JP2011178720A - 無機系抗ウイルス剤及びこの無機系抗ウイルス剤を含有した抗ウイルス部材 - Google Patents

無機系抗ウイルス剤及びこの無機系抗ウイルス剤を含有した抗ウイルス部材 Download PDF

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Abstract

【課題】ウイルスを吸着して不活化することができる抗ウイルス性を有する無機系抗ウイルス剤を提供する。
【解決手段】表面に無数の微細孔を有する多孔質無機粉体1−bと、前記多孔質無機粉体1−bの表面及び無数の微細孔の少なくとも一方に担持された一価の銅化合物微粒子1−aとを含む無機系抗ウイルス剤1、および該無機系抗ウイルス剤1を含有する抗ウイルス部材。
【効果】大気中や水中に浮遊するウイルスを速やかに吸着して不活化することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、様々なウイルスを吸着して不活化することができる無機系抗ウイルス剤並びにこの無機系抗ウイルス剤を含有した抗ウイルス部材に関する。
近年、SARS(重症急性呼吸器症候群)や鳥インフルエンザウイルス感染による死者が報告されている。また、2009年3月には新型インフルエンザが発生し、世界中にウイルス感染が広がる「パンデミック(感染爆発)」が起こった。そのため、今後、鳥インフルエンザウイルスの突然変異により発生が懸念される、強毒性を有する鳥インフルエンザウイルスによるパンデミックの脅威に対して、緊急の対策が必要とされている。このような事態に対応するために、ワクチンによる抗ウイルス剤の開発も急がれているが、ワクチンの場合、その特異性により、感染を防ぐことができるのは特定のウイルスに限定される。また、非細菌性急性胃腸炎を引き起こすウイルスの一種であるノロウイルスは、カキなどの貝類による食中毒の原因になるほか、感染したヒトの糞便や嘔吐物、あるいはそれらが乾燥したものから出る塵埃を介して経口感染することが知られており、壁やエアコンなどの設備を含む環境を介して、患者・医療従事者に接触感染を生じることから、社会的にも大きな問題になってきている。したがって、様々なウイルスに対して吸着性を示し、且つ、吸着したウイルスを効率よく不活化することができる抗ウイルス性を有する材料の開発が強く望まれている。
ここでウイルスは、脂質を含むエンベローブと呼ばれている膜で包まれているウイルスと、エンベロープを持たないウイルスに分類できる。エンベロープはその大部分が脂質からなるため、エタノール、有機溶媒、石けんなど消毒剤で処理すると容易に破壊することができる。このため一般にエンベロープを持つウイルスはこれら消毒剤での不活化(ウイルスの感染力低下ないし失活)が容易である。これに対し、エンベロープをもたないウイルスは上記の消毒剤への抵抗性が強く、不活化が難しい。なお、本明細書において、ウイルス不活化性と抗ウイルス性とは、同一の作用を称している。
これらの問題を解決する抗ウイルス剤としては、有機系よりも広く効果がある無機系の抗ウイルス剤が報告されている。例えば、インフルエンザウイルスを不活化(ウイルスの感染力低下ないし失活)する効果があるものとして、抗菌性色素剤と二価の銅イオンを含有した布が報告されている(特許文献1)。また、銀や銅イオンを担持したゼオライトを親水性高分子に分散したもの(特許文献2)や、銀や銅などの金属からなる微粒子を無機酸化物微粒子と複合化したもの(特許文献3)、さらに、鳥インフルエンザウイルスを不活化するのに効果があるものとして、ドロマイトを焼成し、その一部を水和化して得た物を組成物として基材表面に塗工する方法(特許文献4)などが報告されている。
特開2006−188499号公報 特開2006−291031号公報 特開2003−221304号公報 特開2007−106876号公報
しかしながら、二価の銅イオンを用いる方法では、当該銅イオンを他の物質と混合することによって安定化させることが必要であり、その組成物に含まれる銅イオンの割合が制限されてしまう。言い換えれば、二価の銅イオンの安定剤を含むことが必須となるため、抗ウイルス性を有する部材の設計自由度が小さい。また、銀や銅などのイオンをゼオライトに担持して親水性高分子に分散した物質の場合では、親水性高分子の種類によってはウイルスの吸着性が低下して不活化効果が低下したり、乾燥した環境では抗ウイルス効果が発現し難くなるなどの問題がある。さらに、金属微粒子を無機酸化微粒子と複合化した物質の場合では、高温湿度の環境では金属微粒子が酸化して時間と共に抗ウイルス効果が低下することから、充分な抗ウイルス性能を発揮できない場合がある。また、ドロマイトを焼成し、その一部を水和化して得られた物質は高アルカリ性を呈するため、使用する環境や用途が限定されるなどの問題がある。
そこで本発明は、上記課題を解決するために、ウイルスを吸着して不活化することができる抗ウイルス性を有する無機系抗ウイルス剤およびこの該無機系抗ウイルス剤を含有した抗ウイルス部材を提供するものである。
すなわち第1の発明は、表面に無数の微細孔を有する多孔質無機粉体と、前記多孔質無機粉体の表面及び無数の微細孔内の少なくとも一方に担持された一価の銅化合物微粒子とを含むことを特徴とする無機系抗ウイルス剤である。
また、第2の発明は、上記第1の発明において、前記一価の銅化合物微粒子が、塩化物、酢酸物、硫化物、ヨウ化物、臭化物、過酸化物、酸化物、水酸化物、シアン化物、チオシアン酸塩またはそれらの混合物の化合物微粒子であることを特徴とする無機系抗ウイルス剤である。
さらにまた、第3の発明は、上記第1または第2に記載の発明において、前記一価の銅化合物微粒子が、CuCl、Cu2(CH3COO)2、CuI、CuBr、CuO2、CuOH、CuCN、CuSCNから少なくとも1種類選択された微粒子であることを特徴とする無機系抗ウイルス剤である。
さらに、第4の発明は、上記第1から第3のいずれかに記載の無機系抗ウイルス剤を含有したことを特徴とする抗ウイルス部材である。
さらに、第5の発明は、上記第4の発明に記載の抗ウイルス部材を用いたことを特徴とするフィルターである。
本発明によれば、大気中や水中に浮遊するウイルスを速やかに吸着して不活化することができる無機系抗ウイルス剤および、該無機系抗ウイルス剤を用いた部材を提供することができる。
本発明の実施形態の無機系抗ウイルス剤の模式図である。 本発明の第1の実施形態の無機系抗ウイルス剤を含有した抗ウイルス部材の断面の模式図である。 本発明の第2の実施形態の無機系抗ウイルス剤を含有した抗ウイルス部材の断面の模式図である。 本発明の第3の実施形態の無機系抗ウイルス剤を含有した抗ウイルス部材の断面の模式図である。
以下、本発明の実施形態について具体的に図を用いて詳述する。
