JP7164767B1 - 次亜塩素酸水 - Google Patents

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Abstract

本発明により、有効塩素濃度100ppm当たりのナトリウムイオンのイオン濃度が20ppm以下であり、かつ、ケイ素化合物の含有量がケイ素換算で20ppb以下であり、保存安定性が高い次亜塩素酸水が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、保存安定性が非常に優れた次亜塩素酸水に関する。
次亜塩素酸は、塩素のオキソ酸の1つで、組成式ではHClOと示される。次亜塩素酸は、強い酸化力を有しており、例えば、細菌細胞内に侵入し、細菌細胞内のDNAやタンパク質を酸化することによって、高い殺菌効果を発揮する。また、次亜塩素酸は、抗菌スペクトルは広く、四級アンモニウム塩などの殺菌剤では殺菌できない芽胞菌などを含む幅広い微生物を殺菌することができる。
前記次亜塩素酸は、通常、単体では用いられず、次亜塩素酸を含む水溶液である次亜塩素酸水として用いられる。次亜塩素酸水のpHは3~5の範囲が、殺菌効果が好適な範囲である。
この次亜塩素酸水は、人体に対する安全性も比較的高いことから、医療、農業、食品加工など、様々な分野における除菌剤または殺菌剤として用いられている。そして、近年では、介護施設、教育施設、商業施設などの公共施設や、一般家庭における除菌や殺菌の用途にも使用されるようになり、その消費量は年々増加している。
一方で、次亜塩素酸は、不安定で不均化反応を起こしやすい。例えば、冷暗所に保存しても、2HClO→2HCl+Oの不均化反応により、徐々に塩化水素と酸素に分解する。また、加熱や光により、上記の次亜塩素酸の不均化反応は促進される。よって、通常次亜塩素酸水は、保存安定性が低いという課題があった。そのため、通常、次亜塩素酸水は、製造後すぐに使い切る形態が取られる。例えば、次亜塩素酸水を容器に小分けして保存し、必要に応じて少しずつ使用する形態では、時間の経過と共に次亜塩素酸の分解が進行し、次亜塩素酸が有する効果を奏することができず、次亜塩素酸水を使い残しても、廃棄せざるを得ないという問題が発生する。
そこで、次亜塩素酸水の保存安定性を高めるべく、保存安定性を低下させる要因について各種検討が行われている。これまでの検討により、次亜塩素酸水中にナトリウムイオンや重金属イオン等の金属イオンが多く含まれると、上記の不均化反応が促進され、次亜塩素酸水の保存安定性が低下することが分かっている。そのため、次亜塩素酸水をマイナス電荷が付与されたフィルターに通過させることで金属イオンを除去する技術が提案されている(特許文献1)。特許文献1では、金属イオンを除去し、次亜塩素酸水中に含まれる金属イオンの量を減少させることにより、次亜塩素酸水の保存安定性が向上することが開示されている。
また、特許文献2には、超純水に次亜塩素酸ナトリウム及び塩酸を添加・希釈する方法により次亜塩素酸水溶液を製造する方法が開示されている。この製造方法では、次亜塩素酸ナトリウムが使用されるため、製造過程において超純水が用いられるにも関わらず、製造された次亜塩素酸水溶液には金属イオンであるナトリウムイオンが多く含まれ、保存安定性に影響を与える場合がある。
これに対して、次亜塩素酸ナトリウム水溶液からなる原料水溶液と、イオン交換樹脂とを混合して、ナトリウムイオンと水素イオンとのイオン交換を行うことによって次亜塩素酸を生成する製造方法において、原料水溶液と弱酸性イオン交換樹脂との量比を所定の範囲にするとともに混合時間を一定以下とすることによって、有効塩素濃度に対するナトリウムイオンの濃度を一定の敷居値以下とする製造方法が開示されている(特許文献3)。この製造方法によれば、50℃で保管した場合における次亜塩素酸の有効塩素濃度は、30日経過時点で80%程度に保たれている。
特許第6230079号公報 特開2013-39553号公報 特許第6811967号公報
"Hypochlorous Acid Decomposition in the pH 5-8 Region", Inorg.Chem.1992,31,3534-3541.
