JP5406245B2 - 拭き取りシート - Google Patents

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本発明は、乾燥状態でも湿った状態でも床や机などに付着したウイルスおよび細菌を拭き取り可能で、かつ、拭き取り後、該拭き取りシートから離れ難くした状態でウイルスを不活化し、さらに細菌も殺菌できる、ヨウ化白金(II)、ヨウ化パラジウム(II)、ヨウ化銅(I)、チオシアン酸銅(I)、塩化銅(I)、酸化銅(I)、金属パラジウム、パラジウム酸化物の群から、少なくとも1種以上選択された微粒子を含有する拭き取りシートに関する。
近年、SARS(重症急性呼吸器症候群)やノロウイルス、鳥インフルエンザなどウイルス感染による死者が報告されている。さらに数年前、交通の発達やウイルスの突然変異によって、世界中にウイルス感染が広がる「パンデミック(感染爆発)」の危機に直面した。さらに口蹄疫などのウイルスによる大きな被害も出てきており、緊急の対策が急務である。このような事態に対応するために、ワクチンによる抗ウイルス剤の開発も急がれているが、ワクチンの場合、その特異性により感染を防ぐことができるのは特定のウイルスに限定される。さらにワクチンの作成に時間がかかることから、ワクチンを必要量確保することが困難となっている。また、たとえワクチンを確保できたとしても、感染の拡大を防ぐには不十分であるのが現状である。
そのため、これらのウイルスによる感染を未然に防ぐためにマスクの着用が推奨されているが、マスクについたウイルスがマスクをはずす際、人の手につくことで2次感染を起こすという問題が起きている。また、学校や空港、病院など、公共の施設を掃除した掃除用具に付着したウイルスもマスク同様、掃除後に掃除用具を洗浄したり片付けたりする際に、手にウイルスが付着し、2次感染を起こす原因として問題となっている。
これらの問題を解決する手段として、光半導体粉末と金属粉末とを組み合わせた光触媒と、菌やウイルスを吸着する吸着物質を固定させた清掃用モップ(特許文献1)や、ノロウイルスを不活化させることができる、ポリグリセリン脂肪酸エステルとモノグリセリン脂肪酸エステル、アミノ酸、低級アルコールの混合物を不織布などの基布に浸漬させたウェットワイパー(特許文献2)などが開発されている。また細菌に対しては、アルコール、グレープフルーツ種子エキスを浸漬させた抗菌シート(特許文献3)や、アニオン系界面活性剤を浸漬させた抗菌シート(特許文献4)などが開発されている。
特開2002−119454号公報 特開2008−156329号公報 特開2010−126488号公報 特表2002−541181号公報
しかしながら、特許文献1の場合、光触媒は光のない部分では効果を示さないため、掃除用具をロッカーなどの暗室に保管すると光触媒の効果が発現せず、また室内では紫外線強度が低いことから、光触媒活性が十分に発現しない場合もあり、特許文献2の場合、ウェットでないと効果を示さないので、フローリングや壁紙などの濡れては困る場所の清掃には使えない。また特許文献3、4についてもアルコールや界面活性剤を用いるため、特許文献2同様、濡れたり色落ちがしたりするような部材には適用できないし、ドライ条件下では効果がない。またすべての文献1〜4において、拭き取ったウイルスを離れ難くして不活化するという概念を持った拭き取りシートはない。
ここで、ウイルスは、ノロウイルスなどのエンベロープを持つウイルスと、インフルエンザウイルスなどのエンベロープを持たないウイルスに分類でき、エンベロープを持つウイルスを不活化できる薬剤であっても、エンベロープを持たないウイルスには作用しない場合がある。
また、厚生省で唯一、エンベロープの有無に関係なく効果があると認められている次亜塩素酸ナトリウムについても、被処理物に唾液や血液などが付着していると、この中に含まれる脂質やタンパク質などの有機物が次亜塩素酸ナトリウムの浸透を阻害するため、脂質やタンパク質などの濃度によっては効果が低下してしまう場合がある。
そこで本発明は、上記課題を解決するために、エンベロープの有無に関係なく、また、ドライ条件でもウェット条件でもウイルスを拭き取ることができ、拭き取った後に、拭き取りシートに付着したウイルスを離れ難くした状態で不活化でき、さらに拭き取りシートに付着した細菌についても殺菌し、拭き取りシートに手がふれても手にウイルスが付着し難いため2次感染を起こし難い、拭き取りシートを提供するものである。
すなわち第1の発明は、付着したウイルスを不活化し、かつ付着した細菌を殺菌できる拭き取りシートである。この拭き取りシートは樹脂で形成された拭き取りシート本体であって、拭き取りシート本体の表面電位をプラス方向に変化させるカチオン系界面活性剤を含む拭き取りシート本体と、前記拭き取りシート本体に保持され、ヨウ化白金(II)、ヨウ化パラジウム(II)、ヨウ化銀(I)、ヨウ化銅(I)、およびチオシアン酸銅(I)、塩化銅(I)、酸化銅(I)、金属パラジウム、パラジウム酸化物からなる群から、少なくとも1種以上選択される微粒子と、を備えることを特徴とする。
また第2の発明は、第1の発明において、前記微粒子が、シランモノマー又はシランモノマーの重合体を少なくとも介して、前記拭き取りシート本体と結合していることを特徴とする拭き取りシートである。
さらに第3の発明は、上記第1または第2の発明において、前記拭き取りシート本体が、織編物、不織布、紙、フィルム、又は発泡シートを含む基材から構成されていることを特徴とする拭き取りシートである。
第4の発明は、上記第1の発明において、前記拭き取りシート本体が、織編物、不織布、紙、フィルム、又は発泡シートを含む基材から構成されており、該基材の少なくとも一部に、前記微粒子が充填されていることを特徴とする拭き取りシートである。
本発明によれば、ウイルスが付着している床や手すりなどを掃除する際、ドライ条件でもウェット条件でもウイルスや細菌を拭き取ることができ、さらに脂質からなるエンベロープの有無に関わらず拭き取りシートに付着したウイルスを離れ難くし、かつ容易に不活化することができ、さらに付着した細菌も殺菌できる拭き取りシートを提供することができる。また、抗ウイルス剤を樹脂中に含有した場合でも、同時にカチオン系界面活性剤を樹脂中に含有することで、樹脂で構成される拭き取りシート本体の表面にウイルスが吸着しやすくなるように電位を制御し、吸着したウイルスを抗ウイルス剤により効率よく不活化することができる拭き取りシートを提供することができる。
本発明の第1実施形態の拭き取りシートの模式図である。 本発明の第2実施形態の拭き取りシートの模式図である。 本発明の第3実施形態の拭き取りシートの模式図である。 本発明の実施例のSEM画像である。
以下、本発明の第1実施形態について図1を用いて詳述する。
本発明の第1実施形態である拭き取りシート100は、基材となるシート本体1を有しており、該シート本体1の表面には、ウイルス不活化性、並びに殺菌性を有する微粒子2(以下、ウイルス不活化微粒子と称す)が、シランモノマー3あるいはシランモノマーの重合体からなるオリゴマー4を少なくとも介して結合している。
