JP6407537B2 - 殺菌・抗ウイルス性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、高い殺菌性と抗ウイルス性を兼ね備えた銀化合物のナノ粒子に関する。
銀に殺菌・抗菌作用があることは経験的にギリシャ、ローマの時代から知られており、近年は微粒子粉体として塗料中に分散させたり、あるいは樹脂中に混練することによって抗菌機能を付与させたい塗料や樹脂製品中に添加して使用されている。特に、衣類などに用いられる繊維には、従来はアミン系の抗菌剤が広く使用されていたが、健康面に配慮して銀系抗菌剤が使用されるようになってきている。また種々の抗菌製品が氾濫する中、抗菌処理をした製品により皮膚炎を生じた例も報告されるなど抗菌剤の高濃度使用による人体への悪影響を引き起こす恐れも指摘されており、その使用濃度の低減化が強く望まれている。
また最近では、新型インフルエンザやノロウイルスなどウイルスによる感染症も問題となっている。特に交通の発達などにより、感染の拡大スピードも昔に比べ非常に早くなっているため、パンデミックに対する危機意識が非常に高くなっている。そこで、銀や銀化合物による抗ウイルス効果についても様々な検討がされてきている。
このような現状において、例えば、殺菌効果の高い銀系コロイドや、それを塗布した医療用デバイスが報告されていたり(特許文献1)、銀ブロムとヨード錯体を利用した殺菌、抗ウイルス剤が報告されている(特許文献2)。
特公表2003−529630号公報 特開2002−338481号公報
しかしながら、特許文献1の場合、金属塩の添加量は、アニオンを含む塩よりも過剰であることが望ましいとされており、その結果、合成された銀系コロイドは銀イオンが過剰にある状態となる。殺菌性は銀の溶出量に比例するため、銀イオンが過剰にあることで即効性には優れるが、持続性に欠けたものとなる。また、特許文献2では、有効成分が錯体として存在しているため、特許文献1と同様、分散媒に易溶性であり、持続性に欠けたものとなる。
そこで本発明は、即効性、持続性に優れる、殺菌・抗ウイルス性組成物を提供するものである。
すなわち第1の発明は、粒径が1nm以上100nm以下であるハロゲン化銀からなるナノ粒子と、前記ハロゲン化銀を構成するハロゲンと同元素のハロゲン化物イオンと、少なくとも1種以上の水溶性高分子とを含み、前記ハロゲン化銀中の銀と前記ハロゲン化物イオンとのモル比が1:1〜1:20であることを特徴とする殺菌・抗ウイルス組成物である。
また第2の発明は、上記第1の発明において、カルボキシル基を有する有機酸および/またはその塩をさらに含むことを特徴とする殺菌・抗ウイルス組成物である。
さらに第3の発明は、上記第2の発明において、前記カルボキシル基を有する有機酸が、オキシカルボン酸であることを特徴とする殺菌・抗ウイルス組成物である。
さらにまた第4の発明は、上記第1から第3のいずれか1つの発明において、前記ハロゲン化銀がヨウ化銀であることを特徴とする殺菌・抗ウイルス組成物である。
即効性、持続性に優れる、殺菌・抗ウイルス性組成物を提供することができる。
実施例1で得られた殺菌・抗ウイルス組成物の透過型電子顕微鏡の画像である。
以下、本発明の殺菌・抗ウイルス組成物の実施形態について詳述する。本実施形態の殺菌・抗ウイルス組成物は、ハロゲン化銀からなるナノ粒子(以下、ハロゲン化銀ナノ粒子という)と、当該ハロゲン化銀を構成するハロゲンと同元素であるハロゲン化物イオンと、水溶性高分子とを含む。
本実施形態の殺菌・抗ウイルス組成物は、例えば、銀塩と、ハロゲン化物と、水溶性高分子とを溶液中で混合することにより製造することができる。銀塩とハロゲン化物とを混合することで銀塩とハロゲン化物とが反応し、ハロゲン化銀が生成される。各成分の割合は特に限定されないが、生成されるハロゲン化銀中に含有される銀とハロゲン化物イオンとのモル比が1:1〜1:20となるように銀塩とハロゲン化物の比率(銀塩を構成する銀イオンと、ハロゲン化物を構成するハロゲン化物イオンの比率)が設定されることが好ましい。