図1は、本発明の実施形態の無機系抗ウイルス剤1を模式的に拡大した図である。本実施形態の無機系抗ウイルス剤1は、有効成分である一価の銅化合物1−aが、多孔質無機粉体1−bの表面に担持され、一価の銅化合物1−aの一部は多孔質無機粉体1−bの微細孔内に担持されることで構成されている。なお、本図は無機系抗ウイルス剤1の構成を模式的に示したものであって、厳密な構成をも示すものではない。
本実施形態で用いられる多孔質無機粉体1−bとしては、例えば、SiO2、Al2O3、TiO2、ZrO2、SnO2、Fe2O3、Sb2O3、WO3、CeO2などの単一の無機酸化物が挙げられる。また、複合酸化物としては、例えば、SiO2・Al2O3、SiO2・B2O3、SiO2・P2O5、SiO2・TiO2、SiO2・ZrO2・、Al2O3・TiO2、Al2O3・ZrO2、Al2O3・CaO、Al2O3・B2O3、Al2O3・P2O5、Al2O3・CeO2、Al2O3・Fe2O3、TiO2・CeO2、TiO2・ZrO2、SiO2・TiO2・ZrO2、Al2O3・TiO2・ZrO2、SiO2・Al2O3・TiO2、SiO2・TiO2・CeO2などが挙げられる。さらに、吸着性を有するケイ酸塩としては、ゼオライトA、ゼオライトP、ゼオライトX、ゼオライトYなどの合成ゼオライトや、クリノプチルライトやセピオラオライト、モルデナイトなどの天然ゼオライトなどや、カオリナイト、モンモリロナイト、酸性白土、珪藻土などの層状ケイ酸塩化合物や、オラストナイト、ネプツナイトなどの環状ケイ酸塩化合物が挙げられる。また、リン酸3カルシウム、リン酸水素カルシウム、ピロリン酸カルシウム、メタリン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイトなどのリン酸塩化合物や、さらには、活性炭や、多孔質ガラスなども挙げられる。これらの多孔質無機粉体1−bはその使用目的に応じて使用されるものであり、粉末状であったり、或いは、加圧されて錠剤状に成形されてあってもよい。
本実施形態の有効成分である一価の銅化合物微粒子1−aの種類については、一価の銅化合物であれば特に限定されないが、塩化物、酢酸物、硫化物、ヨウ化物、臭化物、過酸化物、酸化物、水酸化物、シアン化物、チオシアン酸塩またはそれらの混合物であることが好ましい。このうち、一価の銅化合物1−aの微粒子が、CuCl、Cu2(CH3COO)2、CuI、CuBr、Cu2O、CuOH、CuCN、およびCuSCNから少なくとも1種類選択されることが一層好適である。
多孔質無機粉体1−bに含有されている一価の銅化合物1−aは、その殆どが多孔質無機粉体1−bの微細孔内に担持された状態であって、一部の一価の銅化合物1−aの微粒子が物理的に混合されてあっても良い。また、一価の銅化合物1−aの粒子径は特に限定されない。さらに、多孔質無機粉体1−bに含有されている一価の銅化合物1−aの質量は、多孔質無機粉体1−bの質量に対し、1.0質量%から100質量%程度であれば良く、1.0質量%より小さい場合には抗ウイルス効果が十分に発揮せず、また、100質量%以上よりも多くしても100質量%の場合と比較して抗ウイルス効果の大きな差はない。
本実施形態の無機系抗ウイルス剤1は、多孔質無機粉体1−bの微細孔に一価の銅化合物1−aを析出させて製造される。具体的な製造方法の一例としては、溶存酸素が極めて少ない水やメタノール、エタノールなどのアルコールに多孔質無機粉体1−bと一価の銅化合物1−aを分散させ、必要に応じて加熱して一価の銅化合物1−aを溶解させた後、室温に戻して多孔質無機粉体1−bの微細孔に一価の銅化合物1−aを析出させることにより製造される。
本実施形態の無機系抗ウイルス剤1は、様々な態様で用いることができる。例えば、本実施形態の抗ウイルス剤1は、取り扱いの点から考えると粉体が最も好適に用いられるが、これに限られるものではない。使用目的により粉末状、顆粒状であっても良く、加圧形成により錠剤状に成形されて用いられる。また、粉末状の場合では、エアゾールの容器内に不活性ガスで加圧して当該無機系抗ウイルス剤1の粉末を充填し、スプレーすることで衣服や手などに当該無機系抗ウイルス剤1を付着させて用いられる。さらに、当該無機系抗ウイルス剤1を水などの分散媒に分散させた状態で用いてもよい。
本実施形態の無機系抗ウイルス剤1において不活化できるウイルスについては特に限定されず、ゲノムの種類や、エンベロープの有無等に係ることなく、様々なウイルスを不活化することができる。例えば、ライノウイルス・ポリオウイルス・ロタウイルス・ノロウイルス・エンテロウイルス・ヘパトウイルス・アストロウイルス・サポウイルス・A型、B型、C型、D型、E型、G型、TT型肝炎ウイルス・A型、B型、C型インフルエンザウイルス・パラインフルエンザウイルス・ムンプスウイルス(おたふくかぜ)・麻疹ウイルス・ヒトメタニューモウイルス・RSウイルス・ニパウイルス・ヘンドラウイルス・黄熱ウイルス・デングウイルス・日本脳炎ウイルス・ウエストナイルウイルス・東部および西部馬脳炎ウイルス・オニョンニョンウイルス・風疹ウイルス・ラッサウイルス・フニンウイルス・マチュポウイルウス・グアナリトウイルス・サビアウイルス・クリミアコンゴ出血熱ウイルス・スナバエ熱・ハンタウイルス・シンノンブレウイルス・狂犬病ウイルス・エボラウイルス・マーブルグウイルス・コウモリリッサウイルス・ヒトT細胞白血病ウイルス・ヒト免疫不全ウイルス・ヒトコロナウイルス・SARSコロナウイルス・ヒトポルボウイルス・ポリオーマウイルス・ヒトパピローマウイルス・アデノウイルス・ヘルペスウイルス・水痘、帯状発疹ウイルス・EBウイルス・サイトメガロウイルス・天然痘ウイルス・サル痘ウイルス・牛痘ウイルス・モラシポックスウイルス・パラポックスウイルスなどを挙げることができる。
尚、ウイルスの不活化機構については現在のところ必ずしも明確ではないが、一価の銅化合物1−aが空気中の水分と接触すると、その一部がより安定な二価の銅イオンになろうとするため電子を放出し、当該放出された電子が本実施形態の無機系抗ウイルス剤1に付着したウイルス表面の電気的チャージやDNAなどに何らかの影響を与えて不活化させるものと考えられる。
次に、本実施形態の無機系抗ウイルス剤1を含有した抗ウイルス部材について図を用いて詳述する。
(第1実施形態)
図2は、本発明の第1実施形態の抗ウイルス部材100の断面の一部を模式的に拡大した図である。基材10の表面には、本実施形態の無機系抗ウイルス剤1が、シランモノマーあるいはシランモノマーの重合体であるオリゴマー2を少なくとも介して結合している。なお、図2の模式図では理解を容易とするために、オリゴマーとしてダイマーを挙げて記載している。さらに基材1に担持した無機系抗ウイルス剤1は1種類で示しているが、有効成分である一価の銅化合物1−aや多孔質無機粉体1−bがそれぞれ異なったものを1種、または1種以上用いてもよい。さらに後述する機能の異なった無機微粒子を担持させてもよい。