ところで、近年、感染症への対策の一環として除菌や消毒に関連する商品の需要が急増しているとともに殺菌力の向上及び持続性が望まれている。かかる市場ニーズを鑑み、次亜塩素酸においてもより高い保存安定性が求められている。
したがって、本発明の目的は、より保存安定性の高い次亜塩素酸水を提供することにある。
本発明者らは、金属イオン以外に次亜塩素酸水の保存安定性に影響する要因について鋭意検討を行った。その結果、次亜塩素酸水に含まれるケイ素化合物が保存安定性に大きく影響することを見出した。
したがって、金属イオンの含有量を制御することに加えて、ケイ素化合物の含有量をさらに制御することにより、次亜塩素酸水が高い保存安定性を有することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、有効塩素濃度100ppm当たりのナトリウムイオンのイオン濃度が20ppm以下であり、かつ、ケイ素化合物の含有量が、ケイ素換算で20ppb以下であることを特徴とする次亜塩素酸水である。
本発明の次亜塩素酸水は、次亜塩素酸水の保存安定性に影響する要因の1つであるケイ素化合物の含有量を制御することにより、保存安定性が高い特徴を有する。例えば、本発明の次亜塩素酸水を暗所25℃で1年間保存しても、保存後の次亜塩素酸水の有効塩素濃度は保存前の有効塩素濃度の90%以上を保持する。その結果、長期間にわたり、高い殺菌能力を維持することができる。
また、本発明の次亜塩素酸水は、製造後にすぐに使い切る必要がなくなるため、次亜塩素酸水を容器に小分けして保存の上、長期間、家庭内やオフィス等での消毒に必要な量だけ用いることができる。また、災害発生時に用いる消毒剤として次亜塩素酸水を倉庫に保存しておくこともできる。
<ケイ素化合物について>
本発明の一実施の形態に係る次亜塩素酸水は、有効塩素濃度100ppm当たりのナトリウムイオンのイオン濃度が20ppm以下であり、かつ、ケイ素化合物の含有量がケイ素換算で20ppb以下である。ケイ素化合物の含有量の上限を20ppb以下とすることにより、保存安定性が高くなる。中でも、より高い保存安定性を勘案すると、10ppb以下が好ましく、5ppb以下がより好ましい。なお、現実的なコストで製造することが可能とするために、下限を1ppt以上としてもよい。また、ナトリウムイオンのイオン濃度は、10ppm以下としてもよい。より安定性を高くすることができる。
なお、本発明において、次亜塩素酸水中のケイ素化合物の含有量は、ケイ素換算で、アルゴン高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置により測定することができる。
本発明において、前記ケイ素化合物は、二酸化ケイ素、イオン状態の二酸化ケイ素、すなわちケイ酸及びその塩、シリコーンなど公知のケイ素化合物が挙げられる。前記二酸化ケイ素は、特に形態を問わず、石英、シリカなどいずれの形態も該当し、表面処理されている二酸化ケイ素も含む。
前記ケイ素化合物が次亜塩素酸水の保存安定性に影響を与える作用機構は定かではないが、ケイ素化合物のケイ素原子が、次亜塩素酸を分解する活性点としてはたらき、次亜塩素酸の分解が促進されることにより、次亜塩素酸水の保存安定性が低下するものと推定している。
また、前記二酸化ケイ素の含有量は、以下の方法により算出することができる。
まず、JIS K 0101 44.1.3に記載のモリブデン青抽出吸光光度法を用い、イオン状のシリカであるケイ酸及びその塩の含有量(A)を算出する。続いて、JIS K 0101 44.2に記載のモリブデン青吸光光度法を用い、非イオン状である二酸化ケイ素をイオン化し、イオン化したシリカの含有量(B)を算出する。この際、含有量(B)には、イオン状のシリカであるケイ酸及びその塩の含有量(A)も含まれる。したがって、含有量(B)と含有量(A)との差として、非イオン状である二酸化ケイ素の含有量が算出できる。
