、N型低リークトランジスタ形成領域1を示している。図1の紙面中央上側は、N型標準トランジスタ形成領域2を示している。図1の紙面右上側は、N型高速トランジスタ形成領域3を示している。図1の紙面左下側は、P型低リークトランジスタ形成領域4を示している。図1の紙面中央下側は、P型標準トランジスタ形成領域5を示している。図1の紙面右下側は、P型高速トランジスタ形成領域6を示している。
低リークトランジスタとは、リーク電流が比較的小さいトランジスタのことである。低リークトランジスタは、閾値電圧が比較的高く、オン電流(駆動電流)が比較的小さいため、スイッチング速度が特に速いわけではないが、待機時の消費電力が極めて小さいものである。
高速トランジスタとは、比較的高速で動作するトランジスタのことである。高速トランジスタは、閾値電圧が比較的低く、オン電流が比較的大きいため、スイッチング速度は比較的速いが、待機時のリーク電流は比較的大きい。
標準トランジスタは、低リークトランジスタや高速トランジスタのように電気的特性が際だっているわけではないトランジスタである。標準トランジスタの閾値電圧は、低リークトランジスタの閾値電圧よりは低く、高速トランジスタの閾値電圧よりは高い。また、標準トランジスタのオン電流は、低リークトランジスタのオン電流よりは大きく、高速トランジスタのオン電流よりは小さい。また、標準トランジスタのスイッチング速度は、低リークトランジスタのスイッチング速度よりは速いが、高速トランジスタのスイッチング速度よりは遅い。
図1に示すように、半導体基板10には、素子領域を確定する素子分離領域12が形成されている。半導体基板10としては、例えばシリコン基板が用いられている。素子分離領域12としては、例えばシリコン酸化膜が用いられている。
N型低リークトランジスタ形成領域1、N型標準トランジスタ形成領域2及びN型高速トランジスタ形成領域3の半導体基板10内には、P型ウェル14が形成されている。P型ウェル14は、例えばボロンを導入することにより形成されている。
P型低リークトランジスタ形成領域4、P型標準トランジスタ形成領域5及びP型高速トランジスタ形成領域6の半導体基板10内には、N型ウェル16が形成されている。N型ウェル16は、例えばリンを導入することにより形成されている。
N型低リークトランジスタ形成領域1の半導体基板10内には、P型のチャネルドープ層(チャネル不純物層)18が形成されている。チャネルドープ層18には、比較的質量数の小さいドーパント不純物が導入されている。チャネルドープ層18には、ドーパント不純物として例えばボロンが導入されている。質量数が比較的小さいドーパント不純物を導入することによりチャネルドープ層18が形成されているため、チャネルドープ層18の不純物プロファイルは比較的緩やかになっている。チャネルドープ層18の不純物プロファイルが緩やかになっているため、空乏層が広がりやすくなっており、電界集中が生じにくくなっている。このことは、N型低リークトランジスタの34aのリーク電流を抑制することに寄与する。
N型低リークトランジスタ形成領域1の半導体基板10上には、ゲート絶縁膜22を介して、ゲート電極24aが形成されている。ゲート絶縁膜22としては、例えばシリコン酸化膜が用いられている。ゲート電極24aとしては、例えばポリシリコン膜が用いられている。
ゲート電極24aの両側の半導体基板10内には、P型のポケット領域(ハロ領域)26が形成されている。ポケット領域26は、質量数が比較的小さいドーパント不純物を導入することにより形成されている。ポケット領域26には、ドーパント不純物として例えばボロンが導入されている。質量数が比較的小さいドーパント不純物を導入することによりポケット領域26が形成されているため、ポケット領域26の不純物プロファイルは比較的緩やかになっている。ポケット領域26の不純物プロファイルが緩やかになっているため、空乏層が広がりやすくなっており、電界集中が生じにくくなっている。このことは、N型低リークトランジスタの34aのリーク電流を抑制することに寄与する。
ゲート電極24aの両側の半導体基板10内には、エクステンションソース/ドレイン構造の浅い領域を形成するN型のエクステンション領域28が形成されている。エクステンション領域28は、例えば砒素を導入することにより形成されている。
ゲート電極24aの側壁部分には、例えばシリコン酸化膜のサイドウォール絶縁膜30が形成されている。
サイドウォール絶縁膜30が形成されたゲート電極24aの両側の半導体基板10内には、N型のソース/ドレイン領域32が形成されている。ソース/ドレイン領域32は、例えばリンを導入することにより形成されている。
こうして、ゲート電極24aとポケット領域26とエクステンション領域28とソース/ドレイン領域32とチャネルドープ層18とを有するN型低リークトランジスタ34aが形成されている。
N型標準トランジスタ形成領域2の半導体基板10内には、P型のチャネルドープ層18が形成されている。チャネルドープ層18には、比較的質量数の小さいドーパント不純物が導入されている。チャネルドープ層18には、ドーパント不純物として例えばボロンが導入されている。質量数が比較的小さいドーパント不純物を導入することによりチャネルドープ層18が形成されているため、チャネルドープ層18の不純物プロファイルは比較的緩やかになっている。このことは、N型標準トランジスタの34bのリーク電流を抑制することに寄与する。
N型標準トランジスタ形成領域2の半導体基板10上には、ゲート絶縁膜22を介してゲート電極24bが形成されている。
ゲート電極24bの両側の半導体基板10内には、P型のポケット領域36が形成されている。ポケット領域36には、比較的質量数が大きいドーパント不純物が導入されている。ポケット領域36に導入されているドーパント不純物は、ポケット領域26に導入されているドーパント不純物より質量数が大きい。ポケット領域36には、ドーパント不純物として例えばインジウム(In)が導入されている。質量数の比較的大きいドーパント不純物を導入することによりポケット領域36が形成されるため、ポケット領域36の不純物プロファイルは比較的急峻となっている。ポケット領域36を形成する際に導入されるドーパント不純物がゲート電極34b直下の半導体基板10の表面近傍にあまり多く存在しないため、キャリアの移動が不純物により妨げられるのを抑制し得る。このことは、N型標準トランジスタ34bのオン電流特性の向上に寄与する。
ゲート電極24bの両側の半導体基板10内には、エクステンションソース/ドレイン構造の浅い領域を形成するN型のエクステンション領域38が形成されている。エクステンション領域38は、例えば砒素を導入することにより形成されている。
ゲート電極24bの側壁部分には、サイドウォール絶縁膜30が形成されている。
サイドウォール絶縁膜30が形成されたゲート電極24bの両側の半導体基板10内には、N型のソース/ドレイン領域32が形成されている。ソース/ドレイン領域32は、例えばリンを導入することにより形成されている。
こうして、ゲート電極24bとポケット領域36とエクステンション領域38とソース/ドレイン領域32とチャネルドープ層18とを有するN型標準トランジスタ34bが形成されている。
N型高速トランジスタ形成領域3の半導体基板10内には、P型のチャネルドープ層20が形成されている。チャネルドープ層20には、比較的質量数が大きいドーパント不純物が導入されている。チャネルドープ層20に導入されているドーパント不純物は、チャネルドープ層18に導入されているドーパント不純物より質量数が大きい。チャネルドープ層20には、ドーパント不純物として例えばインジウムが導入されている。質量数の比較的大きいドーパント不純物を導入することによりチャネルドープ層20が形成されているため、チャネルドープ層20の不純物プロファイルは比較的急峻となる。チャネルドープ層20を形成する際に導入されるドーパント不純物がゲート電極24c直下の半導体基板10の表面近傍にあまり多く存在しないため、キャリアの移動が不純物により妨げられるのを抑制し得る。また、半導体基板10の表面よりも少し深いところに比較的急峻な不純物プロファイルでチャネルドープ層20が形成されているため、空乏層の広がりも抑制される。これらのことは、N型高速トランジスタ34cのオン電流特性及び動作速度の向上等に寄与する。