ハロゲン化銀の抗菌性については従来より知られており、様々な抗菌組成物として開発されているが、本実施形態ではその中でも非常に粒子径の小さい1nm以上100nm以下のナノ粒子状のものが利用できる。また、少量でもより効率よく殺菌性、抗ウイルス性を発揮するようにする観点から、ハロゲン化銀ナノ粒子の粒子径は小さいほど好ましい。一方で、粒子径が1nm以下であるとハロゲン化銀の物質としての安定性が低下する。そのため、ハロゲン化銀ナノ粒子の粒子径は、1nm以上30nm以下であることが好ましく、より好ましくは1nm以上10nm以下である。なお、当該粒子径は、例えば銀塩とハロゲン化物とを反応させるときの銀イオンとハロゲン化物イオンとの割合を調整するなどして制御することができる。また、これらのハロゲン化銀は結晶性が低く、低温での合成では結晶性が低いアモルファスな結晶が合成され、高温での合成においては結晶性が良いナノ粒子を得ることができる。本実施形態においてはいずれの結晶も使用することができ、特に限定されない。
上述のとおり、ハロゲン化銀ナノ粒子は、例えば銀塩とハロゲン化物とを反応させることにより得ることができる。
銀塩としては、硝酸銀、亜硝酸銀、塩素酸銀、過塩素酸銀、酢酸銀及び硫酸銀などが挙げられ、ハロゲン化物としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ヨウ化カリウム、塩化リチウム、塩化銅(II)、塩化銀、フッ化塩素などが挙げられるが、これらの組合せについては、実際に使用したいハロゲン化銀に併せて自由に選択する事ができる。
本実施形態の殺菌・抗ウイルス組成物の調製において、銀塩とハロゲン化物の比率については、ハロゲン化物が銀塩に対し、化学量論的に過剰であることが望ましい。具体的には、本実施形態の殺菌・抗ウイルス組成物中に存在するハロゲン化銀中の銀と、ハロゲン化物イオン(銀イオンと反応せずに組成物中にイオンとして存在しているハロゲン化物イオン)のモル比が、1:1〜1:20となるように、銀塩を構成する銀イオンと、ハロゲン化物を構成するハロゲン化物イオンのモル比を設定することが好ましい。特に、本実施形態においては、銀イオンとハロゲン化物イオンとの間のモル比の差が大きくなるほど粒子径の小さいハロゲン化銀ナノ粒子が得られるため好ましい。
1:1よりもハロゲン化物イオンの割合が小さくなると、組成物の調製において全てのハロゲン化物イオンが銀イオンと反応してしまうか、銀イオンと反応しないハロゲン化物イオンの分量が少なくなりすぎるため、後述する電気二重層を形成するためのハロゲン化物イオンがなくなってしまう、あるいは十分でない。一方、1:20よりもハロゲン化物イオンの割合が多くなると、ハロゲン化物イオンが過剰になりすぎて、銀と錯体を形成してしまう。
なお、本明細書でいうハロゲン化物イオンとは、フッ化物イオン(F-)、塩化物イオン(Cl-)、臭化物イオン(Br-)、ヨウ化物イオン(I-)、アスタチン化物イオン(At-)などが挙げられる。
また、組成物の調製において銀塩の溶液とハロゲン化物の溶液を混合する工程を含む場合には、両液の接触時間が短いほど粒子径の小さいハロゲン化銀ナノ粒子が得られるため、当該工程をできるだけ短時間で行うことが好ましい。
ここで、本実施形態でハロゲン化銀ナノ粒子の周囲に形成される電気二重層について説明する。ハロゲン化物は溶液中ではハロゲン化物イオンとして存在しており、銀塩が水に溶解してできた銀イオンと反応してハロゲン化銀ナノ粒子を生成する。生成されたハロゲン化銀ナノ粒子は溶液中に存在する過剰のハロゲン化物イオンを吸着してマイナスの電荷を帯び、さらに吸着されたハロゲン化物イオンは過剰のハロゲン化物イオンの対イオンを吸着する。これによりハロゲン化銀ナノ粒子の周囲には電気二重層が形成される。当該電気二重層がその周囲に形成されたハロゲン化銀ナノ粒子は、高いゼータ電位を有することで安定化する。
本実施形態においては、このように分散安定化したヨウ化銀ナノ粒子を、分散剤である水溶性高分子が保護している。分散安定化したハロゲン化銀ナノ粒子を分散剤である水溶性高分子が保護することで、ハロゲン化銀ナノ粒子の分散安定性をさらに高めることができる。そのため、粒子サイズが数nmであっても、長期間、ハロゲン化銀ナノ粒子の凝集を抑制することができる。
