JP2016120474A - 塩素徐放具およびそれを用いた弱酸性次亜塩素酸水を製造する方法、並びに簡易消臭・除菌装置 - Google Patents

塩素徐放具およびそれを用いた弱酸性次亜塩素酸水を製造する方法、並びに簡易消臭・除菌装置 Download PDF

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Abstract

【課題】水環境下でも使用できること、簡単な構成で製造が容易であること、塩素を継続的に放出することができ、しかも塩素を吸収した水溶液はある程度の塩素濃度を維持しつつ、pHを弱酸性から中性付近に保つことができるような塩素徐放具を提供すること。
【解決手段】少なくとも一部がガス透過性を有し、かつ全体が水を通さない素材で構成された容器に塩素系殺菌剤を収容する用具と、少なくとも一部が通水性を有する素材で構成された容器に水難溶性無機カルシウム塩を収容する用具とを組み合わせて、水環境下で使用されることを特徴とする塩素徐放具。
【選択図】図2

Description

本発明は、安全性が高く、殺菌効果及びその持続性に優れた塩素徐放具に関するものであり、該塩素徐放具を用いて次亜塩素酸水を製造する方法並びに、該塩素徐放具を用いた簡易消臭・除菌装置に係るものでもある。
塩素系殺菌剤は低濃度でも極めて有効な水系用殺菌剤として公知である。例えば、飲料水、プール、冷却水、工業用水、下水など広範な殺菌消毒に用いられており、次亜塩素酸水、亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウムなどは食品添加物として指定されているので、食品に付着して完全には洗い流すことができない微生物などを除去する目的で使用されている。
最近は塩素化合物の水溶液を電気分解することにより次亜塩素酸水を製造し、消毒、殺菌剤として、また消臭剤として用いる方法が広く使われるようになった。この場合消毒や消臭用途の次亜塩素酸水のpHは3乃至6.5程度が、殺菌効果、安全性や腐食性の点で好ましいとされている。このため電気分解法によって生成する次亜塩素酸水のpHを調整する方法が提案されている(特許文献1、2)。しかしこれらの方法は複雑な装置を必要とし、家庭などで使用するには適当でない。
一方次亜塩素酸ナトリウム水溶液を塩酸等で中和し、pHを調整した次亜塩素酸水を製造する方法(特許文献3〜6)や炭酸ガスを吹き込んでpHを調整する方法(特許文献7)が行われている。しかしこれらの方法は安定して均一な次亜塩素酸水を製造するには複雑な操作が必要となる。また次亜塩素酸水を使用した後には、当然新たに液を調製しなければならない。
また家庭用に使用できる装置として、電極を内蔵した小型噴霧器に塩素化合物の溶液を入れ、使用時に電気分解により生成した次亜塩素酸水を噴霧する方法が提案されている(特許文献8〜10)。この方法は塩素化合物の液を必要とする他、次亜塩素酸水のpHを調整するため水溶性の有機アルカリを添加する必要がある。
さらに酸放出剤および希釈剤を含有する疎水性材料およびクロライトアニオンを含有する親水性材料から成り、親水性材料は、酸放出剤が加水分解されると二酸化塩素を放出する複合材料(特許文献11)や、同じく二酸化塩素を放出するもの(特許文献12)などがあるが、いずれも製造工程が複雑であることが課題である。
活性ハロゲンを遊離する固形ハロゲン剤又はその固形ハロゲン剤を含有する組成物を、通水性はないが透湿性のある素材で構成されている排水口用殺菌清浄剤(特許文献13)や、本発明者らの、少なくとも一部にガス透過性を有するフィルムから構成される容器に、塩化カルシウムなどの塩類とさらし粉とを共存させて収容する用具(特許文献14)が提案されている。これらの用具によって水中への継続的な塩素の徐放による次亜塩素酸水の連続した調製が可能となっている。しかし、徐放された塩素を吸収した水溶液のpHまでも考慮したものではない。
特開2012−196643号公報 特開2013−71103号公報 特開2011−229833号公報 特開2009−29792号公報 特開2008−229555号公報 特開2006−264996号公報 特開2006−320899号公報 特開2004−129954号公報 特開2004−148109号公報 特開2004−130265号公報 特表平10−504841号公報 特表平10−504844号公報 特開平10−212209号公報 特開2006−167714号公報
本発明は上記従来技術の問題に鑑みてなされたもので、家庭などで水道水などの水から、簡単に、pHが弱酸性から中性付近に保たれた次亜塩素酸水を調製できるような塩素徐放具を提供することを目的とする。また前記塩素徐放具を構成要素とすることにより、水道水などの水を補給するだけで長期間使用可能な簡易な消臭・除菌装置を提案することである。さらに水貯留部の微生物による汚染を防止することをも目的とするものである。
前記課題を解決するために、本発明の塩素徐放具は、少なくとも一部がガス透過性を有し、かつ全体が水を通さない素材で構成された容器に塩素系殺菌剤を収容する用具と、少なくとも一部が通水性を有する素材で構成された容器に水難溶性無機カルシウム塩を収容する用具とを、組み合わせて水環境下で使用されることを特徴とする。