N型高速トランジスタ形成領域3の半導体基板10上には、ゲート絶縁膜22を介してゲート電極24cが形成されている。
ゲート電極24cの両側の半導体基板10内には、P型のポケット領域36が形成されている。ポケット領域36には、比較的質量数が大きいドーパント不純物が導入されている。ポケット領域36に導入されているドーパント不純物は、ポケット領域26に導入されているドーパント不純物より質量数が大きい。ポケット領域36には、ドーパント不純物として例えばインジウムが導入されている。質量数の比較的大きいドーパント不純物を導入することによりポケット領域36が形成されるため、ポケット領域36の不純物プロファイルは比較的急峻となる。ポケット領域36を形成する際に導入されるドーパント不純物がゲート電極34b直下の半導体基板10の表面近傍にあまり多く存在しないため、キャリアの移動が不純物により妨げられるのを抑制し得る。このことは、N型高速トランジスタ34cのオン電流特性の向上に寄与する。
ゲート電極24cの両側の半導体基板10内には、エクステンションソース/ドレイン構造の浅い領域を形成するN型のエクステンション領域38が形成されている。エクステンション領域38は、例えば砒素を導入することにより形成されている。
ゲート電極24cの側壁部分には、サイドウォール絶縁膜30が形成されている。
サイドウォール絶縁膜30が形成されたゲート電極24cの両側の半導体基板10内には、N型のソース/ドレイン領域32が形成されている。ソース/ドレイン領域32は、例えばリンを導入することにより形成されている。
こうして、ゲート電極24cとポケット領域36とエクステンション領域38とソース/ドレイン領域32とチャネルドープ層20とを有するN型高速トランジスタ34cが形成されている。
P型低リークトランジスタ形成領域4の半導体基板10内には、N型のチャネルドープ層40が形成されている。チャネルドープ層40には、比較的質量数の小さいドーパント不純物が導入されている。チャネルドープ層40には、ドーパント不純物として例えばリンが導入されている。質量数が比較的小さいドーパント不純物を導入することによりチャネルドープ層40が形成されているため、チャネルドープ層40の不純物プロファイルは比較的緩やかになっている。チャネルドープ層40の不純物プロファイルが緩やかになっているため、空乏層が広がりやすくなっており、電界集中が生じにくくなっている。このことは、P型低リークトランジスタの48aのリーク電流を抑制することに寄与する。
P型低リークトランジスタ形成領域4の半導体基板10上には、ゲート絶縁膜22を介して、ゲート電極24dが形成されている。
ゲート電極24dの両側の半導体基板10内には、N型のポケット領域42が形成されている。ポケット領域42は、質量数が比較的小さいドーパント不純物を導入することにより形成されている。ポケット領域42には、ドーパント不純物として例えばリンが導入されている。質量数が比較的小さいドーパント不純物を導入することによりポケット領域42が形成されているため、ポケット領域42の不純物プロファイルは比較的緩やかになっている。ポケット領域42の不純物プロファイルが緩やかになっているため、空乏層が広がりやすくなっており、電界集中が生じにくくなっている。このことは、P型低リークトランジスタの48aのリーク電流を抑制することに寄与する。
ゲート電極24dの両側の半導体基板10内には、エクステンションソース/ドレイン構造の浅い領域を形成するP型のエクステンション領域44が形成されている。エクステンション領域44は、例えばボロンを導入することにより形成されている。
ゲート電極24dの側壁部分には、例えばサイドウォール絶縁膜30が形成されている。
サイドウォール絶縁膜30が形成されたゲート電極24dの両側の半導体基板10内には、P型のソース/ドレイン領域46が形成されている。ソース/ドレイン領域46は、例えばボロンを導入することにより形成されている。
こうして、ゲート電極24dとポケット領域42とエクステンション領域44とソース/ドレイン領域46とチャネルドープ層40とを有するP型低リークトランジスタ48aが形成されている。
P型標準トランジスタ形成領域5の半導体基板10内には、N型のチャネルドープ層40が形成されている。チャネルドープ層40には、比較的質量数の小さいドーパント不純物が導入されている。チャネルドープ層40には、ドーパント不純物として例えばリンが導入されている。質量数が比較的小さいドーパント不純物を導入することによりチャネルドープ層40が形成されているため、チャネルドープ層40の不純物プロファイルは比較的緩やかになっている。このことは、P型低リークトランジスタの48aのリーク電流を抑制することに寄与する。
P型標準トランジスタ形成領域5の半導体基板10上には、ゲート絶縁膜22を介してゲート電極24eが形成されている。
ゲート電極24eの両側の半導体基板10内には、N型のポケット領域50が形成されている。ポケット領域50には、比較的質量数が大きいドーパント不純物が導入されている。ポケット領域50に導入されているドーパント不純物は、ポケット領域42に導入されているドーパント不純物より質量数が大きい。ポケット領域50には、ドーパント不純物として例えば砒素又はアンチモン(Sb)が導入されている。質量数の比較的大きいドーパント不純物を導入することによりポケット領域50が形成されるため、ポケット領域50の不純物プロファイルは比較的急峻となる。ポケット領域50を形成する際に導入されるドーパント不純物がゲート電極48b直下の半導体基板10の表面近傍にあまり多く存在しないため、キャリアの移動が不純物により妨げられるのを抑制し得る。このことは、P型標準トランジスタ48bのオン電流特性の向上に寄与する。
ゲート電極24eの両側の半導体基板10内には、エクステンションソース/ドレイン構造の浅い領域を形成するP型のエクステンション領域52が形成されている。エクステンション領域52は、例えばボロンを導入することにより形成されている。
ゲート電極24eの側壁部分には、サイドウォール絶縁膜30が形成されている。
サイドウォール絶縁膜30が形成されたゲート電極24eの両側の半導体基板10内には、P型のソース/ドレイン領域46が形成されている。ソース/ドレイン領域46は、例えばボロンを導入することにより形成されている。
こうして、ゲート電極24eとポケット領域50とエクステンション領域52とソース/ドレイン領域46とチャネルドープ層40とを有するP型標準トランジスタ48bが形成されている。
P型高速トランジスタ形成領域6の半導体基板10内には、N型のチャネルドープ層54が形成されている。チャネルドープ層54には、比較的質量数が大きいドーパント不純物が導入されている。チャネルドープ層54に導入されているドーパント不純物は、チャネルドープ層40に導入されているドーパント不純物より質量数が大きい。チャネルドープ層54には、ドーパント不純物として例えば砒素又はアンチモンが導入されている。質量数の比較的大きいドーパント不純物を導入することによりチャネルドープ層54が形成されているため、チャネルドープ層54の不純物プロファイルは比較的急峻となる。チャネルドープ層54を形成する際に導入されるドーパント不純物がゲート電極48c直下の半導体基板10の表面近傍にあまり多く存在しないため、キャリアの移動が不純物により妨げられるのを抑制し得る。また、半導体基板10の表面よりも少し深いところに比較的急峻な不純物プロファイルでチャネルドープ層54が形成されているため、空乏層の広がりも抑制される。これらのことは、P型高速トランジスタ48cのオン電流特性及び動作速度の向上等に寄与する。
P型高速トランジスタ形成領域6の半導体基板10上には、ゲート絶縁膜22を介してゲート電極24fが形成されている。
ゲート電極24fの両側の半導体基板10内には、N型のポケット領域50が形成されている。ポケット領域50には、比較的質量数が大きいドーパント不純物が導入されている。ポケット領域50に導入されているドーパント不純物は、ポケット領域42に導入されているドーパント不純物より質量数が大きい。ポケット領域50には、ドーパント不純物として例えば砒素又はアンチモンが導入されている。質量数の比較的大きいドーパント不純物を導入することによりポケット領域50が形成されるため、ポケット領域50の不純物プロファイルは比較的急峻となる。ポケット領域50を形成する際に導入されるドーパント不純物がゲート電極48b直下の半導体基板10の表面近傍にあまり多く存在しないため、キャリアの移動が不純物により妨げられるのを抑制し得る。このことは、P型高速トランジスタ48cのオン電流特性の向上に寄与する。