水溶性高分子は、ナノ粒子の分散性を上げるものであれば特に制限はないが、一例として、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアルコールなどの水溶性高分子分散剤が挙げられる。これらの水溶性高分子は、様々な分子量のものがあるが、分子量が高くなるに従い、粒径の小さいナノ粒子が得られるため、500以上の分子量の水溶性高分子が好適に用いられる。
さらに、本実施形態の殺菌・抗ウイルス組成物においては、カルボキシル基(-COOH)を有する有機酸がさらに含有されるようにしてもよく、その中でも特にオキシカルボン酸が好適に用いられる。
本実施形態で分散安定なハロゲン化銀ナノ粒子を含む分散液を合成する場合、ハロゲン化銀ナノ粒子の凝集を防止することが重要となる。ハロゲン化銀ナノ粒子の凝集は粒子が有するゼータ電位に大きく影響されるため、有機酸および/またはその塩を用い、分散液のpHを酸性側にし、ハロゲン化銀ナノ粒子のゼータ電位を高くすることで凝集を抑制でき、その分散安定性をさらに高めることができる。カルボキシル基を有する有機酸および/またはその塩の添加量は、水溶液のpHを2.0〜6.0に調整する量であることが好ましい。また、ハロゲン化銀ナノ粒子の粒子径を制御するためには、ハロゲン化銀ナノ粒子の主成分である銀イオンの溶液中からの供給を、如何に制御するかが重要となる。つまり、ハロゲン化銀ナノ粒子の合成時に反応に寄与せず組成物中に残っている銀イオンや、経時変化により、ナノ粒子から溶出してきた銀イオンなどによるナノ粒子の粒子成長を如何に阻害するかが重要となる。カルボキシル基を有する有機酸および/またはその塩は銀イオンと錯体を形成し安定化しやすいため、上述の銀イオンが粒子成長に関与するのを阻害できる。このうち、カルボキシル基を有する有機酸の中でもオキシカルボン酸(特にクエン酸)は銀イオンと錯体を形成し安定化しやすい。従って、pH調整剤としてオキシカルボン酸(より好ましくはクエン酸)を用いることが、数nmの極めて小さい粒子径で、且つ、分散安定性に優れた粒子径のハロゲン化銀ナノ粒子を合成する上で、より好適である。
具体的なオキシカルボン酸としては、上述のクエン酸のほか、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、アスコルビン酸、グリコール酸や、これらの塩などが挙げられ、オキシカルボン酸以外のカルボキシ基を有する有機酸としては、ソルビン酸、プロピオン酸、安息香酸、アジピン酸、グルコン酸、酢酸や、これらの塩などが挙げられる。これらは単独あるいは複数を組み合わせて用いられる。
上記の各成分を混合するなどして得られた本実施形態の殺菌・抗ウイルス性組成物は、その形態については特に限定されず、例えば溶液状以外にも、ゾル、ゲルなど組成物が流動性を有する態様とすることができる。
本実施形態の殺菌・抗ウイルス組成物は、例えば細菌では、グラム陽性、陰性、好気性、嫌気性などの性質に関わらず様々な細菌を殺菌することができる。例えば、大腸菌、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌、百日咳菌、腸炎菌、肺炎桿菌、緑膿菌、ビブリオなどを挙げることができる。
また、ウイルスについてもゲノムの種類や、エンベロープの有無等に係ることなく、様々なウイルスを不活化することができる。