前記「ガス透過性」とは酸素、塩素などのいわゆる気体の他に、水などが揮発した蒸気は透過することを意味している。要するに液体は透過せず、気体は透過する性質を有しており従来技術で多用されている不織布などのように、表面撥水性によって常圧での水は通過しないが、圧力差によっては容易に液体が透過するような孔径が大きなものは除かれる。従って、「水を通さない素材」とは、常温、常圧の水の他に、0.5気圧程度に加圧された状態であっても水を通さないレベルの素材である。
前記「通水性」とは、液体状態の水を通すことを意味し、前記不織布などもその例である。通水性の素材で構成された容器内には、水に難溶の無機カルシウム塩が収容されているので、容器を使用しなくてもそのままを錠剤等の状態で水中に存置させることも可能である。また炭酸カルシウムとして、石灰石を用いる場合もそのまま水中に存置させることが可能である。ただし、錠剤から剥離した細かな無機カルシウム塩が水中に遊離した状態よりも、通水性の容器内に留め置いて隔離しておく方が好ましいこと、取り替えや水の交換時などの操作が容易であることから、容器内に収容することが望ましい。
また、前記「水環境下」とは、水中で使用する場合の他に、塩素系殺菌剤を収容する用具については水の直近ではあるが直接接触しない場所に設置する場合も含む。それに対して水難溶性無機カルシウム塩を収容する用具は、通水性の素材を使用していることから理解できるように、水中で使用することを想定している。
本発明では塩素系殺菌剤が分解して発生する塩素ガスが、用具内から周囲環境に放出されることにより飲料用の水の無菌性を維持したり、放出濃度を高く設定して殺菌・消毒用の液剤を調製することができる。しかも、塩素を溶解した水が酸性になっても、その際には水難溶性無機カルシウム塩が水に溶け出し、酸性に傾いたpHが中和されて、弱酸性から中性の水溶液を得ることができるのである。
前記塩素系殺菌剤は、塩素化イソシアヌル酸であることが好ましい。塩素化イソシアヌル酸は、化学的に安定な固体の化合物であって、その取り扱いが容易であり、液体の水と接触させなければ、急激な加水分解を起こすこともなく、塩素を徐放する点で優れているからである。
前記塩素化イソシアヌル酸が、トリクロルイソシアヌル酸及び/又はジクロルイソシアヌル酸であることが好ましい。これらは水蒸気と反応して塩素を放出する効率が優れているからである。また、これらは使用事例が多く、工業的に安定供給されているからである。また、使用目的に合わせて、粉状、顆粒状、錠剤等の多種の剤形で提供されているからでもある。
前記水難溶性無機カルシウム塩が、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、フッ化カルシウム、珪酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらは水に難溶性で生成した次亜塩素酸水を中和するのに必要なだけ反応、溶出するので長期の持続性がある。
また前記組み合わせの塩素徐放具を適当な容器内で水と共存させれば、弱酸性次亜塩素酸水を得ることができる。特に塩素系殺菌剤を収容する用具は不通水性の容器を使用しているので、水中に浸漬しても水と接触する気体の環境下に存置しても同じことである。従って、前記「共存」とは、水中に浸漬するだけでなく、用具から放出される気体の塩素が水と接触し得る状態であれば良いことを意味する。
さらに本発明の別の態様において、前記組み合わせの塩素徐放具と、該塩素徐放具と共に水を収容する容器と、該容器開口部から上方付勢状態で上下動可能に起立されたノズルと、該ノズルの上下動に連係して作動するポンプ機構を有し、ノズルの基端側にその径方向外側を向けて延設された押下げ部を指で押下げることにより、前記ポンプ機構の作用で容器内の塩素を含む内溶液がノズルの先端から噴出される簡易的な消臭・除菌装置を提供する。使用者の利便性を考慮したものである。
また本発明の他の態様において、前記組み合わせの塩素徐放具と、前記塩素徐放具と共に水を収容する容器本体と、容器本体の口頚部に嵌合される装着筒と、該装着筒から起立された垂直筒と、該垂直筒の上端部から前方へ突出された射出筒と、前記垂直筒の中間部から前方へ突出されたシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌合され、前方に付勢されているプランジャと、その上部後面が該プランジャの前端部に係合し、前記射出筒の前部に揺動可能に取り付けられたトリガーと、前記射出筒の前端部に取り付けられたノズル嵌合筒と、ノズル孔が形成され、前記ノズル嵌合筒の外面に回動可能に取り付けられノズルの所定位置では霧状の噴霧が、別の所定位置ではストレートな液流が、それぞれ切り替え可能なノズルヘッドとよりなり、トリガーを後方に引くことによって、容器本体に貯蔵された塩素を含む内溶液が吸い上げられ、前記ノズル孔を通して噴出されるトリガー式消臭・除菌装置を提供する。広範な領域を消毒するには噴霧できる方が使い易いからである。
本発明の消臭・除菌装置は、市販のポンプ容器や噴霧器と本発明の塩素徐放具とを組み合わせることで容易に構成することができ、内溶液として水道水などを使用後に追加補充すれば、極めて長期に渡って使用することもできる。
さらに、本発明の塩素徐放具は開放環境下で常時水が貯留している部位(例えば、浄水器先端の蛇口やシャワー蛇口など)の微生物汚染を防止することに使用することもできる。