ゲート電極24fの両側の半導体基板10内には、エクステンションソース/ドレイン構造の浅い領域を形成するP型のエクステンション領域52が形成されている。エクステンション領域52は、例えばボロンを導入することにより形成されている。
ゲート電極24fの側壁部分には、サイドウォール絶縁膜30が形成されている。
サイドウォール絶縁膜30が形成されたゲート電極24fの両側の半導体基板10内には、P型のソース/ドレイン領域46が形成されている。ソース/ドレイン領域46は、例えばボロンを導入することにより形成されている。
こうして、ゲート電極24fとポケット領域50とエクステンション領域52とソース/ドレイン領域46とチャネルドープ層54とを有するP型高速トランジスタ48cが形成されている。
トランジスタ34a〜34c、48a〜48cのゲート絶縁膜22は、同一絶縁膜により形成されている。このため、トランジスタ34a〜34c、48a〜48cのゲート絶縁膜22の膜厚は、互いに等しくなっている。
ソース/ドレイン領域32、46上及びゲート電極24a〜24f上には、例えばニッケルシリサイドのシリサイド膜が形成されている。ソース/ドレイン領域32、46上のシリサイド膜56は、ソース/ドレイン電極として機能する。
トランジスタ34a〜34c、48a〜48cが形成された半導体基板10上には、例えばシリコン酸化膜の層間絶縁膜58が形成されている。層間絶縁膜58には、ソース/ドレイン電極56に達するコンタクトホール60が形成されている。コンタクトホール60内には、Ti膜とTiN膜とを順次積層することによりバリア膜62が形成されている。バリア膜62が形成されたコンタクトホール60内には、例えばタングステンの導体プラグ64が形成されている。
こうして本実施形態による半導体装置が形成されている。
このように、本実施形態では、質量数の比較的大きいドーパント不純物を導入することにより、高速トランジスタ34c、48cのチャネルドープ層20,54が形成されている。このため、本実施形態では、チャネルドープ層20,54が、半導体基板10の最表面よりも少し深いところに比較的急峻なプロファイルで形成されている。チャネルドープ層20,54を形成する際に導入されるドーパント不純物がゲート電極24c、24f直下の半導体基板10の表面近傍にあまり多く存在しないため、キャリアの移動が不純物により妨げられるのを抑制し得る。また、本実施形態では、質量数の比較的大きいドーパント不純物を導入することにより、高速トランジスタ34c、48cのポケット領域36,50が形成されている。質量数の比較的大きいドーパント不純物を導入することによりポケット領域36,50が形成されるため、ポケット領域36,50の不純物プロファイルは比較的急峻となる。ポケット領域36,50を形成する際に導入されるドーパント不純物がゲート電極34b、48b直下の半導体基板10の表面近傍にあまり多く存在しないため、キャリアの移動が不純物により妨げられるのを抑制し得る。従って、本実施形態によれば、高速トランジスタ34c、48cのオン電流特性を著しく向上することができる。
また、本実施形態では、質量数の比較的大きいドーパント不純物を導入することにより、標準トランジスタ34b、48bのポケット領域36,50が形成されている。質量数の比較的大きいドーパント不純物を導入することによりポケット領域36,50が形成されるため、ポケット領域36,50の不純物プロファイルは比較的急峻となる。ポケット領域36,50を形成する際に導入されるドーパント不純物がゲート電極34b、48b直下の半導体基板10の表面近傍にあまり多く存在しないため、キャリアの移動が不純物により妨げられるのを抑制し得る。このため、本実施形態によれば、標準トランジスタ34b、48bのオン電流特性を向上することもできる。
(半導体装置の製造方法)
次に、本実施形態による半導体装置の製造方法を図2乃至図24を用いて説明する。図2乃至図24は、本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
まず、半導体基板10上の全面に、例えば熱酸化法により、例えば膜厚10nmのシリコン酸化膜66を形成する。半導体基板10としては、例えばシリコン基板を用いる(図2参照)。
次に、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚100nmのシリコン窒化膜68を形成する。
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、素子分離領域の形成予定領域を露出する開口部(図示せず)をフォトレジスト膜に形成する。
次に、フォトレジスト膜をマスクとして、シリコン窒化膜68及びシリコン酸化膜66をエッチングする。
次に、フォトレジスト膜をマスクとして、シリコン基板10をドライエッチングすることにより、例えば深さが300nmの素子分離用のトレンチ70を半導体基板10に形成する。この後、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜を除去する(図3参照)。
次に、例えば熱酸化法により、トレンチ70の内壁にシリコン酸化膜(図示せず)を形成する。シリコン酸化膜の膜厚は、例えば5nm程度とする。酸化炉の温度は、例えば800℃程度とする。
次に、全面に、例えばCVD法により、トレンチ70を埋め込む例えば膜厚500nmのシリコン酸化膜12を形成する(図4参照)。
次に、例えばCMP法により、シリコン窒化膜68の表面が露出するまでシリコン酸化膜12を研磨する(図5参照)。
次に、シリコン窒化膜68及びシリコン酸化膜66をエッチング除去する。
次に、トレンチ70に埋め込まれたシリコン酸化膜12の膜密度を向上させるためのアニール(熱処理)を行う。アニール温度は例えば1000℃程度とし、アニール時間は例えば30秒程度とする。
こうして、STI(Shallow Trench Isolation)法により、素子領域を確定する素子分離領域12が半導体基板10に形成される(図6参照)。
次に、例えば熱酸化法により、例えば膜厚10nmのシリコン酸化膜の犠牲酸化膜72を半導体基板10上に形成する。
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
次に、NMOSトランジスタ形成領域を露出する開口部(図示せず)をフォトレジスト膜に形成する。
次に、フォトレジスト膜をマスクとして、例えばイオン注入法により、P型のドーパント不純物を半導体基板10内に導入することにより、P型ウェル14を形成する。ドーパント不純物としては、例えばボロンを用いる。加速エネルギーは、例えば150keV程度とする。ドーズ量は、例えば3×1013cm−2程度とする。
この後、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜を除去する。
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
次に、PMOSトランジスタ形成領域を露出する開口部(図示せず)をフォトレジスト膜に形成する。
次に、フォトレジスト膜をマスクとして、例えばイオン注入法により、N型のドーパント不純物を半導体基板10内に導入することにより、N型ウェル16を形成する。ドーパント不純物としては、例えばリンを用いる。加速エネルギーは、例えば300keV程度とする。ドーズ量は、例えば3×1013cm−2程度とする。
この後、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜を除去する。
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜74を形成する。
次に、N型低リークトランジスタ形成領域1及びN型標準トランジスタ形成領域2を露出する開口部76をフォトレジスト膜74に形成する。