本発明の次亜塩素酸水は、前記二酸化ケイ素が、次亜塩素酸水中、固体状態で存在している場合、比表面積が0.1m/g以上、平均粒子径が100μm以下の二酸化ケイ素を極力含まないことが好ましい。前記した比表面積、平均粒径の二酸化ケイ素を含む場合、次亜塩素酸を分解する活性点である二酸化ケイ素の表面上のケイ素原子が多くなり、次亜塩素酸分子が急激に分解され、次亜塩素酸水の保存安定性が著しく低下するため好ましくない。
なお、二酸化ケイ素の比表面積は、窒素吸着法により測定することができる。また、二酸化ケイ素の平均粒子径は、体積基準でのメジアン径(Dv50)を用いる。Dv50は、レーザ回折式粒度分布測定装置による測定や電子顕微鏡での観察により求めることができる。
本発明の次亜塩素酸水の製造方法は、本発明で規定するケイ素化合物の含有量となる方法であれば、特に限定されず公知の方法を採用すればよい。例えば、次亜塩素酸塩水溶液を陽イオン交換樹脂により陽イオン交換させる方法、食塩水や希塩酸を電気分解する方法、次亜塩素酸塩水溶液に希塩酸を添加する方法、等より次亜塩素酸水を得ることができる。
また、本発明で規定するケイ素化合物の含有量となる次亜塩素酸水とするため、使用する水、食塩、次亜塩素酸塩、希塩酸などの次亜塩素酸水の原料について、これら原料に含まれるケイ素化合物の含有量の合計が、本発明で規定するケイ素化合物の含有量となるように調整することが好ましい。
中でも、原料の水については、他の原料が不可避的にケイ素化合物を含む場合があるため、ケイ素化合物を含まない超純水またはケイ素化合物の含有量が極めて少ない蒸留水を用いることが好ましい。
また、水以外の食塩、次亜塩素酸塩、希塩酸などの原料については、各原料を超純水もしくは蒸留水に次亜塩素酸水製造時の濃度になるように溶解させた水溶液を、アルゴン高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置により測定し、ケイ素化合物の含有量が合計で、ケイ素換算で1ppt以上20ppb以下に調整した原料を用いることが好ましい。ケイ素化合物の含有量が上記範囲内であれば、食塩、次亜塩素酸塩、希塩酸などの原料は、日本薬局方、食品用、試薬用、工業用のいずれのグレードを用いてもよい。
さらに、次亜塩素酸水の製造の際に使用する反応容器、配管などの製造装置は、ケイ素化合物を含まないものであることが好ましい。例えば、ケイ素化合物を含む金属、ケイ素化合物が表面コートされた金属、あるいは、シリコーンは、反応容器、配管などの製造装置に使用しないことが好ましい。
前記した製造方法で得られた次亜塩素酸水は、どのような容器で保存してもよく、前記容器としては、例えば、プラスチック容器、アルミパウチ容器などが挙げられる。
前記プラスチック容器の場合、材質は特に限定されないが、次亜塩素酸により酸化を受けにくいという観点から、ポリオレフィン、中でもポリエチレンやポリプロピレンが好ましい。さらに、これら容器からのケイ素化合物の混入を防止するため、前記容器は、ケイ素化合物が含まれていないことが好ましい。特に、フィルム状のプラスチック容器の場合、フィルムに添加又は塗工されているアンチブロッキング剤としてケイ素化合物を含んでいないことが好ましい。
また、これら容器は、保存安定性の観点から遮光されていることが好ましい。遮光する方法としては、特に限定されず、公知の方法を採用すればよく、例えば、プラスチック容器の場合であれば、べんがら、チタンホワイトなどの無機顔料を添加する方法、遮光能を有する素材(例えば、アルミ箔等)で容器を覆う方法等が挙げられる。その中でも、プラスチック容器の場合であれば、顔料により次亜塩素酸の分解が促進されないように、次亜塩素酸水と接触する容器内面の材料には極力顔料を含まないことが好ましい。具体的には、次亜塩素酸水と接触する容器内面の材質の顔料の含有量を0.01質量%以下にする、容器を複数の層にして、容器内面の層は顔料を含まず、容器外面の層には無機顔料を含ませる、容器外面を、アルミ箔等を含む遮光フィルム等で覆う、等の方法を採用すればよい。