ここで、保持される無機系抗ウイルス剤1の大きさは特に限定されず当業者が適宜設定可能であるが、平均の粒子径が1nm以上、500μm未満であるのが好ましい。1nm未満では物質的に不安定となるため、無機系抗ウイルス剤1同士が凝集し、均一に基材10に担持させるのが困難となる。また、500μm以上である場合は、基材10との密着性が範囲内にある場合よりも低下する。なお、本明細書において、平均粒子径とは、体積平均粒子径をいう。
本発明の第1実施形態において、無機系抗ウイルス剤1は、少なくともシランモノマーまたはその重合体であるオリゴマー2を介して、基材10に固定されている。シランモノマーやオリゴマー2は分子量が低く、その為、無機系抗ウイルス剤1とウイルスとの接触を阻害しにくく、効果的にウイルスを不活化できる。また、基材10との密着性が高く、さらに、無機系抗ウイルス剤1を安定に基材10に担持することが可能となる。
本発明の第1実施形態の抗ウイルス部材100で用いられる具体的なシランモノマーとしては、X−Si(OR)n(nは1〜3の整数)の一般式で示されるシランモノマーが挙げられる。尚、Xは例えば有機物と反応する官能基でビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロ基、アクリロキシ基、イソシアネート基、ポリスルフィド基、アミノ基、メルカプト基、クロル基などである。また、「OR」は加水分解可能なメトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基であり、シランモノマーに係る3つの当該官能基は同一でも異なっていてもよい。これらのメトキシ基やエトキシ基からなるアルコキシ基は加水分解してシラノール基を生ずる。このシラノール基やビニル基やエポキシ基、スチリル基、メタクリロ基、アクリロキシ基、イソシアネート基、また不飽和結合などを有する官能基は反応性が高いことが知られている。すなわち、本発明の第1実施形態の抗ウイルス部材100は、このような反応性に優れたシランモノマーを介して無機系抗ウイルス剤1を化学結合4により基材10表面に強固に保持せしめている。
以上の一般式で表されるシランモノマーの一例としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1、3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、特殊アミノシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、加水分解性基含有シロキサン、フロロアルキル基含有オリゴマー、メチルハイドロジェンシロキサン、シリコーン第四級アンモニウム塩などが挙げられる。
また、シラン系オリゴマーとしては、市販されている信越化学工業株式会社製のKC−89S、KR−500、X−40−9225、KR−217、KR−9218、KR−213、KR−510などが挙げられ、これらのシラン系オリゴマーは単独、或いは2種類以上混合して用いられ、さらに、前述のシランモノマーの1種または2種以上と混合して用いられる。
このように、本発明の第1実施形態の抗ウイルス部材100においては、無機系抗ウイルス剤1が、シランモノマーやそのオリゴマー2により、その表面の少なくとも一部を露出した状態で基材10に保持されている。よって、抗ウイルス部材100表面に付着したウイルスが無機系抗ウイルス剤1と接触する確率を、バインダー等のみを用いて基材10に固定した場合と比較して高くすることができるため、少量でも効率よくウイルスを不活化することができる。
また無機系抗ウイルス剤1はシランモノマーまたはそのオリゴマー2との化学結合4により基材10に強固に固定されているので、基材10からの脱落が、バインダー等の成分にて被覆されて固定された場合よりも大きく抑制されている。そのため、本発明の第1実施形態の抗ウイルス部材100は、より長くウイルス不活化作用を維持することができる。なお、用いるシランモノマーを選択することにより、縮合反応やアミド結合、水素結合、イオン結合、或いはファンデルワールス力や物理的吸着などにより無機系抗ウイルス剤1を保持させてもよい。
本発明の第1実施形態において、無機系抗ウイルス剤1が基材10に保持される形態については特に限定されず、当業者が適宜選択できる。例えば、無機系抗ウイルス剤1が基材10上において散在していてもよい。また、無機系抗ウイルス剤1が平面状または3次元状に並ぶ無機微粒子集合体の形態で保持されるようにしてもよい。すなわち、点状、島状、薄膜状等の形状で保持されることができる。
このうち、基材10表面により多くの微細な凹凸が形成され、当該凹凸によって基材10への塵埃などの付着が抑制されるため、無機系抗ウイルス剤1は、3次元形状の集合体として基材10上に保持されていることが好ましい。このような塵埃などの付着の抑制により、抗ウイルス部材100のウイルス不活化作用を一層長く維持することができる。
このほか、本発明の第1実施形態の抗ウイルス部材100においては、無機系抗ウイルス剤1のほか、所望される機能を抗ウイルス部材100に付与するために、任意に用いられる機能性材料が、基材10表面に、保持されるようにしてもよい。当該機能性材料としては、他の抗ウイルス剤、抗菌剤、防黴剤、抗アレルゲン剤、および触媒などを挙げることができる。なお、これら機能性材料は、例えば、バインダーを介して基材10や無機系抗ウイルス剤1等に結合して固定されるようにしてもよい。また、無機系抗ウイルス剤1と同様に、表面に結合したシランモノマーまたはそのオリゴマー2を介して基材10に保持されるようにしてもよい。また、必要に応じ、図2に示すように、シランモノマーやそのオリゴマー2に加えて、他の補強剤(ハードコート剤)3によって無機系抗ウイルス剤1が基材10に固定される構成とすることもできる。
ここで、無機系抗ウイルス剤1が本発明の第1実施形態の抗ウイルス部材100に保持される量は、抗ウイルス部材100の使用する目的や用途及び微粒子の大きさを考慮して当業者が適宜設定することが可能であるが、基材10の表面に固定された全固形分量に対し、0.1質量%から80.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%から60.0質量%である。無機系抗ウイルス剤1が0.1質量%に満たない場合は、充分なウイルス不活化効果が得られず、また、80.0質量%より多くしても範囲内にある場合と比較して抗ウイルス部材100のウイルス不活化効果に大差はないほか、シランモノマーの縮合反応により形成されたオリゴマーのバインディング性(保持できる作用)が低下し、無機系抗ウイルス剤1が基材10から離脱し易くなる。