本発明の塩素徐放具は簡単な構成であるので製造が容易であり、また水道水などの水から簡単に弱酸性次亜塩素酸水を調製できるので、多くの物品や環境を安全に消毒し、消臭することが出来る。さらに塩素剤として塩素化イソシアヌル酸などの有機塩素剤を用いても、徐放具から放出されるのは塩素ガスのみであるから生成する次亜塩素酸水は元の塩素剤を含むことはなく安全性が高い。
また本発明の弱酸性次亜塩素酸水を製造する方法は、前記塩素徐放具を適当な容器に水と一緒に保存するだけの極めてシンプル工程なので、一般家庭において容易に取り扱うことが出来る。そして前記容器としてポンプ容器や噴霧器を使用すれば、水道水を補給するだけで長期間消臭や消毒の用途に使用することが出来るので、便利且つ経済的であり、広範な用途に応用することが出来る。
図1は、本発明の塩素徐放具をフィンガースプレー容器に保持した例を示す図である。 図2は、本発明の塩素徐放具をトリガー式スプレー容器に保持した例を示す図である。 図3は、本発明の塩素徐放具をポンプ容器に保持した例を示す図である。 図4は、本発明の塩素徐放具をスクイズ式ボトルに保持した例を示す図である。 図5は、本発明の塩素徐放具をシャワー蛇口に保持した例を示す図である。
本発明は、水環境に対して気体状態の塩素を継続的に供給する用具(以下、「塩素源収容具」とも言う)と、周囲の水環境を弱酸性から中性付近に保つ用具(以下、「中和剤収容具」とも言う)とを組み合わせたことを特徴とする塩素徐放具に関するものである。以下に各機能を有する用具についてそれぞれ説明する。
本発明の塩素源収容具を構成する容器の素材は、全体が水を通さない性質(不通水性)を有する。常温、常圧の水だけでなく、0.5気圧程度の圧力差をかけても水を通さない程度の不通水性を有する素材である。例えば、表面撥水性によって常圧での水は通過しないが、加圧されると、孔径が大きいことから水を通すようになる不織布などの素材は含まない。このような素材の場合、水蒸気として透過する水の量が多く、塩素系殺菌剤の加水分解を加速して過剰に塩素を放出するとともに、長期的な塩素放出が実現し難くなるからである。また、全く水蒸気を通さない場合には加水分解反応が起きないので、水蒸気透過性を有することは必要である。これにより本発明の塩素源収容具内の環境は適当な湿度となり、塩素系殺菌剤は塩素を放出するが、ある程度安定な状態を維持しているのである。
前記塩素源収容具は、その一部にガス透過性を有しているので基本的に内圧が上がり過ぎることがない。すなわち塩素系殺菌剤は密閉容器に収容されている訳ではないので、分解により発生する塩素は前記ガス透過性の部分から徐々に外側の環境に放出されることになる。密閉空間であれば該空間内の圧力や塩素濃度が一定値に達すると、塩素系殺菌剤の分解が停止するという平衡関係が成立して塩素が生成しなくなるが、本発明の塩素源収容具からは継続的に塩素が徐放される。そして外側環境が密閉空間であれば、外側環境との平衡により塩素濃度が一定に維持されることになるのである。
本発明のガス透過性を有する素材としては、ガス透過性無孔フィルムおよび特殊な有孔フィルムを用いることが出来る。ガス透過性を有する無孔フィルムとしては、市販されているガス透過性のあるプラスチックフィルムを用いればよい。ガス透過性の特に高いフィルムを用いる必要はなく、いわゆるガスバリヤー性フィルム以外のフィルムであればよい。例えばOPP(二軸延伸ポリプロピレンフィルム)、CPP(Tダイキャスト法で作られた無延伸ポリプロピレンフィルム)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレンフィルム)、高密度ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリメチルペンテンー1フィルム、ポリエチレン・ポリエチレンテレフタレートラミネートフィルム、ポリメチルペンテンー1・ポリエチレンラミネートフィルム等が用いられる。一方、MXDナイロンフィルム、ポリ塩化ビニリデン系フィルムおよびポリアクリロニトリル系フィルムのようなガスバリヤー性フィルムは塩素を実質的に透過しないため用いることは出来ない。
前記ガス透過性無孔フィルムおよび特殊な有孔フィルムは実質的に不通水性でもあるため、容器全体にこの素材を使用すれば塩素源収容具を構成することができる。前記例示の中でも、特に好ましいのはOPPフィルム、CPPフィルム、LLDPEフィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合フィルム等である。これらは、ガス透過性の一指標であるCO透過率で示すと、1〜200[g/m・24h・1atm](20℃、乾燥時)程度である。但し、前記CO透過率は必ずしも塩素ガスの透過性と比例するものではなく、フィルムと塩素ガスとの親和性も考慮しなければならないので、あくまで目安である点に留意する。前記各フィルムは、広範な用途を有するので、非常に安価かつ安定的に入手できるというメリットを有する。
本発明で用いるガス透過性の素材の厚さは5〜500μm程度が望ましい。同量の塩素系殺菌剤を使用しても、厚みを薄くすれば塩素徐放量を多くすることができる。なお、厚すぎると初期に次亜塩素酸水生成に時間がかかることになる。例えば、袋形態で用いる場合は10〜100μmが好ましい。
従来の多孔質フィルムの中には、孔径0.01〜3μm程度の無数の孔の開いた膜(例えばジャパンゴアテックス(株)製のゴアテックス(登録商標)、三井化学(株)製エスポアール(登録商標)など)が市販されている例がある。このような多孔質フィルムは、水蒸気を透過するが水を通さないので使用可能であり、高い塩素の徐放性を必要とする場合に適している。