次に、フォトレジスト膜74をマスクとして、例えばイオン注入法により、P型のドーパント不純物を半導体基板10内に導入することにより、チャネルドープ層を形成する(図7参照)。ドーパント不純物としては、例えばボロンを用いる。加速エネルギーは、例えば10keVとする。ドーズ量は、例えば1.3×1013cm−2程度とする。
この後、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜74を除去する。
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜78を形成する。
次に、P型低リークトランジスタ形成領域4及びP型標準トランジスタ形成領域5を露出する開口部80をフォトレジスト膜78に形成する。
次に、フォトレジスト膜78をマスクとして、例えばイオン注入法により、N型のドーパント不純物を半導体基板10内に導入することにより、チャネルドープ層40を形成する(図8参照)。ドーパント不純物としては、例えばリンを用いる。加速エネルギーは、例えば50keVとする。ドーズ量は、例えば8.0×1012cm−2程度とする。
この後、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜78を除去する。
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜82を形成する。
次に、N型高速トランジスタ形成領域3を露出する開口部84をフォトレジスト膜82に形成する。
次に、フォトレジスト膜82をマスクとして、例えばイオン注入法により、P型のドーパント不純物を半導体基板10内に導入することにより、チャネルドープ層20を形成する(図9参照)。ドーパント不純物としては、チャネルドープ層18を形成する際に用いたドーパント不純物より質量数の大きいドーパント不純物を用いる。ここでは、ドーパント不純物として、例えばインジウムを用いる。加速エネルギーは、例えば60keVとする。ドーズ量は、例えば1.8×1013cm−2程度とする。
この後、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜82を除去する。
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜86を形成する。
次に、P型高速トランジスタ形成領域6を露出する開口部88をフォトレジスト膜86に形成する。
次に、フォトレジスト膜86をマスクとして、例えばイオン注入法により、N型のドーパント不純物を半導体基板10内に導入することにより、チャネルドープ層54を形成する(図10参照)。ドーパント不純物としては、チャネルドープ層40を形成する際に用いたドーパント不純物より質量数の大きいドーパント不純物を用いる。ここでは、ドーパント不純物として、例えば砒素又はアンチモンを用いる。ドーパント不純物として砒素を用いる場合には、加速エネルギーを例えば100keV程度とし、ドーズ量を例えば4.0×1012cm−2程度とする。ドーパント不純物としてアンチモンを用いる場合には、加速エネルギーを例えば135keV程度とし、ドーズ量を例えば4.0×1012cm−2程度とする。
この後、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜82を除去する。
次に、全面に、例えば熱酸化法により、例えば膜厚2nmのシリコン酸化膜のゲート絶縁膜22を形成する。
次に、全面に、例えば熱CVD法により、膜厚100nmのポリシリコン膜を形成する。
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、ポリシリコン膜をゲート電極の形状にパターニングする。こうして、N型低リークトランジスタ34aのゲート電極24a、N型標準トランジスタ34bのゲート電極24b、及び、N型高速トランジスタ34cのゲート電極24cが形成される。また、P型低リークトランジスタ48aのゲート電極24d、P型標準トランジスタ48bのゲート電極24e、及び、P型高速トランジスタ48cのゲート電極24fが形成される(図11参照)。
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜90を形成する。
次に、N型低リークトランジスタ形成領域1を露出する開口部92をフォトレジスト膜90に形成する。
次に、フォトレジスト膜90及びゲート電極24aをマスクとして、例えばイオン注入法により、P型のドーパント不純物を半導体基板10内に導入することにより、P型のポケット領域(ハロ領域)26を形成する(図12参照)。ドーパント不純物としては、質量数が比較的小さいドーパント不純物を用いる。ここでは、ドーパント不純物として例えばボロンを用いる。イオン注入は、例えば4方向から行う。イオン注入の角度は、半導体基板10の法線方向に対して例えば25度程度とする。加速エネルギーは、例えば7keVとする。4方向のドーズ量の合計は、例えば1.0×1013cm−2程度とする。
次に、フォトレジスト膜90及びゲート電極24aをマスクとして、例えばイオン注入法により、N型のドーパント不純物を半導体基板10内に導入することにより、N型のエクステンション領域28を形成する(図13参照)。ドーパント不純物としては、例えば砒素を用いる。加速エネルギーは、例えば4keV程度とする。ドーズ量は、例えば1.0×1015cm−2程度とする。
この後、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜90を除去する。
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜94を形成する。
次に、P型低リークトランジスタ形成領域4を露出する開口部96をフォトレジスト膜94に形成する。
次に、フォトレジスト膜94及びゲート電極24dをマスクとして、例えばイオン注入法により、N型のドーパント不純物を半導体基板10内に導入することにより、N型のポケット領域42を形成する(図14参照)。ドーパント不純物としては、質量数が比較的小さいドーパント不純物を用いる。ここでは、ドーパント不純物として、例えばリンを用いる。イオン注入は、例えば4方向から行う。イオン注入の角度は、半導体基板10の法線方向に対して例えば25度程度とする。加速エネルギーは、例えば25keVとする。4方向のドーズ量の合計は、例えば1.0×1013cm−2程度とする。
次に、フォトレジスト膜94及びゲート電極24dをマスクとして、例えばイオン注入法により、P型のドーパント不純物を半導体基板10内に導入することにより、P型のエクステンション領域44を形成する(図15参照)。ドーパント不純物としては、例えばボロンを用いる。加速エネルギーは、例えば0.6keV程度とする。ドーズ量は、例えば1.0×1015cm−2程度とする。
この後、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜94を除去する。
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜98を形成する。
次に、N型標準トランジスタ形成領域2及びN型高速トランジスタ形成領域3を露出する開口部100をフォトレジスト膜98に形成する。
次に、フォトレジスト膜98及びゲート電極24b、24cをマスクとして、例えばイオン注入法により、P型のドーパント不純物を半導体基板10内に導入することにより、P型のポケット領域36を形成する(図16参照)。ドーパント不純物としては、質量数が比較的大きいドーパント不純物を用いる。即ち、ポケット領域36を形成する際に用いるドーパント不純物としては、ポケット領域26を形成する際に用いたドーパント不純物より質量数の大きいドーパント不純物を用いる。ここでは、ドーパント不純物として、例えばインジウムを用いる。イオン注入は、例えば4方向から行う。イオン注入の角度は、半導体基板10の法線方向に対して例えば25度程度とする。加速エネルギーは、例えば40keVとする。4方向のドーズ量の合計は、例えば1.0×1013cm−2程度とする。