続いて、無機系抗ウイルス剤1が保持される、基材10について説明する。本発明の第1実施形態の抗ウイルス部材100に係る基材10としては、基材10表面の少なくとも一部において基材10とシランモノマーまたはそのオリゴマー2とが化学結合4可能なものであればよい。したがって、本発明の第1実施形態においては、それ以外の基材10が備える性質については特に限定されない。また、形態についても特に限定されない。シランモノマーまたはそのオリゴマー2が表面に化学結合4可能な基材10としては、例えば、基材10表面の少なくとも一部が、各種樹脂や、合成繊維や、綿、麻、絹等の天然繊維や、天然繊維から得られた和紙などにより構成されたものが挙げられる。
ここで、基材10の表面または全体を樹脂により構成する場合は、合成樹脂や天然樹脂が用いられる。その一例としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、EVA樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアクリル酸メチル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ベクトラン(登録商標)、PTFEなどの熱可塑性樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリヒドロキシブチレート樹脂、修飾でんぷん樹脂、ポリカプロラクト樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリブチレンアジペートテレフタレート樹脂、ポリブチレンサクシネートテレフタレート樹脂、ポリエチレンサクシネート樹脂などの生分解性樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ケイ素樹脂、アクリルウレタン樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレンエラストマー、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー、ポリウレタンエラストマーなどのエラストマーおよび漆などの天然樹脂などが挙げられる。
また、本発明の第1実施形態においては、シランモノマーまたはそのオリゴマー2と化学結合4を形成可能である限り、基材10の表面が、アルミニウムやステンレス、鉄などの金属材料、ガラスおよびセラミックスなどの無機材料で形成されていてもよい。この場合、例えば、樹脂基体の場合と同様に、後述するグラフト重合によりシランモノマー2の不飽和結合部や反応性官能基と金属表面の水酸基等とを反応させて化学結合4を形成することにより、金属の基材10上に無機系抗ウイルス剤1を固定できるが、基材10表面に化学結合4が可能な官能基をシランモノマーやチタンモノマー等で導入することで、さらに無機系抗ウイルス剤1を強固に固定することができる。基材10表面に導入されるシランモノマー由来の官能基としては、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロ基、アクリロキシ基、イソシアネート基およびチオール基などが挙げられる。
本発明の第1実施形態の抗ウイルス部材100に係る基材10について、より具体的に説明する。本発明の第1実施形態に係る基材10の一例としては、繊維により構成することができ、より具体的には、基材10をシート状の織物や編物、不織布などとすることができる。したがって、本発明の第1実施形態の抗ウイルス部材100を用いて、マスク、医療用キャップ、医療用シューズカバー、エアコン用フィルター、空気清浄機用フィルター、掃除機用フィルター、換気扇用フィルター、車両用フィルター、空調用フィルター、衣類、寝具、網戸用ネット、鶏舎用ネット、蚊屋などのネット類、などを構成することができる。なお、基材10を構成する繊維は、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ナイロン、アクリル、ポリテトラフロロエチレン、ポリビニルアルコール、ケブラー、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、レーヨン、キュプラ、テンセル、ポリノジック、アセテート、トリアセテート、綿、麻、羊毛、絹、竹、などの高分子材料や、アルミニウム、鉄、ステンレス、真鍮、銅、タングステン、チタニウムなどの金属からなる繊維とすることができる。
さらに、本発明の第1実施形態の抗ウイルス部材100の表面には、他の部材、例えばフィルムやシートが積層されるようにしてもよい。例えば、防水性を有するフィルムやシートを積層することで抗ウイルス部材100に防水性を付与することができる。当該防水性を備える抗ウイルス部材100を用いて、該シートを例えば縫合することによりウイルスや血液が透過するのを防止できる高性能防護服や医療用手袋、また病院や介護用のシーツカバーなどを構成することができる。
積層するフィルムやシートとしては、使用者が快適に過ごせるように、水を遮蔽し、空気(湿気)を透過させる透湿性を備えたものが好適に用いられる。具体的には、一般に市販されているものを使用目的に合わせて選定し使用すればよい。
さらにまた、本発明の第1実施形態の抗ウイルス部材100の少なくとも一方の主面に接着剤などを積層し、使用者が任意にマスクや壁や床に簡単に接着できるようにすることもできる。具体的には、手持ちのマスクの表面に本発明の第1実施形態の抗ウイルス部材100を貼付けることで、ウイルス不活化マスクにすることができる。
また、本発明の第1実施形態の抗ウイルス部材100に係る基材10は、通気性を有する構造体に係らず、空気を透過させない、言い換えれば遮気性を備えていてもよい。具体的には基材10を、ポリエステル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリテトラフルオロエチレン、四フッ化エチレン−エチレン共重合体などの樹脂、ポリカーボネート樹脂シート・フィルム、塩化ビニルシート、フッ素樹脂シート、ポリエチレンシート、シリコーン樹脂シート、ナイロンシート、ABSシート、ウレタンシートなどの高分子からなるシートやチタニウム、アルミニウム、ステンレス、マグネシウム、真鍮などの金属からフィルム状に構成してもよい。
ここで、上記遮気性を備える基材10の表面には、予め、無機系抗ウイルス剤1の基材10に対する密着性を高める為に、コロナ処理や大気プラズマ処理、火炎処理などにより親水化されてあればさらに良い。また、金属からなる基材10では、表面に付着している圧延用オイルや腐食生成物などが、溶剤や、酸、アルカリなどにより除去されていることが好ましい。また、基材10の表面に塗装や印刷などが施されてあっても良い。