<亜鉛化合物について>
本発明の他の実施の形態に係る次亜塩素酸水は、有効塩素濃度100ppm当たりのナトリウムイオンのイオン濃度が20ppm以下であり、ケイ素化合物の含有量がケイ素換算で20ppb以下であることに加え、好ましくは、亜鉛および亜鉛化合物の含有量が亜鉛換算で1ppb以下であり、かつ酸化亜鉛および水酸化亜鉛の含有量が、亜鉛換算で0.1ppb以下である。亜鉛及び亜鉛化合物の含有量を1ppb以下とすることで保存安定性がより高くなる。中でも、より高い保存安定性を勘案すると、0.5ppb以下が好ましい。なお、現実的なコストで製造することが可能とするために、下限を1ppt以上としてもよい。また、本発明において、次亜塩素酸水中の亜鉛及び亜鉛化合物の含有量は、亜鉛換算で、アルゴン高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置により測定することができる。
本発明において、前記亜鉛化合物としては、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛などが挙げられるが、中でも酸化亜鉛、水酸化亜鉛が大きく保存安定性に影響するため、酸化亜鉛および水酸化亜鉛の含有量が、亜鉛換算で0.1ppb以下とする必要がある。前記酸化亜鉛および水酸化亜鉛の次亜塩素酸水中の形態は、特に問わない。
また、前記酸化亜鉛および水酸化亜鉛の含有量は、以下の方法により算出することができる。
ガラス容器に、次亜塩素酸水と弱酸性陽イオン交換樹脂(アンバーライトIRC-76(オルガノ株式会社製))とを入れ、ポリテトラフルオロエチレン製フッ素樹脂攪拌羽根にて25℃で30分間攪拌混合し、次亜塩素酸水中の亜鉛イオンを除去する。続いて、弱酸性陽イオン交換樹脂が沈降するまで静置し、デカンテーションにより上澄み液である次亜塩素酸水を、弱酸性陽イオン交換樹脂が入り込まないようにポリプロピレン製の#200の濾布を通して回収する。得られた上澄み液である次亜塩素酸水に塩化アンモニウムとアンモニア水の混合液を加え、次亜塩素酸水中の酸化亜鉛および水酸化亜鉛を溶解させ、溶解した酸化亜鉛および水酸化亜鉛の量をポーラログラフ法により算出する。
本発明の次亜塩素酸水の製造方法は、本発明で規定する亜鉛および亜鉛化合物、または酸化亜鉛および水酸化亜鉛の含有量となる方法であれば、特に限定されず公知の方法を採用すればよい。例えば、次亜塩素酸塩水溶液を陽イオン交換樹脂により陽イオン交換させる方法、次亜塩素酸塩水溶液に希塩酸を添加する方法、等より次亜塩素酸水を得ることができる。
なお、上記以外の方法である食塩水や希塩酸を電気分解する方法では、製造に必要な電極から亜鉛及び亜鉛化合物が溶出する場合は、次亜塩素酸水中に含まれる亜鉛及び亜鉛化合物の含有量が1ppbを超える可能性があるため、前記電極からの溶出の防止あるいは、別途亜鉛及び亜鉛化合物を除く操作が必要となる場合がある。
また、本発明で規定する亜鉛および亜鉛化合物の含有量、酸化亜鉛および水酸化亜鉛の含有量である次亜塩素酸水とするためには、使用する水、次亜塩素酸塩、希塩酸などの次亜塩素酸水の原料に含まれる亜鉛、亜鉛化合物の含有量の合計が、本発明で規定する亜鉛および亜鉛化合物の含有量とし、かつ、本発明で規定する酸化亜鉛および水酸化亜鉛の含有量となるように調整することが好ましい。
中でも原料の水は、他の原料が不可避的に亜鉛および亜鉛化合物を含む場合があるため、亜鉛、亜鉛化合物を含まない超純水、または亜鉛および亜鉛化合物の含有量が極めて少ない蒸留水を用いることが好ましい。