ガス透過性で不通水性の素材としては無孔フィルムの他に特殊な不織布も用いることが出来る。このような不織布としてはデュポン社製のタイベックがある。タイベックは極細のポリエチレン繊維が緻密に絡み合ったシートを熱接着したもので、ガス透過性および十分な不通水性を有する。タイベックはポリエチレンなどの無孔フィルムよりガス透過性が高いので、高い塩素の徐放性を必要とする場合は有利に用いられる。たとえば大量の次亜塩素酸水を調整する必要がある場合にはこのような素材を用いると良い。
塩素ガスの放出速度は、塩素剤を収容する用具のガス透過性素材の面積によって変化するので、使用目的により面積を定めることが望ましい。ガス透過性素材の好適な面積は、素材のガス透過性と厚さにより異なる。ガス透過性が高く、厚さが薄いほど面積は小さくてよい。たとえば厚さ40μmのLLDPEフィルムを用いた場合、フィルム面積(cm)と塩素源収容具中の塩素剤(g)の比率(cm/g)は0.5〜30が好ましい。容量100〜500mlのトリガースプレー容器やフィンガースプレー容器を用いるような場合は、比率を1〜8とすることが好ましく、特に好ましくは1.5〜5である。フィルム面積が大き過ぎる場合は、生成する次亜塩素酸水の濃度調節がし難くなることがある。また次亜塩素酸水を大量に調製するような場合は前記比率を5〜30で用いるのが好ましい。塩素濃度が上昇し易いからである。
本発明で使用する塩素系殺菌剤としては、塩素化イソシアヌル酸、さらし粉、高度さらし粉、クロラミンT、クロラミンB、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩などが挙げられる。これらの中でも取り扱いの容易性、継続的な塩素の徐放性など総合的には塩素化イソシアヌル酸が好ましい。
塩素化イソシアヌル酸は固体の化合物であり、水と接触させた場合に加水分解して強力な酸化能を有する活性塩素を放出し、且つ水中における活性塩素の安定性が優れているところから、漂白剤、殺菌剤や消臭剤等の有効成分として広く使用されている。塩素化イソシアヌル酸としてはトリクロルイソシアヌル酸、ジクロルイソシアヌル酸、ジクロルイソシアヌル酸ナトリウム、ジクロルイソシアヌル酸ナトリウムの2水塩およびジクロルイソシアヌル酸カリウムなどが挙げられる。中でも、トリクロルイソシアヌル酸及び/又はジクロルイソシアヌル酸が好ましい。
また、さらし粉、高度さらし粉は単独で使用しても塩素徐放量が十分ではないのでシリカゲル、塩化カルシウム、塩化リチウム、塩化アンモニウム、硫酸カルシウムから選択される一種以上を、さらし粉等の0.01倍〜100倍の重量比で共存させる必要がある。
前記塩素系殺菌剤は、少なくとも一部がガス透過性を有し、かつ全体が水を通さない素材で構成された容器に収容することになるが、その際には固形物であることが好ましい。取り扱い易く、計量が容易だからである。固形物として、粉状、顆粒状、錠剤など適宜選択することができる。粉状、顆粒状の方が初期の塩素発生量を比較的高くすることができ、好ましい。取扱い等を考慮すると顆粒状が最適である。
前記塩素源収容具と組み合わせて使用される中和剤収容具の容器は、少なくとも一部が通水性を有する素材で構成されている。このような素材としてはセルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド等の疎水性繊維、麻、羊毛等の天然繊維などを加工した不織布、ネット状物などである。
不織布としては、通水性が高く、水難溶性無機カルシウム塩が漏れないものであれば何でも良い。例えば、その特性として、(1)目付け量:10〜1,000g/m程度、好ましくは20〜900g/m程度(2)通気度:0.1〜200cm/cm・s程度、好ましくは0.2〜150cm/cm・s程度(3)繊維の平均直径:0.5〜30μm、好ましくは1〜10μm程度(4)布の厚さ:30〜5,000μm程度、好ましくは100〜2,000μm程度である。前記不織布は、繊維を用いて慣用の方法(繊維をウェブ化し、熱圧着や接着剤などで結合する方法、ニードルパンチ法、短繊維を抄紙機により、抄造した後、熱接着する方法など)により製造できる。繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルの複合繊維も好適に用いられる。なお、粒径の大きな石灰石を単品で用いる場合には不織布は不要である。
前記素材を有する容器内には、水難溶性無機カルシウム塩が収容されており、この中和剤収容具を水中に浸漬することにより、水の液性の影響を受けつつ無機カルシウム塩が溶出するのである。前記水難溶性無機カルシウム塩としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、フッ化カルシウム、珪酸カルシウム、ハイドロキシアパタイトなどが挙げられる。これらの内、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムが特に好ましい。これらは、塩素源収容具から放出された塩素を溶解した外部環境の水のpHが酸性に傾くことによって、適宜溶解し弱酸性から中性付近に安定化させる効果が高いからである。なお、適当な炭酸カルシウムとしては、石灰石、貝殻、サンゴの粉砕物が例示でき、リン酸カルシウムとしては、水酸アパタイト、リン酸三カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム2水和物等が例示できる。