第1実施形態において、ウイルス不活化微粒子2は、ヨウ化白金(II)、ヨウ化パラジウム(II)、ヨウ化銀(I)、ヨウ化銅(I)、およびチオシアン酸銅(I)、塩化銅(I)、酸化銅(I)、金属パラジウム、パラジウム酸化物からなる群から少なくとも1種選択される微粒子であり、エンベロープの有無に係らずウイルスを離し難くして不活化可能であり、細菌についても殺菌可能である。また、第1実施形態に係るウイルス不活化微粒子2は、タンパク質や脂質の存在下にあっても、ウイルスを不活化することができる。
ウイルス不活化微粒子2のウイルスの不活化機構、殺菌機構については現在のところ必ずしも明確ではないが、ウイルス不活化微粒子2が空気中あるいは飛沫中の水分と接触すると、その一部が酸化還元反応により、第1実施形態の拭き取りシート100に付着したウイルス表面や細菌表面の電気的チャージや遺伝子などに何らかの影響を与えて不活化させるものと考えられる。
ここで、シート本体1の表面に保持されるウイルス不活化微粒子2の大きさは特に限定されず当業者が適宜設定可能であるが、平均の粒子径が1nm以上、500nm未満であるのが好ましい。1nm未満では化学的に不安定となるため、安定してウイルス不活化効果を維持できない。また、500nm以上である場合は、シート本体1との密着性が1nm〜500nmの範囲内にある場合よりも低下する。なお、本明細書において、平均粒子径とは、体積平均粒子径をいう。
ウイルス不活化微粒子2をシート本体1に固定化する方法としては、バインダーを用いたり、熱溶着または静電力などの物理化学的な吸着力など、どのような手段を用いてもよいが、第1実施形態において、ウイルス不活化微粒子2は、少なくともシランモノマー3またはその重合体であるオリゴマー4を介して、シート本体1に固定されていることが好ましい。シランモノマー3やオリゴマー4は分子量が低く、その為、ウイルス不活化微粒子2とウイルスや細菌との接触を阻害することが低くなり、効果的にウイルスや細菌を不活化・殺菌できる。また、基材となるシート本体1との密着性も高いため、ウイルス不活化微粒子2を安定にシート本体1に担持することが可能となる。
第1実施形態の拭き取りシート100で用いられる具体的なシランモノマー3としては、X−Si(OR)4−n(n=1〜3の整数)、またはSi(OR)の一般式で示されるシランモノマーが挙げられる。なお、Xは例えば有機物と反応する官能基でビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロ基、アクリロキシ基、イソシアネート基、ポリスルフィド基、アミノ基、メルカプト基、クロル基などである。また、ORは加水分解可能なメトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基である。シランモノマーに複数の官能基(−OR)が含まれている場合には、これらの官能基(−OR)は同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。これらのメトキシ基やエトキシ基からなるアルコキシ基は加水分解してシラノール基を生ずる。このシラノール基やビニル基やエポキシ基、スチリル基、メタクリロ基、アクリロキシ基、イソシアネート基、また不飽和結合などを有する官能基は反応性が高いことが知られている。すなわち、第1実施形態の拭き取りシート100は、このような反応性に優れたシランモノマー3を介してウイルス不活化微粒子2を化学結合によりシート本体1表面に強固に保持させている。図1に示す結合部5は、シランモノマー3およびシート本体1表面の結合部分を示している。
以上の一般式で表されるシランモノマーの一例としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1、3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、特殊アミノシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、加水分解性基含有シロキサン、フロロアルキル基含有オリゴマー、メチルハイドロジェンシロキサン、シリコーン第四級アンモニウム塩などが挙げられる。
また、シラン系オリゴマーとしては、市販されている信越化学工業株式会社製のKC−89S、KR−500、X−40−9225、KR−217、KR−9218、KR−213、KR−510などが挙げられ、これらのシラン系オリゴマーは単独、或いは2種類以上混合して用いられ、さらに、前述のシランモノマーの1種または2種以上と混合して用いられる。
このように、本実施形態の拭き取りシート100においては、ウイルス不活化微粒子2が、シランモノマー3やそのオリゴマー4により、その表面の少なくとも一部を露出した状態でシート本体1上で化学結合5により強固に保持されている。よって、拭き取りシート100表面に付着したウイルスや細菌がウイルス不活化微粒子2と接触する確率を、バインダー等を用いてウイルス不活化微粒子2をシート本体1に固定した場合と比較して高くすることができるため、少量でも効率よく長期間に渡ってウイルスを不活化したり、細菌を殺菌したりすることができる。なお、シランモノマー3を選択することにより、縮合反応やアミド結合、水素結合、イオン結合、或いはファンデルワールス力や物理的吸着などによりウイルス不活化微粒子2を保持させてもよい。
第1実施形態において、ウイルス不活化微粒子2がシート本体1上に保持される形態については特に限定されず、当業者が適宜選択できる。例えば、ウイルス不活化微粒子2がシート本体1上において散在していてもよい。また、ウイルス不活化微粒子2が平面状または3次元状に並ぶ微粒子集合体の形態で保持されるようにしてもよい。すなわち、点状、島状、薄膜状等の形状で保持されることができる。また、3次元形状の集合体として保持される場合、ウイルス不活化微粒子2には、シランモノマー3またはそのオリゴマー4を介してシート本体1に直接結合するものと、該ウイルス不活化微粒子2を介してシート本体1に結合するものとが存在する
このほか、第1実施形態の拭き取りシート100においては、ウイルス不活化微粒子2のほか、所望される機能を拭き取りシート100に付与するために、任意に用いられる機能性材料が、シート本体1表面に、保持されるようにしてもよい。当該機能性材料としては、他の抗ウイルス剤、抗菌剤、防黴剤、抗アレルゲン剤、および触媒などを挙げることができる。なお、これら機能性材料は、例えば、バインダーを介してシート本体1やウイルス不活化微粒子2等に結合して固定されるようにしてもよい。また、ウイルス不活化微粒子2と同様に、ウイルス不活化微粒子2の表面に結合したシランモノマー3またはそのオリゴマー4とシート本体1の表面との化学結合により、シート本体1に保持されるようにしてもよい。