また、水以外の次亜塩素酸塩、希塩酸などの原料は、該原料を超純水もしくは蒸留水に次亜塩素酸水製造時の濃度になるように溶解させた水溶液で、アルゴン高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置により亜鉛および亜鉛化合物の含有量を測定し、亜鉛および亜鉛化合物の含有量が、亜鉛換算で1ppt以上1ppb以下となるように調整した原料を用いることが好ましい。次亜塩素酸塩、希塩酸などの原料は、亜鉛および亜鉛化合物の含有量と、酸化亜鉛および水酸化亜鉛の含有量が上記範囲内に調整できれば、日本薬局方、食品用、試薬用、工業用のいずれのグレードを用いてもよい。
さらに、次亜塩素酸水の製造の際に使用する反応容器、配管などの製造装置は、亜鉛、亜鉛化合物を含まないものであることが好ましい。例えば、亜鉛、亜鉛化合物を含む金属、および亜鉛メッキされた金属は、反応容器、配管などの製造装置に使用しないことが好ましい。
前記した製造方法で得られた次亜塩素酸水は、どのような容器で保存してもよく、前記容器としては、例えば、プラスチック容器、アルミパウチ容器などが挙げられる。
前記プラスチック容器の場合、材質は特に限定されないが、次亜塩素酸により酸化を受けにくいという観点から、ポリオレフィン、中でもポリエチレンやポリプロピレンが好ましい。さらに、これら容器からの亜鉛および亜鉛化合物の混入を防止するため、前記容器は、亜鉛および亜鉛化合物が含まれていないことが好ましい。
また、これら容器は、保存安定性の観点から遮光されていることが好ましい。遮光する方法としては、特に限定されず、公知の方法を採用すればよく、例えば、プラスチック容器の場合であれば、べんがら、チタンホワイトなどの顔料を添加する方法、遮光能を有する素材(例えば、アルミ箔等)で容器を覆う方法等が挙げられる。
その中でも、プラスチック容器の場合であれば、顔料により次亜塩素酸の分解が促進されないように、次亜塩素酸水と接触する容器内面の材料には極力顔料を含まないことが好ましい。具体的には、次亜塩素酸水と接触する容器内面の材質の顔料の含有量を0.01質量%以下にする、容器を複数の層にして、容器内面の層は顔料を含まず、容器外面の層には顔料を含ませる、容器外面を、アルミ箔等を含む遮光フィルム等で覆う、等方法を採用すればよい。
上述の本発明の一実施の形態に係る次亜塩素酸水は、次亜塩素酸水の保存安定性に影響する要因の1つである亜鉛および亜鉛化合物、とりわけ酸化亜鉛および水酸化亜鉛の含有量を特定の濃度以下に抑制することにより、保存安定性が高い特長を有する。その結果、長期間にわたり、次亜塩素酸が保持されるため、高い殺菌能力を維持することができる。
その作用機構は定かではないが以下のように推定している。一般に、次亜塩素酸水のpHが7.0前後の中性域では、次亜塩素酸の不均化反応、すなわち次亜塩素酸の分解が起き易いことが知られている(非特許文献1参照)。本発明者等が検討した結果、酸化亜鉛および水酸化亜鉛を含む次亜塩素酸水では、前記酸化亜鉛の一部が水と反応(ZnO+HO→Zn(OH))して水酸化亜鉛となり、この水酸化亜鉛および前記水酸化亜鉛が次亜塩素酸の不均化反応(2HClO→2HCl+O)により生成した塩化水素と反応(Zn(OH)+2HCl→ZnCl+2HO)して水素イオンを奪い、そのため次亜塩素酸水中の水素イオン濃度が低下して、次亜塩素酸水のpHが7.0前後の中性域となることで保存安定性が極めて低くなると推定している。その結果、次亜塩素酸水中に酸化亜鉛および水酸化亜鉛が存在していると、次亜塩素酸水中のpHが7.0前後の中性域となり、次亜塩素酸の分解が促進され、保存安定性が低下するものと推定している。
本発明の次亜塩素酸水のpHは、6.5以下であることが好ましい。
<有効塩素濃度について>
次亜塩素酸の有効塩素濃度は、特に制限されるものではないが、販売、保管、使用される濃度を想定し、例えば、50ppm以上1000ppm以下としてよい。中でも特に使用される濃度を想定する場合、次亜塩素酸の有効塩素濃度は、50ppm以上250ppm以下であることが好ましく、70ppm以上150ppm以下であることがより好ましい。
以下、本発明の次亜塩素酸水について実施例及び比較例を用いて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、用いた原料および測定方法は以下のとおりである。