次に、フォトレジスト膜98及びゲート電極24b、24cをマスクとして、例えばイオン注入法により、N型のドーパント不純物を半導体基板10内に導入することにより、N型のエクステンション領域38を形成する(図17参照)。ドーパント不純物としては、例えば砒素を用いる。加速エネルギーは、例えば4keV程度とする。ドーズ量は、例えば1.0×1015cm−2程度とする。
この後、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜98を除去する。
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜102を形成する。
次に、P型標準トランジスタ形成領域5及びP型高速トランジスタ形成領域5を露出する開口部104をフォトレジスト膜102に形成する。
次に、フォトレジスト膜102及びゲート電極24e、24fをマスクとして、例えばイオン注入法により、N型のドーパント不純物を半導体基板10内に導入することにより、N型のポケット領域50を形成する(図18参照)。ドーパント不純物としては、質量数が比較的大きいドーパント不純物を用いる。即ち、ポケット領域50を形成する際に用いるドーパント不純物としては、ポケット領域42を形成する際に用いたドーパント不純物より質量数の大きいドーパント不純物を用いる。ここでは、ドーパント不純物として、例えば砒素又はアンチモンを用いる。イオン注入は、例えば4方向から行う。イオン注入の角度は、半導体基板10の法線方向に対して例えば25度程度とする。ドーパント不純物として砒素を用いる場合には、加速エネルギーを例えば60keVとし、4方向のドーズ量の合計を例えば6.0×1013cm−2程度とする。ドーパント不純物としてアンチモンを用いる場合には、加速エネルギーを例えば75keV程度とし、4方向のドーズ量の合計を例えば6.0×1013cm−2程度とする。
次に、フォトレジスト膜102及びゲート電極24e、24fをマスクとして、例えばイオン注入法により、P型のドーパント不純物を半導体基板10内に導入することにより、P型のエクステンション領域52を形成する(図19参照)。ドーパント不純物としては、例えばボロンを用いる。加速エネルギーは、例えば0.6keV程度とする。ドーズ量は、例えば1.0×1015cm−2程度とする。
この後、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜94を除去する。
次に、全面に、例えば熱CVD法により、例えば膜厚80nmのシリコン酸化膜を形成する。
次に、ドライエッチングにより、シリコン酸化膜を異方性エッチングする。これにより、ゲート電極24a〜24dの側壁部分にシリコン酸化膜のサイドウォール絶縁膜30が形成される(図20参照)。
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜106を形成する。
次に、N型低リークトランジスタ形成領域1、N型標準トランジスタ形成領域2及びN型高速トランジスタ形成領域3を露出する開口部108をフォトレジスト膜106に形成する。
次に、フォトレジスト膜106及びゲート電極24a〜24cをマスクとして、例えばイオン注入法により、N型のドーパント不純物を半導体基板10内に導入することにより、ソース/ドレイン領域32を形成する(図21参照)。ドーパント不純物としては、例えばリンを用いる。加速エネルギーは、例えば8keVとする。ドーズ量は、例えば1.0×1016cm−2程度とする。
この後、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜106を除去する。
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜110を形成する。
次に、P型低リークトランジスタ形成領域4、P型標準トランジスタ形成領域5及びP型高速トランジスタ形成領域6を露出する開口部112をフォトレジスト膜110に形成する。
次に、フォトレジスト膜110及びゲート電極24d〜24fをマスクとして、例えばイオン注入法により、P型のドーパント不純物を半導体基板10内に導入することにより、ソース/ドレイン領域46を形成する(図22参照)。ドーパント不純物としては、例えばボロンを用いる。加速エネルギーは、例えば4keVとする。ドーズ量は、例えば3.0×1016cm−2程度とする。
この後、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜110を除去する。
次に、全面に、例えばスパッタリング法により、例えば膜厚5nmのニッケル(Ni)膜を形成する。
次に、熱処理を行うことにより、半導体基板10の表面とニッケル膜とを反応させるとともに、ゲート電極24a〜24fの上部とニッケル膜とを反応させる。この後、未反応のニッケル膜を、エッチング除去する。これにより、ソース/ドレイン領域32、46上にニッケルシリサイドのシリサイド膜56が形成される。ソース/ドレイン領域32,46上のシリサイド膜56は、ソース/ドレイン電極56として機能する。また、ゲート電極24a〜24f上にもシリサイド膜56が形成される(図23参照)。
次に、全面に、例えば熱CVD法により、例えば膜厚200nmのシリコン酸化膜の層間絶縁膜58を形成する。
次に、例えばCMP法により、層間絶縁膜58の表面を平坦化する。
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、ソース/ドレイン電極56に達するコンタクトホール60を層間絶縁膜58に形成する。
次に、全面に、例えばスパッタリング法により、例えば膜厚10nmのTi膜を形成する。
次に、全面に、例えばスパッタリング法により、例えば膜厚10nmのTiN膜を形成する。Ti膜とTiN膜とによりバリア膜62が形成される。
次に、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚200nmのタングステン膜64を形成する。
次に、例えばCMP法により、層間絶縁膜58の表面が露出するまでタングステン膜64及びバリア膜62を研磨する。これにより、コンタクトホール60内に、タングステン膜より成る導体プラグ62が埋め込まれる。
こうして、本実施形態による半導体装置が製造される(図24参照)。
本実施形態では、N型低リークトランジスタ34aのチャネルドープ層18とN型標準トランジスタ34bのチャネルドープ層18とが、フォトレジスト膜74をマスクとして、質量数が比較的小さいドーパント不純物を導入することにより同時に形成される。また、本実施形態では、P型低リークトランジスタ48aのチャネルドープ層40とP型標準トランジスタ48bのチャネルドープ層40とが、フォトレジスト膜78をマスクとして、質量数が比較的小さいドーパント不純物を導入することにより同時に形成される。また、N型標準トランジスタ34bのポケット領域36とN型高速トランジスタ34cのポケット領域36とが、フォトレジスト膜98をマスクとして、質量数が比較的大きいドーパント不純物を導入することにより同時に形成される。また、P型標準トランジスタ48bのポケット領域50とP型高速トランジスタ48cのポケット領域50とが、フォトレジスト膜102をマスクとして、質量数が比較的大きいドーパント不純物を導入することにより同時に形成される。本実施形態では、質量数が比較的大きいドーパント不純物を高速トランジスタ34c、48cのチャネルドープ層20、54とポケット領域36、50とに導入するため、高速トランジスタのオン電流特性を向上させることができる。また、本実施形態では、質量数が比較的小さいドーパント不純物を標準トランジスタ34b、48bのチャネルドープ層18,40に導入し、質量数が比較的大きいドーパント不純物を標準トランジスタ34b、48bのポケット領域36,50に導入する。このため、本実施形態では、標準トランジスタ34b、48bにおいて、リーク電流を抑制しつつ、オン電流特性を向上させることができる。従って、本実施形態によれば、工程数の増加を招くことなく、電気的特性の良好な半導体装置を提供することができる。
(評価結果)