ここで、ウイルス不活化微粒子2が第1実施形態の拭き取りシート100に保持される量は、使用する目的や用途及びウイルス不活化微粒子2の大きさを考慮して当業者が適宜設定することが可能であるが、シート本体1の全体重量に対し0.01質量%から80.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%から50.0質量%、さらに好ましくは0.1質量%から30.0質量%であることが好ましい。ウイルス不活化微粒子2が0.01質量%に満たない場合は、0.01〜80.0質量%の範囲内にある場合と比較して、ウイルスを不活化する活性が低下する。また、80.0質量%より多くしても、0.01〜80.0質量%の範囲内にある場合と比較してウイルス不活化性の効果に大差はないほか、シランモノマー3の縮合反応により形成されたオリゴマー4の結合力が低下し、0.01〜80.0質量%の範囲内にある場合よりもウイルス不活化微粒子2がシート本体1から離脱し易くなる。なお、本明細書において、シート本体1上に保持される物質には、シランモノマー3またはそのオリゴマー4も含まれる。
続いて、ウイルス不活化微粒子2が保持される、シート本体1について説明する。第1実施形態において、シート本体1の形態は、吸水性を備える限り素材については特に限定されず、様々な形態の表面にウイルス不活化微粒子2が保持された態様とすることができる。具体的には、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、アクリル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、レーヨン、アセテート、トリアセテート、綿、麻、羊毛、絹、竹、などが挙げられ、シランモノマー3と化学結合が可能な、各種樹脂や、合成繊維や、綿、麻、絹等の天然繊維や、天然繊維から得られた和紙などにより構成された織物、編物、不織布などの布帛、混抄紙などを例示することができる。また、その形状についても、親水性に欠ける素材はマルチフィラメントにすることで毛細管現象により吸水させるなど、拭き取りシート100の用途に合わせて、当業者が適宜設定することができる。
形状の一例としては、エンボス加工、起毛加工、パイル形成などがあり、単層で用いてもよいし、積層して用いてもよい。また積層の場合、複数層のうち少なくとも最外層に本実施形態の拭き取りシートを用いていればよい。また複数層を用いる場合、すべてが密着していなくてもよく、例えば本のように一部だけを接着し、汚れたら別の面を使って掃除をするという用い方でもよい。この場合、すべてのシートを本発明の拭き取りシートとして用いることが好ましい。また表面積を増やすために、本実施形態の拭き取りシートを短冊状に切断したものをまとめてモップやハタキのような形状にして用いてもよい。
続いて、ウイルス不活化性微粒子2を保持している、第1実施形態の拭き取りシート100の製造方法について、より具体的に説明する。
まず、ヨウ化白金(II)、ヨウ化パラジウム(II)、ヨウ化銅(I)、ヨウ化銀(I)およびチオシアン酸銅(I)、塩化銅(I)、酸化銅(I)、金属パラジウム、パラジウム酸化物から少なくとも1つを選択し、ジェットミル、ハンマーミル、ボールミル、振動ミルなどによりナノオーダー、サブミクロンオーダー、ミクロンオーダーの粒子に粉砕してウイルス不活化微粒子2を得る。粉砕に関しては特に限定されず、乾式、湿式の両方が利用可能である。
また、金属パラジウム、パラジウム酸化物は、例えば、シリカゲルや、メソポーラスシリカ、ゼオライト、珪藻土、石膏、パイロサイト、モンモリロナイトなどの活性白土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、活性炭などの無機化合物、チタニア、ジルコニア、アルミナ、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化コバルト、セリアなどの金属酸化物からなる微粒子の表面に担持されてあっても良い。
次に、粉砕したウイルス不活化微粒子2を、水、メタノール、エタノール、MEK(メチルエチルケトン)、アセトン、キシレン、トルエンなどの溶媒に分散させる。このとき、他の材料、例えばバインダー成分やシリカゲルや、メソポーラスシリカ、ゼオライト、珪藻土、石膏、パイロサイト、モンモリロナイトなどの活性白土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、活性炭などの無機化合物、チタニア、ジルコニア、アルミナ、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化コバルト、セリアなどの金属酸化物からなる微粒子や、機能性材料を混合するようにしてもよい。続いて、必要に応じて界面活性剤などの分散剤を加え、ビーズミルやボールミル、サンドミル、ロールミル、振動ミル、ホモジナイザーなどの装置を用いて分散・解砕し、ウイルス不活化微粒子2を分散したスラリーを作製する。このようにスラリーを作製することにより、ウイルス不活化微粒子2の粒子径は小さくなり、シート本体1表面においてウイルス不活化微粒子2の間に過剰なすき間が形成されることなく、ウイルス不活化微粒子2が並ぶ。よって、ウイルス不活化微粒子2の粒子密度を大きくすることができるため、ウイルス不活化性を向上させることができる。
また、金属パラジウム、パラジウム酸化物などの微粒子は、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、水酸化パラジウム、テトラクロロパラジウム(II)酸塩、テトラアンミンパラジウム(II)塩、ジクロロエチレンジアミンパラジウム(II)、テトラニトロパラジウム(II)酸塩、テトラシアノパラジウム(II)酸塩、テトラブロモパラジウム(IV)酸塩などのパラジウム化合物を含む水溶液にステアリルトリメチルアンモニムクロライドや、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムやポリエチレングリコールモノ−p−ノリルフェニルエーテルなどのアニオン型、カチオン型、ノニオン型の界面活性剤を添加し、水素化ホウ素ナトリウムや亜リン酸ナトリウムや、次亜りん酸ナトリウムなどの還元剤を含む水溶液を激しく攪拌しながら滴下してPdゾルとし、Pdゾルを含むスラリーとして用いられる。
以上のようにして作製したスラリーをシート本体1表面に、浸漬法、スプレー法、ロールコーター法、バーコーター法、スピンコート法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法などの方法で塗布する。このとき、必要に応じて、加熱乾燥などで溶剤を除去する。続いて、再加熱によるグラフト重合や、赤外線、紫外線、電子線、γ線などの放射線照射によるグラフト重合により、シート本体1表面の官能基と、シランモノマー3とを化学結合させる。また、このときにウイルス不活化微粒子2もシランモノマー3と結合する。このような過程により、ウイルス不活性を有するウイルス不活化微粒子2がシート本体1に保持されている拭き取りシート100を得る。