[ケイ素化合物測定方法]
いずれもアルゴン高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(iCAP 6000 Series(Thermo Scientific社製))で測定した。
[亜鉛および亜鉛化合物測定方法]
いずれもアルゴン高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(iCAP 6000 Series(Thermo Scientific社製))で測定した。
[酸化亜鉛および水酸化亜鉛測定方法]
前記に従い、ポーラログラフ法により測定した。測定装置は、ポーラログラフシステム(P-1100(株式会社ヤナコ機器開発研究所製))を用いた。なお、酸化亜鉛および水酸化亜鉛を溶解させることにより生成した亜鉛イオンの検出下限値は、0.1ppbである、すなわち、本法による次亜塩素酸水中の酸化亜鉛および水酸化亜鉛の含有量の検出下限値は、0.1ppbとなる。
[有効塩素濃度測定方法]
有効塩素濃度測定キットAQ-202P(柴田科学株式会社製)にて室温(25℃±1℃)で測定した。
[pH測定方法]
pHメーターF-55型(株式会社堀場製作所製)にて、室温(25℃±1℃)で測定した。
[水]
超純水:超純水製造装置(Direct-Q UV3(メルク社製))により製造した超純水を使用した。ケイ素換算でのケイ素化合物の含有量を測定した結果、ケイ素化合物は含まれなかった。また、亜鉛換算での亜鉛、亜鉛化合物、酸化亜鉛および水酸化亜鉛の含有量を測定した結果、検出下限値未満、すなわち含有量は、0.1ppb未満であった。
水道水:通常用いられている水道水を使用した。ケイ素換算でのケイ素化合物の含有量を測定した結果、5400ppbであった。また、亜鉛換算での亜鉛および亜鉛化合物の含有量を測定した結果、120ppbであった。亜鉛換算での酸化亜鉛および水酸化亜鉛の含有量を測定した結果、30ppbであった。
イオン交換水:カートリッジ純水器(G-10D(オルガノ社製))により製造したイオン交換水を使用した。ケイ素換算でのケイ素化合物の含有量を測定した結果、630ppbであった。また、亜鉛換算での亜鉛および亜鉛化合物の含有量を測定した結果、2ppbであった。亜鉛換算での酸化亜鉛および水酸化亜鉛の含有量を測定した結果、検出下限値未満、すなわち含有量は、0.1ppb未満であった。
[次亜塩素酸ナトリウム水溶液]
有効塩素濃度12.0wt%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(ネオラックススーパー(株式会社島田商店製))を使用した。超純水にて有効塩素濃度10000ppmに希釈した場合、ケイ素換算でのケイ素化合物の含有量を測定した結果、3ppbであった。同様に、超純水にて有効塩素濃度10000ppmに希釈した場合、亜鉛換算での亜鉛および亜鉛化合物の含有量を測定した結果、0.4ppbであった。亜鉛換算での酸化亜鉛および水酸化亜鉛の含有量を測定した結果、検出下限値未満、すなわち含有量は、0.1ppb未満であった。
(実施例1)
実施例1では、以下の原料を使用し、陽イオン交換法により次亜塩素酸水を製造した。
ポリエチレン製容器に、次亜塩素酸ナトリウム水溶液100mLを入れ、超純水を加えて有効塩素濃度10000ppmになるように希釈した。続いて、弱酸性陽イオン交換樹脂(アンバーライトIRC-76(オルガノ株式会社製))100mLを投入し、テトラフルオロエチレン製フッ素樹脂攪拌羽根にて25℃で弱酸性陽イオン交換樹脂が均一に分散するように攪拌して混合を行った。30分攪拌後、弱酸性陽イオン交換樹脂が沈降するまで静置し、デカンテーションにより上澄み液である次亜塩素酸水を、弱酸性陽イオン交換樹脂が入り込まないようにポリプロピレン製の#200の濾布を通して、次亜塩素酸水を製造した。製造した次亜塩素酸水について、ケイ素換算でのケイ素化合物の含有量を測定した結果、3ppbであった。また、亜鉛換算での亜鉛および亜鉛化合物の含有量を測定した結果、0.2ppbであった。亜鉛換算での酸化亜鉛および水酸化亜鉛の含有量を測定した結果、検出下限値未満、すなわち含有量は、0.1ppb未満であった。pHは、4.5であった。