図25は、低リークトランジスタの評価結果を示すグラフである。図25の横軸はゲート長を示しており、図25の縦軸はオフ電流Ioffを示している。評価を行う際にソース−ドレイン間に印加する電圧は、1.2Vとした。ゲート幅は、1μmとした。図25の●印は、本実施形態の場合、即ち、低リークトランジスタのチャネルドープ層を形成する際にドーパント不純物としてボロンを用い、低リークトランジスタのポケット領域を形成する際にドーパント不純物としてボロンを用いた場合を示している。図25の△印は、比較例1の場合、即ち、チャネルドープ層を形成する際にドーパント不純物としてボロンを用い、ポケット領域を形成する際にドーパント不純物としてインジウムを用いた場合を示している。図25の▲印は、比較例2の場合、即ち、チャネルドープ層を形成する際にドーパント不純物としてインジウムを用い、ポケット領域を形成する際にドーパント不純物としてボロンを用いた場合を示している。
図25から分かるように、比較例1、比較例2では、ゲート長が60nmの際のオフ電流が500pA/μm以上と比較的大きい。
これに対し、本実施形態では、ゲート長が60nmの際のオフ電流が30pA/μm程度と十分に小さい。
このことから、リーク電流の十分に小さい低リークトランジスタを形成するためには、チャネルドープ層を形成する際とポケット領域を形成する際のいずれにおいても、質量数が比較的小さいドーパント不純物を用いることが好ましいことが分かる。
図26は、標準トランジスタの評価結果を示すグラフである。図26の横軸はオン電流Ionを示しており、図26の縦軸はオフ電流Ioffを示している。評価を行う際にソース−ドレイン間に印加する電圧は、1.2Vとした。ゲート幅は、1μmとした。図26の●印は、本実施形態の場合、即ち、標準トランジスタのチャネルドープ層を形成する際にドーパント不純物としてボロンを用い、標準トランジスタのポケット領域を形成する際にドーパント不純物としてインジウムを用いた場合を示している。図26の▲印は、比較例3の場合、即ち、標準トランジスタのチャネルドープ層を形成する際にドーパント不純物としてボロンを用い、標準トランジスタのポケット領域を形成する際にドーパント不純物としてボロンを用いた場合を示している。
図26から分かるように、本実施形態では、比較例3に対してオン電流特性が約17%程度向上している。
このことから、標準トランジスタのオン電流特性を向上するためには、チャネルドープ層を形成する際には質量数が比較的小さいドーパント不純物を用い、ポケット領域を形成する際には質量数が比較的大きいドーパント不純物を用いることが好ましいことが分かる。
図27は、高速トランジスタの評価結果を示すグラフである。図27の横軸はオン電流Ionを示しており、図27の縦軸はオフ電流Ioffを示している。評価を行う際にソース−ドレイン間に印加する電圧は、1.2Vとした。ゲート幅は、1μmとした。図27の●印は、本実施形態の場合、即ち、高速トランジスタのチャネルドープ層を形成する際にドーパント不純物としてインジウムを用い、標準トランジスタのポケット領域を形成する際にドーパント不純物としてインジウムを用いた場合を示している。図27の▲印は、比較例4の場合、即ち、高速トランジスタのチャネルドープ層を形成する際にドーパント不純物としてボロンを用い、標準トランジスタのポケット領域を形成する際にドーパント不純物としてインジウムを用いた場合を示している。
図27から分かるように、本実施形態では、比較例4に対してオン電流特性が約8%程度向上している。
このことから、高速トランジスタのオン電流特性を向上するためには、チャネルドープ層を形成する際とポケット領域を形成する際のいずれにおいても、質量数が比較的大きいドーパント不純物を用いることが好ましいことが分かる。
図28は、本実施形態による半導体装置の評価結果を示すグラフである。図28の横軸はオン電流Ionを示しており、図28の縦軸はオフ電流Ioffを示している。評価を行う際にソース−ドレイン間に印加する電圧は、1.2Vとした。図28において、●印は、本実施形態による半導体装置の場合を示しており、▲印は、図41乃至図54に示す参考例による半導体装置の場合を示している。
図28から分かるように、本実施形態では、N型高速トランジスタのオン電流及びN型標準トランジスタのオン電流特性が著しく向上している。
このことから、本実施形態によれば、高速トランジスタ及び標準トランジスタのオン電流特性を著しく向上し得ることが分かる。
[第2実施形態]
第2実施形態による半導体装置及びその製造方法を図29乃至図40を用いて説明する。図29は、本実施形態による半導体装置を示す断面図である。図1乃至図28に示す第1実施形態による半導体装置及びその製造方法と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
本実施形態による半導体装置及びその製造方法は、ゲート電極24a〜24fの側壁部分にサイドウォール絶縁膜114が形成されている状態で、ドーパント不純物を導入することにより、ポケット領域26,42を形成することに主な特徴がある。
(半導体装置)
まず、本実施形態による半導体装置について図29を用いて説明する。
図29に示すように、ゲート電極24a〜24fの側壁部分には、例えば10nmのシリコン酸化膜のサイドウォール絶縁膜114が形成されている。
サイドウォール絶縁膜114が形成されたゲート電極24a〜24fの側壁部分には、更にサイドウォール絶縁膜30が形成されている。
本実施形態によれば、後述するように、ゲート電極24a〜24fの側壁部分にサイドウォール絶縁膜114が形成されている状態で、ドーパント不純物を導入することにより、ポケット領域26,42を形成する。このため、本実施形態によれば、ポケット領域26,42を形成する際に、ドーパント不純物がゲート電極24a、24dを突き抜けてゲート電極24a、24d直下の半導体基板10表面に導入されるのを抑制し得る。このため、本実施形態によれば、ポケット領域26,42を形成する際に導入されるドーパント不純物によりキャリアの移動が妨げられるのを、十分に抑制することが可能となる。
(半導体装置の製造方法)
次に、本実施形態による半導体装置の製造方法を図30乃至図40を用いて説明する。図30乃至図40は、本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
まず、半導体基板10上にシリコン酸化膜66を形成する工程からゲート電極24a〜24fを形成する工程までは、図2乃至図11に示す第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様であるので、説明を省略する。
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜98を形成する。
次に、N型標準トランジスタ形成領域2及びN型高速トランジスタ形成領域3を露出する開口部100をフォトレジスト膜98に形成する。
次に、フォトレジスト膜98をマスクとして、例えばイオン注入法により、P型のドーパント不純物を半導体基板10内に導入することにより、P型のポケット領域36を形成する(図30参照)。ドーパント不純物としては、N型低リークトランジスタ34aのポケット領域26(図35参照)を形成する際に用いるドーパント不純物より質量数の大きいドーパント不純物を用いる。ここでは、ドーパント不純物として、例えばインジウムを用いる。イオン注入条件等は、図16を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様であるので、説明を省略する。
次に、フォトレジスト膜98をマスクとして、例えばイオン注入法により、N型のドーパント不純物を半導体基板10内に導入することにより、N型のエクステンション領域38を形成する(図31参照)。ドーパント不純物としては、例えば砒素を用いる。イオン注入条件等は、図17を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様であるので、説明を省略する。
この後、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜98を除去する。
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜102を形成する。