以上説明した第1実施形態の拭き取りシート100によれば、ゲノムの種類や、エンベロープの有無等に係ることなく、様々なウイルスを不活化することができる。例えば、ライノウイルス・ポリオウイルス・口蹄疫ウイルス・ロタウイルス・ノロウイルス・エンテロウイルス・ヘパトウイルス・アストロウイルス・サポウイルス・E型肝炎ウイルス・A型、B型、C型インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス(おたふくかぜ)・麻疹ウイルス・ヒトメタニューモウイルス・RSウイルス・ニパウイルス・ヘンドラウイルス・黄熱ウイルス・デングウイルス・日本脳炎ウイルス・ウエストナイルウイルス・B型、C型肝炎ウイルス・東部および西部馬脳炎ウイルス・オニョンニョンウイルス・風疹ウイルス・ラッサウイルス・フニンウイルス・マチュポウイルス・グアナリトウイルス・サビアウイルス・クリミアコンゴ出血熱ウイルス・スナバエ熱・ハンタウイルス・シンノンブレウイルス・狂犬病ウイルス・エボラウイルス・マーブルグウイルス・リッサウイルス・ヒトT細胞白血病ウイルス・ヒト免疫不全ウイルス・ヒトコロナウイルス・SARSコロナウイルス・ヒトポルボウイルス・ポリオーマウイルス・ヒトパピローマウイルス・アデノウイルス・ヘルペスウイルス・水痘・帯状発疹ウイルス・EBウイルス・サイトメガロウイルス・天然痘ウイルス・サル痘ウイルス・牛痘ウイルス・モラシポックスウイルス・パラポックスウイルスなどを挙げることができる。
したがって、第1実施形態の拭き取りシート100によれば、該拭き取りシート100に付着したウイルスや細菌を離れ難くした状態で不活化できるため、掃除をする人への感染を予防したり、使用後の拭き取りシート100からのウイルスや細菌の飛散を抑制したりすることができる。さらに、使用後の拭き取りシート100に触れた場合にもウイルスや細菌の2次感染を起こしにくくすることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態の拭き取りシート200について図2を用いて詳述する。
図2は本発明の第2実施形態の拭き取りシート200の断面の一部を模式的に拡大した図である。本第2実施形態の拭き取りシート200は、シート本体1内部にウイルス不活化微粒子2を固定(充填)させたものである。この場合、内部というのはウイルス不活化微粒子2の少なくとも一部がシート本体1の内部に入っていればよく、ウイルス不活化微粒子2の一部が、シート本体1の表面に露出していてもかまわない。
ここで第2実施形態においては、例えば第1実施形態のように、ウイルス不活化微粒子2のみが保持される構成であってもよく、抗菌剤、防黴剤、抗アレルゲン剤、無機微粒子などの機能性材料や、添加剤等が保持されるようにしてもよい。図2では、その1例としてウイルス不活化微粒子2の他にウイルス不活化微粒子2とは異なる1種の無機微粒子6が保持されている状態を模式的に示している。しかしながら、ウイルス不活化微粒子2の他に2種以上の無機微粒子6が保持される構成とすることも、もちろん可能である。
含有されるウイルス不活化微粒子2の大きさは特に限定されないが、平均の粒子径が3000μm以下であることが好ましい。さらに、その使用環境や時間の経過により、シート本体1内部からウイルス不活化微粒子2が脱落することを考慮すると、平均粒子径は1nm〜1000μmであることが特に好ましい。
第2実施形態のウイルス不活化微粒子2は、例えば繊維を絡み合わせて製造される不織布や、パルプと結着剤を混抄して製造される混抄紙などをシート本体1として製造する際に混合することで、シート1内部の空間内にて保持させることができる。
不織布を形成する繊維としては、前述の合成繊維や、綿、麻、絹等の天然繊維などが挙げられる。不織布は、まずフリースと呼ばれる不織布の素となる集積層を製造し、そのフリースの繊維間を結合し、積層させる、という2つの工程により製造されるが、第2実施形態のウイルス不活化微粒子2は、フリース形成時に繊維に混合してもよいし、フリースの積層時に混入しても良い。またフリースを積層する際には、ウイルス不活化微粒子2を含むフリースと、ウイルス不活化微粒子2を含まないフリースとを積層することもできる。
フリースの製造方法としては、乾式法、湿式法、スパンボンド法、メルトブロー法などの一般的な製法が用いられるが、ウイルス不活化微粒子2の安定性を考慮すると、水や、加熱を行わない乾式法が好適に用いられる。
またフリースの結合方法としては、サーマルボンド法、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法、ステッチボンド法、スチームジェット法などの一般的な製法が用いられる。
さらにフリース同士の結合力を向上させるために接着樹脂7を混合してもよい。接着樹脂7の具体例としては、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、澱粉のり等が挙げられる。
第2実施形態の拭き取りシート200のシート本体1を混抄紙とする場合、パルプを抄紙することにより得られる。パルプとしては、木材パルプ、ポリエチレンパルプ、レーヨンパルプ、ビニロンパルプなどの各種パルプとすることができる。また、各種パルプに加えて、ポリエステル系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリアミド系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維などの合成繊維を単独または複数組み合わせて用いても良い。
抄紙は、例えば、パルプに、構造体としての強度を確保する目的で適量のガラス繊維やミルドファイバー等の補強剤を加え、これら混合物と水とを混合した希釈スラリーを丸網などの抄紙機で漉きあげて製造される。第2実施形態のウイルス不活化微粒子2は、漉きあげる前のスラリーに添加することでシート本体1中に固定される。
また、金属パラジウム、パラジウム酸化物などの微粒子を、レーヨンやパルプや、綿、麻、羊毛、絹、竹などの天然繊維や、紙製品にて固定する場合は、パラジウムコロイド水溶液を塗布した後、乾燥して金属パラジウムおよびその酸化物の微粒子を担持させるようにしてもよい。或いは、パラジウムイオンを含む水溶液に浸漬したり、または、パラジウムイオンを含む水溶液を塗布したりして、パラジウムイオンを吸着させ、その後、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、酒石酸、クエン酸、ブドウ糖、塩化スズ、水素化ホウ素ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、次亜りん酸ナトリウムなどの還元剤を含む水溶液に浸漬するか、或いは、水素還元雰囲気中で還元処理するか、或いは、大気中で加熱することで、金属パラジウムおよびその酸化物の微粒子を担持させるようにしてもよい。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態の拭き取りシート300について図3を用いて詳述する。
図3は、拭き取りシート300を構成している織編物、不織布、フィルム、発泡シートなどの断面を模式的に示した図である。拭き取りシート300は、シート本体1と、シート本体1内部に埋め込まれた(充填された)ウイルス不活化微粒子2からなり、該ウイルス不活化微粒子2の一部はシート本体1の表面に露出している。また、織編物がマルチ繊維からなる紡績糸や加工糸などから構成されている場合は、ウイルス不活化微粒子2はマルチ繊維表面に付着し、かつ紡績糸や加工糸の内部に分散した状態で担持されてあれば良い。