(比較例1、2)
超純水のかわりに水道水を使用した以外は、実施例1と同じ原料、同じ製法にて次亜塩素酸水を製造した。製造した次亜塩素酸水について、ケイ素換算でのケイ素化合物の含有量を測定した結果、4800ppbであった。また、亜鉛換算での亜鉛および亜鉛化合物の含有量を測定した結果、105ppbであった。亜鉛換算での酸化亜鉛および水酸化亜鉛の含有量を測定した結果、30ppbであった。pHは7.3であった。
(比較例4)
比較例4では、以下の原料を使用し、塩酸法により次亜塩素酸水を製造した。
ポリエチレン製容器に、次亜塩素酸ナトリウム水溶液100mLを入れ、超純水を加えて有効塩素濃度10000ppmになるように希釈した。続いて、1mol/L塩酸60mLを投入し、テトラフルオロエチレン製フッ素樹脂攪拌羽根にて25℃で攪拌して次亜塩素酸水を製造した。製造した次亜塩素酸水について、ケイ素換算でのケイ素化合物の含有量を測定した結果、3ppbであった。また、亜鉛換算での亜鉛および亜鉛化合物の含有量を測定した結果、0.2ppbであった。亜鉛換算での酸化亜鉛および水酸化亜鉛の含有量を測定した結果、検出下限値未満、すなわち含有量は、0.1ppb未満であった。pHは、6.0であった。
(比較例5)
超純水のかわりにイオン電導率が3(mS/m)以下のイオン交換水を使用した以外は、実施例1と同じ原料、同じ製法にて次亜塩素酸水を製造した。製造した次亜塩素酸水について、ケイ素換算でのケイ素化合物の含有量を測定した結果、630ppbであった。また、亜鉛換算での亜鉛および亜鉛化合物の含有量を測定した結果、2ppbであった。亜鉛換算での酸化亜鉛および水酸化亜鉛の含有量を測定した結果、検出下限値未満、すなわち含有量は、0.1ppb未満であった。pHは5.5であった。
製造した次亜塩素酸水について、除菌剤または殺菌剤として販売、保管、使用される有効塩素濃度を想定し、水にてそれぞれ有効塩素濃度100ppmに希釈し、以下の方法で、保存安定性を確認した。実施例1、比較例1、比較例3、比較例4では、希釈に超純水を用い、比較例2では家庭やオフィスでの使用を想定して希釈に水道水(ケイ素換算でのケイ素化合物の含有量5400ppb)を用い、比較例5ではイオン電導率が3(mS/m)以下のイオン交換水を用いた。
実施例1の次亜塩素酸水の希釈液は、ナトリウムイオンのイオン濃度は5ppm、ケイ素換算でのケイ素化合物の含有量は0.03ppb、亜鉛換算での亜鉛および亜鉛化合物の含有量は0.1ppb未満(計算値で約0.002ppb)、亜鉛換算での酸化亜鉛および水酸化亜鉛の含有量は0.1ppb未満(計算値で0.001ppb未満)であった。
比較例1の次亜塩素酸水の希釈液は、ナトリウムイオンのイオン濃度は5ppm、ケイ素換算でのケイ素化合物の含有量は48ppb、亜鉛換算での亜鉛および亜鉛化合物の含有量は120ppb、亜鉛換算での酸化亜鉛および水酸化亜鉛の含有量は30ppbであった。
比較例2の次亜塩素酸水の希釈液は、ナトリウムイオンのイオン濃度は5ppm、ケイ素換算でのケイ素化合物の含有量は5400ppb、亜鉛換算での亜鉛および亜鉛化合物の含有量は120ppb、亜鉛換算での酸化亜鉛および水酸化亜鉛の含有量は30ppbであった。
(比較例3)
超純水にて有効塩素濃度100ppmに希釈した実施例1の次亜塩素酸水100gに、ケイ素化合物(二酸化ケイ素、レオロシールQS-102(比表面積100m/g、平均粒子径(Dv50)1μm、株式会社トクヤマ製))を0.1g添加した以外は、実施例1と同じ操作を行ない、保存安定性を確認した。ナトリウムイオンのイオン濃度は5ppm、ケイ素換算でのケイ素化合物の含有量は470000ppb、亜鉛換算での亜鉛および亜鉛化合物の含有量は0.1ppb未満(計算値で約0.002ppb)、亜鉛換算での酸化亜鉛および水酸化亜鉛の含有量は0.1ppb未満(計算値で0.001ppb未満)であった。