次に、P型標準トランジスタ形成領域5及びP型高速トランジスタ形成領域5を露出する開口部104をフォトレジスト膜102に形成する。
次に、フォトレジスト膜102をマスクとして、例えばイオン注入法により、N型のドーパント不純物を半導体基板10内に導入することにより、N型のポケット領域50を形成する(図32参照)。ドーパント不純物としては、P型低リークトランジスタ48aのポケット領域42(図37参照)を形成する際に用いるドーパント不純物より質量数の大きいドーパント不純物を用いる。ここでは、ドーパント不純物として、例えば砒素又はアンチモンを用いる。イオン注入条件等は、図18を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様であるので、説明を省略する。
次に、フォトレジスト膜102をマスクとして、例えばイオン注入法により、P型のドーパント不純物を半導体基板10内に導入することにより、P型のエクステンション領域52を形成する(図33参照)。ドーパント不純物としては、例えばボロンを用いる。イオン注入条件等は、図19を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様であるので、説明を省略する。
この後、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜102を除去する。
次に、全面に、例えば熱CVD法により、例えば膜厚10nmのシリコン酸化膜を形成する。
次に、例えばドライエッチングにより、シリコン酸化膜を異方性エッチングする。これにより、ゲート電極24a〜24fの側壁部分にシリコン酸化膜のサイドウォール絶縁膜114が形成される(図34参照)。
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜90を形成する。
次に、N型低リークトランジスタ形成領域1を露出する開口部92をフォトレジスト膜90に形成する。
次に、フォトレジスト膜90及びゲート電極24aをマスクとして、例えばイオン注入法により、P型のドーパント不純物を半導体基板10内に導入することにより、P型のポケット領域26を形成する(図35参照)。ドーパント不純物としては、N型標準トランジスタ34bのポケット領域36及びN型高速トランジスタ34cのポケット領域36を形成する際に用いたドーパント不純物より質量数の小さいドーパント不純物を用いる。ここでは、ドーパント不純物として、例えばボロンを用いる。イオン注入条件等は、図12を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様であるので、説明を省略する。ゲート電極24aの側壁部分にサイドウォール絶縁膜114が形成されているため、ドーパント不純物がゲート電極24aを突き抜けてゲート電極24a直下の半導体基板10表面に達することが抑制される。
次に、フォトレジスト膜90及びゲート電極24aをマスクとして、例えばイオン注入法により、N型のドーパント不純物を半導体基板10内に導入することにより、N型のエクステンション領域28を形成する(図36参照)。ドーパント不純物としては、例えば砒素を用いる。イオン注入条件等は、図13を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様であるので、説明を省略する。
この後、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜90を除去する。
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜94を形成する(図37参照)。
次に、P型低リークトランジスタ形成領域4を露出する開口部96をフォトレジスト膜94に形成する。
次に、フォトレジスト膜94をマスクとして、例えばイオン注入法により、N型のドーパント不純物を半導体基板10内に導入することにより、N型のポケット領域42を形成する。ドーパント不純物としては、P型標準トランジスタ48bのポケット領域50及びP型高速トランジスタ48cのポケット領域50を形成する際に用いたドーパント不純物より質量数の小さいドーパント不純物を用いる。ここでは、ドーパント不純物としては、例えばリンを用いる。イオン注入条件等は、図14を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様であるので、説明を省略する。ゲート電極24dの側壁部分にサイドウォール絶縁膜114が形成されているため、ドーパント不純物がゲート電極24dを突き抜けてゲート電極24d直下の半導体基板10表面に達することが抑制される。
次に、フォトレジスト膜94をマスクとして、例えばイオン注入法により、P型のドーパント不純物を半導体基板10内に導入することにより、P型のエクステンション領域44を形成する(図38参照)。ドーパント不純物としては、例えばボロンを用いる。イオン注入条件等は、図15を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様であるので、説明を省略する。
この後、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜94を除去する。
次に、全面に、例えば熱CVD法により、例えば膜厚80nmのシリコン酸化膜を形成する。
次に、ドライエッチングにより、シリコン酸化膜を異方性エッチングする。これにより、ゲート電極24a〜24dの側壁部分にシリコン酸化膜のサイドウォール絶縁膜30が形成される(図39参照)。
この後の半導体装置の製造方法は、図21乃至図24を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様であるので、説明を省略する。
こうして、本実施形態による半導体装置が製造される(図40参照)。
このように、本実施形態では、ゲート電極24a、24dの側壁部分にサイドウォール絶縁膜114が形成されている状態で、ドーパント不純物を導入することにより、ポケット領域26,42を形成する。このため、本実施形態によれば、ポケット領域26,42を形成する際に、ドーパント不純物がゲート電極24a、24dを突き抜けてゲート電極24a、24d直下の半導体基板10表面に導入されるのを抑制し得る。このため、本実施形態によれば、ポケット領域26、42を形成する際に導入されるドーパント不純物によりキャリアの移動が妨げられるのを、十分に抑制することができ、良好な電気的特性のトランジスタを有する半導体装置を提供することができる。
[変形実施形態]
上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、N型標準トランジスタ34b及びN型高速トランジスタ34cのポケット領域38に導入するドーパント不純物としてインジウムを用いる場合を例に説明したが、インジウムに限定されるものではない。質量数が比較的大きいP型のドーパント不純物を、ポケット領域38に導入するドーパント不純物として適宜用いることができる。例えば、ポケット領域38に導入するドーパント不純物として、ガリウムを用いてもよい。
また、上記実施形態では、P型標準トランジスタ48b及びP型高速トランジスタ484cのポケット領域50に導入するドーパント不純物として砒素又はアンチモンを用いる場合を例に説明したが、砒素又はアンチモンに限定されるものではない。質量数が比較的大きいN型のドーパント不純物を、ポケット領域50に導入するドーパント不純物として適宜用いることができる。
上記実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
半導体基板の第1の領域内に形成された第1のトランジスタと、前記半導体基板の第2の領域内に形成された第2のトランジスタと、前記半導体基板の第3の領域内に形成された第3のトランジスタとを有する半導体装置の製造方法であって、
前記第1の領域及び前記第2の領域を露出する第1のレジスト膜を形成する工程と、
前記第1のレジスト膜をマスクとして、第1導電型の第1のドーパント不純物を前記半導体基板内に導入することにより、前記第1の領域の前記半導体基板内に第1のチャネルドープ層を形成し、前記第2の領域の前記半導体基板内に第2のチャネルドープ層を形成する工程と、