また、モノフィラメントやフィルム、或いは、発泡シートなどで構成されるシート本体1にウイルス不活化微粒子2を含ませて、ウイルス不活化微粒子2の一部をシート本体1の表面に露出させる方法としては、シート本体1の表面にウイルス不活化微粒子2を含ませ、モノフィラメントやフィルム、或いは、発泡シートなどに加工した後、酸やアルカリ、或いは酸化剤などを含む水溶液で化学的に樹脂をエッチングしたり、酸素プラズマや大気プラズマなどの物理的な方法で樹脂の一部をエッチングしたりして、ウイルス不活化微粒子2の一部を露出させれば良い。また、モノフィラメントやフィルムの場合では、延伸加工によりウイルス不活化微粒子2の一部を露出させても良い。
本実施形態の拭き取りシート300によれば、拭き取りシート300の表面が摩耗しても、シート本体1の内部に存在するウイルス不活化微粒子2を露出させることができ、ウイルス不活化微粒子2によるウイルスの不活化等を長期間維持することができる。
以上、第1、第2、第3の実施形態の拭き取りシートについて説明したが本発明はこれに限定されるものではなく、他の実施形態とすることも、もちろん可能である。例えば、第1の実施形態においては、ウイルス不活化微粒子2をシランモノマー3またはそのオリゴマー4により、シート本体1に保持させているが、他の態様によりシート本体1に保持させることもできる。例えば、公知のバインダー成分によりシート本体1に保持させるようにしてもよい。バインダー成分としては、シート本体1との密着性が良いものであれば特に限定はされないが、例えば合成樹脂では、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、水溶性樹脂、ビニル系樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、繊維素系樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、天然樹脂としては、ひまし油、亜麻仁油、桐油などの乾性油などを用いることができる。また、第1、第2、第3の実施形態を適宜組み合わせたり、抗菌、防黴、抗アレルゲン、消臭などの種々の機能を有するシートを複数組み合わせたりして、複合的な機能を持たせた拭き取りシートとすることも出来る。またこの場合もウイルス不活化微粒子2を保持させる量は、シート本体1の全体重量に対し、0.01質量%から80.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%から50.0質量%、さらに好ましくは0.1質量%から30.0質量%であることが好ましい。
また別の実施形態として、第1、第2、第3の実施形態の拭き取りシート(シート本体1が樹脂で形成されている)に界面活性剤などを添加してもよい。界面活性剤は、樹脂中の金属イオン(ウイルス不活化微粒子2)の溶出速度を向上させる効果があるため、本発明の拭き取りシートの抗ウイルス性や殺菌性能をより向上することができる。さらに、樹脂の表面電位は一般的にマイナスであり、ゲノムの種類や、エンベロープの有無等に係ることなくウイルスの表面電位もマイナスであるため、ウイルスが樹脂表面に吸着しにくく、樹脂に抗ウイルス剤のみを含有しても抗ウイルス効果は発現されにくいが、界面活性剤を樹脂に含有することで、樹脂の表面電位をプラス方向に制御することができるため、ウイルスが吸着しやすくなり、抗ウイルス剤による抗ウイルス効果をより効率よく発現することができる。
界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系の界面活性剤が好ましく、中でも特にカチオン系界面活性剤が好ましい。具体的なカチオン系界面活性剤としては、例えば、テトラアルキル(C(炭素原子)の数:4〜100)アンモニウム塩(例えばラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロマイドおよびステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド)、トリアルキル(Cの数:3〜80)ベンジルアンモニウム塩(例えばラウリルジメチルベンジルアンモウムクロライド)、アルキル(Cの数:2〜60)ピリジニウム塩(例えばセチルピリジニウムクロライド)、ポリオキシアルキレン(Cの数:2〜4)トリアルキルアンモニウム塩(例えばポリオキシエチレントリメチルアンモニウムクロライド)、サパミン型第4級アンモニウム塩(例えばステアラミドエチルジエチルメチルアンモニウムメトサルフェート)などの第4級アンモニウム塩型や、高級脂肪族アミン(Cの数:12〜60、例えばラウリルアミン、ステアリルアミン、セチルアミン、硬化牛脂アミンおよびロジンアミン)の無機酸(例えば塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸)塩または有機酸(Cの数:2〜22、例えば酢酸、プロピオン酸、ラウリル酸、オレイン酸、安息香酸、コハク酸、アジピン酸およびアゼライン酸)塩、脂肪族アミン(Cの数:1〜30)のEO付加物等の無機酸(例えば塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸)塩または有機酸(Cの数:2〜22、例えば酢酸、プロピオン酸、ラウリル酸、オレイン酸、安息香酸、コハク酸、アジピン酸およびアゼライン酸)塩および3級アミン(Cの数が3〜30を含む、例えばトリエタノールアミンモノステアレートおよびステアラミドエチルジエチルメチルエタノールアミン)の無機酸(例えば塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸)塩または有機酸(Cの数:2〜22、例えば酢酸、プロピオン酸、ラウリル酸、オレイン酸、安息香酸、コハク酸、アジピン酸およびアゼライン酸)塩などのアミン塩型などが挙げられる。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(ウイルス不活化微粒子2が有するウイルス不活化性についての検討)
本発明の拭き取りシートの効果を確認するために、シート本体1にて保持されるヨウ化白金(II)、ヨウ化パラジウム(II)、ヨウ化銀(I)、ヨウ化銅(I)、およびチオシアン酸銅(I)、塩化銅(I)、酸化銅(I)からなる群から少なくとも1種選択されるウイルス不活化微粒子2のウイルス不活化性について、検討を行った。検討には、一般的にウイルス力価を測定する際に用いられる赤血球凝集(HA)阻害試験法を用いた。対象ウイルスには、MDCK細胞を用いて培養したインフルエンザウイルス(influenza A/北九州/159/93(H3N2))を用いた。