比較例4の次亜塩素酸水の希釈液は、ナトリウムイオンのイオン濃度は100ppm、ケイ素換算でのケイ素化合物の含有量は0.03ppb、亜鉛換算での亜鉛および亜鉛化合物の含有量は0.1ppb未満(計算値で約0.002ppb)、亜鉛換算での酸化亜鉛および水酸化亜鉛の含有量は0.1ppb未満(計算値で0.001ppb未満)であった。
比較例5の次亜塩素酸水の希釈液は、ナトリウムイオンのイオン濃度は5ppm、ケイ素換算でのケイ素化合物の含有量は630ppb、亜鉛換算での亜鉛および亜鉛化合物の含有量は2ppb、亜鉛換算での酸化亜鉛および水酸化亜鉛の含有量は0.1ppb未満であった。
水にて有効塩素濃度100ppmに希釈した次亜塩素酸水100gをポリエチレン容器に入れて、ポリエチレン容器内で保存した。なお、このポリエチレン容器は、二層からなっており、容器外面にはチタンホワイトを含み遮光性を有するが、容器内面には顔料など次亜塩素酸の分解を促進する成分を含まないものを用いた。
また、保存安定性の差を明らかにするために、次亜塩素酸が分解しやすい50℃の状態にて30日保存し、30日保存後の次亜塩素酸水の有効塩素濃度を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0007164767000001
表1からの結果からわかるとおり、実施例1の次亜塩素酸水は、50℃、30日保管後においても、96ppm以上と高い有効塩素濃度を保持しており、保存安定性が高いことが分かった。
比較例1の次亜塩素酸水は、有効塩素濃度が80ppmまで低下し、保存安定性が低いことが分かった。この結果は、次亜塩素酸水中にケイ素化合物が多く含まれていると、次亜塩素酸の分解が促進されるものと推定される。
比較例2の次亜塩素酸水は67ppmまでより有効塩素濃度が低下した。次亜塩素酸水中にケイ素化合物が更に多く含まれているため、次亜塩素酸の分解がより促進されるものと推定される。
比較例3では、二酸化ケイ素が含まれていることにより、有効塩素濃度が22ppmと保存安定性が大幅に低下した。この結果は、含まれている二酸化ケイ素表面のケイ素原子が、次亜塩素酸分解の活性点としてはたらいたためと推定している。とりわけ、含まれている二酸化ケイ素の比表面積が100m/g、平均粒子径が1μmであるため、二酸化ケイ素表面のケイ素原子、すなわち次亜塩素酸分解の活性点が多く、急激に次亜塩素酸の分解が起こったと推定している。以上より、ケイ素化合物の中でもとりわけ二酸化ケイ素が保存安定性に大きく影響することが分かった。
比較例4の次亜塩素酸水は、有効塩素濃度が72ppmまで低下し、保存安定性が低いことが分かった。この結果は、次亜塩素酸水中にケイ素化合物や亜鉛化合物等が含まれていなくても、ナトリウムイオンが多く含まれていると次亜塩素酸の分解が促進されるものと推定される。
比較例5の次亜塩素酸水は、有効塩素濃度が87ppmまで低下し、保存安定性が低いことが分かった。この結果は、次亜塩素酸水中にケイ素化合物が多く含まれていると、次亜塩素酸の分解が促進されるものと推定される。

Claims (2)

  1. 有効塩素濃度100ppm当たりのナトリウムイオンのイオン濃度が20ppm以下であり、かつ、ケイ素化合物の含有量がケイ素換算で20ppb以下であることを特徴とする次亜塩素酸水。
  2. 亜鉛および亜鉛化合物の含有量が、亜鉛換算で1ppb以下であり、かつ、酸化亜鉛および水酸化亜鉛の含有量が、亜鉛換算で0.1ppb以下である請求項1に記載の次亜塩素酸水。


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