例えば、ライノウイルス、ポリオウイルス、ロタウイルス、口蹄疫ウイルス、ノロウイルス、ネコカリシウイルス、エンテロウイルス、ヘパトウイルス、アストロウイルス、サポウイルス、E型肝炎ウイルス、A型、B型、C型インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス(おたふくかぜ)、麻疹ウイルス、ヒトメタニューモウイルス、RSウイルス、ニパウイルス、ヘンドラウイルス、黄熱ウイルス、デングウイルス、日本脳炎ウイルス、ウエストナイルウイルス、B型、C型肝炎ウイルス、東部および西部馬脳炎ウイルス、オニョンニョンウイルス、風疹ウイルス、ラッサウイルス、フニンウイルス、マチュポウイルス、グアナリトウイルス、サビアウイルス、クリミアコンゴ出血熱ウイルス、スナバエ熱ウイルス、ハンタウイルス、シンノンブレウイルス、狂犬病ウイルス、エボラウイルス、マーブルグウイルス、コウモリリッサウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、ヒトコロナウイルス、SARSコロナウイルス、ヒトポルボウイルス、ポリオーマウイルス、ヒトパピローマウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、EBウイルス、サイトメガロウイルス、天然痘ウイルス、サル痘ウイルス、牛痘ウイルス、モラシポックスウイルス、パラポックスウイルスなどを挙げることができる。
このようにして得られた殺菌・抗ウイルス性組成物は、様々な用途に展開できる。例えば、組成物をそのまま消毒剤や清掃剤、切り花の延命剤や消臭剤などに用いる事ができる。さらに非常に安定な組成物であるので、バインダーなどに混ぜて塗料として用いる事もできる。さらに吸水性高分子と組み合わせて、オムツや生理用品などに用いる事で、炎症を抑えたり、通常の樹脂に混ぜて、射出成形などにより成形することで簡単に抗菌性樹脂製品を得ることができる。さらに透明性が非常に高い構成とすることも可能であるため、医療用デバイスのコーティング剤として用いると、透明な素材でも、その透明性を損なうことなく殺菌・抗ウイルス性能を付与することができる。
以上のように、本実施形態においては、ハロゲン化物イオンがハロゲン化銀ナノ粒子に吸着されることでハロゲン化銀ナノ粒子の周囲に電気二重層が形成されており、その電気二重層が周囲に形成されたハロゲン化銀ナノ粒子を水溶性高分子で保護する。そのため、分散安定性に優れたハロゲン化銀ナノ粒子を含む殺菌・抗ウイルス組成物が得られる。ナノ粒子の状態でハロゲン化銀粒子が分散していることで、効果的に殺菌効果が得られるとともに、ウイルスの不活化効果が得られる。
また、本実施形態の殺菌・抗ウイルス組成物においてカルボキシル基を有するカルボン酸、好ましくはオキシカルボン酸、より好ましくはクエン酸を含有することで、さらにハロゲン化銀ナノ粒子の分散安定性を高めることができる。
また、本実施形態の殺菌・抗ウイルス組成物においてカルボキシル基を有するカルボン酸、好ましくはオキシカルボン酸、より好ましくはクエン酸を含有することで、殺菌・抗ウイルス組成物におけるハロゲン化銀ナノ粒子が再凝集するのを防ぐことができるため、より長期間、性能を維持することができるという効果が得られる。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
0.8Mのヨウ化カリウム溶液320 mL(純度KI 99%(和光純薬製))に対し、ポリビニルピロリドン(Across organics製、分子量3500)1 vol%を添加し完全溶解するまで攪拌した。別の容器に、0.5Mの硝酸銀溶液50 mL(純度99.8%(和光純薬製))を、遮蔽容器内で作製した。銀イオン:ヨウ素イオンのモル比率が1:10になるように設定して上記2つの溶液を瞬時に攪拌混合し、実施例1の殺菌・抗ウイルス組成物を得た。ここで、得られた殺菌・抗ウイルス組成物に含まれるヨウ化銀ナノ粒子の粒子径をゼータ電位・粒経測定システム(大塚電子製、レーザードップラー法(動的・電気泳動光散乱法))により測定したところ、この時の平均粒子径は5.1nmであった。なお、ここでいう平均粒子径とは、体積平均粒子径のことをいう。さらに、このヨウ化銀ナノ粒子組成物を透過型電子顕微鏡(日本電子社製JEM-2100)を用いて観察した。その写真を図1に示す。
(実施例2)
実施例1と同様にヨウ化カリウム溶液を作製し、この溶液の全溶液量に対しクエン酸(純度98%(和光純薬製))を0.02 %添加し、完全溶解するまで攪拌した。別の容器に、0.5Mの硝酸銀溶液を遮蔽容器内で作製した。上記溶液を、銀イオン:ヨウ素イオンのモル比率が1:10になるように設定して上記2つの溶液を瞬時に攪拌混合し、実施例2の殺菌・抗ウイルス組成物を得た。含有されるヨウ化銀ナノ粒子の平均粒子径は4.2nmであった。