具体的には、プラスチック製96穴プレートにウイルス液の2倍希釈系列を作成後、0.5%ニワトリ血球浮遊液50μLを加え、4℃で静置し、1時間後にHA価を判定した。このHA価は128であった。次いで、ウイルス不活化微粒子2をリン酸緩衝生理食塩水にて0.5質量%または5質量%に希釈した。この希釈液450μLにウイルス液450μLを加え、マイクロチューブローテーターを用いて攪拌しながら、室温で10分間反応させた。遠心により粉末を沈殿させた後、上清150μLを回収し、サンプルとした。このサンプル液の2倍希釈系列を作成後、0.5%ニワトリ血球浮遊液を等量混合し、4℃で60分後にHA価を判定した。その結果を表1に示した。
この結果より、ヨウ化白金(II)、ヨウ化パラジウム(II)、ヨウ化銀(I)、ヨウ化銅(I)、およびチオシアン酸銅(I)、塩化銅(I)、酸化銅(I)からなる群から少なくとも1種選択されるウイルス不活化微粒子2は、インフルエンザウイルスに対し、HA価で、0.5質量%で2倍(=128/64)から64倍(=128/2)以上、5質量%で4倍(=128/32)から64倍(=128/2)以上の不活性化作用を有することが確認された。
(様々なウイルスを不活化できる作用を有する拭き取りシートの作製)
実施例1:
ウイルス不活化性を有するウイルス不活化微粒子2として、市販のヨウ化銅(I)粉末(和光純薬工業株式会社製、和光一級)を、乾式粉砕装置ナノジェットマイザー(株式会社アイシンナノテクノロジーズ社製)を用いて、平均粒子径170nmに粉砕した。粉砕したヨウ化銅(I)微粒子をエタノールに4.0質量%加え、さらに、テトラメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM−04)を0.4質量%加えた後、ホモジナイザーで5分間プレ分散してスラリーを作製した。ここでいう平均粒子径とは、体積平均粒子径のことをいう。
次に、80g/m2の綿不織布を、作製したスラリーに浸漬した後、余剰分のスラリーを除去し、120℃で10分間乾燥することで、ウイルス不活化作用を有する拭き取りシートを得た。この拭き取りシートのヨウ化銅(I)の付着量を原子吸光分析法で測定したところ、12.8質量%であった。
実施例2:
ウイルス不活化性を有するウイルス不活化微粒子2として、市販のヨウ化銀(I)粉末(和光純薬工業株式会社製、化学用)を、乾式粉砕装置ナノジェットマイザー(株式会社アイシンナノテクノロジーズ社製)を用いて、平均粒子径140nmに粉砕した。粉砕したヨウ化銀(I)微粒子をエタノールに4.0質量%加え、さらに、テトラメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM−04)を0.4質量%加えた後、ホモジナイザーで5分間プレ分散してスラリーを作製した。ここでいう平均粒子径とは、体積平均粒子径のことをいう。
次に、80g/m2の綿不織布を、作製したスラリーに浸漬した後、余剰分のスラリーを除去し、120℃で10分間乾燥することで、ウイルス不活化作用を有する拭き取りシートを得た。この拭き取りシートのヨウ化銀(I)の付着量を原子吸光分析法で測定したところ、12.3質量%であった。
実施例3:
ウイルス不活化性を有するウイルス不活化微粒子2として、市販のチオシアン酸銅(I)粉末(和光純薬工業株式会社製、化学用)を、乾式粉砕装置ナノジェットマイザー(株式会社アイシンナノテクノロジーズ社製)を用いて、平均粒子径120nmに粉砕した。粉砕したチオシアン酸銅(I)微粒子をエタノールに4.0質量%加え、さらに、テトラメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM−04)を0.4質量%加えた後、ホモジナイザーで5分間プレ分散してスラリーを作製した。ここでいう平均粒子径とは、体積平均粒子径のことをいう。
次に、80g/m2の綿不織布を、作製したスラリーに浸漬した後、余剰分のスラリーを除去し、120℃で10分間乾燥することで、ウイルス不活化作用を有する拭き取りシートを得た。この拭き取りシートのチオシアン酸銅(I)の付着量を原子吸光分析法で測定したところ、12.3質量%であった。
実施例4:
ウイルス不活化微粒子2として、市販のヨウ化銅(I)粉末(和光純薬工業株式会社製、和光一級)40.0gと、ウイルス不活化微粒子2以外の他の無機微粒子6として、不飽和結合部を有するシランモノマーであるメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM-503)を通常の方法により脱水縮合させ表面に共有結合させた酸化ジルコニウム粒子(日本電工株式会社製、PCS)60.0gを、900.0gのエタノールにプレ分散後、ビーズミルにて解砕・分散し、平均粒子径100nmのヨウ化銅(I)と、平均粒子径37nmのメタクリロキシプロピルトリメトキシシランで被覆した酸化ジルコニウムとを含むスラリーを得た。得られたスラリーは固形分濃度が0.5質量%になるようにエタノールを加えて調整した。なお、ここでいう平均粒子径とは、体積平均粒子径のことをいう。
続いて、上記スラリーを80g/m2のレーヨン不織布にスプレーにて塗布・乾燥させたのち、ウイルス不活化作用を有する拭き取りシートを得た。この拭き取りシートのヨウ化銅(I)の付着量を原子吸光分析法で測定したところ、0.01質量%であった。
実施例5:
固形分濃度を2.0質量%に調整した実施例4のスラリーを、80g/m2のパルプとPP(ポリプロピレン)からなる不織布にスプレーにて塗布した後、余剰分のスラリーを除去し、120℃で10分間乾燥することで、ウイルス不活化作用を有する拭き取りシートを得た。この拭き取りシートのヨウ化銅(I)の付着量を原子吸光分析法で測定したところ、0.5質量%であった。
実施例6:
固形分濃度を1.0質量%に調整した実施例4のスラリーに、80g/m2のレーヨンとPP(ポリプロピレン)からなる不織布を浸漬した後、余剰分のスラリーを除去し、120℃で10分間乾燥することで、ウイルス不活化作用を有する拭き取りシートを得た。この拭き取りシートのヨウ化銅(I)の付着量を原子吸光分析法で測定したところ、2.8質量%であった。
実施例7:
ウイルス不活化性を有するウイルス不活化微粒子2としての市販のヨウ化銀(I)粉末(和光純薬工業株式会社製、化学用)40.0gと、ウイルス不活化微粒子2以外の他の無機微粒子6として、不飽和結合部を有するシランモノマーであるメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM-503)を通常の方法により脱水縮合させ表面に共有結合させた酸化ジルコニウム粒子(日本電工株式会社製)60.0gを、900.0gのメタノールにプレ分散後、ビーズミルにて解砕・分散し、平均粒子径124.8nmのヨウ化銀(I)と、平均粒子径20nmの酸化ジルコニウムとのそれぞれの微粒子を含むスラリーを得た。得られたスラリーは固形分濃度が0.5質量%になるようにエタノールを加えて調整した。なお、ここでいう平均粒子径とは、体積平均粒子径のことをいう。
続いて、上記スラリーを80g/m2のレーヨン不織布にスプレーにて塗布・乾燥させたのち、ウイルス不活化作用を有する拭き取りシートを得た。この拭き取りシートのヨウ化銀(I)の付着量を原子吸光分析法で測定したところ、0.01質量%であった。
実施例8:
固形分濃度を1.0質量%に調整した実施例7のスラリーを、80g/m2のパルプとPP(ポリプロピレン)からなる不織布にスプレーにて塗布した後、120℃で10分間乾燥することで、ウイルス不活化作用を有する拭き取りシートを得た。この拭き取りシートのヨウ化銀(I)の付着量を原子吸光分析法で測定したところ、0.5質量%であった。
実施例9:
固形分濃度を1.0質量%に調整した実施例7のスラリーに、80g/m2のレーヨンとPP(ポリプロピレン)からなる不織布を浸漬した後、余剰分のスラリーを除去し、120℃で10分間乾燥することで、ウイルス不活化作用を有する拭き取りシートを得た。この拭き取りシートのヨウ化銀(I)の付着量を原子吸光分析法で測定したところ、2.6質量%であった。
実施例10:
ウイルス不活化性を有するウイルス不活化微粒子2としての市販のチオシアン酸銅(I)粉末(和光純薬工業株式会社製、化学用)40.0gと、ウイルス不活化微粒子2以外の他の無機微粒子6として、不飽和結合部を有するシランモノマーであるメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM-503)を通常の方法により脱水縮合させ表面に共有結合させた酸化ジルコニウム粒子(日本電工株式会社製)60.0gを、900.0gのメタノールにプレ分散後、ビーズミルにて解砕・分散し、平均粒子径104nmのチオシアン酸銅(I)と、平均粒子径20nmの酸化ジルコニウムとのそれぞれの微粒子を含むスラリーを得た。得られたスラリーは固形分濃度が1.0質量%になるようにエタノールを加えて調整した。なお、ここでいう平均粒子径とは、体積平均粒子径のことをいう。
続いて、上記スラリーを80g/m2のレーヨン不織布にスプレーにて塗布・乾燥させたのち、ウイルス不活化作用を有する拭き取りシートを得た。この拭き取りシートのチオシアン酸銅(I)の付着量を原子吸光分析法で測定したところ、0.1質量%であった。
実施例11:
固形分濃度を1.0質量%に調整した実施例10のスラリーを、80g/m2のパルプとPP(ポリプロピレン)からなる不織布にスプレーにて塗布・乾燥した後、120℃で10分間乾燥することで、ウイルス不活化作用を有する拭き取りシートを得た。この拭き取りシートのチオシアン酸銅(I)の付着量を原子吸光分析法で測定したところ、0.8質量%であった。
実施例12:
固形分濃度を1.0質量%に調整した実施例10のスラリーに、80g/m2のレーヨンとPP(ポリプロピレン)からなる不織布を浸漬した後、余剰分のスラリーを除去し、120℃で10分間乾燥することで、ウイルス不活化作用を有する拭き取りシートを得た。この拭き取りシートのチオシアン酸銅(I)の付着量を原子吸光分析法で測定したところ、1.5質量%であった。
実施例13:
ウイルス不活化性を有するウイルス不活化微粒子2として、塩化銅(I)粉末を、乾式粉砕装置ナノジェットマイザー(株式会社アイシンナノテクノロジーズ社製)を用いて、平均粒子径350nmに粉砕した。ここでいう平均粒子径とは、体積平均粒子径のことをいう。反応性ホットメルト接着剤として積水フーラー株式会社製のTL-0511を、ノードソン株式会社製ALTAシグレチャースプレーガンより糸状に吐出させ、粘着性を有する繊維構造体を作製した。次に粉砕した塩化銅(I)微粒子を繊維構造体の繊維表面に接触させ、湿度60%、50℃の環境で4時間反応させて反応性ホットメルトを硬化させ、フィルターとしての拭き取りシートを得た。この拭き取りシートの塩化銅(I)の付着量を原子吸光分析法で測定したところ、21.4質量%であった。
実施例14:
ウイルス不活化性を有するウイルス不活化微粒子2として、実施例13の塩化銅(I)粉末を用いた。また、抄紙用繊維原料として、通常のビータなどで処理された木材パルプ(KPパルプ)と、抄紙用の有機合成繊維パルプ(ビニロンパルプ)と、日本板硝子(株)製の径が10μm前後のガラス短繊維を使用した。また、抄紙性を確保するために、昭和電工(株)製アクリル系高分子凝集剤を微量用いて、原料と水を混合したスラリーを大量の水で希釈し、定法により丸網抄紙機により漉き上げ、混抄紙としての拭き取りシートを得た。この拭き取りシートの塩化銅(I)の付着量を原子吸光分析法で測定したところ、65.3質量%であった。
実施例15:
ウイルス不活化性を有するウイルス不活化微粒子2として、乾式粉砕装置ナノジェットマイザー(株式会社アイシンナノテクノロジーズ製、NJ−100B)にて、平均粒子径150nmに粉砕したヨウ化銅(I)を、繊維用樹脂として、ポリエステル樹脂(ユニチカ株式会社製、MA2103)を用いた。このポリエステル樹脂を水分率100ppm以下となるように真空乾燥した後、粉砕したヨウ化銅(I)、カチオン系界面活性剤(ライオン株式会社製、アーカード22−80)を、抗ウイルス剤充填マスターバッチペレットと混合した後、滑剤としてステアリン酸カルシウムを200ppmとなるように混合ペレットに添加し、紡糸用樹脂を準備した。準備した紡糸用樹脂をマルチフィラメント紡糸装置(株式会社中部化学機械製作所製)を用いて、330d(デニール)−24F(フィラメント)のポリエステルマルチフィラメントとして300m/minの紡糸速度で紡糸し巻き取った後、熱板延伸機を用いて、送り出し速度40m/min、巻き取り速度120m/minの条件で延伸倍率3倍で延伸し、110d(デニール)、フィラメント数24本のポリエステルマルチフィラメント(サンプル)を得た。その後、このポリエステルマルチフィラメントを用いて平織りに製織し、実施例15の拭き取りシートを得た。この拭き取りシートのヨウ化銅(I)の付着量を原子吸光分析法で測定したところ、6.2質量%であった。
比較例1:
市販のアルコール系除菌シート(基材;レーヨン、PP(ポリプロピレン)との混紡不織布 成分;エタノール、防腐剤、界面活性剤 他)を比較例1の拭き取りシートとした。
表2には、上述した実施例1〜15の内容を示す。
(様々なウイルスに対するウイルス不活化作用を有する拭き取りシートでの付着保持性評価)
実施例1〜15および比較例1で得られた拭き取りシートがウイルスを付着したまま保持する性能を評価した。拭き取りシートによるウイルスの付着保持性の測定は、対象ウイルスとして、インフルエンザウイルス(H3N2)、およびノロウイルスの代替であるネコカリシウイルス(F9株)を用いた。
(評価1 ウイルス:ドライ、拭き取りシート:ドライ)
まず、プラスチックシャーレにウイルス濃度(1×107.7個/ml)の各ウイルスを100μl接種し、安全キャビネット内で乾燥させた。十分乾燥させた後、各拭き取りシートを25 cm2に切り取り、30秒間ウイルスを拭いた。拭き取り後、シャーレにSCDLP培地を2000μl入れピペッティングを10回行い、洗い出しをした。この洗い出し液を100μl、MDCK細胞にて培養し、プラークをカウントした。
(評価2 ウイルス;ドライ、拭き取りシート;ウェット)
各拭き取りシートを25cm2に切り取った後、蒸留水で湿らせる以外は上記と同様の方法で拭き取り試験を行った。拭き取り後、評価1と同様の方法でプラークをカウントした。
(評価3 ウイルス;ウェット、拭き取りシート;ドライ)
プラスチックシャーレに各ウイルスを100μl接種した直後、25 cm2に切り取った各拭き取りシートで30秒間ウイルスを拭いた。拭き取り後、評価1と同様の方法でプラークをカウントした。