当該無機系抗ウイルス剤1が保持された遮気性を有する抗ウイルス部材100は、例えば、壁紙や窓、ブラインド、病院内などのビル用内装材、電車や自動車などの内装材、車両用シート、ブラインド、椅子、ソファー、ウイルスを扱う設備、ドア、天井板、床板、窓などの建装材など、様々な分野に利用できる。
まず、有効成分である一価の銅化合物1−aを析出担持させた無機系抗ウイルス剤1を、ジェットミル、ハンマーミル、ボールミル、振動ミルなどによりサブミクロンオーダーからミクロンオーダーの粒子に粉砕する。粉砕に関しては特に限定されず、乾式、湿式の両方が利用可能である。また別の方法として、担体である多孔質無機粉体1−bを同様に粉砕機を用いてサブミクロンオーダーからミクロンオーダーの粒子に粉砕したのち、有効成分である一価の銅化合物1−aを析出担持させたものを無機系抗ウイルス剤1としてもよい。
次に、粉砕した無機系抗ウイルス剤1を、水、メタノール、エタノール、MEK、アセトン、キシレン、トルエンなどの分散媒に分散させる。このとき、他の材料、例えばバインダー成分(補強剤)3や機能性材料を混合するようにしてもよい。続いて、必要に応じて界面活性剤などの分散剤を加え、ビーズミルやボールミル、サンドミル、ロールミル、振動ミル、ホモジナイザーなどの装置を用いて分散・解砕し、さらに、シランモノマー2を添加し、無機系抗ウイルス剤1を分散したスラリーを作製する。このようにスラリーを作製することにより、無機系抗ウイルス剤1の粒子径は小さくなり、基材10表面において無機系抗ウイルス剤1間に過剰なすき間が形成されることなく並ぶ。よって、無機系抗ウイルス剤1の粒子密度を大きくすることができるため、高いウイルス不活化性を発現させることができる。
以上のようにして作製したスラリーを基材10表面に、浸漬法、スプレー法、ロールコーター法、バーコーター法、スピンコート法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法などの方法で塗布する。このとき、必要に応じて、加熱乾燥などで溶剤を除去する。続いて、再加熱によるグラフト重合や、赤外線、紫外線、電子線、γ線などの放射線照射によるグラフト重合により、基材10表面の官能基と、シランモノマー2とを化学結合させる。また、このときに無機系抗ウイルス剤1同士もまたシランモノマー、または形成されたそのオリゴマー2を介して結合される。
次いで、基材10に必要に応じて加熱ロールなどにより、フィルムや粘着剤を積層することにより、本発明の第1実施形態の抗ウイルス部材100を得る。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態の抗ウイルス部材200について図3を用いて詳述する。
本発明の第2の実施形態の抗ウイルス部材200は、本発明の第1実施形態の構成に加えて、無機系抗ウイルス剤1に加えて、無機微粒子5が基材10上に保持されている。本発明の第2実施形態において、無機微粒子5は、無機系抗ウイルス剤1とともに、無機微粒子が平面形状または3次元形状に並んだ無機微粒子の集合体を形成している。言い換えれば、本発明の第2実施形態においては、無機系抗ウイルス剤1と、無機微粒子5とを含む無機微粒子の集合体が基材10上に保持されている。なお、本発明の第1実施形態と共通する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
また、無機微粒子5はシランモノマーあるいはそのオリゴマー2を介して基材10と結合しているとともに、無機微粒子5同士もシランモノマーまたはそのオリゴマー2を介して結合している。よって、本発明の第2実施形態において、ウイルス不活化微粒子である無機系抗ウイルス剤1は、シランモノマーまたはそのオリゴマー2を介して基材10や無機微粒子5と結合して基材10上に保持されている。さらに、本発明の第2実施形態において、無機系抗ウイルス剤1は、シランモノマーまたはそのオリゴマー2を介して微粒子同士が結合している無機微粒子5の群に絡まるような状態で基材10上で保持されている。そのため、化学的結合4に加えて、物理的にも基材10上からの脱落が抑制されている。よって、本発明の第2実施形態の抗ウイルス部材200は、本発明の第1実施形態の部材よりも無機系抗ウイルス剤1の離脱がさらに抑制されるので、より長い間ウイルス不活性を維持することができる。
なお、本発明の第2実施形態においては、シランモノマー2を介して微粒子同士が結合している無機微粒子5の群により、無機系抗ウイルス剤1の基材10からの離脱が抑制されている。よって、無機系抗ウイルス剤1については、シランモノマーやそのオリゴマー2を介しての無機微粒子5や基材10との結合が形成されていなくともよい。
また、本発明の第2実施形態の抗ウイルス部材200は、ウイルス不活化微粒子である無機系抗ウイルス剤1が、無機微粒子5や基材10と、シランモノマーやそのオリゴマー2を介して結合しているため、本発明の第1実施形態と同様に表面を露出したまま保持されている。よって、抗ウイルス部材200表面に付着したウイルスが無機系抗ウイルス剤1と接触する確率を、バインダー等を用いて基材10に固定した場合と比較して高くすることができるため、少量でも効率よくウイルスを不活化することができる。
本発明の第2実施形態に係る無機微粒子5としては、シランモノマーまたはそのオリゴマー2と結合可能である限り、特に限定されず、当業者が適宜選択することができる。具体的には、非金属酸化物、金属酸化物、金属複合酸化物、またはそれらの混合物とすることができる。また、無機微粒子5の結晶性は、非晶性あるいは結晶性のどちらでも良い。非金属酸化物としては、酸化珪素が挙げられる。また、金属酸化物としては、酸化マグネシウム、酸化バリウム、過酸化バリウム、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、過酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、水酸化鉄、酸化タングステン、酸化ビスマス、酸化インジウムなどが挙げられる。また、金属複合酸化物としては、酸化チタンバリウム、酸化コバルトアルミニウム、酸化ジルコニウム鉛、酸化ニオブ鉛、TiO−WO、AlO−SiO、WO−ZrO、WO−SnOなどが挙げられる。
無機微粒子5の粒径は、使用する目的や用途、および無機系抗ウイルス剤1の粒径などに応じて当業者が適宜設定可能であるが、基材10への結合強度を考慮すると500nm以下であることが好ましく、さらに300nm以下であることが一層好ましい。また、当業者が適宜設定可能であるが、無機系抗ウイルス剤1と同様の理由から、1nm以上であることが好ましい。