本発明は、前記塩素源収容具と中和剤収容具とを組み合わせて水環境下で使用する塩素徐放具であり、両者をセットとして用いる点が特徴である。水難溶性無機カルシウム塩の量は生成する次亜塩素酸のpHを調整するに十分な量があればよい。塩素源収容具中の塩素剤と中和剤収容具中の水難溶性無機カルシウム塩との使用時の比率については重量比で1:0.02〜1:2の範囲で、1:0.2〜1:0.5の範囲がより好ましい。水難溶性無機カルシウム塩の量が少なすぎる場合は使用中に消費されて耐用時間が短くなることがある。
一方、前記範囲よりも水難溶性無機カルシウム塩の比率が多くても特に問題は無い。塩素源収容具からの発生塩素に応じて周囲の水環境に溶解するので、水難溶性無機カルシウム塩が過剰に存在していても実質的に作用しないからである。また、塩素源収容具を追加使用すれば、残留する水難溶性無機カルシウム塩も徐々に溶解していく。従って、前記の重量比率はあくまでセット販売する際の初期比率の目安として提示するものである。
次に、本発明の弱酸性次亜塩素酸水を製造する方法について簡単に説明する。適当な容量を有する保存容器内に家庭で使用する水(水道水、蒸留水、膜ろ過水、イオン交換水など)を入れ、本発明の塩素徐放具(塩素源収容具+中和剤収容具)を、水中には中和剤収容具を、水中もしくは水面と直近の位置には塩素源収容具を、それぞれ配置する。そのまま室温で数時間以上放置すれば、塩素が水中に拡散することにより酸性に傾いたpHを、水難溶性無機カルシウム塩が溶出することによって水を中和し、弱酸性次亜塩素酸水が簡単に製造できる。
このときの水の容積(L)と塩素源収容具中の塩素系殺菌剤の重量(g)の比率(容積:重量)は、製造したい次亜塩素酸水やガス透過性素材の種類によって異なるが、例えばLLDPEフィルムを用い40ppm前後の塩素濃度の物を得たい場合には、100:1〜100:10の範囲、好ましくは100:2〜100:6の範囲である。この比率は塩素系殺菌剤として顆粒剤を使用した場合であり、錠剤の場合は表面積が小さいので多量に必要となる。一方粉末の場合は少量で良い。前記範囲よりも水の量が相対的に多いと、塩素濃度が低下する傾向があり、前記範囲よりも塩素系殺菌剤の量が多くなると、塩素濃度が上がり過ぎる傾向がある。
本発明の製造方法は、必要時に次亜塩素酸水を調製するものではなく、いつでも使用できるように予め次亜塩素酸水を準備しておき、長期間その塩素濃度を維持するというものである。しかし緊急時には、塩素源収容具のみを先に水と接触させ、或いは水温を高くすることにより早期に塩素濃度を高めた後で、中和剤収容具を水に入れるという方法を採用することもできる。
前記製造方法に使用する保存容器の素材としては、ガラスや高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル等の樹脂を用いることができる。これらのうち次亜塩素酸水に対する耐久性を有すると言う意味で、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましい。
また、本発明の塩素徐放具を構成要素として、簡易消臭・除菌装置を得ることができる。本発明の前記装置は、使用時の利便性を考慮して従来公知のスプレー容器や噴霧器を採用することが好ましい。具体的には、図1に示すようなフィンガースプレー容器1であって、塩素徐放具(塩素系殺菌剤を収容する用具2と水難溶性無機カルシウム塩を収容する用具3)と共に水5を収容する容器本体8と、容器本体開口部から上方付勢状態で上下動可能に起立されたノズル6と、ノズルの上下動に連係して作動するポンプ機構(図では明示されていない)を有し、ノズルの基端側にその径方向外側を向けて拡張された押下げ部7を指で押下げることにより、前記ポンプ機構の作用で容器内の塩素を含む内溶液がノズルの先端から噴出されるものである。このような容器は、全体の大きさをコンパクトにすることができ、携帯用に便利である。
また、図2に示すようなピストル型のトリガー式スプレー容器11を使用することもできる。具体的構成としては、塩素徐放具(塩素系殺菌剤を収容する用具12と水難溶性無機カルシウム塩を収容する用具13)と、該塩素徐放具と共に水15を収容する容器本体18と、容器本体の口頚部に嵌合される装着筒14と、該装着筒から起立された垂直筒16と、該垂直筒の上端部から前方へ突出された射出筒17と、前記垂直筒の中間部から前方へ突出されたシリンダ19と、該シリンダ内に摺動可能に嵌合され、前方に付勢されているプランジャ20と、その上部後面が該プランジャの前端部に係合し、前記射出筒の前部に揺動可能に取り付けられたトリガー24と、前記射出筒の前端部に取り付けられたノズル嵌合筒25と、ノズル孔が形成され、前記ノズル嵌合筒の外面に回動可能に取り付けられノズルの所定位置では霧状の噴霧が、別の所定位置ではストレートな液流が、それぞれ切り替え可能なノズルヘッド26とよりなり、トリガーを後方に引くことによって、容器本体に貯蔵された塩素を含む内溶液が吸い上げられ、前記ノズル孔を通して噴出されるものである。ノズルヘッドの回動により噴出する液体の状態を変えられるので、集中的に殺菌したいときはストレートな液流で、広範囲に殺菌したいときには霧状の液を吹き付けることができ、シーンに応じて使い分けができる、