(評価4 ウイルス;ウェット、拭き取りシート;ウェット)
各拭き取りシートを25 cm2に切り取った後、蒸留水で湿らせる以外は評価3と同様の方法で拭き取り試験を行った。
拭き取り試験後の各サンプルを30mm×65mmのバイアル瓶に入れ、滅菌水を1900μl加えた後、Voltexにて1分間洗い出しを行った。その後、洗い出し液を回収し、各洗い出し液が10-2〜10-5になるまでMEM希釈液にて希釈を行い(10倍段階希釈)、MDCK細胞にサンプル液100μLを接種した。48時間、34℃、5%CO2インキュベータにて培養後、ホルマリン固定、メチレンブルー染色を行い形成されたプラーク数をカウントして、ウイルスの感染価(PFU/0.1ml,Log10);(PFU:plaque-forming units)を算出し、コントロールにおけるウイルス感染価と比較した。その結果を表3に示す。またウイルスが拭き取りシートに付着したままとなっているかどうかを目視で確認するために、滅菌水で洗浄後の実施例4のサンプルをSEMにて観察した結果を図4で示した。
(コントロール)
ウイルスコントロールは、各実施例1〜15の拭き取りシートの代わりに5 cm2のプラスチックフィルム(ウイルス不活化微粒子2を含まない)を用いた。
以上の結果より、評価1(ト゛ライ/ト゛ライ)における実施例10以外、すべての実施例において、洗い出し液中のウイルスは99.9999%以上、拭き取りシートにウイルスが付着したままの状態にあるか、たとえウイルスが遊離したとしても、遊離したウイルスは不活化されていることがわかった。評価1(ト゛ライ/ト゛ライ)の実施例10でも、インフルエンザウイルスでは99.999%、ネコカリシウイルスでは99.997%のウイルスが拭き取りシートに付着したままの状態又は、不活化していることがわかった。また比較例1では、インフルエンザウイルスには多少(評価4(ウェット/ウェット)で94.99%)効果があったものの、ネコカリシウイルスではほとんど効果がなかった。
(様々なウイルスに対するウイルス不活化作用を有する拭き取りシートでのウイルス不活化性評価)
次に、拭き取りシートに付着した各ウイルスが不活化しているかどうかについて試験を行った。拭き取り試験後の各サンプル(評価1〜4)を30mm×65mmのバイアル瓶に入れ、60分間(評価1(ト゛ライ/ト゛ライ)のサンプルは180分間)作用させたのち、20mg/mlのブイヨン蛋白液1800μlを添加し、ピペッティングによりウイルスを洗い出した。その後、各反応サンプルが10-2〜10-5になるまでMEM希釈液にて希釈を行った(10倍段階希釈)。シャーレに培養したMDCK細胞にサンプル液100μLを接種した。90分間静置しウイルスを細胞へ吸着させた後、0.7%寒天培地を重層し、48時間、34℃、5%CO2インキュベータにて培養後、ホルマリン固定、メチレンブルー染色を行い形成されたプラーク数をカウントして、ウイルスの感染価(PFU/0.1ml,Log10);(PFU:plaque-forming units)を算出した。その結果を表4および表5に示す。表4は、評価2〜4におけるウイルス感染価を示しており、表5は、実施例1〜3、14、比較例1およびコントロールにおいて、評価1でのウイルス感染価を示している。表4において、ウイルス感染価は、評価2〜4において同一の値を示したため、各実施例1〜15、比較例1およびコントロールに対して1つのウイルス感染価を示している。
以上の結果より、すべての実施例において、2つのウイルスに対し不活化作用が認められ、特に実施例1〜3、5、6、8、9、11〜14については60分間で不活化率99.9999%以上という非常に高い作用が認められた。他の実施例についても、悪いものでも60分間において、インフルエンザウイルスに対し99.997%、ネコカリシウイルスに対して99.94%と高いウイルス不活化効果があることがわかった。また乾燥時でも、実施例1〜3において180分間でインフルエンザウイルスを99.999%〜99.00%、ネコカリシウイルスを92.06〜99.99%、不活化できることがわかった。このことにより、本発明の拭き取りシートは、一度シート本体1に付着したウイルスでも、ウイルス不活化微粒子2の量などに応じてばらつきはあるものの、湿った条件下ではおよそ1時間、乾燥条件下でも3時間程度で不活化させることができるため、使い捨てではなく、長期に渡って使用できる拭き取りシートを提供することができる。
(様々な細菌に対する殺菌作用を有する拭き取りシートの殺菌性評価)
各拭き取りシートの殺菌性評価についてはJIS L 1902(繊維製品の抗菌性試験方法及び抗菌効果)に準拠して行った。具体的には、評価1(ト゛ライ/ト゛ライ)、評価4(ウェット/ウェット)条件の、実施例5、8、11、比較例1の拭き取りシートを2cm×2cmに切り取ったものを4枚、滅菌済みのバイアル瓶に入れ、ここに菌濃度1×106.26個/mlの大腸菌培養液を0.1ml接種し、5分間静置した後、平板培養にてコロニー数をカウントした。結果を以下に示す。
以上のように、実施例5、8、11のすべてにおいて5分で99.9987%以上という高い殺菌効果があることがわかった。これらの結果から、本発明の拭き取りシートはウイルスだけでなく、細菌に対しても高い殺菌効果を示すため、長期間使用しても臭いや雑菌の繁殖を抑えられることがわかった。
1 シート本体
2 ウイルス不活化微粒子
3 シランモノマー
4 オリゴマー
5 結合部
6 第2の無機微粒子
7 バインダー
100 本第1実施形態の拭き取りシート
200 本第2実施形態の拭き取りシート
300 本第3実施形態の拭き取りシート

Claims (4)

  1. 付着したウイルスを不活化し、かつ、付着した細菌を殺菌できる拭き取りシートであって、
    樹脂で形成された拭き取りシート本体であって、前記拭き取りシート本体の表面電位をプラス方向に変化させるカチオン系界面活性剤を含む拭き取りシート本体と、
    前記拭き取りシート本体に保持され、ヨウ化白金(II)、ヨウ化パラジウム(II)、ヨウ化銀(I)、ヨウ化銅(I)、およびチオシアン酸銅(I)、塩化銅(I)、酸化銅(I)、金属パラジウム、パラジウム酸化物からなる群から、少なくとも1種以上選択される微粒子と、を備えることを特徴とする拭き取りシート。
  2. 前記微粒子が、シランモノマー又はシランモノマーの重合体を少なくとも介して前記拭き取りシート本体と結合していることを特徴とする請求項1に記載の拭き取りシート。
  3. 前記拭き取りシート本体が、織編物、不織布、紙、フィルム、又は発泡シートを含む基材から構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の拭き取りシート。
  4. 前記拭き取りシート本体が、織編物、不織布、紙、フィルム、又は発泡シートを含む基材から構成されており、該基材の少なくとも一部に、前記微粒子が充填されていることを特徴とする請求項1に記載の拭き取りシート。
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