続いて、無機系抗ウイルス剤1を保持している、本発明の第2実施形態の抗ウイルス部材200の製造について、より具体的に説明する。
まず、本発明の第1実施形態同様の方法で、サブミクロンオーダーからミクロンオーダーの粒子に粉砕した無機系抗ウイルス剤1を得る。粉砕に関しても本発明の第1実施形態と同様、特に限定されず、乾式、湿式の両方が利用可能である。
次に、粉砕した無機系抗ウイルス剤1を、シランモノマー2が脱水縮合により結合した無機微粒子5と混合して、水、メタノールやエタノール、MEK、アセトン、キシレン、トルエンなどの分散媒に分散させる。このとき、無機系抗ウイルス剤1およびシランモノマーが結合している無機微粒子5に加えて、他の材料、例えばバインダー成分(補強剤)3や機能性材料を混合するようにしてもよい。続いて、必要に応じて界面活性剤などの分散剤を加え、ビーズミルやボールミル、サンドミル、ロールミル、振動ミル、ホモジナイザーなどの装置を用いて分散・解砕し、無機系抗ウイルス剤1および無機微粒子5を分散したスラリーを作製する。このようにスラリーを作製することにより、無機系抗ウイルス剤1や無機微粒子5の粒子径は小さくなり、基材10表面において無機系抗ウイルス剤1と無機微粒子5との間に過剰なすき間が形成されることなく並ぶ。よって、無機系抗ウイルス剤1の粒子密度を大きくすることができるとともに、無機微粒子5の群をより強固に基材10表面に固定することができる。したがって、高いウイルス不活化性を発現させることができるとともに、当該ウイルス不活化性を従来よりも長期間発現させることができる。
なお、無機微粒子5とシランモノマー2との化学結合4は通常の方法により形成させることができ、例えば、分散液に、シランモノマー2を加え、その後、還流下で加熱させながら、無機微粒子5の表面にシランモノマー2を脱水縮合反応により結合させてシランモノマー2からなる薄膜を形成する方法や、粉砕により微粒子化して得られた分散液にシランモノマー2を加えた後、或いは、シランモノマー2を加えて粉砕により微粒子化した後、固液分離して100℃から180℃で加熱してシランモノマーを無機微粒子5の表面に脱水縮合反応により結合させ、次いで、粉砕・解砕して再分散する方法が挙げられる。
ここで、還流下、または、粉砕により微粒子化して得られた分散液にシランモノマー2を加えた後、或いは、シランモノマー2を加えて粉砕により微粒子化した後、固液分離して100℃から180℃で加熱してシランモノマー2を無機微粒子5の表面に脱水縮合反応により結合させる場合、シランモノマー2の量は、無機微粒子5の平均粒子径および材質にもよるが、無機微粒子5の質量に対して3%質量から30質量%であれば無機微粒子5同士、および無機微粒子5の群と本実施形態の抗ウイルス部材200を形成する基材10との結合強度は実用上問題ない。また、シランモノマー2等と無機系抗ウイルス剤1とを結合させた後でも、無機系抗ウイルス剤1の表面は十分に露出している。また、結合に関与しない、余剰のシランモノマーがあっても良い。
本発明の第2の実施形態の抗ウイルス部材200の製造方法の説明を続ける。以上のようにして作製したスラリーを本発明の第1の実施形態同様、基材10表面に、浸漬法、スプレー法、ロールコーター法、バーコーター法、スピンコート法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法などの方法で塗布する。このとき、必要に応じて、加熱乾燥などで溶剤を除去する。続いて、再加熱によるグラフト重合や、赤外線、紫外線、電子線、γ線などの放射線照射によるグラフト重合により、基材10表面の官能基と、該基材10表面と対向する無機微粒子5表面に結合したシランモノマー2とを化学結合させる(化学結合4の形成)。併せて、無機微粒子5表面のシランモノマー2同士を化学結合させることによりオリゴマーを形成させる。また、このときに無機系抗ウイルス剤1もまた、無機微粒子5とシランモノマー2を介して結合される。さらに、無機微粒子5の基材10への結合をさらに強固とするためにシランモノマー2を添加している場合には、シランモノマーや形成されるそのオリゴマー2を介して無機系抗ウイルス剤1が無機微粒子5や基材10に結合される。このような過程により、ウイルス不活性を有する無機系抗ウイルス剤1が無機微粒子5の群に包持され、基材10にて保持される。このようにその表面に無機系抗ウイルス剤1が保持されている基材10を得たのち、本発明の第1実施形態同様、必要に応じてフィルムや接着剤を積層し、本発明の第2実施形態の抗ウイルス部材200を得る。
なお、以上の説明においては、予め無機微粒子5にシランモノマー2を結合させているが、当該態様に限定されるものではなく、無機系抗ウイルス剤1と、シランモノマー非結合である無機微粒子5と、シランモノマー2を分散媒中で分散させるようにしてもよい。このときのシランモノマー2の添加量も当業者が適宜設定できるが、以上の説明と同様に、例えば無機微粒子5の質量に対して3%質量から30質量%とすることができる。該添加量であれば、無機微粒子5同士、および無機微粒子5の群と基材10との結合強度は実用上問題ない。また、結合させた後でも、無機系抗ウイルス剤1の表面は十分に露出している。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態の抗ウイルス部材300について図4を用いて詳述する。
図4は、本発明の第3実施形態の抗ウイルス部材300の断面の一部を模式的に拡大した図である。本発明の第3実施形態の抗ウイルス部材300は、基材10内部に無機系抗ウイルス剤1を固定させたものである。
ここで本発明の第3実施形態においては、無機系抗ウイルス剤1のみが保持される構成であってもよく、また、例えば、本発明の第2実施形態のように他の無機微粒子等が保持されるようにしてもよい。図3では、その一例として無機系抗ウイルス剤1とは他に無機系抗ウイルス剤1とは異なる1種の無機微粒子5が保持されている状態を模式的に示している。しかしながら、無機系抗ウイルス剤1の他に2種以上の無機微粒子が保持される構成とすることも、もちろん可能である。
含有される無機系抗ウイルス剤1の大きさは特に限定されないが、平均の粒子径が3000μm以下であることが好ましい。さらに、その使用環境や時間の経過により、基材10内部から無機系抗ウイルス剤1が脱落することを考慮すると、平均粒子径は1nm〜1000μmであることが特に好ましい。
本発明の第3実施形態の無機系抗ウイルス剤1は、例えば繊維を公絡させて製造される不織布や、パルプと結着剤を混抄して製造される混抄紙などを基材10として製造する際に混合することで、基材10内部の空間内にて狭持させることができる。