(実施例3)
実施例2の銀イオン:ヨウ素イオンのモル比率を1:5にした以外は全て同じ方法で実施例3の殺菌・抗ウイルス組成物を得た。含有されるヨウ化銀ナノ粒子の平均粒子径は27.3nmであった。
(実施例4)
実施例2の銀イオン:ヨウ素イオンのモル比率を1:2にした以外は全て同じ方法で実施例4の殺菌・抗ウイルス組成物を得た。含有されるヨウ化銀ナノ粒子の平均粒子径は80.0nmであった。
(実施例5)
0.08Mの塩化カリウム溶液32 mL(純度KCl 99%(和光純薬製))に対し、ポリビニルピロリドン(Across organics製、分子量3500)1 vol%を添加し完全溶解するまで攪拌した。別の容器に、0.05Mの硝酸銀溶液5 mL(純度99.8%(和光純薬製))を、遮蔽容器内で作製した。銀イオン:塩化物イオンのモル比率が1:10になるように設定して上記2つの溶液を瞬時に攪拌混合し、実施例5の殺菌・抗ウイルス組成物を得た。含有される塩化銀ナノ粒子の粒子径を測定したところ、平均粒子径は95.7 nmであった。
(比較例1)
実施例1と同様にヨウ化カリウム溶液を作製し、別の容器に5Mの硝酸銀溶液を遮蔽容器内で作製した。銀イオン:ヨウ素イオンのモル比率が1:1になるように設定して上記2つの溶液を攪拌混合し、ヨウ化銀ナノ粒子組成物を得た。含有されるヨウ化銀ナノ粒子の平均粒子径は180.8nmであった。
(比較例2)
実施例1と同様にヨウ化カリウム溶液を作製し、別の容器に10Mの硝酸銀溶液を遮蔽容器内で作製した。銀イオン:ヨウ素イオンのモル比率が2:1になるように設定して上記2つの溶液を攪拌混合し、ヨウ化銀ナノ粒子組成物を得た。含有されるヨウ化銀ナノ粒子の平均粒子径は626.9nmであった。また得られたヨウ化銀ナノ粒子組成物は合成後、すぐ粒子が沈殿してしまった。
(比較例3)
実施例1と同様にヨウ化カリウム溶液を作製し、別の容器に0.1Mの硝酸銀溶液を遮蔽容器内で作製した。銀イオン:ヨウ素イオンのモル比率が1:50になるように設定して上記2つの溶液を攪拌混合したところ、ヨウ化銀ナノ粒子が溶解してしまったためか、ナノ粒子を得ることができなかった。
(大腸菌に対する殺菌性評価)
次に、上記の実施例および比較例1、2の各サンプルにおける大腸菌(Escherichia coli)に対する殺菌性を、定法を用いて測定した。なお比較例3についてはヨウ化銀ナノ粒子が得られていないため測定していない。
具体的にはまず、実施例、比較例の各組成物をAgI濃度またはAgCl濃度が1400ppmになるように超純水を用いて調整した。この各希釈溶液0.1mLと大腸菌懸濁液0.1mLとをそれぞれ混合し、試験用のサンプルとした。各サンプルをマイクロチューブローテーターを用いて攪拌しながら、室温で60分間反応させた。所定時間攪拌後、大腸菌と各組成物に由来する化合物との反応を停止させるためにSCDLP培地を1.8mL加えた。その後、各サンプルを、SCDLP培地を用いて102〜105倍に希釈し(10段階希釈)、1mLシャーレに塗布し、溶解したNB寒天培地と混和し、37℃培養を行った。形成されたコロニー数(CFU/1ml,Log10);(CFU:colony-forming unit)を算出することで、各組成物の大腸菌に対する殺菌性を評価した。結果を表1に示す。
(インフルエンザウイルス、ネコカリシウイルスに対する抗ウイルス性評価)
さらに、上記の実施例および比較例1、2の各組成物におけるインフルエンザウイルス(influenza A/北九州/159/93(H3N2))、および、ネコカリシウイルス(feline calicivirus(F9株))に対する抗ウイルス性を測定した。測定は、ウイルスを高精度で検出可能なプラーク法を用いた。なお比較例3についてはヨウ化銀ナノ粒子が得られていないため測定していない。