前記第3の領域を露出する第2のレジスト膜を形成する工程と、
前記第2のレジスト膜をマスクとして、前記第1のドーパント不純物より質量数が大きい前記第1導電型の第2のドーパント不純物を導入することにより、前記第3の領域の前記半導体基板内に第3のチャネルドープ層を形成する工程と、
前記半導体基板の前記第1の領域上、前記第2の領域上及び前記第3の領域上に、ゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の領域内の前記ゲート絶縁膜上に第1のゲート電極を形成し、前記第2の領域内の前記ゲート絶縁膜上に第2のゲート電極を形成し、前記第3の領域内の前記ゲート絶縁膜上に第3のゲート電極を形成する工程と、
前記第1の領域を露出する第3のレジスト膜を形成する工程と、
前記第3のレジスト膜と前記第1のゲート電極とをマスクとして、前記第1導電型の第3のドーパント不純物を前記半導体基板内に導入することにより、前記第1のゲート電極の両側の前記半導体基板内に、第1のポケット領域を形成する工程と、
前記第3のレジスト膜と前記第1のゲート電極とをマスクとして、前記第1導電型と異なる第2導電型の第4のドーパント不純物を前記半導体基板内に導入することにより、前記第1のゲート電極の両側の前記半導体基板内に、第1のエクステンション領域を形成する工程と、
前記第2の領域及び前記第3の領域を露出する第4のレジスト膜を形成する工程と、
前記第4のレジスト膜、前記第2のゲート電極及び前記第3のゲート電極をマスクとして、前記第3のドーパント不純物より質量数が大きい前記第1導電型の第5のドーパント不純物を前記半導体基板内に導入することにより、前記第2のゲート電極の両側の前記半導体基板内に第2のポケット領域を形成し、前記第3のゲート電極の両側の前記半導体基板内に第3のポケット領域を形成する工程と、
前記第4のレジスト膜、前記第2のゲート電極及び前記第3のゲート電極をマスクとして、前記第2導電型の第6のドーパント不純物を前記半導体基板内に導入することにより、前記第2のゲート電極の両側の前記半導体基板内に第2のエクステンション領域を形成し、前記第3のゲート電極の両側の前記半導体基板内に第3のエクステンション領域を形成する工程と、
前記第1のゲート電極の両側の前記半導体基板内に前記第1のエクステンション領域より深い第1のソース/ドレイン領域を形成し、前記第2のゲート電極の両側の前記半導体基板内に前記第2のエクステンション領域より深い第2のソース/ドレイン領域を形成し、前記第3のゲート電極の両側の前記半導体基板内に前記第3のエクステンション領域より深い第3のソース/ドレイン領域を形成する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記2)
付記1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1のドーパント不純物は、ボロンであり、
前記第2のドーパント不純物は、インジウムである
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記3)
付記1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1のドーパント不純物は、リンであり、
前記第2のドーパント不純物は、砒素又はアンチモンである
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記4)
付記1又は2記載の半導体装置の製造方法において、
前記第3のドーパント不純物は、ボロンであり、
前記第5のドーパント不純物は、インジウムである
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記5)
付記1又は3記載の半導体装置の製造方法において、
前記第3のドーパント不純物は、リンであり、
前記第5のドーパント不純物は、砒素又はアンチモンである
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記6)
付記1乃至5のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1のトランジスタの前記ゲート絶縁膜の膜厚、前記第2のトランジスタの前記ゲート絶縁膜の膜厚及び前記第3のトランジスタの前記ゲート絶縁膜の膜厚は、互いに等しい
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記7)
付記1乃至6のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1のゲート電極、前記第2のゲート電極及び前記第3のゲート電極を形成する工程の後、前記第1のポケット領域を形成する工程の前に、前記第1のゲート電極の側壁部分、前記第2のゲート電極の側壁部分及び前記第3のゲート電極の側壁部分に、他のサイドウォール絶縁膜をそれぞれ形成する工程を更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記8)
半導体基板の第1の領域内に第1導電型の第1のドーパント不純物を導入することにより形成された第1のチャネルドープ層と、前記半導体基板の前記第1の領域上に第1のゲート絶縁膜を介して形成された第1のゲート電極と、前記第1のゲート電極の両側の前記半導体基板内に前記第1導電型の第2のドーパント不純物を導入することにより形成された第1のポケット領域と、前記第1のゲート電極の両側の前記半導体基板内に形成された前記第1の導電型と異なる第2導電型の第1のエクステンション領域と、前記ゲート電極の両側の前記半導体基板内に形成された前記第2導電型の第1のソース/ドレイン領域とを有する第1のトランジスタと、
前記半導体基板内の第2の領域内に前記第1のドーパント不純物を導入することにより形成された第2のチャネルドープ層と、前記半導体基板の前記第2の領域上に第2のゲート絶縁膜を介して形成された第2のゲート電極と、前記第2のゲート電極の両側の前記半導体基板内に前記第2のドーパント不純物より質量数が大きい前記第1導電型の第3のドーパント不純物を導入することにより形成された第2のポケット領域と、前記第2のゲート電極の両側の前記半導体基板内に形成された前記第2導電型の第2のエクステンション領域と、前記ゲート電極の両側の前記半導体基板内に形成された前記第2導電型の第2のソース/ドレイン領域とを有する第2のトランジスタと、
前記半導体基板内の第3の領域内に前記第1のドーパント不純物より質量数が大きい前記第1導電型の第4のドーパント不純物を導入することにより形成された第3のチャネルドープ層と、前記半導体基板の前記第3の領域上に第3のゲート絶縁膜を介して形成された第3のゲート電極と、前記第3のゲート電極の両側の前記半導体基板内に前記第3のドーパント不純物を導入することにより形成された第3のポケット領域と、前記第3のゲート電極の両側の前記半導体基板内に形成された前記第2導電型の第3のエクステンション領域と、前記ゲート電極の両側の前記半導体基板内に形成された前記第2導電型の第3のソース/ドレイン拡散層とを有する第3のトランジスタと
を有することを特徴とする半導体装置。
(付記9)
付記8記載の半導体装置において、
前記第1のドーパント不純物は、ボロンであり、
前記第4のドーパント不純物は、インジウムである
ことを特徴とする半導体装置。
(付記10)
付記8記載の半導体装置において、
前記第1のドーパント不純物は、リンであり、
前記第4のドーパント不純物は、砒素又はアンチモンである
ことを特徴とする半導体装置。
(付記11)
付記8又は9記載の半導体装置において、
前記第2のドーパント不純物は、ボロンであり、
前記第3のドーパント不純物は、インジウムである
ことを特徴とする半導体装置。
(付記12)
付記8又は9記載の半導体装置において、
前記第2のドーパント不純物は、リンであり、
前記第3のドーパント不純物は、砒素又はアンチモンである
ことを特徴とする半導体装置。
(付記13)
付記8乃至12のいずれかに記載の半導体装置において、
前記第1のゲート絶縁膜の膜厚、前記第2のゲート絶縁膜の膜厚及び前記第3のゲート絶縁膜の膜厚は、互いに等しい
ことを特徴とする半導体装置。