本発明の塩素徐放具は、前記フィンガースプレー容器やトリガー式スプレー容器に限定されることはなく、図3に示すような塩素徐放具(塩素系殺菌剤を収容する用具32と水難溶性無機カルシウム塩を収容する用具33)と、該塩素徐放具と共に水35を収容するポンプ容器31、図4に示すような塩素徐放具(塩素系殺菌剤を収容する用具42と水難溶性無機カルシウム塩を収容する用具43)と、該塩素徐放具と共に水45を収容するスクイズ式ボトル41など、内溶液をユーザーが自由に詰め替えることのできる市販容器を利用して、水と共に保存することにより弱酸性次亜塩素酸水を調製し、消臭・殺菌その他の目的に使用することができるのである。
また本発明の塩素徐放具は、細菌による汚染を防止する必要のある水供給装置のシャワー蛇口等に応用することが出来る。あるいは、蛇口に取り付け可能なアダプターと、シャワーノズルに連通する流路を有するシャワーヘッドであって、前記塩素徐放具が前記流路内に存置され、該流路内の微生物汚染が防止されるようにしたシャワーヘッドのセット品として商品化することも可能である。
たとえば図5のシャワー蛇口51に、シャワーキャップ55を外して塩素系殺菌剤を収容する用具52と、水難溶性無機カルシウム塩を収容する用具53を挿入する。塩素系殺菌剤を収容する用具52と水難溶性無機カルシウム塩を収容する用具53は、熱融着等により互いに接着した形態とすることもできる。シャワーキャップ55を締め、通水すると用具52、53は浮き上がるためシャワーの出方に影響することはない。通水時は塩素徐放具から塩素が放出されても、水量に対する塩素の量は無視できる程度である。
電磁弁57を閉じて通水を止めると、水58は弁から蛇口内に満たされた状態を保持する。ここで塩素徐放具から塩素が放出され、蛇口内は次亜塩素酸水で満たされた状態となる。次亜塩素酸水は水難溶性無機カルシウム塩を収容する用具により自動的に弱酸性を保つよう調整される。通水が止まっているとき、シャワーキャップ55の外側に空気中の微生物が付着すると、微生物はシャワー孔56から内部に侵入し、蛇口内部の水が汚染されるおそれがあり、通水が長時間止まっている場合は特に汚染のおそれが多い。本発明の塩素徐放具が挿入されている場合は生成した次亜塩素酸水により、侵入した微生物は死滅するのでシャワーヘッドは常に消毒された状態に保たれる。次に通水を開始すると次亜塩素酸水が最初に流れるが、次亜塩素酸水のpHは弱酸性に保たれるので金属腐食などの心配もない。
以下に、本発明の塩素徐放具を使用した実施例を示す。
(実施例1)
(実施例1)
サイズ25×55mm、厚さ40μmのポリエチレンフィルムの袋にトリクロルイソシアヌル酸顆粒(南海化学工業(株)製;スタートリクロンPG)6gを入れてヒートシールした(塩素源収容具)。また、ティーバッグ用の袋(スバル社製お茶パックM)に石灰石細粒(近江鉱業(株)製;タンカルLG12、粒径2〜5mm)1gを入れた(中和剤収容具)。両者を容量200mLのポリエチレン製ボトルに収め、水道水200mLを入れて密閉し、20〜30℃の室内に置いた。生成した次亜塩素酸水の塩素濃度およびpHの測定結果を表1に示す。
Figure 2016120474
表1の結果から分かるように、本発明の塩素徐放具は、外部環境の塩素濃度を適度に維持し、pHを弱酸性付近に保つ効果を有する。
(実施例2)
7gのスタートリクロンPGをサイズ60×50mm、厚さ40μmのポリエチレンフィルムの袋に入れヒートシールした(塩素源収容具)。この袋を容量200mLのポリエチレン製ボトルに収めた。またタンカルLG12をティーバッグ用の袋に入れ(中和剤収容具)、上記ボトルに収めた。ボトルに水道水200mLを入れて密栓し、15〜22℃の室内に置いた。7日後にボトル内の液の有効塩素濃度とpHを測定した。測定後液を全量捨てて新たに水道水200mLを入れた。このとき中和剤収容具中のタンカルLG12の量を各初期値に設定した場合の結果を表2に示す。
Figure 2016120474
表2の結果から、タンカルLG12が入っていない系(サンプルNo.1)では、水のpHが酸性に偏り、使用に際して留意する必要があることが分かる。
(試験例1)
前記使用時の留意事項として金属等に対する腐食性が考えられる。そこで、以下の試験を行って検証した。
試験A:ゼムクリップ5個を20mLのサンプルビンにいれ、これに実施例2の3回目の液を入れ、密封して室温で7日間置き、クリップのサビを目視により調べた。
試験B:実施例2の3回目の液に漬けたテイッシュペーパーをシャーレに入れ、この上にゼムクリップ5個を載せて3日間置いた後、目視でサビを調べた。
前記各試験の結果をまとめて表3に示す。表3に示す結果より明らかなように、本発明により得られる次亜塩素酸水は金属製品などに対しても、より安全に使用できる。
Figure 2016120474
(実施例3)
実施例1と同様にして7gのスタートリクロンPGが入ったポリエチレンフィルムの袋を作成した。また粉末状の炭酸カルシウム7g(和光純薬製試薬)を通水性のある不織布の袋に入れ、両者を実施例1と同じ容量のボトルに水道水200mLと共に収めた。実施例1と同様にして7日後の液の塩素濃度とpHを測定し、その結果を表4に示す。予想された結果ではあるが、表4より、タンカルLG12の場合と同様の効果が得られることが分かる。
Figure 2016120474