具体的にはまず、実施例5以外の実施例、比較例の各組成物をAgI濃度が2000ppmになるように超純水を用いて調整した。実施例5の塩化銀ナノ粒子を含む組成物については、遮光条件下にてAgCl濃度が2000ppmになるように超純水を用いて調整した。この各希釈溶液0.1mLと、インフルエンザウイルス、ネコカリシウイルスの各ウイルス懸濁液0.1mLとをそれぞれ混合し、試験用のサンプルとした。実施例1〜4、比較例1、2に係る各サンプルをマイクロチューブローテーターを用いて攪拌しながら、室温で60分間反応させた。また、実施例5に係る各サンプルについては、暗所・室温にて60分間反応させた。コントロールは、PBS0.1mLに前記の各ウイルス懸濁液0.1mLを加え、各サンプルと同様に、マイクロチューブローテーターを用いて60分間攪拌したものとした。所定時間攪拌後、ウイルスと各試料中の化合物との反応を停止させるためにSCDLP培地を1.8mL加えた。その後、各サンプルをMEM希釈液にて102〜105倍に希釈し(10段階希釈)、インフルエンザウイルスはMDCK細胞に、ネコカリシウイルスはCrFK細胞に、それぞれ希釈した液を0.1mL接種した。60分間のウイルス吸着後、0.7%寒天培地を重層し、48時間、34℃、5%COインキュベータにて培養後、ホルマリン固定、メチレンブルー染色を行い形成されたプラーク数をカウントして、ウイルスの感染価(PFU/0.1ml, Log10);(PFU:plaque-forming units)を算出することで、抗ウイルス性を評価した。結果を表1に示す。
上記の結果より、大腸菌に対する殺菌性は、全ての実施例について、60分で検出限界値以下という高い効果が確認できた(比較例1の約20倍)。インフルエンザウイルスについても、実施例1〜3では60分で検出限界値以下(比較例1の約800倍)、実施例4では60分で99.9998%(比較例1の約400倍)、実施例5では60分で99.9950%(比較例1の約15倍)と高い効果が確認できた。ネコカリシウイルスについても、実施例1〜3では60分で検出限界値以下(比較例1の約4000倍)、実施例4では60分で99.9996%(比較例1の約1000倍)、実施例5では60分で99.99%(比較例1の約40倍)と高い効果が確認できた。さらに銀イオンを過剰にした比較例2では、殺菌、抗ウイルスともに効果はなかった。
(長期安定性についての評価)
実施例1、2、比較例1のサンプルにおいて経時変化をみた。具体的には、AgI濃度が2000ppmに調整した各サンプル溶液50mLを蓋付バイアル瓶に入れ、暗所28℃にて保存した。目視にて液の状態を確認したところ、比較例1については翌日には沈殿が見られた。一方、実施例1については、翌日の時点においての沈殿は認められず、1週間後に瓶の底に若干の沈殿が確認された程度であった。また、クエン酸を添加した実施例2では1ヶ月後も沈殿はみられず、液も透明なものであった。各サンプルを1ヶ月暗所28℃にて保存したものについて殺菌、抗ウイルス効果を測定した。結果を表2に示す。
上記の結果より、翌日には沈殿が見られた比較例1では、殺菌性、抗ウイルス性ともにほとんど効果がなかった。実施例1については、1か月後も比較例1よりも高い殺菌性、抗ウイルス性を有していることが確認できた。さらに、クエン酸を添加した実施例2は、初期同様、高い殺菌、抗ウイルス効果を示した。

Claims (3)

  1. 粒径が1nm以上100nm以下であるハロゲン化銀からなるナノ粒子と、
    前記ハロゲン化銀を構成するハロゲンと同元素のハロゲン化物イオンと、
    少なくとも1種以上の水溶性高分子と
    カルボキシル基を有する有機酸および/またはその塩とを含み、
    前記ハロゲン化銀中の銀と前記ハロゲン化物イオンとのモル比が1:1〜1:20であることを特徴とする殺菌・抗ウイルス組成物。
  2. 前記カルボキシル基を有する有機酸が、オキシカルボン酸であることを特徴とする請求項に記載の殺菌・抗ウイルス組成物。
  3. 前記ハロゲン化銀がヨウ化銀であることを特徴とする請求項1または2に記載の殺菌・抗ウイルス組成物。
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