不織布を形成する繊維としては、前述の合成繊維や、綿、麻、絹等の天然繊維の他、ガラス、金属、セラミックス、パルプ、炭素繊維などが挙げられる。不織布は、まずフリースと呼ばれる不織布の素となる集積層を製造し、そのフリースの繊維間を結合し、積層させる、という2つの工程により製造されるが、本発明の第3実施形態の無機系抗ウイルス剤1は、フリース形成時に繊維に混合してもよいし、フリースの積層時に混入しても良い。またフリースを積層する際には、無機系抗ウイルス剤1を含むフリースと含まないフリースとを積層することもできる。
フリースの製造方法としては、乾式法、湿式法、スパンボンド法、メルトブロー法などの一般的な製法が用いられるが、無機系抗ウイルス剤1の安定性を考慮すると、水や、加熱を行わない乾式法が好適に用いられる。
またフリースの結合方法としては、サーマルボンド法、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法、ステッチボンド法、スチームジェット法などの一般的な製法が用いられる。
さらにフリース同士の結合力を向上させるために接着樹脂6を混合してもよい。接着樹脂6の具体例としては、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、澱粉のり等が挙げられる。
また、本発明の第3実施形態の抗ウイルス部材300は、熱可塑性樹脂や、反応性ホットメルト接着剤や、紫外線や電子線などの粒子線で反応硬化する樹脂をノズルより繊維状に吐出し、吐出して形成した繊維の表面が粘着性を有している間に、無機系抗ウイルス剤の微粒子を接触させた後、ホットメルト接着剤では室温に戻して固着させたり、反応性ホットメルト接着剤では空気中の水分で反応硬化させたり、紫外線や電子線で架橋する樹脂などでは紫外線や電子線を照射して反応硬化させて行われる。
具体的には、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニール共重合樹脂、エチレン−メチルメタクリレ−ト共重合体樹脂、エチレン・アクリル酸エチル共重合樹脂などの樹脂を主成分とするホットメルト接着剤や、ウレタンプレポリマーを主体とする反応性ホットメルト接着剤や、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート樹脂などを主成分とする紫外線や電子線で架橋する樹脂などが用いられる。
本発明の第3実施形態の抗ウイルス部材300の基材10を混抄紙とする場合、パルプを抄紙することにより得られる。パルプとしては、木材パルプ、ポリエチレンパルプ、レーヨンパルプ、ビニロンパルプなどの各種パルプとすることができる。また、各種パルプに加えて、ポリエステル系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリアミド系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維などの有機合繊繊維を単独または複数組み合わせて用いても良い。
抄紙は、例えば、パルプに、構造体としての強度を確保する目的で適量のガラス繊維やミルドファイバー等の補強剤を加え、これら混合物と水とを混合した希釈スラリーを丸網などの抄紙機で漉きあげて製造される。第3実施形態の無機系抗ウイルス剤1は、漉きあげる前のスラリーに添加することで基材10中に固定される。
以上、本発明の第1から第3の実施形態の抗ウイルス部材について説明したが本発明はこれに限定されるものではなく、他の実施形態とすることも、もちろん可能である。例えば、本発明の第1実施形態においては、無機系抗ウイルス剤1をシランモノマーまたはそのオリゴマー2により、基材10に保持させているが、他の態様により基材10に保持させることもできる。例えば、公知のバインダー成分により基材10に保持させるようにしてもよい。バインダー成分としては、基材10との密着性が良いものであれば特に限定はされないが、例えば合成樹脂では、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、水溶性樹脂、ビニル系樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、繊維素系樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、天然樹脂としては、ひまし油、亜麻仁油、桐油などの乾性油などを用いることができる。
また、本発明の第1および第2の実施形態では基材10表面にて無機系抗ウイルス剤1が保持されているが、これに限定されるものではなく、部材全体として無機系抗ウイルス剤1が保持されていればよい。例えば基材10を構成する繊維中に無機系抗ウイルス剤1が包含されるような状態で保持されるようにしてもよい。なお、本発明の第1および第2の実施形態においても、基材10の構成材料、および製造方法によっては、基材表面に加えて基材内部でも無機系抗ウイルス剤1が保持される構成となりうることは、当業者には当然に理解できる。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(本発明の無機系抗ウイルス剤の抗ウイルス性評価)
(実施例1)
市販の塩化銅(I)粉末(和光純薬工業株式会社製 和光一級)0.45gとゼオライト1.05gをNガス雰囲気下の炉の中で2時間500℃に加熱し塩化銅を溶融させた。その後自然冷却して固形分を回収した。
(実施例2)
市販のヨウ化銅(I)粉末(和光純薬工業株式会社製 和光一級)1gをアセトニトリル中70mLに完全に溶解させた。さらにゼオライト1gを混合し、超音波で分散させた。一晩静置した後、120℃で乾燥させて固形分を回収した。
(比較例1)
ゼオライト粉末をそのまま使用した。
(赤血球凝集反応によるウイルス吸着性評価)
ウイルス吸着性を評価した。対象ウイルスとして、MDCK細胞を用いて培養し、精製したインフルエンザウイルス(influenza A/北九州/159/93(H3N2))を用いた。各物質と接触させたインフルエンザウイルスの赤血球凝集反応(HA)の力価(HA価)を定法により判定した。
具体的には、まず、実施例1、2および比較例1における物質を、各々リン酸緩衝生理食塩水(以下、PBSと記載)にて懸濁液濃度を1質量%、0.5質量%、および0.1質量%に希釈した試料を準備した。3種類の濃度の試料各100μLに、前記のHA価1024のウイルス液100μLをそれぞれ加え、マイクロチューブローテーターを用いて攪拌しながら、室温で60分間反応させた。コントロールは、PBS100μLに前記のHA価1024のウイルス液100μLを加え、各試料と同様に、マイクロチューブローテーターを用いて60分間攪拌したものとした。