(実施例4)
10gのスタートリクロンPGをサイズ30×70mm、厚さ40μmのポリエチレンフルムの袋に入れた。また、実施例1と同様に3gのタンカルLG12を入れた袋を作成した。両者を水道水500mLと共に、容量500mLのトリガー式スプレー容器(東静容器(株)製;NWN−500)に入れ、簡易消臭・除菌装置を作成した。この装置内で調製した溶液を毎日約30mL使用し、液が減少した分は5日毎に水道水を補充した。1箇月毎に溶液の塩素濃度とpHを測定した結果を表5に示す。
Figure 2016120474
表5の結果から分かるように、本発明の簡易消臭・除菌装置により、安定した塩素濃度、pHの次亜塩素酸水が得られる。
(実施例5)
6gのスタートリクロンPGをサイズ30×40mm、厚さ60μmのポリエチレンフルムの袋に入れた。また、実施例1と同様に3.3gのタンカルLG12を入れた袋を作成した。両者を水道水200mLと共に、容量200mLのトリガー式スプレー容器((有)新栄化成製;Z305)に入れ、簡易消臭・除菌装置を作成した。この装置内で調製した溶液を毎日約15mL使用し、液が減少した分は5日毎に水道水を補充した。1箇月毎に溶液の塩素濃度とpHを測定した結果を表6に示す。表6の結果から分かるように、本発明の塩素徐放具を容量に応じて組み込んだ簡易消臭・除菌装置を製造することで、安定した塩素濃度、pHの次亜塩素酸水が得られる。
Figure 2016120474
(実施例6)
20gのスタートリクロンPGをサイズ100×130mm、厚さ30μmのポリエチレンフィルムの袋に入れヒートシールした。また、5gのタンカルLG12をティーバッグ用の袋に入れ、両者を容量2Lのポリプロピレン製ボトルに収めた。前記ボトルに水道水2Lを入れて密栓し、20〜25℃の室内に置いた。7日後のボトル内の液の塩素濃度は41ppm、pHは5.9であった。得られた次亜塩素酸水のうち1000mLを実施例5と同様のトリガー式スプレー容器5つに小分けし、消臭・除菌に使用した。また前記2Lボトルには水道水1000mLを補充した。室温にてさらに3日放置すると、塩素濃度40ppm、pH5.9の次亜塩素酸水が得られた。この系では2倍に希釈しても3日もあれば元の塩素濃度に戻ることが分かる。
(実施例7)
落下菌を測定するため、事務室の机上(高さ:700mm)にトリプトソイ寒天平板培地(直径83mm)を30分間開放した。その後、塩素徐放具として図1に示すようなフィンガースプレーを用いて事務室全体を噴霧した後、同様に落下菌測定を行った。使用したフィンガースプレーにはサイズ25mm×厚さ40μmのポリエチレンフィルムの袋にトリクロルイソシアヌル酸顆粒(南海化学工業(株)製:スタートリクロンPG)6gを入れてヒートシールした(塩素源収容具)、及びティーバッグ用の袋に石灰石細粒(近江鉱業(株)製:タンカルLG12、粒径2〜5mm)1gを入れた(中和剤収容具)を入れ、水道水200mLを加えて室温にて4日間保管したものを使用した。
なお、落下菌測定に使用した培地は30℃の恒温器にて48時間培養した後、コロニー数を数えた。その結果、表7に示すように、除菌効果のあることを確認できた。別に洗面所にて同様に塩素徐放具使用前後での落下菌測定を実施した結果、いずれの場所でも除菌効果が認められた。
Figure 2016120474
(実施例8)
5gのスタートリクロンPGをサイズ50×50mm、厚さ40μmのポリエチレンフィルムの袋に入れヒートシールしたものを3個作成し、容量100mLのバイアル瓶3個にそれぞれ収めた。前記バイアル瓶の一つ(サンプルNo.6)には2gのタンカルLG12をティーバッグ用の袋に入れたものを、他の一つ(サンプルNo.7)には2gの粉末状のリン酸三カルシウム(ナカライテスク(株)製)をティーバッグ用の袋に入れたものを、それぞれ収めた。残りの一つ(サンプルNo.8)には中和剤収容具を入れなかった。各バイアル瓶に水道水100mLを入れて密栓し、25〜30℃の室温にて4日間静置した後の内溶液の塩素濃度とpHを表8に示す。表に示すようにリン酸三カルシウムも石灰石同様の効果を有することが分かる。
Figure 2016120474
(実施例9)
容量1Lのポリエチレン製のボトルに、5gのタンカルLG12をティーバッグ用の袋に入れたものを収め、水道水500mLを入れた。20gのスタートリクロンをサイズ60×80mm、厚さ30μmのポリエチレンフィルムの袋に入れ(塩素源収容具)、これを紐でボトル内の水の上部の空間に吊り下げて、キャップを締め密封状態とした。23〜28℃の室内に2週間置いた後、内容液のpHと塩素濃度を測定したところ、pH5.8、塩素濃度41ppmであった。このことから、塩素源収容具は必ずしも水中に保存しなくても、放出される塩素ガスが水と接触するように構成すれば良いことが分かった。
(実施例10)
10gのスタートリクロンPGをサイズ60×80mmのタイベック1073B(厚さ0.19mm、デュポン社製、輸入販売元;旭・デュポン フラッシュスパン プロダクツ)の袋に入れ、ヒートシールした(塩素源収容具)。この袋を容量10リットルのポリタンクに収めた。またタンカルLG12 10gをティーバッグ用の袋に入れ(中和剤収容具)、上記タンクに収めた。タンクに水道水10リットルを入れて密栓し、10〜18℃の室内に置いた。1ヵ月、1.5ヵ月、3ヵ月後にタンク内の液の有効塩素濃度とpHを測定した。結果を表9に示す。
Figure 2016120474
表9に示すように、容量の大きなタンクであっても、本発明の塩素徐放具により適度な有効塩素濃度を有する液剤が得られることがわかる。
(実施例11)
図5と同様のネジにより着脱自在なシャワーキャップを備えたABS樹脂製のシャワー蛇口に、トリクロルイソシアヌル酸顆粒(南海化学工業(株)製スタートリクロンPG)5gを収めた厚さ40μ・サイズ25×50mmのポリエチレンフィルムの袋と、石灰石細粒(近江鉱業(株)製タンカルLG12、粒径2〜5mm)0.3gを収めたティーバッグ用の袋とからなる塩素徐放具を、両者を融着させた状態で挿入した。40℃の水を通水した後、弁を閉じ、5時間後にシャワーキャップを開けて水を採取した。水の量は50mlであった。この水の塩素濃度とpHを測定したところ、塩素濃度6.6ppm、pH6.1であった。また同様にして止水後40時間経過したのち塩素濃度とpHを測定したところ塩素濃度22ppm、pH5.3であった。
比較例として石灰石細粒を用いない以外は上記と同様にして測定したところ、5時間後には、塩素濃度6.6ppm、pH5.3であり、40時間後には、塩素濃度21ppm、pH3.8であった。このように、単に塩素を放出する用具だけを使用するとpHがかなり酸性になることによって、使用初期の皮膚刺激や、金属部分の腐食が進むおそれがある。
以上説明したように本発明の塩素徐放具は、塩素源収容具と中和剤収容具との簡単な組み合わせで、製造が容易である。また塩素放出は長期に渡って持続性があり、塩素徐放具の内側と周囲環境との間で平衡状態が形成されるので、周囲環境を一定濃度の塩素で維持することもできる。さらに中和剤収容具によって、放出された塩素によるpH低下を緩和するので、安全性の高い飲料水を得ることもできるのである。
また、本発明の簡易消臭・除菌装置は、市販されている液体噴出口のある詰め替え用ボトルと塩素徐放具を組み合わせるだけで構成できるので、日常的に使用する他、非常時に備えて置くこともできるのである。さらに、シャワー蛇口など外気に対して開放系で比較的長期に渡って水が溜められた状態が続くような箇所に、本発明の塩素徐放具を使用することによって無菌性を維持することが可能となる。
1 フィンガースプレー容器
2、12、32、42、52 塩素系殺菌剤を収容する用具
3、13、33、43、53 水難溶性無機カルシウム塩を収容する用具
6 ノズル
8、18 容器本体
11 トリガー式スプレー容器
26 ノズルヘッド
31 ポンプ容器
41 スクイズ式ボトル
51 シャワー蛇口

Claims (7)

  1. 少なくとも一部がガス透過性を有し、かつ全体が水を通さない素材で構成された容器に塩素系殺菌剤を収容する用具と、
    少なくとも一部が通水性を有する素材で構成された容器に水難溶性無機カルシウム塩を収容する用具とを組み合わせて、水環境下で使用されることを特徴とする塩素徐放具。
  2. 前記塩素系殺菌剤が、塩素化イソシアヌル酸である請求項1に記載の塩素徐放具。
  3. 前記塩素化イソシアヌル酸が、トリクロルイソシアヌル酸及び/又はジクロルイソシアヌル酸である請求項2に記載の塩素徐放具。
  4. 前記水難溶性無機カルシウム塩が、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、フッ化カルシウム、珪酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、から選ばれる少なくとも1種である請求項1乃至3のいずれかに記載の塩素徐放具。
  5. 保存容器内に、前記請求項1乃至4のいずれかに記載の塩素徐放具と水を共存させて、徐放された塩素を含む弱酸性次亜塩素酸水を製造する方法。
  6. 前記請求項1乃至4のいずれかに記載の塩素徐放具と、
    前記塩素徐放具と共に水を収容する容器と、
    容器開口部から上方付勢状態で上下動可能に起立されたノズルと、
    ノズルの上下動に連係して作動するポンプ機構を有し、
    ノズルの基端側にその径方向外側を向けて延設された押下げ部を指で押下げることにより、前記ポンプ機構の作用で容器内の塩素を含む内溶液がノズルの先端から噴出される簡易消臭・除菌装置。
  7. 前記請求項1乃至4のいずれかに記載の塩素徐放具と、
    前記塩素徐放具と共に水を収容する容器本体と、
    容器本体の口頚部に嵌合される装着筒と、
    該装着筒から起立された垂直筒と、
    該垂直筒の上端部から前方へ突出された射出筒と、
    前記垂直筒の中間部から前方へ突出されたシリンダと、
    該シリンダ内に摺動可能に嵌合され、前方に付勢されているプランジャと、
    その上部後面が該プランジャの前端部に係合し、前記射出筒の前部に揺動可能に取り付けられたトリガーと、
    前記射出筒の前端部に取り付けられたノズル嵌合筒と、
    ノズル孔が形成され、前記ノズル嵌合筒の外面に回動可能に取り付けられノズルの所定位置では霧状の噴霧が、別の所定位置ではストレートな液流が、それぞれ切り替え可能なノズルヘッドとよりなり、
    トリガーを後方に引くことによって、容器本体に貯蔵された塩素を含む内溶液が吸い上げられ、前記ノズル孔を通して噴出されるトリガー式消臭・除菌装置。
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