その後、超小型遠心機により固形分を沈殿させ、上清を回収しサンプル液とした。このサンプル液のPBSでの2倍希釈系列を各々50μL準備し、その各々に0.5%ニワトリ血球浮遊液を50μL混合し、4℃の環境下で60分静置後にHA価を測定した。測定結果を表1に示した。なお、各実施例における物質は、試料に等量のウイルス液を加えて反応していることから、反応液中における物質濃度は各々0.5質量%、0.25質量%、および0.05質量%となっている。
上記結果より、全ての実施例においてウイルス吸着効果が認められており、1.0質量%では、実施例1の塩化銅(I)、実施例2のヨウ化銅(I)両者において、99.61%以上のウイルスを吸着、捕集することが確認できた。また0.10質量%という低濃度でも、塩化銅(I)で87.5%以上、ヨウ化銅(I)で93.75%以上のウイルスを吸着、捕集することが確認できた。
(インフルエンザウイルスに対する不活化効果による抗ウイルス性評価)
次に、上記のウイルスを用いて、各物質と接触させたインフルエンザウイルスのウイルス不活化効果を定法により判定した。
具体的には、まず、実施例1または2における物質を、各々PBSにて懸濁液濃度を1質量%、0.5質量%、および0.1質量%に希釈した試料を準備した。3種類の濃度の試料各100μLに、前記のウイルス液100μLをそれぞれ加え、マイクロチューブローテーターを用いて攪拌しながら、室温で60分間反応させた。コントロールは、PBS100μLに前記のウイルス液100μLを加え、各試料と同様に、マイクロチューブローテーターを用いて60分間攪拌したものとした。所定時間攪拌後、ウイルスと各サンプル中の化合物との反応を停止させるために20mg/mlのブイヨン蛋白を1800μl加えた。その後、超小型遠心機により固形分を沈殿させ、上清を回収しサンプル液とした。
各反応サンプルが10-2〜10-5になるまでMEM希釈液にて希釈を行い(10段階希釈)、MDCK細胞に100μl、反応後のサンプル液を接種した。90分間のウイルス吸着後、0.7%寒天培地を重層し、インフルエンザウイルスは72時間、34℃、5%CO2インキュベータにて培養後、ホルマリン固定、メチレンブルー染色を行い形成されたプラーク数をカウントして、ウイルスの感染価(PFU/0.1ml,Log10);(PFU:plaque-forming units)を算出することで、抗ウイルス性を評価し、表2に結果を示した。

上記の結果より、実施例1の塩化銅(I)においては粉末濃度1.0質量%以上で不活化率98.05%以上、10.0質量%では不活化率99.9998%以上でウイルスを不活化するという高い効果が得られた。実施例2のヨウ化銅(I)についても粉末濃度0.50質量%という低濃度でも、不活化率99.68%以上でウイルスを不活化するという高いウイルス不活化効果が得られた。なお、ここでいう不活化率は下記の式で定義された値を言う。

不活化率(%)=100×(10ブランクのウイルス感染価−10試料のウイルス感染価)/10ブランクのウイルス感染価
(抗ウイルス部材の抗ウイルス性評価)
(実施例3)
反応性ホットメルト接着剤として積水フーラー株式会社製のTL-0511を、ノードソン株式会社製ALTA400シグレチャースプレーガンより糸状に吐出させ、粘着性を有する繊維構造体を作製した。次に、ヨウ化銅(I)を50質量%担持したゼオライト微粒子を、ジェットミルで平均粒径5μmに粉砕したものを接触させて、粘着性を有する反応性ホットメルト接着剤からなる繊維構造体の繊維表面に付着させ、湿度60%、50℃の環境で4時間反応させて反応性ホットメルト接着剤を硬化させ、フィルターを得た。
(比較例2)
ヨウ化銅(I)を混合しない以外は実施例3と同じ方法で作成したホットメルト不織布を比較例2とした。
実施例3の抗ウイルス性フィルター並びに比較例2を4cm×4cmにカットし、プラスチックシャーレにいれ、ウイルス液0.1 mlを滴下し、室温で60分間作用させた。このとき試験品の上面をPPフィルム(4cm×4cm)で覆うことで、ウイルス液と試験品の接触面積を一定にし、試験を行った。60分間作用させたのち、20mg/mlのブイヨン蛋白液を900μlを添加し、ピペッティングによりウイルスを洗い出した。その後、各反応サンプルが10-2〜10-5になるまでMEM希釈液にて希釈を行った(10倍段階希釈)。シャーレに培養したMDCK細胞にサンプル液100μLを接種した。90分間静置しウイルスを細胞へ吸着させた後、0.7%寒天培地を重層し、48時間、34℃、5%CO2インキュベータにて培養後、ホルマリン固定、メチレンブルー染色を行い形成されたプラック数をカウントして、ウイルスの感染価(PFU/0.1ml,Log10);(PFU:plaque-forming units)を算出した。
実施例3及び、比較例2について抗ウイルス性を評価した。評価結果を表3に示す。コントロールはサンプルを置かずにウイルス液をPPフィルムで覆った場合の値を用いた。

以上の結果より、本発明の無機系抗ウイルス剤を担持した不織布においても高いウイルス不活化作用が認められた。その効果は60分間で不活化率99.999%以上という非常に高い作用が認められ、これらの抗ウイルス部材を用いることで、ウイルスへの感染リスクが低減された環境を提供することができる。
1 本実施形態の無機系抗ウイルス剤
2 シランモノマーまたはオリゴマー
3 補強剤
4 化学結合
5 無機微粒子
6 バインダー
100 本発明の第1実施形態の抗ウイルス部材
200 本発明の第2実施形態の抗ウイルス部材
300 本発明の第3実施形態の抗ウイルス部材


Claims (5)

  1. 表面に無数の微細孔を有する多孔質無機粉体と、
    前記多孔質無機粉体の表面及び前記無数の微細孔内の少なくとも一方に担持された一価の銅化合物と、
    を含むことを特徴とする無機系抗ウイルス剤。
  2. 前記一価の銅化合物微粒子が、塩化物、酢酸物、硫化物、ヨウ化物、臭化物、過酸化物、酸化物、水酸化物、シアン化物、チオシアン酸塩またはそれらの混合物の化合物微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の無機系抗ウイルス剤。
  3. 前記一価の銅化合物微粒子が、CuCl、Cu2(CH3COO)2、CuI、CuBr、Cu2O、CuOH、CuCN、CuSCNから少なくとも1種類選択された微粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の無機系抗ウイルス剤。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の無機系抗ウイルス剤を含有したことを特徴とする抗ウイルス部材。
  5. 前記抗ウイルス部材がフィルターであることを特徴とする請求項4に記載の抗ウイルス部材。
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